(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記後面保護膜は、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)、酸窒化シリコン(SiOxNy)の内の少なくとも一つを含む、請求項1記載の太陽電池。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では添付した図面を参照にして本発明の実施の形態に対して本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。しかし本発明はいろいろ多様な形態に具現されることができここで説明する実施の形態に限定されない。そして図面で本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、明細書全体を介して類似の部分に対しては類似の図面符号を付けた。
【0018】
図で多くの層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。層、膜、領域、基板などの部分が他の部分「上に」あると言う時、これは他の部分「真上に」ある場合だけではなくその中間に他の部分がある場合も含む。反対に何れの部分が他の部分「真上に」あると言う時には中間に他の部分がないことを意味する。また、どの部分が他の部分の上に「全体的」に形成されているとするときは、他の部分の全体面(または全面)に形成されていることだけでなく、端の一部には、形成されていないことを意味する。
【0019】
それでは添付した図面を参照にして本発明の一実施の形態に係る太陽電池を説明する。
【0020】
図1は、本発明に係る太陽電池の一例の一部斜視図であり、
図2は、
図1に図示した太陽電池をII - II線に沿った断面図である。
【0021】
図1に示されたように、本発明に係る太陽電池の一例は、基板110、エミッタ部120、反射防止膜130、複数の後面電界部(back surface field、BSF)160、後面保護膜170、第1電極140と第2電極150を含む。
【0022】
図1では、本発明に係る太陽電池が反射防止膜130を含むことを一例として示しているが、本発明は、これと異なり反射防止膜130が省略されることも可能である。しかし、太陽電池の効率を考慮したとき、反射防止膜130を含むことによりさらに良い効率が発生するので、反射防止膜130が含むことを一例として説明する。
【0023】
基板110は、第1導電型、例えば、p型導電型の不純物を含有するシリコンから形成される半導体基板110である。この時、シリコンは単結晶シリコン、多結晶シリコンまたはアモルファスシリコンで有り得る。基板110がp型の導電型を有する場合、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などのような3価元素の不純物を含む。しかし、これとは異なり、基板110は、n型導電型で有り得、シリコン以外の他の半導体物質から形成されることもある。基板110がn型導電型を有する場合、基板110は、りん(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)などのように5価元素の不純物を含むことができる。
【0024】
図1と
図2では、基板110の表面に凹凸が形成されていない場合を一例として示されているが、これとは異なり、基板110は、テクスチャリング(texturing)され凹凸面のテクスチャリング表面(texturing surface )を有することができる。
【0025】
エミッタ部120は、光が入射される基板110の第1面に位置し、基板110の導電型と反対の第2導電型、例えば、n型導電型の不純物を含有して半導体基板110とp−n接合を形成する。
【0026】
このようなp−n接合によって、外部から基板110に光が入射され、生成された電荷である電子-正孔の対は、電子と正孔に分離され、電子はn型の方向に移動し、正孔はp型の方向に移動する。したがって、基板110がp型であり、エミッタ部120がn型の場合、分離された正孔は、基板110の方向に移動し分離された電子は、エミッタ部120方向に移動し、基板110で正孔は多数キャリアになり、エミッタ部120で電子は、多数キャリアとなる。
【0027】
ここで、エミッタ部120は、基板110とp−n接合を形成するので、本実施例と異なり、基板110が、n型導電型を有する場合、エミッタ部120は、p型の導電型を有する。この場合、分離された電子は、基板110の方向に移動し分離された正孔は、エミッタ部120の方向に移動する。
【0028】
エミッタ部120が、n型導電型を有する場合、エミッタ部120はりん(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)などのように5価元素の不純物を基板110にドーピングして形成することがあり、逆にp型の導電型を有する場合、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などのような3価元素の不純物を基板110にドーピングして形成することができる。
【0029】
反射防止膜130は、エミッタ部120の上に位置し、 窒化シリコン(SiNx)膜や 酸化シリコン(SiOx)膜などで形成することができる。このような反射防止膜130は、太陽電池に入射される光の反射度を減らし、特定の波長領域の選択性を増加させ、太陽電池の効率を高める。このような反射防止膜130は、一例として、約80nm〜100nmの厚さを有することができる。反射防止膜130は、必要に応じて省略することができる。
【0030】
第1電極140は、エミッタ部120上に配置され、エミッタ部120と電気的に接続されている。このような第1電極140は、
図1に示されたように、複数のフィンガー電極141と複数の前面バスバー143を含むことができる。
【0031】
ここで、複数のフィンガー電極141は、エミッタ部120の上に位置してエミッタ部120と電気的に接続され、互いに離隔して定められた方向に伸びている。複数のフィンガー電極141は、エミッタ部120方向に移動した電荷、例えば、電子を収集する。
【0032】
そして、複数の前面バスバー143は、エミッタ部120上で複数のフィンガー電極141と同じ層に位置し、複数のフィンガー電極141と電気的に接続され、複数のフィンガー電極141と交差する方向にのびている。複数の前面バスバー143は、複数のフィンガー電極141によって収集され移動する電荷を収集して外部装置に出力する。
【0033】
複数のフィンガー電極141と前面バスバー143は、少なくとも一つの導電性物質から構成されており、これら導電性物質の例は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、チタン(Ti)、金(Au)と、これらの組み合わせから構成される群から選択された少なくとも一つで有り得るが、それ以外の他の導電性金属物質から形成されることがある。
【0034】
次に、後面保護膜170は、
図1及び
図2に示されたように、基板110の第1面と反対の面である基板110の第2面に位置し、複数のホールが形成することができる。
【0035】
また、後面保護膜170に形成されるホールそれぞれの断面形状は、
図1に示されたように、円形で有り得るが、これとは異なり多角形の形状で有り得る。
【0036】
このような後面保護膜170は、基板110の第2面の近くで、電荷の再結合率を減少させるパッシベーション機能を実行し、基板110を通過した光の内部反射率を向上させ、 基板110を通過した光の再入射率を高める。
【0037】
次に、第2電極150は、後面保護膜170のホール内部と上に位置し、後面保護膜170に形成されたホールを介して基板110と電気的に接続され、金属物質を含む。
【0038】
このような第2電極150は、
図1および
図2に示されたように、接続電極151と後面電極層153を含み、共に、後面バスバー155をさらに含むことがある。
【0039】
接続電極151は、後面保護膜170のホール内部に位置して基板110と接続され、後面電極層153は、後面保護膜170上に位置し、後面保護膜170の各ホール内部に位置する接続電極151を互に接続します。
【0040】
このように、接続電極151と後面電極層153には、アルミニウム(Al)のような導電性金属物質を含むことができるが、これに限定されるものではなく、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、チタン(Ti)、金(Au)と、これらの組み合わせから構成される群から選択された少なくとも一つであるか、それ以外の他の導電性物質から形成されることもある。
【0041】
ここで、接続電極151と後面電極層153は、同じ材料を含むことができ、一例として、接続電極151と後面電極層153は、すべてアルミニウム(Al)を含むことができる。
【0042】
このような接続電極151は、基板110の方向から移動する電荷、例えば、正孔を収集して、後面電極層153に伝達する。このような接続電極151は、後面保護膜170と接着強化膜190にレーザーやエッチングペーストを利用しホール(Hole)を形成させた後、アルミニウム(Al)のような導電性金属物質を含有したペーストをホール内部に塗布及び熱処理して形成することができる。
【0043】
次に、後面バスバー155は、後面保護膜170上に位置し、接続電極151または後面電極層153と電気的に接続されている。このような後面バスバー155は、前面バスバー143と同じ方向に伸びているストライプ形状で有り得る。この時、後面バスバー155は、前面バスバー143と向き合う位置に位置することができる。
【0044】
図1と
図2で、後面バスバー155は、複数の接続電極151と重畳されながら、後面保護膜170上に形成されているものと示されているが、これとは異なり、後面バスバー155は、接続電極151と重畳されないように後面保護膜170上に形成されることもある。
【0045】
また、後面バスバー155は、示されたことと異なり一定の間隔で配置された円形または多角形の形状の複数の導電体から形成することもある。
【0046】
このような後面バスバー155は、基板110からの接続電極151を介して後面電極層153から伝達される電荷、例えば、正孔を収集して外部装置に出力する。
【0047】
このように、後面バスバー155は、銀(Ag)のような一つの導電性物質で形成されているが、これに限定されず、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ズス(Sn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、チタン(Ti)、金(Au)及び、これらの組み合わせから形成される群から選択された少なくとも一つを含む。他の導電性物質から形成されることもある。
【0048】
また、後面バスバー155は、隣接する後面電極層153の上部の一部と重なって電気的に接続するように形成することができる。したがって、後面電極層153との接触抵抗が減少して接触効率が高くなり、これにより、後面電極層153からの電荷転送率が向上します。
【0049】
後面電界部160は、後面保護膜170のホール内部に位置する接続電極151と基板110の間に位置し、基板110と同じ第1導電型の不純物が基板110より高濃度でドープされた領域、例えば、P
+領域である。
【0050】
このような後面電界部160は、第2電極150が熱処理により乾燥および焼成される際に、第2電極150に含有された金属物質、すなわち第1導電型の不純物が基板110の内部に拡散されて形成される。
【0051】
このような後面電界部160は、基板110との不純物濃度差により、基板110と電位差を発生させる電位障壁を形成させる。このような電位障壁は、基板110の第2面の方向に電子が移動することを防止し、基板110の第2面から電子と正孔が再結合して消滅するのを防止する。
【0052】
このような構造を有する本実施形態に係る太陽電池の動作は、次のとおりである。
【0053】
太陽電池に光が照射されて反射防止膜130とエミッタ部120を介して半導体の基板110に入射すると、光のエネルギーによって、半導体の基板110から電子-正孔対が発生する。この時、反射防止膜130によって基板110に入射する光の反射損失が減り、基板110に入射する光の量が増加する。
【0054】
これらの電子-正孔対は、基板110とエミッタ部120のp−n接合によって互いに分離され、電子と正孔は、例えば、n型導電型を有するエミッタ部120とp型の導電型を有する基板110方向にそれぞれ移動する。このように、エミッタ部120方向に移動した電子は、フィンガー電極141によって収集され、前面バスバー143に伝達されて、収集され、基板110方向に移動した正孔は、隣接する接続電極151に伝達された後、後面バスバー155によって収集される。このような前面バスバー143と後面バスバー155を導線で接続すると、電流が流れることになり、これを外部から電力として利用することになる。
【0055】
一方、本発明に係る太陽電池は、
図2に示されたように、後面電極層153と後面保護膜170の間には、真性アモルファスシリコン(i−a−Si)と真性微結晶シリコン(i−mc −Si)のうちの少なくとも一つを含む接着強化膜190をさらに含む。
【0056】
このような接着強化膜190は、後面電極層153を物理的及び化学的に基板110の第2面に固定させる役割をする。したがって、このような接着強化膜190を備えた場合には、接着強化膜190と後面電極層153が互いに接する界面で化学的結合が起き、
図1および
図2に示されたような太陽電池複数個をインターコネクタ(図示せず)を利用して互に接続させるテビン(tabbing)工程時に、インターコネクタ(図示せず)の接着圧力によって後面電極層153と接続電極151との間にクラックが発生することを防止することができる。
【0057】
以下では、このような接着強化膜190と接着強化膜190と接する後面保護膜170をさらに具体的に説明する。
【0058】
図3は接着補強膜と後面保護膜をさらに具体的に説明するために
図2でKの部分を拡大した図である。
【0059】
図3に示されたように、本発明に係る太陽電池の一例は、基板110の第2面上に位置する後面保護膜170上に接着強化膜190をさらに含む。
【0060】
本発明に係る太陽電池で、後面保護膜170は、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)、酸窒化シリコン(SiOxNy)のうちの少なくとも一つを含み、また、後面保護膜170は、複数の層を含むことができる。
【0061】
例えば、
図3に示されたように、後面保護膜170は、基板110と接する第1保護膜170aと第1保護膜170aの上に配置される第2保護膜170bを含むことができる。
【0062】
このような場合、一例で、基板110がp型の(+)電荷特性を有する場合、基板110と直接接する第1保護膜170aは、(−)電荷特性を有する酸化アルミニウム(AlOx)を含むようにすることができ、第2保護膜170bは、(+)電荷特性を有する酸化シリコン(SiOx)を含むことができる。
【0063】
しかし、これとは反対に、基板110がn型の(−)電荷特性を有する場合、
図3に示されるように、後面保護膜170は、単一膜で形成されることがあり、この時の後面保護膜170は、(+)電荷特性を有する酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)、酸窒化シリコン(SiOxNy)のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0064】
また、
図3に示されたように、後面保護膜170が第1保護膜170aと第2保護膜170bを含む場合、第1保護膜170aの厚さは5nm〜15nmであり、第2保護膜170bの厚さは150nm〜250nmで有り得る。
【0065】
また、本発明に係る接着強化膜190の厚さは10nm〜100nmの間で有り得る。
【0066】
接着強化膜190の厚さを10nm以上に形成することは、後面電極層153を接着強化膜190上に形成させ、これを熱処理して接着強化膜190と化学結合を形成する際に、化学的結合を形成するための最小限の厚さを形成するためであり、接着強化膜190による光反射率をさらに高めるためである。
【0067】
また、接着強化膜190の厚さを100nm以下に形成することは接着強化膜190による光反射率をさらに高めつつ、接着強化膜190の厚さが過度に厚く形成せず適切な厚さに形成されることで、製造コストと時間を最小限にするためである。
【0068】
さらに具体的には、本発明のように真性アモルファスシリコン(i−a−Si)と真性微結晶シリコン(i−mc−Si)のうちの少なくとも一つを含む接着強化膜190は真空チャンバ内で蒸着されたCVD方式やPECVD方式により形成することができる。このような場合には、接着強化膜190の厚さが厚くなるほど、真空チャンバ内で蒸着される時間が長くなって工程のコストが上昇するので、これを考慮して接着強化膜190の厚さを100nm以下に形成することが望ましい。
【0069】
また、ここで、接着強化膜190の屈折率は、後面保護膜170の屈折率よりも高い場合もある。たとえば、接着強化膜190の屈折率は3.7〜4.2の間で有り得、後面保護膜170の屈折率は1.7〜2.3の間で有り得る。
【0070】
このような接着強化膜190と後面保護膜170の屈折率の差によって、基板110の第1面に入射された様々な波長帯域の光の中で基板110で吸収されない長波長帯域の光、例えば、900nm〜1300nmの波長帯域の光を再び基板110の内部に反射させて太陽電池の発電効率をさらに向上させることができる。ここで、接着強化膜190による光の反射は接着強化膜190の厚さとも関連しており、これについては
図6でさらに詳細に説明する。
【0071】
以下では、前述した接着強化膜190の化学的結合についてさらに詳細に説明する。
【0072】
図4と
図5は、本発明に係る接着強化膜と後面電極層の間の界面から生成される化学結合について説明するための図である。
【0073】
図4に示されたように、本発明に係る接着強化膜190は、一例として、真性アモルファスシリコン層190bを含むことができ、このような接着強化膜190が後面電極層153と接する界面には、金属−シリコン合金層190aが形成されることができる。
【0074】
ここで、後面電極層153が一例として、アルミニウム(Al)を含む場合は、接着強化膜190と後面電極層153が接する界面に形成される金属−シリコン合金層190aは、アルミ−シリコン合金(Al−Si alloy)層で有り得る。
【0075】
このような金属−シリコン合金層190aは、接着強化膜190に含まれるシリコン材料と後面電極層153に含まれる金属物質の化学的結合によって形成されるもので、このような接着強化膜190と後面電極層153の間の化学結合は、前述したように、後面電極層153を基板110の第2面に、さらに李強く、安定的に接着させる効果がある。
【0076】
したがって、本発明のように、基板110の第2面に接着強化膜190を備える太陽電池は、複数の太陽電池をインターコネクタで接続するテビン工程では、インターコネクタの接着圧力によって後面電極層153の一部が押されながら後面電極層153と接続電極151との間が開いて、後面電極層153と接続電極151が互いに断線する現象を防止することができる。
【0077】
なお、このような金属−シリコン合金層190aは、接着強化膜190と後面電極層153の間の界面にのみ形成されるのではなく、
図4に示されたように、接着強化膜190と接続電極151との間の界面にも形成することができる。これにより、後面電極層153と接続電極151は、以後のタビング(tabbing) 工程で互いに断線する現象をさらに効果的に防止することができる。
【0078】
ここで、金属−シリコン合金層190aを形成する方法の一例を簡単に説明すると、次のとおりである。
【0079】
まず、基板110の第2面に後面保護膜170を形成した後、後面保護膜170上に真性アモルファスシリコン層(i−a−Si、190b)を含む接着強化膜190を形成する。
【0080】
このとき、真性アモルファスシリコン層(i−a−Si、190b)を含む接着強化膜190は、チャンバ内でCVD方式やPECVD方式によりチャンバー内で蒸着して形成することがある。
【0081】
次に、真性アモルファスシリコン層(ia−Si、190b)の接着強化膜190が蒸着した状態で接続電極151と後面電極層153を形成するために、一例として、アルミニウムを含有する第2電極150用ペーストを塗布する。
【0082】
次に、熱処理工程を実行して、第2電極150用ペーストを第2電極150に形成し、基板110の第2面と接続電極151との間に後面電界部160を形成する。この時の熱処理工程の最高温度は約700℃〜800℃の間で有り得る。
【0083】
このように、第2電極150用ペーストを焼成させ、第2電極150を形成する熱処理工程中に、第2電極150用ペーストに含有されたアルミニウムが溶解され、接着強化膜190の真性アモルファスシリコン層(i−a−Si、190b)に含有されたシリコンの一部が溶解される。
【0084】
これにより、第2電極150用ペーストに含有されたアルミニウムと真性アモルファスシリコン層(i−a−Si、190b)に含有されたシリコンが互いに化学的に結合し、
図4に示されたように、接着強化膜190と後面電極層153の間の界面に金属−シリコン合金層190aが形成されることができる。
【0085】
このような接着強化膜190と後面電極層153の間の界面に形成される金属−シリコン合金層190aは、
図5に示されたように、接着強化膜190が真性微結晶シリコンを含む場合にも同じように適用することができる。
【0086】
つまり、
図5に示されたように、このような接着強化膜190は、金属−シリコン合金層190aと真性微結晶シリコン層(i−mc−Si、190b ‘)を含むこともできる。
【0087】
このような真性微結晶シリコン層(i−mc−Si、190b ‘)は、前述したように、第2電極150用ペーストを焼成させ、第2電極150を形成する熱処理工程中に、熱処理工程の最高温度を維持する時間を相対的に長くすることで形成できる。
【0088】
例えば、第2電極150用ペーストの熱処理工程の最高温度を数秒(例えば3〜5秒)程度だけ維持させる場合には、接着強化膜190の非晶質シリコン層(i−a −Si、190b)の内部では、状態の変化がほとんど発生せず、接着強化膜190と第2電極150用ペーストの間の界面でのみ前述したように、化学的結合が発生することができる。
【0089】
しかし、第2電極150用ペーストの熱処理工程の最高温度を数十秒〜数分程度保持する場合、接着強化膜190と第2電極150用ペーストの間の界面だけでなく、接着強化膜190の非晶質シリコン層(i−a−Si、190b)の内部でも状態変化が発生することができる。
【0090】
つまり、熱処理工程の最高温度が維持される時間に比例して、接着強化膜190の真性アモルファスシリコン層(i−a−Si、190b)が部分的に結晶化され、真性微結晶シリコン層(i−mc −Si、190b‘)に変化することができる。なお、この時、真性微結晶シリコン層(i−mc−Si、190b ’)の結晶化度は、熱処理工程の最高温度値と最高温度の保持時間によって異なる場合がある。
【0091】
したがって、
図4および
図5では、接着強化膜190が金属−シリコン合金層190aと真性アモルファスシリコン層(i−a−Si、190b)、または金属−シリコン合金層190aと真性微結晶シリコン層(i−mc−Si、190b ‘)で形成された場合のみ一例として、示しているが、これとは異なり、接着強化膜190は、金属−シリコン合金層190aに真性アモルファスシリコン層(i−a−Si 、190b)と真性微結晶シリコン層(i−mc−Si、190b ’)がすべて一緒に含まれて形成されることもある。
【0092】
このような本発明に係る接着強化膜190は、前述したように、後面電極層153を基板110の第2面に、さらに強固に接着、固定することができるので、後面電極層153に含有されるガラスフリットを後面電極の単位体積当たり1wt%以下に削減することができる。
【0093】
さらに具体的には、本発明に係る接着強化膜190を使用せずに、後面電極層153を基板110の第2面に位置する後面保護膜170にさらに強固に付着するようにするためには、後面電極層153に含有されるガラスフリットの含有量を高めるべきである。
【0094】
このガラスフリットは、鉛(Pb)を含有するので、接着強化膜190がないとき、熱処理工程中に後面保護膜170を物理的に突き抜けて入ることができるからである。しかし、このようにガラスフリットの含有量を高める場合には、後で環境汚染が問題になることがある。
【0095】
しかし、本発明に係る接着強化膜190は、鉛(Pb)を含有しないため、このような環境汚染を心配する必要がない。
【0096】
なお、本発明に係る接着強化膜190は、後面保護膜170を物理的に突き抜けて内部に浸透しないので、後面保護膜170が破損されパッシベーション機能が低下することを防止することができる。
【0097】
以下の
図6は、本発明に係る接着強化膜の厚さに係る接着強化膜の反射率の関係について説明するための図である。
【0098】
図6でx軸は接着強化膜190の厚さを示し、y軸は接着強化膜190の反射率を示す。
図6では一例として、1100nmの波長帯域の光の反射率を測定した。
【0099】
前述したように、接着強化膜190の屈折率は、後面保護膜170の屈折率より高く、基板110の第1面に入射した様々な波長帯域の光の中で基板110に吸収されない900nm〜1300nmの長波長帯の光は再び基板110に反射させることができる。
【0100】
このような長波長帯域の光は前述したように、接着強化膜190の厚さに応じて反射率が変わることがある。
【0101】
したがって、本発明に係る接着強化膜190の厚さは、前述したように、10nm〜100nmの間で形成させることができ、このような接着強化膜190の厚さは、長波長帯域の光を反射させる最適化された厚さである。
【0102】
図6に示されたように、接着強化膜190がない場合、すなわち、接着強化膜190の厚さが「0」の場合、基板110の第2面から第1面の方向に反射される光の反射率が50%以下であることを確認することができる。
【0103】
しかし、本発明に係る接着強化膜190を備え、接着強化膜190の厚さが10nmである場合、光の反射率が58%であり、接着強化膜190の厚さが100nmである場合光反射率が62.5%であることを確認することができる。
【0104】
したがって、
図6によれば、(65%より高い)高反射は、接着強化膜190の厚さが40nm〜80nmの間であるときに、発生する。
【0105】
なお、接着強化膜190の反射率は、接着強化膜190の厚さが継続的に増加する場合、正弦波(sine wave)または余弦波(cosine wave)と同じ整形波の形状を有することが確認された。
【0106】
したがって、本発明に係る接着強化膜190の厚さは10nm〜100nmの間で形成することが最適化された厚さであることを確認することができる。
【0107】
今までは接着強化膜190が後面保護膜170上に接触してすぐに形成された場合のみを例として説明したが、これと別の方法で後面保護膜170と接着強化膜190の間には、拡散防止膜180がさらに含むことができる。
【0108】
図7は、本発明に係る太陽電池で後面保護膜と接着強化膜の間に拡散防止膜がさらに含まれた一例を説明するための図である。
【0109】
本発明に係る太陽電池は、
図7に示されたように、後面保護膜170と接着強化膜190の間には、拡散防止膜180をさらに含むことができる。
【0110】
このような拡散防止膜180は、後面保護膜170と接着強化膜190の間に位置し、第2電極150を形成するための熱処理工程時に第2電極150を形成するペーストに含有されるアルミニウム(Al)が後面保護膜170まで拡散されることを防止する役割をする。
【0111】
このように、
図7に示された拡散防止膜180は、窒化シリコン(SiNx)を含むことができる。このような拡散防止膜180の窒化シリコン(SiNx)は、第2電極150を形成するための熱処理工程時、後面電極層153のアルミニウム(Al)と結合しアルミニウム(Al)が後面保護膜170に拡散されることを防止する役割をする。これにより、後面電極層153のアルミニウム(Al)が後面保護膜170まで拡散されて、後面保護膜170のパッシベーション機能が低下化されることを防止することができる。
【0112】
なお、このような拡散防止膜180の屈折率は、接着強化膜190の屈折率と後面保護膜170の屈折率の間の値を有することができる。一例として、拡散防止膜180の屈折率は、接着強化膜190と後面保護膜170の間の屈折率の値の中で2.1〜2.3の間で形成され得、拡散防止膜180の厚さは30nm〜70nm間で形成できる。
【0113】
このように、後面保護膜170から接着強化膜190に進むにつれて、後面保護膜170、拡散防止膜180、接着強化膜190の屈折率が徐々に大きくなるようにして、接着強化膜190の光反射率をさらに向上させることができる。
【0114】
なお、このような拡散防止膜180は、接着強化膜190と同じチャンバ内でプロセスガスだけ変化して形成することができ、拡散防止膜180を備える太陽電池の製造コストを最小限に抑えることができる。
【0115】
具体的には、真性アモルファスシリコン層(i−a−Si、190b)と真性微結晶シリコン層(i−mc−Si、190b ‘)のうちの少なくとも一つを含む接着強化膜190を蒸着するためには、プロセスガスとしてシラン(SiH
4)ガスと水素(H
2)ガスを必要とし、窒化シリコン(SiNx)を含む拡散防止膜180を蒸着するためには、プロセスガスとしてシラン(SiH
4)ガスとアンモニア(NH
3)ガスを必要とする。
【0116】
したがって、後面保護膜170上に拡散防止膜180を蒸着する際には、プロセスガスとしてシラン(SiH
4)ガスとアンモニア(NH
3)ガスを注入して形成させ、その後、拡散防止膜180上に接着強化膜190を蒸着する際には、同じチャンバ内でシラン(SiH
4)ガスとアンモニア(NH
3)ガスを含むプロセスガス中のアンモニア(NH
3)ガスの代わりに水素(H
2)ガスを注入すればよいので、接着強化膜190を蒸着する際にチャンバを変更する必要はない。
【0117】
したがって、本発明に係る接着強化膜190と拡散防止膜180を備える太陽電池の製造コストは最小限に抑えることができる。
【0118】
このように、本発明に係る太陽電池は、基板110の第2面上に接着強化膜190を備え、後面電極層153がさらに強固に基板110の第2面に接着され、後面電極層153の接着力が改善される。インターコネクタを利用して複数の太陽電池を相互接続するテビン工程で、後面電極層153と接続電極151が互いに物理的および電気的に相互に分離されず、相互に強固に接着された状態が維持される。本発明の実施例の太陽電池は長波長帯域の光をさらに効率的に反射することで、太陽電池の効率をさらに向上することができる。
【0119】
なお、本発明に係る太陽電池は、接着強化膜190と後面保護膜170の間に拡散防止膜180をさらに備えることにより、長波長の太陽の光の反射率をさらに向上させ、後面保護膜170のパッシベーション機能が弱まることを防止して、太陽電池の効率をさらに向上できる。
【0120】
以上で、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、次の請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の複数の変形や改良形もまた本発明の権利範囲に属する。