(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5952209
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】偏平バーナ
(51)【国際特許分類】
F23D 14/08 20060101AFI20160630BHJP
F23D 14/62 20060101ALI20160630BHJP
【FI】
F23D14/08 F
F23D14/62
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-40541(P2013-40541)
(22)【出願日】2013年3月1日
(65)【公開番号】特開2014-169806(P2014-169806A)
(43)【公開日】2014年9月18日
【審査請求日】2015年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120802
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】赤木 万之
【審査官】
吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−141629(JP,A)
【文献】
特開2008−286448(JP,A)
【文献】
特開2002−349813(JP,A)
【文献】
特開平04−113114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 1/00 − 99/00
F24H 1/00 − 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長形状の炎口部を上端部に有する偏平バーナであって、炎口部の長手方向を前後方向、炎口部の幅方向を横方向として、横方向に対峙する一対の側板で構成されるバーナ本体に、下部の混合管部と、混合管部からの混合気を炎口部に導く分布室部とが形成され、炎口部内に、横方向に並設した複数の整流板を有する整流部材が装着され、整流部材は、前後複数個所に整流板同士を当接させて各整流板間に画成される炎口流路を前後方向に分断する当接部を有するものにおいて、
炎口部の横方向中央寄りの炎口流路を画成する横方向内側の整流板同士の当接部のうち少なくとも所定の前後方向部分に存する当接部の少なくとも下半部は、横方向から見た形状が逆三角形になるように形成され、所定の前後方向部分は、分布室部から炎口部への混合気の流入方向が上下方向に対し所定角度以上前後方向に傾く部分であることを特徴とする偏平バーナ。
【請求項2】
前記当接部の配置ピッチが前記所定の前後方向部分で狭められることを特徴とする請求項1記載の偏平バーナ。
【請求項3】
前記横方向内側の整流板同士を前記当接部の配置ピッチの中間下部で当接させるサブ当接部を有することを特徴とする請求項1又は2記載の偏平バーナ。
【請求項4】
前記サブ当接部のうち前記所定の前後方向部分に存するサブ当接部は、上下方向に対し混合気の流入方向とは反対の前後方向に傾いていることを特徴とする請求項3記載の偏平バーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯用熱源機等の燃焼装置に用いられる偏平バーナに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、給湯用熱源機においては、燃焼ファンで燃焼用空気を強制的に供給する燃焼筐内に、細長形状の炎口部を上端部に有する偏平バーナが複数個並設されている。
【0003】
従来、この種の偏平バーナは、炎口部の長手方向を前後方向、炎口部の幅方向を横方向として、横方向に対峙する一対の側板で構成されるバーナ本体に、下部の混合管部と、混合管部からの混合気を炎口部に導く分布室部とが形成され、炎口部内に、横方向に並設した複数の整流板を有する整流部材が装着されている(例えば、特許文献1参照)。尚、整流部材は、前後複数個所に整流板同士を当接させて各整流板間に画成される炎口流路を前後方向に分断する当接部を有している。
【0004】
ところで、熱源機の小型化のため、偏平バーナの分布室部の上下方向寸法を短くすることが要求される場合がある。然し、分布室部の上下方向寸法を短くすると、偏平バーナの前部や後部では、分布室部から炎口部への混合気の流入方向が上下方向に対し前後方向に大きく傾いてしまう。ここで、炎口部の横方向中央寄りの炎口流路では、混合気の流速が速くなり、この炎口流路上に形成される火炎が大きくなる。そして、バーナ前部や後部で横方向中央寄りの炎口流路への混合気の流入方向が前後方向に大きく傾くと、この炎口流路上に形成される大きな火炎が前後方向に傾いて、燃焼筐の前面や後面が強く加熱されることになり、燃焼筐の熱損を生じてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−91620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、炎口部の横方向中央寄りの炎口流路への混合気の流入方向が前後方向に大きく傾いても、この炎口流路上に形成される火炎が前後方向に大きく傾くことを防止できるようにした偏平バーナを提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、細長形状の炎口部を上端部に有する偏平バーナであって、炎口部の長手方向を前後方向、炎口部の幅方向を横方向として、横方向に対峙する一対の側板で構成されるバーナ本体に、下部の混合管部と、混合管部からの混合気を炎口部に導く分布室部とが形成され、炎口部内に、横方向に並設した複数の整流板を有する整流部材が装着され、整流部材は、前後複数個所に整流板同士を当接させて各整流板間に画成される炎口流路を前後方向に分断する当接部を有するものにおいて、炎口部の横方向中央寄りの炎口流路を画成する横方向内側の整流板同士の当接部のうち少なくとも所定の前後方向部分に存する当接部の少なくとも下半部は、横方向から見た形状が逆三角形になるように形成され、所定の前後方向部分は、分布室部から炎口部への混合気の流入方向が上下方向に対し所定角度以上前後方向に傾く部分であることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、炎口部の横方向中央寄りの炎口流路に混合気が前後方向に大きく傾いた状態で流入した場合、当接部の逆三角形部分に衝突した混合気が流入方向とは反対の前後方向に比較的大きな速度成分を持って跳ね返る。そして、この跳ね返りの流れにつられて、当接部から離れた炎口流路部分でも混合気の流れが上方に向けられる。これにより、炎口部の横方向中央寄りの炎口流路への混合気の流入方向が前後方向に大きく傾いても、この炎口流路上に形成される火炎が前後方向に大きく傾くことを防止できる。
【0009】
また、本発明においては、当接部の配置ピッチが前記所定の前後方向部分で狭められることが望ましい。これにより、前後方向に傾いて炎口流路に流入する混合気の流れをより効果的に上方に向けることができる。
【0010】
また、本発明においては、横方向内側の整流板同士を当接部の配置ピッチの中間下部で当接させるサブ当接部を有することが望ましい。更に、サブ当接部のうち前記所定の前後方向部分に存するサブ当接部を上下方向に対し混合気の流入方向とは反対の前後方向に傾けることが望ましい。これによれば、前後方向に傾いて炎口流路に流入する混合気の流れをより確実に上方に向けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態の偏平バーナを備える燃焼装置の切断側面図。
【
図4】
図2のIV−IV線で切断した偏平バーナの断面図。
【
図5】
図4のV−V線で切断した偏平バーナの切断側面図。
【
図7】
図5に対応する第2実施形態の偏平バーナの切断側面図。
【
図8】
図5に対応する第3実施形態の偏平バーナの切断側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照して、1は給湯用熱源機等の燃焼装置を構成する燃焼筐を示している。燃焼筐1の上面は開放されており、燃焼筐1の上に図示省略した熱交換器等の被加熱物が設置される。燃焼筐1内には、燃焼筐1内の空間を燃焼室2とその下側の給気室3とに仕切る仕切り板4が設けられている。給気室3の底面には図外の燃焼ファンがダクト5を介して接続されており、燃焼ファンから給気室3に空気が供給される。仕切り板4には、多数の分布孔4aが形成されており、給気室3に供給された空気がこれら分布孔4aを介して燃焼室2に二次空気として供給されるようにしている。
【0013】
燃焼室2内には、本発明の実施形態の偏平バーナ6が複数本並設されている。また、仕切り板4の前縁に立上り部41を曲成すると共に、立上り部41の前側に燃焼筐1の下部前面を塞ぐようにしてマニホールド7を装着している。マニホールド7には、各偏平バーナ6の後述する混合管部65、67の流入口65a,67aに臨むガスノズル71,72が設けられている。そして、各ガスノズル71,72から各流入口65a,67aに燃料ガスが供給されると共に、給気室3から立上り部41とマニホールド7との間に画成される空隙を介して各流入口65a,67aに一次空気が供給されるようにしている。
【0014】
偏平バーナ6は、
図2、
図3に示す如く、バーナ本体61と、バーナ本体61の上部に被せたバーナキャップ62とを備えている。バーナ本体61の上部には、上方に開口する細長形状の炎口部63が形成されている。また、バーナキャップ62により、炎口部63の両脇に位置する袖火炎口部64が形成されている。そして、理論空燃比より燃料濃度が希薄な淡混合気を炎口部63から噴出させると共に、理論空燃比より燃料濃度が濃い濃混合気を袖火炎口部64から噴出させ、所謂濃淡燃焼を行うようにしている。
【0015】
以下、炎口部63の長手方向を前後方向、炎口部63の幅方向を横方向として、偏平バーナ6の構成について詳述する。バーナ本体61は、
図4に示す如く、横方向に対峙する一対の側板61a,61aで構成されている。尚、両側板61a,61aは、一枚の板をバーナ本体61の下縁となる折り曲げ線で合掌状態に折り曲げることにより形成されている。そして、各側板61aのプレス加工により、バーナ本体61に、上端部の炎口部63と、下部の混合管部65と、混合管部65からの混合気を炎口部63に導く分布室部66とが形成されている。
【0016】
混合管部65は、バーナ本体61の下部前縁に位置する流入口65aから後方にのびており、その後端部が上方に屈曲して分布室部66に連通している。また、バーナ本体61の前部には、混合管部65と分布室部66との間に位置させて、袖火用の混合管部67が形成されている。この混合管部67は、バーナ本体61の前縁に位置する流入口67aから後方に少しのびて終端しており、その後端部側面に通気孔67bが開設されている。
【0017】
バーナキャップ62は、バーナ本体61の一対の側板61a,61aの外側に被せられる一対の側板62a,62aと、両側板62a,62aをその上縁で連結する前後複数個所のブリッジ部62bとを有している。そして、バーナ本体61の側板61aとバーナキャップ62の側板62aとの間に、上端部の袖火炎口部64と、袖火用混合管部67から通気孔67bを介してバーナ本体61の外側に流出する混合気を袖火炎口部64に導く通路が画成される。また、バーナキャップ62の側板62aの前後複数個所には、バーナ本体61の側板61aの外側面に当接して、袖火炎口部64を前後方向に分断する凹部62cが形成されている。
【0018】
また、炎口部63内には、横方向に並設した複数の整流板を有する整流部材68が装着されている。本実施形態では、横方向内側の2枚の整流板68in,68inと横方向外側の2枚の整流板68out,68outとで整流部材68を構成している。バーナ本体61の炎口部63には、その上下方向中間部に位置させて、整流部材68を横方向両側から挟み込む狭窄部63aが形成されている。これにより、狭窄部63aの上側の側板61aの部分と外側整流板68outとの間に混合気が噴出しない盲空隙63bが画成される。
【0019】
整流部材68は、バーナキャップ62のブリッジ部62bに合致する前後複数個所に、内側と外側の整流板68in,68out同士を当接させて、両整流板68in,68out間に画成される炎口流路を前後方向に分断する上下一対の当接部68a,68bと、2枚の内側整流板68in,68in同士を当接させて、内側整流板68in,68in間に画成される炎口部63の横方向中央寄りの炎口流路を前後方向に分断する当接部68c(
図5参照)とを有しており、更に、内側整流板68in,68in同士を当接部68cの配置ピッチの中間下部で当接させるサブ当接部68dを有している。また、内側整流板68in,68inは前後両端の連結部68eで連結され、内側と外側の整流板68in,68outはその下縁の前後複数個所に設けた連結部68fで連結されている。
【0020】
分布室部66の上部には、横幅を狭めた絞り部66aが形成されている。絞り部66aの横幅は、混合管部65からの混合気の流入箇所である分布室部66の後部から前方に向けて次第に広がっている。これにより、炎口部63に流入する混合気の前後方向流量分布が均等化される。
【0021】
ところで、分布室部66の上下方向寸法を短くすると、バーナ前部の
図5にAで示す部分では、分布室部66から炎口部63への混合気の流入方向が上下方向に対し前方に所定角度(例えば、10〜15°)以上傾き、また、バーナ後部の
図5にBで示す部分では、分布室部66から炎口部63への混合気の流入方向が上下方向に対し後方に所定角度(例えば、5〜10°)以上傾く。ここで、炎口部63の横方向中央寄りの炎口流路では、混合気の流速が速く、この炎口流路上に形成される火炎が大きくなる。そして、バーナ前部や後部で横方向中央寄りの炎口流路への混合気の流入方向が前後方向に大きく傾くと、この炎口流路上に形成される大きな火炎が前後方向に傾いて、燃焼筐1の前面や後面が強く加熱されることになり、燃焼筐1の熱損を生じてしまう。
【0022】
そこで、本実施形態では、内側整流板68in,68in同士の当接部68cの下半部を、
図5に示す如く、横方向から見た形状が逆三角形になるように形成している。これによれば、炎口部63の横方向中央寄りの炎口流路に混合気が前後方向に大きく傾いた状態で流入した場合、
図6に示す如く、当接部68cの下半部の逆三角形部分に衝突した混合気が流入方向とは反対の前後方向に比較的大きな速度成分を持って跳ね返る。そして、この跳ね返りの流れにつられて、当接部68cから離れた炎口流路部分でも混合気の流れが上方に向けられる。そのため、バーナ前部と後部のA、B示の部分で、炎口部63の横方向中央寄りの炎口流路への混合気の流入方向が前後方向に大きく傾いても、この炎口流路上に形成される火炎が前後方向に大きく傾くことを防止でき、燃焼筐1の熱損を生じない。
【0023】
尚、上記実施形態では、内側整流板68in,68in同士の全ての当接部68cを逆三角形の下半部を有するものに形成しているが、バーナ前部と後部のA、B示の部分、即ち、分布室部66から炎口部63への混合気の流入方向が上下方向に対し所定角度以上前後方向に傾く部分に存する当接部68cのみを逆三角形の下半部を有するものに形成してもよい。また、これら当接部68cの下半部だけでなく上下全体を逆三角形に形成してもよい。更に、サブ当接部68dを省略することも可能であるが、サブ当接部68dを設ければ、混合気の流れをより効率よく上方に向けることができ、有利である。
【0024】
また、
図7に示す第2実施形態の如く、当接部68cの配置ピッチをバーナ前部と後部のA、B示の部分で狭めてもよい。これによれば、A、B示の部分で混合気の流れを一層確実に上方に向けることができる。
【0025】
また、
図8に示す第3実施形態の如く、A、B示の部分に存するサブ当接部68dを、上下方向に対し混合気の流入方向とは反対の前後方向に傾けてもよい。即ち、混合気の流入方向が上下方向に対し前方に傾くA示の部分に存するサブ当接部68dを上下方向に対し後方に傾け、混合気の流入方向が上下方向に対し後方に傾くB示の部分に存するサブ当接部68dを上下方向に対し前方に傾ける。この場合も、A、B示の部分で混合気の流れを一層確実に上方に向けることができる。
【0026】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、内側整流板68in,68in同士の当接部68cの少なくとも下半部を逆三角形に形成しているが、内側整流板68in,68in同士の当接部68cだけでなく、内側と外側の整流板68in,68out同士の当接部68aの少なくとも下半部を逆三角形に形成してもよい。
【0027】
また、上記実施形態の整流部材68は、4枚板構造のものであるが、2枚の内側整流板の間に中央の整流板を有する5枚板構造のものとしてもよい。この場合は、炎口部の横方向中央寄りの炎口流路が中央整流板と各内側整流板との間に画成されることになるから、中央整流板と各内側整流板との当接部の少なくとも下半部を逆三角形に形成する。
【0028】
また、上記実施形態の偏平バーナ6は、バーナキャップ62を備える濃淡燃焼式バーナであるが、バーナキャップを省略した濃淡燃焼式でない偏平バーナにも同様に本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0029】
6…偏平バーナ、61…バーナ本体、61a…側板、63…炎口部、65…混合管部、66…分布室部、68…整流部材、68in…内側整流板、68c…当接部、68d…サブ当接部。