(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、蓄電池システムおよびFCシステムを備える給電システムでは、系統連系時、電力負荷の消費電力は系統、蓄電池システムおよびFCシステムの各電力で賄われる。この場合、蓄電池システムから電力負荷までの総合インピーダンスをZ1、FCシステムから電力負荷までの総合インピーダンスをZ2とすると、Z2はZ1より小さく、Z1>Z2が成立している。
【0007】
系統電源の停電時には、系統電源が解列し、蓄電池システムの給電を得てFCシステムを発電させれば、電力負荷にはFCシステムの発電電力および蓄電池システムの電力の双方を供給することができる。
【0008】
斯かる電力が供給される電力負荷には、電気冷蔵庫など、急冷時に瞬間的に大電流を消費する特殊な負荷(特殊電力負荷)が含まれている。このような特殊電力負荷に大電流が流れると、瞬間的にFCシステムからの電力品質が低下するという課題がある。つまり、既述のZ1>Z2が成立した状態で、特殊電力負荷が瞬間的に大電流を消費すると、インピーダンスの低いFCシステム側から大電流が特殊電力負荷に供給される。
【0009】
FCシステム側から大電流が消費されると、FCシステムの出力電圧が低下し、電力品質が低下し、保護機能が働く。つまり、FCシステムの出力電圧に電圧波形の乱れなどが生じると、FCシステムでは単独運転検知が行われ、一定時間、発電を停止したり、単独運転検知回数や単独運転検知の継続によってはエラー停止を起こす。瞬間的な大電流が消費されなければ、FCシステムの発電電力を電力負荷に供給できるのに対し、瞬間的な大電流の供給のため、系統電源の停電時、FCシステムの発電電力が利用できないという課題がある。
【0010】
しかし、系統電源と連系するFCシステムや蓄電池システムの分散型電源の単独運転検知機能などの保護機能は、系統連系上、必要不可欠である。系統連系規程の充足は必須であり、系統連系状態において、分散型電源の保護機能に対する動作条件の変更や無効化は認められない。
【0011】
系統電源の停電時、FCシステムの発電電力を併用する場合、FCシステムの発電が停止すれば、FCシステムの発電電力を利用できないうえ、蓄電池に対する負担が増大し、蓄電池の消耗が顕著となるという課題がある。
【0012】
このような課題は、FCシステムのみならず、蓄電手段に太陽光発電などの発電手段を含む他の分散型電源においても同様の課題がある。
【0013】
そこで、本発明の目的は、系統電源の停電時、蓄電手段や発電手段を含む分散電源を有する給電システムにおいて、電力負荷に対する給電の継続性や安定性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の給電システムは、第1の配電系統と、前記第1の配電系統に開閉手段を介して分岐された第2の配電系統と、前記第1の配電系統に接続され、少なくとも蓄電手段または発電手段のいずれかを含む分散電源と
、前記第1の配電系統と系統電源との間に設置され、前記系統電源の状態を検出する状態検出手段とを備え、
前記第2の配電系統は、急激な電流変化を生じさせる特殊電力負荷への電力供給に用いられ、前記系統電源の給電時、前記開閉手段を閉じ、前記第1の配電系統および前記第2の配電系統に前記系統電源を給電し、前記系統電源の停電時、または前記分散電源の自立運転時、
前記状態検出手段の出力に基づき前記開閉手段を開いて前記第2の配電系統への給電を停止し、前記第1の配電系統に前記分散電源から給電
し、前記分散電源からの急激な電流供給を抑制する。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の給電システムは、第1の配電系統と、前記第1の配電系統から分岐され、機能制限機能を備える電力負荷が接続された第2の配電系統と、前記第1の配電系統に接続され、少なくとも蓄電手段または発電手段のいずれかを含む分散電源と
、前記第1の配電系統と系統電源との間に設置され、前記系統電源の状態を検出する状態検出手段とを備え、
前記機能制限機能を備える電力負荷は急激な電流変化を生じさせる電力負荷を含み、前記系統電源の給電時、該系統電源を前記第1の配電系統および前記第2の配電系統に給電し、前記系統電源の停電時、または前記分散電源の自立運転時、
前記状態検出手段の出力に基づき前記第2の配電系統に接続された前記電力負荷の機能を制限し、前記分散電源を前記第1の配電系統に給電するとともに、前記第2の配電系統に給電
し、前記電力負荷の機能の制限により、前記分散電源からの急激な電流供給を抑制する
。
【0016】
上記給電システムにおいて、前記系統電源の復電時、前記電力負荷の機能制限を解除し、前記第2の配電系統に前記系統電源を給電してもよい。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明の給電制御プログラムは、少なくとも蓄電手段または発電手段のいずれかを含む分散電源を備える給電システムに搭載されたコンピュータに実行させる給電制御プログラムであって、系統電源の停電時または前記系統電源から分離された前記分散電源の自立運転時に制御情報を生成し、
前記制御情報に基づき、急激な電流変化を生じさせる電力負荷の機能を
機能制限機能により制限し
て、前記電力負荷の急激な電流変化を抑制させ、機能制限中の前記電力負荷に前記分散電源を給電する処理を前記コンピュータに実行させる。
【0018】
上記目的を達成するため、本発明の給電制御方法は、第1の配電系統から開閉手段を介して第2の配電系統を分岐し、
急激な電流変化を生じさせる特殊電力負荷を前記第2の配電系統に接続し、前記第1の配電系統に少なくとも蓄電手段または発電手段のいずれかを含む分散電源を接続し、
前記第1の配電系統と系統電源との間に前記系統電源の状態を検出する状態検出手段を接続し、前記系統電源の給電時、前記開閉手段を閉じ、前記系統電源を前記第1の配電系統および前記第2の配電系統に給電し、前記系統電源の停電時、または前記分散電源の自立運転時、
前記状態検出手段の出力に基づき前記開閉手段を開いて前記第2の配電系統への給電を停止するとともに前記分散電源から前記第1の配電系統に給電する
処理を含み、前記分散電源からの急激な電流供給を抑制する。
【0019】
上記目的を達成するため、本発明の給電制御方法は、第1の配電系統から第2の配電系統を分岐し、前記第2の配電系統に機能制限機能を備える電力負荷を接続し、前記第1の配電系統に少なくとも蓄電手段または発電手段のいずれかを含む分散電源を接続し、
前記第1の配電系統と系統電源との間に前記系統電源の状態を検出する状態検出手段を接続し、前記系統電源の給電時、前記系統電源を前記第1の配電系統および前記第2の配電系統に給電し
、前記系統電源の停電時、または前記分散電源の自立運転時、前記分散電源から前記第1の配電系統に給電するとともに、
前記状態検出手段の出力に基づき前記機能制限機能により前記電力負荷の機能を制限して前記第2の配電系統に給電する
処理を含み、前記機能制限機能を備える電力負荷は急激な電流変化を生じさせる電力負荷を含み、前記電力負荷の機能の制限により、前記電力負荷の急激な電流変化を抑制させるとともに前記分散電源からの急激な電流供給を抑制する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、次のいずれかの効果が得られる。
【0021】
(1) 瞬間的に大電流を消費する電力負荷には系統電源の連系時、系統電源および分散電源からの給電を行い、系統電源の停電時には瞬間的に大電流を消費しない電力負荷に対し、分散電源のみの給電を行うことができる。
【0022】
(2) 分散電源に対する負荷を低減でき、分散電源側の単独運転検知を回避し、系統電源の停電時または分散電源の自立運転時には瞬間的に大電流を消費しない電力負荷に対して継続的な給電を行うことができ、給電の継続性および安定性を維持できる。
【0023】
(3) 系統電源の停電時または分散電源の自立運転時、大電流を消費する電力負荷に対して機能制限を行うので、分散電源により継続的な給電を行うことができ、給電の継続性および安定性を高めることができる。
【0024】
そして、本発明の他の目的、特徴および利点は、添付図面および各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、第1の実施の形態に係る給電システムを示している。
図1に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されるものではない。
【0029】
この給電システム2には複数の配電系統として第1および第2の配電系統4−1、4−2が含まれている。配電系統4−2は配電系統4−1から分岐されている。
【0030】
配電系統4−1には系統電源5が接続されている。系統電源5はたとえば、電力会社から供給される電源である。配電系統4−2には開閉器6が接続されている。この開閉器6は系統電源5の給電時に閉じられ、系統電源5の停電時または分散電源10の自立運転時に開かれる。
【0031】
配電系統4−1には電力負荷8のうち、一般電力負荷8−1が接続され、配電系統4−2には電力負荷8のうち、特殊電力負荷8−2が接続されている。電力負荷8は複数の電力負荷の一例である。一般電力負荷8−1は複数の電力負荷から選択された第1の電力負荷の一例である。特殊電力負荷8−2は複数の電力負荷から選択された第2の電力負荷の一例である。
【0032】
電力負荷8には複数の負荷が含まれ、一例としてエアコン(エアコンディショナ)、電気便座、電気洗濯機、電気冷蔵庫、電気掃除機、IH(Induction Heater)クッキングヒータなどのように急激な電流変化を生じるものや、電灯やテレビ受像機などのように電流変化の少ないものなどが含まれる。そこで、給電時に急激な高電流が流れるか否かを負荷選択条件とすれば、給電時に急激な高電流が流れないものを一般電力負荷8−1、急激な高電流が流れるものを特殊電力負荷8−2とすればよい。
【0033】
配電系統4−1には既述の分散電源10が接続されている。この分散電源10は分散型電源の一例である。一般電力負荷8−1には系統電源5の連系時、系統電源5および分散電源10が給電され、系統電源5の停電時または系統電源5の解列時、自立運転が可能な分散電源10から給電される。これに対し、特殊電力負荷8−2には開閉器6が閉じている場合に系統電源5および分散電源10から給電され、系統電源5の停電時には開閉器6が開き、給電停止となる。
【0034】
分散電源10には少なくとも蓄電システム12またはFCシステム(燃料電池コジェネレーションシステム)14が含まれる。蓄電システム12は蓄電手段の一例である。また、FCシステム14は発電手段の一例である。
【0035】
蓄電システム12は、系統連系時、系統電源5から系統電力を受けて蓄電し、系統電源5の停電時や、分散電源10の自立運転時(以下単に「自立運転時」と称する。)に一般電力負荷8−1やFCシステム14に給電する。この蓄電システム12には電圧センサ16、開閉器18、インバータ(INV)20および蓄電池22が含まれる。
【0036】
電圧センサ16は系統電源5の状態としてたとえば、停電、停電からの復電などの状態を検出する状態検出手段の一例である。この電圧センサ16では配電系統4−1の入力端に接続され、この入力端で系統電源5の停電発生または停電からの復電を検知する。
【0037】
開閉器18は配電系統4−1の入力端側に挿入され、配電系統4−1の遮断手段の一例である。この開閉器18は、電圧センサ16のセンサ出力を受け、系統連系時に閉じ、系統電源5の停電時に開かれる。この電圧センサ16のセンサ出力は、開閉器6に加えられている。つまり、開閉器6は、電圧センサ16のセンサ出力を受け、系統連系時に閉じ、系統電源5の停電時に開かれる。
【0038】
この電圧センサ16と開閉器6、18はたとえば、リレーのソレノイドおよび常閉接点で構成できる。つまり、系統連系時にソレノイドの励磁により常閉接点を閉じて系統電源5を配電系統4−1に給電させ、系統電源5の停電時、ソレノイドの励磁解除により常閉接点を開き、系統電源5を配電系統4−1から解列させる。このとき、系統電源5の解列により、特殊電力負荷8−2は給電停止に移行する。
【0039】
INV20は開閉器18と一般電力負荷8−1の間の配電系統4−1に接続されている。このINV20は系統連系時、系統電源5からの交流入力を直流に変換して蓄電池22に給電し、停電時、蓄電池22からの直流出力を交流に変換する。
【0040】
蓄電池22は、系統連系時、INV20の直流出力を受けて充電されるとともに直流出力を送出し、系統電源5の停電時や、自立運転時に、蓄電電力をINV20に出力する。この蓄電出力はINV20で交流に変換され、配電系統4−1に送出される。
【0041】
FCシステム14は、蓄電システム12と一般電力負荷8−1の間の配電系統4−1に接続され、系統連系時、系統電源5の給電により発電し、系統電源5の停電時や自立運転時、蓄電システム12からの給電により発電する。このFCシステム14には、発電スタック24、インバータ(INV)26、電流センサ27および制御部28が含まれる。発電スタック24は、INV26を介して配電系統4−1から電圧入力を受け発電する。
【0042】
INV26は、系統連系時および系統電源5の停電時、発電スタック24の直流出力を交流に変換する。FCシステム14の発電電力がINV26から配電系統4−1に給電される。
【0043】
制御部28は制御手段の一例でありたとえば、マイクロコンピュータで構成される。この制御部28は、INV26から配電系統4−1に対する交流出力の監視とともに、系統連系、停電または復電の監視により、発電制御を行う。この実施の形態では、制御部28に対し、電圧センサ16から監視情報として、系統連系情報、停電情報または復電情報が通知される。制御部28は、系統連系情報により系統連系時の動作、停電情報により停電時の動作、または復電情報により系統連系時の動作に移行する。交流出力の監視には電流センサ27のセンサ出力などが用いられる。急激な電流変化に対応し、たとえば、FCシステム14から急激な電流が送出される場合には単独運転検知動作により、FCシステム14の発電を停止させる。
【0045】
この給電システム2では、
図2に示すように、電圧センサ16が系統電源5の連系状態を検出し、開閉器6、18を閉じる。これにより、系統電源5から系統電力Psが配電系統4−1に給電され、一般電力負荷8−1および特殊電力負荷8−2に供給される。このとき、蓄電システム12は充電もしくは放電を行うが、放電の場合、蓄電システム12からの電力Pbが配電系統4−1に出力され、一般電力負荷8−1に供給される。また、FCシステム14は系統電源5から給電されて発電し、その発電電力Pgが配電系統4−1に出力され、一般電力負荷8−1および特殊電力負荷8−2に供給される。一般電力負荷8−1に供給される電力をPw1、特殊電力負荷8−2に供給される電力をPw2とすれば、この供給電力Pw1、Pw2は、
Pw1+Pw2≒Ps+Pb+Pg ・・・(1)
となる。
【0047】
図3に示すように、電圧センサ16が系統電源5の停電を検出し、開閉器18が開かれる。これにより、配電系統4−1から系統電源5が解列する。同時に、開閉器6が開かれるので、特殊電力負荷8−2は配電系統4−1、4−2から切り離される。蓄電システム12は、電力Pbを配電系統4−1に出力し、一般電力負荷8−1およびFCシステム14に供給する。
【0048】
また、FCシステム14は蓄電システム12から給電されて発電し、その発電電力Pgを配電系統4−1に出力し、一般電力負荷8−1に供給する。この場合、一般電力負荷8−1に供給される電力をPwとすれば、この供給電力Pwは、Ps=0であるから、
Pw≒Pb+Pg ・・・(2)
となる。
【0049】
この系統電源5の停電時には、特殊電力負荷8−2は給電停止となる。
【0051】
図2に示すように、電圧センサ16が系統電源5の復電を検出すれば、開閉器6、18が閉じる。これにより、系統電源5の解列が解除され、系統連系運転に移行する。これにより、系統電源5から系統電力Psが配電系統4−1、4−2に給電され、一般電力負荷8−1および特殊電力負荷8−2に供給される。これにより、一般電力負荷8−1および特殊電力負荷8−2には、既述の電力(Pw1+Pw2≒Ps+Pb+Pg)が供給される。
【0053】
図4は、電力負荷8の一例を示している。この電力負荷8にはエアコン、電気便座、電気洗濯機、電気冷蔵庫、電気掃除機、IHクッキングヒータなどの複数の電力負荷が含まれる。
【0054】
給電時に急激な高電流が流れるか否かを負荷選択条件とすれば、給電時に急激な高電流が流れないものを一般電力負荷8−1、急激な高電流が流れるものを特殊電力負荷8−2に選択する。この場合、一般電力負荷8−1には電灯8−11、電気時計8−12、テレビ受像機8−13などが選択されている。特殊電力負荷8−2にはエアコン8−21、電気便座8−22、電気洗濯機8−23、電気冷蔵庫8−24、電気掃除機8−25、IHクッキングヒータ8−26などが選択される。
【0056】
図5は、FCシステム14の制御機能を示している。FCシステム14の制御部28は、コンピュータによる情報処理を実行する。この情報処理には、状態判断機能30、発電出力監視機能32、保護制御機能34などが含まれる。
【0057】
状態判断機能30は、系統電源5の状態を判断する。系統電源5の状態は系統連系、停電、停電からの復電がある。つまり、状態判断機能30は、系統連系、停電、停電からの復電の各状態判断機能である。そこで、この状態判断機能30では一例として電圧センサ16のセンサ出力を受け、系統電源5が連系状態か、停電状態か、停電から復電した状態かを判断する。この状態判断には、この実施の形態のように、電圧センサ16からのセンサ出力を受けて判断してもよいし、蓄電システム12から状態情報を受けてもよい。
【0058】
発電出力監視機能32はたとえば、電流センサ27のセンサ出力を受け、単独運転検知などを行う。FCシステム14は単独運転を検知すると、その保護機能を達成するための監視出力を送出する。
【0059】
保護制御機能34は、設定されている保護条件の範囲内で、FCシステム14の運転を実行する。FCシステム14は、系統連系時や、停電から復電した場合、発電出力監視機能32で既述の単独運転の検知が行われると、発電停止などの保護機能を実行する。
【0061】
図6は、制御部28のハードウェアの一例を示している。この制御部28はコンピュータで構成されている。この制御部28にはたとえば、プロセッサ40、ROM(Read-Only Memory)42、NVM(Non Volatile Memory )44、RAM(Random-Access Memory)46および入出力部(I/O)48が含まれる。これらプロセッサ40などの機能部はバス50で接続されている。
【0062】
プロセッサ40は、ROM42にあるOS(Operating System)を実行し、ファームウエアプログラムやアプリケーションプログラムを実行し、既述の機能を含む情報処理や制御を行う。ROM42は、プログラム記憶部の一例であり、たとえば、半導体記憶素子などの記憶媒体で構成する。このROM42にはOS、ファームウエアプログラム、アプリケーションプログラムが格納されている。NVM44には各種データが可能され、データベースが構築される。このNVM44はたとえば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory )などの不揮発性メモリで構成される。このNVM44には設定情報などの各種の制御情報などが格納され、この制御情報には既述の保護機能を実現するための保護条件情報が含まれる。この保護条件情報はたとえば、系統連系保護機能(検知条件)データテーブルや単独運転検知(受動的方式)条件データテーブル、単独運転検知(能動的方式)条件データテーブルなどが含まれる。RAM46は、情報処理のワークエリアを形成する。I/O48は、設定情報の入力や制御出力の取出しに用いる。
【0064】
この第1の実施の形態では、次のような効果が得られる。
【0065】
(1) 電圧センサ16は系統電源5の停電を検知し、停電検知を表すセンサ出力を発生する。このセンサ出力により、開閉器6および開閉器18が開かれ、系統電源5が解列する。このとき、特殊電力負荷8−2は配電系統4−1、4−2から分離される。同時に、分散電源10は自立運転に移行し、電力負荷8のうち一般電力負荷8−1のみに給電する。これにより、瞬間的に大電流を消費しない一般電力負荷8−1のみの給電となり、瞬間的に大電流を消費する特殊電力負荷8−2が除かれたことにより、つまり、係る給電の系統分離により、FCシステム14は単独運転検知による発電停止を回避でき、分散電源10のFCシステム14による発電を継続でき、分散電源10の発電電力の有効利用が図られる。
【0066】
(2) 系統連系時、一般電力負荷8−1の消費電力は、系統電源5の系統電力、蓄電システム12およびFCシステム14を含む分散電源10の出力電力で賄うことができる。
【0067】
(3) 系統電源5の停電時または系統電源5が給電中であっても、分散電源10を自立運転させた場合、瞬間的な大電流が分散電源10から供給されることがなく、FCシステム14の単独運転検知による動作停止などの不都合を回避しつつ、FCシステム14などの分散電源10の電力の有効利用が図られる。
【0070】
図7は、第2の実施の形態の給電システムを示している。
図7に示す構成は一例であり、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
図7において、
図1と同一部分には同一符号を付してある。
【0071】
この第2の実施の形態では、第1の実施の形態の特殊電力負荷8−2に代え、機能制限可能な電力負荷8−3(以下単に「電力負荷8−3」と称する)が設置されている。この電力負荷8−3は第2の電力負荷の一例である。この電力負荷8−3は電力消費を抑制するため、通常機能に対し、機能を制限して動作可能である。この電力負荷8−3は、既述の特殊電力負荷8−2と同様にたとえば、エアコン、電気便座、電気洗濯機、電気冷蔵庫、電気掃除機、IHクッキングヒータなどである。この電力負荷8−3は配電系統4−1から分岐した配電系統4−2に接続され、この実施の形態では、電力負荷8−3が機能制限可能な負荷であることから、係る電力負荷8−3を配電系統4−2から切り離すことが不要となり、既述の開閉器6(
図1)は接続されていない。
【0072】
電力負荷8−3には、系統電源5の停電時に機能制限を行うため、電圧センサ16のセンサ出力が電力負荷8−3に入力されている。この場合、センサ出力は停電検知出力の一例である。
【0074】
この給電システム2では、
図8に示すように、系統電源5からの系統電力Psが配電系統4−1から一般電力負荷8−1に給電され、配電系統4−1から分岐された配電系統4−2にある電力負荷8−3に給電される。
【0075】
このとき、蓄電システム12は充電または放電するが、放電の場合、蓄電システム12からの電力Pbが配電系統4−1、4−2に出力され、一般電力負荷8−1および電力負荷8−3に供給される。FCシステム14は系統電源5から給電されて発電し、その発電電力Pgは配電系統4−1、4−2に出力され、一般電力負荷8−1および電力負荷8−3に供給される。一般電力負荷8−1に供給される電力Pw11、電力負荷8−3に供給される電力をPw21とすれば、この供給電力Pw11、Pw21は、
Pw11+Pw21≒Ps+Pb+Pg ・・・(3)
となる。系統電源5の連系時であるから、電力負荷8−3の機能は制限されない。つまり、電力負荷8−3は機能制限のない機能を果たす。
【0077】
図9に示すように、電圧センサ16が系統電源5の停電を検出し、開閉器18が開かれる。これにより、蓄電システム12は、電力Pbが配電系統4−1、4−2に出力され、一般電力負荷8−1、FCシステム14および電力負荷8−3に供給される。
【0078】
FCシステム14は蓄電システム12から給電されて発電し、その発電電力Pgを配電系統4−1、4−2に出力する。この場合、一般電力負荷8−1に供給される電力をPw12、電力負荷8−3側に供給される電力をPw22とすれば、
Pw12+Pw22≒Pb+Pg ・・・(4)
となる。系統電源5の停電時、電力負荷8−3の機能が制限され、電力負荷8−3側の消費電力が抑制される。つまり、機能が制限された電力負荷8−3の消費電力は、Pw22<Pw21の関係にある。
【0079】
したがって、この停電時では、系統連系時に瞬間的に大電流を生じる電力負荷8−3による分散電源10への電流集中を回避できる。
【0081】
電圧センサ16が系統電源5の復電を検出すれば、
図8に示したように、開閉器18が閉じ、系統電源5の解列が解除され、系統連系運転に移行する。
【0082】
これにより、系統電源5から系統電力Psが配電系統4−1、4−2に給電され、一般電力負荷8−1および電力負荷8−3に供給される。これにより、一般電力負荷8−1および電力負荷8−3には、既述の電力(Pw11+Pw21≒Ps+Pb+Pg)が供給される。この場合、系統電源5の連系時であるから、電力負荷8−3の機能は制限されない。
【0084】
図10は、電力負荷8−3の一例を示している。電力負荷8−3には一例として既述の特殊電力負荷8−2と同様の電力負荷である、エアコン8−31、電気便座8−32、電気洗濯機8−33、電気冷蔵庫8−34、電気掃除機8−35、IHクッキングヒータ8−36などが含まれている。エアコン8−31には機能制御部36−1、電気便座8−32には機能制御部36−2、電気洗濯機8−33には機能制御部36−3、電気冷蔵庫8−34には機能制御部36−4、電気掃除機8−35には機能制御部36−5、IHクッキングヒータ8−36には機能制御部36−6が備えられている。各機能制御部36−1、36−2・・・36−6には制御情報として電圧センサ16のセンサ出力が加えられている。つまり、各機能制御部36−1、36−2・・・36−6は、停電時のセンサ出力により機能制限を実行する。
【0085】
斯かる構成によれば、系統電源5の連系時、電圧センサ16のセンサ出力により各機能制御部36−1、36−2・・・36−6は通常機能を実現する。これに対し、系統電源5の停電時、電圧センサ16のセンサ出力により各機能制御部36−1、36−2・・・36−6で機能が制限される。
【0086】
<機能制御部36−1〜36−6の機能およびハードウェア>
【0087】
図11のAは、機能制御部36−1〜36−6の機能を示している。機能制御部36−1〜36−6には、状態判断機能52および機能切替え機能54を含んでいる。状態判断機能52は、電圧センサ16のセンサ出力により、系統電源5が連系状態か、停電状態かを判断する。この判断結果は機能切替え機能54に通知される。
【0088】
機能切替え機能54は、状態判断機能52の判断結果を受け、系統電源5の連系時、通常機能を行い、系統電源5の停電時、機能制限(または機能停止)を行う。つまり、機能停止は機能制限の一態様として機能制限に含まれる。
【0089】
図11のBは、機能制御部36−1〜36−6のハードウェアの一例を示している。各機能制御部36−1〜36−6はコンピュータで構成されている。各機能制御部36−1〜36−6にはたとえば、プロセッサ56、ROM58、NVM60、RAM62およびI/O64が含まれる。斯かる構成により、既述の状態判断機能52および機能切替え機能54を含む制御機能が実現される。
【0090】
プロセッサ56は、ROM58にあるOSやプログラムを実行する。ROM58にはOSや状態判断機能52および機能切替え機能54を実現するプログラムが格納されている。NVM60には通常機能情報や機能制限情報(
図12)が格納されている。RAM62は情報処理のワークエリアを構成する。I/O64は電圧センサ16のセンサ出力を受け、通常時には通常機能出力、停電時には機能制限出力を送出する。通常機能出力または機能制限出力は、エアコン8−31、電気便座8−32、電気洗濯機8−33、電気冷蔵庫8−34、電気掃除機8−35、IHクッキングヒータ8−36などの機能を実現するための駆動部に入力する。
【0092】
図12のAは、エアコン8−31の機能制限前および機能制限後に実現される機能を示す機能データテーブルを示している。エアコン8−31には、通常機能(機能制限前)として、冷房には「強」および「中」の動作機能、暖房には「強」および「中」の動作機能、除湿機能、自動清掃機能、除菌機能が含まれる。これらの通常機能に対し、機能制限後では、冷房および暖房は「弱」の動作機能に切り替えられ、除湿機能、自動清掃機能および除菌機能は停止させる。また、冷房および暖房では風量および温度の制限を行う。また、自動清掃機能ではフィルタなどの清掃を制限し、除菌機能ではイオン発生などを制限する。
【0093】
図12のBは、電気便座8−32の機能制限前および機能制限後に実現される機能データテーブルを示している。この電気便座8−32では、通常機能(機能制限前)として、暖房便座機能には「強」および「中」の動作機能、瞬間暖房便座機能、待機暖房便座機能、おしり洗浄機能では「強」および「中」の動作機能、ビデ洗浄機能では「強」および「中」の動作機能、温風乾燥機能、ノズル洗浄機能、脱臭機能が含まれる。これらの通常機能に対し、機能制限後では、暖房便座機能は「弱」の動作機能に切り替えられ、瞬間暖房便座機能および待機暖房便座機能は停止され、おしり洗浄機能およびビデ洗浄機能は「弱」の動作機能に切り替えられ、温風乾燥機能、ノズル洗浄機能および脱臭機能は停止させる。また、おしり洗浄機能およびビデ洗浄機能は水量および温度を制限する。
【0094】
図12のCは、電気洗濯機8−33の機能制限前および機能制限後に実現される機能データテーブルを示している。この電気洗濯機8−33では、通常機能(機能制限前)として、洗浄機能、脱水機能および乾燥機能が含まれる。これらの通常機能に対し、機能制限後は洗浄機能、脱水機能および乾燥機能の各機能を停止させる。
【0095】
図12のDは、電気冷蔵庫8−34の機能制限前および機能制限後に実現される機能データテーブルを示している。この電気冷蔵庫8−34では、通常機能(機能制限前)として、庫内設定温度機能に「強」および「中」、霜取り機能が含まれる。これらの通常機能に対し、機能制限後は庫内設定温度機能は「弱」に切り替えられ、霜取り機能は停止させる。
【0096】
図12のEは、電気掃除機8−35の機能制限前および機能制限後に実現される機能データテーブルを示している。この電気掃除機8−35では、通常機能(機能制限前)として、吸引機能が含まれる。この通常機能に対し、機能制限後は吸引機能を停止させる。
【0097】
図12のFは、IHクッキングヒータ8−36の機能制限前および機能制限後に実現される機能データテーブルを示している。このIHクッキングヒータ8−36では、通常機能(機能制限前)として、温度設定機能に「強」および「中」が含まれる。この通常機能に対し、機能制限後は温度設定機能は「弱」に切り替えられる。
【0099】
この第2の実施の形態では、次のような効果が得られる。
【0100】
(1) この実施の形態によれば、第1の実施の形態と異なり、系統電源5の系統連系時、系統電源5および分散電源10の電力により一般電力負荷8−1および電力負荷8−3の双方に給電することができる。系統連系時には、電力負荷8の消費電力は、系統電源5、蓄電システム12およびFCシステム14の電力で賄うことができる。これにより、一般電力負荷8−1および電力負荷8−3には通常の機能が得られる。
【0101】
(2) 電圧センサ16が系統電源5の停電を検知すると、系統電源5を解列するとともに、電圧センサ16のセンサ出力により、動作中の電力負荷8−3の機能制限が実行される。動作中でなければ、機能制限は不要であろう。これにより、電力負荷8−3側の消費電力が低減される。瞬間的な大電流を抑制しつつ電力負荷8−3を使用でき、FCシステム14が単独運転の検知を回避して発電を継続することができ、FCシステム14の発電電力の有効利用を図ることができる。しかも、電力負荷8−3を瞬間的な大電流の消費を抑制しながら、分散電源10からの電力供給により利用でき、利便性の高いシステムを構築できる。
【0104】
図13は、第3の実施の形態に係る給電システムを示している。
図13において、
図7と同一部分には同一符号を付してある。
【0105】
この実施の形態の給電システム2では、外部制御部70が備えられる。この外部制御部70は、各機能制御部36−1〜36−6に接続されている。この外部制御部70には電圧センサ16のセンサ出力が加えられ、各機能制御部36−1〜36−6に対し、外部制御部70から通常機能または機能制限に切り替えられる。
【0106】
外部制御部70では、既述の機能制御部36−1〜36−6と同様の状態判断機能52や機能切替え機能54が含まれ、これらの機能は既述の
図11のBに示すハードウェアと同様のハードウェアを備えて実現される。
【0107】
図14は、外部制御部70の記憶手段に設定される機能切替えデータテーブル72を示している。この機能切替えデータテーブル72を記憶する記憶手段には既述したNVMなどの記憶素子を用いればよい。
【0108】
機能切替えデータテーブル72の機能制限前、機能制限後および付加機能制限は
図12を参照して述べた通りであり、その説明を割愛する。
【0110】
図15は、機能切替え制御の処理手順を示している。この処理手順では、状態監視(S101)が実行され、連系運転かが判断される(S102)。連系運転であれば(S102のYES)、通常機能が実行される(S103)。
【0111】
連系運転でなければ(S102のNO)、運転切替え監視(S104)が実行される。分散電源10の自立運転かが判断され(S105)、分散電源10の自立運転でなければ(S105のNO)、状態監視(S101)を継続する。
【0112】
分散電源10の自立運転であれば(S105のYES)、機能制限が実行され(S106)、状態監視(S107)に移行する。
【0113】
分散電源10の自立運転解除かが判断され(S108)、分散電源10の自立運転解除でなければ(S108のNO)、機能制限が継続される(S106)。分散電源10の自立運転解除であれば(S108のYES)、連系運転に移行し(S109)、電力負荷8−3の機能制限を解除し(S110)、状態監視(S101)に戻る。
【0115】
(1) このように自立運転制御では、系統電源5から分離された分散電源10の自立運転時に制御情報を生成する。自立運転時には、配電系統4−2にある給電中の電力負荷8−3に対する機能制限を行う。これにより、電力負荷8−3の電力消費を低減でき、分散電源10に対する電力消費を抑制できる。
【0116】
(2) この第3の実施の形態によれば、第1または第2の実施の形態と同様にFCシステム14の発電の継続性が高められ、電力負荷8に対する発電電力の有効利用を図ることができる。
【0118】
(1) 上記給電システム2には、
図16に示すように、電圧センサ16の前段側に開閉器66を備え、強制的に系統電源5を解列させる構成としてもよい。この場合、開閉器66を外部制御部70により開閉制御を可能にし、外部制御部70には電圧センサ16のセンサ出力を入力する。また、外部制御部70には入力操作部74を備えてもよい。ユーザにより入力操作部74から開閉器66を開く旨の入力を行い、外部制御部70を通して開閉器66を開く。これにより、給電システム2は、系統電源5の解列により、既述の系統電源5の停電と同様の動作が可能となる。この場合、電圧センサ16のセンサ出力は、開閉器66が開かれたことにより、停電と同様のセンサ出力が得られる。そして、開閉器66を閉じれば、系統電源5の給電により、連系動作に移行させることが可能である。
【0119】
系統連系時には、機能制限可能な電力負荷8−3は通常機能を実現し、開閉器66が開かれた場合には既述の停電時と同様に、分散電源10の自立運転における機能制限を行う。これにより、電力負荷8−3側の消費電力が抑えられ、分散電源10の自立運転が継続し、その運転時間を伸延させることができる。
【0120】
(2) 第3の実施の形態では、制御部28と外部制御部70とを併用しているが、外部制御部70の制御機能を制御部28で実現させてもよく、制御部28の機能を外部制御部70で実現してもよい。
【0121】
(3) 上記実施の形態では、定置用発電機器としてFCシステム14を例示したが、太陽光発電システムや、エンジン発電システムであってもよい。
【0122】
(4) 上記実施の形態では、特殊電力負荷8−2や、機能制限可能な電力負荷8−3を例示したが、例示にある機種が電力負荷が大きいことを問題として述べているものではない。分散電源10に対する負荷を軽減する対象の一例であり、機能制限が可能な負荷であって機能制限を付すことによって消費電力が低減できるものであればよく、上記記載の電力負荷に限定されるものではない。
【0123】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。