特許第5952368号(P5952368)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5952368
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】フロアマットの固定構造
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/04 20060101AFI20160630BHJP
【FI】
   B60N3/04 B
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-207516(P2014-207516)
(22)【出願日】2014年10月8日
(65)【公開番号】特開2016-74368(P2016-74368A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2014年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005430
【氏名又は名称】株式会社ホンダアクセス
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100133639
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 卓哉
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】竹中 晋平
(72)【発明者】
【氏名】竹田 真之介
【審査官】 小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−037033(JP,U)
【文献】 実開昭53−048345(JP,U)
【文献】 実開平01−169446(JP,U)
【文献】 実公昭51−024677(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートレールに座席が設けられており、
前記シートレールが車両フロア上に配設された車両内装部品に支持され、
前記車両内装部品を備えた前記車両フロア上マット本体敷設されるフロアマットの固定構造であって、
前記マット本体の前記座席側の周縁部に固定部材が設けられ、
前記固定部材は前記マット本体の前記車両フロア側の面に固定されるシート状部材であり、
前記固定部材は切欠き開口部を有する挿入部を備え、前記車両フロアの上面前記車両内装部品の下との間に前記挿入部が挟持されることを特徴とするフロアマットの固定構造。
【請求項2】
前記固定部材と前記マット本体とは、前記固定部材と前記マット本体それぞれに形成された透孔に軸本体が挿通され、前記軸本体を備えた加締め部材によって前記固定部材は前記マット本体に水平方向回動可能に連結されていることを特徴とする請求項1に記載のフロアマットの固定構造。
【請求項3】
前記マット本体の前記座席側の周縁部の内側には、前記マット本体を前記車両フロアに固定するマット本体側固定部材が複数設けられていることを特徴とする請求項2記載のフロアマットの固定構造。
【請求項4】
前記切欠き開口部内で固定手段により前記車両フロアと前記車両内装部品が固定されていることを特徴とする請求項1記載のフロアマットの固定構造。
【請求項5】
記固定部材の上面に前記車両内装部品と係合する凹凸部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のフロアマットの固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両にフロアマットを固定するフロアマットの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものとして、繊維素材で構成されたカーペット材が裏打材の表面に積層接着されてなるフロアマットを床面に敷設固定するためのフロアマット固定構造であって、前記床面からの床面高さHのマット受容領域を形成する収容部と、該床面高さHよりも小さな床面高さhのマット進入領域を形成する顎部とを含む車両側カバー部材を設け、前記フロアマットは、その周縁に前記床面高さhよりも大きな高さTを有する成型リム部と、該成型リム部と前記カーペット材の端部との間に前記床面高さhに相当する高さtの平坦部とを前記裏打材に連続して有し、前記車両側カバー部材で形成されるマット受容領域に前記フロアマットの成型リム部を嵌め込む固定構造が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4833750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1には、車両側カバー部材の顎部とフロアマットの周縁に配置された成型リム部から平坦部に至る領域とが嵌め込まれる構造を採用することにより、フロアマットの安定な固定状態を実現することができる、と記載されている。
【0005】
しかし、上記固定構造では、周囲に成型リム部を設けた専用のフロアマットを用いる必要があるため、汎用のフロアマットに適用することができない。
【0006】
また、前記車両側カバー部材を車両の運転席や助手席の下側に設けることは難しく、フロアマットの後周縁部を固定することができないため、以下の問題が懸念される。
【0007】
車両フロアとフロアマットとの間のクリアランスが小さい場合、フロアマットを敷いた際、フロアマットの後周縁部が車両フロアから浮き上がり、この浮き上がった後周縁部が座席のスライド時にシートレールに干渉する虞がある。
【0008】
このようにしてフロアマットの後周縁部にシートレールが干渉すると、座席のスライド不良を発生したり、シートレールのグリスがフロアマットに付着したりするという問題が生じる。
【0009】
そこで、本発明は上記した問題点に鑑み、マット本体の周縁部の浮き上がりを防止することができるフロアマットの固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、シートレールに座席が設けられており、前記シートレールが車両フロア上に配設された車両内装部品に支持され、前記車両内装部品を備えた前記車両フロア上マット本体敷設されるフロアマットの固定構造であって、前記マット本体の前記座席側の周縁部に固定部材が設けられ、前記固定部材は前記マット本体の前記車両フロア側の面に固定されるシート状部材であり、前記固定部材は切欠き開口部を有する挿入部を備え、前記車両フロアの上面前記車両内装部品の下との間に前記挿入部が挟持されることを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に係る発明は、前記固定部材と前記マット本体とは、前記固定部材と前記マット本体それぞれに形成された透孔に軸本体が挿通され、前記軸本体を備えた加締め部材によって前記固定部材は前記マット本体に水平方向回動可能に連結されていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に係る発明は、前記マット本体の前記座席側の周縁部の内側には、前記マット本体を前記車両フロアに固定するマット本体側固定部材が複数設けられていることを特徴とする
【0013】
また、請求項4に係る発明は、前記切欠き開口部内で固定手段により前記車両フロアと前記車両内装部品が固定されていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項に係る発明は、記固定部材の上面に前記車両内装部品と係合する凹凸部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1に記載のフロアマットの固定構造によれば、固定部材を車両フロアと車両内装部品との間に挟持することにより、長時間の使用等によるマット本体の浮き上がりを抑制することで、商品性を確保することができる。
【0016】
また、本発明の請求項2に記載のフロアマットの固定構造によれば、固定部材が水平方向に回動するので、固定部材を車両内装部品と車両フロアの間で挟持させるポイントのバラツキに対応することができる。
【0017】
また、本発明の請求項3に記載のフロアマットの固定構造によれば、複数のマット本体側固定部材を備える。
【0018】
また、本発明の請求項4に記載のフロアマットの固定構造によれば、固定手段により車両フロアと車両内装部品が切欠き開口部内で固定されている
【0019】
また、本発明の請求項に記載のフロアマットの固定構造によれば、車両内装部品に固定部材を係合させることで、固定部材を車両内装部品と車両フロアとの間から抜け難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施例1を示す運転席側のフロアマットの平面図である。
図2】同上、助手席側のフロアマットの平面図である。
図3】同上、固定部材の平面図である。
図4】同上、固定部材の連結構造の断面図である。
図5】同上、固定状態の斜視図である。
図6】同上、一方の固定部材の固定状態の斜視図である。
図7】同上、固定状態の平面図である。
図8】同上、車両フロアと車両内装部品との間に固定部材を挟持した状態の断面図である。
図9】本発明の実施例2を示す固定状態の平面図である。
図10】同上、車両フロアと車両内装部品との間に固定部材を挟持した状態の断面図である。
図11】本発明の実施例3を示す車両フロアと車両内装部品との間に固定部材を挟持した状態の断面図である。
図12】本発明の実施例4を示す車両内装部品の一部を切り欠いた固定部材の固定状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明のフロアマットの固定構造の実施例について説明する。
【実施例1】
【0022】
図1図8は本発明の実施例1を示し、同図に示すように、フロアマットの固定構造1は、自走式車両の車両フロア2上にマット本体3を敷設し、この敷設したマット本体3を固定する固定構造である。前記フロアマットは、前記マット本体3の周縁部である後周縁部4Bに固定部材5を突設してなり、この固定部材5は切欠き開口部6を有する。また、前記固定構造1においては、前記車両フロア2と該車両フロア2上に固定した車両内装部品たるフットブラケット7との間に固定部材5を挿入し、それら車両フロア2とフットブラケット7との間に固定部材5を挟持することにより固定部材5を固定する。この例では、後周縁部4Bの左右で角部側に固定部材5をそれぞれ設けている。
【0023】
前記マット本体3は、下部に設けられたシート状のベース層11と、上部に設けられたパイルや起毛からなる上面部12とを備え、そのパイルや起毛の上端は自由端に形成されている。また、前記マット本体3の周縁部の全周には、繊維によりオーバーロック加工が施されたオーバーロック部13が形成されている。
【0024】
図4及び図5は運転席の座席14を示し、この座席14は左右のシートレール15,15により車両フロア2に前後スライド可能に設けられている。前記シートレール15は、車両の前後方向に沿って長い2本のロアーレール(図示せず)とアッパーレール(図示せず)を備える。そして、固定レールである前記ロアーレールを車両フロア2に固定し、可動レールである前記アッパーレールを前記座席14の着座部14Aの下部に固定し、前記アッパーレールは前記ロアーレールに沿ってスライド可能に設けられている。
【0025】
また、左右のシートレール15,15に設けられたロック機構には、ロック解除レバー16が連結されている。このロック解除レバー16は、前記着座部14Aの前縁部の下方に着座部14Aの幅方向に沿うように延在し、座席14に着座した乗員が上方に引き上げ操作することにより、左右のシートレール15,15のロックを解除できるようになっている。
【0026】
前記シートレール15の前記ロアーレールの前側には前記フットブラケット7が設けられ、このフットブラケット7が車両フロア2に固定され、前記フットブラケット7は前記着座部14Aの前側に位置する。また、前記車両フロア2の上面には、上面部材たるカーペット17が恒久的に敷きつめられ、車両フロア2が平坦に形成されている。また、前記カーペット17は、不織布などからなり、柔軟性を有すると共に、吸音や遮音の防音機能を有する。
【0027】
図4図5及び図8などに示す前記フットブラケット7は金属などの硬質材料からなる。また、前記フットブラケット7は、その基端側(車両後側)を前記ロアーレールに固定し、その先端側(車両前側)には車両フロア2に締結する締結部21が設けられている。この締結部21は、平面略円形な先端部22と、この先端部22より幅狭で先端側から基端側に向かって幅狭になる幅狭部23とを一体に有する。尚、幅狭部23の先端の左右幅は先端部22の左右幅より狭く形成されている。
【0028】
また、前記締結部21は、平坦な底板24の周囲に、下部が開口した断面略U字状の湾曲縁25が形成されている。そして、前記湾曲縁25は略一定幅を有するから、先端部22の底板24である底板先端部24Aも平面略円形をなし、幅狭部23の底板24である底板幅狭部24Bも基端側に向かって幅狭になるように形成されている。尚、底板24の下面と湾曲縁25の下縁25Fは略同一高さである。また、後述するように固定部材5を挿入する前は、前記カーペット17に先端部22の下縁25Fの全体又は少なくとも一部が接していることが好ましい。
【0029】
また、前記底板先端部24Aの略中心には、透孔26が穿設されており、この透孔26に固定手段たるボルト27が挿通され、このボルト27が前記カーペット17とこのカーペット17の下部の床面18に挿通されている。そして、前記ボルト27を床面18に捩じ込み止着したり、ボルト27にナット(図示せず)を螺合したりして締結部21が車両フロア2に固定される。尚、床面18は金属製などの硬質材料からなる。
【0030】
図1に示す前記マット本体3は、車両の運転席側の車両フロア2に敷設されるものであって可撓性を有する。前記車両フロア2の運転側には、右側に前後方向に長いアクセルペダル31が配置され、このアクセルペダル31の左側には、左右方向に長いブレーキペダル32が配置されている。また、前記マット本体3の前右角部には、前記アクセルペダル31に対応して凹部33が設けられている。さらに、前記マット本体3の前周縁部4Fが前記ブレーキペダル32に近接配置されると共に、前記マット本体3の前周縁部4Fと前記ブレーキペダル32との間に間隔が設けられており、この間隔によりマット本体3と前記ブレーキペダル32が干渉しない。
【0031】
さらに、前記マット本体3の後側左右には、合成樹脂等からなる略筒状のマット本体側固定部材41,41が設けられ、このマット本体側固定部材41には透孔等からなる挿入受け部42が設けられている。また、前記車両フロア2のカーペット17には車両側固定部材(図示せず)が設けられ、この車両側固定部材には前記挿入受け部42に挿入係止する係止部(図示せず)が設けられており、この係止部としては、前記挿入受け部42に挿入する突起や、前記挿入受け部42に係脱可能なロックレバー等が例示される。
【0032】
前記固定部材5は合成樹脂などのシート材からなり、厚さが1〜2mm程度であって、撓み性を有する。図3及び図7などに示すように、前記固定部材5は、先端側(車両後側)が開口する前記切欠き開口部6を有する略C形の挿入部52と、基端側(車両前側)の連結部53とを一体に備える。そして、前記挿入部52は円弧状の左右の挿入腕部52A,52Aを挿入基端部52Bにより連結してなる。また、挿入部52はフットブラケット7の締結部21の形状に対応して形成されている。尚、挿入部52は半円より大きく形成されている。
【0033】
図7に示すように、前記切欠き開口部6の最大左右幅W2は前記底板先端部24Aの左右幅W3より大きく、前記挿入部52の外縁54の左右幅Wは前記先端部22の左右幅W1より大きい。また、前記先端部22の左右幅W1より切欠き開口部6の左右幅W2は小さい。尚、前記左右幅W2より切欠き開口部6の先端部における左右幅は僅かに小さいが、この先端部の左右幅より前記底板先端部24Aの左右幅W3は小さい。このように底板先端部24Aより切欠き開口部6が大きく、挿入部52の先端側から切欠き開口部6内に底板先端部24Aを挿入可能であり、また、前記切欠き開口部6より先端部22が大きく、この先端部22より挿入部52が大きく形成されている。そして、前記固定部材5は、その挿入部52の外縁54が、締結部21の先端部22を囲い込んで、取付状態で、取り囲むような形状をなし、また、切欠き開口部6は、底板先端部24Aを囲い込んで、取付状態で、取り囲むような形状をなす。
【0034】
このように構成することにより、左右の挿入腕部52A,52Aの上面及び挿入基端部52Bの上面に、先端部22の下縁25Fが当接するように挿入配置することができる。また、図7及び図8に示すように、切欠き開口部6と底板先端部24Aとの間に隙間δがあるから、この隙間δにより固定部材5と締結部21との左右及び前後寸法のバラツキを吸収することができる。
【0035】
また、この例では、前記連結部53は前記挿入部52の左右幅より幅狭に形成され、その連結部53の左右方向中央に透孔55が穿設されている。そして、マット本体3の固定状態において、前記挿入部52が前記底板先端部24Aを囲い込むようにして配置され、切欠き開口部6内に底板先端部24Aが遊嵌される。
【0036】
前記固定部材5は、リベットなどの加締め部材61によりマット本体3,3Aに固定されている。前記加締め部材61は、軸本体62の上部に皿形の径大頭部63を有し、この径大頭部63の上面は湾曲面に形成されている。また、マット本体3には、前記固定部材5の前記透孔55に対応して透孔64が穿設され、それら透孔55,64に前記軸本体62を挿通し、その軸本体62の下部を拡径するように潰して固定部材5の下面に沿う加締め部65を形成している。
【0037】
このようにしてマット本体3の下面に固定部材5の連結部53側の上面が略密着した状態で、マット本体3の下面に固定部材5が連結固定され、この固定状態で挿入部52は後周縁部4Bの端部から外側に突出した状態で配置され、固定部材5は前記軸本体62を中心に水平方向回動可能となり、固定部材5の先端側が左右に回動可能となる。
【0038】
また、図7に示すように、固定状態で、切欠き開口部6の基端と後周縁部4Bの端部との間には間隔Kが設けられる。尚、図1に示すように、前記左右のマット本体側固定部材41,41の挿入受け部42,42の間隔より、マット本体3の左右の透孔64,64の間隔が広い。また、左右の透孔64,64は前記左右のマット本体側固定部材41,41の挿入受け部42,42より左右方向外側に位置する。このように挿入受け部42の位置より外側に固定部材5を配置することにより、マット本体3の後周縁部4Bの角部側の浮き上がりを効果的に抑制することができる。
【0039】
図2に示すマット本体3Aは、車両の助手席側の車両フロア2に敷設されるものであり、平面形状が異なる点とマット本体側固定部材41が設けられていない点以外は前記マット本体3と同一構成である。そして、前記マット本体3Aの後周縁部4Bの左右に前記固定部材5,5を連結しており、好ましくは前記マット本体3Aの後周縁部4Bの角部近傍に前記固定部材5,5を配置する。これによって、マット本体3Aの後周縁部4Bの角部側の浮き上がりを効果的に抑止することができる。尚、図示しないが、助手席側の座席も前記座席14と同様にシートレール15,15により前後スライド可能であり、シートレール15の前側は前記フットブラケット7により車両フロア2に固定されている。
【0040】
次に、前記マット本体3,3Aの車両フロア2への固定方法について説明する。固定部材5の挿入部52の先端側を、カーペット17と締結部21の下縁25Fとの間に差し入れる。この場合、締結部21は硬質材料からなるが、カーペット17が柔軟性を有し、固定部材5が薄いシート状をなすから、カーペット17と締結部21の下縁25Fとの間に挿入部52をスムーズに挿入することができる。そして、左右の挿入腕部52A,52Aと挿入基端部52Bの上面に下縁25Fが当接するように挿入部52を挿入する。この状態で挿入部52が前記底板先端部24Aを取り囲み、切欠き開口部6と底板先端部24Aとの間には隙間δが形成される。また、カーペット17と締結部21の下縁25Fとの間に差し入れた後は、カーペット17の弾性によりカーペット17と締結部21の下縁25Fとの間に固定部材5が確実に挟持される。
【0041】
この場合、固定部材5は加締め部材61を中心にマット本体3,3Aに水平方向回動可能に設けられているから、左右のフットブラケット7,7と左右の固定部材5,5との間で間隔などに誤差があっても、固定部材5,5を水平回動することによりバラツキを吸収することができ、固定を円滑に行うことができる。
【0042】
また、マット本体側固定部材41を設けたマット本体3では、左右のマット本体側固定部材41,41によりマット本体3が、車両フロア2に対して、左右に位置決めされるから、この位置決め状態で固定部材5,5の位置と左右のフットブラケット7,7の位置との間に誤差があっても、固定部材5,5を水平方向に回動することにより、前記誤差を吸収することができる。
【0043】
このようにして固定部材5が車両フロア2のカーペット17とフットブラケット7の締結部21との間に挟持され、固定部材5が上下方向に固定される。これによりマット本体3の後周縁部4B側の車両フロア2からの浮き上がりを抑制することができる。
【0044】
このように本実施例では、請求項1に対応して、シートレール15,15に座席14が設けられており、シートレール15,15が車両フロア2上に配設された車両内装部品たるフットブラケット7に支持され、フットブラケット7を備えた車両フロア2上マット本体3敷設されるフロアマットの固定構造であって、マット本体3の座席側の周縁部たる後周縁部4Bに固定部材5が設けられ、固定部材5はマット本体3の車両フロア2側の面に固定されるシート状部材であり、固定部材5は切欠き開口部6を有する挿入部52を備え、車両フロア2の上面フットブラケット7の下との間に挿入部52が挟持されるから、長時間の使用等によるマット本体3,3Aの浮き上がりを抑制することで、商品性を確保することができる。
【0045】
また、マット本体3,3Aのシートレール15がスライドしたときマット本体3,3Aとシートレール15の干渉を防止することができ、商品性を確保できる。
【0046】
さらに、マット本体3,3Aがシートレール15に噛み込むことで、スライド機能を妨げることを防止できる。
【0047】
また、シートレール15がスライドしたときマット本体3,3Aとシートレール15とが接触して、シートレール15に塗布された潤滑剤がマット本体3,3Aに付着することを防止できる。
【0048】
また、このように本実施例では、請求項2に対応して、固定部材5とマット本体3とは、固定部材5とマット本体3それぞれに形成された透孔55,64に軸本体62が挿通され、軸本体62を備えた加締め部材61によって固定部材5はマット本体3,3Aに水平方向回動可能に連結されているから、固定部材5を車両内装部品たるフットブラケット7と車両フロア2の間で挟持させるポイントのバラツキに対応することができる。
【0049】
さらに、このように本実施例では、請求項3に対応して、マット本体3の座席側の周縁部たる後周縁部4Bの内側には、マット本体3を車両フロア2に固定するマット本体側固定部材41が複数設けられている
【0050】
さらに、このように本実施例では、請求項4に対応して、切欠き開口部6内で固定手段たるボルト27により車両フロア2と車両内装部品たるフットブラケット7が固定されている。
【0051】
また、実施例上の効果として、前記挿入部52は左右の挿入腕部52A,52Aを基端側の挿入基端部52Bにより連結してなり、左右の挿入腕部52A,52Aと挿入基端部52Bの上面に先端部22の下縁25Fが当接するように、挿入部52を先端部22の下に挿入するから、車両フロア2とフットブラケット7との間に固定部材5を確実に挟持することができる。さらに、固定部材5を、回転中心軸たる軸本体62を有する加締め部材61によりマット本体3,3Aに取り付けたから、固定部材5を回動自在にマット本体3,3Aに連結することができる。また、挿入部52より連結部53の幅が狭いから、図7に示すように、マット本体3の左右方向縁側に固定部材5を取り付け易くなる。さらに、前記固定部材5は、その挿入部52の外縁54が、締結部21の先端部22を囲い込んで、取付状態で、取り囲むような形状をなし、また、切欠き開口部6は、底板先端部24Aを囲い込んで、取付状態で、取り囲むような形状をなすから、確実な取付状態が得られる。
【実施例2】
【0052】
図9図10は、本発明の実施例2を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例では、挿入部52の上面に凹凸部71を設けている。具体的には、挿入部52の上面で切欠き開口部6側に略C形の段差部72を設け、この段差部72の内側が凸部72Aで、段差部72の外側が凹部72Bとなる凹凸部71を形成している。また、前記段差部72の左右幅W4は前記幅W1より小さく、取付状態で、先端部22の下縁25F内に凸部72Aが収納される。
【0053】
したがって、挿入部52がずれても下縁25Fが段差部72に係止し、抜け難くなる。
【0054】
このように本実施例では、上記実施例1と同様な作用・効果を奏する。
【0055】
また、このように本実施例では、請求項に対応して、固定部材5はシート状をなし、固定部材5の上面に車両内装部品たるフットブラケット7と係合する凹凸部71を設けたから、フットブラケット7に固定部材5を係合させることで、固定部材5をフットブラケット7と車両フロア2との間から抜け難くすることができる。
【実施例3】
【0056】
図11は、本発明の実施例3を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例では、挿入部52の上面に凹凸部71を設けている。具体的には、挿入部52の上面で該挿入部52の幅方向中央に溝状凹部73を形成し、この溝状凹部73の幅方向両側が凸部となる凹凸部71を形成している。また、前記溝状凹部73は前記先端部22の下縁25Fに対応して形成され、この下縁25Fが溝状凹部73内に係合する。尚、溝状凹部73の幅寸法Dは下縁25Fの厚さ寸法tよりも大きい。
【0057】
このように本実施例では、上記実施例1と同様な作用・効果を奏する。
【0058】
また、このように本実施例では、請求項に対応して、固定部材5はシート状をなし、固定部材5の上面に車両内装部品たるフットブラケット7と係合する溝状凹部73を備えた凹凸部71を設けたから、フットブラケット7に固定部材5を係合させることで、固定部材5をフットブラケット7と車両フロア2との間から抜け難くすることができる。
【0059】
また、この例では、溝状凹部73内に下縁25Fが嵌るようにして係合するから、抜け止めだけでなく、溝状凹部73により下縁25Fの位置決めを行うことができる。
【実施例4】
【0060】
図12は、本発明の実施例4を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。同図は使用状態を示す参考図であり、この例では、マット本体3に固定部材5の連結部53を縫着部81により縫い付けて連結しており、このように加締め部材以外の方法で固定部材5をマット本体3に連結してもよい。
【0061】
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、固定部材は、実施例の形状に限定されず、コ字形,U字形,馬蹄形など各種の形状を採用することができ、車両内装部品に対応する形状とすることが好ましい。また、固定部材の材質は適宜選定可能である。また、実施例では、1つのマット本体に複数の固定部材を設けたが、1つの固定部材のみを設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 固定構造
2 車両フロア
3 マット本体(運転席側)
3A マット本体(助手席側)
4B 後周縁部(周縁部)
5 固定部材
6 切欠き開口部
7 フットブラケット(車両内装部品)
14 座席
15 シートレール
52 挿入部
61 加締め部材
62 軸本体
71 凹凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12