特許第5952336号(P5952336)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5952336
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】太陽電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0224 20060101AFI20160630BHJP
【FI】
   H01L31/04 264
【請求項の数】18
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-103448(P2014-103448)
(22)【出願日】2014年5月19日
(65)【公開番号】特開2014-229904(P2014-229904A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2014年5月19日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0056314
(32)【優先日】2013年5月20日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】502032105
【氏名又は名称】エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】ナム チョンボン
(72)【発明者】
【氏名】ホ ミヒ
(72)【発明者】
【氏名】リ ウンジュ
(72)【発明者】
【氏名】チョン イルヒョン
【審査官】 森江 健蔵
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−522545(JP,A)
【文献】 特開昭58−096777(JP,A)
【文献】 特開2008−192921(JP,A)
【文献】 特表2013−539230(JP,A)
【文献】 特開2008−135654(JP,A)
【文献】 特開平07−015022(JP,A)
【文献】 特開2011−181680(JP,A)
【文献】 特開2001−237448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/0224
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の基板と、
前記基板の第1面に位置し、第1導電型とは異なる第2導電型の不純物を含有する第1ドーピング部と、
前記第1ドーピング部と電気的に接続された第1電極部と
を含み、
前記第1電極部は、熱硬化性樹脂と、前記熱硬化性樹脂内に分散された第1導電性粒子と、第2導電性粒子と、前記第2導電性粒子と前記第1ドーピング部の接触界面に位置するシリサイドを含み、
前記第1導電性粒子は銀(Ag)から構成され、前記第2導電性粒子は前記第1導電性粒子と比べて高い仕事関数を有するニッケル(Ni)から構成され、
前記ニッケルは、銀とニッケルを合せた全重量に対して15重量%〜25重量%の割合で含有される、太陽電池。
【請求項2】
前記第1ドーピング部と接触する界面に形成されたシリサイドがニッケルシリサイドから構成される、請求項1記載の太陽電池。
【請求項3】
前記ニッケルシリサイド(NS)は前記ニッケル(Ni)に比べて仕事関数が低くショットキー障壁が高いが、前記ニッケル(Ni)に比べて低い比抵抗を有する、請求項2記載の太陽電池。
【請求項4】
前記ニッケルは、
2μm〜10μmの大きさを有する、請求項1記載の太陽電池。
【請求項5】
前記熱硬化性樹脂は、
モノマー系のエポキシ樹脂またはアクリル樹脂を含む、請求項1記載の太陽電池。
【請求項6】
前記第1ドーピング部は、
エミッタ部から形成される、請求項1記載の太陽電池。
【請求項7】
前記エミッタ部には誘電層が形成される、請求項6記載の太陽電池。
【請求項8】
前記第1電極部は、第1方向に延長された複数の第1フィンガー電極と、前記第1フィンガー電極と交差する第2方向に延長された複数の第1バスバー電極を含む、請求項7記載の太陽電池。
【請求項9】
前記基板の第1面の反対側に位置する第2面に位置し、前記第1導電型の不純物を前記基板に比べて高濃度で含有する第2ドーピング部と、
前記第2ドーピング部と電気的に接続された第2電極部と
をさらに含み、
前記第2電極部は、前記第1導電性粒子、前記第2導電性粒子、前記シリサイド及び前記熱硬化性樹脂を含む、請求項1記載の太陽電池。
【請求項10】
前記第2ドーピング部は後面電界部で形成される、請求項9記載の太陽電池。
【請求項11】
前記後面電界部には、誘電層が形成される、請求項10記載の太陽電池。
【請求項12】
前記第2電極部1方向に延長された複数の第2フィンガー電極と前記第2フィンガー電極と交差する第2方向に延長された複数の第2バスバー電極を含む、請求項11記載の太陽電池。
【請求項13】
第1導電型を有する基板の第1面に前記第1導電型とは異なる第2導電型の不純物を含有する第1ドーピング部を形成する段階と、
前記第1ドーピング部の一部を露出する開口部を備える誘電層を前記第1ドーピング部上に形成する段階と、
前記第1ドーピング部と電気的に接続された第1電極部を形成する段階と、を含み
前記第1電極部を形成する段階は
熱硬化性樹脂、前記熱硬化性樹脂内に分散された第1導電性粒子と、前記熱硬化性樹脂内に分散され、前記第1導電性粒子に比べて高い仕事関数を有する第2導電性粒子を含む電極ペーストを前記開口部を介して露出された前記第1ドーピング部に印刷する段階と、
前記電極ペーストを熱処理して硬化する段階と、
前記第2導電性粒子と、前記第1ドーピング部が接触する界面にシリサイドを形成する段階と
を含み、
前記第1電極部は、熱硬化性樹脂と、前記熱硬化性樹脂内に分散された第1導電性粒子と、第2導電性粒子と、前記第2導電性粒子と第1ドーピング部の接触界面に位置するシリサイドを含み、
前記第1導電性粒子は銀(Ag)から構成され、前記第2導電性粒子は前記第1導電性粒子と比べて高い仕事関数を有するニッケル(Ni)から構成され、
前記ニッケルは、銀とニッケルを合せた全重量に対して15重量%〜25重量%の割合で含有される、太陽電池の製造方法。
【請求項14】
前記シリサイドを形成する段階は、前記ニッケルから構成された第2導電性粒子を利用して、前記第2導電性粒子が、前記第1ドーピング部と接触する界面にニッケルシリサイドを形成する段階を含む、請求項13記載の太陽電池の製造方法。
【請求項15】
前記シリサイド(NS)は、前記ニッケル(Ni)に比べて仕事関数が低くショットキー障壁が高いが、前記ニッケル(Ni)に比べて低い比抵抗を有する、請求項14記載の太陽電池の製造方法。
【請求項16】
230℃〜260℃の温度で前記電極ペーストを熱処理して硬化する、請求項15記載の太陽電池の製造方法。
【請求項17】
前記ニッケルシリサイドを形成する段階は、前記基板を350℃〜400℃の温度に加熱することを含む、請求項16記載の太陽電池の製造方法。
【請求項18】
前記第1ドーピング部をエミッタ部で形成する、請求項13記載の太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光電変換効果を利用して光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽光発電は、クリーンエネルギーを得るための手段として広く利用されている。そして、太陽電池の光電変換効率の向上に伴って、個人住宅でも、複数の太陽電池モジュールを利用する太陽光発電システムが設置されている。
【0003】
通常の太陽電池は、基板と基板とp−n接合を形成するエミッタ部を含み、基板の一方の面を介して入射された光を利用して電流を発生させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ドーピング部との接触抵抗が減少され、バルク寿命(bulk lifetime)が改善された太陽電池及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の太陽電池は、第1導電型の基板と、基板の第1面(first surface)に位置し、第1導電型の反対である第2導電型の不純物を含有する第1ドーピング部と、第1ドーピング部と電気的に接続された第1電極部を含み、第1電極部は、第1導電性粒子と、それと前記第1導電性粒子に比べて高い仕事関数を有し、第1ドーピング部と接触する界面にシリサイドを形成する第2導電性粒子を含む。
【0006】
一例として、第1導電性粒子は銀(Ag)から構成され、第2導電性粒子は、ニッケル(Ni)から構成することができる。この場合、p+ドーピング部と接触する界面に形成されたシリサイドは、ニッケルシリサイドで有り得る。
【0007】
第1電極部は熱硬化性樹脂をさらに含むことができ、熱硬化性樹脂は、モノマー(monomer)系のエポキシ(epoxy)樹脂またはアクリル(acrylic)樹脂で有り得る。
【0008】
第1ドーピング部はエミッタ部から形成され得、第1電極部が位置しない領域のエミッタ部には誘電層が形成され得る。
【0009】
第1電極部は、第1方向に延長された複数のフィンガー電極とフィンガー電極と交差する複数のバスバー電極を含むことができる。
【0010】
本発明の実施形態に係る太陽電池の製造方法は、第1導電型を有する基板の第1面に第1導電型の反対である第2導電型の不純物を含有する第1ドーピング部を形成する段階と、第1ドーピング部の一部を露出する開口部を備えた誘電層を第1ドーピング部上に形成する段階と、樹脂、樹脂内に分散された第1導電性粒子と、樹脂内に分散され、第1導電性粒子に比べて高い仕事関数を含む電極ペーストを開口部を介して露出された第1ドーピング部に印刷する段階と電極ペーストを低温工程で熱処理して硬化する段階と、第2導電性粒子と、第1ドーピング部が接触する界面にシリサイドを形成するする段階を含むことができる。
【0011】
ここで、第1導電性粒子としては、銀(Ag)を使用し、第2導電性粒子としては、ニッケル(Ni)を使用することができる。
【0012】
第2導電性粒子が第1ドーピング部と接触する界面にはニッケルシリサイドを形成することができる。
【0013】
第1ドーピング部をエミッタ部で形成することができる。
【発明の効果】
【0014】
一般的に、太陽電池では、アルミニウム(Al)を含有する銀ペースト(Ag paste)を印刷、乾燥及び硬化して電極部を形成しており、銀ペーストを硬化する際に発生するガラスフリット(glass frit)のエッチング作用によって導電性粒子(銀及びアルミニウム)を基板と反対の導電型を有するドーピング部と接触させている。
【0015】
しかし、アルミニウムが含有された銀ペーストを用いて電極部を形成する際には、約800℃〜900℃の温度で熱処理を行う高温プロセスを使用しなければならない。
【0016】
したがって、基板を構成するシリコンバルク(silicon bulk)の内部の欠陥(defect)が増加して寿命(life time)が減少し、開放電圧と短絡電流密度が減少する問題がある。
【0017】
このような問題を改善するために、最近では樹脂(resin)をバインダー(binder)として使用した低温硬化型銀ペースト(curing Ag paste)を用いて電極部を形成する方法が開発された。
【0018】
ところで、低温硬化型銀ペーストを使用する場合には、銀(Ag)の仕事関数(work function)に起因したショットキー障壁(schottky barrier)が高く、接触抵抗が増加し、それに応じてフィルファクター(fill factor)が増加する問題がある。
【0019】
しかし、本発明の特徴によれば、電極部が第1導電性粒子(銀、Ag)及び第1導電性粒子に比べて高い仕事関数を有する第2導電性粒子(ニッケル、Ni)の全てを含有するので、電極部のショットキー障壁が低くなるようにして接触抵抗が減少する。
【0020】
また、第2導電性粒子とドーピング部が接触する界面にシリサイドが形成されるので、電極部の接触抵抗がさらに減少する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る太陽電池の要部斜視図である。
図2図1に示した太陽電池の要部断面図である。
図3】さまざまな種類の金属の仕事関数とショットキー障壁を示す表である。
図4】従来の太陽電池と、本発明の太陽電池のショットキー障壁の違いを示す図である。
図5図1に示した太陽電池の製造方法を示す工程ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、様々な変更を加えることができ、いくつかの実施形態を有り得るところ、特定の実施形態を図面に例示し、詳細な説明に詳細に説明する。これは本発明を特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解することができる。
【0023】
本発明を説明するに当たり、第1、第2などの用語は、様々な構成要素を説明するために使用することができるが、前記の構成要素は、前記の用語によって限定されないことがある。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的にのみ使用することができる。
【0024】
例えば、本発明の権利範囲を逸脱することなくて、第1構成要素は、第2構成要素と命名されることができ、類似に第2構成要素も第1構成要素として命名することができる。
【0025】
「及び/または」という用語は、複数の関連する記載項目の組み合わせまたは複数の関連する記載項目のうちのいずれかの項目を含むことができる。
【0026】
いずれの構成要素が他の構成要素に「接続され」ているか、または「結合され」ていると言及している場合は、その他の構成要素に直接接続されているか、または結合されている場合もあるが、中間に他の構成要素が存在することもあると理解することができる。
【0027】
反面、どの構成要素が他の構成要素に「直接接続され」であるとか、または「直接結合され」であると言及されたときには、中間に他の構成要素が存在しないことと理解することができる。
【0028】
本出願において使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであり、本発明を限定するものではない。単数形の表現は、文脈上明らかに別に意味しない限り、複数の表現を含むことができる。
【0029】
本出願において、「含む」または「有する」などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴々や数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性をあらかじめ排除しないことと理解することができる。
【0030】
図で多くの層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。層、膜、領域、基板などの部分が他の部分「上に」あると言う時、これは他の部分「真上に」ある場合だけではなくその中間に他の部分がある場合も含む。反対に何れの部分が他の部分「真上に」あると言う時には中間に他の部分がないことを意味する。
【0031】
別に定義されない限り、技術的または科学的な用語を含めてここで使用されるすべての用語は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を持つことができる。
【0032】
一般的に使用される辞典に定義されているもののような用語は、関連技術の文脈上持つ意味と一致する意味を持つものと解釈されることができ、本出願において明白に定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味として解釈されないことがある。
【0033】
さらに、以下の実施形態は、当業界で平均的な知識を有する者に、より完全に説明するために提供されるものであり、図面での要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0034】
それでは、添付した図面を参考にして本発明の実施形態を説明する。
【0035】
図1は、本発明の実施形態に係る太陽電池の要部斜視図を示したものであり、両面受光型太陽電池の要部斜視図を示したものである。しかし、本発明は前記実施の形態に限定されず、様々な構造の太陽電池に適用が可能である。
【0036】
両面受光型太陽電池100を有する両面受光型太陽電池モジュールは、隣接する両面受光型太陽電池100を電気的に接続するインターコネクタ、両面受光型太陽電池100を保護する保護膜(EVA:Ethylene Vinyl Acetate)、両面受光型太陽電池100の前面(front surface)の方向に保護膜の上に配置される光透過性の前面基板、及び両面受光型太陽電池100の後面(back surface)の方向に保護膜の後面に配置される光透過性の後面基板を含む。
【0037】
光透過性の前面基板と光透過性の後面基板は、両面受光型太陽電池モジュールの外部からの湿気が浸透することを防止して、両面受光型太陽電池100を外部環境から保護する。
【0038】
このような光透過性の前面基板と光透過性の後面基板は透過率が高く、破損防止機能に優れた強化ガラスなどから構成されている。この際、強化ガラスは、鉄成分の含有量が低い低鉄分強化ガラス(low iron tempered glass)で有り得る。
【0039】
このような光透過性の前面基板と光透過性の後面基板は、光の散乱効果を高めるために内側面がエンボス加工(embossing)処理することができる。
【0040】
光透過性の前面基板と光透過性の後面基板は、低鉄分強化ガラス(low iron tempered glass)または高分子樹脂から構成することができる。ここで、高分子樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(Poly Ethylene Terephthlate、PET)を使用することができる。
【0041】
保護膜は、両面受光型太陽電池100の前面と後面にそれぞれ配置された状態でラミネート工程により、両面受光型太陽電池100と一体化されたもので、水分の浸透による腐食を防止し、両面受光型太陽電池100を衝撃から保護する。
【0042】
このような保護膜は、エチレン酢酸ビニル(EVA、ethylene vinyl acetate)またはシリコン樹脂(silicone resin)からなることができる。しかし、他の物質も使用可能である。
【0043】
本実施の形態の両面受光型太陽電池100は、図1に示すように、第1導電型を有する基板110と、基板110の第1面、例えば前面(front surface)に位置し、第1導電型の反対である第2導電型の不純物を含有する第1ドーピング部120、第1ドーピング部120の上に位置し、第1ドーピング部120と電気的及び/または物理的に接続された第1電極部140と、基板110の第2面、例えば後面(back surface)に位置し、第1導電型の不純物を基板110に比べて高濃度で含有する第2ドーピング部150、第2ドーピング部150の後面に位置し、第2ドーピング部150と電気的及び/または物理的に接続された第2電極部170を含む。
【0044】
基板110は、n型導電型のシリコンウエハからなることができる。この時、シリコンは、単結晶シリコン、多結晶シリコン基板または非晶質シリコンで有り得る。
【0045】
基板110がn型の導電型を有する場合、基板110は、リン(P )、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)などのように5が元素の不純物を含有する。
【0046】
これとは別に、基板110は、p型導電型のシリコンウエハからなることができ、この場合、基板110は、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などのような3が元素の不純物を含む。
【0047】
このように、基板110は、n型またはp型の導電型であることがあるが、以下では、基板110がn型の導電型を有するN型基板である場合について説明する。
【0048】
基板110の前面(front surface)に位置する第1ドーピング部120は基板110の導電型と反対であるp型の導電型を有する不純物部として、基板110とp−n接合を形成する。したがって、本実施の形態では、第1ドーピング部120は、エミッタ部を形成する。
【0049】
基板110が、N型基板である場合、第1ドーピング部120は、p型導電型を有する不純物、例えば、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などのような3が元素の不純物を基板110の第1面に均一なドーピング濃度にドーピングすることによって形成することができる。したがって、本実施の形態で、第1ドーピング部120の不純物ドーピング濃度は均一に形成される。
【0050】
これとは別に、基板110がP型基板である場合、第1ドーピング部120は、n型導電型を有する不純物を基板110の第1面に均一なドーピング濃度でドーピングすることに沿って形成することができる。
【0051】
しかし、第1ドーピング部120は、位置に応じて、不純物ドーピング濃度が異なる選択的エミッタ部で構成することができる。
【0052】
この場合、第1ドーピング部120は、第1面に位置する第1電極部が形成される位置の不純物ドーピング濃度が第1電極部が形成されない位置の不純物ドーピング濃度が互いに別に形成されることできる。一例として、第1ドーピング部120において、第1電極部が形成される位置の不純物ドーピング濃度は、第1電極部が形成されない位置の不純物ドーピング濃度より高くかまたは低く形成することができる。
【0053】
p−n接合に起因する内部の電位差(built-in potential difference)により、基板110に入射された光によって生成された電荷である電子−正孔対は、電子と正孔に分離され、電子はn型の方向に移動し、正孔はp型方向に移動する。
【0054】
したがって、分離された電子は、N型基板110の方向に移動し、分離された正孔は、第1ドーピング部120の方向にに移動する。したがって、N型基板110では、電子が複数キャリアとなり、第1ドーピング部120では正孔が複数キャリアになる。
【0055】
第1ドーピング部120の上に前面誘電層130が形成されることができる。前面誘電層130は、金属酸化物(metal oxide)系列の物質、例えばシリコン窒化膜(SiNx)、シリコン酸化膜(SiOx)、酸化アルミニウム膜(AlOx)及び二酸化チタン膜(TiO2)の中から選ばれた少なくとも一つの膜に形成されることができ、基板110の前面(front surface)を介して入射される光の反射率を減らし、特定の波長領域の選択性を増加させる反射防止膜として機能することができる。また、前面誘電層130は、パッシベーション膜としても機能することもできる。しかし、前面誘電層130は、基板110の第1面に形成されないこともある。
【0056】
基板110の前面(front surface)に位置する場合、前面誘電層130は、第1ドーピング部120の一部を露出する開口部を含むことができ、開口部によって露出された第1ドーピング部120上には第1電極部140が形成される。
【0057】
第1電極部140は、第1方向(X−X’)に延長された複数のフィンガー電極140aと、第1方向と直交する第2方向(Y−Y’)に延長された複数のバスバー電極140bを含むことができる。
【0058】
このような構成の第1電極部140は、電気伝導度を確保するための第1導電性粒子(P1)、及び第1導電性粒子(P1)に比べて高い仕事関数を有する第2導電性粒子(P2)を含む。
【0059】
第1導電性粒子(P1)は、電気伝導度が優れた金属、例えば、銀(Ag)からなり得、第2導電性粒子(P2)は、第1ドーピング部120と接触する界面にシリサイド(NS)を形成することができる金属、例えば、ニッケル(Ni)から成り得る。
【0060】
第2導電性粒子(P2)がニッケルからなる場合、第2導電性粒子(P2)と第1ドーピング部120の界面には、ニッケルシリサイド(Ni silicide)(NS)が形成される。第1電極部140は基板110の第1導電性粒子(P1)と第2導電性粒子(P2)の接着性を確保するための樹脂(resin)(R)をさらに含む。
【0061】
第1電極部140の樹脂(R)は、モノマー(monomer)系のエポキシ(epoxy)樹脂またはアクリル(acrylic)樹脂を含む熱硬化性樹脂から形成することができる。
【0062】
このような構成の第1電極部140は、樹脂(R)、樹脂(R)内に分散された第1導電性粒子(P1)及び第2導電性粒子(P2)を含む電極ペーストを印刷、乾燥、硬化及びシリサイド化(silicidation)することによって形成される。
【0063】
前述のように、第1電極部140は、銀(Ag)から形成された第1導電性粒子(P1)とニッケル(Ni)から形成された第2導電性粒子(P2)を含み、第2導電性粒子(P2)と第1ドーピング部120の界面には、ニッケルシリサイド(NS)が位置する。
【0064】
ところで、図3に示すように、第2導電性粒子(P2)を構成するニッケル(Ni)は、第1導電性粒子(P1)を構成する銀(Ag)に比べて高い仕事関数を有する。
【0065】
図3を参照すると、銀(Ag)は、約4.26eVの仕事関数を有するが、ニッケル(Ni)は、銀(Ag)に比べて高い約5.10eVの仕事関数を有することがわかる。また、図3を参照すると、N型基板110が多結晶シリコンから形成された場合には、銀(Ag)のショットキー障壁は約0.89であるが、ニッケル(Ni)のショットキー障壁は、銀(Ag)に比べて非常に低い約0.05であることがわかる。
【0066】
したがって、第1導電性粒子(P1)に比べて高い仕事関数を有する第2導電性粒子(P2)を含む第1電極部140は、第1導電性粒子(P1)と第2導電性粒子(P2)の内、第1導電性粒子(P1)のみ含む場合に比べて、第1電極部140と第1ドーピング部120の接触抵抗が減少する。
【0067】
また、第2導電性粒子(P2)と第1ドーピング部120の界面に位置するニッケルシリサイド(NS)は、約4.82eVの仕事関数を有し、約0.33のショットキー障壁を有するので、ニッケルシリサイド(NS)は、ニッケル(Ni)に比べては仕事関数が低く、ショットキー障壁が高いが、ニッケル(Ni)に比べて低い比抵抗(specific resistance)を有する。
【0068】
したがって、第2導電性粒子(P2)と第1ドーピング部120の界面に位置するニッケルシリサイド(NS)により、第1電極部140と第1ドーピング部120の接触抵抗がさらに減少する。
【0069】
図4を参照すると、第1導電性粒子と、第2導電性粒子の内、第1導電性粒子のみ含む従来の場合、ショットキー障壁は、第1高さ(Φb1)を有するが、第1導電性粒子と、第2導電性粒子とニッケルシリサイドを有する本発明の場合、ショットキー障壁は、第1高さ(Φb1)に比べて一定の高さ(ΔΦb)ほど減少する、第2高さ(Φb2)を有することがわかる。
【0070】
本発明の実施の形態において、第1導電性粒子(P1)が、銀(Ag)から構成され、第2導電性粒子(P2)がニッケルから構成された場合、ニッケル(P2)は、銀(P1)とニッケル(P2)を合わせた全重量に対して15重量%〜25重量%程度含有されることが望ましい。
【0071】
ニッケル(P2)は、銀(P1)に比べて約5倍程度の高い比抵抗を有するので。熱硬化性樹脂内に分散される導電性粒子として、銀(P1)及びニッケル(P2)を一緒に使用しないでニッケル(P2)のみを使用する場合には、第1電極部140のライン(line)抵抗が非常に大きくて太陽電池の電気的特性が低いという問題点がある。
【0072】
また、銀(P1)とニッケル(P2)を一緒に使用してもニッケル(P2)の含有量が増加するほど、第1電極部140のライン抵抗が増加する。
【0073】
したがって、銀(P1)とニッケル(P2)を合わせた全重量のニッケル(P2)の含有量は、第1電極部140のライン抵抗と、第1電極部140と第1ドーピング部120の接触抵抗を一緒に考慮して設定することが望ましい。
【0074】
本発明の実験によると、銀(P1)とニッケル(P2)を合わせた全重量に対してニッケル(P2)の含有量が25重量%以上である場合には、ニッケル含有量がさらに増加しても、太陽電池の電気的特性がこれ以上は改善されないことがわかった。
【0075】
また、ニッケルの含有量が15重量%未満の場合には、ショットキー障壁の高さを効果的に下げることができず、ニッケルシリサイド(NS)の生成量がわずかであるので、第1ドーピング部と、第1電極部との間の接触抵抗の改善効果も微々たるものことがわかった。
【0076】
したがって、銀(P1)とニッケル(P2)を合わせた全重量に対してニッケル(P2)の含有量は15重量%〜25重量%であることが望ましい。
【0077】
一方、ニッケル(P2)の大きさ(size)が小さすぎる場合、例えば、ニッケル(P2)が、ナノ(nano)単位の大きさを有する場合には、ニッケル(P2)を樹脂(R)内に効果的に分散させることが難しく、分散安定剤のような添加物を使用するが、前記添加物は、ライン抵抗を増加させる。
【0078】
ここで、ニッケル(P2)の大きさは、粒径(diameter)で有り得る。
【0079】
したがって、本発明の実施の形態では、分散安定剤のような添加物を使用しなくてもニッケル(P2)を樹脂(R)内に効果的に分散させるために、マイクロ(micro)単位の大きさを有するニッケル(P2)を使用する。
【0080】
一例として、ニッケル(P2)は、2μm〜10μmの大きさを有することが望ましい。
【0081】
このような構成の第1電極部140は、第1ドーピング部120の方向に移動した電荷、例えば正孔を収集する。
【0082】
基板110の後面に位置する第2電極部170は基板110の方向に移動する電荷、例えば、電子を収集して外部装置に出力する。
【0083】
本実施の形態で、第2電極部170は、第1電極部140のバスバー電極140bに対 応する位置に形成されるバスバー電極170bと、第1電極部140のフィンガー電極140aに対応する位置に形成されるフィンガー電極170aを含む。
【0084】
このとき、第2電極部170のフィンガー電極170aは、第1電極部140のフィンガー電極140aに比べて多い個数で形成されることが望ましい。
【0085】
第2電極部170は、第1電極部140を形成する電極ペーストにより構成することができる。この場合、第2電極部は、第1導電性粒子(P1)と第2導電性粒子(P2)が樹脂(R)内に分散された電極ペーストを印刷、乾燥及び硬化することにより形成することができる。
【0086】
第2電極部170が電気的及び/または物理的に接続される第2ドーピング部150は基板110の後面全体に位置し、基板110との不純物濃度差によって電位障壁を形成することにより、基板110の後面方向への正孔の移動を妨害する後面電界部で作用する。したがって、基板110の表面近辺で電子と正孔が再結合して消滅することが減少される。
【0087】
これとは異なり、第2ドーピング部150は、第2電極部170が位置する領域の基板の後面に局部的に(locally)位置することができ、選択的エミッタ部と同様に、不純物ドーピング濃度が互いに異なる選択的構造で形成することができる。
【0088】
選択的構造を有する後面電界部の場合、第2電極部170が位置する領域の不純物ドーピング濃度は、第2電極部170が位置しない領域の不純物ドーピング濃度より高いか低いことがある。
【0089】
第2電極部170が第1電極部140を形成する電極ペーストと同じ構成の電極ペーストにより形成される場合には、第1電極部140と同一または類似の方法で、第2ドーピング部150と第2導電性粒子(P2)の界面にシリサイドが形成される。
【0090】
この場合、図2に示した第1ドーピング部120は、第2ドーピング部150であり得、前面誘電層130は、第2電極部170が位置しない第2ドーピング部150の後面に位置する後面誘電層160で有り得る。
【0091】
後面誘電層160は、前面誘電層130のように、シリコン窒化膜(SiNx)、シリコン酸化膜(SiOx)、酸化アルミニウム膜(AlOx)及び二酸化チタン膜(TiO2 )の中から選ばれた少なくとも一つの膜から形成されることができ、前面誘電層130と同様に、必要に応じて序魚除去されることができる。
【0092】
このような構成の両面受光型太陽電池において、太陽電池に照射された光が第1ドーピング部120及び第2ドーピング部150を介して基板110に入射されると、基板110に入射された光のエネルギーによって電子‐正孔対が発生する。
【0093】
基板の前面(front surface)に前面誘電そう130が位置し、基板の後面(back surface)に後面誘電層160が位置する場合、前面誘電層130と後面誘電層160によって基板110に入射される光の反射損失が減少して基板110に入射される光の量はさらに増加する。
【0094】
これらの電子−正孔対は、基板110と第1ドーピング部120のp−n接合によって互いに分離され、前者はn型の導電型を有する基板110方向に移動し、正孔はp型の導電型を有する第1ドーピング部120方向に移動する。
【0095】
このように、基板110方向に移動した電子は、第2ドーピング部150を介して第2電極部170に移動し、第1ドーピング部120方向にに移動した正孔は、第1電極部140に移動する。
【0096】
したがって、いずれかの1つ太陽電池の第1電極部140と、隣接する太陽電池の第2電極部170をインターコネクタなどの導体に接続すると、電流が流れるようになり、これを外部で電力として利用することになる。
【0097】
以下、太陽電池の製造方法について説明する。図5図1に示した太陽電池の製造方法を示す工程ブロック図である。
【0098】
本発明の実施形態に係る太陽電池を製造するために、まず、第1導電型の基板、例えば、N型基板110の第1面に第1導電型と反対の第2導電型の不純物を含有する第1ドーピング部120を形成する。
【0099】
第1ドーピング部120を形成する前に、基板110の第1面は、テクスチャリング処理されることができ、テクスチャリング処理された基板110の第1面には複数の凹凸が形成されることができる。
【0100】
続いて、第1ドーピング部120の上に前面誘電層130を形成する。前面誘電層130は、CVD(chemical vapor deposition)またはPECVD(plasma enhanced chemical vapor deposition)工程から形成することができ、単層または複数の層から形成することができる。
【0101】
前面誘電層130を形成した後、前面誘電層130を部分的にエッチングして第1電極部140が形成される領域の第1ドーピング部120を露出させる。前面誘電層130を部分的にエッチングすると、前面誘電層130は、第1ドーピング部120の一部を露出する開口部を含み、開口部は、第1電極部140と同じパターン、例えば、グリッド(grid)のパターンに形成することができる。
【0102】
前面誘電層130に開口部を形成する際にレーザーを使用することができるが、これに限定するものではなく、通常の写真工程(photolithography)を使用することもできる。
【0103】
次に、開口部を介して露出された第1ドーピング部120の上に低温硬化型電極ペーストを印刷及び乾燥する。
【0104】
以上では、前面誘電層130を形成した後、電極ペーストを印刷及び乾燥する場合について説明したが、第1ドーピング部120の上に前面誘電層130を形成せずに電極ペーストを印刷、乾燥することも可能である。
【0105】
低温硬化型電極ペーストは、熱硬化性樹脂(R)、熱硬化性樹脂内に分散された第1導電性粒子(P1)と、熱硬化性樹脂(R)内に分散され、第1導電性粒子(P1)に比べて高い仕事関数を有し、第1ドーピング部120と接触する界面にシリサイド(NS)を形成する第2導電性粒子(P2)を含む。
【0106】
ここで、熱硬化性樹脂(R)は、低温(例えば、230℃〜260℃)で熱処理され硬化する特性を有するモノマー系のエポキシ(epoxy)樹脂またはアクリル(acrylic)樹脂を含むことことができる。そして、第1導電性粒子(P1)は、銀(Ag)であり得、第2導電性粒子(P2)は、ニッケル(Ni)で有り得る。
【0107】
低温硬化型電極ペーストを乾燥した後、約240℃の低温で熱処理を行い、電極ペーストを硬化させる。
【0108】
グラスフリットとグラスフリット内に分散された第1導電性粒子(Ag)を含む従来の電極ペーストを硬化させるためには、本発明の実施の形態に係る低温硬化型電極ペーストに比べて高い温度(例えば、800℃〜900℃)で熱処理を実施しなければならない。
【0109】
しかし、本発明の電極ペーストは、エッチング成分を含むガラスフリットを備えておらず、グラスフリットの代わりに低温(例えば、230℃〜260℃)で硬化する熱硬化性樹脂(R)を含むため、第1ドーピング部120と基板110に加わる熱損傷を最小限に抑えることができ、基板110を構成するシリコンバルクの寿命が増加し、開放電圧と短絡電流密度が向上するため、太陽電池の効率を向上させることができる。
【0110】
230℃〜260℃の低温工程で低温硬化型電極ペーストを硬化した後、不活性ガス雰囲気中で約350℃〜400℃の温度で基板110を加熱して、第2導電性粒子と、第1ドーピング部120が接する界面にシリサイド(NS)を形成する。
【0111】
本発明の実施の形態では、第2導電性粒子(P2)がニッケルである場合を例に挙げて説明したので、第1ドーピング部120と接する界面には、ニッケルシリサイド(NS)が形成される。
【0112】
一方、両面受光型太陽電池の場合、基板の第1面には、第1ドーピング部を形成する基板の第2面には、第2ドーピング部を形成する段階と、基板の第1面には、前面誘電層を形成し、基板の第2面には、後面誘電層を形成する段階と、前面誘電層と後面誘電層にそれぞれ開口部を形成する段階と、前面誘電層に形成された開口部を介して露出された第1ドーピング部には、前面電極部を形成するための電極ペーストを塗布し、後面誘電層に形成された開口部を介して露出された第2ドーピング部には、後面電極部を形成するための電極ペーストを塗布する段階と、それぞれの電極ペーストを低温工程で熱処理して硬化する段階と、シリサイドを形成する段階に応じて、太陽電池を製造することができる。
図1
図2
図3
図4
図5