(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
携帯電話や携帯通信端末をはじめとする個人用の通信機器が普及し、個人による通信データの送受信が日常的に行われている。また、パーソナルコンピュータ(PC)が一般家庭に普及している。
【0003】
家庭におけるPCは一般に通信を目的として使用されており、電子メールの送受信とともに、ブラウザを使用してウェブページを閲覧することによる情報収集が広く行われている。
【0004】
近年、家庭においては、電子機器としてのPCから、インターネットをはじめとする外部のネットワークへは一般に、電話回線とは別の経路を介した常時接続により接続されている。このため、家庭が有する稼働中のPCは、インターネットにほぼ常時接続されている。また、デジタルコンテンツの多様化などにより、PCは、大量のデータをネットワークを介して受信している。
【0005】
したがって、PCの通信時に消費される電力は、ますます増加している。現在、子供から高齢者まで多くの人がPCを使ってインターネットを利用しており、ネットワーク機器の動作による環境への影響は無視できないものとなっている。
【0006】
さらに、無線通信によりPCを外部のネットワークと接続する、無線LAN(Local Area Network)は、PCに通信線を接続する必要がなく、特に家庭で普及しているノート型PCの家庭内での使用場所の制約を解消する。このため、無線LANを介したネットワーク利用が広く行われている。
【0007】
近年、環境問題の高まりや、様々な理由による電気料金の高騰などにより、節電を目的とした省電力化、特に、家庭内での電力使用量の削減が大きな課題となっている。夏期の昼間の電力使用量のピーク値が抑制されれば、発電設備の増設が回避でき、設備にかかる費用を削減でき、また、自然環境の維持に貢献できる。
【0008】
PCは待機している状態では、PCの動作がスリープ状態に移行するなど、PCのシステムの動作としての省電力化は行われているが、PCの通信に係る動作における省電力化により、さらなる節電が可能になる。
【0009】
特に、無線でネットワークに接続する通信装置の動作の消費電力の低減は、上記のように省電力化には大きな効果がある。
【0010】
無線LANクライアントは、一般的に、USB(Universal Serial Bus)などのインタフェースを介してPCに接続されている。USBは、PCなどの情報機器に周辺機器を接続するためのシリアルバスの規格の一つである。USBインタフェースは接続されている周辺機器に対して電源電力を供給し、周辺機器は接続されている状態では常時電源が投入されている。
【0011】
このため、周辺機器としてのネットワーク機器の動作状態によっては、ネットワーク機器に供給される電力が無駄になるという課題がある。すなわち、ネットワーク機器が大きな通信速度に対応して動作する場合の消費電力は、小さな通信速度に対応して動作する場合の消費電力より大きい。このため、PCとネットワークとの通信速度が小さい場合に、ネットワーク機器に大きな通信速度で動作するような電力を供給すると、供給された電力の一部は無駄になる。
【0012】
特許文献1には、周辺機器としてのデバイスとの通信速度を制御して電力消費を抑制する通信装置が開示されている。
【0013】
特許文献1に開示されている通信装置においては、外部デバイスに設けられた外部メモリカードコントローラから転送速度の情報を読み取り、該転送速度情報に基づいてUSBの転送方式を切り替える。
【0014】
特許文献2には、USB機器が接続されたネットワーク装置と、USB機器との消費電力を通信状況に応じて低減するネットワーク装置が開示されている。
【0015】
特許文献2に開示されているネットワーク装置は、ネットワーク装置が受信する通信パケットを解析し、USB機器のアクセス状態を検知する。USB機器のアクセスが開始されると、USBインタフェースへの電力供給を開始し、アクセスの終了が検知されると、USBインタフェースへの電力供給を停止する。
【0016】
特許文献3には、バッファに蓄積されたデータ量に基づいて電力制御を行うデバイスコントローラ、デバイス装置および電力制御方法が開示されている。
【0017】
特許文献3に開示されているデバイスコントローラは、ホスト装置に接続されたデバイス装置において、ホスト装置から出力されたデータおよびホスト装置に出力するデータを蓄積し、後段のデータ記憶部へデータを転送する。ホスト装置からデバイス装置へのデータの転送速度が、バッファから後段回路へのデータ転送速度が異なる場合、バッファの空きが少なくなり、遅い方のデータ転送が抑制された場合に、転送動作に係る消費電力に無駄が生じる。特許文献3に開示されているデバイスコントローラは、入力バッファに蓄積されたデータ量が所定値を上回った場合に、データ通信部の動作を通常電力モードから省電力モードへ移行させる。これにより、転送速度の差異による消費電力の無駄が低減する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態に限定されない。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る通信装置の構成の一例を示す。
【0031】
本実施形態に係る通信装置1003は、インタフェース1031と、送受信手段1037と、通信状態検出手段1033と、インタフェース制御手段1032とを有する。インタフェース1031は、電子機器1002との接続を仲介する。送受信手段1037は、電子機器1002とネットワーク1004との間の通信を行う。通信状態検出手段1033は、ネットワーク1004の状態を検出する。インタフェース制御手段1032は、電子機器1002の状態およびネットワーク1004の状態の少なくとも一つをもとに、インタフェース1002の転送速度を制御する。
【0032】
本実施形態に係る通信装置の制御方法の処理の一例を
図2に示す。
【0033】
本実施形態に係る通信装置の制御方法は、インタフェースを介して電子機器に接続され、電子機器とネットワークとの間の通信を行う通信装置の制御方法である。本実施形態に係る通信装置の制御方法は、ネットワークの状態を検出する通信状態検出ステップ(
図2ステップS2001)と、インタフェースの転送速度を制御するインタフェース制御ステップ(ステップS2002)とを有する。インタフェース制御ステップは、ネットワークの状態および電子機器の状態の少なくとも一つをもとにインタフェースの転送速度を制御する。
【0034】
本実施形態に係る通信装置1003においては、ネットワークの状態に応じて通信装置の消費電力を低減し、通信システムの省電力化が可能である。
[第2の実施形態]
[構成]
本発明の第2の実施形態に係る通信装置の構成について、
図3および
図4を参照して説明する。
【0035】
図3は、本実施形態に係る通信装置を含む通信システムの構成の一例を示す。電子機器であるPC2は、アクセスポイントである無線LANルータ1を介して、外部のWAN(Wide Area Network)であるインターネット4に接続されている。一般に、家庭で使用されるアクセスポイントとして無線LANルータ1が採用されることが多い。無線LANルータ1は、WANポートを備えている。無線LANルータ1は有線のLANポートを備えてもよい。
【0036】
本実施形態においては、一般の家庭内における使用を想定して、アクセスポイントは無線LANルータ1とする。
【0037】
無線LANルータ1には、PC2が無線LANクライアント3を介して無線で接続されている。PC2と無線LANクライアント3は、無線LANルータ1を経由して、インターネット4に接続されている。
【0038】
図4は、PC2および無線LANクライアント3の構成の一例を示すブロック図である。PC2は、CPU21、MCH(Memory Controller Hub)22、ICH(IO Controller Hub)23、USBホスト制御部24を有する。本実施形態では特に、USBのハードウェア構成について説明する。簡単のため、DDR(Double−Data−Rate)メモリ、IOインタフェースなどの入出力に関する構成は省略されるが、PC2のハードウェア構成は一般的なPCと同等であるとする。
【0039】
無線LANクライアント3は、USBインタフェース31、無線LAN制御部34、USBインタフェース制御部32、アンテナ制御部36、アナログ無線回路37aおよび37b、アンテナ38aおよび38b、RAM(Random Access Memory)35、通信状態検出部33を有する。無線LAN制御部34およびUSBインタフェース制御部32は、それぞれUSBインタフェース31を介してPC2に接続される、無線LANクライアントの主要部である。アナログ無線回路37aおよび37bはそれぞれ、FIL(FILter)、PA(Power Amplifier)、LNA(Low Noise Amplifier)を含み、無線信号の送受信を行う。
【0040】
本実施形態においては、無線LANのデータ送受信の経路数(ストリーム数)を2とする。すなわち、本実施形態に係る無線LANクライアント3は、無線信号の送受信を行うアナログ無線回路(FIL、PA、LNA)37aおよび37bと、アンテナ38aおよび38bを有する。なお、アナログ無線回路およびアンテナの数(ストリーム数)は2に限定されず、1つでもよいし、2よりも多くてもよい。
[動作]
次に、本発明の第2の実施形態に係る通信装置の電力制御方法の処理について、
図4乃至
図8を参照して説明する。
【0041】
図4において、RAM35は無線LANクライアント3の設定情報を保持している。すなわち、無線LANクライアント3を使用するユーザのそれぞれの設定情報がRAM35に保持されている。
【0042】
図5は、本実施形態の電力制御方法において、無線LANクライアント3が無線LANルータ1への接続要求が発生してから、無線LANルータ1に接続するまでの処理を説明するフローチャートである。
【0043】
なお、本実施形態における省電力処理は、PC2における待機状態への移行動作などに限定されない。すなわち、本実施形態に係る省電力処理は、ユーザの使用様態に応じて、USBインタフェース、ワイヤレスモード、無線通信速度(リンクレート)、無線ストリーム数などを最適化し、その結果、無線通信性能を維持しながら消費電力を低減する処理を含む。
【0044】
無線LANルータ1への接続要求が発生する(
図5、ステップS101)と、省電力モードの設定が開始され(ステップS102)、無線LANクライアント3に省電力モードが設定されているかどうかが判定される(ステップS103)。
【0045】
省電力モードの設定についての情報は、無線LANクライアント3のRAM35に格納されている。無線LANクライアント3の接続処理の開始時に、RAM35に保持された設定情報が参照され、省電力モードでの接続、或いは、通常モードでの接続が判別され、接続モードが設定される。
【0046】
RAM35に保持されたデータは、PC2内のアプリケーションおよびドライバを介して、ユーザによる設定変更が可能であってもよい。
【0047】
省電力モードに設定されている場合(ステップS103YES)は、WAN側の通信速度が検出される(ステップS105)。本実施形態においては、通信速度は100Mbpsを閾値として判定されるものとする。なお、閾値は100Mbpsに限定されず、これより大きくてもよい。また、閾値はこれより小さくてもよい。
【0048】
省電力モードでの接続ではない場合(ステップS103NO)は、省電力モードの設定は不要である(ステップS104)として、省電力モードの設定は終了する。
【0049】
WAN側回線の通信速度が100Mbps以下かどうかを判別し(ステップS105)、この判別結果を受けて、無線LANルータ1と無線LANクライアント3との間の通信速度を設定する。
【0050】
ステップS105における判別方法については、例えば、あらかじめ無線LANルータ1側システムと無線LANクライアント3との間で通信速度の設定に関するコマンドを用意しておく。該コマンドは、無線LANルータ1側から無線LANクライアント3側へ、WAN側回線の通信速度の値を通知する。
【0051】
或いは、無線LANクライアント3において、ユーザ自身の操作によりユーザのシステムでのWANインタフェースの通信速度を設定してもよい。
【0052】
無線LANルータ1の設定値は、WANの環境が安定していれば、頻繁に変更を必要とはしない。このため、通信速度の設定の頻度は低くてよい。
【0053】
WAN側の通信速度が100Mbps以下の場合(ステップS105YES)、通信速度は100Mbps以下の値に設定する(ステップS107)。
【0054】
WAN側の通信速度が100Mbps超の場合(ステップS105NO)、通信速度を1Gbpsに設定する(ステップS106)。通信速度は1Gbpsに限定されず、これより大きくてもよいしこれより小さくてもよい。
【0055】
WAN側の通信速度を判別する(ステップS105)ことにより、例えば個人の住宅内の電子機器とインターネット回線とのデータの送受信における通信速度を知ることができる。この通信速度をもとにして、通信装置の動作速度を最適な値に設定することができる。
【0056】
例えば、個人住宅内で、無線LANルータ1と無線LANクライアントとの間の無線通信速度が1Gbpsを超えるような場合であっても、無線LANルータ1とインターネット4との通信速度が100Mbps以下の場合がある。このような条件では、個人住宅内の無線LAN通信速度が大きくても、インターネットとの通信速度が小さいため、個人住宅内で動作する通信装置の性能が十分に発揮されていない。
【0057】
このような状態で、個人住宅内での無線LAN通信速度を100Mbpsにすれば、WAN側の通信速度と無線LAN通信速度がほぼ同じとなり、PC2などの電子機器とインターネットとの間のデータ送受信における通信回線の速度を均一とみなすことができる。
【0058】
例えば、インターネットの通信速度が100Mbpsであって、無線LANルータ1と無線LANクライアント3との間の無線LAN通信速度が450Mbpsであったとする。このような状態では、無線LAN通信速度は大きいが、インターネットの通信速度が小さいため、PC2とインターネットとのデータ通信においては、インターネットの通信速度までしか通信性能が発揮されない。すなわち、無線LAN通信装置はインターネットとのデータの送受信を待っている期間が多くなる。
【0059】
本実施形態においては、WAN側の通信速度に基づいて、無線LAN通信速度を最適化することにより、無線LAN通信装置における無駄な待ち時間の発生が抑制され、消費電力が低減する。
【0060】
WAN側の通信速度が100Mbps以下である場合(ステップS105YES)、通信速度を100Mbps以下の値に設定する(ステップS107)。
【0061】
次に、USB2.0のインタフェースを使用して、PC2と無線LANクライアント3を接続する(ステップS108)。
【0062】
USB2.0は、規格として、最大データ転送速度が480Mbpsである。インターネットの通信速度が100Mbpsであれば、USB2.0の転送レート480Mbpsは通信処理には十分な速度である。なお、データ通信におけるオーバヘッドによる送受信される正味のデータの縮小を考慮しても、実効スループットとして200乃至250Mbpsの速度は確保される。
【0063】
このような条件で、PC2と無線LANクライアント3との接続にUSB3.0を使った場合、USB3.0の最大データ転送速度は5Gbpsであるが、インターネットの通信速度の方が小さいため、これにより通信性能が決まる。このため、通信性能はUSB2.0を使用した場合と同じである。USB3.0は給電能力が900mAであり、USB2.0の給電能力の500mAよりもはるかに大きい。このため消費電力はUSB2.0の場合よりも大きくなり、最適な設定からかけ離れた状態となり、過剰な電力が無駄になる。
【0064】
PC2において、Windows(登録商標)などのオペレーティングシステム(OS)上で、無線LANクライアント3がデバイスとして認識されると、PC2と無線LANクライアント3とが、USBインタフェースを経由して通信することが可能になる。
【0065】
次に、無線LANルータ1と無線LANクライアント3との接続が開始し、データ通信が行われる(ステップS109)。
【0066】
データ通信が開始したのちに、無線LAN通信速度とストリーム数の設定を行い(ステップS110)、無線LAN通信の設定が完了する(ステップS112)。
【0067】
WAN側の通信速度が100Mbps超であった場合(ステップS105NO)は、通信速度を1Gbps以上の値に設定する(ステップS106)。
【0068】
次に、最大データ転送速度が5Gbpsと規定されているUSB3.0を使用して、PC2と無線LANクライアント3を接続する(ステップS111)。
【0069】
なお、PC2上で動作するドライバの仕様に依存するが、インタフェースが初期設定でUSB2.0である場合は、ステップS111では、USB2.0からUSB3.0へ切り替える。また、初期設定がUSB3.0である場合は、上記のステップS108ではUSB2.0に切り替えるようにする。
【0070】
インターネットの通信速度が1Gbpsである場合、最大データ転送速度が480Mbpsと規定されているUSB2.0では、インタフェースの転送速度の方が小さく、これにより、PC2とインターネットとのデータ送受信における通信性能が決定される。このような条件では、USB2.0をインタフェースに使用すると、インターネットの通信速度を十分に利用することができない。これに対して、インタフェースにUSB3.0を使用すれば、十分大きな通信速度を確保することができる。
【0071】
次に、PC2において、OS上で無線LANクライアント3がデバイスとして認識され、PC2と無線LANクライアント3との通信が可能になると、無線LANルータ1と無線LANクライアント3との接続が開始し、データ通信が行われる(ステップS112)。
【0072】
さらに、無線通信における搬送波の周波数を設定する。すなわち、無線周波数を5GHzにして接続するか、2.4GHzにして接続するかを決定する(ステップS113)。
【0073】
無線周波数を5GHzにして接続する場合(ステップS113YES)、無線周波数を5GHzに設定する(ステップS114)。次に、IEEE802.11ac(以下、11ac)モードで接続するか、IEEE802.11n(以下、11n)モードで接続するかを決定する(ステップS115)。なお、11nモードは、周波数帯が2.5GHzまたは5GHzであり、空間ストリーム数は4まで可能である。通信速度は理論上最大で600Mbpsであるが、実効速度は150Mbps程度である。また、11acモードは、周波数帯が5GHzであり、空間ストリーム数は8まで可能である。通信速度は最大で6.9Gbpsである。
【0074】
11acモードで接続する構成または、11nモードでストリーム数が4で接続する構成(ステップS115YES)は、最大6.9Gbps(11ac)或いは600Mbps(11n、4ストリーム)という通信速度に対応する。このため、USB3.0での接続が行われる(ステップS116)。
【0075】
また、11nモードでストリーム数が3以下で接続する場合(ステップS115NO)、通信速度が最大でも450Mbpsであり、USB2.0(最大データ転送速度が480Mbps)で対応できる。このため、USB2.0で接続して(ステップS117)、消費電力を抑制する。
【0076】
無線周波数を2.4GHzにして接続する場合(ステップS113NO)、無線周波数を2.4GHzに設定する(ステップS118)。無線周波数が2.4GHzの場合は、11nモードでの接続となる。ストリーム数が3以下の場合(ステップS119YES)は、通信速度は最大値でも450Mbpsであるため、USB2.0で接続する(ステップS120)。ストリーム数が4の場合(ステップS119NO)は、600Mbpsの通信速度に対しては、USB2.0のデータレート(480Mbps)では十分に対応できないため、USB3.0で接続する(ステップS121)。
【0077】
次に、
図5のステップS110における、無線LAN通信速度と、無線LANストリーム数の設定手続きについて、
図6乃至8を参照して説明する。
【0078】
図12は、本実施形態に係る無線LANクライアント3における無線LAN制御部34の構成の一例を示すブロック図である。
【0079】
無線LAN制御部34は、通信状態検出部33により検出されたネットワークの状態および無線LANクライアント3の状態の少なくとも一つをもとに通信速度を算出する通信速度算出部34aを含む。通信方式抽出部34bは、通信速度算出部34aで得られた通信速度にもとづいて、対応データ保持部34cに保持された対応表を参照し、通信方式の候補を抽出する。さらに、通信方式選択部34dは、通信方式の候補から通信方式を選択する。
【0080】
図7は、ワイヤレスモード(通信方式)と通信速度の対応の一例を示す表である。
図7により、各ワイヤレスモードにおけるストリーム数と通信速度が参照される。
【0081】
図6は、ワイヤレスモードと消費電力の対応の一例を示す表である。
図6において、ワイヤレスモード、ストリーム数、通信速度および消費電力の対応が示されている。なお、USBインタフェースは、USB2.0では5V、500mAで動作し、USB3.0は5V、900mAで動作すると規定されている。
図6により、各ワイヤレスモードにおけるストリーム数と通信速度および消費電力が参照される。
【0082】
図6および
図7において、1SSおよび2SSはストリーム数を示す。
図4においてアンテナ制御部36からアナログ無線回路37aおよび37bへの電力供給を制御することにより、ストリーム数を変更することができる。ストリーム数を減ずることにより、消費電力を抑制することができる。
【0083】
図8は、通信速度とストリーム数を最適化する手続きの一例を示すフローチャートである。
【0084】
まず、通信速度算出部34aは、
図5のステップS105において検出されたWAN側の通信速度などを含む無線環境に基づいて、最適な無線LAN通信速度を算出する(ステップS201)。
【0085】
次に、PC2と無線LANクライアント3がUSB2.0で接続されているかどうかが判別される(ステップS202)。
【0086】
図5においては、インタフェースをUSB2.0またはUSB3.0で接続したが、ステップS202においては、インタフェースの接続状態を参照して、いずれの規格のUSBで接続されているかが判別される。
【0087】
インタフェースがUSB2.0で接続されている場合(ステップS202YES)、最適な通信速度が480Mbps以上であるかどうかを判別する(ステップS203)。480Mbpsは、USB2.0の最大データ転送速度である。
【0088】
通信方式抽出部34bは、最適な通信速度が480Mbps未満である場合(ステップS203NO)、算出された最適な通信速度をもとに、
図7のワイヤレスモードと通信速度の対応表を参照し、ワイヤレスモードの候補を抽出する(ステップS207)。対応データ保持部34cは、
図7に示されるワイヤレスモードと通信速度の対応表のデータを保持する。
【0089】
また、通信方式抽出部34bは、最適な通信速度が480Mbps以上である場合(ステップS203YES)、通信速度の値をもとに、
図7のワイヤレスモードと通信速度の対応表を参照し、ワイヤレスモードの候補を抽出する(ステップS204)。具体的には、通信速度に幅を持たせて、例えば(480−20)Mbpsから(480+20)Mbpsの範囲に入るような通信速度に対応するワイヤレスモードを抽出する。通信速度の幅については任意であり、幅の値を変更してもよい。
【0090】
最適な通信速度に対応するワイヤレスモードの選択において、精度を上げるためには、通信速度の幅を小さく設定した方が良い。一方、より大きな省電力を実現するためには、通信速度の幅を大きく設定して、多くのワイヤレスモードの候補を抽出し、これらの候補の中からより大きい省電力を実現するものを選択すればよい。
【0091】
インタフェースがUSB3.0で接続されている場合(ステップS202NO)、ステップS201で算出した最適な通信速度をもとに、
図7のワイヤレスモードと通信速度の対応表を参照し、ワイヤレスモードの候補を抽出する(ステップS206)。
【0092】
次に、通信方式選択部34dは、抽出されたワイヤレスモードの候補を、
図6のワイヤレスモードと消費電力の対応表において比較を行う。これらの候補の中で、消費電力が少ないワイヤレスモードを選択する(ステップS205)。対応データ保持部34cは、
図6に示されるワイヤレスモードと消費電力の対応表のデータを保持する。
【0093】
ステップS204、S206、S207のそれぞれにおいて、最適な通信速度を有するワイヤレスモードが選択されているので、無線LAN通信速度とWAN側の通信速度との差による通信性能の劣化を抑制するとともに、消費電力の低減を図ることができる。
【0094】
なお、ステップS207およびステップS206においても、ステップS204と同様に、最適な通信速度に合致するワイヤレスモードの候補を
図7を参照して抽出する場合も、最適な通信速度に幅を持たせてよい。この幅は任意に変更可能である。
【0095】
以上の手続きにより、無線LAN通信の通信速度とストリーム数の設定を完了し、それぞれに最適な値が与えられる。これにより、無線LAN通信における省電力化が実現される。
【0096】
本実施形態に係る通信装置は、無線通信により外部のネットワークに接続できるネットワーク機器であり、USBインタフェースの切り替え手段を備えることを特徴とする。現在、一般に用いられるUSBの規格として、USB2.0とUSB3.0があるが、USB2.0とUSB3.0とは転送速度と消費電力の値が異なる。すなわち、消費電力の小さいUSB2.0に切り替えることで消費電力が低減する。USB規格によれば、USB2.0の給電能力は5Vに対して最大で500mAであり、USB3.0の給電能力は900mAである。一般に、高速のインタフェースは低速のインタフェースに比べて消費電力が大きい。
【0097】
本実施形態に係る通信装置は、低速での通信の場合にはUSB2.0に切り替えるように制御することにより、省電力化を実現する。
【0098】
また、通信速度が大きくできるような通信環境に対しては、USB3.0に切り替えて、通信装置が具備する通信性能を最大に発揮できるよう通信装置を制御する。
【0099】
本実施形態に係る通信方法においては、律速段階となる部分の通信速度を検出し、通信性能が最大になるようにインタフェースの規格を切り替えて、インタフェースから供給される電源電力が過剰にならないよう制御する。すなわち、電子機器から外部のネットワークまでの通信経路において、インタフェース以外に通信速度が小さい部分があれば、インタフェースの通信速度を小さくなるよう設定する。また、インタフェース以外に通信速度が小さい部分がなければ、インタフェースの通信速度を大きくなるよう設定する。これにより、最適な通信速度を確保しつつ、電力の無駄な消費を抑制することができる。
【0100】
また、本実施形態に係る通信装置は、インターネットなどの外部のネットワーク(WAN)側での通信速度を検出する手段を備え、該通信速度に基づいて最適な無線環境の設定を行い、通信装置の省電力化を行うことができる。
【0101】
また、無線LANルータと無線LANクライアントとの間の無線通信の通信速度と、無線通信方式(ワイヤレスモード)、および消費電力との対応についての情報が予め用意されている。この情報を参照して、検出されたWAN側の通信速度をもとに、消費電力が最小になるような最適なワイヤレスモードが選択される。すなわち、WAN側の通信速度に対して、無線性能を最大にしつつ、消費電力を抑制した最適な無線通信方式を設定することができる。
【0102】
また、本実施形態に係る通信装置は、検出されたWAN側の通信速度に基づいて、PCに接続される無線LANクライアントのインタフェースとして、USB2.0とUSB3.0のいずれかを選択する機能を備えることを特徴とする。WAN側の有線LANの通信速度が、100Mbpsと1Gbpsのいずれであるかが判別され、USB2.0とUSB3.0のいずれで接続するかが決定される。
【0103】
USBの規格によれば、USB2.0の最大データ転送速度は480Mbpsであり、USB3.0の最大データ転送速度は5Gbpsである。無線LANクライアントが接続されるWAN側の通信速度が100Mbpsである場合、これ以上の速度は出ないため、無線LANの通信区間はUSB2.0の通信速度(480Mbps)で十分に賄うことができる。無線LANの通信区間で、消費電力の大きいUSB3.0で接続してもWAN側の回線速度が100Mbpsであるため、過剰な電力が無駄になる。
【0104】
また、本実施形態に係る通信装置は、無線LAN通信方式(ワイヤレスモード)のそれぞれについて、通信速度と消費電力の情報を備えており、その情報をもとに無線環境を設定する。
【0105】
ワイヤレスモードの規格として、IEEE11ac、11n、11bgaなどのモードがある。これらのモードごとに通信速度と消費電力が異なる。特に、消費電力が大きいのは無線通信において信号を送信するときである。このため、予め送信時の消費電力と各ワイヤレスモードとの対応表を用意して、送信前にモードを設定するようにすれば、最適なワイヤレスモードで無線通信処理を開始することができる。
【0106】
本実施形態に係る通信装置は、最適な無線環境を実現するために、消費電力、通信速度およびストリーム数についての情報を備えており、その情報をもとに、無線環境を設定する。
【0107】
上述の、通信速度と消費電力との対応表に加えて、ストリーム数の情報を考慮することにより、ストリーム数についても最適化することができる。すなわち、通信速度を増加させる場合は、ストリーム数を増加して基板上のアンテナ回路を起動させればよい。また、通信速度を減少させるときは、基板上の一部のアンテナ回路の電源を断てばよい。これにより消費電力が低減する。具体的には、アンテナ周りのパワーアンプを含めたアナログ回路への電源供給を停止する。
【0108】
また、本実施形態に係る通信装置の電力制御方法は、無線通信環境に基づいて最適な通信速度を決定し、この通信速度を実現するワイヤレスモードを抽出し、抽出されたワイヤレスモードの中で消費電力のもっとも小さいものを選択する。
【0109】
通常、無線通信における通信速度は無線通信環境により大きく変化する。上記の、最適な通信速度をもとに抽出されたワイヤレスモードが比較され、省電力化に最適なモードが選択される。
【0110】
また、本実施形態に係る通信装置の電力制御方法は、ワイヤレスモードの選択候補の抽出時に、通信速度の値に幅を持たせてもよい。この幅を規定する閾値は任意に変更可能であってもよい。通信速度が閾値によって画定された範囲内にあるようなワイヤレスモードが抽出される。閾値を変更することにより、選択候補として抽出されるワイヤレスモードの規模が調整可能である。
【0111】
なお、本実施形態においては、インタフェースの規格をUSB2.0またはUSB3.0としたが、これに限定されず、この他のインタフェースの規格を含んでもよい。
【0112】
また、本実施形態においては、ワイヤレスモードの規格を、IEEE11ac、11n、11bgaとしたが、これに限定されず、この他のワイヤレスモードの規格も含んでよい。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係る通信装置の構成について、
図9を参照して説明する。
【0113】
本実施形態に係るPC2のハードウェアの構成は、
図4のブロック図に示されたものと同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0114】
図9は、本実施形態に係るPC2のハードウェアとソフトウェアのシステムの構成の一例を示す。PC2のシステム構成におけるハードウェア層は、USB無線LANクライアント28a、キーボード・マウス28b、電力制御用IC(Integrated Circuit)28cを含む。ドライバ層は、無線LAN(Wireless LAN)ドライバ27a、キーボード・マウスドライバ27b、電力制御ドライバ27cを含む。PC2はさらに、WindowsやLinux(登録商標)などのオペレーティングシステム(OS)26を含み、アプリケーション層は、無線LAN制御アプリケーション25aを含む。
【0115】
PC2は、電灯線(AC電源)などの外部電源から供給された電力、或いは、PC2が内蔵する電池(バッテリ)などの内部電源から供給された電力により駆動する。
【0116】
図9において、電力制御用IC28cは、PC2がAC電源により駆動しているのか、或いは、バッテリにより駆動しているのかを判別し、電源についての情報をOS26を介して、USB無線LANクライアント28aに通知する。通知を受けたUSB無線LANクライアント28aは、PC2がAC電源により駆動しているのか、あるいはバッテリにより駆動しているのかによって、省電力モードを変更する。すなわち、PC2がバッテリにより駆動している場合は、無線LAN通信の動作に係る消費電力を抑制することにより、バッテリの寿命をより長く維持することができる。
【0117】
USB無線LANクライアント28aは、PC2がバッテリで駆動しているとの通知を受けると、自動的に省電力モードを変更する。
【0118】
図9において、電力制御用IC28cは、例えばノート型のPC2がAC電源による駆動であるのか、或いは、バッテリによる駆動であるのかを判別し、判別した結果を、上位層であるドライバ層にある電力制御ドライバ27cに通知する。
【0119】
電力制御ドライバ27cは、OS26を経由して、無線LAN制御アプリケーション25aに通知する。
【0120】
無線LAN制御アプリケーション25aは、ユーザの設定情報を参照し、USB無線LANクライアント28aに対して必要な処理を実行する。具体的には、OS26を経由して、無線LANドライバ27aに対して制御の指示を送信する。無線LANドライバ27aは指示を受けて、ハードウェア層のUSB無線LANクライアント28aを制御する。
【0121】
図10は、本実施形態に係る通信装置の省電力モードの切替処理の手続きの一例を示すフローチャートである。
【0122】
無線LANクライアント3から無線LANルータ1への接続要求が発生すると(ステップS301)、無線LANクライアント3の省電力モードの切り替えが自動的に実行されるか否かが判別される(ステップS302)。
【0123】
省電力モードの設定について、ユーザは予めUSB無線LANクライアント3の設定を行っており、設定された情報がメモリなどに保持されているとする。ステップS302における省電力モードの設定の判別は、例えば、メモリに保持された設定情報を参照することによって行われる。
【0124】
USB無線LANクライアント28aがハードウェア的な入力手段を備え、ユーザの操作により、省電力モードを変更してもよい。また、省電力モードの変更を自動的に行うか、或いはユーザが手動で変更操作を行うかを切り替えるようにしてもよい。さらに、省電力モードを自動的に切り替えずに固定するような設定を可能にしてもよい。
【0125】
本実施形態においては、ユーザが設定可能な3つのモードが用意されているとする。第1のモードは、自動的に省電力モードを切り替えるモードである。PC2がAC電源により駆動している場合は、省電力モードには移行せずに通常のモードで動作する。PC2がバッテリにより駆動しているとの通知を受けると、省電力モードに自動的に移行する。第2のモードは、ユーザの操作などにより強制的に省電力モードに移行するモードである。PC2に供給される電力がAC電源からであっても、省電力モードで動作する。第3のモードは、省電力モードに移行せずに通常モードに固定したモードである。第3のモードは、電源供給がAC電源であるかバッテリであるかによらず、通常モードで動作するモードである。
【0126】
省電力モードの設定が自動的に切り替わるモードである場合(ステップS302YES)、PC2がバッテリで駆動して動作しているかどうかを判別する(ステップS303)。PC2がバッテリで駆動していないと判別された場合(ステップS303NO)、PC2はAC電源により駆動しており、通常モードで無線LANルータ1に接続する(ステップS306)。PC2がバッテリで駆動していると判別された場合(ステップS303YES)は、省電力モードの設定を開始する(ステップS304)。
【0127】
なお、省電力モードの設定については、本発明の第2の実施形態において説明した通りであるので、詳細を省略する。
【0128】
省電力モードの設定が自動的に切り替わるモードでない場合(ステップS302NO)、省電力モードの設定に固定されているかどうかが判別される(ステップS305)。省電力モードの設定に固定されている場合(ステップS305YES)、省電力モードの設定を開始する(ステップS304)。省電力モードでの設定に固定されていない場合(ステップS305NO)は、通常モードでの接続を開始する(ステップS306)。
【0129】
本実施形態に係る通信装置は、無線LANクライアントが接続されたPCが電灯線(AC)からの電力で駆動するか、バッテリで駆動するかを判別する。すなわち、PCがバッテリで駆動していると判別した場合は、PCを省電力モードで動作させる。
【0130】
すなわち、PC上の電源周りの制御を行うICは、AC駆動の状態およびバッテリ駆動の状態を管理し、無線LANクライアントにこれらの情報を伝達する。無線LANクライアントは、これらの情報を受けて自動的に省電力化を行う。PCにおいては通常、電源管理のソフトウェアが起動している。該電源管理のソフトウェアは、充電中のバッテリの状態を監視して表示する機能を有するが、このソフトウェアの動作により、PCがAC駆動か、或いはバッテリ駆動であるかが判別される。無線LAN制御アプリケーションはPCの駆動についてこの情報を取得し、モードの切り替えを行う。
【0131】
本実施形態に係る通信装置は、自動的に省電力モードを変更する構成を有する。これにより、PC2への電力供給をAC電源とバッテリとの間で切り替える動作と、省電力モードの変更を連携することができ、ユーザは省電力モードの変更を意識する必要がなく、効率的なPCの使用が可能になる。
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態に係る通信装置の動作について、
図11および
図13を参照して説明する。
【0132】
本実施形態においては、無線LANルータ1における省電力設定の処理について説明する。
【0133】
図13は、本実施形態に係る無線LANルータ1の構成の一例を示すブロック図である。無線LANルータ1は、無線LANクライアント3と無線LAN通信を行うルータ送受信部12と、インターネットなどの外部のネットワークに接続されるWANポート11と、WANポート11とルータ送受信部12を制御するLAN通信速度制御部14を含む。無線LANルータ1は、有線のLANポート13を有してもよい。
【0134】
第2の実施形態においては、無線LANルータ1から検出されるWAN側の通信速度を参照して、無線LANクライアント3の省電力化処理の設定を行った。これに対して、本実施形態においては、無線LANクライアント3との通信速度を参照して、無線LANルータ1におけるWAN側の通信速度を制御し、これにより省電力化を行う。
【0135】
例えば、無線LANルータ1のWAN側のポート11の通信速度を1Gbpsから100Mbpsに変更する。これにより、ポートの動作に係る消費電力を変更し、省電力化が行われる。
【0136】
本実施形態に係る省電力処理は、WAN側での消費電力の変更に限定されない。無線LANルータ1が有線のLANポート13を有する構成であれば、このLANポート13において有線で接続されたPCとの通信に対して、同様の省電力処理が可能である。
【0137】
図11は、本実施形態に係る無線LANルータ1の省電力モードの切替処理の手続きの一例を示すフローチャートである。
【0138】
一般に、家庭内などでは複数の通信装置が起動しており、それぞれがインターネットなどのWANと通信を行っている。家庭内の無線LANルータには、家庭内で使用される通信装置の台数に応じて、複数の無線LANクライアントが接続されている。本実施形態における通信システムは、1台の無線LANルータに、複数の無線LANクライアント接続される構成を有する。
【0139】
無線LANクライアント3との接続要求が発生すると(ステップS401)、無線LANルータ1が省電力モードで動作しているかどうかが判別される(ステップS402)。
【0140】
省電力モードの設定は、第2の実施形態における無線LANクライアントの省電力モードの設定と同様である。すなわち、ユーザは無線LANルータを設定し、設定情報を無線LANルータの有するメモリなどに格納する。
【0141】
無線LANルータ1が省電力モードではなく、通常モードで動作している場合(ステップS402NO)、省電力モード設定の処理を終了し(ステップS404)、通常モードでWAN側回線と接続し、無線LANクライアント3は最適な通信速度での接続を行う。
【0142】
無線LANルータ1が省電力モードで動作している場合(ステップS402YES)、無線LANルータ1とデータを送受信している無線通信装置の台数を検出する(ステップS403)。
【0143】
次に、通信速度を検出し、該通信速度が100Mbps以下であるかどうかを判別する(ステップS405)。本実施形態において、無線LANルータ1が無線LANクライアント側と通信する通信速度は、無線LANルータに接続しデータ送受信をしている無線LANクライアントの通信速度の合計である。
【0144】
例えば、54Mbpsの通信速度で通信している無線LANクライアントが2台接続してデータ通信を行う場合、無線LANルータの通信速度は54Mbpsの2倍の108Mbpsである。
【0145】
合計した通信速度が100Mbps以下である場合(ステップS405YES)、LAN通信速度制御部14は、WAN側の回線の通信速度を100Mbpsに設定する。これにより、WAN側ポートの動作に係る消費電力が抑制され、省電力化が行われる。
【0146】
また、無線LANルータ1の有線LANポート13に接続されたPCがある場合、このポートの通信速度を制御して、ポートの動作に係る消費電力を抑制することが可能である。
【0147】
なお、合計した通信速度が100Mbps超の場合(ステップS405NO)は、データ通信に十分な大きさを有する通信速度(通信性能)を生かすために、LAN通信速度制御部14は、WAN側回線を1Gbpsの通信速度に設定して接続を行う。
【0148】
本実施形態に係る通信装置は、無線LANルータ1と無線LANクライアント3との間の通信速度との差異が大きくない場合、WANへの通信速度を制御することにより、無線LANルータ1における消費電力の過剰分を抑制し、省電力化が行われる。
【0149】
本発明の上記の実施形態に係る通信装置は、無線で外部のネットワークに接続するネットワーク機器に関し、最適な通信性能を維持しつつ、無線通信処理に係る消費電力を低減し、省電力化を実現するとの特徴を有する。
【0150】
上記の実施形態に係る通信装置の制御方法は、USBなどの規格を有するインタフェースを介してPCなどの電子機器に接続される無線LANクライアントなどの機器に対して、省電力化について顕著な効果を有する。すなわち、PCに接続される無線LANクライアントは、一般にUSBに接続されて使用される。家庭内で使用されるPCは、一般に、デスクトップ型よりノートブック型が多い。ノートブック型PCに接続されるネットワーク機器には、PCが具備するUSBインタフェースを経由して電力が供給される。供給される電力は、USB規格に準拠する。
【0151】
一般に、無線LANクライアントが接続されるPCにおいては、一定時間以上ユーザの操作がないような待機時に、PC自身がスリープ状態に移行するなどして、PCと無線LANクライアントからなる通信システムとしての省電力化は行われてきた。一方、無線LANクライアントを使用している状態で、最適な無線性能を維持しつつ、消費電力を低減する省電力化は行われてこなかった。
【0152】
本発明の上記の実施形態に係る通信装置においては、無線LANクライアントのUSBインタフェースにおける、無線通信速度および無線LANストリーム数の制御により無線LANクライアントにUSBインタフェースを経由して供給される電力が制御される。これにより、省電力化が実現される。本実施形態に係る通信装置においては、通信システムの具備する性能を最適化しつつ、無線通信動作における消費電力のうちの過剰分を抑制する。
【0153】
なお、上述の処理動作を実行させるためのプログラムを、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk Read−Only Memory)、MO(Magneto−Optical disk)などのコンピュータ読取可能な記録媒体に格納して配布し、当該プログラムをコンピュータにインストールすることにより、上述の処理動作を実行する装置を構成してもよい。