特許第5952330号(P5952330)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5952330加工条件管理機能を有する加工アプリケーションロボットシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5952330
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】加工条件管理機能を有する加工アプリケーションロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/06 20060101AFI20160630BHJP
   B25J 9/22 20060101ALI20160630BHJP
【FI】
   B25J19/06
   B25J9/22 A
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-66635(P2014-66635)
(22)【出願日】2014年3月27日
(65)【公開番号】特開2015-188954(P2015-188954A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2015年4月21日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100159684
【弁理士】
【氏名又は名称】田原 正宏
(72)【発明者】
【氏名】小寺 瞬
【審査官】 藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−160350(JP,A)
【文献】 特開2004−223555(JP,A)
【文献】 特開2012−146109(JP,A)
【文献】 特開2005−193338(JP,A)
【文献】 特開2005−148803(JP,A)
【文献】 特開2007−115011(JP,A)
【文献】 特開平09−044227(JP,A)
【文献】 特開2008−221363(JP,A)
【文献】 特開2004−299013(JP,A)
【文献】 特開2005−103740(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物に対して所定の加工作業を行うロボットと、
前記ロボットの動作を制御するロボット制御部と、
前記ロボットが行う加工作業における加工処理を制御する加工制御部と、
前記加工制御部に指令される前記加工処理の内容を決定するとともに、前記ロボットの動作の制御に関するものを含まない加工条件を設定、変更又は調整するためのインターフェース部と、
前記加工条件の設定又は設定変更に対する操作制限を、所定の判定条件に基づいて行う加工条件変更管理部と、を備えた加工アプリケーションロボットシステムにおいて、
前記加工条件変更管理部による操作制限が無効のときに設定された加工条件を基準条件とし、
前記加工条件変更管理部による操作制限が有効のときは、前記基準条件を基準とする調整可能範囲内で前記加工条件を調整できるようにした、加工アプリケーションロボットシステム。
【請求項2】
前記加工条件変更管理部による操作制限が有効のときに変更された前記加工条件は、前記加工条件変更管理部による操作制限が無効のときに新たな基準条件として適用できる一方、変更された内容を破棄して元の基準条件に戻すこともできる、請求項1に記載の加工アプリケーションロボットシステム。
【請求項3】
前記調整可能範囲は、前記加工条件変更管理部による操作制限が無効のときに設定される、請求項1又は2に記載の加工アプリケーションロボットシステム。
【請求項4】
前記インターフェース部は、前記加工条件変更管理部による操作制限が有効のときに変更された加工条件をハイライト表示するように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の加工アプリケーションロボットシステム。
【請求項5】
前記加工条件変更管理部は、前記加工条件の設定権限が与えられている上位操作モードと、前記加工条件の設定又は設定変更に対する操作制限が加わる下位操作モードとを含む複数の操作モード切換えによって、前記加工条件の設定又は設定変更に対する操作制限を行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載の加工アプリケーションロボットシステム。
【請求項6】
前記加工条件変更管理部は、予め設定された複数のオペレータレベル、又はパスワード管理された複数のオペレータごとに前記加工条件の設定又は設定変更に対する操作制限を行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載の加工アプリケーションロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工条件管理機能を有する加工アプリケーションロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加工用途のロボットシステム(加工アプリケーションロボットシステム)では、ロボット制御装置若しくは加工制御装置が備えるスイッチ等によるモードの切替え、又は当該制御装置のソフトウェアが備えるパスワードログイン機能等によるオペレータの切替えによって、複数の操作モードを管理する手法がある。例えば、下位の操作モード又は所定の条件下において、溶接品質に影響を与えるような重要な設定の変更を行えないように制限をかけることで、上位の操作モード利用者やシステム管理者が認識又は企図しない設定変更や誤設定等のトラブルを未然に防ぎ、システムの管理及び運用の安全性を高めることができる。
【0003】
これに関連する周知技術例として、特許文献1には、溶接電源のキースイッチによって複数のロックモードのいずれかを選択でき、それぞれのロックモードに応じて、溶接電源に関する操作に制限をかける技術が記載されている。
【0004】
また特許文献2には、溶接条件設定器と溶接電源との接続状態、及び溶接条件の変更可否設定の内容によって、溶接条件変更の可否を決定する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−210007号公報
【特許文献2】国際公開第2012/157157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術を利用した加工アプリケーションロボットシステムでは、先ず、操作制限がない(又は少ない)上位の操作モードにて、加工プログラムの作成や教示、加工条件の設定が行われる。次に、ロボットシステムが生産稼働の段階まで立ち上がった後、該ロボットシステムは、主に加工プログラムの起動及び停止等の最低限の操作を行える下位の操作モードで運用される。これにより、生産稼働が可能な状態にある加工アプリケーションロボットシステムは、加工品質に悪影響を及ぼす誤設定やシステム管理者が認識又は企図しない設定変更等から保護される。
【0007】
しかし実際には、生産稼働に入ってからも教示位置及び姿勢、加工条件の微調整を行うべき状況は頻繁に発生し得る。その理由は、アーク溶接やスポット溶接等のアプリケーションによって様々であるが、例えばアーク溶接の場合、溶接対象物の設置誤差や寸法誤差による目標位置のばらつき、生産稼働時の連続溶接による溶接対象物及び治具への入熱量の変化等がある。よって、生産稼働後も様々な外部要因を考慮した安定性の高い加工条件を構築していくことが求められる。
【0008】
一方、現状の加工条件には問題がなくとも、指令電流を微増又は微減させたときの加工状態を確認したいといった状況も考えられる。これらの状況が発生する度に、オペレータは操作モードを上位に切替えなければならず、操作性が悪いという問題があった。特に、ロボット制御装置及び加工制御装置が現場から離れて設置されている場合は、操作モードを切替えるための移動が面倒になる。
【0009】
そこで本発明は、下位の操作モードでも加工条件の調整を許可する一方で、加工条件の管理や運用面でも安全性も確保できる、加工アプリケーションロボットシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本願第1の発明は、被加工物に対して所定の加工作業を行うロボットと、前記ロボットの動作を制御するロボット制御部と、前記ロボットが行う加工作業における加工処理を制御する加工制御部と、前記加工制御部に指令される前記加工処理の内容を決定する加工条件を設定、変更又は調整するためのインターフェース部と、前記加工条件の設定又は設定変更に対する操作制限を、所定の判定条件に基づいて行う加工条件変更管理部と、を備えた加工アプリケーションロボットシステムにおいて、前記加工条件変更管理部による操作制限が無効のときに設定された加工条件を基準条件とし、前記加工条件変更管理部による操作制限が有効のときは、前記基準条件を基準とする調整可能範囲内で前記加工条件を調整できるようにした、加工アプリケーションロボットシステムを提供する。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、前記加工条件変更管理部による操作制限が有効のときに変更された前記加工条件は、前記加工条件変更管理部による操作制限が無効のときに新たな基準条件として適用できる一方、変更された内容を破棄して元の基準条件に戻すこともできる、加工アプリケーションロボットシステムを提供する。
【0012】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記調整可能範囲は、前記加工条件変更管理部による操作制限が無効のときに設定される、加工アプリケーションロボットシステムを提供する。
【0013】
第4の発明は、第1〜第3のいずれか1つの発明において、前記インターフェース部は、前記加工条件変更管理部による操作制限が有効のときに変更された加工条件をハイライト表示するように構成されている、加工アプリケーションロボットシステムを提供する。
【0014】
第5の発明は、第1〜第4のいずれか1つの発明において、前記加工条件変更管理部は、前記加工条件の設定権限が与えられている上位操作モードと、前記加工条件の設定又は設定変更に対する操作制限が加わる下位操作モードとを含む複数の操作モード切換えによって、前記加工条件の設定又は設定変更に対する操作制限を行う、加工アプリケーションロボットシステムを提供する。
【0015】
第6の発明は、第1〜第4のいずれか1つの発明において、前記加工条件変更管理部は、予め設定された複数のオペレータレベル、又はパスワード管理された複数のオペレータごとに前記加工条件の設定又は設定変更に対する操作制限を行う、加工アプリケーションロボットシステムを提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、加工条件の設定及び設定変更に対する操作制限が加えられている状況下でも加工条件を調整できるため、オペレータが操作制限の切替え作業を行う必要がなくなり、操作性が向上する。また操作制限が有効であるときの加工条件の調整は、基準条件を基準とする調整可能範囲内のみに制限されるため、加工条件の管理及び運用の面において一定の安全性を維持できる。
【0017】
加工条件の設定及び設定変更に対する操作制限が有効であるときに調整された加工条件は、操作制限が無効のときに新たな基準条件として適用できることに加え、変更を破棄して元の加工条件に復元することもできるため、加工条件の管理及び運用の面において安全性を確保できる。また加工条件の設定及び設定変更に対する操作制限が有効のときに適用される加工条件調整可能範囲は、操作制限が無効のときに設定できるため、加工条件の管理及び運用の面において安全性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る加工アプリケーションロボットシステムの基本構成を示す機能ブロック図である。
図2図1のロボットシステムにおける処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の好適な実施形態に係る加工アプリケーションロボットシステム(以降、単にロボットシステムとも称する)の基本構成を示す機能ブロック図である。ロボットシステム10は、加工対象物である被加工物12に対して所定の加工作業を行うロボット14と、ロボット14の動作を制御するロボット制御装置(ロボット制御部)16と、ロボット14が行う加工作業における加工処理を制御する加工制御装置(加工制御部)18と、作業者24の操作等によって加工制御装置18に指令される加工処理の内容を決定する加工条件を設定、変更又は調整するためのインターフェース部20と、加工条件の設定、変更又は調整に対する操作制限を行う加工条件変更管理部22とを有する。なお図1では、ロボット制御装置16と加工制御装置18とは別装置として記載されているが、これらが一体となっているシステムも本発明に含まれる。
【0020】
なお本願明細書における「加工」なる語は、ロボットを用いて原料や素材に手を加えて新しい物を作ることを意味し、具体的には溶接、機械加工、レーザ加工、塗装等、本発明の加工アプリケーションロボットシステムに適用できる作業の全てを含むものとする。またロボット制御装置16は、ロボットの位置及び姿勢の制御、例えば、ロボット14のアーム先端に搭載した溶接トーチ又はスプレーガン等の作業ツール(図示せず)を被加工物12に近接させる動作の制御を行う。一方、加工制御装置18は例えば、溶接トーチに接続される溶接電源やスプレーガンに接続される塗料供給源等を制御し、より具体的には該溶接電源の出力(電流、電圧等)や塗料供給源の出力(圧力、流量等)を制御する。従って本願明細書における「加工条件」には、ロボットの動作制御、より具体的にはロボットの位置及び姿勢の制御に関するものは含まれない。またインターフェース20の具体例としては、ロボット制御装置16又は加工制御装置18が有する教示操作盤が挙げられる。
【0021】
図2は、図1のロボットシステムにおける処理の一例を示すフローチャートである。先ずステップS1において、加工条件変更管理部22が、ロボットシステムにおける加工条件の設定及び設定変更に対する操作制限を管理する。例えば、ロボットシステムに複数の操作モードが設定されている場合、加工条件変更管理部22は、該複数の操作モードのうち、上位操作モードでは操作制限を無効、つまり加工条件の設定及び設定変更を任意に行うことを許可し、下位操作モードでは操作制限を有効、つまり加工条件の設定及び設定変更する操作を制限することができる。
【0022】
操作モード(操作制限の有効/無効)の切替えは、種々の判定条件に基づいて行うことが可能であるが、例えば、上述のロボット制御装置16又は加工制御装置18に設けたスイッチ等を操作することで行ってもよい。ロボットシステムに操作モードやスイッチが設定されていない場合であっても、インターフェース部20を利用したソフトウェア制御により、加工条件変更管理部22の機能を制御することが可能である。例えば、複数の作業者の各々について予め定めたオペレータレベル(すべての設定を任意に行える権限を持つレベル、加工に関わる設定を行える権限を持つレベル、プログラムの起動のみを行える権限を持つレベル、等)に応じて加工条件の設定及び設定変更の操作制限を決定してもよい。或いは、パスワード管理された複数の作業者についてオペレータレベルを自動的に振り分けることも可能である。通常、加工条件の設定及び設定変更の操作制限が無効の状態で操作を行うのは、ロボットシステム10の管理者や加工アプリケーションロボットシステムの立上げ・設定を行う熟練者であり、加工条件の設定及び設定変更の操作制限を有効の状態で操作を行うのは、加工プログラムの起動や停止等の基本的な操作のみを行えるオペレータである。
【0023】
なお本願明細書における「上位(の)操作モード」とは、管理者・熟練者等の、加工条件について所定の(通常は無制限の)設定権限を有する作業者が実行できる操作モードであり、下位(の)操作モードよりも操作の自由度が上位(加工条件の設定に際し制約が少ない)のものを意味する。一方、「下位(の)操作モード」とは、管理者・熟練者等よりも設定権限が限られている一般作業者や非熟練者が操作可能な操作モードであり、上位(の)操作モードに何らかの制限が加わった操作モードを意味する。なお図1に示した作業者24は、上述の作業者のいずれをも含み得るものであり、すなわちインターフェース部20を介した操作は上位操作モード及び下位操作モードのいずれでも行うことができる。
【0024】
ステップS1にて加工条件の設定及び設定変更についての操作制限が無効とされた場合は、ステップS2において、加工条件の設定・変更を任意に行うことができる。ここで設定・変更された加工条件が、加工条件の調整可能範囲を定める際の基準条件となる(ステップS3)。この基準条件は、加工条件とは別にシステムに記憶される。一般に、ロボットシステムは様々な加工を行うため、複数の加工条件を設定・保存でき、具体例を挙げると、第1の加工条件は部品Aを加工するための条件とし、第2の加工条件は部品Aとは異なる部品Bを加工するための条件とする、といった運用が行われる。通常、システムに設定されている加工条件の数と同じ数の基準条件が必要であり、それぞれの加工条件ごとに基準条件が設定・保存される。また加工条件が設定・変更されたときは、その内容がその加工条件用の基準条件にコピーされるようにしてもよいし、加工条件とは別に基準条件も手動で設定するようにしてもよい。
【0025】
次のステップS4では、加工条件の設定及び設定変更の操作制限が有効の場合における加工条件調整可能範囲(後述)を設定する。或いは、加工条件調整可能範囲は予め定めておいてもよい。
【0026】
一方、ステップS1にて加工条件の設定及び設定変更の操作制限が有効とされた場合は、基準条件を基準とする加工条件調整可能範囲内でのみ加工条件の調整が可能である(ステップS5)。ここで加工条件(の)調整可能範囲とは、加工条件の設定及び設定変更の操作制限が有効な場合において、加工品質に大きな影響を与える程の加工条件の変更を禁止するためのものであり、該調整可能範囲内で加工条件を変更しても加工品質が大きくは変わらないような範囲を意味する。例えば、加工条件の微調整程度しか行えないように調整可能範囲を設定することも可能である。或いは、ロボットシステムがアーク溶接を行うものである場合、加工条件には電流や電圧等の複数の指令があるが、電流の調整は一切禁止する一方で、電圧は微調整範囲内での変更のみ許可する、という運用も可能である。加工条件調整可能範囲の設定は、加工条件の設定及び設定変更の操作制限が無効のときには任意に設定することができる。
【0027】
なお、ステップS5において加工条件の調整行っても、加工条件が変わるだけであって基準条件は変化しないため、ここで調整できる加工条件の範囲が変化してしまうことはない。また、基準条件は、加工条件とは別にロボットシステムに保存されると上述したが、基準条件を保存しないことも可能である。この場合、ステップS3で設定した加工条件がそのまま基準条件となり、加工条件と基準条件は同一である。従って、ステップS5での加工条件の調整によって基準条件も変化することになるが、ステップS5での調整による変化量をロボットシステムに記憶させることによって、調整前の加工条件すなわち基準条件を算出することができる。
【0028】
加工条件の設定及び設定変更の操作制限が有効のときに調整された加工条件は、上述のインターフェース部20等の手段によって、赤文字で強調したり白黒反転させたりする等のハイライト表示を行うことができる(ステップS6)。またハイライト表示のような視覚的手段の代わりに又はこれに加え、加工条件調整時にアラーム等を発する聴覚的手段を用いてもよい。
【0029】
上述のハイライト表示は、加工条件の設定及び設定変更の操作制限が無効のときも同様に行うことができ、操作制限が有効のときに調整された加工条件は、容易に確認することができる(ステップS7)。この際、インターフェース部20では、調整された加工条件だけでなく、調整前の加工条件すなわち基準条件も表示することができる。これにより、作業者はどのような調整が行われたのかを容易に知ることができ、その調整が適切であるか否かを判断することができる。この判断は、調整された加工条件で実際に加工された被加工物の加工品質に基づいて行ってもよいし、管理者・熟練者が経験等に基づいて行ってもよい。後者の具体例としては、ロボットシステム10がアーク溶接を行うものであり、加工条件の設定及び設定変更の操作制限が有効時において調整された加工条件が電流値のみであって電圧は調整されていない場合、通常、アーク溶接において電流値を変えれば電圧値も再調整する必要があることから、仮に調整された電流値が可能調整範囲内であっても、適切な加工条件調整ではないと判断できる場合が挙げられる。
【0030】
加工条件変更管理部22は、加工条件の設定及び設定変更の操作制限が有効のときに行われた加工条件の調整が適切であると判断された場合は、加工条件の設定及び設定変更の操作制限が無効のときに、その調整された加工条件を適用し、新たな基準条件として設定することができる(ステップS8)。一方、加工条件の設定及び設定変更の操作制限が有効のときの加工条件の調整が不適切であると判断された場合は、加工条件の設定及び設定変更の操作制限が無効のときに、その調整を破棄し、加工条件を調整前のものに戻すことができる(ステップS9)。
【0031】
最後に、ステップS10において、ハイライト表示を解除して元の表示状態に戻し、一連の処理が終了する。
【0032】
なお本発明に係る加工アプリケーションロボットシステムは、図1に記載したものに限定されない。被加工物に対して作業を行うロボットは複数台でもよいし、ロボット以外の周辺機器をシステム内に組み込むことも可能である。またロボット制御装置と加工制御装置とを一体化し、実質1つの制御装置とすることも可能であるが、このような形態も本発明に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0033】
10 加工アプリケーションロボットシステム
12 被加工物
14 ロボット
16 ロボット制御装置
18 加工制御装置
20 インターフェース部
22 加工条件変更管理部
24 作業者
図1
図2