(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなモータの組み付けでは、第1及び第2エンドフレームをステータコアの軸方向両側にそれぞれ配置した状態で、その各エンドフレーム同士をスルーボルト等で締結固定する。ここで、ステータコアは複数枚のコアシートの積層構造をなすため、各コアシートの寸法(厚みや平面度等)のばらつきによって、ステータコアの軸方向両端面(軸方向両端のコアシート)の平行度を保つことが難しい。そして、ステータコアの軸方向両端面の平行度が悪化してしまうと、一方のエンドフレームが他方のエンドフレームに対して傾いた状態となる。このため、上記のようなモータでは、各エンドフレームに支持された軸受の同軸性を確保することが難しく、軸受の同軸性が悪化することでロータの滑らかな回転が阻害されて、騒音や振動が生じてしまう。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ステータコアの傾きを抑制し、ステータコアの軸方向両側の一対のエンドフレームに設けられた軸受の同軸性を確保することが可能なモータの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するモータの製造方法は、環状のステータコアを有するステータと、前記ステータの軸方向両側にそれぞれ組み付けられて互いに連結された第1エンドフレーム及び第2エンドフレームと、前記各エンドフレームに設けられた軸受に回転可能に支持された回転軸と、前記ステータコアの内周側位置で前記回転軸に一体回転可能に固定されたロータとを備え、前記ステータコアが前記回転軸の軸方向に積層された複数枚の板状のコアシートよりなるモータの製造方法であって、前記第1及び第2エンドフレームはそれぞれ、前記回転軸の軸線と直交する平面状をなすコア保持面と、該コア保持面と平行な平面状をなす被加圧面とを有し、前記第1及び第2エンドフレームの前記コア保持面が前記ステータコアの軸方向両端面とそれぞれ当接するように、前記第1及び第2エンドフレームを前記ステータコアの軸方向両側にそれぞれ配置する配置工程と、前記配置工程の後、互いに平行な第1加圧面及び第2加圧面を有する加圧治具を用い、その第1及び第2加圧面で前記第1及び第2エンドフレームの前記被加圧面をそれぞれ軸方向の前記ステータコア側に加圧する加圧工程と、前記加圧工程の途中で、又は前記加圧工程の後に、前記第1及び第2エンドフレームを互いに連結する連結工程とを備える。
【0007】
この製造方法によれば、各エンドフレームがコア保持面の平行度を保った状態でステータコア側に加圧されることで、ステータコアは、軸方向両端面(軸方向両端のコアシート)の平行度が保たれた状態で一体化される。これにより、ステータコアの軸方向両端面とそれぞれ当接する第1及び第2エンドフレームの平行度が保たれるため、その第1及び第2エンドフレームに支持された軸受の同軸性を確保することが可能となる。その結果、ロータの軸ずれによって生じる騒音や振動を抑制することが可能となる。
【0008】
上記モータの製造方法において、前記配置工程で、前記ステータコアの内周面又は外周面をコア側芯出し基準面とし、そのコア側芯出し基準面と前記第1エンドフレームの芯出し基準面とを用いて芯出しを行った状態で、該ステータコアと前記第1エンドフレームとを互いに組み付け、その後、前記ステータコアと前記第1エンドフレームとの一体組付品の芯出し基準面と前記第2エンドフレームの芯出し基準面とを用いて前記一体組付品と前記第2エンドフレームとの芯出しを行うことが好ましい。
【0009】
この製造方法によれば、各エンドフレームとステータコアの軸直交方向の軸ずれを抑えることができ、第1及び第2エンドフレームに支持された軸受の同軸性をより向上させることができる。
【0010】
上記モータの製造方法において、前記ステータコアと前記第1エンドフレームとの芯出し状態でそれらを互いに固定し、その後、前記ステータコア及び前記第1エンドフレームの一体組付品と前記第2エンドフレームとの芯出しを行うことが好ましい。
【0011】
この製造方法によれば、ステータコアと第1エンドフレームとの芯出し状態でそれらを一旦固定するため、ステータコアと第1エンドフレームとの軸ずれをより確実に抑えることができる。
【0012】
上記モータの製造方法において、前記ステータコアと前記第1エンドフレームとの固定は、かしめ固定であることが好ましい。
この製造方法によれば、ステータコアと第1エンドフレームとを簡単な構成で固定できるため、製造方法の簡素化に寄与できる。
【0013】
上記モータの製造方法において、前記一体組付品の芯出し基準面は、前記ステータコアの外周面であり、前記第2エンドフレームの芯出し基準面は、前記ステータコアの軸方向端部が内嵌された嵌合部の内周面であることが好ましい。
【0014】
この製造方法によれば、ステータコアを第2エンドフレームの嵌合部に内嵌することで、一体組付品(ステータコア及び第1エンドフレーム)と第2エンドフレームとの芯出し(位置決め)が可能となる。
【0015】
上記モータの製造方法において、前記コア側芯出し基準面は、前記ステータコアの内周面であり、前記第1エンドフレームの芯出し基準面は、該第1エンドフレームにおいて前記軸受を収容する軸受収容部の内周面であることが好ましい。
【0016】
この製造方法によれば、ステータコア及び第1エンドフレームの各内周面を芯出し基準面とすることで、ステータコアと第1エンドフレームとの芯出しに用いる芯出し治具の大型化を抑えることが可能となる。
【0017】
上記モータの製造方法において、前記ステータコアと前記第1エンドフレームとの芯出しにおいて、前記コア側芯出し基準面である前記ステータコアの内周面と、前記第1エンドフレーム側の芯出し基準面である該第1エンドフレームの外周面とを位置決めする第1の芯出し治具を用い、前記ステータコア及び前記第1エンドフレームの一体組付品と前記第2エンドフレームとの芯出しにおいて、前記第1エンドフレームの外周面と前記第2エンドフレームの芯出し基準面とを位置決めする第2の芯出し治具を用いることが好ましい。
【0018】
この製造方法によれば、ステータコア及び第1エンドフレームの一体組付品と第2エンドフレームとの芯出しにおいて第2の芯出し治具を用いるため、ステータコアと第2エンドフレームとの嵌合によって芯出しする場合と比べて高い嵌合精度を必要としない。そのため、一体組付品と第2エンドフレームとの組み付けが容易となる。
【0019】
上記モータの製造方法において、前記ステータコアと前記第1エンドフレームとの芯出しにおいて、前記コア側芯出し基準面である前記ステータコアの外周面と、前記第1エンドフレーム側の芯出し基準面である軸受収容部の内周面とを位置決めする第1の芯出し治具を用い、前記ステータコア及び前記第1エンドフレームの一体組付品と前記第2エンドフレームとの芯出しにおいて、前記ステータコアの外周面と前記第2エンドフレームの芯出し基準面とを位置決めする第2の芯出し治具を用いることが好ましい。
【0020】
この製造方法によれば、ステータコア及び第1エンドフレームの一体組付品と第2エンドフレームとの芯出しにおいて第2の芯出し治具を用いるため、ステータコアと第2エンドフレームとの嵌合によって芯出しする場合と比べて高い嵌合精度を必要としない。そのため、一体組付品と第2エンドフレームとの組み付けが容易となる。
【0021】
上記モータの製造方法において、前記ステータコアと前記第1エンドフレームとの芯出しにおいて、前記コア側芯出し基準面である前記ステータコアの外周面と、前記第1エンドフレーム側の芯出し基準面である該第1エンドフレームの外周面とを位置決めする芯出し治具を用い、前記ステータコアと前記第1エンドフレームとの芯出し組付状態を前記芯出し治具にて保持しつつ、前記ステータコアの外周面と前記第2エンドフレームの芯出し基準面とを用いて前記一体組付品と前記第2エンドフレームとの芯出しを行うことが好ましい。
【0022】
この製造方法によれば、ステータコアと第1エンドフレームとの芯出し組付状態が芯出し治具にて保持されるため、ステータコアと第1エンドフレームとの芯出し後にそれらを互いに固定する必要がなく、その結果、製造工程の簡素化を図ることができる。
【0023】
上記モータの製造方法において、前記連結工程において、前記第1エンドフレーム及び第2エンドフレームをスルーボルトにて互いに連結することが好ましい。
この製造方法によれば、第1及び第2エンドフレームをスルーボルトの締結により容易に固定できるため、製造方法の簡素化に寄与できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のモータの製造方法によれば、ステータコアの傾きを抑制し、ステータコアの軸方向両側の一対のエンドフレームに設けられた軸受の同軸性を確保することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、モータの製造方法の一実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態のモータ10は、第1エンドフレーム11と第2エンドフレーム12(以下では単に、第1フレーム11及び第2フレーム12とする)とによって環状のステータ13が回転軸方向に挟持されて構成されている。第1及び第2フレーム11,12にはそれぞれ、ボールベアリングB1,B2が互いに同軸となるように設けられ、その各ボールベアリングB1,B2には、ロータ14の回転軸15が軸支されている。なお、モータ10の軸方向反出力側(
図1において上側)を保持するフレームを第1フレーム11とし、軸方向出力側を保持するフレームを第2フレーム12としている。各フレーム11,12は、互いに離間しないようにステータ13の外周側の位置でスルーボルト16にて締結固定されている。
【0027】
ステータ13は、環状のステータコア17を有している。ステータコア17には、径方向内側に延びる複数のティース18が形成されており、その各ティース18にはコイル19が巻装されている。また、ステータコア17は、鋼板をプレス加工により打ち抜いて形成した複数枚のコアシート17aを軸方向に積層してかしめて一体化することにより形成されている。なお、ステータコア17の軸方向両端のコアシート17aはそれぞれ、ティース18を構成部位の径方向内側端部が軸方向外側に屈曲されて断面L字状をなしている。これにより、ステータコア17の積厚(積層されたコアシート17a全体の厚み)を小さく抑えつつも、ティース18の径方向内側端面18a(ロータ14との対向面)の軸方向長さを確保することが可能となっている。
【0028】
各フレーム11,12は、アルミニウムや鋼鉄等の金属材料にて形成されている。各フレーム11,12は、略円盤状の本体部21と、本体部21から回転軸15の軸方向に沿って延出された円筒状のステータ保持部22とを備えている。
【0029】
第1及び第2フレーム11,12のステータ保持部22の先端部(軸方向内側端部)にはそれぞれ、ステータコア17の軸方向端部が嵌め込まれた嵌合部24,25が形成されている。各嵌合部24,25は、ステータ保持部22の先端部の内径を大きくすることにより径方向の厚さが薄く形成された部分であり、円環状をなしている。また、各嵌合部24,25の底面24a,25a(軸方向端面)は、回転軸15の軸線と直交する平面状をなしており、該底面24a,25aは、ステータコア17の軸方向端面(軸方向端のコアシート17a)と軸方向に当接している。
【0030】
各フレーム11,12の本体部21の軸方向外側端面には、後述する組み付け時において軸方向に加圧される被加圧面26,27が形成されている。各被加圧面26,27は、回転軸15の軸線に対して直交する平面状をなしている。また、第2フレーム12の軸方向外側端面には、被加圧面27から軸方向外側に突出する段差部28が形成されている。
【0031】
また、各フレーム11,12の本体部21には、ステータ13の外形よりも外側に延びる複数のボルト締結部21a(
図1では2つのみ図示)が延出形成され、各フレーム11,12のボルト締結部21aがスルーボルト16にて互いに連結固定されている。これにより、各フレーム11,12が、ステータ保持部22でステータ13を挟持する状態で固定されている。
【0032】
第1フレーム11の本体部21の中央部には、ボールベアリングB1を回転軸方向のステータ13側(モータ内部側)から組付可能に構成された軸受収容部31が形成されている。軸受収容部31は軸方向視で円形をなしており、その軸受収容部31のモータ外部側部位には、軸受収容部31よりも小径の貫通孔32aを有する押さえ部32が形成されている。この押さえ部32と軸受収容部31に収容されたボールベアリングB1との軸方向間には、ボールベアリングB1に対して軸方向ステータ13側への圧力を付与するウェーブワッシャ33が介在されている。
【0033】
第2フレーム12の本体部21の中央部には、ボールベアリングB2を収容する軸受収容部34が形成されている。軸受収容部34は、第2フレーム12の軸方向外側端面からモータ内部側(ステータ13側)に窪む形状をなしている。つまり、軸受収容部34は、ボールベアリングB2をモータ外部側(反ステータ側)から組付可能に構成されている。なお、軸受収容部34のモータ内部側の端部には、ボールベアリングB2と軸方向に当接する位置決め底部35が形成されている。位置決め底部35は、ボールベアリングB2と軸方向に当接することで、ボールベアリングB2の軸方向の位置を決定する。
【0034】
ロータ14は、各ボールベアリングB1,B2に軸支された回転軸15と、回転軸15に一体回転可能に固定された円筒状のロータコア41と、ロータコア41の外周面に固着された複数の磁石45とからなる。各磁石45は、ステータコア17の内周面(ティース18の径方向内側端面18a)と径方向に対向している。回転軸15の先端部(
図1において下側端部)は、ボールベアリングB2からモータ外部側に突出しており、その突出部分には、出力部としてのジョイント(図示略)が装着される。
【0035】
次に、本実施形態のモータ10の製造方法について説明する。
本実施形態のモータ10の組み付けでは、まず、第1及び第2フレーム11,12をステータコア17の軸方向両側にそれぞれ配置する配置工程を行う。
【0036】
配置工程では、まず、
図2に示すように、コイル19が巻装されたステータコア17と第1フレーム11とを、芯出ししつつ組み付ける。このとき、ステータコア17においては、その内周面(ティース18の径方向内側端面18a)を芯出し基準面とし、第1フレーム11においては、軸受収容部31の内周面を芯出し基準面とする。そして、芯出し治具としての芯金51の大径部52にステータコア17を外挿し、ステータコア17の内周面を大径部52の外周面と当接させる。その後、芯金51の小径部53に第1フレーム11の軸受収容部31を外挿し、軸受収容部31の内周面を小径部53の外周面と当接させつつ、第1フレーム11の嵌合部24をステータコア17の軸方向一端に外嵌させる。このとき、嵌合部24の底面24aは、ステータコア17の軸方向一端面と軸方向に当接する。このように、ステータコア17及び軸受収容部31の各内周面と当接する芯金51によって、ステータコア17と第1フレーム11との芯出し(位置決め)がなされる。なお、嵌合部24の内周面の径は、ステータコア17の外周面17bに対して若干余裕を持たせた寸法に設定されている。また、本実施形態では、芯金51の大径部52及び小径部53をそれぞれステータコア17の内周面及び軸受収容部31の内周面に対して当接させることによって芯出しを行うこととしているが、芯出しのために必ずしもそれらを当接させる必要はない。例えば、芯金51の大径部52及び小径部53がそれぞれステータコア17の内周面及び軸受収容部31の内周面に対して極僅かの隙間を持って対向するように構成してもよく、それによってもステータコア17と第1フレーム11との芯出しを行うことは可能である。
【0037】
その後、嵌合部24の周方向の複数箇所において、軸方向外側からかしめることで、そのかしめ箇所が内周側に塑性変形してステータコア17の外周面17bと圧接される。これにより、ステータコア17が嵌合部24に対して固定されて、ステータコア17と第1フレーム11との一体組付品Xが構成される。
【0038】
次に、第2フレーム12の軸受収容部34にボールベアリングB2を固定し、その後、ロータ14の回転軸15をボールベアリングB2に組み付ける。また、回転軸15の反出力側端部近傍にもう一方のボールベアリングB1を組み付ける。なお、ボールベアリングB1の回転軸15への組み付けは、必ずしもこの工程で行う必要はなく、事前に行っておいてもよい。
【0039】
次に、第1フレーム11の軸受収容部31にボールベアリングB1を固定し、その後、ロータ14の回転軸15をステータコア17の内側に挿通しつつ、ボールベアリングB1と組み付ける。
【0040】
次に、前記工程で互いに固定されたステータコア17と第1フレーム11との一体組付品Xと、第2フレーム12とを組み付ける。この工程では、ステータコア17の軸方向反第1フレーム側の端部が第2フレーム12の嵌合部25に嵌合され、ステータコア17の軸方向端面が嵌合部25の底面25aと軸方向に当接される。また、第2フレーム12の嵌合部25の内周面は、切削加工によって嵌合精度が高められており、その嵌合部25にステータコア17の外周面17bを嵌合させることでステータコア17(一体組付品X)と第2フレーム12との芯出しが可能となっている。つまり、一体組付品Xの芯出し基準面は、ステータコア17の外周面17bであり、第2フレーム12の芯出し基準面は、嵌合部25の内周面となっている。なお、一体組付品Xと第2フレーム12との組み付け前に、ウェーブワッシャ33を第1フレーム11の軸受収容部31に収容しておく(あるいは、ウェーブワッシャ33を回転軸15に外挿してボールベアリングB1の上側(反ステータ側)に載置しておく)。
【0041】
上記の配置工程後、
図3に示すように、互いに平行な第1加圧面54及び第2加圧面55を有する加圧治具56を用いて加圧工程を行う。なお、本実施形態では、第2加圧面55は、加圧治具56における固定台57側(
図3において下側)に設けられ、第1加圧面54は可動加圧部58側(
図3において上側)に設けられている。この工程では、第1及び第2加圧面54,55は、回転軸15の軸線と直交するように配置されて第1及び第2フレーム11,12の被加圧面26,27に対して密着状態で当接する。そして、第1フレーム11の被加圧面26が、第1加圧面54にてステータコア17側に加圧される。このとき、各フレーム11,12は、回転軸15の軸線と直交する各嵌合部24,25の底面24a,25aの平行度が保たれた状態でステータコア17側に加圧される。これにより、ステータコア17は、回転軸15の軸線と直交する各底面24a,25aにて軸方向両側から挟まれるように加圧される。
【0042】
また、第1及び第2加圧面54,55で第1及び第2フレーム11,12の被加圧面26,27を加圧する状態で、第1及び第2フレーム11,12を各スルーボルト16にて互いに連結固定する(連結工程)。これにより、各フレーム11,12とステータコア17とが一体に組み付けられる。
【0043】
次に、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態の組付方法では、回転軸15の軸線と直交する嵌合部24,25の底面24a,25aが、ステータコア17の軸方向両端面と軸方向に当接する状態で、各フレーム11,12の被加圧面26,27が、互いに平行な第1及び第2加圧面54,55にてステータコア17側に加圧される。これにより、ステータコア17が、軸方向両端面(軸方向両端のコアシート17a)の平行度が保たれた状態で一体化され、各フレーム11,12の平行度も保たれる。このため、その第1及び第2フレーム11,12に支持されたボールベアリングB1,B2の同軸性を確保することが可能となり、その結果、ロータ14の軸ずれによって生じる騒音や振動を抑制することが可能となっている。
【0044】
また、本実施形態の組付方法では、各フレーム11,12を第1及び第2加圧面54,55で加圧しながら、その各フレーム11,12をスルーボルト16によって互いに連結固定する。これにより、各フレーム11,12の平行度をより確実に保った状態で、各フレーム11,12とステータコア17とを一体化することが可能となり、ボールベアリングB1,B2の同軸性をより確実に確保することが可能となっている。
【0045】
また、本実施形態では、第1フレーム11とステータコア17との芯出しに芯金51を用いるため、第1フレーム11の嵌合部24とステータコア17との嵌合に高い精度が要求されない。このため、高い精度を得るための切削加工等を嵌合部24に施す必要がなく、その結果、製造工程の簡素化に寄与できるようになっている。
【0046】
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)第1及び第2フレーム11,12はそれぞれ、回転軸15の軸線と直交する平面状をなす嵌合部24,25の底面24a,25a(コア保持面)と、該底面24a,25aと平行な平面状をなす被加圧面26,27とを有する。そして、本実施形態の製造方法は、嵌合部24,25の底面24a,25aがステータコア17の軸方向両端面とそれぞれ当接するように、第1及び第2フレーム11,12をステータコア17の軸方向両側にそれぞれ配置する配置工程と、配置工程の後、互いに平行な第1及び第2加圧面54,55で第1及び第2フレーム11,12の被加圧面26,27をそれぞれ軸方向のステータコア17側に加圧する加圧工程と、その加圧工程の途中で第1及び第2フレーム11,12を互いに連結する連結工程とを備える。この製造方法によれば、各フレーム11,12が嵌合部24,25の底面24a,25aの平行度を保った状態でステータコア17側に加圧されることで、ステータコア17は、軸方向両端面(軸方向両端のコアシート17a)の平行度が保たれた状態で一体化される。これにより、ステータコア17の軸方向両端面とそれぞれ当接する第1及び第2フレーム11,12の平行度が保たれるため、その第1及び第2フレーム11,12に支持されたボールベアリングB1,B2の同軸性を確保することが可能となる。その結果、ステータコア17の傾きを抑制し、ロータ14の軸ずれによって生じる騒音や振動を抑制することが可能となる。
【0047】
(2)配置工程において、ステータコア17の内周面(ティース18の径方向内側端面18a)をコア側芯出し基準面とし、そのステータコア17の内周面と、第1フレーム11側の芯出し基準面である軸受収容部31の内周面とを用いて芯出しを行った状態で、該ステータコア17と第1フレーム11とを互いに組み付ける。その後、一体組付品Xにおけるステータコア17の軸方向一端部を第2フレーム12の嵌合部25に嵌合することで一体組付品Xと第2フレーム12との芯出しを行う。この製造方法によれば、各フレーム11,12とステータコア17の軸直交方向の軸ずれを抑えることができ、第1及び第2フレーム11,12に支持されたボールベアリングB1,B2の同軸性をより向上させることができる。
【0048】
また、ステータコア17と第1フレーム11との芯出しにおいて、その各芯出し基準面が内周面に設定されるため、ステータコア17の内周面と軸受収容部31の内周面とに嵌合される芯金51を芯出し治具として用いることができ、その結果、芯出し治具の大型化を抑えることが可能となる。更に、一体組付品Xと第2フレーム12の芯出しにおいては、ステータコア17の軸方向一端部を第2フレーム12の嵌合部25に嵌合(内嵌)するだけでよいため、製造装置の簡素化に寄与できる。
【0049】
(3)ステータコア17と第1フレーム11との芯出し状態でそれらを互いに固定し、その後、ステータコア17及び第1フレーム11の一体組付品Xと第2フレーム12との芯出しを行う。この製造方法によれば、ステータコア17と第1フレーム11との芯出し状態でそれらを一旦固定するため、ステータコア17と第1フレーム11との軸ずれをより確実に抑えることができる。更に、ステータコア17と第1フレーム11との固定がかしめ固定であるため、ステータコア17と第1フレーム11とを簡単な構成で固定でき、製造方法の簡素化に寄与できる。
【0050】
(4)連結工程において、第1及び第2フレーム11,12をスルーボルト16にて互いに連結するため、第1及び第2フレーム11,12をスルーボルト16の締結により容易に固定でき、その結果、製造方法の簡素化に寄与できる。
【0051】
なお、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・ステータコア17と第1フレーム11との芯出し、及びそれらの一体組付品Xと第2フレーム12との芯出しの方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば
図4〜
図9に示すような方法を採用してもよい。
【0052】
図4に示す方法では、ステータコア17と第1フレーム11との芯出しにおいて、ステータコア17の内周面(ティース18の径方向内側端面18a)をコア側芯出し基準面とし、第1フレーム11側においてはその本体部21の外周面11aの一部を芯出し基準面としている。そして、その各芯出し基準面を位置決めする第1の芯出し治具61を用いて芯出しを行う。
【0053】
第1の芯出し治具61は、ステータコア17の内周面に対して反第1フレーム側から嵌め込まれる芯金部61aと、同じく反第1フレーム側から軸方向に延出されて第1フレーム11の本体部21の外周面11aを位置決めする位置決め部61bとを有している。芯金部61aは、ステータコア17の内周面に対して径方向に当接する、又は極僅かの隙間を持って径方向に対向することで、該ステータコア17の内周面を位置決めする。そして、位置決め部61bは、第1フレーム11の本体部21の外周面11aに対して径方向に当接する、又は極僅かの隙間を持って対向することで、該外周面11aを位置決めする。この芯金部61aと位置決め部61bによって、ステータコア17と第1フレーム11との芯出しがなされる。また、ステータコア17と第1フレーム11とは、上記実施形態と同様に、芯出しされた状態でかしめ固定される。
【0054】
その後、
図5に示すように、ステータコア17及び第1フレーム11の一体組付品Xと第2フレーム12との芯出しが第2の芯出し治具62にてなされる。この一体組付品Xと第2フレーム12との芯出しでは、一体組付品Xの芯出し基準面を前記第1フレーム11の外周面11aとし、第2フレーム12側の芯出し基準面を段差部28の外周面としている。
【0055】
第2の芯出し治具62は、第1フレーム11の外周面11aを位置決めする位置決め部62aと、加圧治具56の固定台57に設けられた嵌合凹部57aとからなる。位置決め部62aは、第1フレーム11の外周面11aに対して径方向に当接する、又は極僅かの隙間を持って対向することで、該外周面11aを位置決めする。そして、第2フレーム12の段差部28が嵌合凹部57aに嵌合されて径方向に位置決め(当接又は極僅かの隙間を持って対向)されることで、一体組付品Xと第2フレーム12との芯出しがなされる。
【0056】
この状態で、上記実施形態と同様に、加圧治具56の第1及び第2加圧面54,55で第1及び第2フレーム11,12の被加圧面26,27が軸方向に加圧されるとともに、第1及び第2フレーム11,12が各スルーボルト16にて互いに連結固定される。
【0057】
このような製造方法によっても、上記実施形態と略同様の効果を得ることができる。更に、一体組付品Xと第2フレーム12との芯出しにおいて、第2の芯出し治具62を用いるため、上記実施形態のようにステータコア17と第2フレーム12との嵌合によって芯出しする場合と比べて高い嵌合精度を必要としない。そのため、一体組付品Xと第2フレーム12との組み付けが容易となる。
【0058】
また、
図6に示す方法では、ステータコア17と第1フレーム11との芯出しにおいて、ステータコア17の外周面17bをコア側芯出し基準面とし、第1フレーム11側においては軸受収容部31の内周面を芯出し基準面としている。そして、その各芯出し基準面を位置決めする第1の芯出し治具71を用いて芯出しを行う。
【0059】
第1の芯出し治具71は、第1フレーム11の軸受収容部31に嵌め込まれる芯金部71aと、ステータコア17の外周面17bを位置決めする位置決め部71bとを有している。芯金部71aは、軸受収容部31の内周面に対して径方向に当接する、又は極僅かの隙間を持って径方向に対向することで、該軸受収容部31の内周面を位置決めする。そして、位置決め部71bは、ステータコア17の外周面17bに対して径方向に当接する、又は極僅かの隙間を持って対向することで、該外周面17bを位置決めする。この芯金部71aと位置決め部71bによって、ステータコア17と第1フレーム11との芯出しがなされる。また、ステータコア17と第1フレーム11とは、上記実施形態と同様に、芯出しされた状態でかしめ固定される。
【0060】
その後、
図7に示すように、ステータコア17及び第1フレーム11の一体組付品Xと第2フレーム12との芯出しが第2の芯出し治具72にてなされる。この一体組付品Xと第2フレーム12との芯出しでは、一体組付品Xの芯出し基準面をステータコア17の外周面17bとし、第2フレーム12側の芯出し基準面を段差部28の外周面としている。
【0061】
第2の芯出し治具72は、ステータコア17の外周面17bを位置決めする位置決め部72aと、加圧治具56の固定台57に設けられた嵌合凹部57aとからなる。位置決め部72aは、ステータコア17の外周面17bに対して径方向に当接する、又は極僅かの隙間を持って対向することで、該外周面17bを位置決めする。そして、第2フレーム12の段差部28が嵌合凹部57aに嵌合されて径方向に位置決め(当接又は極僅かの隙間を持って対向)されることで、一体組付品Xと第2フレーム12との芯出しがなされる。
【0062】
この状態で、上記実施形態と同様に、加圧治具56の第1及び第2加圧面54,55で第1及び第2フレーム11,12の被加圧面26,27が軸方向に加圧されるとともに、第1及び第2フレーム11,12が各スルーボルト16にて互いに連結固定される。
【0063】
このような製造方法によっても、上記実施形態や
図4及び
図5に示す方法と略同様の効果を得ることができる。更に、ステータコア17の外周面17bを芯出し基準面とするため、また、ステータコア17の外周面17bは、コアシート17aのプレス加工にて必要精度を容易に確保することができるため、
図4及び
図5のように、第1フレーム11の外周面11aを芯出し基準面とする場合に比べて、製造工程の簡素化に寄与できる。なお、
図4及び
図5のように、第1フレーム11の外周面11aを芯出し基準面とする場合には、必要精度を確保するために、該第1フレーム11の外周面11aの切削等が必要となる。
【0064】
なお、
図4に示す第1の芯出し治具61又は
図6に示す第1の芯出し治具71を用いてステータコア17と第1フレーム11との芯出しを行い、その後、上記実施形態のように、ステータコア17と第2フレーム12の嵌合部25との嵌合によってステータコア17(一体組付品X)と第2フレーム12との芯出しを行ってもよい。
【0065】
また、
図8に示す方法では、ステータコア17と第1フレーム11との芯出しにおいて、ステータコア17の外周面17bをコア側芯出し基準面とし、第1フレーム11側においてはその本体部21の外周面11aの一部を芯出し基準面としている。そして、その各芯出し基準面と当接する(又は極僅かの隙間を持って対向する)芯出し治具81を用いて芯出しを行う。
【0066】
芯出し治具81は、第1フレーム11の反ステータ側から軸方向に延びて該第1フレーム11の本体部21の外周面11aを位置決めする第1の位置決め部81aと、その第1の位置決め部81aからステータコア17側に更に延びてステータコア17の外周面17bを位置決めする第2の位置決め部81bとを有している。第1の位置決め部81aは、第1フレーム11の本体部21の外周面11aに対して径方向に当接する、又は極僅かの隙間を持って径方向に対向することで、該外周面11aを位置決めする。そして、第2の位置決め部81bは、ステータコア17の外周面17bに対して径方向に当接する、又は極僅かの隙間を持って径方向に対向することで、該外周面17bを位置決めする。この第1及び第2の位置決め部81a,81bによって、ステータコア17と第1フレーム11との芯出しがなされるとともに、その芯出し組付状態が芯出し治具81によって保持される。
【0067】
その後、
図9に示すように、芯出し治具81を構成する加圧治具56の固定台57の嵌合凹部57aに、第2フレーム12の段差部28が嵌合され、一体組付品Xと第2フレーム12との芯出しがなされる。
【0068】
この状態で、上記実施形態と同様に、加圧治具56の第1及び第2加圧面54,55で第1及び第2フレーム11,12の被加圧面26,27が軸方向に加圧されるとともに、第1及び第2フレーム11,12が各スルーボルト16にて互いに連結固定される。
【0069】
このような製造方法によっても、上記実施形態や
図4及び
図5に示す方法と略同様の効果を得ることができる。更に、ステータコア17と第1フレーム11との芯出し組付状態が芯出し治具81にて保持されるため、ステータコア17と第1フレーム11との芯出し後にそれらを互いに固定する必要がなく、その結果、製造工程の簡素化を図ることができる。
【0070】
・上記実施形態では、第1フレーム11の嵌合部24とステータコア17とがかしめにより固定されたが、これに特に限定されるものではなく、例えば、ねじによる締結固定や、溶接固定としてもよい。
【0071】
・上記実施形態では、第2加圧面55を固定側とし、第1加圧面54を可動側(加圧側)としたが、これに特に限定されるものではなく、例えば、第1加圧面54を固定側とし、第2加圧面55を可動側としてもよく、また、各加圧面54,55から能動的な加圧がなされるように構成してもよい。
【0072】
・上記実施形態では、各フレーム11,12のステータ保持部22がステータコア17に外嵌される構成としたが、これ以外に例えば、ステータ保持部22がステータコア17に内嵌される構成としてもよい。