【文献】
          Samsung,SRS Multiplexing in Carrier Aggregation,3GPP TSG RAN WG1 #63, R1-106018,3GPP,2010年11月19日,pp.1-4
        
        【文献】
          Panasonic,PDCCH interference Mitigation Scheme for HetNet,3GPP TSG RAN WG1 Meeting #62, R1-104912,3GPP,2010年  8月27日,pp.1-5
        
      
    (58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
  前記制御部は、一つのCCのサブフレームの先端部分又は後端部分とオーバーラップする他のCCの連続する2つのサブフレームにおいて、前記2つのサブフレームそれぞれの、先端部分又は後端部分の送信電力を制御する、
  請求項1に記載の無線通信端末装置。
  前記制御部は、SRS(Sounding Reference Signal)の優先度をPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)の優先度よりも高くする、
  請求項4に記載の無線通信端末装置。
  前記制御部は、一つのCCのサブフレームの後端部分が、他のCCの一つのサブフレーム内でオーバーラップする場合、前記他のCCの一つのサブフレーム全体の送信電力を下げる、
  請求項1に記載の無線通信端末装置。
  前記制御部は、同一優先度の信号間においてオーバーラップする部分の送信電力の合計が許容値を超える場合には、後ろのサブフレームの先頭シンボルの送信電力を下げる、
  請求項1に記載の無線通信端末装置。
  CC(Component carrier)毎に、サブフレームの送信タイミングを制御し、送信電力の合計が許容値以下となるように、シンボル単位で、前記送信電力を制御する、
  送信電力制御方法。
 
【背景技術】
【0002】
  3GPP(3rd Generation Partnership Project)では、無線通信基地局装置(以下、「基地局」と省略する)と無線通信端末装置(以下、「端末」と省略する)との間において、高速・大容量の通信を実現するために、LTE(Long Term Evolution) およびLTE-Advancedを規格化し、現在さらに高度化(enhance)するための標準化作業を行っている。
【0003】
  LTEおよびLTE-Advancedでは、下りリンクの通信方式としてOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)が採用され、上りリンクの通信方式としてSC-FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)が採用されている(例えば、非特許文献1、2、3参照)。
【0004】
  上りリンクで用いられるチャネルおよび信号には、PUSCH(Physical Uplink Shared Channel)、PUCCH(Physical Uplink Control Channel)、SRS(Sounding Reference Signal)等がある。PUSCHは、データ信号を送信するチャネルである。PUCCHは、ACK/NACK情報やCQI情報などの制御情報を送信するチャネルである。SRSは、基地局においてチャネル品質を測定するために用いられる参照信号である。
【0005】
  基地局は、各端末に対して、PUSCH、PUCCHを送信するためのRB(Resource Block)をサブフレーム単位で割り当てる。また、基地局は、SRSを送信する周期、タイミング、帯域幅を設定する。なお、サブフレーム(1ms)は、通常、14個のSC-FDMAシンボル(71.3us)(以下、「シンボル」と省略する)で構成される。
【0006】
  端末は、基地局によって割り当てられたRBおよびサブフレームでPUSCH、PUCCHを送信する。また、端末は、基地局によって設定された周期、タイミング、帯域幅でサブフレームの末尾の1シンボルを用いてSRSを送信する。なお、端末は、SRSを送信するサブフレームでは、末尾のシンボルを除く13シンボルを用いてPUSCHおよびPUCCHを送信する。
【0007】
  また、端末は、サブフレーム単位で、PUSCH、PUCCH、SRSの送信電力を制御する。
【0008】
  PUSCHの送信電力P
PUSCH(i)[dBm]は、以下の式(1)によって求められる。なお、式(1)において、iはサブフレーム番号、P
CMAX,C(i)は許容送信電力、M
PUSCH(i)はPUSCHに割り当てられる送信帯域幅(RB数)、P
0_PUSCHは基地局から通知される送信電力オフセット値(PUSCHの送信電力初期値)、PLは端末で測定したパスロス、αは基地局から通知されるパスロスの補償割合を表す重み係数(0〜1の値)、Δ
TF(i)は変調方式などに依存するオフセット値、f(i)は基地局から通知されるTPCコマンドに従ったオフセット値である。
【数1】
【0009】
  PUCCHの送信電力P
PUCCH(i)[dBm]は、以下の式(2)によって求められる。なお、式(2)において、P
0_PUCCHは基地局から通知される送信電力オフセット値(PUCCHの送信電力初期値)、h(n
CQI,n
HARQ, n
SR)はPUCCHで送信する情報またはフォーマットに依存したオフセット値、Δ
F_PUCCH(F)は基地局から通知されるオフセット値、g(i)は基地局から通知されるTPCコマンドに従ったオフセット値である。
【数2】
【0010】
  SRSの送信電力P
SRS(i)[dBm]は、以下の式(3)によって求められる。なお、式(3)において、P
SRS_OFFSETは基地局から通知されるPUSCHの送信電力に対する送信電力オフセット値、M
SRS(i)はSRSに割り当てられる送信帯域幅(RB数)である。
【数3】
【0011】
  LTE-AdvancedのRelease 10(以下、「Rel.10」と記載する)では、最大20MHzの周波数帯域幅(つまり、LTEでの最大周波数帯域幅)を基本単位とした単位キャリア(Component carrier、以下、「CC」と呼ぶ)を複数個束ねて運用するCarrier aggregation(CA)がサポートされている。なお、Rel.10のCAには、PUCCHとSRS、PUSCHとSRSの同時送信はサポートされていない。したがって、端末は、PUSCHまたはPUCCHと、SRSを同時送信する設定または割り当てを基地局から通知された場合、そのサブフレームではSRSを非送信(ドロップ)とする。
【0012】
  また、Rel.10において、CC間でPUCCHとPUSCHを同時送信する際に、上記式(1)〜(3)により算出される送信電力の合計が許容値を超える場合には、PUCCHに優先して電力を割り当て、PUSCHの電力を下げる。なお、端末の送信電力の許容値は、端末がサポートする最大電力または基地局から通知される許容送信電力(最大値)である。
 
【発明を実施するための形態】
【0023】
  以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
 
【0024】
  (実施の形態1)
  [基地局の構成]
  
図1は、本発明の実施の形態1に係る基地局の構成を示すブロック図である。
図1に示す基地局100は、受信部101と、制御情報生成部102と、送信部103と、から主に構成されている。
 
【0025】
  受信部101は、各端末200(
図2参照)から送信され、アンテナを介して受信された無線信号に対して受信無線処理(ダウンコンバート、復調、復号等)を行い、PUSCH、PUCCH、SRS等を抽出する。受信部101は、復号したPUSCHのデータ信号を受信データとして出力する。受信部101は、復号したPUCCHの制御情報を制御情報生成部102に出力する。また、受信部101は、各端末から送信された信号の受信タイミングをCC毎に測定し、測定結果を示す情報を制御情報生成部102に出力する。
 
【0026】
  制御情報生成部102は、受信信号に含まれるSRSによりチャネル品質を測定し、測定結果に応じて、PUSCHを送信するCCおよびRBをサブフレーム単位で各端末200に割り当てる周波数スケジューリングを行い、スケジューリングの結果を示す制御情報を生成し、送信部103に出力する。また、制御情報生成部102は、PUCCHを送信するCC(つまりPrimary CC)、および、SRSを送信するCCおよびサブフレームを示すRRC(Radio Resource Control)レイヤの制御情報を生成し、送信部103に出力する。
 
【0027】
  また、制御情報生成部102は、各端末200と基地局100との間の伝搬遅延を考慮し、各端末200から送信された信号が基地局100で所定の時間(少なくともCP(Cyclic Prefix)長4.7us)内に収まるように、各端末における信号の送信タイミングをCC毎に制御する。そして、制御情報生成部102は、制御結果を示すタイミング制御情報を生成し、送信部103に出力する。タイミング制御情報は、各端末の送信タイミングを指示するものでありTA(timing advance)コマンドとも呼ばれる。なお、TAコマンドはPDSCHに含まれるMAC Control Elementで送信される。
 
【0028】
  また、制御情報生成部102は、各端末200においてPUSCH、PUCCH、SRSの送信電力を設定するために必要な値(P
0_PUSCH、α、f(i)、P
0_PUCCH、Δ
F_PUCCH(F)、g(i)、P
SRS_OFFSET等)を示す制御情報を生成し、送信部103に出力する。
 
【0029】
  その他、制御情報生成部102は、端末200において上りリンクのチャネルおよび信号を送信するために必要な各種の制御情報を作成し、送信部103に出力する。
 
【0030】
  送信部103は、送信データを含むPDSCH(Packet Downlink Shared Channel)、制御情報生成部102から出力された各種の制御情報を含むPDCCH(Physical Downlink Control Channel)、および、下り参照信号等に対して送信無線処理(符号化、変調、アップコンバート等)を行い、アンテナを介して各端末200に送信する。
 
【0031】
  [端末の構成]
  
図2は、本発明の実施の形態1に係る端末の構成を示すブロック図である。
図2に示す端末200は、受信部201と、送信制御部202と、送信部203と、から主に構成されている。
 
【0032】
  受信部201は、基地局100から送信され、アンテナを介して受信された無線信号に対して受信無線処理(ダウンコンバート、復調、復号等)を行い、PDSCH、PDCCH等を抽出する。受信部201は、復号したPDSCHのデータ信号を受信データとして出力する。また、受信部201は、復号したPDCCHの制御情報を送信制御部202に出力する。また、受信部201は、下り参照信号の受信電力を測定し、測定結果を送信制御部202に出力する。
 
【0033】
  送信制御部202は、PDCCHに含まれるスケジューリングの結果を示す制御情報に従って、PUSCHを送信するためのCC、RBおよびサブフレームを送信部203に指示する。また、RRCレイヤの制御情報に従って、PUCCHを送信するCC、および、SRSを送信するCCおよびサブフレームを送信部203に指示する。
 
【0034】
  また、送信制御部202は、PDSCH内のMAC Control Elementに含まれる各CCのタイミング制御情報に従って各CCの送信タイミングを設定し、設定結果を示す情報を送信部203に出力する。
 
【0035】
  また、送信制御部202は、下り参照信号の受信電力と、基地局100から通知される参照信号送信電力情報とから伝搬ロス(Pathloss)を推定し、上記式(1)〜(3)により、各CCの各サブフレームにおけるPUSCH、PUCCH、SRSの送信電力を設定し、設定した送信電力の情報を送信部203に出力する。
 
【0036】
  ここで、全CCの送信電力の合計が、設定された許容値を超える場合、送信制御部202は、優先度が低いチャネルの送信電力を下げることにより許容値を超えないように送信電力を制御する。また、送信制御部202は、各CCの送信タイミングに基づいてCC間でのサブフレームを跨ぐ送信信号のオーバーラップが生じるか否かを考慮し、オーバーラップが生じる場合にはシンボル単位で送信電力を制御する。なお、送信制御部202における、具体的な送信電力の設定方法については後述する。
 
【0037】
  送信部203は、送信制御部202によって指示されたCC、RBおよびサブフレームにPUSCH、PUCCH、SRSを割り当てる。また、送信部203は、送信制御部202によって設定されたCC毎のタイミング情報に従って各CCの送信タイミングを制御する。
 
【0038】
  また、送信部203は、送信制御部202によって設定された送信電力となるように各CCの送信電力をシンボル単位で制御する。また、送信部203は、送信電力を変化させる場合には所定の長さのTransient period内で滑らかに送信電力が変化するように制御する。Transient period(立ち上がり区間、立ち下がり区間)とは、送信電力や送信帯域(RB)が変化する場合に送信電力の上げ下げを行う区間である。なお、送信部203における、具体的なTransient periodの設定方法については後述する。
 
【0039】
  送信部203は、PUSCH、PUCCH、SRSに対して、送信タイミング制御および送信電力制御を行った後、送信無線処理(符号化、変調、アップコンバート等)を行い、アンテナを介して基地局100に送信する。
 
【0040】
  [送信電力制御方法]
  上記の通り、Rel.11の運用では、複数のCC間において、一部のCCのサブフレームの後端部分と他のCCのサブフレームの先端部分が時間的にオーバーラップし、そのオーバーラップした部分において送信電力の合計が許容値を超える場合が発生する。
 
【0041】
  本実施の形態では、端末200は、一部の区間(上記オーバーラップした部分)において送信電力の合計が許容値を超える場合には、優先度が低いチャネルの、当該区間を含むシンボルの送信電力を下げるように制御する。
 
【0042】
  [具体例1]
  
図3は、本実施の形態に係る送信電力制御方法を説明するための第1の例を示す図である。
図3では、優先度が高いPUCCHをCC1のサブフレームnで送信し、優先度が低いPUSCHをCC2のサブフレーム(n+1)で送信し、CC2の送信タイミングがCC1の送信タイミングより早い場合の例である。なお、
図3において、CC1とCC2のタイミング差をΔ
TAとする。
 
【0043】
  この場合、サブフレームnのPUCCHの末尾部分とサブフレーム(n+1)のPUSCHの先頭部分がオーバーラップする。このオーバーラップした部分において送信電力の合計が許容値を超える場合には、端末200は、送信電力の合計が許容値を超える部分を含むPUSCHのシンボル(サブフレーム(n+1)の先頭シンボル)全体の送信電力を下げる。
 
【0044】
  [具体例2]
  
図4は、本実施の形態に係る送信電力制御方法を説明するための第2の例を示す図である。
図4では、優先度が高いPUCCHをCC1のサブフレーム(n+1)で送信し、優先度が低いPUSCHをCC2のサブフレームnで送信し、CC2の送信タイミングがCC1の送信タイミングより遅い場合の例である。なお、
図4において、CC1とCC2のタイミング差をΔ
TAとする。
 
【0045】
  この場合、サブフレームnのPUSCHの末尾部分とサブフレーム(n+1)のPUCCHの先頭部分がオーバーラップする。このオーバーラップした部分において送信電力の合計が許容値を超える場合には、端末200は、送信電力の合計が許容値を超える部分を含むPUSCHのシンボル(サブフレームnの末尾シンボル)全体の送信電力を下げる。
 
【0046】
  [具体例3]
  
図5は、本実施の形態に係る送信電力制御方法を説明するための第3の例を示す図である。
図5では、優先度が高いPUCCHをCC1のサブフレームnで送信し、優先度が低いPUSCHをCC2のサブフレーム(n+1)およびCC3のサブフレーム(n+1)で送信し、CC2の送信タイミングがCC1の送信タイミングより早く、CC3の送信タイミングがCC2の送信タイミングより早い場合の例である。なお、
図5において、CC1とCC3のタイミング差をΔ
TAとする。
 
【0047】
  この場合、CC1とCC3の2つのCCがオーバーラップする区間Aと、3つのCCがオーバーラップする区間Bが存在する。区間A,Bのいずれかにおいて、送信電力の合計が許容値を超える場合には、端末200は、送信電力の合計が許容値を超える部分を含む各PUSCHのシンボル(サブフレーム(n+1)の先頭シンボル)全体の送信電力をそれぞれ下げる。例えば、送信電力の合計が許容値よりX [mW]高い場合に、端末200は、CC2およびCC3で送信される各PUSCHの先頭シンボルの送信電力をそれぞれX/2 [mW]ずつ下げる。
 
【0048】
  なお、PUSCHの先頭または末尾のシンボルが、2つのサブフレームのPUCCHとオーバーラップし、当該シンボルにおいて送信電力の合計が許容値を超える場合には、送信電力の合計が高い方において、送信電力の合計が許容値以下になるようにシンボル全体の送信電力を下げる。例えば、
図3において、CC1のサブフレーム(n+1)でもPUCCHが送信される場合、端末200は、CC2のPUSCHの先頭シンボルの送信電力を、サブフレームnのPUCCHとの送信電力の合計およびサブフレーム(n+1)のPUCCHとの送信電力の合計のいずれも許容値を超えないように設定する。なお、端末200は、PUSCHの2シンボル目以降の送信電力については、従来と同様に、サブフレーム(n+1)において、送信電力の合計が許容値以下になるようにシンボル全体の送信電力を下げる。
 
【0049】
  [効果]
  このように、本実施の形態では、送信電力の合計が許容値以下となるように、シンボル単位で、前記送信電力を制御する。また、本実施の形態では、一つのCCのサブフレームの先端部分又は後端部分と他のCCのサブフレーム間とがオーバーラップする部分の送信電力を制御する。より具体的には、一つのCCのサブフレームの先端部分又は後端部分とオーバーラップする他のCCの連続する2つのサブフレームにおいて、前記2つのサブフレームそれぞれの、先端部分又は後端部分の送信電力を制御する。特に、本実施の形態では、優先度が最も低いチャネルの、送信電力の合計が許容値を超える部分を含むシンボルのみの送信電力を下げる。
 
【0050】
  これらにより、サブフレーム全体の送信電力を過剰に下げることがないため、PUSCHやPUCCHの誤り率の増加、および、SRSによる受信品質推定精度の劣化を防ぐことができる。
 
【0051】
  また、本実施の形態によれば、シンボル単位で送信電力の設定を行うことにより、端末の送信電力の更新頻度を抑えながら送信電力の合計を許容値以下に制御することができるので、端末における制御の複雑化を防ぐことができる。
 
【0052】
  なお、PUSCHにおいて所定のシンボルの送信電力のみを低くすると、16QAMや64QAM等の、位相および振幅に情報が乗っている変調方式が用いられる場合には、他のシンボル、特に復調用基準信号(DMRS)と振幅が異なるため、復調誤差が生じて誤り率が劣化する懸念がある。しかしながら、上記
図3から
図5において、CC間のタイミング差Δ
TAはセル半径が数km以内という多くの運用形態では1シンボルよりも小さい場合が殆どであるから、送信電力を下げられるのは先頭シンボルまたは末尾シンボルのみである。そして、先頭シンボルおよび末尾シンボルは、Transient periodが設定されており、送信波形が歪むため、いずれにしても多値変調の復調誤差が生じる。このため、送信電力を下げることによるさらなる劣化量は少ないため、誤り率の劣化は小さいと考えられる。
 
【0053】
  [Transient periodの設定方法]
  次に、端末200の送信部203におけるTransient periodの設定方法について詳細に説明する。LTEおよびLTE-Advanceでは、20usのTransient periodが設定されている。本実施の形態では、CC間でオーバーラップする区間を含むシンボルにTransient periodを設定する。
 
【0054】
  図6、
図7は、本実施の形態に係るTransient periodの設定方法を説明するための一例を示す図である。
図6は、サブフレーム先頭部分にTransient periodを設定する場合を示す。
図7は、サブフレーム末尾部分にTransient periodを設定する場合を示す。
 
【0055】
  図6では、先頭シンボルの先端部分および後端部分の20usにTransient periodを設定する。各シンボルの先端部分には、復調処理に使われないCPが挿入されているため、この部分にTransient periodを設けることにより、Transient periodの影響による復調時の歪みを小さくすることができる。また、先頭シンボルの後端部分にTransient periodを設定することにより、先頭シンボルの直後のシンボルについては先端から所望の高い送信電力で送信することができる。
 
【0056】
  図7では、末尾シンボルの先端部分および末尾シンボルの次のシンボルの先端部分にTransient periodを設定する。これにより、末尾シンボルの直前のシンボルについては終端まで所望の高い送信電力で送信することができる。
 
【0057】
  [優先度の設定]
  SRSは、サブフレームあたり1シンボルのみの送信であるため、送信電力を下げると品質測定精度の劣化が大きくなる。一方、PUSCHの先頭シンボルまたは末尾シンボルは、上述の通り、Transient periodが設定され信号が歪むため、当該シンボルの送信電力を下げることによるさらなる復調性能の劣化量は小さい。
 
【0058】
  このため、端末200は、PUSCHよりもSRSの優先度を高く設定する。そして、PUSCHとSRSを同時に送信する場合であって、送信電力の合計が許容値を超える場合には、端末200は、送信電力の合計が許容値を超える部分を含むPUSCHのシンボル全体の送信電力を下げる。これにより、受信品質測定精度の劣化およびデータ誤り率増加を抑えつつ、送信電力を許容値以下に制御することができる。
 
【0059】
  なお、
図8に示すように、優先度が高いSRSをCC1のサブフレームnの末尾シンボルで送信し、優先度が低いPUSCHをCC2のサブフレームnで送信し、CC2の送信タイミングがCC1の送信タイミングより早い場合には、PUSCHの末尾の2シンボルとSRSとがオーバーラップする。このオーバーラップした部分において送信電力の合計が許容値を超える場合には、端末200は、PUSCHの末尾の2シンボルの送信電力を下げる。
 
【0060】
  また、端末200は、周期的に送信機会のあるSRSよりも、再送が行われない制御情報を送信するチャネルであるPUCCHの優先度を高く設定する。そして、PUCCHとSRSを同時に送信する場合であって、送信電力の合計が許容値を超える場合には、端末200は、SRSシンボル全体の送信電力を下げる。
 
【0061】
  なお、SRSが2つのサブフレームのPUCCHとオーバーラップし、送信電力の合計が許容値を超える場合には、送信電力の合計が高い方において、送信電力の合計が許容値以下になるようにSRSシンボル全体の送信電力を下げる。
 
【0062】
  以上のように、本実施の形態では、PUCCH、SRS、PUSCHの順に優先度を高く設定する。PUCCHの優先度をSRSおよびPUSCHよりも高くすることにより、再送が行われない制御情報が誤ってしまうことによるシステムへの悪影響、特に、ACK/NACK情報が誤ってしまうことによるデータ送信の遅延やCQI情報が誤ってしまうことによる適応データレート制御の精度劣化によるデータスループット低下を防止することができる。
 
【0063】
  なお、端末200は、SRSの優先度を、特定の制御信号(ACK/NACK情報およびCQI情報)を含まないPUCCHよりも高く設定し、当該特定の制御信号を含むPUCCHよりも低く設定するようにしてもよい。この場合、受信品質測定精度の劣化およびデータ誤り率増加を抑えつつ、再送されない制御情報の誤り率の劣化を防ぐことができる。
 
【0064】
  また、本発明は、優先度の設定方法に関して限定はなく、他の方法によって優先度が設定される場合にも適用することができる。例えば、複数のCCの内、PCC(Primary Component Carrier)の優先度をSCC(Secondary Component Carrier)より高く設定するようにしてもよい。なお、3GPPの仕様の中では、CCはCell、PCCはPCell(Primary Cell)、SCCはSCell(Secondary Cell)と記載されることもある。制御チャネル(PUCCH)はPCCで送信されるため、PCCはより重要度が高い。
 
【0065】
  また、基地局100から端末200へ、RRCシグナリングでCC間の優先度を通知するようにしてもよい。また、制御情報を伝送するCCの優先度を高くするように設定してもよく、優先度の高い制御情報を伝送するCCほど優先度を高くするように設定してもよい。
 
【0066】
  (実施の形態2)
  [概要]
  実施の形態2は、実施の形態1と比較してTransient periodの設定方法が異なる。なお、本実施の形態における基地局および端末の構成は、
図1、
図2に示したものと同一である。
 
【0067】
  端末200の送信部203におけるTransient periodの設定方法として、本実施の形態では、CC間でオーバーラップした部分を含むPUSCHのシンボルに、CC間のタイミング差に応じた1つのTransient periodを設ける。なお、以下の第1および第2の設定方法は、PUCCHとオーバーラップする場合のPUSCHのTransient periodの設定方法であり、第3の設定方法は、SRSとオーバーラップする場合のPUSCHのTransient periodの設定方法である。
 
【0068】
  [具体例1]
  
図9、
図10は、本実施の形態に係るTransient periodの第1の設定方法を示す図である。
図9は、サブフレーム先頭部分にTransient periodを設定する場合を示し、
図10は、サブフレーム末尾部分にTransient periodを設定する場合を示す。
 
【0069】
  図9では、サブフレームnのPUCCHの末尾部分とサブフレーム(n+1)のPUSCHの先頭部分がオーバーラップしている。このオーバーラップした部分において送信電力の合計が許容値を超える場合には、端末200は、サブフレーム(n+1)のPUSCHの先頭シンボルの先端からΔ
TA(us)を非送信区間と設定し(送信電力が0)、その後の20usをTransient periodと設定する。そして、端末200は、送信電力の合計が許容値以下になるようにしながら、Transient periodにおいてPUSCHの送信電力を上げる。
 
【0070】
  図10では、サブフレーム(n+1)のPUCCHの先頭部分とサブフレームnのPUSCHの末尾部分がオーバーラップしている。このオーバーラップした部分において送信電力の合計が許容値を超える場合には、端末200は、サブフレームnのPUSCHの末尾シンボルの先端から71.3−(20+Δ
TA)usの時点から20usのTransient periodを設定し、その後を非送信区間と設定する(送信電力が0)。そして、端末200は、送信電力の合計が許容値以下になるようにしながら、Transient periodにおいてPUSCHの送信電力を下げる。ここで、1シンボル長は71.3usである。
 
【0071】
  このように、本実施の形態における第1の設定方法では、オーバーラップ部分を非送信区間とし、非送信区間の後ろまたは前の部分にTransient periodを設定する。これにより、送信電力の合計が許容値を超えないように、オーバーラップ部分の送信電力を設定することができる。また、本設定方法では、非送信区間を設定することによりサブフレーム内での電力の上げ下げをそれぞれ1回にすることができる。このため、端末200におけるアンプ制御を簡素化できる。また、本設定方法では、従来(LTE Release8, Release10)と同様に20usのTransient periodを設定するため、従来と同様のアンプ設計で本設定方法を実現することができる。
 
【0072】
  [具体例2]
  
図11、
図12は、本実施の形態に係るTransient periodの第2の設定方法を示す図である。
図11は、サブフレーム先頭部分にTransient periodを設定する場合を示し、
図12は、サブフレーム末尾部分にTransient periodを設定する場合を示す。
 
【0073】
  図11では、サブフレームnのPUCCHの末尾部分とサブフレーム(n+1)のPUSCHの先頭部分がオーバーラップしている。このオーバーラップした部分において送信電力の合計が許容値を超える場合には、端末200は、サブフレーム(n+1)のPUSCHの先頭シンボルの先端からΔ
TA+20usをTransient periodと設定する。そして、端末200は、送信電力の合計が許容値以下になるようにしながら、Transient periodにおいてPUSCHの送信電力を上げる。
 
【0074】
  図12では、サブフレーム(n+1)のPUCCHの先頭部分とサブフレームnのPUSCHの末尾部分がオーバーラップしている。このオーバーラップした部分において送信電力の合計が許容値を超える場合には、端末200は、サブフレームnのPUSCHの末尾シンボルの先端から71.3−(20+Δ
TA)usの時点から終端までのΔ
TA+20usをTransient periodと設定する。そして、端末200は、送信電力の合計が許容値以下になるようにしながら、Transient periodにおいてPUSCHの送信電力を下げる。
 
【0075】
  このように、本実施の形態における第2の設定方法では、送信電力の合計が許容値を超えないように、オーバーラップ部分の送信電力を設定しつつサブフレーム内での電力の上げ下げをそれぞれ1回にすることができる。このため、端末200におけるアンプ制御を簡素化できる。また、本設定方法では、送信電力の合計が許容値を超えない範囲で早い段階から徐々に送信電力を上げることができるので、非送信区間を設定する方法に比べて誤り率の劣化を抑えることができる。
 
【0076】
  なお、上記第2の設定方法において、タイミング差Δ
TAに応じて、Δ
TA+20usをTransient periodと設定するようにしたが、本発明では、オーバーラップ部分の最大値(ここでは、約0.5シンボル=31.3us)にあわせてTransient periodを固定的に設定してもよい。
 
【0077】
  また、上記第2の設定方法において、優先度がPUCCHよりも低いPUSCHのTransient periodを従来に比べてΔ
TAだけ拡張して(つまりΔ
TA+20usのTransient periodに)設定するようにしたが、本発明はこれに限られず常にSCCのTransient periodを拡張するようにしてもよい。この場合、制御チャネルが送信され、より重要度が高いPCCの受信品質が劣化することを防ぐことができると共に、端末は常にPCCを基準にTransient periodを設定すればよいので送信処理の簡素化を図ることができる。
 
【0078】
  また、上記第2の設定方法において、
図13に示すように、サブフレーム(n+1)のPUCCHの先頭シンボルが、サブフレームnのPUSCHの末尾部分とサブフレーム(n+1)のPUSCHの先頭部分の両方とオーバーラップしている場合には、2つのサブフレームにまたがってTransient periodを設定してもよい。例えば、
図13の場合には、PUSCH(CC2)の末尾シンボルの先端から71.3−(20+Δ
TA)usの時点から終端までのΔ
TA+20usの区間と、サブフレーム(n+1)の先端から20usまでの区間とをあわせたΔ
TA+40usのTransient periodを設定する。また、上記第1の設定方法において、サブフレーム(n+1)のPUCCHの先頭シンボルが、サブフレームnのPUSCHの末尾部分とサブフレーム(n+1)のPUSCHの先頭部分の両方とオーバーラップしている場合にも、拡張したΔ
TA+40usのTransient periodを設定する。
 
【0079】
  これにより、送信電力のON/OFFが発生しないので、帯域外への不要な電力放射を減少させることができる。
 
【0080】
  [具体例3]
  
図14、
図15は、本実施の形態に係るTransient periodの第3の設定方法を示す図である。
図14、
図15は、サブフレーム末尾部分にTransient periodを設定する場合を示す。
図14は、PUSCHのサブフレームnの末尾の2シンボルとSRSとがオーバーラップする場合を示す。
図15は、PUSCHのサブフレームnの末尾シンボルとSRSとがオーバーラップする場合を示す。
 
【0081】
  これらの場合には、末尾シンボルの先端から-(Δ
TA+20)usの時点から末尾シンボルの終端までをTransient periodと設定する。
 
【0082】
  ここで、Δ
TA=(PUSCH送信CCの送信タイミング)−(SRS送信CCの送信タイミング)とする。すなわち、Δ
TAは、
図14に示すようにSRSがPUSCHの末尾シンボルよりも先行する場合にはプラスの値となり、
図15に示すようにPUSCHの末尾シンボルがSRSよりも先行する場合にはマイナスの値となる。
 
【0083】
  このようにTransient periodを設定することにより、いずれの場合でもSRSとオーバーラップする部分がTransient periodとして設定されるため、送信電力の合計が許容値を超えないように、オーバーラップ部分の送信電力を設定しつつサブフレーム内での電力の上げ下げをそれぞれ1回にすることができる。このため、端末200におけるアンプ制御を簡素化できる。
 
【0084】
  なお、上記第3の設定方法において、タイミング差Δ
TAを、オーバーラップ部分の最大値(ここでは、約0.5シンボル=31.3us)にあわせてを固定的に設定してもよい。これにより、端末の送信電力設定を簡素化することもできる。
 
【0085】
  なお、SRSがPUSCHの2つのサブフレームに跨がって同時送信される場合は、上記
図13に示した方法と同様に、Transient periodを設定することができる。
 
【0086】
  なお、本実施の形態において、送信電力の合計が許容値を超える場合にのみTransient periodを拡張するように設定してもよい。この場合、送信電力の合計が許容値を超えないときには、送信電力が低減されることがないためチャネルまたは信号の復調性能が良くなる。また、本実施の形態において、タイミングにずれがある場合(multiple TAの場合)に常にTransient periodを拡張するように設定してもよい。この場合、送信電力の合計が許容値を超えるかどうかに関わらず端末の送信電力設定動作が1つでよくなるので端末の構成を簡素化することができる。また、異なるサブフレーム間でオーバーラップする部分はTransient periodとなるため、送信電力制御は、同一サブフレーム内のチャネル又は信号の送信電力のみで行えばよくなる。このため、Rel.10の送信電力制御と同一のものを用いることができ、端末の構成を簡素化することができる。
 
【0087】
  (実施の形態3)
  [概要]
  実施の形態3は、実施の形態1と比較して送信電力の設定方法が異なる。なお、本実施の形態における基地局および端末の構成は、
図1、
図2に示したものと同一である。
 
【0088】
  LTEでは、次のサブフレームでチャネル送信がない場合には、末尾シンボルの後に次のサブフレームの先頭部分にかかったTransient periodが設定される。この場合、末尾シンボルには歪みがない。このため、末尾シンボルのみの送信電力を下げると、16QAMや64QAMなどの多値変調時の復調精度の劣化が大きくなる。
 
【0089】
  そこで、本実施の形態では、優先度が低いチャネルの末尾部分において送信電力の合計が許容値を超える場合には、サブフレーム全体(または優先度が低いチャネル全体)の送信電力を下げる。なお、優先度が低いチャネルの先頭部分において送信電力の合計が許容値を超える場合には、本実施の形態でも、実施の形態1と同様に、優先度が高いチャネルとオーバーラップする部分を含むシンボルの送信電力のみを下げる。
 
【0090】
  [具体例1]
  
図16は、本実施の形態に係る送信電力制御方法を説明するための第1の例を示す図である。
図16では、優先度が高いPUCCHをCC1のサブフレーム(n+1)で送信し、優先度が低いPUSCHをCC2のサブフレームnで送信し、CC2の送信タイミングがCC1の送信タイミングより遅い場合の例である。なお、
図16において、CC1とCC2のタイミング差をΔ
TAとする。
 
【0091】
  この場合、サブフレームnのPUSCHの末尾部分とサブフレーム(n+1)のPUCCHの先頭部分がオーバーラップする。このオーバーラップした部分において送信電力の合計が許容値を超える場合には、端末200は、PUSCHのサブフレームn全体の送信電力を下げる。
 
【0092】
  [具体例2]
  
図17は、本実施の形態に係る送信電力制御方法を説明するための第2の例を示す図である。
図17では、優先度が高いSRSをCC1のサブフレームnの末尾シンボルで送信し、優先度が低いPUSCHをCC2のサブフレームnで送信し、CC2の送信タイミングがCC1の送信タイミングより早い場合の例である。なお、
図17において、CC1とCC2のタイミング差をΔ
TAとする。
 
【0093】
  この場合、同一のサブフレーム内でPUSCHの末尾の2シンボルとSRSとがオーバーラップする。このオーバーラップした部分において送信電力の合計が許容値を超える場合には、端末200は、PUSCHのサブフレームn全体の送信電力を下げる。
 
【0094】
  [効果]
  このように、本実施の形態では、優先度が低いチャネルの末尾部分において送信電力の合計が許容値を超える場合には、優先度が低いチャネルのサブフレーム全体の送信電力を下げることにより誤り率の劣化を抑えることができる。なお、サブフレーム全体の送信電力が下がることにより誤り率が劣化してしまうことが懸念されるが、符号化率を下げることにより誤り率の劣化を防ぐことができる。一方、送信電力差のある変調シンボルが多い場合には符号化率を下げても誤り率の改善量は小さい。
 
【0095】
  [その他]
  なお、サブフレームnのPUSCHの末尾部分およびサブフレーム(n+1)のPUSCHの先頭部分とSRSとがオーバーラップし、オーバーラップした部分において送信電力の合計が許容値を超える場合には、端末200は、PUSCHの、サブフレームn全体とサブフレーム(n+1)の先頭シンボル全体の送信電力を下げるようにしてもよい。
 
【0096】
  また、優先度が低いチャネルの末尾部分において送信電力の合計が許容値を超える場合に、変調方式がQPSKの場合にはオーバーラップした部分を含むシンボルの送信電力のみを下げ、変調方式が16QAM/64QAMの場合にはサブフレーム全体の送信電力を下げるようにしてもよい。
 
【0097】
  また、本実施の形態において、優先度が低いチャネルのサブフレーム全体の送信電力を下げ、かつ、Transient periodを設定してもよい。
 
【0098】
  (実施の形態4)
  [概要]
  上記実施の形態1乃至3では、優先度が異なるチャネルがオーバーラップした場合の送信電力の設定方法について説明した。実施の形態4では、同一優先度のチャネルがオーバーラップした場合の送信電力の設定方法について説明する。なお、本実施の形態における基地局および端末の構成は、
図1、
図2に示したものと同一である。
 
【0099】
  異なるCCの異なるサブフレーム間で同一優先度のチャネルがオーバーラップし、そのオーバーラップした部分で送信電力の合計が許容値を超えた場合、端末200は、後ろのサブフレームの先頭シンボル全体の送信電力を下げる。
 
【0100】
  [具体例]
  
図18は、本実施の形態に係る送信電力制御方法を説明するための一例を示す図である。
図18では、PUSCHをCC1のサブフレーム(n+1)およびCC2のサブフレームnで送信し、CC2の送信タイミングがCC1の送信タイミングより遅い場合の例である。なお、
図18において、CC1とCC2のタイミング差をΔ
TAとする。
 
【0101】
  この場合、CC2のサブフレームnの末尾部分とCC1のサブフレーム(n+1)の先頭部分がオーバーラップする。このオーバーラップした部分において送信電力の合計が許容値を超える場合には、端末200は、後ろのサブフレーム、すなわち、CC1のサブフレーム(n+1)の先頭シンボル全体の送信電力を下げる。
 
【0102】
  [効果]
  サブフレームの先頭シンボルには、Transient periodが必ず設定されるため、末尾シンボルよりも歪む可能性が高い。このため、オーバーラップした場合に、後ろのサブフレームの先頭シンボルの送信電力の方を下げることにより、誤り率の劣化量を抑えることができる。
 
【0103】
  なお、制御情報(UCI)を含むPUSCHの優先度を、UCIを含まないPUSCHのものより高く設定し、同一優先度の場合、すなわち、UCIを含むPUSCH同士あるいはUCIを含まないPUSCH同士のオーバーラップの場合に限って、上記の送信電力制御方法を実行するようにしてもよい。
 
【0104】
  以上、本発明の各実施の形態について説明した。
 
【0105】
  なお、上記各実施の形態では、CC間のタイミング差として31.3usつまり71.3usのSC-FDMAシンボル長以内のタイミング差を前提に説明したが、本発明は、それ以上のタイミング差の場合でも適用することができる。この場合、送信電力の合計が許容値を超える場合には、より優先度の低いチャネルのサブフレームの先頭から複数シンボルまたは末尾から複数シンボルの送信電力を下げる。
 
【0106】
  また、上記各実施の形態では、シンボル長が71.3usの場合を例に説明したが、本発明はこれに限られず、その他の場合にも適用することができる。なお、LTEでは、normal CPの場合、先頭のSC-FDMAシンボルのシンボル長は71.9usとなっており、それ以外のSC-FDMAシンボルのシンボル長は71.3usとなっている。
 
【0107】
  また、上記各実施の形態では、CC毎にタイミング制御を行う場合について説明したが、本発明はこれに限られず複数のCCをまとめたCCグループ毎にタイミング制御を行うようにしてもよい。この場合、タイミング制御情報はCCグループ毎に基地局100から端末200へ通知される。
 
【0108】
  また、上記各実施の形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はソフトウェアで実現することも可能である。
 
【0109】
  また、上記各実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
 
【0110】
  また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
 
【0111】
  さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
 
【0112】
  以上、本開示に係る無線通信端末装置は、CC(Component carrier)毎に、サブフレームの送信タイミングおよび送信電力を制御する制御部と、制御された前記送信タイミングおよび前記送信電力で、信号を送信する送信部と、を有し、前記制御部は、送信電力の合計が許容値以下となるように、シンボル単位で、前記送信電力を制御する、構成を採る。
 
【0113】
  本開示に係る無線通信端末装置において、前記制御部は、一つのCCのサブフレームの先端部分又は後端部分と他のCCのサブフレーム間とがオーバーラップする部分の送信電力を制御する、構成を採る。
 
【0114】
  本開示に係る無線通信端末装置において、前記制御部は、一つのCCのサブフレームの先端部分又は後端部分とオーバーラップする他のCCの連続する2つのサブフレームにおいて、前記2つのサブフレームそれぞれの、先端部分又は後端部分の送信電力を制御する、構成を採る。
 
【0115】
  本開示に係る無線通信端末装置において、前記制御部は、優先度が最も低い信号の送信電力を下げるように制御する、構成を採る。
 
【0116】
  本開示に係る無線通信端末装置において、前記制御部は、SRS(Sounding Reference Signal)の優先度をPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)の優先度よりも高くする、構成を採る。
 
【0117】
  本開示に係る無線通信端末装置において、前記制御部は、送信電力を下げるシンボル内にTransient periodを設定する、構成を採る。
 
【0118】
  本開示に係る無線通信端末装置において、前記制御部は、前記先頭シンボルにおいて、所定時間間隔後にTransient periodを設定する、構成を採る。
 
【0119】
  本開示に係る無線通信端末装置において、前記制御部は、前記末尾シンボルにおいて、所定時間間隔前にTransient periodを設定する、構成を採る。
 
【0120】
  本開示に係る無線通信端末装置において、前記制御部は、前記所定時間間隔において、送信電力を0にする、構成を採る。
 
【0121】
  本開示に係る無線通信端末装置において、前記所定時間間隔は、CC間の送信タイミングの差である、構成を採る。
 
【0122】
  本開示に係る無線通信端末装置において、前記制御部は、前記Transient periodを、CC間の送信タイミングの差だけ、長く設定する、構成を採る。
 
【0123】
  本開示に係る無線通信端末装置において、前記制御部は、送信電力を下げるシンボルが2つ以上の場合、前記Transient periodを、1シンボル長だけ、長く設定する、構成を採る。
 
【0124】
  本開示に係る無線通信端末装置において、前記制御部は、サブフレームの末尾シンボルについて送信電力を下げる場合には、前記末尾シンボルを含むサブフレーム全体の送信電力を下げる、構成を採る。
 
【0125】
  本開示に係る無線通信端末装置において、前記制御部は、2つ以上のシンボルを下げる場合、前記2つ以上のシンボルを含むサブフレーム全体の送信電力を下げる、構成を採る。
 
【0126】
  本開示に係る無線通信端末装置において、前記制御部は、一つのCCのサブフレームの後端部分が、他のCCの一つのサブフレーム内でオーバーラップする場合、前記他のCCの一つのサブフレーム全体の送信電力を下げる、構成を採る。
 
【0127】
  本開示に係る無線通信端末装置において、前記制御部は、同一優先度の信号間においてオーバーラップする部分の送信電力の合計が許容値を超える場合には、後ろのサブフレームの先頭シンボルの送信電力を下げる、構成を採る。
 
【0128】
  本開示に係る送信電力制御方法は、CC(Component carrier)毎に、サブフレームの送信タイミングを制御し、送信電力の合計が許容値以下となるように、シンボル単位で、前記送信電力を制御する。
 
【0129】
  2012年1月30日出願の特願2012−016409の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。