特許第5952204号(P5952204)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5952204
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】動力伝達装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/19 20060101AFI20160630BHJP
【FI】
   H02K9/19 A
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-29288(P2013-29288)
(22)【出願日】2013年2月18日
(65)【公開番号】特開2014-158400(P2014-158400A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2015年5月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000100768
【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小畑 達郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 真吾
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 正人
(72)【発明者】
【氏名】森 信人
(72)【発明者】
【氏名】末永 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】村上 智堂
【審査官】 下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−028887(JP,A)
【文献】 特開2009−254042(JP,A)
【文献】 特開2009−254197(JP,A)
【文献】 特開2012−222904(JP,A)
【文献】 特開平08−019219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータおよびロータを含むモータジェネレータと、
前記モータジェネレータを収納するケースとを備える動力伝達装置であって、
前記ステータは、円筒状に形成されたステータコアと、前記ステータコアの内側に形成されたティース部に巻回されたコイルとを含み、
前記コイルは、前記モータジェネレータの回転軸方向において前記ステータコアから突出するコイルエンド部を有し、
前記ケースには、前記ステータコアの外周面を支持する支持部が前記回転軸方向に沿って延びるように形成され、
前記支持部は、前記ステータコアの外周面に沿って流れるオイルを前記コイルエンド部に案内するように構成され
前記支持部に対して前記ステータコアの上端部とは反対側にブリーザが設けられていることを特徴とする動力伝達装置。
【請求項2】
請求項1に記載の動力伝達装置において、
前記モータジェネレータの上方に配置され、前記ステータコアの外周面にオイルを供給するための冷却パイプをさらに備えることを特徴とする動力伝達装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の動力伝達装置において、
前記コイルエンド部から引き出される動力線が前記支持部の近傍に配置されていることを特徴とする動力伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータジェネレータを備える動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータと、そのモータの上方に配置されるステータ冷却用オイル流通路とを備え、ステータ冷却用オイル流通路から冷却オイルを放出してステータを冷却する構造が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1では、ステータのコイルエンド部にも冷却オイルが掛け流されており、その冷却オイルが流下する際に熱を回収するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−178243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した特許文献1では、ステータ冷却用オイル流通路からコイルエンド部に供給される冷却オイルが、コイルエンド部のコイルの隙間に流れたり、モータの軸方向におけるコイルエンド部の端面に流れたりするので、コイルエンド部に対して冷却オイルを満遍なく供給することが困難である。すなわち、コイルエンド部においてステータ冷却用オイル流通路から遠い箇所を十分に冷却することが困難である。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、コイルエンド部に対する冷却性能の向上を図ることが可能な動力伝達装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による動力伝達装置は、ステータおよびロータを含むモータジェネレータと、モータジェネレータを収納するケースとを備える。ステータは、円筒状に形成されたステータコアと、ステータコアの内側に形成されたティース部に巻回されたコイルとを含む。コイルは、モータジェネレータの回転軸方向においてステータコアから突出するコイルエンド部を有する。ケースには、ステータコアの外周面を支持する支持部が回転軸方向に沿って延びるように形成されている。そして、支持部は、ステータコアの外周面に沿って流れるオイルをコイルエンド部に案内するように構成されている。また、動力伝達装置では、支持部に対してステータコアの上端部とは反対側にブリーザが設けられている。
【0008】
このように構成することによって、支持部によりステータコアの外周面のオイルをコイルエンド部に供給することができるので、コイルエンド部に対する冷却性能の向上を図ることができる。さらに、支持部によりオイルを遮ることができるので、オイルがブリーザに浸入するのを抑制することができる。
【0009】
上記動力伝達装置において、モータジェネレータの上方に配置され、ステータコアの外周面にオイルを供給するための冷却パイプをさらに備えていてもよい。
【0010】
このように構成すれば、冷却パイプからステータコアに供給されるオイルを支持部によりコイルエンド部に案内することができる。
【0011】
上記動力伝達装置において、コイルエンド部から引き出される動力線が支持部の近傍に配置されていてもよい。
【0012】
このように構成すれば、支持部によりコイルエンド部に案内されるオイルを動力線に掛けることができるので、高温になりやすい動力線の冷却を促進することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の動力伝達装置によれば、コイルエンド部に対する冷却性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態による動力伝達装置の概略を示した構成図である。
図2図1の動力伝達装置を回転軸方向から見た図である。
図3図1の動力伝達装置におけるオイルの流れを説明するための平面的な模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
まず、図1および図2を参照して、本発明の一実施形態による動力伝達装置100について説明する。
【0019】
動力伝達装置100は、図1に示すように、モータジェネレータ1と、モータジェネレータ1を冷却するための冷却パイプ2と、モータジェネレータ1および冷却パイプ2を収納するケース3とを備えている。この動力伝達装置100は、たとえば、電動車両に搭載されており、モータジェネレータ1からの動力を駆動輪(図示省略)に伝達するように構成されている。なお、以下では、モータジェネレータ1の回転軸に沿った方向を回転軸方向(X方向)といい、モータジェネレータ1の回転軸と直交する方向を径方向という。
【0020】
モータジェネレータ1は、主に電動機として機能し、状況によっては発電機としても機能する。このモータジェネレータ1は、たとえば交流同期電動機であり、インバータ(図示省略)を介してバッテリに接続されている。インバータは、バッテリから供給される直流電流を交流電流に変換してモータジェネレータ1を駆動する(力行制御)とともに、モータジェネレータ1で発電された交流電流を直流電流に変換してバッテリに出力する(回生制御)ことが可能である。
【0021】
また、モータジェネレータ1は、円筒状(環状)に形成されたステータ11と、ステータ11の内部に配置されたロータ12とを含んでいる。ステータ11は、ケース3に固定され、ロータ12は、ケース3に回転可能に支持されるシャフト4に連結されている。
【0022】
ステータ11は、円筒状に形成されたステータコア111と、ステータコア111に巻き付けられたコイル112とを含んでいる。
【0023】
ステータコア111は、たとえば、回転軸方向に積層される複数の電磁鋼板によって構成されている。このステータコア111は、円筒状のヨーク部111aと、ヨーク部111aの内側に形成されたティース部111bと、ヨーク部111aの外側に形成された突状部111c(図2参照)とを有する。
【0024】
ティース部111bは、ヨーク部111aの内周面から径方向(ロータ12側)に突出するように形成されるとともに、回転軸方向に延びるように形成されている。また、ティース部111bは、ヨーク部111aの内周面における周方向に所定の間隔を隔てて複数形成されている。
【0025】
突状部111cは、図2に示すように、ヨーク部111aから径方向(ロータ12とは反対側)に突出するように形成されるとともに、回転軸方向に延びるように形成されている。この突状部111cには回転軸方向に延びるようにボルト挿入孔が形成されており、そのボルト挿入孔にボルト113が取り付けられることによって複数の電磁鋼板が締結されている。
【0026】
コイル112は、図1に示すように、ティース部111bに巻回されており、回転軸方向においてステータコア111から突出するコイルエンド部112aを有する。このコイルエンド部112aは、ステータコア111の回転軸方向における両端にそれぞれ形成されており、回転軸方向から見て円環状に形成されている。また、コイルエンド部112aの外周面は、ステータコア111の外周面よりも内側に配置されている。
【0027】
また、コイル112は、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルを含み、各相コイルの一端が中性点に接続され、各相コイルの他端がそれぞれ動力線114(図2参照)に接続されている。動力線114は、コイルエンド部112aの一方から引き出されており、コイル112とインバータとを電気的に接続するために設けられている。
【0028】
ロータ12は、シャフト4に連結されるロータコア121と、ロータコア121に埋め込まれた永久磁石122とを含んでいる。ロータコア121は、たとえば、回転軸方向に積層される複数の電磁鋼板によって構成されている。永久磁石122は、ロータコア121の周方向に所定の間隔を隔てて複数配置されている。
【0029】
冷却パイプ2は、モータジェネレータ1の上方に配置されており、モータジェネレータ1の冷却用のオイルをモータジェネレータ1に掛け流すために設けられている。具体的には、冷却パイプ2は、モータジェネレータ1の回転軸と平行に配置され、回転軸方向に延びるように形成されている。この冷却パイプ2は、ステータコア111と対応する位置に配置されたオイル放出孔21と、コイルエンド部112aと対応する位置に配置されたオイル放出孔22とを有する。また、冷却パイプ2にはオイルポンプ(図示省略)が接続されており、そのオイルポンプから供給されるオイルがオイル放出孔21および22から放出されるようになっている。なお、冷却パイプ2から放出されたオイルの流れについては、後で詳細に説明する。
【0030】
ケース3には、図2に示すように、内部に収納されるモータジェネレータ1を支持する支持部31と、ケース3の内圧を調整するためのブリーザ32とが設けられている。
【0031】
支持部31は、回転軸方向に沿って延びるように形成されている。この支持部31は、ステータコア111の回転軸方向における全長にわたり、ステータコア111の外周面と当接するように構成されている。また、支持部31はケース3の内側から斜め下方に突出するように形成されており、支持部31とステータコア111との当接位置は、モータジェネレータ1の回転軸よりも上方であって、ステータコア111の上端部よりも下方である。具体的には、支持部31とステータコア111との当接位置は、モータジェネレータ1の回転軸を中心としてステータコア111の上端部から所定の角度(たとえば、45度程度)で傾斜する位置である。
【0032】
また、支持部31の近傍には、コイルエンド部112aから引き出される動力線114のうち最も上方に位置する動力線114aが配置されている。具体的には、動力線114aの一部が回転軸方向において支持部31と隣接するように配置されている。
【0033】
ブリーザ32は、ケース3の内部と外部とを連通するブリーザ孔を有し、ケース3の内部と外部との気圧差を解消するように構成されている。ブリーザ32は、支持部31の近傍に配置されるとともに、支持部31に対して冷却パイプ2(ステータコア111の上端部)と反対側に配置されている。すなわち、ブリーザ32は、回転軸方向から見て支持部31よりも外側(オイル流れの下流側)に配置されている。なお、ブリーザ32と支持部31との間に隙間を設けることが好ましい。
【0034】
次に、図2および図3を参照して、本実施形態による動力伝達装置100におけるオイルの流れについて説明する。なお、図2および図3では、オイルの流れを矢印で示している。
【0035】
まず、オイルポンプによりモータジェネレータ1の冷却用のオイルが冷却パイプ2に供給される。これにより、図2および図3に示すように、冷却パイプ2のオイル放出孔21および22からオイルが放出される。
【0036】
そして、オイル放出孔22から放出されたオイルは、コイルエンド部112aの外周面に沿って流れ落ちる。このとき、コイルエンド部112aの隙間にオイルが流れ込んだり、回転軸方向におけるコイルエンド部112aの端面にオイルが流れ落ちたりする。
【0037】
また、オイル放出孔21から放出されたオイルは、ステータコア111の外周面に沿って流れ落ちる。そして、ステータコア111の外周面を流れるオイルが支持部31により塞き止められ、そのオイルが支持部31に沿ってコイルエンド部112aへと案内される。すなわち、支持部31は、ステータコア111の外周面のオイルを集めてコイルエンド部112aに供給する機能を有する。これにより、オイル放出孔22からのオイルの供給位置よりも下流側で、支持部31によりコイルエンド部112aにオイルを供給することが可能である。なお、支持部31の近傍には動力線114aが配置されているため、支持部31により案内されるオイルは動力線114aの一部を介してコイルエンド部112aに供給される。
【0038】
このように、冷却パイプ2からモータジェネレータ1に掛け流されたオイルが流下する際に熱を回収することによって、モータジェネレータ1の冷却が行われる。なお、モータジェネレータ1から流れ落ちたオイルはオイルポンプに戻される。
【0039】
−効果−
本実施形態では、上記のように、ステータコア111の外周面と当接する支持部31をケース3に設けることによって、支持部31によりステータコア111の外周面のオイルをコイルエンド部112aに供給することができるので、コイルエンド部112aに対するオイルの供給量を増やすことができる。また、支持部31によるコイルエンド部112aへのオイルの供給位置を、オイル放出孔22からのオイルの供給位置よりも下流側にすることによって、コイルエンド部112aの外周面に対してオイルを満遍なく供給することができる。すなわち、オイル放出孔22から放出されたオイルが、コイルエンド部112aの隙間に流れ込んだり、回転軸方向におけるコイルエンド部112aの端面に流れ落ちたりすることにより、コイルエンド部112aの外周面のオイルが減少する下流側で、支持部31によりオイルを供給することができるので、コイルエンド部112aの冷却パイプ2から遠い箇所まで冷却することができる。その結果、コイルエンド部112aに対する冷却性能の向上を図ることができる。
【0040】
また、本実施形態では、動力線114aを支持部31の近傍に配置することによって、支持部31によりコイルエンド部112aに案内されるオイルを動力線114aに掛けることができるので、高温になりやすい動力線114aの冷却を促進することができる。
【0041】
また、本実施形態では、支持部31対して冷却パイプ2とは反対側にブリーザ32を配置することによって、支持部31によりオイルを遮ることができるので、オイルがブリーザ32に浸入するのを抑制することができる。これにより、ブリーザ性能を確保することができる。さらに、ブリーザ32を冷却パイプ2よりも下方に配置することができるので、ブリーザ性能を確保しながら、動力伝達装置100の小型化を図ることができる。
【0042】
−他の実施形態−
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0043】
たとえば、本実施形態では、電動車両に搭載される動力伝達装置100に本発明を適用する例を示したが、これに限らず、ハイブリッド車両に搭載される動力伝達装置に本発明を適用してもよい。この場合には、エンジン(図示省略)の動力が動力伝達装置に入力され、その動力を動力伝達装置が駆動輪に伝達するようにしてもよい。
【0044】
また、本実施形態では、モータジェネレータ1にオイルを掛け流すための冷却パイプ2が設けられる例を示したが、これに限らず、動力伝達装置に収納されるギヤ(図示省略)などによって掻き揚げられるオイルをオイルキャッチタンク(図示省略)で受け、そのオイルキャッチタンクからモータジェネレータにオイルを掛け流すようにしてもよい。
【0045】
また、本実施形態では、ケース3に支持部31が1つ設けられる例を示したが、これに限らず、ケースに支持部が複数設けられていてもよい。
【0046】
また、本実施形態において、オイルポンプから冷却パイプ2に供給されるオイルをオイルクーラ(図示省略)を用いて冷却するようにしてもよい。
【0047】
また、本実施形態のブリーザ32において、ブリーザ孔からのオイルの流出を抑制するための弁体などが設けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、モータジェネレータを備える動力伝達装置に利用可能であり、さらに詳しくは、オイルを掛け流すことによりモータジェネレータの冷却を行う動力伝達装置に有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 モータジェネレータ
2 冷却パイプ
3 ケース
11 ステータ
12 ロータ
31 支持部
32 ブリーザ
100 動力伝達装置
111 ステータコア
111b ティース部
112 コイル
112a コイルエンド部
114a 動力線
図1
図2
図3