(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5952210
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】無停電電源システム
(51)【国際特許分類】
H02J 9/06 20060101AFI20160630BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20160630BHJP
【FI】
H02J9/06 120
H02J3/38 110
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-48797(P2013-48797)
(22)【出願日】2013年3月12日
(65)【公開番号】特開2014-176247(P2014-176247A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2015年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】益永 博史
【審査官】
赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−289485(JP,A)
【文献】
特開平05−184154(JP,A)
【文献】
特開2012−217299(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/016919(WO,A1)
【文献】
特開2010−273405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/06
H02J 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に対して並列接続される2台の無停電電源装置と、
前記2台の無停電電源装置のうちのいずれか一方の無停電電源装置を選択する選択回路とを備え、
各無停電電源装置は、
前記負荷に接続される出力端子と、
直流電力を交流電力に変換して前記出力端子に出力するインバータと、
前記出力端子に流れる電流を検出する電流検出器と、
前記電流検出器の検出結果に基づいて動作し、前記選択回路によって対応の無停電電源装置が選択された場合は、前記インバータに全負荷電流を分担させ、前記選択回路によって対応の無停電電源装置が選択されない場合は、前記インバータの分担電流を0にするとともに、対応の無停電電源装置に流入する電流が0になるように前記インバータの出力電圧を制御する制御装置とを含み、
前記2台の無停電電源装置の出力端子はともに前記負荷に接続され、
前記2台の無停電電源装置のうちの前記選択回路によって選択された方の無停電電源装置が全負荷電流を出力し、前記選択回路によって選択されなかった方の無停電電源装置は電流を出力せずに電圧のみを出力する待機状態にされる、無停電電源システム。
【請求項2】
前記選択回路は、選択した一方の無停電電源装置が故障した場合は他方の無停電電源装置を選択する、請求項1に記載の無停電電源システム。
【請求項3】
前記選択回路は、予め定められた周期で前記2台の無停電電源装置を交互に選択し、選択中の無停電電源装置が故障した場合は他方の無停電電源装置を選択する、請求項1に記載の無停電電源システム。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記選択回路によって対応の無停電電源装置が選択された場合は、前記インバータの分担電流を前記電流検出器の検出値に設定するとともに、対応の無停電電源装置の横流を0に設定し、前記選択回路によって対応の無停電電源装置が選択されない場合は、前記インバータの分担電流を0に設定するとともに、対応の無停電電源装置の横流を前記電流検出器の検出値に負の値を乗算した値に設定する電流設定部と、
前記電流設定部によって設定された値の分担電流が前記インバータから前記負荷に流れ、かつ前記電流設定部によって設定された横流の値が小さくなるように、前記インバータを制御する制御部とを含む、請求項1から請求項3までのいずれかに記載の無停電電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は無停電電源システムに関し、特に、負荷に対して並列接続される2台の無停電電源装置を備えた無停電電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、負荷に対して並列接続される2台の無停電電源装置を備えた無停電電源システムが開示されている。2台の無停電電源装置の各々は出力電流を検出し、その検出値は2台の無停電電源装置間で授受される。各無停電電源装置は、2台の無停電電源装置の出力電流に基づいて分担電流と横流を求め、求めた分担電流が負荷に流れ、かつ横流が0になるように出力電圧を調整する。
【0003】
また、特許文献2には、負荷に対して並列接続される複数台の無停電電源装置を備えた無停電電源システムが開示されている。各無停電電源装置は、供給有効電力が増大するに従って出力電圧を小さな減少率で徐々に低下させ、供給有効電力が所定値に到達した場合は大きな減少率で出力電圧を低下させる。これにより、複数台の無停電電源装置で負荷電流を良好に分担することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−184154号公報
【特許文献2】特開2002−176735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1では、2台の無停電電源装置間で出力電流の検出値を授受する通信装置が必要となり、装置構成が複雑になるという問題があった。
【0006】
また、特許文献2では、各無停電電源装置が供給有効電力に応じて出力電圧を垂下させるので、無停電電源システムの出力電圧の変動範囲が大きいという問題があった。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、装置構成が簡単で出力電圧の変動幅が小さな無停電電源システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る無停電電源システムは、負荷に対して並列接続される2台の無停電電源装置と、2台の無停電電源装置のうちのいずれか一方の無停電電源装置を選択する選択回路とを備えたものである。各無停電電源装置は、負荷に接続される出力端子と、直流電力を交流電力に変換して出力端子に出力するインバータと、出力端子に流れる電流を検出する電流検出器と、電流検出器の検出結果に基づいて動作し、選択回路によって対応の無停電電源装置が選択された場合は、インバータに全負荷電流を分担させ、選択回路によって対応の無停電電源装置が選択されない場合は、インバータの分担電流を0にするとともに、対応の無停電電源装置に流入する電流が0になるようにインバータの出力電圧を制御する制御装置とを含む。
2台の無停電電源装置の出力端子はともに負荷に接続される。2台の無停電電源装置のうちの選択回路によって選択された方の無停電電源装置が全負荷電流を出力し、選択回路によって選択されなかった方の無停電電源装置は電流を出力せずに電圧のみを出力する待機状態にされる。
【0009】
好ましくは、選択回路は、選択した一方の無停電電源装置が故障した場合は他方の無停電電源装置を選択する。
【0010】
また好ましくは、選択回路は、予め定められた周期で2台の無停電電源装置を交互に選択し、選択中の無停電電源装置が故障した場合は他方の無停電電源装置を選択する。
【0011】
また好ましくは、制御装置は、選択回路によって対応の無停電電源装置が選択された場合は、インバータの分担電流を電流検出器の検出値に設定するとともに、対応の無停電電源装置の横流を0に設定し、選択回路によって対応の無停電電源装置が選択されない場合は、インバータの分担電流を0に設定するとともに、対応の無停電電源装置の横流を電流検出器の検出値に負の値を乗算した値に設定する電流設定部と、電流設定部によって設定された値の分担電流がインバータから負荷に流れ、かつ電流設定部によって設定された横流の値が小さくなるように、インバータを制御する制御部とを含む。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る無停電電源システムでは、負荷に対して並列接続された2台の無停電電源装置のうちの一方の無停電電源装置のインバータに全負荷電流を分担させるとともに、他方の無停電電源装置に電流が流入しないように他方の無停電電源装置のインバータの出力電圧を制御する。したがって、装置構成
を簡単化し、出力電圧の変動幅を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】この発明の一実施の形態による無停電電源システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示した無停電電源装置の構成を示す回路ブロック図である。
【
図3】
図1に示した無停電電源システムの動作を示すタイムチャートである。
【
図4】
図2に示した無停電電源装置のうちのインバータの制御に関連する部分の構成を示す回路ブロック図である。
【
図5】実施の形態の変更例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施の形態による無停電電源システムは、
図1に示すように、2台の無停電電源装置U1,U2と選択回路1を備え、商用交流電源2からの交流電力を直流電力に変換し、その直流電力を交流電力に変換して負荷3に供給するものである。無停電電源装置U1,U2のうちの選択回路1によって選択された無停電電源装置(たとえばU1)から負荷3に交流電力が供給され、選択されなかった方の無停電電源装置(この場合はU2)は無停電電源装置U1から電流が流入しないように出力電圧を調整する。無停電電源装置U1が故障した場合は、直ちに、無停電電源装置U2が負荷3に交流電力を供給する。
【0015】
詳しく説明すると、無停電電源装置U1は、
図2に示すように、入力端子T1、出力端子T2、バッテリ端子T3、コンバータ5、コンデンサ6、インバータ7、電流検出器8、および制御装置9を備える。入力端子T1は、商用交流電源2から商用周波数の交流電力を受ける。出力端子T2は、負荷3に接続される。バッテリ端子T3は、バッテリBに接続される。
【0016】
コンバータ5は、制御装置9によって制御され、商用交流電源2から正常に交流電力が供給されている通常時は、交流電力を直流電力に変換する。商用交流電源2からの交流電力の供給が停止された停電時は、コンバータ5の運転が停止される。コンデンサ6は、コンバータ5の出力電圧を平滑化させる。コンバータ5で生成された直流電力は、バッテリBおよびインバータ7に与えられる。バッテリBは、コンバータ5で生成された直流電力を蓄える。
【0017】
インバータ7は、制御装置9によって制御され、通常時は、コンバータ5で生成された直流電力を商用周波数の交流電力に変換し、停電時は、バッテリBの直流電力を商用周波数の交流電力に変換する。インバータ7で生成された交流電力は、出力端子T2を介して負荷3に供給される。したがって、停電が発生した場合でも、バッテリBに直流電力が蓄えられている限りは、負荷3の運転を継続することができる。
【0018】
電流検出器8は、インバータ7と出力端子T2の間に設けられ、出力端子T2に流れる電流を検出する。制御装置9は、電流検出器8の検出結果に基づいて、コンバータ5およびインバータ7を制御する。特に、制御装置9は、選択回路1からの選択信号S1が選択レベルの「H」レベルである場合は、無停電電源装置U1から負荷3に全負荷電流が流れるようにインバータ7を制御する。また、制御装置9は、選択回路1からの選択信号S1が非選択レベルの「L」レベルである場合は、インバータ7から負荷3に供給される電流が0になり、かつ無停電電源装置U1,U2間の横流が0になるようにインバータ7の出力電圧を制御する。
【0019】
さらに、制御装置9は、インバータ7が正常である場合は故障検出信号F1を非活性化レベルの「L」レベルにし、インバータ7が故障した場合は故障検出信号F1を活性化レベルの「H」レベルにする。
【0020】
無停電電源装置U2は、無停電電源装置U1と同じ構成である。ただし、無停電電源装置U1は、
図1に示すように、選択信号S1の代わりに選択信号S2を受け、故障検出信号F1の代わりに故障検出信号F2を出力する。選択信号S2は、選択信号S1の反転信号である。
【0021】
選択回路1は、ユーザーによって無停電電源装置U1が選択された場合は、選択信号S1,S2をそれぞれ「H」レベルおよび「L」レベルにする。この場合において故障検出信号F1が「H」レベルにされたときは、選択回路1は選択信号S1,S2をそれぞれ「L」レベルおよび「H」レベルに反転させる。
【0022】
同様に、選択回路1は、ユーザーによって無停電電源装置U2が選択された場合は、選択信号S1,S2をそれぞれ「L」レベルおよび「H」レベルにする。この場合において故障検出信号F2が「H」レベルにされたときは、選択回路1は選択信号S1,S2をそれぞれ「H」レベルおよび「L」レベルに反転させる。
【0023】
図3(a)〜(f)は、
図1に示した無停電電源システムの動作を示すタイムチャートである。初期状態では、ユーザーによって無停電電源装置U1が選択され、選択回路1によって選択信号S1,S2がそれぞれ「H」レベルおよび「L」レベルにされたものとする。この場合は、無停電電源装置U1から負荷3に交流電力が供給され、無停電電源装置U2は待機状態になる。無停電電源装置U1,U2が正常である期間では、故障検出信号F1,F2はともに「L」レベルにされている。
【0024】
ある時刻t1において無停電電源装置U1が故障して故障検出信号F1が「H」レベルに立ち上げられると、選択回路1によって選択信号S1,S2がそれぞれ「L」レベルおよび「H」レベルに反転される。これにより、無停電電源装置U2から負荷3に交流電力が供給され、無停電電源装置U1は待機状態になる。したがって、無停電電源装置U1から負荷3に交流電力を供給している場合において無停電電源装置U1が故障したときでも、無停電電源装置U2によって負荷3の運転を継続することができる。
【0025】
図4は、
図2に示した無停電電源装置U1のうちのインバータ7の運転に関連する部分をより詳細に示す回路ブロック図である。
図4において、無停電電源装置U1は、電流検出器10、リアクトル11、コンデンサ12、およびコンタクタ14をさらに備える。リアクトル11およびコンタクタ14は、インバータ7の出力ノードと無停電電源装置U1の出力端子T2との間に直列接続される。コンデンサ12は、リアクトル11とコンタクタ14との間のノードと基準電圧のラインとの間に接続される。
【0026】
リアクトル11およびコンデンサ12は、インバータ7で生成された商用周波数の交流電力を通過させ、インバータ7で発生するスイッチング周波数の信号が負荷3側に漏れるのを防止する低域通過フィルタを構成する。
【0027】
電流検出器10は、インバータ7とリアクトル11の間に設けられ、インバータ7の出力電流IAを検出し、検出値を示す信号を出力する。電流検出器8は、コンデンサ12とコンタクタ14の間に設けられ、負荷電流ILを検出し、検出値を示す信号を出力する。コンタクタ14は、通常時はオンされ、インバータ7の故障時やメンテナンス時にオフされる。
【0028】
制御装置9は、切換回路20,21、乗算器22,25、変換器23、電圧制御発振器24、仮想インピーダンス回路26、加算器27,28,30,31、電圧制御部29、電流制御部32、およびPWM(pulse width modulation:パルス幅変調)回路33を含む。
【0029】
切換回路20は、選択信号S1が選択レベルの「H」レベルである場合は、電流検出器8の検出値(すなわち負荷電流IL)を分担電流ISとして加算器30に与え、選択信号S1が非選択レベルの「L」レベルである場合は、分担電流ISを0に設定する。
【0030】
切換回路21および乗算器22は、選択信号S1が選択レベルの「H」レベルである場合は、横流ΔIを0に設定し、選択信号S1が非選択レベルの「L」レベルである場合は、電流検出器8の検出値(すなわち負荷電流IL)に−1を乗算した値(−IL)を横流ΔIとする。切換回路20,21および乗算器22は、電流設定部を構成する。
【0031】
変換器23は、横流ΔIのうちの電圧位相差に起因する成分を検出する。電圧制御発振器24は、変換器23の検出信号に基づいて、出力電圧の位相基準となる正弦波信号を発生する。正弦波信号の周波数は変換器23の出力信号の電圧により変化し、横流ΔIの有効電力成分が正、すなわちインバータ7から有効電力が流出している場合には正弦波信号の周波数を下げる。これにより、インバータ7の出力電圧位相が相対的に遅れ、有効電力の流出が抑制される。反対に、横流ΔIの有効電力成分が負、すなわちインバータ7に有効電力が流入している場合には正弦波信号の周波数を上げることにより、有効電力の流入が抑制される。
【0032】
乗算器25は、電圧指令値VSと電圧制御発振器24からの正弦波信号とを乗算し、インバータ7が出力すべき瞬時電圧を指令する瞬時電圧指令値を生成する。仮想インピーダンス回路26は、横流ΔIに仮想インピーダンスZを乗算する。仮想インピーダンス回路26は、2台の無停電電源装置U1,U2間に仮想的にインピーダンスZを挿入し、横流ΔIを制限する。
【0033】
加算器27は、乗算器25で生成された瞬時電圧指令値から仮想インピーダンス回路26で生成されたΔI×Zの値を減算して、コンデンサ12の電圧指令値を生成する。加算器28は、コンデンサ12の電圧指令値とコンデンサ12の電圧(出力電圧VO)の検出値との偏差を求める。電圧制御部29は、加算器28で求められたコンデンサ12の電圧指令値と検出値の偏差が小さくなるように、補正電流信号を出力する。
【0034】
加算器30は、コンデンサ12に流れるべき電流を指令するコンデンサ電流指令値と、電圧制御部29からの補正電流信号の値と、切換回路20からの分担電流ISの値とを加算して、インバータ7が出力すべき電流を指令する電流指令値を生成する。コンデンサ電流指令値は、加算器28で求められたコンデンサ12の電圧指令値に基づいて生成される。加算器31は、加算器30からの電流指令値と、電流検出器10の電流検出値との偏差を求める。
【0035】
電流制御部32は、加算器31で生成された偏差が小さくなるように、PWM回路33を介してインバータ7の出力電流を制御する。PWM回路33は、電流制御部32に従ってインバータ7を制御する。
【0036】
次に、無停電電源装置U1の動作について説明する。選択信号S1が選択レベルの「H」レベルにされた場合は、切換回路20によって負荷電流ILが分担電流ISとされ、切換回路21および乗算器22によって横流ΔIが0に設定される。横流ΔIが0に設定されたので、電圧制御発振器24は、基準周波数の正弦波信号を生成する。この場合は、無停電電源装置U1が負荷3の全消費電流を供給する。
【0037】
なお、2台の無停電電源装置U1,U2から負荷3に電力を供給する従来の無停電電源システムでは、無停電電源装置U1,U2の負荷電流IL1,IL2の平均値(IL1+IL2)/2が無停電電源装置U1の分担電流ISとなる。
【0038】
また、選択信号S1が非選択レベルの「L」レベルにされた場合は、切換回路20によって分担電流ISが0に設定され、切換回路21および乗算器22によって横流ΔIが−ILに設定される。横流ΔIが−ILであるので、電圧制御発振器24は、正弦波信号の周波数を上げて電流の流入を抑制する。インバータ7は、無停電電源装置U2からの電流が流入しないように、電圧を出力する。
【0039】
なお、2台の無停電電源装置U1,U2から負荷3に電力を供給する従来の無停電電源システムでは、無停電電源装置U1の負荷電流IL1から分担電流(IL1+IL2)/2を減算した値が横流ΔIとなる。IL1=0,IL2=ILである場合は、ΔI=−IL/2となる。無停電電源装置U2の構成および動作は、無停電電源装置U1と同じであるので、その説明は繰り返さない。
【0040】
この実施の形態では、2台の無停電電源装置U1,U2のうちの一方の無停電電源装置Uのインバータ7に全負荷電流を分担させるとともに、他方の無停電電源装置Uに電流が流入しないように他方の無停電電源装置のインバータ7の出力電圧を制御する。したがって、装置構成の簡単化し、出力電圧の変動幅を低減することができる。
【0041】
また、
図5(a)〜(d)は、本実施の形態の変更例を示すタイムチャートである。この変更例では、選択回路1は、通常時は、所定周期λ1で選択信号S1,S2を交互に「H」レベルにする。選択信号S1が「H」レベルにされると、無停電電源装置U1が全負荷電流を供給するとともに無停電電源装置U2が待機状態になる。選択信号S2が「H」レベルにされると、無停電電源装置U2が全負荷電流を供給するとともに無停電電源装置U1が待機状態になる。したがって、無停電電源装置U1,U2は、所定周期λ1で交互に負荷3に電流を供給する。
【0042】
無停電電源装置U1,U2の一方の無停電電源装置(たとえばU1)から負荷3に電力供給している期間にその無停電電源装置U1が故障した場合、他方の無停電電源装置U2から負荷3に電力が供給され、故障した無停電電源装置U1のコンタクタ14はオフされる。
【0043】
この変更例では、2台の無停電電源装置U1,U2を交互に使用するので、1台の無停電電源装置U1を給電状態に固定する場合に比べ、装置の寿命を長くすることができる。
【0044】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0045】
U1,U2 無停電電源装置、1 選択回路、2 商用交流電源、3 負荷、T1 入力端子、T2 出力端子、T3 バッテリ端子、5 コンバータ、6,12 コンデンサ、7 インバータ、8 電流検出器、9 制御装置、B バッテリ、11 リアクトル、14 コンタクタ、20,21 切換回路、22,25 乗算器、23 変換器、24 電圧制御発振器、26 仮想インピーダンス回路、27,28,30,31 加算器、29 電圧制御部、32 電流制御部、33 PWM回路。