【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、纎度が300〜1,000デニールであるアラミド原糸を含むアラミド反物層と、前記アラミド反物層上のゴムコーティング層とを含み、
下記計算式1で定義される反物の経糸方向強伸度指数(TI
wa)が2.8〜4.8であり、
前記ゴムコーティング層のコーティング量は20g/m
2〜100g/m
2であるアラミド反物を提供する。
【0010】
[計算式1]
TI
wa=T
wa/(S
wa×D)
上記式中、T
waは、国際標準化機構規格ISO 13934−1方法で測定したアラミド反物の経糸方向引張強度(N/5cm)であり、S
waは、国際標準化機構規格ISO 13934−1方法で測定したアラミド反物の経糸方向引張伸度(%)であり、Dは、アラミド原糸の纎度(de)である。
【0011】
本発明はまた、前記アラミド反物を含む車両用エアバッグを提供する。
【0012】
以下、発明の具体的な実施形態に係るアラミド反物、およびこれを含む車両用エアバッグについてより詳しく説明する。ただし、これは発明に対する一つの例示として提示されるものに過ぎず、これによって発明の権利範囲が限定されるのではなく、発明の権利範囲内で実施形態に対する多様な変形が可能であることは当業者に自明である。
【0013】
さらに、本明細書全体で特別な言及がない限り、「含む」または「含有する」とは、ある構成要素(または構成成分)を特別な制限なしに含むことをいい、他の構成要素(または構成成分)の付加を除くものと解釈されてはならない。
【0014】
発明の一実施形態に係る反物は、基本的にアラミド原糸を含む反物層を含み、このような原糸が一定範囲の纎度を有し、前記反物層上に最適化したコーティング量のゴムコーティング層が形成されたものである。また、このような一実施形態に係るアラミド反物は、前記計算式1で定義される特定物性、例えば、特定範囲の経糸方向強伸度指数(TI
wa)を充足するものである。
【0015】
このような一実施形態の反物は、基本的にアラミド原糸を含む反物層を含む。このようなアラミド原糸は、芳香族ポリアミド系繊維の一種で、以前から優れた耐熱性および機械的特性を有すると知られている。一実施形態の反物は、このようなアラミド原糸および反物層を含むことによって、優れた耐熱性および機械的物性を示すことができ、より高い衝撃力、高温および高圧にもよく耐えられる。
【0016】
以前に一般的なエアバッグ反物として用いられていたナイロン系反物の場合、外装エアバッグに要求される高い水準の機械的物性を充足することが困難であった。例えば、このようなナイロン系反物を適用する場合、高いカバーファクターを有するように製造する場合にも、反物の引張強度が充分でなく、外装エアバッグに加えられる高い水準の衝撃力に耐え難かった。これに比べて、上述したアラミド反物層を適用する場合、より高い水準の衝撃力に耐え、優れた機械的物性を示すことができる。
【0017】
また、前記一実施形態のアラミド反物は、アラミド原糸の纎度および密度を一定範囲に調節して反物層の適切なカバーファクター範囲を達成し、ゴム成分のコーティング量など諸般物性を制御して、一実施形態の反物が特定範囲の経糸方向強伸度指数(TI
wa)などを充足するように提供されたものである。このような経糸方向強伸度指数(TI
wa)などを充足する一実施形態のアラミド反物は、外装エアバッグに加えられる程度の高い水準の衝撃力にも耐えられ、これを吸収および緩衝できるだけでなく、適切な程度の柔軟性を示して優れた収納性を有することが確認された。特に、アラミド反物層に適用されるゴムコーティング層のコーティング量を最適化して、反物の優れた機械的物性および空気遮断効果を確保すると同時に、歩行者に対する衝撃吸収性能を最大化することができる。
【0018】
したがって、一実施形態のアラミド反物は、車両用エアバッグ、特に、車両用外装用エアバッグの反物として非常に好ましく用いられ得る。
【0019】
このような一実施形態のアラミド反物は、纎度が約300〜1,000デニール、あるいは約400〜900デニールであるアラミド原糸を含むアラミド反物層と、前記アラミド反物層上のゴムコーティング層とを含み、下記計算式1で定義される反物の経糸方向強伸度指数(TI
wa)が約2.8〜4.8、あるいは約3.0〜4.7であり、前記ゴムコーティング層のコーティング量は約20g/m
2〜100g/m
2、あるいは約25g/m
2〜80g/m
2であるものになり得る。
【0020】
[計算式1]
TI
wa=T
wa/(Swa×D)
上記式中、T
waは、国際標準化機構規格ISO 13934−1方法で測定したアラミド反物の経糸方向引張強度(N/5cm)であり、S
waは、国際標準化機構規格ISO 13934−1方法で測定したアラミド反物の経糸方向引張伸度(%)であり、Dは、アラミド原糸の纎度(de)である。
【0021】
また、このような一実施形態のアラミド反物は、下記計算式2で定義される反物の緯糸方向強伸度指数(TI
we)が約3.4〜5.4、あるいは約3.7〜5.2になり得る。
【0022】
[計算式2]
TI
we=T
we/(S
we×D)
上記式中、T
weは、国際標準化機構規格ISO 13934−1方法で測定したアラミド反物の緯糸方向引張強度(N)であり、S
weは、国際標準化機構規格ISO 13934−1方法で測定したアラミド反物の緯糸方向引張伸度(%)であり、Dは、アラミド原糸の纎度(de)である。
【0023】
後述する実施例でも裏付けられるように、一実施形態のアラミド反物は、アラミド原糸を使用する一方、原糸の纎度および密度とカバーファクターおよびコーティング量など原糸および反物の物性の調節により引張強度および引張伸度が最適化することによって、高温−高圧ガスのエネルギーを効果的に吸収し、高い水準の衝撃力に耐えられる。特に、前記反物は、低繊度高強力のアラミド原糸を含むことができ、前記アラミド原糸は、纎度が約300〜1,000デニールになり得る。また、前記アラミド反物は、計算式1で定義される反物の経糸方向強伸度指数(TI
wa)が約2.8〜4.8、あるいは約3.0〜4.7になり得、これは上述した原糸および反物の各物性調節を通じて反物の経糸方向引張強度(T
wa)および引張伸度(S
wa)などを最適化して達成され得る。このような経糸方向強伸度指数(TI
wa)を充足するアラミド反物は、既存のナイロン、PET反物に比べて向上した強靭性およびエネルギー吸収性能を示すと同時に、エアバッグ反物としての優れたフォルディング性、柔軟性、および収納性を発現することができる。
【0024】
そして、前記アラミド反物は、経糸方向の引張強度(T
wa)および引張伸度(S
wa)だけでなく、前述したように緯糸方向の引張強度(T
we)および引張伸度(S
we)などを最適化して反物の優れた機械的物性を維持しながら、形態安定性、収納性、空気遮断効果を向上させることができる。このような反物の緯糸方向引張強度(T
we)および引張伸度(S
we)と原糸の纎度などの最適化によって、前記計算式2で定義される反物の緯糸方向強伸度指数(TI
we)が約3.4〜5.4、あるいは約3.7〜5.2になり得る。
【0025】
このように、一実施形態のアラミド反物は、エアバッグの作動時、瞬間的に発生する衝撃エネルギーを効果的に吸収するために反物を構成する原糸の纎度と共に反物の引張強度および引張伸度を同時に最適範囲に調節することによって最終織物の機械的物性およびフォルディング性などを共に高めることができる。エアバッグ内部の火薬爆発で発生する高い圧力と高温のインフレータガスに耐えるのに十分な強度および耐熱性などを確保して、効果的な展開が行われ、優れたフォルディング性を有するためには、引張強度および引張伸度を共に最適化する必要がある。この時、反物の引張強度および引張伸度は前述したような反物の強伸度指数範囲を充足させるように調節する必要がある。
【0026】
より具体的には、前記計算式1中、T
waで表現される反物の引張強度、つまり、アラミド反物の経糸方向引張強度は、約4000N/5cm以上、例えば、約4000N/5cm〜9000N/5cm、あるいは約4100N/5cm〜8800N/5cmになり得る。また前記計算式1中、S
waで表現される反物の引張伸度、つまり、アラミド反物の経糸方向引張伸度は、約2.0%以上、例えば、約2.0%〜8.0%、あるいは約2.5%以上または2.5%〜5.0%になり得る。このように反物の経糸方向引張強度(T
wa)を約4000N/5cm以上に維持すると共に、反物の経糸方向引張伸度(S
wa)を約2.0%以上に維持することによって、エアバッグの展開時、十分なエネルギー吸収性能を確保することができる。前記反物の引張強度および引張伸度を最小値以上に維持できない場合、車両の外部に装着されて十分な衝撃吸収性能を発揮することができないこともある。
【0027】
また、前記反物の経糸方向強伸度指数(TI
wa)は、約2.8以上になる場合、エアバッグの展開時、車両および乗客に対する衝撃吸収性能を満足させる側面で適切であり、約4.8以下になる場合、エアバッグクッションアセンブリーの収納性の側面で適切である。前記反物の経糸方向強伸度指数(TI
wa)が約2.8未満である場合には、反物の強度自体が低いため、エアバッグの展開時、反物が簡単に破れる現象が発生して使い難くなることもある。反面、前記反物の経糸方向強伸度指数(TI
wa)が約4.8を超える場合には、反物の剛軟度が過度に増加してエアバッグクッションのフォルディング性を低下させてエアバッグ用途としては適用し難くなることもある。同様な理由で、前記反物の緯糸方向強伸度指数(TI
we)は、約3.4〜5.4になり得る。
【0028】
一方、上述した一実施形態のアラミド反物は、高温および高圧に耐える優れた耐熱性などの側面で、コーティングされていない状態のアラミド反物層は、下記計算式3で定義される耐熱定数(X)が約6.5〜400、例えば、約13.0〜350、あるいは約80〜200になり得る。
【0029】
[計算式3]
耐熱定数(X)=(T×t)/(600×D’)
上記式中、Tは、反物層に自由落下させるホットロッドの温度であって、350〜750℃の温度範囲を有し、tは、前記ホットロッドを自由落下させて、前記ホットロッドが反物層と接触した後から反物層を通過するまでにかかった時間(sec)を示し、D’は、前記アラミド反物層の厚度(mm)を示す。
【0030】
本発明者らの実験結果、所定の範囲に最適化した耐熱定数を有する特定のアラミド反物層を含むことによって、一実施形態のアラミド反物は、高温−高圧ガスのエネルギーを効果的に吸収し、耐えられるエアバッグ用反物として適用可能なことが確認された。特に、前記アラミド反物においてゴム成分でコーティング処理する前の反物層の耐熱定数(X)が約6.5以上、あるいは約13.0以上を示すことによって、高温−高圧ガスのエネルギーを効果的に吸収し、耐えられるため、エアバッグ用反物として非常に効果的に用いられ得ることが確認された。
【0031】
この時、耐熱定数とは、前記計算式3で示したように、アラミド反物層の厚度を基準に高温のホットロッド(Hot Rod)が反物層を通過するまでの滞留時間を意味するものであって、高温条件下でエアバッグ用反物層の耐熱性指数を意味する。前記耐熱定数は、エアバッグ用反物材質により変化する任意値であり、実際にエアバッグが展開する場合、インフレータで噴出する瞬間的な高温−高圧のガスに対してエアバッグ用反物層および反物がどれだけ耐えられるかをシミュレーション(simulation)して見ることができる耐熱定数であって、アラミド原糸の融融熱容量(ΔH)が高いほど前記反物層の耐熱定数は高い値を有するようになる。特に、前記アラミド反物層の耐熱定数が小さくなると、エアバッグの展開時、インフレータで発生する高温−高圧ガスに対して十分に耐えられる反物の耐熱性が劣るため、エアバッグ用としての適用時、破裂したり熱融着などが発生するようになる。したがって、一実施形態の反物において前記アラミド反物層の耐熱定数が、例えば、約6.5未満になると、外装エアバッグクッションが展開して満開する前に溶けるおそれがあるため、エアバッグ用、特に外装エアバッグ用としての適用が難しくなり得る。
【0032】
また、一実施形態のアラミド反物は、前記アラミド反物層表面にゴム成分がコーティングまたはラミネートされて形成されたゴムコーティング層をさらに含む。このようにゴム成分でコーティング処理されたアラミド反物は、ホットロッドの温度(T)が750℃である時、耐熱定数(X)が約200以上、例えば、約200〜350になり得る。
【0033】
この時、前記ゴム成分としては、例えば、シリコン系ゴムまたはポリウレタン系ゴムを含むことができ、より具体的な例として、粉末(powder)型シリコン、液状(liquid)型シリコン、ポリウレタン、およびエマルジョン型シリコン樹脂からなる群より選ばれた1種以上が挙げられる。前記ゴムコーティング層の反物層に対する単位面積当たりのコーティング量は、約20g/m
2〜100g/m
2、あるいは約25g/m
2〜80g/m
2になり得る。
【0034】
また、このようなゴムコーティング層は、ゴム成分をただ1回コーティングして形成されることもできるが、このようなゴム成分の2回以上のコーティングにより上述したコーティング量で形成されることもできる。つまり、実際にエアバッグが作動する時、反物が収納された状態で展開することを考慮して、まず1次コーティングを進行した後、反物どうしの摩擦性を改善するために反物表面を滑らかにする2次コーティングを進行して最終的にゴムコーティング層を形成することもできる。この時、前記2次コーティングは、約10g/m
2以下のコーティング量で進行することができる。
【0035】
一方、発明の好ましい一例において、上述した耐熱定数は、
図1に示したような装置(hot rod tester)を利用して測定することができる。前記測定装置においてホットロッド(hot rod tester)を約350〜750℃に加熱した後に前記反物(層)の上側方向から落ちるようにホットロッドを配置する。このように加熱されたホットロッドを前記アラミド反物(層)の上端から反物(層)側に自由落下させた後に、前記ホットロッドがアラミド反物(層)と接触した後からホットロッドが前記反物(層)を完全に通過するまでの時間を測定し、この測定値をアラミド反物(層)の厚度を基準にして前記計算式3により測定すれば、前記アラミド反物(層)の耐熱定数を求めることができる。特に、発明の具体的な一実施例において、前記ホットロッドは、前記アラミド反物(層)から距離(d)が約60〜85mm程度離隔するように前記反物の上側方向に配置することができる。前記ホットロッドは、熱伝導率が約40〜70W/m・Kである金属またはセラミック材質であり、且つ重量が約40〜60gであるものを使用することができる。
【0036】
発明の一実施形態に係るアラミド反物は、米国材料試験協会規格ASTM D 737方法による静的空気透過度が、非コーティング状態の反物層を基準にΔPが125paである時、約5.0cfm以下、あるいは約0.3〜5.0cfm、あるいは約4.0cfm以下、あるいは約0.3〜4.0cfm、あるいは約3.0cfm以下、あるいは約0.3〜3.0cfmになり、ΔPが500paである時、約14cfm以下、あるいは約7〜14cfm、あるいは約10cfm以下、あるいは約5〜
10cfmになり得る。この時、静的空気透過度とは、エアバッグ用反物(層)に一定の圧力を付与した時、反物(層)に透過する空気量を意味するものであって、原糸の単糸纎度(denier per Filament)が小さく、反物(層)の密度が高いほど低い値を有することができる。ひいては、前記アラミド反物の空気透過度は、反物層にゴムコーティング層を含むことによって、さらに低めることができ、ほぼ0cfmに近い値の空気透過度を確保することもできる。したがって、このようにゴムコーティング層を形成した場合に、一実施形態の反物は、米国材料試験協会規格ASTM D 737方法による静的空気透過度がΔPが125paである時、約0.1cfm以下、あるいは約0〜0.1cfm、あるいは約0.05cfm以下、あるいは約0〜0.05cfmになり、ΔPが500paである時、約0.3cfm以下、あるいは約0〜0.3cfm、あるいは約0.1cfm以下、あるいは約0〜0.1cfmになり得る。
【0037】
ここで、一実施形態に係るアラミド反物は、反物層およびコーティング反物に対して、各々前記静的空気透過度範囲の上限値を超えたり、または動的空気透過度範囲の上限値を超える場合に、エアバッグ用反物の気密性を維持する側面で好ましくなくなり得る。
【0038】
また、前記アラミド反物層に対する厚度は、米国材料試験協会規格ASTM D 1777により測定でき、優れた機械的物性および空気遮断効果と共に車両への装着時に優れた収納性およびフォルディング性を確保する側面で、約0.20〜0.50mm、あるいは約0.22〜0.45mmになり得る。前記アラミド反物層の厚度は、エアバッグクッションのフォルディング以降に車両への装着時に、形態維持性能が低下し得る側面では、約0.20mmになり、エアバッグクッションのフォルディング性の側面で、0.50mm以下になり得る。
【0039】
そして、一実施形態のアラミド反物は、米国材料試験協会規格ASTM D 4032方法による剛軟度が約1.5kgf
以下、あるいは約0.7〜1.5kgf、あるいは約1.45kgf以下、あるいは約0.75kgf〜1.45kgf、あるいは約1.4kgf以下、あるいは約0.8kgf〜1.4kgfになり得る。前記反物の剛軟度が約1.5kgfを超える場合、反物の折り畳み性が低過ぎてエアバッグクッションのフォルディング性が顕著に低下し得る。ただし、前記反物の剛軟度が低過ぎる場合には、エアバッグの膨張展開時に十分な保護支持機能を果たすことができないこともあり、車両への装着時にも形態維持性能が劣って収納性が低下し得るため、前記反物の剛軟度は約0.7kgf以上になり得る。
【0040】
また前記アラミド反物において、気密性のためには、高圧の空気などによる引張力に耐えて伸張が最小限になる必要があり、これと同時にエアバッグの作動時、十分な機械的物性を確保するためには、高温高圧のガス排出でエネルギー吸収性能が最大限になるのが非常に重要である。そのため、前記反物は、下記計算式
4により反物層のカバーファクターが約1,500〜2,200、あるいは約1,550〜2,150に最適化するように製織することによって、エアバッグの展開時、気密性およびエネルギー吸収性能をより良好にすることができる。
【0041】
[計算式4]
【0042】
ここで、前記反物層のカバーファクターが約1,500未満である時は、反物層の集束力が弱くて反物の引張強度が低下し、エアバッグクッションが十分な衝撃吸収性能を発揮できず、空気膨張時に空気が外部に簡単に排出する問題が発生することがある。また、前記反物層のカバーファクターが約2,200を超える時は、エアバッグの装着時、エアバッグクッションの収納性およびフォルディング性が顕著に劣ることがある。
【0043】
また、前記アラミド反物層および反物に使用される経糸繊度および緯糸繊度、つまり、経糸方向および緯糸方向に使用されるアラミド原糸の纎度は、それぞれ約300〜1,000デニール、あるいは約400〜900デニールになり得る。この時、経糸および緯糸の纎度が互いに異なり得るが、より均一な物性のために互いに同一になることが適切である。前記アラミド反物において経糸繊度および緯糸纎度は、反物の強伸度指数を最適化して優れた機械的物性と共に優れた剛軟度特性を確保する側面で、前述したような範囲に選ばれ得る。前記デニールは、原糸または繊維の太さを示す単位であって、糸が9,000mが1gである場合、1デニールとする。
【0044】
そして、一実施形態のアラミド反物は、アラミド原糸を含んで優れた機械的物性および耐熱性を確保することができ、このようなアラミド原糸は、アミド基を除いた全ての主鎖にフェニル環が連結されている分子構造を有することができる。また、アラミドは、フェニル環の連結状態によりメタ型(m−)とパラ型(p−)があるが、一実施形態のアラミド反物がより優れた物性を発現するためには、パラ型をより適切に使用することができる。このようなパラ型(p−)アラミド原糸の場合、フェニル環が互いに板状に積層されているため、結晶化度が非常に高く、耐熱性に優れ、低い収縮率と共に高強力、高弾性率の優れた機械的物性などにより一実施形態の反物およびこれに含まれる原糸素材としてより好ましい。
【0045】
この時、前記アラミド反物に含まれている反物層の経糸密度および緯糸密度、つまり、経糸方向および緯糸方向の製織密度は、それぞれ約25〜55th/inch、あるいは約25〜47th/inch、あるいは約26〜45th/inchになり得る。前記アラミド反物層の経糸密度および緯糸密度は、エアバッグ用反物の優れた機械的物性確保の側面では、それぞれ約25th/inch以上になり、反物のフォルディング性を向上させ、引裂強度などを低める側面で、それぞれ約55th/inch以下になり得る。
【0046】
上述したアラミド反物は、アラミド原糸の原糸纎度、密度および反物層のカバーファクターを上述した範囲に調節しながら製織してアラミド反物層を得た後、精練、熱固定およびゴム成分のコーティング工程を通じて製造され得る。この時、上述したアラミド原糸の原糸纎度、密度および反物層のカバーファクターと共に、ゴム成分のコーティング量を最適化することによって、上述した優れた物性を有する一実施形態のアラミド反物が製造および提供され得る。
【0047】
具体的な一例によれば、一実施形態のアラミド反物は、アラミド原糸を緯糸および経糸で用いてビーミング(beaming)、製織、精練、熱固定工程およびゴム成分のコーティング工程などを経て製造され得る。前記反物は、通常の製織機を用いて製造することができ、ある特定の織機に限定されない。ただし、平織形態の反物は、レピア織機(Rapier Loom)やエアージェット織機(Air Jet Loom)またはウォータージェット織機(Water Jet Loom)などを用いて製造することができる。
【0048】
付加して、前記ポリウレタン系ゴムまたはシリコン系ゴムなどのコーティング工程は、反物を用いてエアバッグを形成するための後工程である縫製作業の作業性も最適化することができる。つまり、ゴム成分の種類やコーティング量などのコーティング工程条件を最適化しない場合、縫製作業中の原糸フィラメントの割れが発生して作業性が大きく劣ることがある。しかし、前記コーティング工程条件を最適化することによって、縫製作業性がより優秀になり、その結果、空気遮断性、耐熱性および耐摩擦性などの物性が最適化しながら、縫製作業性にも優れたアラミド反物が提供され得る。
【0049】
一方、上述したゴムコーティング層が形成された一実施形態の反物は、通常の裁断および縫製過程を経て一定の形態のエアバッグクッションで製造され得る。この時、前記エアバッグクッションは、特別な形態に限定されず、一般的な形態で製造され、例えば、平織タイプの製織形態が好ましい。
【0050】
発明のさらに他の実施形態により、上述したアラミド反物を含む車両用エアバッグが提供される。また、前記のエアバッグを含むエアバッグシステムが提供され、前記エアバッグシステムは当業者によく知られた通常の装置を備えることができる。前記車両用エアバッグは、例えば、歩行者エアバッグ(Pedestrian Airbag)またはバンパーエアバッグ(Bumper Airbag)の車両用外装エアバッグになり得る。
【0051】
このうち、歩行者エアバッグは、車両フードで展開してフロントガラスにぶつかる歩行者に加えられる衝撃を緩衝させる役割を果たすものであり、バンパーエアバッグは、車両ライトの下で展開して装着されて歩行者や構造物に加えられる衝撃または車両自体に加えられる衝撃を緩衝させる役割を果たすものである。
【0052】
特に、上述したアラミド反物は、高い機械的物性と優れた柔軟性を同時に確保することによって、車両バンパーに装着されるバンパーエアバッグなどに効果的に用いられ得る。このようなバンパーエアバッグの一例は、
図2に示したとおりである。
図2に示されるように、バンパーエアバッグ装置201は、車両200のフロントバンパー(front bumper)202に収縮状態で収納されるエアバッグ203と、このエアバッグ203に接続するインフレータ(inflator)204とを含み、このエアバッグ装置201が作動すればインフレータ204が高温高圧のガスを発生させることによって、高温高圧のガスが供給されるエアバッグ203がフロントバンパー202の前方へ展開する。これによって、フロントバンパー202に衝突する車両からの衝撃や歩行者の衝撃を緩和することができる。また、前述したような一例において、本発明のアラミド反物を含むエアバッグ装置がフロントバンパーに収納される形態を挙げたが、必要に応じて車両の側面、後方バンパーなどに装着する形態で使用することもできる。