特許第5952408号(P5952408)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5952408一体シールと共に構造的完全性を提供する建築システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5952408
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】一体シールと共に構造的完全性を提供する建築システム
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/26 20060101AFI20160630BHJP
   E04B 1/18 20060101ALI20160630BHJP
   E04H 9/14 20060101ALI20160630BHJP
【FI】
   E04B1/26 A
   E04B1/18 E
   E04H9/14 F
【請求項の数】23
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-530934(P2014-530934)
(86)(22)【出願日】2012年9月17日
(65)【公表番号】特表2014-526625(P2014-526625A)
(43)【公表日】2014年10月6日
(86)【国際出願番号】US2012055809
(87)【国際公開番号】WO2013040590
(87)【国際公開日】20130321
【審査請求日】2014年9月25日
(31)【優先権主張番号】61/573,943
(32)【優先日】2011年9月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/685,793
(32)【優先日】2012年3月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/613,441
(32)【優先日】2012年9月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514062471
【氏名又は名称】エスアール システムズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】ジマーマン スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ウォルワース ヴァン ティー
(72)【発明者】
【氏名】ドラモンド スコット
【審査官】 星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05384993(US,A)
【文献】 特開2001−254439(JP,A)
【文献】 米国特許第05311708(US,A)
【文献】 特開2000−273987(JP,A)
【文献】 特開平06−322906(JP,A)
【文献】 特表2005−536670(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3158775(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B1/26
E04B1/18
E04B1/58
E04B7/00−7/04
E04B2/56
E04B1/62−1/99
E04H9/14
E04H9/06
E06B3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物に関する構造的完全性を提供して、有害な暴風力に耐えて、関連の風力による雨の吹き付けの影響を最小限に又は阻止するようになった建築システムであって、
複数の間柱を有する壁構造体と、梁と垂木との組み合わせ、又は、トラスを有する複数の構成要素を含む屋根構造体とを含む、建造物に連結される複数のサブシステムを備え、
前記複数のサブシステムは、
基礎に連結され該基礎から部分的に延びるアンカー締結具を有するアンカーシステムと、
前記間柱のうちの隣接する間柱の間に個別に配置され、各々が前記アンカー締結具の2つに連結される複数の構造支柱を有する壁補強システムと、
前記壁補強システムが前記構造支柱を用いて前記屋根構成要素及び前記壁構造体を前記基礎にしっかり結合するように、前記構造支柱の各々を前記屋根構造体に個別に連結する複数の部材を有する、垂木/梁拘束システムと、
複数の前記梁に連結された、梁を補強し、垂木を受けることのない梁ブレースを有する、ダイアフラム補強システムと、
を含むことを特徴とする建築システム。
【請求項2】
前記複数のサブシステムは、各々が前記屋根構造体の部材を複数の真束のうちの個別のものに連結する、複数の連結具を有するウインドビームシステムを含む、請求項1に記載の建築システム。
【請求項3】
前記複数のサブシステムは、壁シーティングを前記構造支柱にボルト留めする壁シーティングシステムをさらに含む、請求項1に記載の建築システム。
【請求項4】
前記複数のサブシステムは、前記屋根構造体に取り付けられる複数のルーフデッキ部材の隣接するものの間に定められた接合部の各々に施工される防水テープシールを有する、ルーフデッキシステムをさらに含む、請求項1に記載の建築システム。
【請求項5】
前記複数のサブシステムは、前記梁ブレースに対して角度付られた筋かい部材と、前記筋かい部材を前記建造物の切妻壁に連結するパーリングブレースとを有する、ダイアフラム補強システムをさらに含む、請求項1に記載の建築システム。
【請求項6】
前記複数のサブシステムは、
前記建造物の居住部と前記建造物の外部の周囲空気との間を連通する外部アクセス通気孔を有しておらず、
前記屋根空間の空気を調整するために、前記居住部の調整部を屋根空間に直接、接続する内部アクセス通気孔を有する、
通気システムをさらに含む、請求項1に記載の建築システム。
【請求項7】
前記複数のサブシステムは、
前記建造物の窓に付加される取り外し可能な保護カバーと、
一連のカバーブラケット及び前記構造物への取り付けを可能とし前記保護カバーを受け入れて結果的に該カバーブラケットに装着されて協働する取り付け金具と、
を有する窓/ドア保護シールシステムをさらに含む、請求項1に記載の建築システム。
【請求項8】
前記窓/ドア保護シールシステムは、外部ドアを覆って又はその内側に設けられ、該外部ドアが吹き込まれること又は吸い出されることを防止するように機能する保護カバーをさらに含む、請求項7記載の建築システム。
【請求項9】
前記複数のサブシステムは、防風ドア及び換気口を装備した独立したユニット化された部屋を定める防風セーフルームシステムをさらに含み、前記ユニット化された部屋は前記建造物の内部に配置される、請求項1に記載の建築システム。
【請求項10】
前記防風ドアは、嵐のような突風、飛翔デブリ、及び/又は流入水に曝される場合の閉鎖を保証するロック及び安全構成要素と、水の流入を防ぐ水密シールとをさらに含む、請求項9に記載の建築システム。
【請求項11】
前記2つのアンカー締結具は、前記構造支柱の長手方向軸の両側に配置され、前記構造支柱の軸回転を抑制するようになっている、請求項1に記載の建築システム。
【請求項12】
建造物に関する構造的完全性を提供して、有害な暴風力に耐えて、関連の風力による雨の吹き付けの影響を最小限に又は阻止するようになった建築システムであって、
複数の間柱を有する壁構造体と、梁と垂木との組み合わせ、又は、トラスを有する複数の構成要素を含む屋根構造体とを含む、建造物に連結される複数のサブシステムを備え、
前記複数のサブシステムは、
基礎に部分的に埋め込まれる2つのアンカー締結具の複数セットを備え、前記2つのアンカー締結具の前記基礎から外に延びる部分を有するアンカーシステムと、
前記間柱のうちの隣接する間柱の間に個別に配置される複数の構造支柱を有する壁補強システムであって、前記2つのアンカー締結具の一部は、両方とも前記前記構造支柱に連結され、前記構造支柱は、反対側で前記屋根構造体に連結され、前記壁補強システムは、前記構造支柱を用いて前記屋根構成要素及び前記壁構造体を前記基礎にしっかり固定するようになっている壁補強システムと、
ウインドビームシステムと、を含み、
前記ウインドビームシステムは、
梁及び真束に連結されるウインドビーム弦連結具であって、前記真束は前記梁から横方向に延びるとともに前記梁に連結され、また、前記真束は隣接する第1及び第2の垂木に連結されるウインドビーム弦連結具と、
隣接する第1及び第2の垂木及び前記真束に連結されるウインドビーム頭部連結部と、 前記真束とは独立して、前記ウインドビーム弦連結具を前記ウインドビーム頭部連結部に連結するウインドビーム伸長部と、を含む、建築システム。
【請求項13】
前記壁補強システムは、前記構造支柱の両側に個別に連結される、第1及び第2のアンカーブラケットをさらに含む、請求項12に記載の建築システム。
【請求項14】
前記複数のサブシステムは、前記トラスの個別の上弦部及び下弦部に連結する垂木拘束伸長部を有する垂木/梁拘束システムをさらに含む、請求項12に記載の建築システム。
【請求項15】
前記複数のサブシステムは、各々が前記屋根構造体の垂木及び梁、及び前記構造支柱の1つに連結する複数の垂木拘束伸長部を有する、垂木/梁拘束システムをさらに含む、請求項12に記載の建築システム。
【請求項16】
前記複数のサブシステムは、前記構造支柱の複数にボルト留めされた壁シーティングを有する壁シーティングシステムを含む、請求項12に記載の建築システム。
【請求項17】
前記複数のサブシステムは、複数のルーフデッキ部材の隣接するものの間に定められた接合部の各々に施工される防水テープシールを有する、ルーフデッキシステムをさらに含む、請求項12に記載の建築システム。
【請求項18】
複数のルーフデッキ部材の隣接するものの間に定められた接合部の各々は、相欠き接合である、請求項17に記載の建築システム。
【請求項19】
複数のルーフデッキ部材の隣接するものの間に定められた接合部に配置され、該接合部を補強するように機能する整列ブロックをさらに含む、請求項17に記載の建築システム。
【請求項20】
前記複数のサブシステムは、前記建造物の切妻壁を補強するように機能するダイアフラム補強システムをさらに含み、該ダイアフラム補強システムは、前記複数の梁に連結された梁ブレースと、前記梁ブレースに対して角度付られた筋かい部材と、前記筋かい部材を前記建造物の切妻壁に連結するパーリングブレースとを有する、請求項12に記載の建築システム。
【請求項21】
建造物に関する構造的完全性を提供して、有害な暴風力に耐えて、関連の風力による雨の吹き付けの影響を最小限に又は阻止するようになった建築システムであって、
複数の間柱を有する壁構造体と、梁と垂木との組み合わせ、又は、トラスを有する複数の構成要素を含む屋根構造体とを含む、建造物に連結される複数のサブシステムを備え、
前記複数のサブシステムは、
基礎に連結され該基礎から部分的に延びるアンカー締結具を有するアンカーシステムと、
前記間柱のうちの隣接する間柱の間に個別に配置され、各々が前記アンカー締結具の2つに連結される複数の構造支柱を有する壁補強システムと、
前記壁補強システムが前記構造支柱を用いて前記屋根構成要素及び前記壁構造体を前記基礎にしっかり結合するように、前記構造支柱の各々を前記屋根構造体に個別に連結する複数の部材を有する、垂木/梁拘束システムと、
屋根構造体の部材を複数の真束の個別のものに連結する複数の連結具を有するウインドビームシステムと、
前記屋根構造体に取り付けられる複数のルーフデッキ部材の隣接するものの間に定められた接合部の各々に施工される防水テープシールを有するルーフデッキシステムと、
前記建造物の切妻端を補強するように機能し、複数の前記梁に連結され、梁を補強し、垂木を受けることのない梁ブレースを有する、ダイアフラム補強システムと、を含む建築システム。
【請求項22】
前記ダイアフラム補強システムは、前記梁ブレースに対して角度が有する筋かい部材と、前記筋かい部材を前記建造物の切妻壁に連結するパーリングブレースとを含む、請求項21に記載の建築システム。
【請求項23】
前記ウインドビームシステムの前記複数の連結具は、
梁及び該梁から角度を成して延びる結合部材に連結するウインドビーム弦連結具と、
隣接する第1及び第2の垂木及び前記結合部材に連結するウインドビーム頭部連結部と、
を含む、請求項21に記載の建築システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2012年9月出願の米国特許出願番号13/613,441及び2011年出願の米国仮出願番号61/573,943の優先権を享受する2012年3月26日出願の米国特許出願番号61/685,793の優先権を主張するものである。これらの全ての開示内容は、本明細書に引用により組み込まれている。
【0002】
本開示は、耐暴風構成要素、並びに暴風及び豪雨に耐えるように強化された住宅及び商業構造物に関する。
【背景技術】
【0003】
このセクションでは、本開示の背景となる情報を提示するが、これは必ずしも従来技術ではない。
【0004】
ハリケーン及び竜巻は、標準的な住宅及び商業構造物に損傷を与える及び/又は破壊する可能性がある暴風力を引き起こすことが公知である。暴風力は、屋根板、屋根ふき材、壁板、及び化粧板の主シーリングシステムを移動させる及び/又は損なうことが知られている。さらに、暴風力は、全ての屋根システムを持ち上げて、壁を吹き倒す及び/又は吸引することがよく知られている。
【0005】
さらに、暴風力は、実質的に雨が吹き込む状况がもたらされることがよく知られており、建築構成材が壊れる及び/又は損傷を受ける前であっても構造物に影響を及ぼすようになる。窓の割れ及び/又は他の損傷を受けた建築構成材に起因する明らかな流入機会以外に、暴風雨により、損傷を受けていない屋根システムの機能通気孔を通って雨が吹き込み、結果的に実際の構造的損傷が僅かである又は全くない場合でも水害がもたらされることが知られている。
【0006】
特許記録には多数の公知技術が提示されており、これらは複数の補強構成要素のうちのいずれか1つの使用を主張することで、種々のハーケーン又は竜巻の暴風力に対処するものである。しかしながら、全ての公知例の1つの主たる問題点は、概して我々の日曜大工文化に適さないこと及び大量消費社会では費用効果の面で役に立たないことである。
【0007】
公知例の他の問題点は、構造物の屋根板及び/又は壁板の一次シーリングシステムが損傷を受けた場合に、構造物に対して二次シーリングシステムを提供する手段を含む構造的補強システムに関する特許記録が存在しない点にある。
【0008】
特許記録には、暴風雨による水侵入被害を最小にするシステムに関する幾つかの公知例があるが、この場合も同様に、概して我々の日曜大工文化に適しておらず、大量消費社会では費用効果の面で役に立たない。さらに、公知例には、建築物の構造的完全性を改善するための何らかの補強機能が提示されていない。さらに、従来のシーリングシステムは、一次シーリングシステムが損傷を受けた場合に二次シーリングシステムを提示しない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本セクションは,本開示の概要を提示するものであり、全ての範囲又はその全ての特徴の包括的な開示ではない。
【0010】
本発明は、当業者であれば容易に気付いて理解できる方法で公知の問題点を解決する。さらに、本発明は、当業者であれば容易に理解でき本発明の精神を具現化できる、開示された好ましい実施形態以外の多く他の用途に関する特徴及び機能を提供する。
【0011】
本発明の1つの好ましい実施形態は、特定の領域が改善されて実質的に強化されて、ハリケーン又は竜巻の破壊的な風力に良好に耐えるようになった、一般的な住居に適した現場組み立て式の又はプレハブ住宅の構造物に関する。また、1つの好ましい実施形態は、暴風雨時、屋根板及び/又は壁板による一次遮水部が損傷を受けた場合に流入する雨水及び吹き込む雨に対する適正な障壁を維持するために使用される、二次水密シールを提供する。
【0012】
二次ウェザーシールは、構造体が適正な構造的完全性を維持する必要があることを要求することが理解され、従って、この目的のために一連の構造体の強化機能を用いて、暴風力に対する構造物の完全性をさらに維持するようになっている。構造的強化システムは複数のサブシステムから構成され、全ては一緒に機能して、構造物の構造的完全性を共同で強化するようになっている。これらのサブシステムは、限定されるものではないが、
・アンカーシステム
・壁補強システム
・垂木/梁拘束システム
・ウインドビームシステム
・ダイアフラム補強システム
・壁シーティングシステム
・ルーフデッキシステム
・通気システム
・窓/ドア保護シールシステム
・セーフルームシステム
を含む。
【0013】
当業者であれば、多くの典型的な構造物は、暴風に対して構造物を強化するために全ての記載されたサブシステムを必要とするが、一部の複雑な構造物は、追加的な特殊なサブシステムを必要とする場合があり、一方で複雑でない構造物は、サブシステムの一部を必要とするのみであることを容易に理解できるはずである。各々のサブシステムを以下に簡単に説明する。
【0014】
他の適用可能な分野は、本明細書の説明から明らかになるはずである。要約した説明及び特定の実施例は、例示目的であり、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【0015】
本明細書で説明する図面は、選択された実施形態を例示し、全ての可能性のある実施構成ではなく、本開示の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】建造物アンカーシステムの前方左側の斜視図である。
図2】壁補強システムを含む図1の建造物の前方左側の斜視図である。
図3図2の領域3の前方左側の斜視図である。
図4】床用根太で結合された上部構造及び下部構造を示すよう修正された、図1の建造物の一部の前方左側の斜視図である。
図5図3の領域5の前方右側の斜視図である。
図6】トラス組立体の前方底部の斜視図である。
図7】壁シーティングシステムをさらに含む、図2と類似の建造物の前方左側の斜視図である。
図8】屋根デッキングシステムの前方左側の斜視図である。
図9図8の屋根デッキングシステムの正面図である。
図10ダイアフラム補強システムを示す、建造物の切妻端部の正面断面図である。
図11】通気システムを示すように図10から変更された横断面の端面図である。
図12】建物の窓/ドア保護シールシステムの正面概略図である。
図13】内部の防風セーフルームを含むよう変更された、図12の建物の前方右側の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
各図面で対応する参照番号は対応する部品を示す。以下に添付図面を参照して例示的な実施形態を説明する。
【0018】
図1を参照すると、基礎構造を定める一般的なスラブ12に結合するアンカーシステム10は、少なくとも部分的にスラブ12に埋め込まれ、複数のアンカーブラケット16と、該アンカーブラケット16に結合される複数の特殊な構造部材又は構造支柱18とを有する壁補強システムに結合される、アンカーボルトセット14を含む。本発明で定義するアンカーシステム10は、建造物20をスラブ12又は他の基礎要素にアンカー止めするサブシステムである。1つの好ましい実施形態の強化システムは、特殊な第1及び第2のアンカーボルト22、24を備え、適切な配置及びアンカー止め手段を提供して他の構造的強化構成要素と協働するようになっている。別の好ましい実施形態では、一般的なアンカーボルト構成要素を使用する。特殊なアンカーボルト22、24を使用するか又は一般的なアンカーボルトを使用するかに関わらず、本発明は、適切なアンカー手段が、特殊なアンカーボルト22、24の自由伸長部22a、24aを、順次間隔をあけて配置される間柱30、32等の各部材の間に配置されるアンカーブラケット16に結合するアンカーボルトナット26、28を含むことを必要とし、適切なアンカー手段は、打設された既存のスラブである新しい構造スラブ12と一緒に、及びクロールスペース壁又は地下壁の上の構造物又は据え付け構造物のために使用される。各アンカーブラケット16のためのアンカーボルト22、24の自由伸長部22a、24aは、各アンカーブラケット16に結合される構造支柱18の長手軸27に関して反対側に配置され、構造支柱18の軸回転/ねじりに抗するようになっており、結果的に間柱30、32の軸回転/ねじりに耐える。本発明は、アンカーシステム10をユニット化して、壁補強システム34(図2−3を参照して説明する)及び/又はセーフルームシステム72(図13を参照して説明する)のそれぞれの特徴部と協働及び統合する。
【0019】
図1及び2を参照すると、本発明で定義する壁補強システム34は、建造物20の一般的な間柱タイプの壁構造物36に一体化するサブシステムであり、壁構造物36に対して著しく強化された圧縮強度及び引張強度をもたらす。順次間隔をあけて配置される間柱30、32を有する一般的な木製又は金属の間柱構造の壁38は、適切な圧縮強度をもつことができるが、引張強度が非常に低いので、暴風時の持ち上げ力の影響を受けやすい。さらに、本発明の壁補強システム34は、ねじり及び/又はひし形の状况でもたらされる力に対する耐性を提供する。特殊な構造部材又は構造支柱18は、壁38に沿って隣接する間柱の間に間隔を置いて間柱壁38に組み込まれる及び/又は壁のコーナ部40に組み込まれる金属チューブであり、構造部材18は木製又は金属間柱等の一般的な間柱壁構成要素よりも実質的に頑丈となっており、図1を参照して説明するアンカーシステム10にしっかりと強固に取り付けることができる。1つの実施形態によれば、シーティング42は、基礎スラブ12にアンカー止めされ二重桁材44を介して垂木/梁拘束システム46にボルト留めされる、特殊な壁部材18にボルト留めされる。壁補強システム34は、間柱壁38の底板48から間柱壁38の桁材44までの頑丈で堅固な結合を可能にし、この場合もしっかりと堅固に取り付けられて終端する。
【0020】
図1−2及び図3を参照すると、1つの実施形態によれば、構造支柱18は、壁38の桁材44を介して、一般的な屋根システムの屋根組又は垂木及び天井梁の上弦材及び下弦材といった屋根要素50、52にボルト留めされる。壁補強システム34は、両端が建造物に締結/ボルト留めされる構造支柱18を用いて屋根構成要素、壁構成要素、及び基礎をしっかり結合する。
【0021】
図1−3及び図4を参照すると、本発明は、高層壁構造物56の床用根太構造物54の全体にわたってボルト連結を用いることで高層構造物にも適用され、下階及び上階58、60の壁補強支柱18、18’は、床用根太構造物54の全体にわたって、ボルト連結具62、64によって繋いで連結される。本発明は、壁補強システム34を用いて、アンカーシステム10及び垂木/梁拘束システム66(図5を参照して説明する)、壁シーティングシステム68(図7を参照して説明する)、ダイアフラム補強システム70(図10を参照して説明する)、及び/又はセーフルームシステム72(図13を参照して説明する)のそれぞれの特徴部と協働及び一体化することで、壁構造物56全体を効果的にユニット化する。
【0022】
図1−4及び図5を参照すると、本明細書で定義する垂木/梁拘束システム66は、しっかりと頑丈に取り付ける手段であり、上弦材又は垂木50と下弦材又は天井梁52を間柱壁38の桁材44に、さらに重要なことには壁補強システム34に直接、効果的に連結するようになっている。また、垂木/梁拘束システム66は、全ての垂木50及び/又は梁52に関して、壁補強システム34の部材18に直接連結されるか又は間接的に連結されるかに関わらず、外壁と内壁の各交差点での頑丈な連結手段を提供する。
【0023】
図5を参照すると、各壁補強部材又は構造支柱18は、垂木拘束連結具74にボルト留めされる。一般的なトラスの例が提示され、垂木拘束連結部76はトラス78の下弦部52と上弦部50との間に広がる。また、垂木/梁拘束システム66は、垂木50及び/又は梁52が、暴風力によって生じる持ち上げ力による損傷を受け難くする。また、垂木/梁拘束システム66は、ねじり力及び/又はひし形の力(rhombus force)により垂木50及び/又は梁52が簡単にねじれるのを抑制し、これにより、激しい直風又は竜巻の旋風による構造物に作用するせん断力に耐えるように、構造物の相対的な強度が高くなる。試験及び研究によれば、暴風耐性の最適な屋根勾配は水平面に対して約15度であり、寄せ棟屋根構造物は切妻壁構造物よりも暴風雨に対して優れており、屋根張り出しの短い構造物は屋根張り出しの長い構造物よりも優れていることが示されて教示される。
【0024】
本発明及び垂木/梁拘束システム66は、標準的な屋根構造物を強化することができ、これは公知の研究を利用するすると共に、依然として最良の暴風雨の構造物に関する従来技術の研究に適合しない他の屋根構造物のための何らかの強化をもたらす。本発明は、垂木/梁拘束システム66の特徴を用いて、壁補強システム34及びウインドビームシステム80(図6を参照して説明する)、ルーフデッキシステム82(図8を参照して説明する)、通気システム84(図11を参照して説明する)、ダイアフラム補強システム70、及び/又はセーフルームシステム72のそれぞれの特徴と協働及び一体化することで、屋根システム全体を有効にユニット化する。
【0025】
図6を参照すると、本発明で定義するウインドビームシステム80は、垂木50、50’及びトラス52の連結部に用いられる一連の補強構成要素であり、垂木及びトラスの構造的完全性を強化するようになっている。一般的なトラス52は、連結点86、88、90においてウインドビーム構成要素でもって強化され、いくつかの好ましい実施形態において、ウインドビーム構成要素はウインドビーム弦連結具92、ウインドビーム伸長部94、及びウインドビーム頭部連結具96を含む。ウインドビーム弦連結具92は金属部材であり、梁52を角度が付けられた結合部材に連結し、この結合部材は、幾つかの態様において横断方向の中央切妻壁間柱又は真束100である。ウインドビーム頭部連結具96は金属板であり、真束100を各上弦部又は垂木50、50’の両方に連結する。ウインドビーム伸長部94は金属製のU字チャンネルであり、ウインドビーム弦連結具92をウインドビーム頭部連結部96に連結するために使用できる。垂木50及びトラス52に関する一般的な建築技術では、連結点で釘板及び個々の釘を含む。暴風時に風が直接吹きつける屋根の片側は風上側である。従って、屋根に作用する力は屋根を圧迫する。対照的に、屋根の反対側は風下側と呼ばれ、屋根のこの部分に作用する持ち上げ力が発生する。その結果、屋根の片側を圧迫すると同時に反対側を持ち上げようとするので、比較的小さな力で著しい構造的損傷が引き起こされる。
【0026】
ウインドビームシステム80は、ウインドビーム弦連結具92、ウインドビーム伸長部94、及びウインドビーム頭部連結部96等の、頑丈でしっかり締結する部材を用いて屋根の垂木52及び/又はトラス98を効果的に補強し、これは屋根システム全体を効果的にユニット化して、個別の屋根構成要素ではなく一緒になってユニットとして機能する。ウインドビームシステム80は、従来の垂木システム及び/又は従来のトラスシステムに効果を発揮する。当業者であれば、全ての条件が同じとして、屋根勾配を急にすれば、風下側の持ち上げ力が大きくなり、結果的にウインドビームシステム80が事実上さらに必要となることを理解できるはずである。本発明は、ウインドビームシステム80の特徴を用いて、垂木/梁拘束システム66及びルーフデッキシステム82、通気システム84、ダイアフラム補強システム70、及び/又はセーフルームシステム72のそれぞれの特徴と協働及び一体化することで、屋根システム全体を効果的にユニット化する。
【0027】
図1−6及び図7を参照すると、本発明で定義する壁シーティングシステム68は、ビニール壁板、レンガ等の追加の表面材又は他の化粧カバリングを施工する前に、構造物の外壁38をカバー及びシールする改善された方法を提供する。合板等の壁シーティング42は、壁補強構造支柱18にボルト102を使用してボルト留めされる。壁シーティングシステム68は、シーティング42を壁補強システム34にボルト留めすることで改善された締結方法を提供し、構造物が暴風力に曝される場合にシーティング42が所定位置にしっかり留まることを保証する。壁シーティングシステム68が暴風力に曝される間に所定位置にしっかり留まるので、構造物が暴風に曝される間に、一次カバリング及びウェザーシール表面材が損傷を受けた場合及び/又は失われた場合に、雨及び吹き込む雨に耐える壁38のための二次ウェザーシールを設けることが可能である。本発明の1つの好ましい実施形態は、特殊なボルト締結具102を含み、ボルト締結具102は、シーティング42に着座する突起106を有する拡大平頭部104で特徴付けされ、拡大頭部104の底面110上にシールリングリブ108を含み、しっかりと堅固に水密シールを保持及び維持するようになっている。適切な用途において、壁シーティングシステム68は、大気中のデブリの侵入を防ぐことが必要なセーフルームシステム72に組み込まれる。本発明は、壁シーティングシステム68の特徴を用いて、壁補強システム34及び窓/ドア保護シールシステム112(図12を参照して説明する)、及びセーフルームシステム72のそれぞれの特徴と協働及び一体化することで、壁構造物全体を効果的にユニット化する。
【0028】
当業者であれば、シーティングを構造支柱に取り付けるための構造支柱18のボルトを受け入れるネジ穴等の別のボルト締結方法が存在することを理解できるはずである。他のボルト留めの例としては、構造支柱18にクリップ留め又は付随するボルトを受け入れる一般的なナットの使用を挙げることができる。シーティングを構造支柱18に締結する他のボルト留め方法としては、複数のセルフタッピングネジのうちの1つを挙げることができる。他の締結方法としては、シーティングにボルト留めされ、別個に構造支柱18にボルト留めされるブラケットの使用を挙げることができる。これらの何らかのボルト締結方法は、シーティングを直接、構造支柱に固定する精神を満たすはずである。また、ボルト締結具は、暴風力が構造物に加わった場合に締結具の頭部がシーティングから抜けるのを防止するために、大形頭部及び/又はワッシャデバイスを必要とすることを理解されたい。大径頭部締結具は、標準的なキャリエッジボルト式締結具又は効果的に締結具の頭部の支持面を拡大するためのワッシャデバイスを備えた他の標準的な頭付きボルトとすることができる。
【0029】
図1−3及び図8を参照すると、本発明で定義するルーフデッキシステム82は、屋根板、金属板等の追加の表面材又は他の化粧カバリングを施工する前に、構造物の合板シート等のルーフデッキ114をカバーしてシールする改善された方法を提供する。ルーフデッキ114の合わせ端の継ぎ目118に施工される水密テープシール116は水密シールをもたらす。ルーフデッキシステム82は、釘及び/又はネジ及び/又は垂木及び/又は梁構造物に取り付けられるデッキ114をしっかり保持するように特異なパターンに配列された締結具によって、改善された締結手段を提供する。
【0030】
図1−3及び8、及び図9を参照すると、本発明の好ましい実施形態によれば、特殊な締結具120は、比較的大きな頭部及び特殊な保持特徴部を有しており、垂木及び/又は梁に対する改善されたデッキの保持が可能となっている。本発明の他の好ましい実施形態は、デッキの組み合わせ端によって水密シールを提供するように、実はぎ継ぎされたデッキ114を備える。デッキ114のさらに好ましい実施形態は、斜めカット上に水密シール端を与える相欠き端122を備える。デッキのさらに他の好ましい実施形態は、隣接する垂木50、50’の間で、隣接するデッキ114のエッジ部126の下に配置される整列ブロック124を備え、デッキ114の全てのエッジ部126のためのしっかりした締結面を提供するようになっている。また、整列ブロック124は、隣接する薄板のデッキ114のエッジ部の下に効果的なシール面を提供すると共に、隣接する薄板デッキの合わせ端での相対的な撓みを防止する。また、整列ブロック124は、垂木50、50’の間の適切な位置合わせ及び離間を提供すると同時に、垂木及び梁に作用するねじり力及びひし形の力への耐性を提供する。また、整列ブロック124は、横並びの垂木及び/又は梁の間に設けられた圧縮ブロックの連続した列を形成し、構造物の横方向のつぶれを防止する。
【0031】
当業者であれば、ルーフデッキを垂木及び/又はトラス要素に取り付けるための他の締結方法が存在することを理解できるはずである。他の変形例としては、標準的なネジ式締結具を挙げることができる。ルーフデッキを締結する他の方法としては、複数の特殊なパターンの釘にうちのいずれかを挙げることができる。さらに他の締結方法としては、基本機能が釘のよう所定の位置に押し込まれたネジと同じ、らせん形の特殊な釘の使用を挙げることができる。これらのいずれの締結方法も垂木及び/又はトラス屋根要素に直接、ルーフデッキを固定する精神を満たすはずである。また、締結具は、暴風力が構造物に加わった場合に締結具の頭部がシーティングから抜けるのを防止するために、大形頭部及び/又はワッシャデバイスを必要とすることを理解されたい。大径頭部締結具は、標準的なネジ又は釘式締結具又は効果的に締結具の頭部の支持面を拡大するためのワッシャデバイスを備えた他の標準的な締結具とすることができる。
【0032】
整列ブロック124の1つの好ましい実施形態は、整列ブロック124の端部に事前に取り付けること又は整列ブロック124を取り付けた後に設けることができるブラケット128を備える。ブラケット128は、垂木50及びデッキ114に対する付加的な組み立て容易性及び付加的な構造的完全性を提供する。本発明の他の好ましい応用は、デッキ114及び/又は隆起部及び谷部を含む、隣接した各薄板デッキ114の合わせ端をカバーする水密シールテープ116の上に設けられた、水密部材130を用いることである。
【0033】
図1−8及び図9を参照すると、ルーフデッキシステム82の1つの好ましい実施形態の断面は、相欠き端、整列ブロック124、整列ブロックブラケット128、デッキ締結具120、接合のテープシール116、及び水密部材130を示す。ルーフデッキシステム82は、構造物が暴風に曝される間に、一次カバリング及びウェザーシール表面材が損傷を受けた場合及び/又は失われた場合に、雨及び吹き込む雨に耐性のある屋根のための二次ウェザーシールを設けることが可能である。本発明は、ルーフデッキシステム82を用いて、壁補強システム34、ウインドビームシステム80、垂木/梁拘束システム66、ルーフデッキシステム82、通気システム84、ダイアフラム補強システム70、及び/又はセーフルームシステム72のそれぞれの特徴と協働及び一体化することで、屋根構造物全体を効果的にユニット化する。
【0034】
図10を参照すると、本発明で定義するダイアフラム補強システム70は、一般に住居及び商業構造物に関連するいくつかのダイアフラムの問題点に対処する。1つの一般的なダイアフラムの問題点は、構造物の切妻壁であり、例えば、三角形の壁の切妻壁132は、屋根システム134の一端を包囲して形成される。切妻壁132は、三角枠の内部に切妻壁面136を形成し、暴風に応えて吹き込まれるか又は吸い出される可能性がある。他の一般的なダイアフラムの問題点は、図示の梁52等の複数の垂木/梁/トラス構成要素のいずれか1つで形成され、屋根構造物の切妻壁132に隣接して並んで配置される梁面138である。梁面138は、暴風力に応じて歪曲及び/又はよじれる及び/又はねじれる及び/又は横移動する可能性がある。さらに他の一般のダイアフラムの問題点は、並んで配置された梁52の底面で天井142が形成する天井面140である。天井面140は、構造物に作用する暴風に応じて、梁面138が原因で反って屈曲する可能性がある。
【0035】
本発明は、ダイアフラム補強システム70を用いて前記のダイアフラムに関する問題点を解決する。ダイアフラム補強システム70の1つの好ましい実施形態は、切妻壁132を横切って横方向に広がるパーリングブレース144である。1つの好ましい実施形態のパーリングブレース144は、一般の木材構成要素と協働して切妻壁面136の構造的完全性を強化する、一連の特殊なブラケット146を備える。他の好ましいパーリングブレースの実施形態において、構造用金属ビーム148及び関連のブラケットは、切妻壁132を横切って横方向に広がり、切妻壁面136の構造的完全性を強化する。ダイアフラム補強システム70の他の好ましい実施形態は、並んで配置される梁52を横切って横方向に広がる一連の梁ブレース要素150を備え、梁アレイの構造的完全性を強化して、嵐のような突風の悪影響を防止するようになっている。
【0036】
梁ブレース要素150は、梁52が有害な梁面138の変形を受けるのを防止するだけでなく、有害な天井面140の変形を防止するように、梁52にしっかりと固定される。梁ブレース要素150は、切妻壁132において特殊な切妻壁ブラケット152にしっかりアンカー止めされ、切妻壁ブラケット152は壁補強システム34の構成要素に直接アンカー止めされ、これは構造物全体を基礎要素にアンカー止めする。また、梁ブレース要素150は、一端が梁ブレース要素150に取り付き、傾斜角αでパーリングブレース144の連結点156まで延びる、筋かい要素154を含む。筋かい部材154は、筋かい部材154、切妻壁面136、及び梁ブレース158要素が成す三角形の斜辺を形成し、実質的に強化された構造的手段を形成して、本発明より前には達成不可能であった構造的完全性を前述のダイアフラムに与えるようになっている。梁ブレース158を梁52に連結する1つ又はそれ以上の梁ブレースブラケット160は、同様に梁ブレース要素150の部材を定める。
【0037】
さらに図10を参照すると、切妻壁面136、天井面140、及び梁面138は、切妻壁ブラケット152、梁ブレースブラケット160、梁ブレース158、筋かい部材154、及びパーリングブレース144の総合的な機能によって同時に構造的に強化される。その結果、ダイアフラムの全セットは、効果的に一緒にユニット化され、構造的完全性のための大きな統合システムに一体化されて、暴風力を受けた場合の構造物の水密シールシステムを維持するようになっている。本発明は、アンカーシステム10、壁補強システム34、垂木/梁拘束システム66、ウインドビームシステム80、壁シーティングシステム68、通気システム84、及び/又はセーフルームシステム72のそれぞれの特徴を用いて一体化することで、ダイアフラム補強システム70を効果的にユニット化する。
【0038】
図11を参照すると、通気システム84の1つの好ましい実施形態によれば、内部アクセス通気孔162により、空気は、構造物の居住部164を定める調整空気空間から流入して、屋根空間166の空気を僅かに調整することができ、独立気泡のスプレー発泡体168は、屋根システム170及び切妻壁132の底面全体を覆ってシールして水漏れを防ぐようになっている。本発明で定義する通気システム84は、屋根空間166の適切な空気交換及び/又は調整が生じるように、構造物の屋根空間166の空気の熱的条件を適切に維持する解決策を提供する。典型的な通気方法は、多くが受動的又は動力付き変形形態である、軒天通気孔、切妻通気孔、軒通気孔、タービン、及びルーバ等の一連の外部アクセス通気孔を含む。
【0039】
基本的に全てが公知の外部アクセス通気システムが受ける重大な問題は、暴雨時の雨の吹き付けの間に損傷を受ける可能性が及び/又は完全に無くなる可能性があることであり、これは水漏れ及びその後の損傷につながる。基本的に従来の全ての外部アクセス通気システムが受ける他の重大な問題は、外部アクセス通気システムは、暴風時に何とか損傷を受けないとしても、暴風時に吹き付ける雨が屋根空間に流入する可能性があり、これは水漏れ及びその後の損傷につながる。従って、本発明の通気システム84の1つの好ましい実施形態は、流入及び流出空気の処理のための特殊な外部通気デバイスを提供するが、これはしっかりと機能的に損傷を受けないようにすると同時に、暴風時に吹き付ける雨を制御して緩和することができ、水がチャンネルで運ばれる及び/又は方向を変えられる及び/又は構造物から排水されることで、構造物の内部で損傷が蓄積されるのを防ぐようになっている。
【0040】
本発明の他の好ましい実施形態では、この位置に関する問題を無くすように外部アクセス通気孔及び関連の通気デバイスを省くようになっており、これらは、小さな適切なサイズの内部アクセス通気孔162取り替え、構造物の調整部を屋根空間に直接接続して、屋根空間の空気を僅かに「調整」するようになっている。従って、建造物の内部調整部と建造物の外部の周囲空気とを連通する外部アクセス通気孔を存在しない。屋根空間166の調整空気は、季節とともに適切に冷却及び/又は加熱されて、屋根空間166の適度な温度範囲を維持するようになっている。さらに、屋根空間166の調整空気は、流入又は流出する外気が屋根空間166に影響を与えないようにすることで可能になるが、独立気泡スプレー発泡体等の有効な断熱シーリングシステムは、空気及び水が屋根構造物から屋根空間166に貫入するのを防止するために、屋根構造物の底面全体に塗布して各垂木50の間を充填して、空気及びウェザーシールを形成するようになっている。また、独立気泡スプレー発泡体168の断熱材は、デッキ114を貫通して屋根空間166に入る可能性がある、デッキ114又は屋根板172又は他の外部構造物の何らかの締結具をカバーしてシールして、将来水漏れ経路になる可能性を未然に防ぐようになっている。また、独立気泡スプレー発泡体168の断熱材は、同じやり方で切妻壁132の壁174をカバーする。本発明は、ルーフデッキシステム82、ウインドビームシステム80、垂木/梁拘束システム66、及びダイアフラム補強システム70のそれぞれの特徴と協働及び一体化する通気システム84を用いて、ユニット化された屋根構造物と効果的に協働する。
【0041】
図12を参照して、窓/ドア保護システム112の1つの好ましい実施形態は、住宅構造の装飾カバーマウント178が取り付けられた一般的な窓176に関して提供され、取り外し可能な保護カバー180がカバーマウント178にしっかり留められている。本発明で定義する窓/ドア保護システム112は、窓176を覆う保護カバー180を備え、暴風時に破損する可能性を最小にするようになっている。窓/ドア保護システム112の1つの好ましい実施形態は、一連のブラケット182及び取り付け金具を備え、取り付け金具は、構造物184への強固な取り付けを安全に実現し、更に取り付けられた保護カバーブラケット182に装着されて協働するようにデザインされた適切な保護カバー180を受け入れるようにデザインされている。保護カバー180は、暴風の接近に対応する必要があるまで格納できる。取り付けられたブラケット182は、構造物184に取り付けたままとすることができ、適度に装飾的にデザインされる。本発明の他の好ましい実施形態は、ドア188を覆う及び/又は外部ドアの内側に組み込まれた類似の保護カバー186を備え、暴風時に吹き込まれること又は吸い出されることを防止するようになっている。本発明の他の好ましい実施形態は、ガレージドア(図示せず)を覆う保護カバーを備え、暴風時に吹き付けられること又は吸い込まれることを防止するようになっている。本発明は、窓/ドア保護システム112を用いて、壁補強システム34及び/又はセーフルームシステム72のそれぞれの特徴と協働及び一体化するようになっている。
【0042】
図13を参照すると、防風セーフルーム72の好ましい実施形態は、建造物の内部に配置され防風ドア192及び換気口194を含む、独立してユニット化された部屋190を備える。本発明の他の好ましい実施形態は、防風セーフルームシステム72を備え、これは、適切な教化された構成要素から作られて建設現場に運ばれ、その後、建物196がその周りに建設できるように据え付けられる。本発明で定義する防風セーフルームシステム72は、構造体の基礎及び/又はスラブにしっかりと堅固にアンカー止めされた内蔵式防風セーフルームのための強化された構造物構成要素を提供する。強化された構造物構成要素は、全てが組み合わさって統合構造体を構築して適切な防風セーフルームシステム72として機能する、壁補強システム34、アンカー10、垂木−梁拘束システム66、ウインドビームシステム80、ドア/窓保護シールシステム112、及び/又はルーフデッキシステム82の特徴を含む。
【0043】
防風セーフルームシステム72の他の好ましい実施形態は、独立したユニット化された屋根198、強化された壁200、及び内部に開く防風ドア192を含む。ドアは、強化されたヒンジ202、並びにロック及び安全構成要素204を備え、嵐のような突風、飛翔デブリ、及び/又は流入水に曝される場合の閉鎖を保証する。防風セーフルームシステム72は、独立した外気換気口194及び居住者が意図する以外は開くことができない補強されたドア192を備え、更に水の流入を防ぐ水密シール206を備える。防風セーフルームシステム72は、クローゼット、食料庫、浴室等の二重目的の部屋として使用するのに適した防風ルームを備える。本発明の1つの好ましい実施形態は、適切な強化された構成要素を用いて現場で組み立てた防風セーフルームシステム72を特徴とする。
【0044】
本発明は、アンカーシステム10、壁補強システム34、垂木/梁拘束システム66、窓/ドア保護シールシステム112、ルーフデッキシステム82、通気システム84、ウインドビームシステム80、ダイアフラム補強システム70、及び壁シーティングシステム68のそれぞれの特徴と協働及び一体化することでユニット化された防風セーフルームシステム72を効果的に実現する。
【0045】
本発明は、一般的な住居又は商業構造物のための改善されたシステムを提供し、一連の特殊な構成要素は一体化され、ハリケーン及び/又は竜巻に関する風力に対する構造物の構造的完全性を強化して、暴風によって屋根板及び/又は壁板の一次シーリングシステムが損傷した、破損した、又は無くなった場合でも構造物のための比較的水密性のある二次シールを提供するようになっている。その結果、公知の屋根板及び壁板は、構造物のための化粧カバリング及び一次ウェザーシールを提供するが、本発明は、暴風に曝される一次シールシステムが損傷を受けた場合の二次ウェザーシールを提供する。
【0046】
本発明は、ハリケーン及び/又は竜巻に関する風力に対する構造的完全性及び二次シールを改善するように、新しい構造物並びに修復される既存構造物に適用することができる構造強化をさらに提供する。本発明は、ハリケーン及び/又は竜巻に関する風力に対する元の能力を超えて構造物構成要素の構造的完全性を改善するように、標準的な構造物構成要素と協働する構造強化をさらに提供し、一次シーリングシステムが損傷を受けた場合に流入水を抗する二次シーリングシステムをさらに提供する。
【0047】
典型的な好ましい実施形態において、本開示の構造的に強化された構成要素に関する構造物の材料は金属である。構成要素は、打ち抜き、鍛造、曲げ、溶接、又は製造方法を組み合わせたものの等のいくつかの一般的な方法を用いて金属で作ることができる。さらに、構成要素は、プラスチック、強化プラスチック、ガラス繊維、複合材、及び/又は所定の用途に必要な強度を与える任意の他の適切な技術的材料等の非金属材料で作ることができる。
【0048】
例示的な実施形態が提示されるので、本開示は完全であり当業者は本開示の範囲を理解することができる。多くの特定の詳細内容は、特定の構成要素、デバイス、及び方法の実施例として説明され、本開示の実施形態を完全に理解することを可能にする。当業者であれば、特定の詳細内容を用いる必要はなく、例示的な実施形態は種々の異なる形態で具体化することができ、いずれも本開示の範囲を限定すると解釈すべきではないことを理解できるはずである。幾つかの例示的な実施形態において、公知のプロセス、公知のデバイス構造、及び公知の技術は詳細に説明されていない。
【0049】
本明細書で用いる用語は、特定の実施形態を説明するだけの目的であり限定すること意図していない。本明細書で使用する場合、単数形態は、前後関係から明らかに別の意味を示さない限り複数形態も含む。本明細書内で使用する場合に、用語「備える」、「備えている」、「含む」、及び「有する」という用語は包括的であり、従って、そこに述べた特徴部、完全体、ステップ、動作、要素、及び/又は構成部品の存在を明示しているが、1つ又はそれ以上の他の特徴部、完全体、ステップ、動作、要素、構成部品、及び/又はそれらの群の存在又は付加を排除するものではない。本明細書で説明する方法ステップ、プロセス、及び動作は、特に実行の順序が規定されない限り、説明及び図示した特定の順序で必ず実行することを必要とすると解釈すべきではない。また、追加の又は代替のステップを使用できることを理解されたい。
【0050】
要素又は層が他の要素又は層「の上にある」、「に係合する」、「に連結する」、又は「に結合する」ことに言及する場合、直接他の要素又は層の上にある、それに係合する、連結する、結合する、又は介在要素又は層が存在することができる。対照的に、要素が他の要素又は層「の上に直接ある」、「に直接係合する」、「に直接連結する」、又は「に直接結合する」ことに言及する場合、介在要素又は層は存在することができない。要素間の関係を説明するのに使用される他の用語も同様に解釈すべきである(例えば、「〜間」と「〜間に直接」、「隣接」と「直近」、その他)。本明細書で使用される用語「及び/又は」とは、関連する記載品目の1つ又はそれ以上の何れか及び全ての組み合わせを含む。
【0051】
本明細書で用いる場合、用語「第1の」、「第2の」、「第3の」等は、種々の要素、構成要素、領域、層、及び/又は区域を説明するために用いるが、これらの要素、構成要素、領域、層、及び/又は区域は、これら用語で限定されるものではない。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層、又は区域を他の領域、層、又は区域と区別するためだけに使用できる。本明細書で用いる場合、「第1の」、「第2の」等に用語及び他の数に関する用語は、文脈で明示しない限り、順序又は順列を意味しない。従って、以下に説明する第1の要素、構成要素、領域、層、又は区域は、例示的な実施形態の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層、又は区域と呼ぶことができる。
【0052】
本明細書で用いる場合、空間に関連する用語、例えば「内側」、「外側」、「真下」、「下方」、「下」、「上」、「上方」等は、図示したような、1つの要素又は特徴部の他の要素又は特徴部に対する関係の説明を容易にするために使用される。空間に関連する用語は、図示した方向に加えて使用中又は作動中のデバイスの別の方向を包含することを目的とすることができる。例えば、図面中のデバイスが回転すると、他の要素又は特徴部の「下方」又は「真下」と記載される要素は、他の要素又は特徴部の「上」に向きを定めることになる。従って、例示的な用語「下方」は、「上」及び「下」の両方の方向を包含することができる。デバイスは、別の方向に向くことができ(90度回転して又は他の方向に)本明細書で用いる空間的に相対的な記述子は相応に解釈される。
【0053】
前述の実施形態の説明は、例示及び説明目的で提示されている。これは網羅的であること又は本開示を限定することは意図されていない。特定の実施形態の個別の要素又は特徴部は、概してこの特定の実施形態を限定しないが、必要な場合、特に説明及び図示しない場合でも、これらは同義的であり、選択された実施形態において用いることができる。それは多くの方法で変更できる。このような変更例は、本開示を逸脱するものではなく、全ての変更例は、本開示の範疇に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0054】
10 アンカーシステム
12 スラブ
14 アンカーボルトセット
16 アンカーブラケット
18 構造支柱
20 建造物
22 第1のアンカーボルト
24 第2のアンカーボルト
26 アンカーボルトナット
28 アンカーボルトナット
30 間柱
32 間柱
48 底板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13