特許第5952203号(P5952203)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5952203
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】中継機器、通信システム及び中継方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/10 20090101AFI20160630BHJP
   H04L 12/807 20130101ALI20160630BHJP
   H04W 80/06 20090101ALI20160630BHJP
   H04W 88/04 20090101ALI20160630BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20160630BHJP
【FI】
   H04W28/10
   H04L12/807
   H04W80/06
   H04W88/04
   H04M11/00 302
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-28744(P2013-28744)
(22)【出願日】2013年2月18日
(65)【公開番号】特開2014-158202(P2014-158202A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2014年6月17日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】永井 裕人
【審査官】 桑原 聡一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−176540(JP,A)
【文献】 特開2006−245824(JP,A)
【文献】 特開2008−172521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
H04L 12/807
H04M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2の通信先から中継データを受信して出力し、
前記第2の通信先との通信状態を出力し、
第1の通信先からの受信確認を待たずに前記第2の通信先が前記第1の通信先に送信することができるデータ量である受信ウィンドウサイズを含むデータを前記第2の通信先に送信する、第2通信手段と、
入力した前記通信状態に応じて前記受信ウィンドウサイズを決定し、前記第2通信手段に供給する、制御手段と、
入力される前記中継データを前記第1の通信先に送信する第1通信手段と、
を備え、
前記制御手段は、所定のタイミングで前記通信状態を入力し、前記通信状態と前回入力した前記通信状態を比較し、前記通信状態が前回入力した前記通信状態から変化した場合は、変化に応じて前記受信ウィンドウサイズを決定し、前記通信状態が前回入力した前記通信状態よりも悪化した場合は、前記受信ウィンドウサイズとして前回決定した値よりも小さなゼロでない値を受信ウィンドウサイズとして決定することを特徴とする、
中継機器。
【請求項2】
第2の通信先から中継データを受信して出力し、
前記第2の通信先との通信状態を出力し、
第1の通信先からの受信確認を待たずに前記第2の通信先が前記第1の通信先に送信することができるデータ量である受信ウィンドウサイズを含むデータを前記第2の通信先に送信する、第2通信手段と、
入力した前記通信状態に応じて前記受信ウィンドウサイズを決定し、前記第2通信手段に供給する、制御手段と、
入力される前記中継データを前記第1の通信先に送信する第1通信手段と、
を備え、
前記制御手段は、所定のタイミングで前記通信状態を入力し、前記通信状態と前回入力した前記通信状態を比較し、前記通信状態が前回入力した前記通信状態から変化した場合は、変化に応じて前記受信ウィンドウサイズを決定し、前記通信状態が前回入力した前記通信状態よりも良化した場合は、前記受信ウィンドウサイズとして前回決定した値よりも大きな値を受信ウィンドウサイズとして決定することを特徴とする、
中継機器。
【請求項3】
請求項1に記載の中継機器であって、
前記制御手段は、前記通信状態が前回入力した前記通信状態よりも良化した場合は、前記受信ウィンドウサイズとして前回決定した値よりも大きな値を受信ウィンドウサイズとして決定することを特徴とする、
中継機器。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の中継機器であって、
前記制御手段は、
前記第1の通信先が前記第1通信手段に送信したデータに含まれる受信ウィンドウサイズを、前記制御手段が決定した受信ウィンドウサイズで置換し、
前記第2通信手段は、
前記第2の通信先に、置換した受信ウィンドウサイズを含むデータを送信することを特徴とする、
中継機器。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の中継機器であって、
前記通信状態として、受信信号強度又は搬送波レベル対干渉・雑音比を用いることを特徴とする、中継機器。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の中継機器であって、
さらに、音声入出力手段を備え、
前記音声入出力手段は、前記第2通信手段が受信した音声データを音声出力し、前記音声入出力手段に入力された音声データを前記第2の通信先に送信することを特徴とする、
中継機器。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の中継機器と、
前記第1の通信先を備え、
前記第1の通信先は、
前記第1通信手段と通信可能な第3通信手段を有することを特徴とする、
通信システム。
【請求項8】
請求項7に記載の通信システムは、
さらに前記第2の通信先を備え、
前記第2の通信先は、
前記第2通信手段と通信可能で、前記受信ウィンドウサイズを含むデータを受信し、前記受信ウィンドウサイズが示すデータ量まで前記第1の通信先からの受信確認を待たずに前記中継データを送信する、第4通信手段を備えることを特徴とする、
通信システム。
【請求項9】
第2の通信先との通信状態を出力し、
入力した前記通信状態に応じて第1の通信先からの受信確認を待たずに前記第2の通信先が前記第1の通信先に送信することができるデータ量である受信ウィンドウサイズを決定し、
決定した前記受信ウィンドウサイズを含むデータを前記第2の通信先に送信し、
第2の通信先から中継データを受信して出力し、
入力される前記中継データを前記第1の通信先に送信し、
所定のタイミングで前記通信状態を入力し、前記通信状態と前回入力した前記通信状態を比較し、前記通信状態が前回入力した前記通信状態から変化した場合は、変化に応じて前記受信ウィンドウサイズを決定し、前記通信状態が前回入力した前記通信状態よりも悪化した場合は、前記受信ウィンドウサイズとして前回
決定した値よりも小さなゼロでない値を受信ウィンドウサイズとして決定することを特徴とする、
中継方法。
【請求項10】
第2の通信先との通信状態を出力し、
入力した前記通信状態に応じて第1の通信先からの受信確認を待たずに前記第2の通信先が前記第1の通信先に送信することができるデータ量である受信ウィンドウサイズを決定し、
決定した前記受信ウィンドウサイズを含むデータを前記第2の通信先に送信し、
第2の通信先から中継データを受信して出力し、
入力される前記中継データを前記第1の通信先に送信し、
所定のタイミングで前記通信状態を入力し、前記通信状態と前回入力した前記通信状態を比較し、前記通信状態が前回入力した前記通信状態から変化した場合は、変化に応じて前記受信ウィンドウサイズを決定し、前記通信状態が前回入力した前記通信状態よりも良化した場合は、前記受信ウィンドウサイズとして前回決定した値よりも大きな値を受信ウィンドウサイズとして決定することを特徴とする、
中継方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、中継機器、通信システム及び中継方法に関する。
【背景技術】
【0002】
端末間でTCP(Transmission Control Protocol)パケットの転送を行う場合、TCPパケットの送信側端末がTCPパケットの受信側端末の応答を待たずに送信できるデータ量は、固定されている場合が多い。すなわち、TCPパケットの受信側端末の応答を待たずに送信できるデータ量を表すTCP RWIN(TCP Receive Window Size:伝送制御受信ウィンドウサイズ)は、固定されている場合が多い。受信側で固定されているTCP RWINは、TCP接続確立時に、送信側端末に通知される。
【0003】
TCP RWINの値が大きい場合、送信側端末は受信側端末の応答を待たずに連続でデータを送信できるため、スループットが向上する。しかし、1個のTCPパケットでも受信に失敗した場合は、受信に失敗したTCPパケット以降の全データを再度送信する必要があるため、データ再送にかかるオーバーヘッドが大きくなる。
【0004】
逆にTCP RWINの値が小さい場合、TCPパケットの受信に失敗した場合に再度送信するデータ量も小さくなり、データ再送にかかるオーバーヘッドが小さくなる。しかし、受信側端末の応答を待つ回数が多くなるため、スループットは低下する。
【0005】
送信側端末と受信側端末の通信経路が有線回線の場合、通信経路の状態が変化することは少ないため、固定されたTCP RWINを使用し続けてもスループットへの影響は小さい。しかしながら、送信側端末と受信側端末の通信経路が無線回線の場合、電波状態によって通信経路の状態が大きく変化する。特に、端末の移動などによりデータ通信中に無線回線の通信経路の電波状態が急激に悪化した場合、TCPパケットの受信に失敗する頻度が高くなる。したがって、TCP接続確立時に受信側端末で決定したTCP RWINを固定で使用し続けると、データ再送のオーバーヘッドが大きく、スループットの低下につながってしまう。
【0006】
逆に、端末の移動などにより、データ通信中に無線回線の通信経路の電波状態が良くなる場合がある。この場合、TCP接続確立時に受信側端末で決定したTCP RWINを固定で使用し続けると、受信側端末の応答の回数が無駄に増えてしまい、十分なスループットを得られない。また、通信の課金方式が従量制課金の場合、TCP RWINが適切な値でないことにより、余計なパケット分に課金がされ、ユーザーに余分な料金がかかってしまうことも考えられる。
【0007】
上記の課題を解決する技術が、特許文献1に記載されている。図10は、特許文献1に記載されている端末を含むネットワークを示すブロック図である。端末1101〜1104は、無線リンク(基地局1201〜1204)を介して無線制御装置1301、1302およびパケットサービスノードや移動先位置登録装置/交換装置1401〜1404などに接続されている。パケットサービスノードや移動先位置登録装置/交換装置1401〜1404は、移動通信システム内またはインターネット上のサーバ1501と通信を行っている。
【0008】
端末1101は、無線制御装置1301との間で通信が確立されると、端末1101での通信状況を示す値を基準として、TCP RWINを適宜変更する。たとえば、RSSI(Received Signal Strength Indicator:受信信号強度)や、CINR(Carrier to Interference and Noise Ratio:搬送波レベル対干渉・雑音比)に応じてTCP RWINを複数用意しておき、端末1101に設定する。
【0009】
このようにして、通信状況にあわせて適切なTCP RWINを動的に設定することにより、全体のスループットを向上させ、または無駄な再送を削減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−289080
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載の発明には、以下の問題があった。近年、携帯電話やPC(Personal Computer)、タブレット端末等、一人のユーザーが複数の携帯端末を同時に携帯することが増えている。これらの携帯端末が外部ネットワークに接続する際に、それぞれの携帯端末が外部ネットワークに接続するのではなく、モバイルルーターと呼ばれる中継機器を介して接続する方法がある。モバイルルーターは、WAN(Wide Area Network)側伝送路で外部ネットワークに接続する携帯電話等の基地局と広域無線で接続し、他方で無線LAN(Local Area Network)等の狭域無線で携帯端末と接続する。WAN側伝送路がWiMAX(登録商標)や公衆無線LANなどの場合、電波状態によって通信経路の状態が大きく変化する。
【0012】
特許文献1に記載のネットワークでは、端末1101が、端末1101での通信状況を基準として、TCP RWINを適宜変更している。したがって、端末1101と基地局1201〜1204の間で、モバイルルーターを介して通信を行う場合、WAN側伝送路の通信状況を把握することが出来ない。特許文献1に記載のネットワークでは、モバイルルーターを介して端末1101と基地局1201〜1204の間で通信を行う場合、モバイルルーターと基地局1201〜1204の間で輻輳が生じても、TCP RWINを変更できない。
【0013】
本発明は、上記の課題を解決する中継機器、通信システム及び中継方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の中継機器は、第2の通信先から中継データを受信して出力し、前記第2の通信先との通信状態を出力し、第1の通信先からの受信確認を待たずに前記第2の通信先が前記第1の通信先に送信することができるデータ量である受信ウィンドウサイズを含むデータを前記第2の通信先に送信する、第2通信手段と、入力した前記通信状態に応じて前記受信ウィンドウサイズを決定し、前記第2通信手段に供給する、制御手段と、入力される前記中継データを前記第1の通信先に送信する第1通信手段と、を備えていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の中継方法は、第2の通信先との通信状態を出力し、入力した前記通信状態に応じて第1の通信先からの受信確認を待たずに前記第2の通信先が前記第1の通信先に送信することができるデータ量である受信ウィンドウサイズを決定し、決定した前記受信ウィンドウサイズを含むデータを前記第2の通信先に送信し、第2の通信先から中継データを受信して出力し、入力される前記中継データを前記第1の通信先に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上記の課題を解決する中継機器、通信システム及び中継方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施形態に係る中継機器の構成を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態に係る中継機器の変形例の構成を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態に係る中継機器の動作を表すシーケンス図である。
図4】第1の実施形態に係る中継機器を含む通信システムの具体例の構成を示すブロック図である。
図5】第1の実施形態に係る中継機器を含む通信システムの具体例の動作を示すシーケンス図である。
図6】第2の実施形態に係る中継機器の動作を示すシーケンス図である。
図7】は、第2の実施形態に係る中継機器を含む通信システムの具体例の動作を示すシーケンス図である。
図8】第3の実施形態に係る中継機器の制御手段の動作を示すフローチャートである。
図9】第3の実施形態に係る中継機器の他の一例の、制御手段の動作を示すフローチャートである。
図10】特許文献1に記載されている端末を含むネットワークを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1の実施形態]
図1乃至5を用いて、第1の実施形態に係る中継機器について説明する。図1は、第1の実施形態に係る中継機器の構成を示すブロック図である。中継機器100は、第1通信手段111と、第2通信手段112と、制御手段110を有する。
【0019】
第1通信手段111及び第2通信手段112は、それぞれの通信先と通信することができる通信手段であればいずれでも採用することができる。例えば、中継機器100がモバイルルーターである場合、第1通信手段111は、携帯電話やPC、タブレット端末等の通信端末と通信することが想定される。したがって、Bluetooth(登録商標)や無線LANに準拠した近距離通信を行うことが出来る無線通信手段を用いることが考えられる。また、第2通信手段112は、HTMLや画像などのファイル提供を行うサービスプログラムが動作するサーバ等と通信し、その通信経路としては、移動体通信網やWiMAX(登録商標)、公衆無線LANなどの無線回線が用いられることが想定される。したがって、これらの通信を行うことが出来る無線通信手段を用いることが考えられる。
【0020】
第2通信手段112は、第2通信手段112の通信先から受信したデータを第1通信手段111に転送し、第1通信手段111は、第2通信手段112から転送されたデータを第1通信手段111の通信先に送信する。
【0021】
なお、WiMAX(登録商標)は、IEEE802.16eにより規格化された無線方式の伝送路である。また、公衆無線LANは、IEEE802.11により規格化された無線LANを利用した伝送路である。
【0022】
制御手段110は、プロセッサーから構成され、第1通信手段111や第2通信手段を含む中継機器100の動作を制御する。また、第2通信手段112と第2通信手段112の通信先との間の通信状態に応じて、TCP RWINの値を決定する。
【0023】
図2は、第1の実施形態に係る中継機器100の変形例の構成を示すブロック図である。図2に示されるように、中継機器100は、音声入出力手段113を備えていても良い。音声入出力手段113は、第2通信手段112が受信した音声データを音声出力し、音声入出力手段113に入力された音声データを第2通信手段の通信先112に送信することができる。すなわち、単なる中継機器でなく、携帯電話やスマートフォンが外部ネットワークに接続するための第2通信手段112を、第1通信手段111を介して、他の通信端末にも提供する構成とすることができる。
【0024】
次に、第1の実施形態に係る中継機器の動作について、説明する。図3は、第1の実施形態に係る中継機器100の動作を表すシーケンス図である。第1通信手段111の通信先を使用して、第2通信手段112の通信先からファイルのダウンロードなどを行う際に、中継機器100を介して第1通信手段111の通信先と第2通信手段112で物理的接続が確立される。制御手段110は、第2通信手段112と第2通信手段112の通信先の間の通信状態を取得する(A1)。通信状態としては、例えば、RSSIやCINRを用いることができる。続いて、制御手段110は、A1で取得した通信状態に応じて、TCP RWINを設定する(A2)。
【0025】
通信状態に応じたTCP RWINの設定は、通信状況に応じて中継機器100の利用者にとって適切なスループットを実現するTCP RWINを設定することができる。例えば、図示されない記憶手段に、RSSIやCINRの値と対応してTCP RWINの値をあらかじめ定めておき、A1で取得したRSSIやCINRの値と対応したTCP RWINの値を設定することができる。また、RSSI、CINRがあらかじめ設定された値より大きくなった場合に使用するTCP RWINの候補を数パターン準備しておいても良い。
【0026】
制御手段110は、TCP RWINを含むデータを第2通信手段112に転送し、第2通信手段112は第2通信手段112の通信先に送信する(A3)。第2通信手段112の通信先は、TCP RWINで定められたデータ量の範囲で、第1通信手段111の通信先からの受信確認を待たずに第1通信手段111の通信先に送信することができる。
【0027】
図4は、第1の実施形態に係る中継機器100を含む通信システムの具体例の構成を示すブロック図である。この通信システムは、中継機器100と、第1通信手段と通信可能な第3通信手段211を備える受信側通信機器200と、第2通信手段112と通信可能な第4通信手段311を含む送信側通信機器300を含む。
【0028】
受信側通信機器200としては、携帯電話やPC、タブレット端末等の通信端末と通信することが想定される。また、送信側通信機器300としては、上述したサーバー等が想定される。送信側通信機器300は、第4通信手段311を介して受信ウィンドウサイズを含むデータを受信すると、受信ウィンドウサイズが示すデータ量まで、第1通信手段111の通信先からの受信確認を待たずにデータを送信する。
【0029】
図5は、第1の実施形態に係る中継機器100を含む通信システムの具体例の動作を示すシーケンス図である。中継機器100を介して受信側通信機器200と送信側通信機器300で物理的接続が確立されると、制御手段110は、第2通信手段112と第2通信手段の通信先の間の通信状態を取得する(B1)。続いて、制御手段110は、B1で取得した通信状態に応じて、TCP RWINを設定する(B2)。制御手段110は、TCP RWINを含むデータを第2通信手段112に転送し、第2通信手段112は、TCP RWINを含むデータを、第2通信手段112の通信先に送信する(B3)。送信側通信機器300は、TCP RWINを含むデータを受信し(B4)、以後、TCP RWINで定められたデータ量の範囲で、受信側通信機器200からの受信確認を待たずに受信側通信機器200にデータ送信することができる。
【0030】
第1の実施形態に係る中継機器100によれば、第1通信手段111の通信先と第2通信手段112の通信先の間に中継機器100が加わった場合でも、中継機器100と第2通信手段112の通信先の間の通信状況を把握することができる。中継機器100と第2通信手段112の通信先との間で輻輳が生じても、TCP RWINを変更することができ、最適なTCP RWINを設定することができる。
[第2の実施形態]
図6及び7を用いて、第2の実施形態に係る中継機器の動作について説明する。第2の実施形態に係る中継機器100は、第1の実施形態に係る中継機器100と同じ構成を有する。第2の実施形態に係る中継機器100は、第1通信手段111が受信したデータに含まれるTCP RWINを、制御手段110が決定した受信ウィンドウサイズで置換する点において、第1の実施形態に係る中継機器100と相違する。
【0031】
図6は、第2の実施形態に係る中継機器100の動作を示すシーケンス図である。中継機器100を介して、第1通信手段111の通信先と第2通信手段112で物理的接続が確立されると、第1通信手段111が、TCP RWINを含むデータを受信する(C1)。このデータは、第1通信手段111の通信先が、固定あるいは任意で設定したTCP RWINを含むデータである。一方、制御手段110は、第2通信手段112と第2通信手段112の通信先の間の通信状態を取得する(C2)。
【0032】
続いて、制御手段110は、C2で取得した通信状態に応じて、TCP RWINを設定し、第1通信手段111が受信したデータに含まれるTCP RWINを、制御手段110が設定したTCP RWINで置換する(C3)。制御手段110は、置換したデータを第2通信手段112に転送し、第2通信手段112が第2通信手段112の通信先に送信する(C4)。第2通信手段112の通信先は、データに含まれるTCP RWINで定められたデータ量の範囲で、第1通信手段111の通信先からの受信確認を待たずに第1通信手段111の通信先に送信することができる。
【0033】
図7は、第2の実施形態に係る中継機器100を含む通信システムの具体例の動作を示すシーケンス図である。図7に示される通信システムの構成は、図5に示される通信システムと同様である。中継機器100を介して受信側通信機器200と送信側通信機器300で物理的接続が確立されると、受信側通信機器200は、TCP RWINを設定する(D1)。受信側通信機器200が設定するTCP RWINは、固定されて設定されているものでもよいし、任意に設定したものでも良い。
【0034】
次に第1通信手段111が、TCP RWINを含むデータを受信する(D2)。制御手段110は、第2通信手段112と第4通信手段311との間の通信状態を取得する(D3)。続いて、制御手段110は、D3で取得した通信状態に応じて、TCP RWINを設定する。さらに、第1通信手段111が受信したデータに含まれるTCP RWINを、制御手段110が設定したTCP RWINで置換する(D4)。制御手段110は、置換したデータを第2通信手段112に転送し、第2通信手段112が第2通信手段112の通信先に送信する(D5)。第4通信手段311はデータを受信する(D6)。
【0035】
送信側通信機器300は、データに含まれるTCP RWINで定められたデータ量の範囲で、受信側通信機器200からの受信確認を待たずに受信側通信機器200の通信先に送信することができる。
【0036】
第2の実施形態に係る中継機器100によれば、第1通信手段111の通信先がTCP RWINを設定した場合でも、中継機器100が、中継機器100と第2通信手段112の通信先との間で通信状態に応じてTCP RWINを変更することができる。したがって、第1通信手段111の通信先は、特別な設定をすることなく、最適なTCP RWINに基づいて通信をすることができる。
[第3の実施形態]
図8及び図9を用いて第3の実施形態に係る中継機器について説明する。第3の実施形態に係る中継機器は、第1の実施形態に係る中継機器100または第2の実施形態にかかる中継機器100を用いることができる。
【0037】
図8を用いて、第1の実施形態を前提とした、第3の実施形態に係る中継機器100の動作について説明する。図8は、第3の実施形態に係る中継機器100の制御手段110の動作を示すフローチャートである。第3の実施形態に係る中継機器100は、第1の実施形態と構成は同じであるが、TCP RWINの設定において相違点を有する。
【0038】
制御手段110は、図3に示すようにTCP RWINを設定するが、設定した後に、図1に図示されない記憶手段に、最後に取得した第2通信手段211と第2通信手段211の通信先との間の通信状態の値を保存しておく。そして、前回設定した通信状態を記憶手段から取得し(S11)、所定のタイミングで、現在の通信状態を取得し(S12)、通信状態が変化したか判断する(S13)。通信状態が変化した場合は(S13,YES)、制御手段110は最後に取得した通信状態に応じてTCP RWINを選択し(S14)、TCP RWINを含むデータを第2通信手段112に転送する(S15)。
【0039】
TCP RWINは、S12で取得した通信状態がS11で取得した通信状態よりも悪化した場合は、前回決定した値よりも小さな値とする。これにより、再送するデータ量が少なくて済み、送信のオーバーヘッドが小さくなり、全体のスループット向上につながる。一方で、S12で取得した通信状態がS11で取得した通信状態よりも良化した場合は、前回決定した値よりも大きな値とする。これにより、スループットを高めることができる。
【0040】
次に、図9を用いて、第2の実施形態を前提とした、第3の実施形態に係る中継機器100の動作の他の一例について説明する。図9は、第3の実施形態に係る中継機器100の他の一例の、制御手段110の動作を示すフローチャートである。S21〜S24までは、図8に示したフローチャートのS11〜S14までと同じである。図9に示す中継機器100の制御手段110では、TCP RWINを選択した後に(S24)、第1通信手段111が、第1通信手段111の通信先からTCP RWINを含むデータを受信したか否か確認する(S25)。データを受信していた場合は(S25,YES)、データに含まれるTCP RWINを、制御手段110が選択したTCP RWINで置換し(S26)、第2通信手段112に転送する(S27)。データを受信していない場合は(S25,NO)、制御手段110が選択したTCP RWINを含むデータをそのまま第2通信手段112に転送する(S27)。
【0041】
TCP RWINは、S22で取得した通信状態がS21で取得した通信状態よりも悪化した場合は、前回決定した値よりも小さな値とすることができる。これにより、再送するデータ量が少なくて済み、送信のオーバーヘッドが小さくなり、全体のスループット向上につながる。一方で、S22で取得した通信状態がS21で取得した通信状態よりも良化した場合は、前回決定した値よりも大きな値とすることができる。これにより、スループットを高めることができる。
【0042】
第3の実施形態に係る中継機器100によれば、通信状態が変化した際にも、適切なTCP RWINを設定することができる。また、前回の通信状態と比較してTCP RWINを設定することにより、スループットを向上することができる。
【0043】
本発明の中継機器、通信システム及び中継方法は、上記実施形態に基づいて説明されているが、上記実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内において、かつ本発明の基本的技術思想に基づいて、上記実施形態に対し種々の変形、変更及び改良を含むことができることはいうまでもない。また、本発明の請求の範囲の枠内において、種々の開示要素の多様な組み合わせ・置換ないし選択が可能である。本発明のさらなる課題、目的及び展開形態は、請求の範囲を含む本発明の全開示事項からも明らかにされる。
【符号の説明】
【0044】
100 中継機器
111 第1通信手段
112 第2通信手段
113 音声入出力手段
110 制御手段
200 受信側通信機器
211 第3通信手段
300 送信側通信機器
311 第4通信手段
1101〜1104 端末
1201〜1204 基地局
1301、1302 無線制御装置
1401、1403 移動先位置登録装置/交換装置
1402、1404 パケットサービスノード
1501 サーバ
図1
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