(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
剥離可能型シール部を有する包装システムであって、前記剥離可能型シール部は、第1のシーリング層および第2のシーリング層を含み、前記第1のシーリング層は、前記第2のシーリング層と接触して剥離可能型シールを形成するようになっており、前記第1のシーリング層は、
熱可塑性ポリマーと、
前記熱可塑性ポリマー内に分散された有機粘土と、
前記熱可塑性ポリマー内に分散された炭酸カルシウムを含む追加的な無機添加剤コンポーネントと、を含み、
前記有機粘土と前記炭酸カルシウムとを合わせた重量は、前記熱可塑性ポリマーと前記有機粘土と前記炭酸カルシウムとを合わせた重量の約10重量%から約35重量%までであり、
前記有機粘土は、前記熱可塑性ポリマーと前記有機粘土と前記炭酸カルシウムとを合わせた重量の5重量%から20重量%までの量で存在し、
前記炭酸カルシウムは、前記熱可塑性ポリマーと前記有機粘土と前記炭酸カルシウムとを合わせた重量の6重量%から25重量%までの量で存在し、
前記剥離可能型シールは、シーリング幅2.54cm(1インチ)当たり226.8グラム[0.5ポンド(lb)]から2268.0グラム[5ポンド(lb)]の間の剥離力を有する、
ことを特徴とする包装システム。
前記シーリング表面は、剥離可能型シール温度範囲内のすべての温度において剥離可能型シールに成形可能であり、前記剥離可能型シール温度範囲は、シール開始温度から前記シール開始温度より少なくとも37.8℃(100°F)高い温度までである、ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の包装システム。
前記有機粘土は、少なくとも20オングストロームの平均離隔および約50から約1000までの平均アスペクト比を有する小板を含む、ことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の包装システム。
前記有機粘土は、ベントナイト、カオリナイト、モンモリロナイト−スメクタイト、ヘクトライト、フルオロヘクトライト、サポナイト、バイデライト、ノントロナイト、イライト粘土、およびそれらの組合せからなる群より選択される粘土を含む、ことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の包装システム。
前記熱可塑性ポリマーは、ナイロン、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、エチレンのコポリマー、プロピレンのコポリマー、エチレンビニルアセテート、およびそれらの混合物からなる群より選択される成分を含む、ことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の包装システム。
前記熱可塑性ポリマーは、ポリエチレン,ポリプロピレン、エチレンアクリル酸、エチレンエチルアクリレート、エチレンアイオノマー、およびそれらの組合せからなる群より選択される成分を含む、ことを特徴とする請求項1から請求項12のいずれかに記載の包装システム。
前記剥離可能型シーリングは、約0.003未満である気密封止傾斜、および約5ミクロンより大きい極限シール厚さを有する、ことを特徴とする請求項16から請求項18のいずれかに記載の包装システム。
前記有機粘土は、200nm未満の少なくとも1つの空間寸法を有する複数の粒子を含む、ことを特徴とする請求項16から請求項19のいずれかに記載の包装システム。
前記有機粘土は、カオリナイト、モンモリロナイト−スメクタイト粘土、ベントナイト粘土、イライト粘土、およびそれらの組合せからなる群より選択される粘土を含む、ことを特徴とする請求項16から請求項20のいずれかに記載の包装システム。
前記熱可塑性ポリマーは、ナイロン、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、エチレンのコポリマー、プロピレンのコポリマー、エチレンビニルアセテート、およびそれらの混合物からなる群より選択される成分を含む、ことを特徴とする請求項16から請求項21のいずれかに記載の包装システム。
その中に収容された部材をさらに含み、前記部材が、滅菌された物体、電子部品、および個人用の衛生製品からなる群より選択される、ことを特徴とする請求項16から請求項22のいずれかに記載の包装システム。
前記収容器部は、ブリスター、トレー、バッグ、パウチ、およびそれらの組合せからなる群より選択される形状を有すること、を特徴とする請求項16から請求項24のいずれかに記載の包装システム。
前記剥離可能型シールは、約0.0026から約0.0032までの気密封止傾斜を有する、ことを特徴とする請求項26から請求項28のいずれかに記載の包装システム。
前記有機粘土は、200nm未満の少なくとも1つの空間寸法を有する複数の粒子を含む、ことを特徴とする請求項26から請求項29のいずれかに記載の包装システム。
前記有機粘土は、少なくとも20オングストロームの平均離隔および約50から約1000までの平均アスペクト比を有する小板を含む、ことを特徴とする請求項26から請求項30のいずれかに記載の包装システム。
前記有機粘土は、カオリナイト、モンモリロナイト−スメクタイト粘土、ベントナイト粘土、イライト粘土、およびそれらの組合せからなる群より選択される粘土を含む、ことを特徴とする請求項26から請求項31のいずれかに記載の包装システム。
前記熱可塑性ポリマーは、ナイロン、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、エチレンのコポリマー、プロピレンのコポリマー、エチレンビニルアセテート、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンアクリル酸、エチレンエチルアクリレート、エチレンビニルアセテート、エチレンアイオノマー、およびそれらの組合せからなる群より選択される成分を含む、ことを特徴とする請求項26から請求項32のいずれかに記載の包装システム。
前記熱可塑性ポリマーは、ナイロン、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、エチレンのコポリマー、プロピレンのコポリマー、エチレンビニルアセテート、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンアクリル酸、エチレンエチルアクリレート、エチレンビニルアセテート、エチレンアイオノマー、およびそれらの組合せからなる群より選択される成分を含む、ことを特徴とする請求項34に記載の包装システム。
前記有機粘土は、少なくとも20オングストロームの平均離隔および約50から約1000までの平均アスペクト比を有する小板を含む、ことを特徴とする請求項36から請求項40のいずれかに記載の包装システム。
前記有機粘土は、カオリナイト、モンモリロナイト−スメクタイト粘土、ベントナイト粘土、イライト粘土、およびそれらの組合せからなる群より選択される粘土を含む、ことを特徴とする請求項36から請求項41のいずれかに記載の包装システム。
前記熱可塑性ポリマーは、ナイロン、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、エチレンのコポリマー、プロピレンのコポリマー、エチレンビニルアセテート、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンアクリル酸、エチレンエチルアクリレート、エチレンビニルアセテート、エチレンアイオノマー、およびそれらの組合せからなる群より選択される成分を含む、ことを特徴とする請求項36から請求項42のいずれかに記載の包装システム。
前記熱可塑性ポリマーは、ナイロン、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、エチレンのコポリマー、プロピレンのコポリマー、エチレンビニルアセテート、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンアクリル酸、エチレンエチルアクリレート、エチレンビニルアセテート、エチレンアイオノマー、およびそれらの組合せからなる群より選択される成分を含む、ことを特徴とする請求項44に記載の包装システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
現時点で本発明者らが知っている、本発明を実践する最良の態様を構成する、現時点で好ましい本発明の組成物、実施形態および方法について、ここで詳細に説明する。添付図面は、必ずしも一定の縮尺で作成されているわけではない。しかしながら、開示された実施形態は本発明の単なる例証であり、様々な形態および代替的な形態にして実施され得ることを理解されたい。したがって、本明細書で開示された具体的な詳細は、限定としてではなく、本発明の任意の態様のための代表的な基礎としてのもの、および/または、当業者に対して本発明を様々に用いることを教示するための代表的な基礎としてのものにすぎないと解釈すべきである。
【0015】
実施例の中、またはそれ以外の明示的に示されている箇所を除いて、材料の量または反応および/もしくは使用の条件を示している本明細書の中のすべての数量は、本発明の最も広範な範囲の記述において「約」という単語により修正されるものとして理解されたい。述べられている数値制限の中での実施が一般に好ましい。また、そうでないと明示的に述べられていない限り、パーセント(%)、「の一部」、および比率の値は重量によるものであり、「ポリマー」という用語は「オリゴマー」、「コポリマー」、「ターポリマー」等を含み、本発明に関連した所与の目的にとって適した、または好ましい材料の群または種別についての記述は、この群または種別の構成物のうち任意の2つ以上の混合物が等しく適切である、または好ましいことを示唆しており、化学用語での構成要素の記述は、記述の中で特定された任意の組合せに対して追加するときの構成要素を指し、一旦混合された混合物の構成要素の間の化学的相互作用を必ずしも排除しておらず、頭字語またはその他の略語についての最初の規定は、同一の略語についての本明細書におけるすべての後続の使用に適用し、最初に規定された略語についての通常の文法的変形に対しても準用し、かつ、そうでないと明示的に述べられていない限り、特性の計測は、同一の特性について先にまたは後で言及したときと同一の技術により測定される。
【0016】
本発明は、具体的な成分および/または条件が当然ながら変化し得るため、以下で記述される具体的な実施形態および方法には限定されないこともまた理解されたい。さらには、本明細書で使用される専門用語は、本発明の特定の実施形態を記述する目的のためのみに使用され、いかなる点においても限定的になることは意図していない。
【0017】
明細書および添付の請求項において使用されるとき、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、そうでないと文脈が明らかに示していない限り複数の指示対象を含むことにもまた留意しなければならない。例えば、単数の成分への言及は、複数の成分を含むことを意図している。
【0018】
本出願全体を通して、公報が参照されている箇所では、これらの公報の開示はそれらの全体が、参照することで本出願中に組み込まれており、本発明が属する現状技術をより完全に記述する。
【0019】
本明細書で用いられるときの「有機粘土」という用語は、有機的に変性された粘土を意味する。典型的には、このような変性により、粘土はポリマーに対してより相溶性になり、したがって、より混和できるようになる。
【0020】
本明細書で用いられるときの「粘土層(複数可)」、「粘土シート(複数可)」、「粘土小板(複数可)」という用語は、スメクタイト粘土等の、積層された材料の個々の層を意味する。
【0021】
本明細書で用いられる「剥離有機粘土」(exfoliated organoclay)という用語は、有機粘土の少なくとも一部が複数の小板を含み、そこでは、これらの小板の間の分離が未変性の粘土中における小板の分離より大きく、かつ、小板の少なくとも一部は非平行状になっていることを意味する。典型的な未変性粘土中では、隣接した小板は平行状になる傾向がある。典型的には、剥離有機粘土の平均離隔は、約20オングストロームより大きくなる。約100ナノメートルより大きい平均離隔を有する粘土は、完全に剥離されている(exfoliated)とみなされる。有機粘土小板の個々の積層体は、それら自体がその他の積層体と結び付いて、積層体の凝集を形成し得ることもまた認識すべきである。このような凝集は、最大空間寸法により特徴付けられる。形態学の観点からは、走査型電子顕微鏡(SEM)または光学顕微鏡により、ポリマーマトリックス中の凝集のサイズについての情報が提供され、最大空間寸法は、ポリマーおよびポリマーブレンド中の有機粘土分布を表すのに使用される。大きな値の最大空間寸法は、有機粘土の良好な分散を表す。平均の最大空間寸法は、1ナノメートルから100ミクロンまでである。改良例では、平均の最大空間寸法は、1nmから100nmまでである。別の改良例では、平均の最大空間寸法は、1nmから1000nmまでである。別の実施形態では、直径は、1ミクロンから100ミクロンまでである。
【0022】
本明細書で用いられるときの「純ポリマー」または「純ポリマーブレンド」という用語は、無機充填材を含有しない熱可塑性ポリマー、または相異なる種類の熱可塑性ポリマーブレンドを意味する。
【0023】
本明細書で用いられるときの「剥離可能型シール」という用語は、シールが、試料幅2.54cm(1インチ)当たり226.8グラム[0.5ポンド(lb)]〜2268.0グラム[5ポンド(lb)]と、剥離してシールを開口する力との間の剥離力を有することを意味する。典型的には、上限は、試料幅の2.54cm(1インチ)当たり2268.0グラム[5ポンド(lb)]以下である。その他の変形例では、上限は、試料幅の2.54cm(1インチ)当たり1814.4グラム[4ポンド(lb)]以下であり、または、フィルム基材における引裂強度より小さい。
【0024】
本明細書で用いられるときの「剥離力」という用語は、ASTM F−88で規定されたように2つの層を分離させる力を意味し、ASTM F−88は、参照により組み込まれている。例えば、これは、2つの層を、2つの層を引き離すことにより2.54cm(1インチ)幅分離させるのに必要な力である。
【0025】
本明細書で用いられるときの「シール開始温度」という用語は、シールが2.54cm(1インチ)当たり226.8グラム[0.5ポンド(lb.)]の剥離力によって形成されることになる最低の温度を指す。具体的には、シール開始温度は、シールしてそれによりこのようなシーリングを促進しようとする1つの層または複数の層に接触している表面(典型的には金属)の温度である。幾つかの変形例では、表面は、約0.1秒から約2秒までの滞留時間で5psiから1200psiまでの圧力によって層(複数可)と接触する。
【0026】
本明細書で用いられるときの「剥離可能型シール温度範囲」という用語は、剥離力が、試料幅の2.54cm(1インチ)当たり226.8グラム[0.5ポンド(lb)]から〜試料幅の2.54cm(1インチ)当たり2268.0グラム[5ポンド(lb)]と、上記したようなフィルムを引き裂く力との間になるように2つの材料の間のシールが形成される温度の範囲を意味する。
【0027】
本明細書で用いられるときの「シーリング温度」という用語は、シールが2つの材料の間に形成される温度を意味する。
【0028】
本明細書で用いられるときの「気密封止傾斜」(caulking slope))という用語および「極限完全シーリング厚さ」という用語は、以下のように規定される。気密封止試験方法は、シーリング区域中において特定の厚さ(すなわち、汚染物質厚さ)の平角ワイヤを用いて間隙を導入して、ヒートシールプロセス(
図10を参照)の間にシーリング領域付近またはシーリング領域中に意図せずに導入された汚染物質をシミュレートする。シールされていない領域の面積は、光学顕微鏡を用いて計測する。シールされていない領域の面積がより低い測定値であることは、より良好な気密封止性と、気密シールを提供する能力の増強とを表す。シールされていない領域の面積は、汚染物質厚さの関数としてプロットされる。データは、線形回帰(例えば、最小二乗法)により当てはめ、気密封止傾斜は、近似線の傾斜である。極限完全シーリング厚さは、非シール領域がゼロのときの汚染物質厚さである。より高い極限完全シーリング厚さは、高い気密封止性を示す。
【0029】
本発明の一実施形態では、剥離可能型シーリング構造が提供される。剥離可能型シーリング構造は、その全開示が参照することでこれにより組み込まれた特許文献1に記載された構造を超えた改善を提供する。剥離可能型シール部は、第1のシーリング層および第2のシーリング層を含み、第1のシーリング層が第2のシーリング層と接触して剥離可能型シールを形成するようになっている。第1のシーリング層は、熱可塑性ポリマーまたは熱可塑性ポリマーのブレンドと、熱可塑性ポリマーまたは熱可塑性ポリマーブレンド内に分散された有機粘土と、熱可塑性ポリマーまたは熱可塑性ポリマーブレンド内に分散された炭酸カルシウム等の無機添加剤成分とを含む。
【0030】
有機粘土と炭酸カルシウムとの組合せは相乗的に働いて、第1のシーリング層および第2のシーリング層が一緒にシールされるときに、第1のシーリング層が剥離可能型シールを生成するようになる。具体的には、本発明のいくつかの実施形態は、接着方式Aの破断機構(Adhesive Type A failure mechanism)(参照することでこれにより組み込まれた特許文献1を参照)により剥離して開口する、剥離可能型シールを有利に形成する。一改良例では、本発明により形成された剥離可能型シールは、試料幅の2.54cm(1インチ)当たり226.8グラム[0.5ポンド(lb)]から試料幅の2.54cm(1インチ)当たり2268.0グラム[5ポンド(lb)]までの剥離強さを有する。別の改良例では、本発明により形成された剥離可能型シールは、試料幅の2.54cm(1インチ)当たり453.6グラム[1.0ポンド(lb)]から試料幅の2.54cm(1インチ)当たり2041.2グラム[4.5ポンド(lb)]までの剥離強さを有する。さらに別の改良例では、本発明により形成された剥離可能型シールは、試料幅の2.54cm(1インチ)当たり453.6グラム[1.0ポンド(lb)]から試料幅の2.54cm(1インチ)当たり1814.4グラム[4.0ポンド(lb)]までの剥離強さを有する。
【0031】
本発明により形成された剥離可能型シールは、ASTM F88に記載されたようなシール強さによってもまた特徴付けられる。シール強さは、シールが形成された時点で試験して計測する。好ましい条件は、室温まで冷却された、新たに形成された剥離可能型シールのシール強さを1分以内に計測することである。一改良例では、剥離可能型シールは、226.8グラム[0.5ポンド(lb)]から2268.0グラム[5ボンド(lb)]までのシール強さを有する。別の改良例では、剥離可能型シールは、453.6グラム[1ポンド(lb)]から1587.6グラム[3.5ポンド(lb)]までのシール強さを有する。
【0032】
本実施形態の剥離可能型シールは、気密封止傾斜および極限完全シーリング厚さ(汚染物質厚さ)によってもまた特徴付けられる。一改良例では、気密封止傾斜は、0.0032以下である。さらなる改良例では、気密封止傾斜は、0.001から0.0032までである。別の改良例では、気密封止傾斜は、0.0026から0.0032までである。なお別の改良例では、気密封止傾斜は、0.0025から0.003までである。やはり別の改良例では、気密封止傾斜は、0.0027から0.003までである。典型的には、極限完全シーリング厚さは、5ミクロンより大きい。一改良例では、極限完全シーリング厚さは、5ミクロンから400ミクロンまでである。別の改良例では、極限完全シーリング厚さは、5ミクロンから300ミクロンまでである。
【0033】
特許文献1に記載されているように、有機粘土は、剥離可能型シーラント配合物中の寄与成分である。有機粘土なしでは、炭酸カルシウムが剥離可能型シールを生成しないことは指摘すべきである。さらに、有機粘土と炭酸カルシウムとの組合せにより、高品質の剥離可能型シールを生成するのに要求される有機粘土はより少なくて済む。有機粘土は、炭酸カルシウムと比較すると比較的高価な成分なので、有機粘土と炭酸カルシウムとの組合せは、かなりのコスト低減をもたらす。有機粘土と炭酸カルシウムとを合わせた重量は、熱可塑性ポリマーと有機粘土と炭酸カルシウムとを合わせた重量の約10重量%から約35重量%までである。有機粘土は、熱可塑性ポリマーと有機粘土と炭酸カルシウムとを合わせた重量の5重量%から20重量%までの量で存在する。炭酸カルシウムは、熱可塑性ポリマーと有機粘土と炭酸カルシウムとを合わせた重量の6重量%から25重量%までの量で存在する。幾つかの改良例では、炭酸カルシウムの有機粘土に対する比率は、0.4から2.5までの範囲に及ぶ。第1のシーリング層は、第2のシーリング層の表面と接触して剥離可能型シールを形成するシーリング表面を含む。剥離可能型シールは、シーリング幅2.54cm(1インチ)当たり226.8グラム[0.5ポンド(lb)]から2268.0グラム[5ポンド(lb)]の間の剥離力により特徴付けられる。
【0034】
一変形例では、シーリング表面は、剥離可能型シール温度範囲内の、つまり、シール開始温度からシール開始温度より少なくとも10℃(50°F)高い温度までのすべての温度において、剥離可能型シールに成形可能である。一改良例では、剥離可能型シール温度範囲は、シール開始温度からシール開始温度より少なくとも24℃(75°F)高い温度までである。なお別の改良例では、剥離可能型シール温度範囲は、シール開始温度からシール開始温度より少なくとも37.8℃(100°F)高い温度までである。典型的には、包装用途に関して、シール開始温度は、約76.7℃(約170°F)から約215.6℃(約420°F)までの範囲にわたる。一改良例では、シール開始温度は、約76.7℃(約170°F)から約176.7℃(約350°F)までの範囲にわたる。包装用途用の別の改良例では、シール開始温度は、約76.7℃(約170°F)から約132.2℃(約270°F)の範囲にわたる。すべての上記の温度制限は、積層、共押出、またはコーティングによる外側層の耐熱性に伴って変動し得る。例えば、外側層がHDPEである場合、シール温度の上限は約132.2℃(約270°F)であり、外側層が配向されたポリエステルである場合、温度上限は約215.6℃(約420°F)である。
【0035】
一般に、剥離可能型シーリング構造体は、シーリング用途に有用な多層構造体である。このような積層された構造体は、有機粘土と追加的な添加剤とを含むシーリング層を包含し、該追加的な添加剤は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水和されたケイ酸マグネシウム(タルク)、酸化チタン、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、アルミン酸バリウム、ホウ酸バリウム、ケイ酸バリウムおよびそれらの組合せからなる群より選択される。多層シーリング構造体の一変形例は、式1:
L
1/...../L
n/P (1)
により記述され、
式中、Pは、有機粘土と炭酸カルシウム等の無機充填材と追加的な添加剤成分とを含むシーリング層であり、L
1からL
nは支持基体の中の層を表しシーリング層がその上に配置され、nは、支持基体中の層の数を表す整数である。支持基体は、以下に記載されているように、1つまたは複数のポリマー性層(剛性または可撓性)を通常は含む。典型的には、nが1から10までの整数である。このような多層構造体の例は、下記の構造体、L
1/P、L
1/L
2/P、L
1/L
2/L
3/P、L
1/L
2/L
3/L
4/P、L
1/L
2/L
3/L
4/L
5/P、L
1/L
2/L
3/L
4/L
5/L
4/L
5/L
6/P、L
1/L
2/L
3/L
4/L
5/L
4/L
5/L
6/L
7/Pを有する。多層シーリング構造体の別の変形例は、式2:
L
1/...../L
n/P/L
f (2)
により記述され、
式中、Pは、有機粘土と炭酸カルシウム等の無機充填材と追加的な添加剤成分とを含むシーリング層であり、L
1からL
nは、支持基体の中の層を表しシーリング層がその上に配置され、L
fは、L
nとは反対側のPの上に配置された追加的な剥離不可能型シーラントポリマー性層であり、nは、支持基体中の層の数を表す整数である。支持基体は、以下で記載されているように、1つまたは複数のポリマー性層を通常は含む。典型的には、nは1から10までの整数である。このような多層構造体の例は、下記の構造体、L
1/P/L
f、L
1/L
2/P/L
f、L
1/L
2/L
3/P/L
f、L
1/L
2/L
3/L
4/P/L
f、L
1/L
2/L
3/L
4/L
5/P/L
f、L
1/L
2/L
3/L
4/L
5/L
4/L
5/L
6/P/L
f、L
1/L
2/L
3/L
4/L
5/L
4/L
5/L
6/L
7/P/L
fを有する。本実施形態は、シーリング構造体が単一層Pを含む変形例もまた包摂する。
【0036】
別の実施形態では、上記に記載された剥離可能型シーリング構造体を用いた剥離可能型シールが提供される。一般に、これらの剥離可能型シールは、式3:
L
1/...../L
n/P
*S (3)
により記述され、
式中、Sは、シーリング構造体がシールされる基材であり、Pはシーリング層であり、L
1からL
nは、支持基体の中の層を表しシーリング層がその上に配置され、nは、支持基体中の層の数を表す整数であり、基材は、有機粘土も炭酸カルシウムも含有しない。記号
*は、PおよびSが一緒にシールされている(例えば、結合しているまたは接着されている)ことを表す。より具体的な変形例では、剥離可能型シールは、式4:
L
1/...../L
n/P
*P’/L’
n’/...../L’
1(4)
により記述され、
式中、PおよびP’は独立に、有機粘土と炭酸カルシウム等の無機充填材と追加的な添加剤コンポーネントとを含むシーリング層であり、L
1からL
nは、基材の中の層を表しシーリング層Pがその上に配置され、L’
1からL’
nは、基材の中の層を表しシーリング層P’がその上に配置され、nは、Pの下にある基体中の層の数を表す整数であり、n’は、P’の下にある基体中の層の数を表す整数である。記号
*は、PおよびP’が一緒にシールされている(例えば、結合しているまたは接着されている)ことを表す。典型的には、nおよびn’は、それぞれ独立に、1から10までの整数である。本実施形態は、シーリング構造が単一層であり、そこでは、シールがP
*Pである変形例もまた企図している。一改良例では、包装システムは、剥離可能型シールを含むシーリング部に付着した収容器部を含む。本シーリング部は、設計により、P
*Pシールにおいて分離するようになっていることを認識すべきである。一改良例では、このような分離は、離層機構(delamination mechanism)によるものである。
【0037】
別の実施形態では、上記に記載された剥離可能型シーリング構造体を用いた剥離可能型シールが提供される。一般に、これらの剥離可能型シールは、式5:
L
1/...../L
n/P/L
f*S (5)
により記述され、
式中、Sは、シーリング構造体がシールされる基材であり、Pはシーリング層であり、L
1からL
nは、支持基体の中の層を表しシーリング層がその上に配置され、L
fは、第1のシーリング層の上に配置された追加的な層であり、nは、支持基体中の層の数を表す整数である。記号
*は、PおよびSが一緒にシールされている(例えば、結合しているまたは接着されている)ことを表す。基材Sは、多層構造体L
1/...../L
n/P/L
fを接着することができる任意の材料を含む。適切な基材の例は、限定されるわけではないが、多層構造体(つまり、式1により提供されるのと類似した構造物のものまたは異なる設計のもの)、プラスチック、および金属を含む。別のより具体的な変形例では、剥離可能型シールは、式6:
L
1/...../L
n/P/L
f*P’/L’
f/L’
n/...../L’
1 (6)
により記述され、
式中、PおよびP’は独立に、有機粘土と炭酸カルシウム等の無機充填材と追加的な添加剤コンポーネントとを含むシーリング層であり、L
1からL
nは、基材の中の層を表しシーリング層Pがその上に配置され、L’
1からL’
nは、基材の中の層を表しシーリング層P’がその上に配置され、L
fは、シーリング層Pの上に配置された追加的な層であり、L’
fは、シーリング層Ρ’の上に配置された追加的な層であり、nは、Pの下にある基体中の層の数を表す整数であり、n’は、P’の下にある基体中の層の数を表す整数である。典型的には、nおよびn’は、それぞれ独立に、1から10までの整数である。一改良例では、包装システムは、剥離可能型シールを含むシーリング部に付着した収容器部を含む。記号
*は、PおよびL’
fが一緒にシールされていることを表す。本シーリング部は、設計により、P
*Pシールにおいて分離するようになっていることを認識すべきである。一改良例では、このような分離は、離層機構(delamination mechanism)によるものである。
【0038】
式1〜式6により記述されたシーリング構造体の変形例では、多層構造体の合計厚さは、約5ミクロンから約78ミクロンまでである。一改良例では、多層構造体の合計厚さは、約15ミクロンから約75ミクロンまでである。別の改良例では、多層構造体の合計厚さは、約35ミクロンから約75ミクロンまでである。式1〜式6により記載された多層構造体の別の変形例では、シーリング層は、典型的には、約2.5ミクロンから約130ミクロンまでの厚さを有する。一改良例では、シーリング層は、約5ミクロンから約50ミクロンまでの厚さを有する。
【0039】
図1A、
図1B、
図1C、
図1D、および
図1Eを参照すると、本発明の包装システム中に用いられる剥離可能型シーリング構造体の例示が提供される。多層構造体は、共押出インフレートフィルム、キャストフィルム、接着式積層、押出積層、押出コーティング、表面印刷プロセスもしくは表面コーティングプロセス、またはそれらの組合せにより構築され得る。この実施形態では、剥離可能型シーリング構造体は、基材に付着して、剥離可能型シールまたはシーリング部を形成している。
図1Aは、単一層シーリング構造体の概略的断面である。この変形例では、剥離可能型シーリング構造体10
1は、シーリング層12を含む。
図1Bは、式1に適合する二層シーリング構造体の概略的断面である。剥離可能型シーリング構造体10
2は、シーリング層12および追加的な層14を含む。
図1Cは、式1に適合する三層シーリング構造体の概略的断面である。この変形例では、剥離可能型シーリング構造体10
3は、シーリング層12および追加的な層14、16を含む。
図1Dは、式1に適合する五層シーリング構造体の概略的断面である。この変形例では、剥離可能型シーリング構造体10
4は、シーリング層12および追加的な層14、16、18、19を含む。
図1Eは、式2のシーリング構造体に適合する三層シーリング構造体の概略的断面である。この変形例では、剥離可能型シーリング構造体10
4は、追加的な層14、17の間に配置されたシーリング層12を含む。層14または層17のいずれかは、剥離不可能型シーラント層であり、それ自体にシールする、または基材にシールすることが可能になっている。シーリング層12は、開封の際に離層を可能にする。式1〜式6において記載されたような追加的な層を有するシーリング構造体への一般化は、簡単である。
図1A、
図1B、
図1C、
図1D、および
図1Eの変形例のそれぞれにおいて、シーリング層12は、熱可塑性ポリマーと、熱可塑性フィルム内に分散された有機粘土と、熱可塑性ポリマー内に分散された追加的な添加剤(例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、タルク、ケイ酸バリウム)を含む添加剤とを含むことを認識すべきである。シーリング層12は、収容器の基材部と接触して剥離可能型シールを形成するように適用されている。このような収容器は、物体を包装するのに有用な事実上任意の形状のものであってよい。このような形状の例としては、限定されるわけではないが、ブリスター、トレー、バッグ、パウチ、およびそれらの組合せを含む。
【0040】
上記に記載された組成物から形成されたシーリング層は、以下でより完全に記述するようにシール中に組み込まれたとき、改善された均質な剥離性能を有する。剥離可能型シーリング構造体10
1、10
2、10
3、10
4、および10
5(集合としては、剥離可能型シーリング構造体10)を利用してシールされた界面は、一貫したパターンで剥離する。シールの気密的完全性は、フィルム供試体が、垂直型充填シール(VFFS)、水平型充填シール(HFFS)、およびフローラッププロセスによる、様々なバッグ/パウチ包装様式におけるしわ、ひだおよびガセットの形状を含むときでさえも損なわれない。剥離可能型シーリング構造体10は、下記の組合せにおいて、剥離を可能とする一貫した挙動を示する。すなわち、1)類似したまたは同一の組成物の別のシーリング層と接触しているシーリング層12、2)純シーラントから形成された構造体と接触しているシーリング層12(例えば、純ポリプロピレン層に接した有機粘土−炭酸カルシウム/ポリエチレンおよび/またはポリエチレンコポリマー層、純ポリエステル層に接した有機粘土−炭酸カルシウム/ポリエチレン層、純ポリエチレン層に接した有機粘土−炭酸カルシウム/ポリエチレン層)。ブロッキング防止剤、抗酸化剤、滑剤、熱安定剤、可塑化剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、染料、顔料、加工助剤、離型剤等のような加工助剤は、シーリング層中に場合により含められ、シーリング構造体10の剥離パターンには影響しない。
【0041】
追加的な層14、16、18、19、20、21、22および23(即ち、層L
1〜L
10および層L
f)を用いて、幾つかの本実施形態にとって有用な特徴を提供する。例えば、追加的な層14、16および18は、構造的支持、耐熱性、バリア特性、および改善された外観を、剥離可能型シーリング区画を組み込んだ包装システムに提供することができる。本実施形態は、単一層剥離可能型シーリング構造体に加えて、積層、共押出または被覆された構造を含む形態の任意の数の追加的な層を有する多層構造体を包摂することもまた認識すべきである。本実施形態の各変形例では、多層シーリング構造は、本明細書で記述された組成物を有する剥離可能型シールを含む。
【0042】
図2A、
図2B、および
図2Cを参照すると、式1〜式6に記載された剥離可能型シーリング構造体」を組み込んだ包装システムが記述されている。
図2Aは、本発明の剥離可能型シーリング構造の一実施形態を組み込んだパウチ状包装システムの断面である。
図2Bは、本発明の剥離可能型シーリング構造体の一実施形態を組み込んだパウチ状包装システムの側面図である。包装システム20は、収容器部22および剥離可能型シーリング部24を含む。剥離可能型シーリング部24は、収容器部22に付着している。
図2Aは、剥離可能型シーリング部24および収容器部22が連続しており、それぞれが同一の多層構造体(すなわち、シート)から形成されている一例を図示している。収容器部22は、ピローフローラップ(pillow flow wrap)のパウチ、四方シールのパウチまたはガセット付のパウチ等のパウチの中に物体を包装するのに有用な、事実上任意の形状を有し得る。シーリング部24は、剥離可能型シーリング構造体10を含む。
図2Aに図示された変形例では、剥離可能型シーリング構造体10は、追加的な層14上に配置されたシーリング層12を含む。
図1A、
図1B、および
図1Cの記述と関連して上記に記載したように、シーリング層12は、熱可塑性ポリマーを、該熱可塑性ポリマー内に分散された添加剤としての有機粘土および炭酸カルシウムと共に含む。
【0043】
図2Aおよび
図2Bをなお参照すると、包装システム20は、剥離可能型シーリング構造体10と接触して剥離可能型シール30を形成している第2のシーリング構造体10’をさらに含む。シール30は、包装システム20の上側部32の開封部をシールしている。同様の剥離可能型シールは、場合により、下側部34、左側部36、および右側部38に位置決めされてもよい。剥離可能型シーリング構造体10’は、追加的な層(複数可)14上に配置されたシーリング層12もまた含む。具体的には、追加的な層(複数可)14上に配置されたシーリング層12の組合せの第1の部分は、シーリング構造体10を形成し、一方で、追加的な層44上に配置されたシーリング層12の組合せの第2の部分は、シーリング構造体10’を形成する。シーリング構造体10、10’は、収容器部22と連続している。本実施形態の一変形例では、追加的な層(複数可)14上に配置されたシーリング層12の組合せの第3の部分は、少なくとも部分的に収容器部22を形成している。有利なことに、包装システム20は、物体(複数可)40(すなわち、1個の物体であってもよくまたは複数の物体であってもよい)を収容するように適用されている。包装され得る物体(複数可)40の例は、限定されるわけではないが、食品製品および滅菌された物体(例えば、個人用の衛生用品、オムツ用の裏張り(diaper liner)、ペット用製品等のような医療用デバイスおよび非食品製品)を含む。
【0044】
図2Cを参照すると、式5および式6の剥離可能型シーリング構造体を組み込んだ包装システムが提供されている。
図2Cは、このような包装システムの断面である。包装システム20は、収容器部22および剥離可能型シーリング部24を含む。剥離可能型シーリング部24は、収容器部22に付着している。
図2Cは、剥離可能型シーリング部24および収容器部22が連続しており、それぞれが同一の多層構造体(すなわち、シート)から形成されている一例を図示している。収容器部22は、ピローフローラップのパウチ、四方シールのパウチまたはガセット付のパウチ等のパウチの中に物体を包装するのに有用な事実上任意の形状を有し得る。シーリング部24は、剥離可能型シーリング構造体10を含み、そこでは、シーリング層12が層17と層44との間に介在している。
【0045】
図3Aおよび
図3Bを参照すると、パウチ状包装システム中に使用されるような剥離可能型シーリング部24の変形例が例示されている。
図3Aは、シーリング層12が剥離可能型シーリング部24の近傍に実質的に限局されている一改良例の概略的断面である。この変形例は、有機粘土の組込みを限局すること、またはシーリング構造体24の近傍に別個の層を堆積することのいずれかにより実現される。この変形例は、内層42および1つまたは複数の追加的なポリマー層(複数可)14をさらに含む。
図3Bは、包装システム20が第2のシーリング層46を含み、剥離可能型シール30が第1のシーリング層12と第2のシーリング層46との間に形成されている一改良例の概略的断面である。この後者の改良例では、シーリング層12は、収容器部22の中には、もしあったとしても最小限だけ延在している。さらに、この改良例では、収容器部22は、場合により、第1のシーリング層12とは異なる裏張り層(liner layer)42を含む。この変形例のさらなる改良例では、シーリング部24は、第1のシーリング層12および/または第2のシーリング層46の上に配置された1つまたは複数の追加的なポリマー層(複数可)14をさらに含む。この改良例の特に有用な例では、1つまたは複数の追加的なポリマー層(複数可)14は、少なくとも部分的に収容器部22を形成する。
【0046】
図4Aおよび
図4Bを参照すると、剛性の収容器部を有する本発明の剥離可能型シーリング構造体を用いた包装システムの変形例が例示されている。
図4Aは、本発明の剥離可能型シーリング構造体を使用したカップ状包装システムの概略的断面を提供している。包装システム50は、剥離可能型シーリング構造体10と、収容器部54のシーリング開口52を含む。剥離可能型シーリング構造体10の周縁部は、収容器部54の基材部56の上に配置されて接触している。
図4Bは、複数のカップ状収容器を組み込んだブリスター包装システムの概略的断面を提供している。ブリスター包装システム60は、剥離可能型シーリング構造体12と、収容器部66、68のシーリング開口62、64を含む。剥離可能型シーリング構造体12の一部は、収容器部66、68の基材部70、72の上に配置されて接触している。
【0047】
本発明の様々な実施形態の剥離可能型シーリング層12は、炭酸カルシウム等の無機添加剤を含む。炭酸カルシウムは複数の粒子を含む。一改良例では、粒子は、0.5ミクロンから20ミクロンの平均直径を有する。別の改良例では、粒子は、0.7ミクロンから10ミクロンの平均直径を有する。やはり別の改良例では、粒子は、0.7ミクロンから3ミクロンの平均直径を有する。炭酸カルシウムは、天然の炭酸カルシウム、表面処理(例えばステアリン酸コーティング)によって活性化された炭酸カルシウム、または沈殿物炭酸カルシウムであってよい。
【0048】
本発明の様々な実施形態の剥離可能型シーリング層12は、有機粘土を含む。有機粘土は、有機表面変性された粘土を主体としている。有用な粘土の例は、天然または合成の層状酸化物であり、限定されるわけではないが、ベントナイト、カオリナイト、モンモリロナイト−スメクタイト、ヘクトライト、フルオロヘクトライト、サポナイト、バイデライト、ノントロナイト、イライト粘土、およびそれらの組合せを含む。有機粘土は、有機オニウムイオンまたはホスホニウイムイオンによって通常は表面変性される。オニウムイオンは、プロトン化された第一級アミン、第二級アミン、第三級アミンまたは第四級アンモニウムイオン(R
4N)
−であってよい。
【0049】
特許文献2、特許文献3、特許文献4、および特許文献5は、本発明を実施するのに有用な有機粘土の具体例を提供している。これらの特許のそれぞれの全開示は、参照することで本明細書に組み込まれている。本発明の一改良例では、有機粘土は、熱可塑性ポリマーと、有機粘土と、追加的な無機添加剤とを合わせた重量の1重量%から20重量%までの量で存在する。本実施形態の別の改良例では、有機粘土は、熱可塑性ポリマーと、有機粘土と、追加的な無機添加剤とを合わせた重量の2重量%から10重量%までの量で存在する。
【0050】
有機粘土は、典型的には、複数の粒子を含む。これらの個々の粒子は、幾つかのプロセスを介したより大きな塊に由来でき、前記プロセスは最も好ましくは、粘土を親水性から疎水性の有機粘土に変換して個々の層を分離する、イオン交換と呼ばれる周知のプロセスである。このプロセスにより、さらなる加工を経ても分離されたままになる粒子を生じさせる。このプロセスによる有機粘土は、次いでポリマーに導入してさらに分離し、剥離粘土(exfoliated clay)にする。一変形例では、有機粘土は、200nm未満の少なくとも1つの空間寸法を有する複数の粒子を含む。別の変形例では、有機粘土は、100nm未満の少なくとも1つの空間寸法を有する複数の粒子を含む。別の変形例では、有機粘土は、50nm未満の少なくとも1つの空間寸法を有する複数の粒子を含む。なお別の変形例では、有機粘土は、1nm以上の空間寸法を有する複数の粒子を含む。なお別の変形例では、有機粘土は、5nm以上の空間寸法を有する複数の粒子を含む。別の変形例では、有機粘土は、少なくとも20オングストロームの平均離隔を有する小板を含む。やはり別の変形例では、有機粘土は、少なくとも30オングストロームの平均離隔を有する小板を含む。なお別の変形例では、有機粘土は、少なくとも40オングストロームの平均離隔を有する小板を含む。典型的には、熱可塑性ポリマーと合わせる前に、有機粘土は、20オングストロームから45オングストロームまでの間の平均離隔を有する小板を含む。有利なことに、熱可塑性ポリマーと合わせる際に、有機粘土は、完全にまたは部分的に剥離した状態に留まっており、平均離隔が維持、減少、または増大するようになっている。本実施形態の一変形例では、有機粘土が100m
2/グラムより大きい表面積および10より大きいアスペクト比を有することは有用である。一改良例では、有機粘土小板は、約50から約1000までの平均アスペクト比を有する。
【0051】
上記に記載されたように、剥離可能型シーリング層12は、熱可塑性ポリマーもまた含む。適切な熱可塑性ポリマーは、限定されるわけではないが、ナイロン、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、およびそれらの混合物を含む。一変形例では、熱可塑性ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテート、エチレンアクリル酸、エチレンエチルアクリレート、エチレンアイオノマー(例えば、E.I.du Pont de Nemours and Companyから入手可能な樹脂のSurlyn(登録商標)系列)、およびそれらの組合せからなる群より選択される成分を含む。ポリオレフィンは、本発明の実施において特に有用な熱可塑性ポリマーである。一変形例では、ポリオレフィンは、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、およびそれらの組合せのホモポリマーおよびコポリマーからなる群より選択される。エチレンビニルアセテート(「EVA」)およびポリオレフィンとエチレンビニルアセテート(「EVA」)コポリマーとのブレンドは、特に添加剤が有機粘土である場合、剥離可能型シールを形成するのに特に有用であると判明している。EVAは、エチレンおよび酢酸ビニルのコポリマーである。EVA中の酢酸ビニルの量は、3重量%から40重量%までで変動する。酢酸ビニルの量の例示的な例は、4%、5.5%、6%、18%および33%である。追加的な層(例えば、式1〜式6と関連して上記に記載された層L
1〜L
n、L’
1〜L’
n’、L
f)は、シーリング層中に含められた同一の熱可塑性純ポリマーから形成され得ることもまた認識すべきである。
【0052】
本発明の様々な実施形態の収容器部は、包装するために使用される事実上任意の材料から形成される。このような材料は、限定されるわけではないが、紙または板紙、金属箔、ポリマー性シート、金属化されたまたはそうでないなら被覆されたポリマー性シート、およびそれらの組合せを含む。より具体的な例は、接着式積層、押出積層、共押出またはコーティングプロセスから製作された、配向または非配向ポリエステル、配向または非配向ポリプロピレン、配向または非配向ナイロン、およびそれらの組合せを含む。これらの材料のそれぞれは、被覆されていてもまたは被覆されていなくてもよい。有用なコーティングの例は、限定されるわけではないが、ワニス、ラッカー、接着剤、インク、およびバリア材料(すなわち、PVDC)を含む。医療用デバイスを包装するのに有用な材料は、高密度ポリオレフィンを含む。Tyvek(登録商標)(Dupont,Inc.から市販の高密度ポリエチレン繊維から作製された合成材料)は、医療用デバイスを包装するために使用されるこのような材料の一例である。
【0053】
上記に記載された包装システムの一変形例では、包装システムは、改善された加工効率を可能にするのに有利な高い熱的伝導率を有してしていることが観察されている。一般に、包装システムは、約0.40w/m
*Kから約10w/m
*Kまでの熱的伝導率を有する。一改良例では、包装システムは、約0.40w/m
*Kより高い熱的伝導率を有する。別の改良例では、包装システムは、0.60w/m
*Kより高い熱的伝導率を有する。なお別の改良例では、包装システムは、約0.80w/m
*Kより高い熱的伝導率を有する。典型的には、包装システムは、約10w/m
*K未満の熱的伝導率を有する。
【0054】
本発明のさらに別の実施形態では、上記に記載された包装システムを形成する方法が提供される。
図5を参照すると、この実施形態の方法を例示する図面が提供されている。熱可塑性ポリマー(「TP」)を有機粘土(「OC」)および無機添加剤炭酸カルシウム(「CC」)と合わせて、有機粘土/炭酸カルシウム−ポリマー複合材料(「OC/CCB」)をステップa)において形成する。一変形例では、このプロセスを押出機80中で実行する。シーリング層12を次いで、ステップb)において金型82からの押出により、有機粘土/炭酸カルシウム−ポリマー複合材料から形成する。一変形例では、追加的な層は、材料を追加的な押出機(押出機90等)から金型82に供給することにより形成される。本実施形態の一改良例では、熱可塑性ポリマーおよび有機粘土/炭酸カルシウムは、混合機84中で予め混合し、次いで、押出機80中に導入する。典型的には、シーリング層12を、(
図1A〜
図1Eに図示されているような)1つまたは複数の追加的な層14、16、18、19と一緒に形成し、またはその上に形成する。開口された包装システム20を次いで、ステップc)において形成する。このプロセスは、側面をシールして
図2〜
図4のパウチ構造を生み出すステップを含み得る。一変形例では、開口された包装システム20の形成はステップb)中で実行される。
【0055】
本実施形態の一変形例では、有機粘土マスターバッチおよび炭酸カルシウムマスターバッチを純ポリマーと混合することにより、熱可塑性ポリマーが、有機粘土および炭酸カルシウム等の無機添加剤と合わせられる。一変形例では、炭酸カルシウムマスターバッチは、炭酸カルシウムと、熱可塑性ポリマーの一部とを含む。一改良例では、炭酸カルシウムマスターバッチは、典型的には、10重量%から80重量%までの炭酸カルシウムを含む。別の変形例では、有機粘土マスターバッチは、有機粘土と、熱可塑性ポリマーの少なくとも一部とを含む。一改良例では、マスターバッチは、典型的には、10重量%から80重量%までの有機粘土を含む。
【0056】
炭酸カルシウムは、その熱的伝導率で周知である(非特許文献1)。炭酸カルシウムの熱的伝導率は、2.7W/(m
*K)であり、純ポリオレフィンに関しては、それは通常、0.5W/(m
*K)未満である。炭酸カルシウムのシーラント配合物への導入は、ポリマー樹脂を素早く加熱して溶融させる能力を提供する。一方、粘土は、高い蓄熱容量を有する。それは、熱をより長く保持する傾向がある。有機粘土と炭酸カルシウムとの組合せは、相乗効果を付与し、緩やかな冷却によるシーラントの素早い溶融を容易にし、これによりポリマーブレンドが流路を流れて気密封止する時間を可能にし、改善された気密封止性(caulkability)を提供する。
【0057】
シーリング層12を形成するステップは、層またはフィルムを熱可塑性組成物から生成することが可能な任意の方法により達成される。このような方法の例は、限定されるわけではないが、押出、共押出、押出コーティング、ブロー成形、鋳造、押出ブロー成形、およびインフレート法(film blowing)を含む。
【0058】
なお
図5を参照すると、本実施形態の方法は、場合により、対象物(複数可)40を、開口された包装システム20内に置くこと(ステップd)をさらに含む。典型的には、対象物(複数可)40は、収容器部22内にある。対象物(複数可)40を収容器部22内に置いた後、シーリング層12を、シーリング基材(すなわち、シーリング構造体10’)とステップe)中に接触させて、シールを形成する。シーリングは、任意の数の当分野で公知なシーリング方法により達成され得る。例としては、限定されるわけではないが、伝導式熱シーリング、超音波シーリング、インパルス式熱シーリングおよび誘導シーリングを含む。
【0059】
下記の例は、本発明の様々な実施形態を例示している。当業者は、本発明の趣旨および請求項の範囲内である多数の変形例を認めることになろう。
【実施例1】
【0060】
有機粘土および炭酸カルシウムを含有するシーラントの比較
五層フィルムを調製して、HDPE/LLDPE/LLDPE/つなぎ材(tie)/シーラント層を含有するようにした。シーラント層は、ポリエチレン(Exact3131、ExxonMobil社製)とEVA(18%酢酸ビニル添加Ateva1811、Celanese Corporation社製)とのブレンド中に、10.4重量%の炭酸カルシウムを含有しており、有機粘土は含有していなかった。CaCO
3マスターバッチ(CCMB)は、約80重量%のCaCO
3を含有する独自開発の(proprietary)配合物だった。CCMBは、Heritage Plastics社において、HM−10MAXの商品名(メルトフローインデックス1.40g/10分、密度1.92g/cm
3)のもとで作製されていた。このフィルムを、有機粘土シーラント層を有しかつ炭酸カルシウムを有さない第2のフィルム(フィルム1)と比較した。このフィルムは、特許文献1の
図7Aにおいて、5%粘土として論じられた。有機粘土マスターバッチ(OCMB)は、PolyOneにより商品名EXP MB 231−615のもとで製造された、約60重量%の有機粘土を含有する独自開発の配合物だった。剥離力をLako SL−10上で試験した。これらのフィルムを、35psiの圧力、0.33秒の滞留時間および20秒の冷却時間で、平坦なシールバーに端から端まで(fin to fin)シールした。
図6は、これらの2種のフィルムから形成されたシールに関しての、剥離力 対 温度のプロットを提供した。炭酸カルシウムシーラントを含有するフィルムは、87.8℃(190°F)において1125g/cm[6.3ポンド/インチ(lb/in)]の剥離力によってシールしたときに剥離可能だった。シール温度が96.1℃(205°F)に上昇したとき、シールは、シール部位に溶着していてはがれて離れることができず、これらのフィルムのうち幾つかは、剥離中にシール縁部において断裂した。フィルムは剥離可能ではなかったので、計測された力は、正確には剥離力を表していなかった。プロットに関しては、1181g/cm[3000グラム/インチ(g/in)(6.8ポンド/インチ(lb/in))]の剥離力が記録された。シーラント組成物を含有する有機粘土/炭酸カルシウムの場合、シールは、
図6に示したように、87.8℃(190°F)から126.7℃(260°F)までの幅広いシール温度範囲にわたって剥離可能だった。
【実施例2】
【0061】
有機粘土と炭酸カルシウムとのブレンドを含有するシーラント
フィルム試料2、3、4、5および6を試験のために調製した。それらは、HDPE/LLDPE/LLDPE/つなぎ材(tie)/シーラント層を含有する五層フィルムであった。これらのフィルムのシーラントブレンドを配合して、異なる比率の有機粘土および炭酸カルシウムを含有するようにした。フィルム2は、78重量%のEVA(18%酢酸ビニル、Ateva1811、Celanese Corporation社製)、10重量%のメタロセンLLDPE(Exact3131)、6重量%のOCMBおよび6重量%のCCMBを含有する。OCMBは、約60重量%の有機粘土を含有しており、PolyOne社から商品名EXP MB 231−615のもとで入手できる。CCMBは、HM−10MAX(メルトフローインデックス1.40g/10分、密度1.92g/cm
3)の商品名のもとでHeritage Plastics社から入手できる。
【0062】
フィルム3のシーラント配合物は、6重量%のOCMBおよび13重量%のCCMB、71重量%のEVA(18%酢酸ビニル、Ateva1811、Celanese Corporation社製)、10重量%のメタロセンLLDPE(Exact3131)を含有する。フィルム4用のシーラント配合物中では、OCMB装填量は10重量%まで増大し、CCMB装填量は6重量%で不変にすると共に、74重量%のEVA(18%酢酸ビニル、Ateva1811、Celanese Corporation社製)および10重量%のメタロセンLLDPE(Exact3131)を含有した。フィルム5に関しては、シーラント配合物中へのOCMB装填量は13重量%までさらに増大し、CCMB装填は6重量%で不変にすると共に、71重量%のEVA(18%酢酸ビニル、Ateva1811、Celanese Corporation)および10重量%のメタロセンLLDPE(Exact3131)を含有した。フィルム6用のシーラントブレンドは、高い装填のOCおよびCCと共に、13重量%のOCMB、12重量%のCCMB、65重量%のEVA(18%酢酸ビニル、Ateva1811、Celanese Corporation社製)および10重量%のメタロセンLLDPE(Exact3131)からなっていた。
【0063】
図7は、相異なる有機粘土(OC)と炭酸カルシウム(CC)との比率を有するこれらの組成物から作製されたシールに関しての、剥離強さ 対 シーリング温度のプロットを提供している。6重量%のOCMBにおいては、フィルム2およびフィルム3は、狭い剥離可能域(peelable window)を有しており、シーリング温度が上昇するにつれて徐々に剥離不可能になった。OCMB装填量が10重量%まで増大したとき(フィルム4)、剥離可能範囲が幅広くなり、フィルムは、129.4℃(265°F)未満で剥離可能だった。OCMBの重量%が13%以上までさらに増大したとき、フィルム5およびフィルム6は、87.8℃(190°F)から129.4℃(265°F)までの全シーリング範囲にわたって剥離性を提供する。その上、
図7は、有機粘土/炭酸カルシウムの幾つかの組合せは、広範囲のシーリング温度にわたって剥離可能型シールを生成するが、一方で、その他のものは生成しないことを明瞭に示している。
【実施例3】
【0064】
OCおよびCCを含有するシーラントブレンド中へのCCMBのより多い装填
追加的な試験フィルムを、剥離可能型シーラント配合物に対する有機粘土と炭酸カルシウムの組合せをより可変にして調製した。フィルムは、HDPE/つなぎ材(tie)/ナイロン/つなぎ材(tie)/シーラントを含有する五層構造として構築した。表1は、詳述したシーラント層配合物をリストしており、
図8は、シーリング温度に対してシール力をプロットしている
【0065】
【表1】
【0066】
この系統におけるすべてのフィルムは、178.6g/cm[1ポンド/インチ(lb/in)]から892.9g/cm[5ポンド/インチ(lb/in)]の易開口範囲内の剥離力を有する。フィルム8は、シーラントブレンド中に10%のOCMBおよび12%のCCMBがあり、約535.7g/cm[約3ポンド/インチ(lb/in)]〜803.6g/cm[4.5ポンド/インチ(lb/in)]までの剥離力範囲を有していた。フィルム9用のシーラントブレンドは、フィルム8のものと同一のOCMB装填量を有していたが、CCMB装填量が15重量%まで増大していた。剥離力は、フィルム8についての535.7g/cm[3ポンド/インチ(lb/in)]〜803.6g/cm[4.5ポンド/インチ(lb/in)]から、フィルム9についての約267.9g/cm[約1.5ポンド/インチ(lb/in)]〜535.7g/cm[3ポンド/インチ(lb/in)]の範囲に低下した。OCMBを10重量%に保つ一方で、CCMBを15重量%(フィルム9)まで増大させたが、剥離力は剥離可能範囲内によく収まっている。フィルム10は、12%のOCMBおよび20%のCCMBを含有する。
図9に記載されたように、フィルム10に関しての剥離曲線は、87.8℃(190°F)のから129.4℃(265°F)のシール温度までではほとんど平坦になっていることが観察される。
【実施例4】
【0067】
OCおよびCCを含有するシーラントブレンド中へのmLLDPEのより多い装填
五層フィルムのHDPE/つなぎ材(tie)/ナイロン/つなぎ材(tie)/シーラントを調製した。これらのフィルムについての詳細は、表2に記載している。試料11を調製して試料8と比較した。試料13および12は、より多い重量%のmLLDPEの効果および剥離力へのその影響を実証する追加的な結果を提供する。mLLDPEの高い装填量(フィルム11およびフィルム8に関しては34% 対 10%、また、フィルム13およびフィルム12に関しては24% 対 10%)は、より低い温度範囲においてはシール力の低減に帰結し、上質のシールを実現するのを不可能にした。このような高いmLLDPE装填量は、シール開始温度(SIT)を104.4℃(220°F)まで増大することを必要にし、これは好まれない。
図9は、剥離力 対 シール温度を示している。
【0068】
【表2】
【実施例5】
【0069】
OCおよびCCを含有するシーラントの経時効果
既存のポリブチレン(PB−1)を主体としたシーラントは、容易に開封されるシールを形成できることで周知である。PB−1を主体としたシーラントのエージング効果(aging effect)は、記述されてきた(非特許文献2) エージング中、PB−1は、周囲温度および周囲圧力において、2日〜3日以内に、溶融安定なフォームII結晶からFormI結晶への相変態(phase transformation)を経る。相変態中、結晶度が徐々に増大し、より高い剥離力に帰結する。
【0070】
OCおよびCCを含有するシーラントの経時効果を検査するために、フィルムをシールして、エージングの後に試験した。エージングした試料についての試験と同一の日に、一組のフィルムを新たにシールして、剥離力を対照として試験した。フィルムを2.54cm(1インチ)の剥片に切り出して、シーラントをシーラントに、104.4℃(220°F)の上部温度の平坦な顎部(jaw)及び104.4℃(220°F)の下側の顎部のところで0.3秒の滞留時間により、シールした。剥離力の試験は、Instron引張試験器において、45.4kg[100ポンド(lb)]ロードセルを用いて30.5cm/分(12インチ/分)のクロスヘッド速度で行った。表3は、この試験に関しての剥離力の結果をまとめている。
【0071】
【表3】
【0072】
ポリブチレンを主体としたシーラントは、エージングの際に剥離力が増大したのに対して、OCを含有するシーラントおよびOC/CCを主体としたシーラントは、剥離力の増大を全く示さない。エージングの1週間後、OCおよびOC/CCに関しての剥離力は、わずかに減少するが、ここでの差異は実験上の誤差内であるので新鮮なシールされた試料と同様である。
【実施例6】
【0073】
気密封止性(caulkability)およびレオロジーの試験
シーラントの最も重要な機能のうちの1つは、パッケージの完全な結着性(complete integrity)を維持することである。機能的なシーラントは、良好なヒートシール強さ、低い開始温度を有し、実際の包装環境において生じる折り目、汚染物質、およびシワの間を完全にシールできるべきである。可撓性パッケージの結着性を試験することにより、「実生活上の」性能のより良好な予測が可能になる。シーラントのこのような挙動を特徴付ける1つの方法は、シーラント樹脂の「気密封止性」である。
【0074】
一般に、良好な気密封止性を提示する材料は、シーリングプロセス中のいかなる栓流(plug−flow)の跳ね返りも阻止することが可能である。レオロジー的に言うと、この挙動は、固体様の特質(エネルギーを弾性的に貯蔵する傾向)をより低い実験頻度(より長い実験時間)において有する材料において提示されてきた。EVA/LLDPE/OC/CCのシーラント組成物は、このような特徴を提示すると判明している。
【0075】
気密封止性に関しての試験方法のうちの1つを、
図10および
図11に例示している。シーラントの単層フィルム、またはシーラントの外側層を担持している多層型包装フィルムは、シールされた3つの側面およびシールされていない1つの側面を有する正方形状の3”×3”の袋状物(envelope)に成形される。1個の0.25”幅の角形の「障害物」を、開口した(シールされていない)側面の中央部に挿入して、平坦なヒートシール線が障害物を突っ切るようにする(この研究は、同一のシーラントを有する複数の袋状物に対して、障害物の高さを0.25ミルから35ミルまで増大させて実施する。すべてのシールは、同一の条件下において、工業的に妥当な密封機、例えばインパルス密封機、平板状密封機等によって作製されている)。この作業のためには、カプトンテープまたは銅テープ等、0.25ミルから35ミルまでの種々の高さの剛性の角形状障害物を使用している。該障害物は、食べ滓、ジッパー、シワ、およびガセットに成形される折り目等、食べ滓、ジッパー等のような、実際における剛性の障害物を模している。より好ましくは、可撓性ポリエチレンを主体とした角形状障害物であって、0.25ミルから35ミルの種々の高さのものを用いてで、シワ、折り目、ガセット等、実際において包装する材料の障害物を模した。シールされていない領域(漏れ部)が障害物に隣接して形成された場合、その領域が計測される。行った計測から、2つの計量法を用いて、シーラントの気密封止能力(または気密封止品質)を定量化する。第1の計量法は、完璧に(気密的に)シールしきってしまうことができる角形状障害物の最大高さであり、以下「極限完全シール厚さ」と呼び、第2の計量法は、障害物高さの増大に対する漏れ部の面積の増大の比率であり、以下「漏れ部増大率」と呼称する。定義上、2種のシーラントを比較するときは、より良好な気密封止能力を有するものは、より大きな極限完全シール厚さおよびより小さな漏れ部増大率により特徴付けられる。
【0076】
図10を参照すると、気密封止試験方法は、シーリング部位の近くに平角ワイヤによる間隙を導入して、ヒートシールプロセス中の汚染物質をシミュレートする。フィルム102、フィルム104のシーリング中に、特定の厚さの平角ワイヤ100を用いて間隙を導入することにより、シールされていない領域106を、光学顕微鏡を用いて計測する。
図10に例示されたように、間隙の縁部をシールするのは困難である。したがって、シールされていない領域106は、平角ワイヤ100の縁部108からシールされた領域112の縁部110までに所在する。シールされていない領域のより低い計測値は、より良好な気密封止性および気密シールを提供する増強された能力を表す。この試験の結果は、シーラント厚さやシーリング温度/圧力等、幾つかのパラメータに依存する。各試料についての数個の供試体は、相異なる汚染物質厚さにおいて評価される。試験は、相異なるシーラント配合物を比較するときには、同一のシーラント層厚さを用いて実施する。
図11に例示されたようなシールされていない領域 対 汚染物質厚さのプロットにおいては、気密封止性パラメータは、完全なシールに関しての傾斜および極限汚染物質厚さから測定することができる。極限完全シーリング厚さは、非シール領域がゼロのときの汚染物質厚さであり、ゼロの非シール領域への曲線の外挿により計算される。この図において、シールされていない領域は、汚染物質厚さの関数としてプロットされる。汚染物質厚さは、平角ワイヤの厚さである。データは、線形回帰(例えば、最小二乗法)により当てはめ、気密封止傾斜は、近似線の傾斜である。極限シーリング厚さは、非シール領域がゼロのときの汚染物質厚さである。
図12Aは、数個の配合物についてのプロットを提供している。
図12Bは、相異なる試料の気密封止傾斜を示している。このデータの範囲を理解するために、対照試料は、有機粘土および炭酸カルシウムの試料と並行して試験される。比較試料は、Surlyn1601およびSurlyn/EVAブレンドを含む。
【0077】
上記に記載されたように、気密封止傾斜がより低いほど、気密封止性はより良好になる。有機粘土の存在なしでは、Surlynは、最良の気密封止性を有する。シーラント配合物中への有機粘土の添加により、有機粘土を含有するすべての試料が、Surlynに対して、より良好ではなかった場合でも、Surlynと同様の気密封止性を実証した。有機粘土を炭酸カルシウムと合わせたシステムに関しては、すべてのブレンドが、有機粘土のみのフィルムより良好な気密封止性を有し、かつSurlynより良好な気密封止性を有する。これらのブレンドは、より良好に機能するシーラントに起因した、有機粘土と炭酸カルシウムとの間の相乗効果を示す。
【0078】
試料は、線形振動式レオロジー試験(linear oscillatory rheology)によっても評価した。歪みスイープ試験(strain sweep test)を、1rad/sの周波数で最初に実施して、線形粘弾性域を決定した。続いて、100rad/sから0.1rad/sまでの振動数でのレオロジー周波数スイープ試験を、線形粘弾性域の内側の歪みにおいて実施した。すべてのレオロジー試験は、RDS II レオメーター(Rheometer)中で25mm直径の平行板を用いて、N
2雰囲気下において実施した。データは、4つの異なる温度、すなわち130℃、160℃、190℃および220℃において取得し、続いて、時間−温度重ね合わせ(t−TS)原理を用いてシフトさせて、130℃の基準温度において換算曲線(the reduced curves)を形成した。
【0079】
このような実験において、固体様の挙動は、G’およびG” 対 換算周波数(ω
*a
T)のプロットから評価する。ωにおける本システムの粘弾性挙動は、貯蔵係数あるいはは弾性係数G’(ω)と、損失係数あるいは粘性係数G”(ω)とにより特徴付けられ、これらの係数はそれぞれ、計測された応力応答に対する固体様の寄与および流体様の寄与を特徴付ける。2つの粘弾性パラメータを用いて、固体様の挙動および緩和時間(G’とG”との交差点についての逆数)、ならびに、非常に低いω
*a
T(周波数)値におけるG’ 対 ω
*a
T曲線の傾斜を検出する。より大きい緩和時間(またはより低い傾斜)は、回収すべき高弾性固体相貯蔵エネルギーを有する固体様の特質が増大し、その結果、より良好な気密封止性に帰結する傾向がある。
図13Aおよび
図Bは、幾つかの組成物に関してのG’およびG” 対 周波数(ω
*a
T)のプロットを提供している。すべてのCC/OC複合材料のレオロジー応答は同様であるが、OCのみのシーラントとはかなり異なる。CC/OCシーラントに関しては、G’は、非常に低い周波数においては、周波数からはほとんど独立になっており、固体様の挙動(より良好な気密封止性)と相関する。これらのプロットの結果は、表4および
図14に提供している。G’とG”との交差がすべての試料において検出されなかったので、パラメータG’/a
Tωが、気密封止性との相関関係を査定するのに用いられた。
【0080】
【表4】
【0081】
気密封止性とレオロジーパラメータとの間の相関関係
図14Aは、様々な試料に関して気密封止傾斜 対 G’/aTωの比率のプロットを提供している。より低い値のG’/a
Tωは、より高い貯蔵エネルギーを有する、より高い固体様の挙動およびより良好な気密封止性に対応する。
図14Bは、様々な試料に関して、極限シーリング厚さ 対 G’/aTωの比率のプロットを提供している。OC/CC試料が最良の気密封止性を有し、純ポリマーブレンドが最低の気密封止性を有することが観察される。
【0082】
図15は、シーラント評価のための、気密封止傾斜およびG’/aTωのプロットを提供している。より低い値のG’/aTωおよび気密封止傾斜は、より大きな固体様の挙動に対応する。OC/CC試料は、組成物に関して最良の挙動を有し、純ポリマーブレンドは、最低の挙動を有する。同様に、「極限完全シール厚さ」に関しては、OC/CC試料は最良の挙動を提示するのに対し、純ポリマーブレンドは最低の挙動を提示する。
【実施例7】
【0083】
熱的伝導率の評価
示差走査熱量測定(DSC)法を用いて、OCおよびCCを含有するシーラントの熱的伝導率を評価した。相異なるシーラントブレンドのペレットを押出して、試験棒に射出成形した。おおよそ4mgのサイズの小さな試料を試験棒から切り出し、標準的なDSC用の皿に封入した。DSCは、TA Instruments Q100装置によって実施した。試験の前に、10℃/分の加熱サイクルを実施して、ブレンドの熱履歴を消去した。試験は、30℃から160℃の間での加熱−冷却−加熱式実験という3回の後続サイクルにおいて、様々な加熱速度および冷却速度により実施した。第1のサイクルは5℃/分の速度で、第2のサイクルは10℃/分で、第3のサイクルの速度は20℃/分で実行した。
図16に示したように、DSC走査は、1個の結晶質域を有するEVAからの信号を含み、LLDPEは、発熱ピークとして提示された2つの結晶質域を示す。EVA/LLDPE/OC試料とEVA/LLDPE/OC+CC試料の両方が2つの結晶質域を提示し、それらの結晶質域は、EVAおよびLLDPEのコモノマーと相関する80℃周辺での大きくてブロードな溶融ピークと、LLDPEに対応する120℃周辺におけるより小さくてより鋭いピークであった。この計測からの熱的伝導率を報告した。
【0084】
熱的伝導率は、単位面積の表面に対する法線方向において、単位条件下、単位温度勾配により移動した熱の量である。熱的伝導率は、距離(メートル)および温度勾配(ケルビン)にわたっての熱流量(ワット)として計測され、k(w/m
*K)と簡略化されるワット/(メートル
*ケルビン)の単位にして報告される。表5は、LLDPEのみ、OCのみ、CCのみ、および相異なる組合せのOC/CCを含有するシーラントを有するフィルムにおける熱的伝導率をリストしている。LLDPEのみ、OCのみ、またはCCのみを有するシーラント配合物は、0.34_w/m
*Kから0.40_w/m
*Kまでの範囲の熱的伝導率を有していた。OCとCCの両方がシーラント配合物中に存在する場合、熱的伝導率は、0.80w/m
*Kから1.00w/m
*Kの範囲まで顕著に増大した。これは、およそ100%超の改善を構成する。OCとCCとの組合せが相乗効果をもたらし、その結果、CCまたはOCだけを含有するシーラントと比較してはるかに高い熱的伝導率の増強をもたらすことが明瞭に実証された。
【0085】
【表5】
【0086】
本発明の実施形態を例示および記述してきたが、これらの実施形態が、本発明のすべてのあり得る形態を例示および記述することは意図していない。むしろ、明細書中で使用された単語は、限定というよりはむしろ説明のための単語であり、様々な変更が、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなくなされ得ると理解されている。