(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記導風カバーは、前記車体フレームの直立状態における前記車両を前記車体フレームの前後方向における前方から見たとき、前記クロス部材の可動範囲の下端より前記車体フレームの上下方向における上方、前記リンク機構の可動範囲の左端より前記車体フレームの左右方向における左方、および前記リンク機構の可動範囲の右端より前記車体フレームの左右方向における右方の少なくとも1つに前記空間の一部が位置するように配置されている、
請求項1に記載の車両。
前記導風カバーは、前記車体フレームの直立状態における前記車両を前記車体フレームの上下方向から見たとき、前記車体フレームの左右方向における前記リンク機構の左方および右方の少なくとも一方に位置する部分を含んでいる、
請求項1または2に記載の車両。
前記導風カバーは、前記車体フレームの直立状態における前記車両を前記車体フレームの左右方向から見たとき、前記車体フレームの上下方向における前記クロス部材の上方に位置する部分を含んでいる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の車両。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のリーディングアーム機構は、左前輪と右前輪のそれぞれについて車体フレームの前後方向に延びるアッパーアーム、ロアアームを有しており、それぞれが車体フレームの左右方向に延びるピボット軸を中心として回動可能とされているため、左前輪と右前輪の車体フレームの上下方向への可動範囲を大きくしやすい。左前輪と右前輪の車体フレームの上下方向における相対位置の変位量が大きければ、車両の左右方向への車体フレームの傾斜可能角度範囲を大きくできる。したがって、リーディングアーム機構は、車両の左右方向への車体フレームの傾斜可能角度が大きいことが望まれるスポーツタイプの車両に適している。
【0008】
車両の左右方向への傾斜可能角度をより大きくするためには、車体フレームの上下方向における右前輪と左前輪の相対位置の変化量を大きくする必要がある。そのため、リーディングアーム機構を構成する各アッパーアームと各ロアアームの車体フレームの前後方向における寸法を大きくする必要がある。換言すると、各アッパーアームおよび各ロアアームの回動中心と各前輪との車体フレームの前後方向の距離を大きくする必要がある。この場合、車体フレームの前後方向における車両全体の寸法が大きくなる。さらに、前後方向に大きい各アッパーアームおよび各ロアアームがピボット軸を中心に車体フレームの上下方向へ大きく可動するため、リーディングアーム機構の可動範囲が大きくなることが避けられない。車両の前部に搭載される各部品は、リーディングアーム機構の可動範囲を避けて配置する必要があるため、車両の前部が大型化する傾向にある。
【0009】
よって、本発明は、傾斜可能な車体フレームと、当該車体フレームの左右方向に並んで配置された2つの前輪とを備える車両を提供するにあたり、車両の左右方向への車体フレームの傾斜可能角度を大きくしつつ、車両の前部の大型化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本出願の発明者は、傾斜可能な車体フレームと、当該車体フレームの左右方向に並んで配置された2つの前輪とを備える車両において、リーディングアーム機構とは異なる方式を採用することにより、車両の左右方向への車体フレームの傾斜可能角度を大きくしつつ、車両の前部の大型化を抑制できるかを検討した。具体的には、本出願の発明者は、パラレロリンク機構の採用を検討した。
【0011】
検討したパラレロリンク機構は、リンク支持部において車体フレームに支持される。パラレロリンク機構は、左サイド部材、右サイド部材、およびクロス部材を備えている。左サイド部材は、リンク支持部より車体フレームの左右方向における左方に配置されている。左サイド部材の少なくとも一部は、車体フレームの左右方向から車両を見たとき、車体フレームの上下方向における左前輪の上方に配置されている。右サイド部材は、リンク支持部より車体フレームの左右方向における右方に配置されている。右サイド部材の少なくとも一部は、車体フレームの左右方向から車両を見たとき、車体フレームの上下方向における右前輪の上方に配置されている。クロス部材の左部は、車体フレームの前後方向に延びる左回動軸線を中心として回動可能に左サイド部材に支持されている。クロス部材の右部は、車体フレームの前後方向に延びる右回動軸線を中心として回動可能に右サイド部材に支持されている。クロス部材の中間部は、車体フレームの前後方向に延びる中間回動軸線を中心として回動可能にリンク支持部に支持されている。パラレロリンク機構は、中間回動軸線を中心としたクロス部材の回動に伴って車体フレームの上下方向における左前輪と右前輪の相対位置を変化させ、車体フレームを車両の左方または右方に傾斜させる。
【0012】
このパラレロリンク機構においては、左前輪と右前輪の車体フレームの上下方向への変位を許容する動作を行なうクロス部材が、車体フレームの左右方向に延びている。また、当該クロス部材の回動に伴って、それぞれ車体フレームの上下方向へ逆向きに変位する左サイド部材と右サイド部材の少なくとも一部が、車体フレームの左右方向から車両を見たとき、車体フレームの上下方向における左前輪と右前輪の上方にそれぞれ配置されている。そのため、車体フレームの車両の左右方向への傾斜可能角度を大きくするために車体フレームの上下方向におけるパラレロリンク機構の可動範囲が大きくなっても、車体フレームの前後方向における車両全体の寸法が大きくなることを抑制できる。
【0013】
エンジンと変速部を有するパワーユニットは、車体フレームの前後方向における両前輪と後輪の間に配置されている。いわゆるスポーツタイプというカテゴリに属する車両の場合、エンジンへ供給される空気が通過するエアクリーナは、変速部より車体フレームの上下方向における上方に配置される。エアクリーナは、エンジンが必要とする量の空気を通過させる必要がある。本出願の発明者は、車体フレームの前後方向における前方から車両を見た場合、上記のように配置されて動作するパラレロリンク機構の可動範囲が大きいため、エアクリーナへの導風が阻害されると考えた。特に、車体フレームの車両の左右方向への傾斜可能角度が大きいスポーツタイプの車両においては、パラレロリンク機構の可動範囲が大きくなる。そのため、本出願の発明者は、スポーツタイプの車両においては、エアクリーナへの導風の阻害がより顕著になると考えた。
【0014】
車体フレームを車両の左方に傾斜させる場合、クロス部材は、リンク支持部の中間回動軸線を中心に回動する。具体的には、クロス部材の左部が車体フレームの上下方向の上方に移動し、クロス部材の右部が車体フレームの上下方向の下方に移動するように、クロス部材が回動する。左サイド部材およびクロス部材の左部は、車体フレームの直立状態における位置より車体フレームの上下方向における上方、かつ車体フレームの左右方向における右方に変位する。右サイド部材およびクロス部材の右部は、車体フレームの直立状態における位置より車体フレームの上下方向における下方、かつ車体フレームの左右方向における左方に変位する。
【0015】
車体フレームを車両の右方に傾斜させる場合、クロス部材は、リンク支持部の中間回動軸線を中心に回動する。具体的には、クロス部材の右部が車体フレームの上下方向の上方に移動し、クロス部材の左部が車体フレームの上下方向の下方に移動するように、クロス部材が回動する。左サイド部材およびクロス部材の左部は、車体フレームの直立状態における位置より車体フレームの上下方向における下方、かつ車体フレームの左右方向における右方に変位する。右サイド部材およびクロス部材の右部は、車体フレームの直立状態における位置より車体フレームの上下方向における上方、かつ車体フレームの左右方向における左方に変位する。
【0016】
上記したパラレロリンク機構の動作に鑑み、本出願の発明者は、クロス部材の下端より車体フレームの上下方向における上方に位置している領域、パラレロリンク機構の左縁より車体フレームの左右方向における左方に位置している領域、およびパラレロリンク機構の右縁より車体フレームの左右方向における右方に位置している領域に着目した。本出願の発明者は、車体フレームに対して変位不能に設けられた車体カバーをこの領域に配置した場合に、車体フレームの直立状態における車両を車体フレームの前後方向における前方から見たとき、クロス部材の下端より車体フレームの上下方向における上方に車体カバーによって区画される空間、パラレロリンク機構の左縁より車体フレームの左右方向における左方に車体カバーによって区画される空間、およびパラレロリンク機構の右縁より車体フレームの左右方向における右方に車体カバーによって区画される空間に着目した。
【0017】
車体フレームの上下方向における左サイド部材およびクロス部材の左部の上方に車体カバーによって区画される空間、および車体フレームの上下方向における右サイド部材およびクロス部材の右部の上方に車体カバーによって区画される空間を例にとって説明する。
【0018】
車体フレームを車両の左方に傾斜させる場合、左サイド部材およびクロス部材の左部は、車体フレームの直立状態での位置から上方に移動する。そのため、当該直立状態の場合と比較して、車体フレームの上下方向における左サイド部材およびクロス部材の左部の上方に区画される空間は狭くなる。他方、右サイド部材およびクロス部材の右部は、車体フレームの直立状態での位置から下方に移動する。そのため、車体フレームの上下方向における右サイド部材およびクロス部材の右部の上方に車体カバーによって区画される空間は広くなる。
【0019】
車体フレームを車両の右方に傾斜させる場合、右サイド部材およびクロス部材の右部は、車体フレームの直立状態での位置から上方に移動する。そのため、車体フレームの上下方向における右サイド部材およびクロス部材の右部の上方に車体カバーによって区画される空間は狭くなる。他方、左サイド部材およびクロス部材の左部は、車体フレームの直立状態での位置から下方に移動する。そのため、当該直立状態の場合と比較して、車体フレームの上下方向における左サイド部材およびクロス部材の左部の上方に車体カバーによって区画される空間は広くなる。
【0020】
車体フレームの左右方向における左サイド部材およびクロス部材の左部の左方に車体カバーによって区画される空間、および車体フレームの左右方向における右サイド部材およびクロス部材の右部の右方に車体カバーによって区画される空間を例にとって説明する。
【0021】
車体フレームを車両の左方に傾斜させる場合、左サイド部材およびクロス部材の左部は、車体フレームに対して、車体フレームの直立状態での位置から右方に移動する。そのため、当該直立状態の場合と比較して、左サイド部材およびクロス部材より車体フレームの左右方向における左部の左方に車体カバーによって区画される空間は広くなる。また、右サイド部材およびクロス部材の右部は、車体フレームに対して、車体フレームの直立状態での位置から左方に移動する。そのため、当該直立状態の場合と比較して、右サイド部材およびクロス部材より車体フレームの左右方向における右部の右方に車体カバーによって区画される空間は広くなる。
【0022】
車体フレームを車両の右方に傾斜させる場合、左サイド部材およびクロス部材の左部は、車体フレームに対して、車体フレームの直立状態での位置から右方に移動する。そのため、当該直立状態の場合と比較して、左サイド部材およびクロス部材より車体フレームの左右方向における左部の左方に車体カバーによって区画される空間は広くなる。また、右サイド部材およびクロス部材の右部は、車体フレームに対して、車体フレームの直立状態での位置から左方に移動する。そのため、当該直立状態の場合と比較して、右サイド部材およびクロス部材より車体フレームの左右方向における右部の右方に車体カバーによって区画される空間は広くなる。
【0023】
すなわち、車体フレームの直立状態における車両を車体フレームの前後方向における前方から見たとき、クロス部材の下端より車体フレームの上下方向における上方において車体カバーによって区画されている空間の断面積は、車体フレームの傾斜に伴ってパラレロリンク機構の形状が大きく変化しても変化が小さい。この事実は、車体フレームの車両の左右方向への傾斜可能角度に依らない。また、車体フレームの直立状態における車両を車体フレームの前後方向における前方から見たとき、パラレロリンク機構の左縁より車体フレームの左右方向における左方、およびパラレロリンク機構の右縁より車体フレームの左右方向における右方において車体カバーによって区画されている空間の断面積は、車体フレームの傾斜に伴って大きくなる。この事実も、車体フレームの車両の左右方向への傾斜可能角度に依らない。
【0024】
本出願の発明者は、車体フレームの直立状態における車両を車体フレームの前後方向における前方から見たときに、クロス部材の下端より車体フレームの上下方向における上方、パラレロリンク機構の左縁より車体フレームの左右方向における左方、およびパラレロリンク機構の右縁より車体フレームの左右方向における右方に導風のための空間を区画しつつ、両前輪を回動させるハンドルの下方を車体フレームの上下方向における上方から車両を見たときに車体フレームの前後方向に横切る部分を有するように車体カバーを設ければ、上記のようなパラレロリンク機構を採用し、車体フレームの車両の左右方向への傾斜可能角度を大きくしても、エアクリーナへの導風が円滑になされうることに気付いた。すなわち、本出願の発明者は、車体フレームの左右方向から車両を見たとき、パラレロリンク機構の少なくとも一部が左前輪と右前輪の車体フレームの上下方向における上方に配置される場合においても、導風のために車両の前部が大型化することを抑制できることを見出した。
【0025】
したがって、上記の目的を達成するために本発明がとりうる一態様は、車両であって、
リンク支持部を有し、左旋回時に前記車両の左方へ傾斜し、右旋回時に前記車両の右方へ傾斜する車体フレームと、
前記車体フレームの左右方向に並んで配置された左前輪および右前輪と、
後輪と、
前記左前輪および前記右前輪を回動させるハンドルと、
前記リンク支持部より前記車体フレームの左右方向における左方に配置され、かつ、前記車体フレームの左右方向から前記車両を見たときに少なくとも一部が前記車体フレームの上下方向における前記左前輪の上方に配置された左サイド部材、前記リンク支持部より前記車体フレームの左右方向における右方に配置され、かつ、前記車体フレームの左右方向から前記車両を見たときに少なくとも一部が前記車体フレームの上下方向における前記右前輪の上方に配置された右サイド部材、および左部が前記車体フレームの前後方向に延びる左回動軸線を中心として回動可能に前記左サイド部材に支持され、右部が前記車体フレームの前後方向に延びる右回動軸線を中心として回動可能に前記右サイド部材に支持され、中間部が前記車体フレームの前後方向に延びる中間回動軸線を中心として回動可能に前記リンク支持部に支持されているクロス部材を含み、前記クロス部材の回動に伴って前記車体フレームの上下方向における前記左前輪と前記右前輪の相対位置を変化させて前記車体フレームを前記車両の左方または右方に傾斜させるリンク機構と、
前記車体フレームの左右方向から前記車両を見たとき、前記後輪の前端より前記車体フレームの前後方向における前方において前記車体フレームに対して変位不能に配置され、エンジンと変速部を備えるパワーユニットと、
前記変速部より前記車体フレームの上下方向における上方において前記車体フレームに対して変位不能に配置され、前記エンジンへ送られる空気が通過するエアクリーナと、
前記車体フレームに対して変位不能に配置され、前記車体フレームの上下方向における上方から前記車両を見たときに前記車体フレームの上下方向における前記ハンドルの下方を前記車体フレームの前後方向に横切る部分を有し、前記エアクリーナへ空気を導く空間を区画する導風カバーと、
を備えており、
前記導風カバーは、前記車体フレームの直立状態における前記車両を前記車体フレームの前後方向における前方から見たとき、前記クロス部材の下端より前記車体フレームの上下方向における上方、前記リンク機構の左縁より前記車体フレームの左右方向における左方、および前記リンク機構の右縁より前記車体フレームの左右方向における右方の少なくとも1つに前記空間の少なくとも一部が位置するように配置されている。
【0026】
このような構成によれば、車体フレームの車両の左右方向への傾斜可能角度を大きくしても、リンク機構の動作によらずエアクリーナへの導風を容易に行なえる。そのため、導風のために車両の前部が大型化することを抑制できる。したがって、傾斜可能な車体フレームと、当該車体フレームの左右方向に並んで配置された2つの前輪とを備える車両を提供するにあたり、車体フレームの車両の左右方向への傾斜可能角度を大きくしつつ、車両の前部の大型化を抑制できる。
【0027】
上記の車両は、以下のように構成されうる。
前記導風カバーは、前記車体フレームの直立状態における前記車両を前記車体フレームの前後方向における前方から見たとき、前記クロス部材の可動範囲の下端より前記車体フレームの上下方向における上方、前記リンク機構の可動範囲の左端より前記車体フレームの左右方向における左方、および前記リンク機構の可動範囲の右端より前記車体フレームの左右方向における右方の少なくとも1つに前記空間の一部が位置するように配置されている。
【0028】
このような構成によれば、車体フレームの車両の左右方向への傾斜可能角度を大きくしても、リンク機構の動作状態によらず、エアクリーナへの導風をより容易に行なえる。そのため、導風のために車両の前部が大型化することをより抑制できる。したがって、車体フレームの車両の左右方向への傾斜可能角度を大きくしつつ、車両の前部の大型化をより抑制できる。
【0029】
上記の車両は、以下のように構成されうる。
前記導風カバーは、前記車体フレームの直立状態における前記車両を前記車体フレームの上下方向から見たとき、前記車体フレームの左右方向における前記リンク機構の左方および右方の少なくとも一方に位置する部分を含んでいる。
【0030】
このような構成によれば、車体フレームの左右方向におけるリンク機構の左方および右方の少なくとも一方を通過する空気を、エアクリーナへより導きやすい。そのため、導風のために車両の前部が大型化することをより抑制できる。したがって、車体フレームの車両の左右方向への傾斜可能角度を大きくしつつ、車両の前部の大型化を抑制できる。
【0031】
上記の車両は、以下のように構成されうる。
前記導風カバーは、前記車体フレームの直立状態における前記車両を前記車体フレームの左右方向から見たとき、前記車体フレームの上下方向における前記クロス部材の上方に位置する部分を含んでいる。
【0032】
このような構成によれば、車体フレームの上下方向におけるクロス部材の上方を通過する空気を、エアクリーナへより導きやすい。そのため、導風のために車両の前部が大型化することをより抑制できる。したがって、車体フレームの車両の左右方向への傾斜可能角度を大きくしつつ、車両の前部の大型化を抑制できる。
【0033】
上記の車両は、以下のように構成されうる。
前記導風カバーは、前記リンク機構より前記車体フレームの前後方向における前方に位置する部分を含んでいる。
【0034】
このような構成によれば、走行時に車両の前部が受ける気流を、エアクリーナへより導きやすい。そのため、導風のために車両の前部が大型化することをより抑制できる。したがって、車体フレームの車両の左右方向への傾斜可能角度を大きくしつつ、車両の前部の大型化を抑制できる。
【0035】
この場合、上記の車両は、以下のように構成されうる。
前記導風カバーは、前記リンク機構より前記車体フレームの前後方向における前方に配置された開口を有している。
【0036】
このような構成によれば、走行時に車両の前部が受ける気流を、導風カバー内に区画された空間へ導きやすい。そのため、導風のために車両の前部が大型化することをより抑制できる。したがって、車体フレームの車両の左右方向への傾斜可能角度を大きくしつつ、車両の前部の大型化を抑制できる。
【0037】
上記の車両は、以下のように構成されうる。
前記導風カバーは、
前記リンク支持部より前記車体フレームの左右方向における左方に配置された左導風カバー部と、
前記リンク支持部より前記車体フレームの左右方向における右方に配置された右導風カバー部と、
を有しており、
前記車体フレームの直立状態における前記車両を前記車体フレームの上下方向から見たとき、前記ハンドルより前記車体フレームの前後方向における後方、かつ前記エアクリーナの後端より前記車体フレームの前後方向における前方において、前記左導風カバー部と前記右導風カバー部の間隔は、前記車体フレームの前後方向における前方に向かって大きくなっている。
【0038】
このような構成によれば、導風カバーによりエアクリーナへ空気を導きやすい。そのため、導風のために車両の前部が大型化することをより抑制できる。したがって、車体フレームの車両の左右方向への傾斜可能角度を大きくしつつ、車両の前部の大型化を抑制できる。
【0039】
上記の車両は、以下のように構成されうる。
前記導風カバーは、前記クロス部材の下端より前記車体フレームの上下方向における上方に位置する前記空間の一部を区画する上導風カバー部を有しており、
前記車体フレームの直立状態における前記車両を前記車体フレームの左右方向から見たとき、前記ハンドルより前記車体フレームの前後方向における後方、かつ前記エアクリーナの後端より前記車体フレームの前後方向における前方において、前記上導風カバー部は、前記エアクリーナから前記車体フレームの前後方向における前方へ離れるにつれて、前記車体フレームの上下方向における上方へ延びている。
【0040】
このような構成によれば、導風カバーによりエアクリーナへ空気を導きやすい。そのため、導風のために車両の前部が大型化することをより抑制できる。したがって、車体フレームの車両の左右方向への傾斜可能角度を大きくしつつ、車両の前部の大型化を抑制できる。
【0041】
上記の車両は、以下のように構成されうる。
前記エアクリーナは、運転者が着座するシートより前記車体フレームの前後方向における前方に配置されている。
【0042】
このような構成によれば、導風カバーにより導かれる空気がエアクリーナへ到達するまでの距離を短くできる。そのため、導風のために車両の前部が大型化することをより抑制できる。したがって、車体フレームの車両の左右方向への傾斜可能角度を大きくしつつ、車両の前部の大型化を抑制できる。
【0043】
上記の車両は、以下のように構成されうる。
前記エアクリーナは、前記変速部より前記車体フレームの前後方向における前方に配置されている。
【0044】
このような構成によれば、導風カバーにより導かれる空気がエアクリーナへ到達するまでの距離を短くできる。したがって、車体フレームの前後方向における車両の大型化を抑制できるだけでなく、エアクリーナへの空気供給を安定的に行なえる。
【0045】
上記の車両は、以下のように構成されうる。
前記エアクリーナの前端は、前記エンジンより前記車体フレームの前後方向における前方に配置されている。
【0046】
このような構成によれば、導風カバーにより導かれる空気がエアクリーナへ到達するまでの距離を短くできる。そのため、導風のために車両の前部が大型化することをより抑制できる。したがって、車体フレームの車両の左右方向への傾斜可能角度を大きくしつつ、車両の前部の大型化を抑制できる。
【0047】
上記の車両は、以下のように構成されうる。
前記エアクリーナは、前記車体フレームの前後方向における前方に開口された吸気口を備えている。
【0048】
このような構成によれば、導風カバーによりエアクリーナへ空気を導きやすい。そのため、導風のために車両の前部が大型化することをより抑制できる。したがって、車体フレームの車両の左右方向への傾斜可能角度を大きくしつつ、車両の前部の大型化を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0050】
添付の図面を参照しつつ、本発明に係る実施形態の例について、以下詳細に説明する。
【0051】
添付の図面において、矢印Fは、車両の前方向を示している。矢印Bは、車両の後方向を示している。矢印Uは、車両の上方向を示している。矢印Dは、車両の下方向を示している。矢印Rは、車両の右方向を示している。矢印Lは、車両の左方向を示している。
【0052】
車両は、車体フレームを鉛直方向に対して車両の左右方向に傾斜させて旋回する。そこで車両を基準とした方向に加え、車体フレームを基準とした方向が定められる。添付の図面において、矢印FFは、車体フレームの前方向を示している。矢印FBは、車体フレームの後方向を示している。矢印FUは、車体フレームの上方向を示している。矢印FDは、車体フレームの下方向を示している。矢印FRは、車体フレームの右方向を示している。矢印FLは、車体フレームの左方向を示している。
【0053】
本明細書において、「車体フレームの前後方向」、「車体フレームの左右方向」、および「車体フレームの上下方向」とは、車両を運転する運転者から見たとき、車体フレームを基準とした前後方向、左右方向、および上下方向を意味する。「車体フレームの側方」とは、車体フレームの左右方向における右方あるいは左方を意味している。
【0054】
本明細書において、「車体フレームの前後方向に延びる」とは、車体フレームの前後方向に対して傾いて延びることを含み、車体フレームの左右方向および上下方向と比較して、車体フレームの前後方向に近い傾きで延びることを意味する。
【0055】
本明細書において、「車体フレームの左右方向に延びる」とは、車体フレームの左右方向に対して傾いて延びることを含み、車体フレームの前後方向および上下方向と比較して、車体フレームの左右方向に近い傾きで延びることを意味する。
【0056】
本明細書において、「車体フレームの上下方向に延びる」とは、車体フレームの上下方向に対して傾いて延びることを含み、車体フレームの前後方向および左右方向と比較して、車体フレームの上下方向に近い傾きで延びることを意味する。
【0057】
本明細書において、「車体フレームの直立状態」とは、無転舵状態かつ車体フレームの上下方向が鉛直方向と一致している状態を意味する。この状態においては、車両を基準にした方向と車体フレームを基準にした方向は一致する。車体フレームを鉛直方向に対して左右方向に傾斜させて旋回しているときは、車両の左右方向と車体フレームの左右方向は一致しない。また車両の上下方向と車体フレームの上下方向も一致しない。しかしながら、車両の前後方向と車体フレームの前後方向は一致する。
【0058】
本明細書において、「車体フレームの左右方向における部材Aの左方」とは、車体フレームの左右方向における左方へ部材Aを平行移動させたときに当該部材Aが通過する空間を指す。部材Aの右方についても同様に定義される。
【0059】
本明細書において、「部材Aより車体フレームの左右方向における左方」とは、車体フレームの左右方向における左方へ部材Aを平行移動させたときに当該部材Aが通過する空間に加え、当該空間から車体フレームの左右方向に直交する向きに広がる空間を含む。部材Aより右方についても同様に定義される。
【0060】
本明細書において、「車体フレームの上下方向における部材Aの上方」とは、車体フレームの上下方向における上方へ部材Aを平行移動させたときに当該部材Aが通過する空間を指す。部材Aの下方についても同様に定義される。
【0061】
本明細書において、「部材Aより車体フレームの上下方向における上方」とは、車体フレームの上下方向における上方へ部材Aを平行移動させたときに当該部材Aが通過する空間に加え、当該空間から車体フレームの上下方向に直交する向きに広がる空間を含む。部材Aより下方についても同様に定義される。
【0062】
本明細書において、「車体フレームの前後方向における部材Aの前方」とは、車体フレームの前後方向における前方へ部材Aを平行移動させたときに当該部材Aが通過する空間を指す。部材Aの後方についても同様に定義される。
【0063】
本明細書において、「部材Aより車体フレームの前後方向における前方」とは、車体フレームの前後方向における前方へ部材Aを平行移動させたときに当該部材Aが通過する空間に加え、当該空間から車体フレームの前後方向に直交する向きに広がる空間を含む。部材Aより後方についても同様に定義される。
【0064】
図1から
図11を参照しつつ、一実施形態に係る車両1について説明する。車両1は、傾斜可能な車体フレームと、その車体フレームの左右方向に並んで配置された2つの前輪を備える車両である。
【0065】
図1に示すように、車両1は、車両本体部2、2つの前輪3、後輪4、リンク機構5、および操舵機構6を備えている。
【0066】
車両本体部2は、車体フレーム21、車体カバー22、シート23、パワーユニット24、およびリアアーム26を含んでいる。
図1において、車体フレーム21は直立状態にある。
図1を参照する以降の説明は、車体フレーム21の直立状態を前提にしている。
図1は、車両1の全体を車体フレーム21の左右方向における左方から見た左側面図である。
【0067】
車体フレーム21は、ヘッドパイプ211とメインフレーム212を含んでいる。
図1においては、車体フレーム21の車体カバー22に隠れている部分は破線で示している。車体フレーム21は、シート23とパワーユニット24を支持している。
【0068】
ヘッドパイプ211は、車両1の前部に配置されている。車体フレーム21の左右方向における左方から車両1を見たとき、ヘッドパイプ211の上部は、ヘッドパイプ211の下部より車体フレーム21の前後方向における後方に配置されている。
【0069】
メインフレーム212は、ヘッドパイプ211に接続されている。メインフレーム212は、ヘッドパイプ211より車体フレーム21の前後方向における後方に配置されている。メインフレーム212は、シート23、パワーユニット24、およびリアアーム26を支持している。
【0070】
リアアーム26は、メインフレーム212より車体フレーム21の前後方向における後方に配置されている。リアアーム26は、車体フレーム21の前後方向に延びている。リアアーム26の前端部は、メインフレーム212に支持され、車体フレーム21の左右方向に延びる軸線を中心として回動可能とされている。リアアーム26の後端部は、後輪4を支持している。
【0071】
車体カバー22は、フロントカバー221とリアフェンダー222を含んでいる。車体カバー22は、2つの前輪3、車体フレーム21、リンク機構5、操舵機構6などの車両1を構成する部品群の少なくとも一部を覆う車体部品である。
【0072】
フロントカバー221は、シート23より車体フレーム21の前後方向における前方に配置されている。フロントカバー221は、リンク機構5と操舵機構6の少なくとも一部を覆っている。フロントカバー221は、車体フレーム21に対して変位不能に配置されている。
【0073】
リアフェンダー222の少なくとも一部は、車体フレーム21の上下方向における後輪4の上方に配置されている。リアフェンダー222は、リアアーム26に対して変位不能に配置されている。
【0074】
2つの前輪3は、ヘッドパイプ211より車体フレーム21の上下方向における下方に配置されている。2つの前輪3の少なくとも一部は、車体フレーム21の上下方向におけるフロントカバー221の下方に配置されている。
【0075】
後輪4の少なくとも一部は、シート23より車体フレーム21の上下方向における下方に配置されている。後輪4の少なくとも一部は、車体フレーム21の上下方向におけるリアフェンダー223の下方に配置されている。
【0076】
本実施形態に係る車両1は、運転者が車体フレーム21に跨った姿勢で乗車する車両である。すなわち、運転時において、運転者の着座するシート23より車体フレーム21の前後方向における前方に配置される車体フレーム21の一部は、運転者の両脚の間に配置される。運転者は、シート23より車体フレーム21の前後方向における前方に位置するメインフレーム212またはフロントカバー221を両脚で挟んだ姿勢で車両1を運転する。
【0077】
パワーユニット24は、車体フレーム21の左右方向から車両1を見たとき、後輪4の前端より車体フレーム21の前後方向における前方に配置されている。パワーユニット24は、車体フレーム21に対して変位不能に配置されている。パワーユニット24は、メインフレーム212に対して変位不能に配置されている。パワーユニット24は、エンジン241と変速部242を備えている。エンジン241は、車両1を駆動する力を生成する。変速部242は、エンジン241により生成された駆動力を後輪4に伝達するとともに、後輪4の回転速度を変更するための機構である。変速部242は、ギアボックス、クラッチなどを備えている。変速部242は、変速機構を備えている。変速機構は、複数段を備えた有段変速機構であってもよいし、無段変速機構(CVT)であってもよい。
【0078】
図2は、車両1の前部を車体フレーム21の前後方向における前方から見た正面図である。
図2において、車体フレーム21は直立状態にある。
図2を参照する以降の説明は、車体フレーム21の直立状態を前提にしている。
図2では、破線で示す車体カバー22を透視した状態が示されている。
【0079】
2つの前輪3は、左前輪31と右前輪32を含んでいる。左前輪31は、車体フレーム21の一部であるヘッドパイプ211より車体フレーム21の左右方向における左方に配置されている。右前輪32は、ヘッドパイプ211より車体フレーム21の左右方向における右方に配置されている。左前輪31と右前輪32は、車体フレーム21の左右方向に並んで配置されている。
【0080】
操舵機構6は、左緩衝機構61、右緩衝機構62、左ブラケット63、および右ブラケット64を含んでいる。
【0081】
左緩衝機構61は、左下部61aを含んでいる。左下部61aは、左前輪31を支持している。左下部61aは、車体フレーム21の上下方向に延びている。左下部61aは、その下端部に左支持部61bを備えている。左前輪31は、左支持部61bに支持されている。
【0082】
左緩衝機構61は、左上部61cを含んでいる。左上部61cは、車体フレーム21の上下方向に延びている。左上部61cは、その一部が左下部61aに挿入された状態で、車体フレーム21の上下方向における左下部61aの上方に配置されている。左上部61cの上端部は、左ブラケット63に固定されている。
【0083】
左緩衝機構61は、いわゆるテレスコピック式の緩衝機構である。左上部61cが左下部61aに対して左下部61aの延びる方向に相対移動することにより、左緩衝機構61は、当該方向に伸縮可能である。これにより、左緩衝機構61は、左上部61cに対する左前輪31の車体フレーム21の上下方向における変位を緩衝する。
【0084】
右緩衝機構62は、右下部62aを含んでいる。右下部62aは、右前輪32を支持している。右下部62aは、車体フレーム21の上下方向に延びている。右下部62aは、その下端部に右支持部62bを備えている。右前輪32は、右支持部62bに支持されている。
【0085】
右緩衝機構62は、右上部62cを含んでいる。右上部62cは、車体フレーム21の上下方向に延びている。右上部62cは、その一部が右下部62aに挿入された状態で、車体フレーム21の上下方向における右下部62aの上方に配置されている。右上部62cの上端部は、右ブラケット64に固定されている。
【0086】
右緩衝機構62は、いわゆるテレスコピック式の緩衝機構である。右上部62cが右下部62aに対して右下部62aの延びる方向に相対移動することにより、右緩衝機構62は、当該方向に伸縮可能である。これにより、右緩衝機構62は、右上部62cに対する右前輪32の車体フレーム21の上下方向における変位を緩衝する。
【0087】
操舵機構6は、操舵力伝達機構65を含んでいる。操舵力伝達機構65は、ハンドル651とステアリングシャフト652を含んでいる。ハンドル651は、ステアリングシャフト652の上部に取り付けられている。ステアリングシャフト652は、その一部がヘッドパイプ211に回動可能に支持されている。ステアリングシャフト652の中間操舵軸線Zは、車体フレーム21の上下方向に延びている。
図1に示すように、ステアリングシャフト652の上部は、その下部より車体フレーム21の前後方向における後方に配置されている。したがって、ステアリングシャフト652の中間操舵軸線Zは、車体フレーム21の前後方向に傾斜している。ステアリングシャフト652は、運転者によるハンドル651の操作に応じて、中間操舵軸線Zを中心として回動する。
【0088】
操舵力伝達機構65は、運転者がハンドル651を操作する操舵力を、左ブラケット63と右ブラケット64に伝達する。具体的な構成については、後に詳述する。
【0089】
本実施形態に係る車両1においては、平行四節リンク(パラレログラムリンクとも呼ばれる)方式のリンク機構5を採用している。
【0090】
図2に示すように、リンク機構5は、ハンドル651より車体フレーム21の上下方向における下方に配置されている。リンク機構5は、左前輪31と右前輪32より車体フレーム21の上下方向における上方に配置されている。リンク機構5は、上クロス部材51、下クロス部材52、左サイド部材53、および右サイド部材54を含んでいる。リンク機構5は、ハンドル651の操作に伴うステアリングシャフト652の中間操舵軸線Zを中心とする回動に連動しない。すなわち、リンク機構5は、当該中間操舵軸線Zを中心として、車体フレーム21に対して回動しない。
【0091】
上クロス部材51の中間部は、支持部51aによってヘッドパイプ211に支持されている。上クロス部材51は、支持部51aを通り車体フレーム21の前後方向に延びる中間上軸線を中心として、ヘッドパイプ211に対して回動可能である。
【0092】
上クロス部材51の左端部は、支持部51bによって左サイド部材53に支持されている。上クロス部材51は、支持部51bを通り車体フレーム21の前後方向に延びる左上軸線を中心として、左サイド部材53に対して回動可能である。
【0093】
上クロス部材51の右端部は、支持部51cによって右サイド部材54に支持されている。上クロス部材51は、支持部51cを通り車体フレーム21の前後方向に延びる右上軸線を中心として、右サイド部材54に対して回動可能である。
【0094】
下クロス部材52の中間部は、支持部52aによってヘッドパイプ211に支持されている。下クロス部材52は、支持部52aを通り車体フレーム21の前後方向に延びる中間下軸線を中心として回動可能である。
【0095】
下クロス部材52の左端部は、支持部52bによって左サイド部材53に支持されている。下クロス部材52は、支持部52bを通り車体フレーム21の前後方向に延びる左下軸線を中心として回動可能である。
【0096】
下クロス部材52の右端部は、支持部52cによって右サイド部材54に支持されている。下クロス部材52は、支持部52cを通り車体フレーム21の前後方向に延びる右下軸線を中心として回動可能である。
【0097】
中間上軸線、右上軸線、左上軸線、中間下軸線、右下軸線、および左下軸線は、互いに平行に延びている。中間上軸線、右上軸線、左上軸線、中間下軸線、右下軸線、および左下軸線は、左前輪31と右前輪32より車体フレーム21の上下方向における上方に配置されている。
【0098】
図3は、車両1の前部を車体フレーム21の上下方向における上方から見た平面図である。
図3において、車体フレーム21は直立状態にある。
図3を参照する以降の説明は、車体フレーム21の直立状態を前提にしている。
図3では、破線で示す車体カバー22を透視した状態が示されている。
【0099】
上クロス部材51は、ヘッドパイプ211より車体フレーム21の前後方向における前方に配置されている。上クロス部材51は、車体フレーム21の左右方向に延びている板状部材である。
【0100】
下クロス部材52は、前板状部材521と後板状部材522を含んでいる。前板状部材521は、ヘッドパイプ211より車体フレーム21の前後方向における前方に配置されている。後板状部材522は、ヘッドパイプ211より車体フレーム21の前後方向における後方に配置されている。前板状部材521と後板状部材522は、車体フレーム21の左右方向に延びている。下クロス部材52は、上クロス部材51より車体フレーム21の上下方向における下方に配置されている。下クロス部材52の車体フレーム21の左右方向における長さ寸法は、上クロス部材51の車体フレーム21の左右方向における長さ寸法と同一または同等である。下クロス部材52は、上クロス部材51と平行に延びている。
【0101】
図2と
図3に示すように、左サイド部材53は、車体フレーム21の左右方向におけるヘッドパイプ211の左方に配置されている。左サイド部材53は、左前輪31より車体フレーム21の上下方向における上方に配置されている。左サイド部材53は、ヘッドパイプ211が延びる方向に延びている。左サイド部材53は、ステアリングシャフト652の中間操舵軸線Zが延びる方向に延びている。左サイド部材53の上部は、その下部より車体フレーム21の前後方向における後方に配置されている。
【0102】
左ブラケット63は、その上部に図示しない左回動部材を備えている。左回動部材は、左サイド部材53の内部に配置され、左サイド部材53が延びる方向と同じ向きに延びている。左回動部材は、左サイド部材53に対して、左操舵軸線Xを中心として回動可能である。すなわち、左ブラケット63は、左サイド部材53に対して、左操舵軸線Xを中心として回動可能である。左操舵軸線Xは、左サイド部材53が延びる方向に延びている。
図2に示すように、左操舵軸線Xは、ステアリングシャフト652の中間操舵軸線Zと平行に、車体フレーム21の上下方向に延びている。
図3に示すように、左操舵軸線Xは、ステアリングシャフト652の中間操舵軸線Zと平行に、車体フレーム21の前後方向に延びている。
【0103】
図2と
図3に示すように、右サイド部材54は、車体フレーム21の左右方向におけるヘッドパイプ211の右方に配置されている。右サイド部材54は、右前輪32より車体フレーム21の上下方向における上方に配置されている。右サイド部材54は、ヘッドパイプ211が延びる方向に延びている。右サイド部材54は、ステアリングシャフト652の中間操舵軸線Zが延びる方向に延びている。右サイド部材54の上部は、その下部より車体フレーム21の前後方向における後方に配置されている。
【0104】
右ブラケット64は、その上部に図示しない右回動部材を備えている。右回動部材は、右サイド部材54の内部に配置され、右サイド部材54が延びる方向と同じ向きに延びている。右回動部材は、右サイド部材54に対して、右操舵軸線Yを中心として回動可能である。すなわち、右ブラケット64は、右サイド部材54に対して、右操舵軸線Yを中心として回動可能である。右操舵軸線Yは、右サイド部材54が延びる方向に延びている。
図2に示すように、右操舵軸線Yは、ステアリングシャフト652の中間操舵軸線Zと平行に、車体フレーム21の上下方向に延びている。
図3に示すように、右操舵軸線Yは、ステアリングシャフト652の中間操舵軸線Zと平行に、車体フレーム21の前後方向に延びている。
【0105】
以上説明したように、上クロス部材51、下クロス部材52、左サイド部材53、および右サイド部材54は、上クロス部材51と下クロス部材52が相互に平行な姿勢を保ち、左サイド部材53と右サイド部材54が相互に平行な姿勢を保つように、車体フレーム21に支持されている。
【0106】
図2と
図3に示すように、操舵力伝達機構65は、前述のハンドル651とステアリングシャフト652に加え、中間伝達プレート653、左伝達プレート654、右伝達プレート655、中間ジョイント656、左ジョイント657、右ジョイント658、およびタイロッド659を含んでいる。
【0107】
中間伝達プレート653は、ステアリングシャフト652の下部に接続されている。中間伝達プレート653は、ステアリングシャフト652に対して相対回動不能である。中間伝達プレート653は、ヘッドパイプ211に対して、ステアリングシャフト652の中間操舵軸線Zを中心として回動可能である。
【0108】
左伝達プレート654は、中間伝達プレート653の左方に配置されている。左伝達プレート654は、左ブラケット63の下部に接続されている。左伝達プレート654は、左ブラケット63に対して相対回動不能である。左伝達プレート654は、左サイド部材53に対して、左操舵軸線Xを中心として回動可能である。
【0109】
右伝達プレート655は、車体フレーム21の左右方向における中間伝達プレート653の右方に配置されている。右伝達プレート655は、右ブラケット64の下部に接続されている。右伝達プレート655は、右ブラケット64に対して相対回動不能である。右伝達プレート655は、右サイド部材54に対して、右操舵軸線Yを中心として回動可能である。
【0110】
図3に示すように、中間ジョイント656は、車体フレーム21の上下方向に延びる軸部を介して中間伝達プレート653の前部に連結されている。中間伝達プレート653と中間ジョイント656は、当該軸部を中心として相対回動可能とされている。左ジョイント657は、中間ジョイント656より車体フレーム21の左右方向における左方に配置されている。左ジョイント657は、車体フレーム21の上下方向に延びる軸部を介して左伝達プレート654の前部に連結されている。左伝達プレート654と左ジョイント657は、当該軸部を中心として相対回動可能とされている。右ジョイント658は、中間ジョイント656より車体フレーム21の左右方向における右方に配置されている。右ジョイント658は、車体フレームの上下方向に延びる軸部を介して右伝達プレート655の前部に連結されている。右伝達プレート655と右ジョイント658は、当該軸部を中心として相対回動可能とされている。
【0111】
中間ジョイント656の前部には、車体フレーム21の前後方向に延びる軸部が設けられている。左ジョイント657の前部には、車体フレーム21の前後方向に延びる軸部が設けられている。右ジョイント658の前部には、車体フレーム21の前後方向に延びる軸部が設けられている。タイロッド659は、車体フレーム21の左右方向に延びている。タイロッド659は、これらの軸部を介して、中間ジョイント656、左ジョイント657、および右ジョイント658に連結されている。タイロッド659と中間ジョイント656は、中間ジョイント656の前部に設けられた軸部を中心として相対回動可能とされている。タイロッド659と左ジョイント657は、左ジョイント657の前部に設けられた軸部を中心として相対回動可能とされている。タイロッド659と右ジョイント658は、右ジョイント658の前部に設けられた軸部を中心として相対回動可能とされている。
【0112】
左伝達プレート654は、左ジョイント657、タイロッド659、および中間ジョイント656を介して、中間伝達プレート653と連結されている。右伝達プレート655は、右ジョイント658、タイロッド659、および中間ジョイント656を介して、中間伝達プレート653と連結されている。左伝達プレート654と右伝達プレート655は、左ジョイント657、タイロッド659、および右ジョイント658を介して、相互に連結されている。
【0113】
次に、
図3と
図4を参照しつつ、車両1の操舵動作について説明する。
図4は、左前輪31と右前輪32を左転舵させた状態における車両1の前部を、車体フレーム21の上下方向における上方から見た平面図である。
図4では、破線で示す車体カバー22を透視した状態が示されている。
【0114】
運転者がハンドル651を操作すると、ステアリングシャフト652は、中間操舵軸線Zを中心としてヘッドパイプ211に対して回動する。
図4に示す左転舵の場合、ステアリングシャフト652は、矢印Tの方向に回動する。ステアリングシャフト652の回動に伴って、中間伝達プレート653は、ヘッドパイプ211に対して、中間操舵軸線Zを中心として矢印Tの方向へ回動する。
【0115】
中間伝達プレート653の矢印Tの方向への回動に伴って、タイロッド659の中間ジョイント656は、中間伝達プレート653に対して、矢印S方向に回動する。これにより、タイロッド659は、その姿勢を維持したまま、車体フレーム21の左右方向における左方かつ車体フレーム21の前後方向における後方へ移動する。
【0116】
上記のタイロッド659の移動に伴って、タイロッド659の左ジョイント657と右ジョイント658は、それぞれ左伝達プレート654と右伝達プレート655に対して矢印S方向に回動する。これにより、タイロッド659はその姿勢を維持したまま、左伝達プレート654と右伝達プレート655が、矢印Tの方向に回動する。
【0117】
左伝達プレート654が矢印Tの方向に回動すると、左伝達プレート654に対して相対回動不能である左ブラケット63が、左サイド部材53に対して、左操舵軸線Xを中心として、矢印Tの方向に回動する。
【0118】
右伝達プレート655が矢印Tの方向に回動すると、右伝達プレート655に対して相対回動不能である右ブラケット64が、右サイド部材54に対して、右操舵軸線Yを中心として、矢印Tの方向に回動する。
【0119】
左ブラケット63が矢印Tの方向に回動すると、左ブラケット63に支持されている左緩衝機構61が、左サイド部材53に対して、左操舵軸線Xを中心として、矢印Tの方向に回動する。左緩衝機構61が矢印Tの方向に回動すると、左支持部61bを介して左緩衝機構61に支持されている左前輪31が、左サイド部材53に対して、左操舵軸線Xを中心として、矢印Tの方向に回動する。
【0120】
右ブラケット64が矢印Tの方向に回動すると、右ブラケット64に支持されている右緩衝機構62が、右サイド部材54に対して、右操舵軸線Yを中心として、矢印Tの方向に回動する。右緩衝機構62が矢印Tの方向に回動すると、右支持部62bを介して右緩衝機構62に支持されている右前輪32が、右サイド部材54に対して、右操舵軸線Yを中心として、矢印Tの方向に回動する。
【0121】
右転舵するように運転者がハンドル651を操作すると、上述した各要素は、左転舵時とは逆方向に回動する。各要素の動きは左右が逆になるのみであるため、詳細な説明は省略する。
【0122】
以上説明したように、操舵機構6は、運転者によるハンドル651の操作に応じて、操舵力を左前輪31と右前輪32に伝達する。左前輪31と右前輪32は、それぞれ左操舵軸線Xと右操舵軸線Yを中心として、運転者によるハンドル651の操作方向に応じた方向に回動する。
【0123】
次に、
図2と
図5を参照しつつ、車両1の傾斜動作について説明する。
図5は、車体フレーム21が車両1の左方に傾斜した状態における車両1の前部を、車体フレーム21の前後方向における前方から見た正面図である。
図5では、破線で示す車体カバー22を透視した状態が示されている。
【0124】
図2に示すように、直立状態における車体フレーム21の前方から車両1を見たとき、リンク機構5は長方形状をなしている。
図5に示すように、傾斜状態における車体フレーム21の前方から車両1を見たとき、リンク機構5は平行四辺形状をなしている。リンク機構5の作動と車体フレーム21の左右方向への傾斜は連動する。リンク機構5の作動とは、リンク機構5を構成する上クロス部材51、下クロス部材52、左サイド部材53、および右サイド部材54が、それぞれの支持部51a、51b、51c、52a、52b、52cを通る回動軸線を中心として相対回動し、リンク機構5の形状が変化することを意味している。
【0125】
例えば、
図5に示すように、運転者が車両1を左方に傾斜させると、ヘッドパイプ211が鉛直方向に対して左方に傾斜する。ヘッドパイプ211が傾斜すると、上クロス部材51は、支持部51aを通る中間上軸線を中心として、ヘッドパイプ211に対して、車両1の前方から見て反時計回りに回動する。同様に、下クロス部材52は、支持部52aを通る中間下軸線を中心として、ヘッドパイプ211に対して、車両1の前方から見て反時計回りに回動する。これにより、上クロス部材51は、下クロス部材52に対して、車体フレーム21に左右方向における左方に移動する。
【0126】
この移動により、上クロス部材51は、支持部51bを通る左上軸線と支持部51cを通る右上軸線を中心として、それぞれ左サイド部材53と右サイド部材54に対して、車両1の前方から見て反時計回りに回動する。同様に、下クロス部材52は、支持部52bを通る左下軸線と支持部52cを通る右下軸線を中心として、それぞれ左サイド部材53と右サイド部材54に対して、車両1の前方から見て反時計回りに回動する。これにより、左サイド部材53と右サイド部材54は、ヘッドパイプ211と平行な姿勢を保ったまま、鉛直方向に対して車両1の左方に傾斜する。
【0127】
このとき、下クロス部材52は、タイロッド659に対して、車体フレーム21の左右方向における左方に移動する。この移動により、中間ジョイント656、左ジョイント657、および右ジョイント658の各前部に設けられた軸部がタイロッド659に対して回動する。これにより、タイロッド659は、上クロス部材51および下クロス部材52と平行な姿勢を保つ。
【0128】
車両1の左方への左サイド部材53の傾斜に伴い、左回動部材を介して左サイド部材53に支持されている左ブラケット63は、車両1の左方に傾斜する。この傾斜に伴い、左ブラケット63に支持されている左緩衝機構61も、車両1の左方に傾斜する。これにより、左緩衝機構61に支持されている左前輪31が、ヘッドパイプ211と平行な姿勢を保ったまま、車両1の左方に傾斜する。
【0129】
車両1の左方への右サイド部材54の傾斜に伴い、右回動部材を介して右サイド部材54に支持されている右ブラケット64は、車両1の左方に傾斜する。この傾斜に伴い、右ブラケット64に支持されている右緩衝機構62も、車両1の左方に傾斜する。これにより、右緩衝機構62に支持されている右前輪32が、ヘッドパイプ211と平行な姿勢を保ったまま、車両1の左方に傾斜する。
【0130】
上記の左前輪31と右前輪32の傾斜動作に係る説明は、鉛直方向を基準としている。しかしながら、車両1の傾斜動作時(リンク機構5の作動時)においては、車体フレーム21の上下方向と鉛直上下方向は一致しない。車体フレーム21の上下方向を基準とした場合、リンク機構5の作動時において、左前輪31と右前輪32は、車体フレーム21の上下方向における相対位置が変化している。換言すると、リンク機構5は、車体フレーム21の上下方向における左前輪31と右前輪32の相対位置を変更することにより、鉛直方向から車両1の左方または右方に車体フレーム21を傾斜させる。
【0131】
運転者が車両1を右方に傾斜させると、各要素は右方に傾斜する。各要素の動きは左右が逆になるのみであるため、詳細な説明は省略する。
【0132】
図6は、車両1を傾斜させ、かつ転舵させた状態における車両1の前部を車体フレーム21の前後方向における前方から見た正面図である。車両1が左方に傾斜した状態で左方に転舵した状態を示している。
図6では、破線で示す車体カバー22を透視した状態が示されている。
【0133】
操舵動作により、左前輪31は左操舵軸線Xを中心として反時計回りに回動され、右前輪32は右操舵軸線Yを中心として反時計回りに回動されている。傾斜動作により、左前輪31と右前輪32は、車体フレーム21とともに車両1の左方に傾斜している。すなわち、この状態においては、リンク機構5は平行四辺形状を呈している。タイロッド659は、車体フレーム21の直立状態における位置から、車体フレーム21の左右方向における左方、かつ車体フレーム21の前後方向における後方に移動している。
【0134】
本出願の発明者は、傾斜可能な車体フレーム21と、当該車体フレーム21の左右方向に並んで配置された2つの前輪3とを備える車両1において、リーディングアーム機構とは異なる方式を採用することにより、車両1の左右方向への車体フレーム21の傾斜可能角度を大きくしつつ、車両1の前部の大型化を抑制できるかを検討した。ここで「車両1の前部」とは、シート23より車体フレーム21の前後方向における前方に位置する車両1の一部を意味する。具体的には、本出願の発明者は、パラレロリンク機構であるリンク機構5の採用を検討した。
【0135】
リンク機構5は、ヘッドパイプ211(リンク支持部の一例)において車体フレーム21に支持されている。上述のように、リンク機構5は、左サイド部材53、右サイド部材54、および上クロス部材51(クロス部材の一例)を備えている。左サイド部材53は、ヘッドパイプ211より車体フレーム21の左右方向における左方に配置されている。左サイド部材53の少なくとも一部は、車体フレーム21の左右方向から車両1を見たとき、車体フレーム21の上下方向における左前輪31の上方に配置されている。右サイド部材54は、ヘッドパイプ211より車体フレーム21の左右方向における右方に配置されている。右サイド部材54の少なくとも一部は、車体フレーム21の左右方向から車両を見たとき、車体フレーム21の上下方向における右前輪32の上方に配置されている。上クロス部材51の左部は、支持部51bにおいて車体フレーム21の前後方向に延びる左上軸線(左回動軸線の一例)を中心として回動可能に、左サイド部材53に支持されている。上クロス部材51の右部は、支持部51cにおいて車体フレーム21の前後方向に延びる右上軸線(右回動軸線の一例)を中心として回動可能に、右サイド部材54に支持されている。上クロス部材51の中間部は、支持部51aにおいて車体フレーム21の前後方向に延びる中間上軸線(中間回動軸線の一例)を中心として回動可能に、ヘッドパイプ211に支持されている。リンク機構5は、中間上軸線を中心とした上クロス部材51の回動に伴って、車体フレーム21の上下方向における左前輪31と右前輪32の相対位置を変化させ、車体フレーム21を車両1の左方または右方に傾斜させる。
【0136】
このリンク機構5においては、左前輪31と右前輪32の車体フレーム21の上下方向への変位を許容する動作を行なう上クロス部材51が、車体フレーム21の左右方向に延びている。また、上クロス部材51の回動に伴って、それぞれ車体フレーム21の上下方向へ逆向きに変位する左サイド部材53と右サイド部材54の少なくとも一部が、車体フレーム21の左右方向から車両1を見たとき、車体フレーム21の上下方向における左前輪31と右前輪32の上方にそれぞれ配置されている。そのため、車体フレーム21の車両1の左右方向への傾斜可能角度を大きくするために車体フレーム21の上下方向におけるリンク機構5の可動範囲が大きくなっても、車体フレーム21の前後方向における車両1の全体寸法が大きくなることを抑制できる。
【0137】
図7は、車両1の全体を車体フレーム21の左右方向における左方から見た左側面図である。
図7において、車体フレーム21は直立状態にある。
図7を参照する以降の説明は、車体フレーム21の直立状態を前提にしている。
図8は、車両1の全体を車体フレーム21の上下方向における上方から見た平面図である。
図8において、車体フレーム21は直立状態にある。
図8を参照する以降の説明は、車体フレーム21の直立状態を前提にしている。
【0138】
図7に示すように、エンジン241と変速部242を有するパワーユニット24は、車体フレーム21の左右方向から見たとき、後輪4の前端より車体フレーム21の前後方向における前方に配置されている。エンジン241と変速部242を有するパワーユニット24は、車体フレーム21の左右方向から見たとき、2つの前輪3の各後端より車体フレーム21の前後方向における後方に配置されている。エンジン241へ供給される空気が通過するエアクリーナ25は、変速部242より車体フレーム21の上下方向における上方に配置されている。エアクリーナ25は、エンジン241のシリンダ部241aの上方に配置されている。
【0139】
図7と
図8に示すように、エアクリーナ25は、パワーユニット24の後端より車体フレーム21の前後方向における前方に配置されている。エアクリーナ25は、運転者が着座するシート23より車体フレーム21の前後方向における前方に配置されている。エアクリーナ25は、変速部242より車体フレーム21の前後方向における前方に配置されている。エアクリーナ25の前端は、エンジン241より車体フレーム21の前後方向における前方に配置されている。エアクリーナ25は、車体フレームの前後方向におけるヘッドパイプ211の後方に配置されている。エアクリーナ25は、車体フレームの前後方向におけるリンク機構5の後方に配置されている。
図8に示すように、エアクリーナ25は、車体フレーム21の左右方向における中央に配置されている。
【0140】
エアクリーナ25は、吸気口251を有している。エアクリーナ25は、複数の吸気口251を有している。吸気口251は、車体フレーム21の前後方向における前方に開口している。
【0141】
図9は、車両1の前部を車体フレーム21の前後方向における前方から見た正面図である。
図9において、車体フレーム21は直立状態にある。
図9を参照する以降の説明は、車体フレーム21の直立状態を前提にしている。
図10は、車両1の前部を車体フレーム21の左右方向における右方から見た右側面図である。
図10において、車体フレーム21は直立状態にある。
図10を参照する以降の説明は、車体フレーム21の直立状態を前提にしている。
図10では、破線で示す車体カバー22を透視した状態が示されている。
【0142】
図7から
図10に示すように、車体カバー22は、導風カバーを有している。導風カバーは、左導風カバー部22L、右導風カバー部22R、および上導風カバー部22Uを含んでいる。すなわち、左導風カバー部22L、右導風カバー部22R、および上導風カバー部22Uは、車体フレーム21に対して変位不能に配置されている。導風カバーは、車体フレーム21の上下方向における上方から車両1を見たときに車体フレーム21の上下方向におけるハンドル651の下方を車体フレーム21の前後方向に横切る部分を有している。導風カバーは、エアクリーナ25へ空気を導く空間を区画している。
【0143】
左導風カバー部22Lの一部、右導風カバー部22Rの一部、および上導風カバー部22Uの一部は、フロントカバー221の一部を構成している。すなわち、左導風カバー部22L、右導風カバー部22R、および上導風カバー部22Uは、リンク機構5より車体フレーム21の前後方向における前方に位置している部分を有している。左導風カバー部22L、右導風カバー部22R、および上導風カバー部22Uは、リンク機構5より車体フレーム21の前後方向における後方に位置している部分を有している。
【0144】
左導風カバー部22Lは、ヘッドパイプ211より車体フレーム21の左右方向における左方に配置されている。右導風カバー部22Rは、ヘッドパイプ211より車体フレーム21の左右方向における右方に配置されている。
図8に示すように、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の上下方向から見たとき、ハンドル651より車体フレーム21の前後方向における後方、かつエアクリーナ25の後端より車体フレーム21の前後方向における前方において、左導風カバー部22Lと右導風カバー部22Rの間隔は、車体フレーム21の前後方向における前方に向かって大きくなっている。
図8に示すように、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の上下方向から見たとき、左導風カバー部22Lと右導風カバー部22Rの間隔は、エアクリーナ25から車体フレーム21の前後方向における前方に向かって大きくなっている。ハンドル651より車体フレーム21の前後方向における前方においては、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の上下方向から見たとき、左導風カバー部22Lと右導風カバー部22Rの間隔は、フロントカバー221の前端に向かって小さくなっている。
【0145】
図9に示すように、上導風カバー部22Uは、上クロス部材51の下端CDより車体フレーム21の上下方向における上方に位置している。
図7に示すように、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の左右方向から見たとき、ハンドル651より車体フレーム21の前後方向における後方、かつエアクリーナ25の後端より車体フレーム21の前後方向における前方において、上導風カバー部22Uは、エアクリーナ25から車体フレームの前後方向における前方へ離れるにつれて、車体フレーム21の上下方向における上方へ延びている。車体フレーム21の上下方向におけるハンドル651の下方においては、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の左右方向から見たとき、上導風カバー部22Uは、車体フレーム21の前後方向とほぼ平行に延びている。ハンドル651より車体フレーム21の前後方向における前方においては、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の左右方向から見たとき、上導風カバー部22Uは、フロントカバー221の前端に向かって、車体フレーム21の上下方向における下方へ延びている。
【0146】
導風カバーの一例としてのフロントカバー221は、開口を有している。開口は、リンク機構5より車体フレーム21の前後方向における前方に配置されている。具体的には、
図9に示すように、開口は、中間開口224、左開口225、および右開口226を含んでいる。すなわち、中間開口224、左開口225、および右開口226は、リンク機構5より車体フレーム21の前後方向における前方に配置されている。中間開口224の少なくとも一部は、車体フレーム21の前後方向におけるヘッドパイプ211の前方に配置されている。左開口225は、中間開口224より車体フレーム21の左右方向における左方に配置されている。右開口226は、中間開口224より車体フレーム21の左右方向における右方に配置されている。走行時に車両1の前部が受ける気流の一部は、中間開口224、左開口225、および右開口226から車体カバー22の内方に進入する。
【0147】
エアクリーナ25は、エンジン241が必要とする量の空気を通過させる必要がある。本出願の発明者は、車体フレーム21の前後方向における前方から車両1を見た場合、上記のように配置されて動作するリンク機構5の可動範囲が大きいため、エアクリーナ25への導風が阻害されると考えた。特に、車体フレーム21の車両1の左右方向への傾斜可能角度が大きいスポーツタイプの車両においては、リンク機構5の可動範囲が大きくなる。そのため、本出願の発明者は、スポーツタイプの車両においては、エアクリーナ25への導風の阻害がより顕著になると考えた。
【0148】
図11は、車体フレーム21を車両1の左右方向に傾斜させる場合における、リンク機構5と車体カバー22の相対変位を説明するための模式図である。
図11においては、車体フレーム21の前後方向における上クロス部材51を含む平面での車体カバー22の断面が破線で示されている。視認性を優先するために、左サイド部材53と右サイド部材54の一部は、図示を省略されている。
図5を参照して説明したように、車体フレーム21が傾けられると、車体フレーム21の上下方向FU、FDは、車両1の上下方向U、Dに対して斜め方向を向く。
図11においては、車体フレーム21の上下方向FU、FDが固定されている。すなわち、
図11においては、リンク機構5が作動しても、車体フレーム21の一部であるヘッドパイプ211、および車体フレーム21に対して変位不能に配置されている車体カバー22の姿勢は、車体フレーム21の前後方向に直交する面内で変化しない。他方、車体フレーム21に対して変位可能に配置されている上クロス部材51、右サイド部材54、および左サイド部材53の姿勢および位置は、車体フレーム21の傾斜に伴って、車体フレーム21の前後方向に直交する面内で変化する。
【0149】
具体的には、実線で示された上クロス部材51、左サイド部材53、右サイド部材54、およびヘッドパイプ211は、車体フレーム21が直立状態にある場合の位置である。この状態における車両1の上下左右方向が
図11の上部中央に示されている。二点鎖線で示された上クロス部材51A、左サイド部材53A、および右サイド部材54Aは、車体フレーム21が車両1の左方に傾けられた場合の位置である。この状態における車両1の上下左右方向および車体フレーム21の上下左右方向の関係が、
図11の左上部に示されている。二点鎖線で示された上クロス部材51B、左サイド部材53B、および右サイド部材54Bは、車体フレーム21が車両1の右方に傾けられた場合の位置である。この状態における車両1の上下左右方向および車体フレーム21の上下左右方向の関係が、
図11の右上部に示されている。
【0150】
図11に示すように、車体フレーム21を車両1の左方に傾斜させる場合、上クロス部材51は、支持部51aを中心に回動する。具体的には、上クロス部材51の左部が車体フレーム21の上下方向の上方に移動し、上クロス部材51の右部が車体フレーム21の上下方向の下方に移動するように、上クロス部材51が回動する。左サイド部材53および上クロス部材51の左部は、車体フレーム21の直立状態における位置より車体フレーム21の上下方向における上方、かつ車体フレーム21の左右方向における左方に変位する。右サイド部材54および上クロス部材51の右部は、車体フレーム21の直立状態における位置より車体フレーム21の上下方向における下方、かつ車体フレーム21の左右方向における右方に変位する。
【0151】
そのため、
図11に符号51A、53A、54Aで示すように、車体フレーム21の前後方向の前方から見たとき、左サイド部材53および上クロス部材51の左部が、車体フレーム21の直立状態での位置から車体フレーム21の上下方向における上方に移動し、右サイド部材54および上クロス部材51の右部が、車体フレーム21の直立状態での位置から車体フレーム21の上下方向における下方に移動する。支持部51aを中心とする上クロス部材51の回動に伴って各部材が変位するため、車体フレーム21の前方から見たとき、車体フレーム21の直立状態における位置からの左サイド部材53および上クロス部材51の左部の上方への移動量と、車体フレーム21の直立状態における位置からの右サイド部材54および上クロス部材51の右部の下方への移動量は、ほぼ等しい。
【0152】
また、車体フレーム21の前後方向の前方から見たとき、左サイド部材53および上クロス部材51の左部が、車体フレーム21の直立状態での位置から車体フレームの左右方向における右方に移動し、右サイド部材54および上クロス部材51の右部は、車体フレーム21の直立状態での位置から車体フレーム21の左右方向における左方に移動する。支持部51aを中心とする上クロス部材51の回動に伴って各部材が変位するため、車体フレーム21の前方から見たとき、車体フレーム21の直立状態における位置からの左サイド部材53および上クロス部材51の左部の右方への移動量と、車体フレーム21の直立状態における位置からの右サイド部材54および上クロス部材51の右部の左方への移動量は、ほぼ等しい。
【0153】
車体フレーム21を車両の右方に傾斜させる場合、上クロス部材51は、ヘッドパイプ211の支持部51aを中心に回動する。具体的には、上クロス部材51の右部が車体フレーム21の上下方向の上方に移動し、上クロス部材51の左部が車体フレーム21の上下方向の下方に移動するように、上クロス部材51が回動する。右サイド部材54および上クロス部材51の右部は、車体フレーム21の直立状態における位置より車体フレーム21の上下方向における上方、かつ車体フレーム21の左右方向における左方に変位する。左サイド部材53および上クロス部材51の左部は、車体フレーム21の直立状態における位置より車体フレーム21の上下方向における下方、かつ車体フレーム21の左右方向における右方に変位する。
【0154】
そのため、
図11に51B、53B、54Bで示すように、車体フレーム21の前後方向の前方から見たとき、右サイド部材54および上クロス部材51の右部が、車体フレーム21の直立状態での位置から上方に移動し、左サイド部材53および上クロス部材51の左部が、車体フレーム21の直立状態での位置から下方に移動する。支持部51aを中心とする上クロス部材51の回動に伴って各部材が変位するため、車体フレーム21の前方から見たとき、車体フレーム21の直立状態における位置からの左サイド部材53および上クロス部材51の左部の下方への移動量と、車体フレーム21の直立状態における位置からの右サイド部材54および上クロス部材51の右部の上方への移動量は、ほぼ等しい。
【0155】
また、車体フレーム21の前後方向の前方から見たとき、左サイド部材53および上クロス部材51の左部が、車体フレーム21の直立状態での位置から右方に移動し、右サイド部材54および上クロス部材51の右部は、車体フレーム21の直立状態での位置から左方に移動する。支持部51aを中心とする上クロス部材51の回動に伴って各部材が変位するため、車体フレーム21の前方から見たとき、車体フレーム21の直立状態における位置からの左サイド部材53および上クロス部材51の左部の右方への移動量と、車体フレーム21の直立状態における位置からの右サイド部材54および上クロス部材51の右部の左方への移動量は、ほぼ等しい。
【0156】
図11における一点鎖線CMRは、上クロス部材51の可動範囲の外縁を示している。
図11における一点鎖線LMRは、リンク機構5の可動範囲の外縁を示している。本実施形態においては、上クロス部材51の下端CDより車体フレーム21の上下方向における下方においては、上クロス部材51の可動範囲CMRとリンク機構5の可動範囲は一致している。
【0157】
上記したリンク機構5の動作に鑑み、本出願の発明者は、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の前後方向における前方から見たとき、上クロス部材51の下端CDより車体フレーム21の上下方向における上方に位置している領域、リンク機構5の左縁LLEより車体フレーム21の左右方向における左方に位置している領域、およびリンク機構5の右縁LREより車体フレーム21の左右方向における右方に位置している領域に着目した。本出願の発明者は、車体フレーム21に対して変位不能に設けられた車体カバー22をこの領域に配置した場合に、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の前後方向における前方から見たとき、車体カバー22によって上クロス部材51の下端CDより車体フレーム21の上下方向における上方に区画される空間、車体カバー22によってリンク機構5の左縁LLEより車体フレーム21の左右方向における左方に区画される空間、および車体カバー22によってリンク機構5の右縁LREより車体フレーム21の左右方向における右方に区画される空間に着目した。
【0158】
図9と
図11に示すように、「リンク機構5の左縁LLE」とは、車体フレーム21の前後方向の前方から見える上クロス部材51、下クロス部材52(
図11においては不図示)、および左サイド部材53の輪郭を意味する。「リンク機構5の右縁LRE」とは、車体フレーム21の前後方向の前方から見える上クロス部材51、下クロス部材52(
図11においては不図示)、および右サイド部材54の輪郭を意味する。
【0159】
車体フレーム21の上下方向における左サイド部材53および上クロス部材51の左部の上方に車体カバー22によって区画される空間、および車体フレーム21の上下方向における右サイド部材54および上クロス部材51の右部の上方に車体カバー22によって区画される空間を例にとって説明する。車体フレーム21を車両1の左方に傾斜させる場合、左サイド部材53および上クロス部材51の左部は、車体フレーム21の直立状態での位置から上方に移動する(符号51A、53A)。そのため、当該直立状態の場合と比較して、車体フレーム21の上下方向における左サイド部材53および上クロス部材51の左部の上方に車体カバー22によって区画される空間は狭くなる。他方、右サイド部材54および上クロス部材51の右部は、車体フレーム21の直立状態での位置から下方に移動する(符号51A、54A)。そのため、車体フレーム21の上下方向における右サイド部材54および上クロス部材51の右部の上方に車体カバー22によって区画される空間は広くなる。符号51B、53B、54Bで示すように、車体フレーム21を車両1の右方に傾斜させる場合は、上記の逆となる。
【0160】
車体フレーム21の左右方向における左サイド部材53および上クロス部材51の左部の左方に車体カバー22によって区画される空間、および車体フレーム21の左右方向における右サイド部材54および上クロス部材51の右部の右方に車体カバー22によって区画される空間を例にとって説明する。車体フレーム21を車両1の左方に傾斜させる場合、左サイド部材53および上クロス部材51の左部は、車体フレーム21の直立状態での位置から右方に移動する(符号51A、53A)。そのため、当該直立状態の場合と比較して、左サイド部材53および上クロス部材51の左部より車体フレーム21の左右方向における左方に車体カバー22によって区画される空間は広くなる。右サイド部材54および上クロス部材51の右部は、車体フレーム21の直立状態での位置から左方に移動する(符号51A、54A)。そのため、当該直立状態の場合と比較して、右サイド部材54および上クロス部材51より車体フレーム21の左右方向における右部の右方に車体カバー22によって区画される空間は広くなる。符号51B、53B、54Bで示すように、車体フレーム21を車両1の右方に傾斜させる場合も同様である。
【0161】
すなわち、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の前後方向における前方から見たとき、上クロス部材51の下端CDより車体フレーム21の上下方向における上方において車体カバー22によって区画されている空間の断面積は、車体フレーム21の傾斜に伴ってリンク機構5の形状が大きく変化しても変化が小さく、ほぼ一定となる。この事実は、車体フレームの車両の左右方向への傾斜可能角度に依らない。また、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の前後方向における前方から見たとき、リンク機構5の左縁LLEより車体フレーム21の左右方向における左方、およびリンク機構5の右縁LREより車体フレーム21の左右方向における右方において車体カバー22によって区画されている空間の断面積は、車体フレーム21の傾斜に伴って大きくなる。この事実も、車体フレーム21の車両1の左右方向への傾斜可能角度に依らない。
【0162】
本出願の発明者は、
図7から
図10に示すように、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の前後方向における前方から見たときに、上クロス部材51の下端CDより車体フレーム21の上下方向における上方、リンク機構5の左縁LLEより車体フレーム21の左右方向における左方、およびリンク機構5の右縁LREより車体フレーム21の左右方向における右方に導風のための空間を区画しつつ、2つの前輪3を回動させるハンドル651の下方を車体フレーム21の上下方向における上方から車両1を見たときに車体フレーム21の前後方向に横切る部分を有するように車体カバー22を設ければ、上記のようなリンク機構5を採用し、車体フレーム21の車両1の左右方向への傾斜可能角度を大きくしても、エアクリーナ25への導風が円滑になされうることに気付いた。すなわち、本出願の発明者は、車体フレーム21の左右方向から車両1を見たとき、リンク機構5の少なくとも一部が2つの前輪3の車体フレーム21の上下方向における上方に配置される場合でも、導風のために車両1の前部が大型化することを抑制できることを見出した。
【0163】
上記に鑑み、
図7から
図11に示すように、本実施形態に係る車両1は、車体フレーム21、左前輪31、右前輪32、後輪4、ハンドル651、リンク機構5、パワーユニット24、エアクリーナ25、および車体カバー22を備えている。
【0164】
車体フレーム21は、左旋回時に車両1の左方へ傾斜し、右旋回時に車両1の右方へ傾斜する。車体フレーム21は、ヘッドパイプ211を有している。
【0165】
左前輪31と右前輪32は、車体フレーム21の左右方向に並んで配置されている。ハンドル651は、左前輪31と右前輪32を回動させる(
図4参照)。
【0166】
図9に示すように、リンク機構5は、上クロス部材51、左サイド部材53、および右サイド部材54を含んでいる。
【0167】
図9に示すように、左サイド部材53は、ヘッドパイプ211より車体フレーム21の左右方向における左方に配置されている。
図7に示すように、左サイド部材53の少なくとも一部は、車体フレーム21の左右方向から車両1を見たとき、車体フレーム21の上下方向における左前輪31の上方に配置されている。
【0168】
図9に示すように、右サイド部材54は、ヘッドパイプ211より車体フレーム21の左右方向における左方に配置されている。
図10に示すように、右サイド部材54の少なくとも一部は、車体フレーム21の左右方向から車両1を見たとき、車体フレーム21の上下方向における右前輪32の上方に配置されている。
【0169】
図9に示すように、上クロス部材51の左部は、車体フレーム21の前後方向に延びる左回動軸線を中心として回動可能に左サイド部材53に支持されている。上クロス部材51の右部は、車体フレーム21の前後方向に延びる右回動軸線を中心として回動可能に右サイド部材54に支持されている。上クロス部材51の中間部は、車体フレーム21の前後方向に延びる中間回動軸線を中心として回動可能にヘッドパイプ211に支持されている。
【0170】
図7に示すように、パワーユニット24は、車体フレーム21の左右方向から車両1を見たとき、後輪4の前端より車体フレーム21の前後方向における前方において車体フレーム21に対して変位不能に配置されている。パワーユニット24は、エンジン241と変速部242を備えている。
【0171】
図7に示すように、エアクリーナ25は、変速部242より車体フレーム21の上下方向における上方において車体フレーム21に対して変位不能に配置されている。エンジン241へ送られる空気は、エアクリーナ25を通過する。
【0172】
車体カバー22は、車体フレーム21に対して変位不能に配置されている。
図11に示すように、車体フレーム21の上下方向における上方から車両1を見たとき、車体カバー22は、車体フレーム21の上下方向におけるハンドル651の下方を車体フレーム21の前後方向に横切る部分を有している。
【0173】
図11に示すように、車体カバー22は、左導風カバー部22L、右導風カバー部22R、および上導風カバー部22Uを有している。左導風カバー部22L、右導風カバー部22R、および上導風カバー部22Uは、エアクリーナ25へ空気を導く空間を区画している。左導風カバー部22L、右導風カバー部22R、および上導風カバー部22Uは、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の前後方向における前方から見たとき、上クロス部材51の下端CDより車体フレーム21の上下方向における上方、リンク機構5の左縁LLEより車体フレーム21の左右方向における左方、およびリンク機構5の右縁LREより車体フレーム21の左右方向に当該空間の少なくとも一部が位置するように配置されている。
【0174】
このような構成によれば、車体フレーム21の車両1の左右方向への傾斜可能角度を大きくしても、リンク機構5の動作によらずエアクリーナ25への導風を容易に行なえる。そのため、導風のために車両1の前部が大型化することを抑制できる。したがって、傾斜可能な車体フレーム21と、車体フレーム21の左右方向に並んで配置された2つの前輪3とを備える車両を提供するにあたり、車体フレーム21の車両1の左右方向への傾斜可能角度を大きくしつつ、車両1の前部の大型化を抑制できる。
【0175】
図11に示すように、左導風カバー部22L、右導風カバー部22R、および上導風カバー部22Uは、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の前後方向における前方から見たとき、上クロス部材51の可動範囲CMRの下端CMRDより車体フレーム21の上下方向における上方、リンク機構5の可動範囲LMRの左端LMRLより車体フレーム21の左右方向における左方、およびリンク機構5の可動範囲LMRの右端LMRRより車体フレーム21の左右方向における右方に、左導風カバー部22L、右導風カバー部22R、および上導風カバー部22Uにより区画される空間の一部が位置するように配置されている。
【0176】
このような構成によれば、車体フレーム21の車両1の左右方向への傾斜可能角度を大きくしても、リンク機構5の動作状態によらず、エアクリーナ25への導風をより容易に行なえる。そのため、導風のために車両1の前部が大型化することをより抑制できる。したがって、車体フレーム21の車両1の左右方向への傾斜可能角度を大きくしつつ、車両1の前部の大型化をより抑制できる。
【0177】
図8、
図9、および
図11に示すように、左導風カバー部22Lと右導風カバー部22Rは、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の上下方向から見たとき、車体フレーム21の左右方向におけるリンク機構5の左方および右方に位置する部分を含んでいる。
【0178】
このような構成によれば、車体フレーム21の左右方向におけるリンク機構5の左方および右方を通過する空気を、エアクリーナ25へより導きやすい。そのため、導風のために車両1の前部が大型化することをより抑制できる。したがって、車体フレーム21の車両1の左右方向への傾斜可能角度を大きくしつつ、車両1の前部の大型化を抑制できる。
【0179】
図7と
図10に示すように、上導風カバー部22Uは、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の左右方向から見たとき、車体フレーム21の上下方向における上クロス部材51の上方に位置する部分を含んでいる。
【0180】
このような構成によれば、車体フレーム21の上下方向における上クロス部材51の上方を通過する空気を、エアクリーナ25へより導きやすい。そのため、導風のために車両1の前部が大型化することをより抑制できる。したがって、車体フレーム21の車両1の左右方向への傾斜可能角度を大きくしつつ、車両1の前部の大型化を抑制できる。
【0181】
図7から
図11に示すように、左導風カバー部22Lの一部、右導風カバー部22Rの一部、および上導風カバー部22Uの一部は、リンク機構5より車体フレーム21の前後方向における前方に位置するフロントカバー221の一部を含んでいる。
【0182】
このような構成によれば、走行時に車両1の前部が受ける気流を、エアクリーナ25へより導きやすい。そのため、導風のために車両1の前部が大型化することをより抑制できる。したがって、車体フレーム21の車両1の左右方向への傾斜可能角度を大きくしつつ、車両1の前部の大型化を抑制できる。
【0183】
図9に示すように、フロントカバー221は、リンク機構5より車体フレーム21の前後方向における前方に配置された中間開口224、左開口225、および右開口226を有している。
【0184】
このような構成によれば、走行時に車両1の前部が受ける気流を、導風カバーとして機能する車体カバー22の内方に区画された空間へ導きやすい。そのため、導風のために車両1の前部が大型化することをより抑制できる。したがって、車体フレーム21の車両1の左右方向への傾斜可能角度を大きくしつつ、車両1の前部の大型化を抑制できる。
【0185】
図8、
図9および
図11に示すように、車体カバー22は、左導風カバー部22Lと右導風カバー部22Rを有している。左導風カバー部22Lは、ヘッドパイプ211より車体フレーム21の左右方向における左方に配置されている。右導風カバー部22Rは、ヘッドパイプ211より車体フレーム21の左右方向における右方に配置されている。車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の上下方向から見たとき、ハンドル651より車体フレーム21の前後方向における後方、かつエアクリーナ25の後端より車体フレーム21の前後方向における前方において、左導風カバー部22Lと右導風カバー部22Rの間隔は、車体フレーム21の前後方向における前方に向かって大きくなっている。
【0186】
このような構成によれば、導風カバーとして機能する車体カバー22の一部により、エアクリーナ25へ空気を導きやすい。そのため、導風のために車両1の前部が大型化することをより抑制できる。したがって、車体フレーム21の車両1の左右方向への傾斜可能角度を大きくしつつ、車両1の前部の大型化を抑制できる。
【0187】
図7から
図11に示すように、車体カバー22は、上クロス部材51の下端CDより車体フレーム21の上下方向における上方に位置する前記空間の一部を区画する上導風カバー部22Uを有している。車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の左右方向から見たとき、ハンドル651より車体フレーム21の前後方向における後方、かつエアクリーナ25の後端より車体フレーム21の前後方向における前方において、上導風カバー部22Uは、エアクリーナ25から車体フレームの前後方向における前方へ離れるにつれて、車体フレーム21の上下方向における上方へ延びている。
【0188】
このような構成によれば、導風カバーとして機能する車体カバー22の一部により、エアクリーナ25へ空気を導きやすい。そのため、導風のために車両1の前部が大型化することをより抑制できる。したがって、車体フレーム21の車両1の左右方向への傾斜可能角度を大きくしつつ、車両1の前部の大型化を抑制できる。
【0189】
図7と
図8に示すように、エアクリーナ25は、運転者が着座するシート23より車体フレーム21の前後方向における前方に配置されている。
【0190】
このような構成によれば、導風カバーとして機能する車体カバー22の一部により導かれる空気がエアクリーナ25へ到達するまでの距離を短くできる。そのため、導風のために車両1の前部が大型化することをより抑制できる。したがって、車体フレーム21の車両1の左右方向への傾斜可能角度を大きくしつつ、車両1の前部の大型化を抑制できる。
【0191】
図7と
図8に示すように、エアクリーナ25は、変速部242より車体フレーム21の前後方向における前方に配置されている。
【0192】
このような構成によれば、導風カバーとして機能する車体カバー22の一部により導かれる空気がエアクリーナ25へ到達するまでの距離を短くできる。そのため、導風のために車両1の前部が大型化することをより抑制できる。したがって、車体フレーム21の車両1の左右方向への傾斜可能角度を大きくしつつ、車両1の前部の大型化を抑制できる。
【0193】
図7に示すように、エアクリーナ25の前端は、エンジン241より車体フレーム21の前後方向における前方に配置されている。
【0194】
このような構成によれば、導風カバーとして機能する車体カバー22の一部により導かれる空気がエアクリーナ25へ到達するまでの距離を短くできる。そのため、導風のために車両1の前部が大型化することをより抑制できる。したがって、車体フレーム21の車両1の左右方向への傾斜可能角度を大きくしつつ、車両1の前部の大型化を抑制できる。
【0195】
図7と
図8に示すように、エアクリーナ25は、車体フレーム21の前後方向における前方に開口した吸気口251を備えている。
【0196】
このような構成によれば、導風カバーとして機能する車体カバー22の一部により、エアクリーナ25へ空気を導きやすい。そのため、導風のために車両1の前部が大型化することをより抑制できる。したがって、車体フレーム21の車両1の左右方向への傾斜可能角度を大きくしつつ、車両1の前部の大型化を抑制できる。
【0197】
上記の実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更・改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは明らかである。
【0198】
上記の実施形態においては、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の前後方向における前方から見たとき、上クロス部材51の下端CDより車体フレーム21の上下方向における上方、リンク機構5の左縁LLEより車体フレーム21の左右方向における左方、およびリンク機構5の右縁LREより車体フレーム21の左右方向の右方に位置し、車体カバー22によって区画されている空間が、エアクリーナ25へ空気を導くために利用されている。しかしながら、エアクリーナ25が所望の機能を発揮できれば、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の前後方向における前方から見たとき、上クロス部材51の下端CDより車体フレーム21の上下方向における上方、リンク機構5の左縁LLEより車体フレーム21の左右方向における左方、およびリンク機構5の右縁LREより車体フレーム21の左右方向における右方に位置している空間の少なくとも1つがエアクリーナ25へ空気を導くために利用される構成が採用されうる。
【0199】
例えば、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の前後方向における前方から見たとき、上クロス部材51の下端CDより車体フレーム21の上下方向における上方、リンク機構5の左縁LLEより車体フレーム21の左右方向における右方、およびリンク機構5の右縁LREより車体フレーム21の左右方向における左方に位置する空間を区画するように車体カバー22が配置されている構成が採用されうる。また、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の前後方向における前方から見たとき、上クロス部材51の下端CDより車体フレーム21の上下方向における下方、リンク機構5の左縁LLEより車体フレーム21の左右方向における左方、およびリンク機構5の右縁LREより車体フレーム21の左右方向における右方に位置する空間を区画するように車体カバー22が配置されている構成が採用されうる。
【0200】
上記の実施形態においては、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の前後方向における前方から見たとき、上クロス部材51の可動範囲CMRの下端CMRDより車体フレーム21の上下方向における上方、リンク機構5の可動範囲LMRの左端LMRLより車体フレーム21の左右方向における左方、およびリンク機構5の可動範囲LMRの右端LMRRより車体フレーム21の左右方向における右方に位置し、車体カバー22により区画されている空間が、エアクリーナ25へ空気を導くために利用されている。しかしながら、エアクリーナ25が所望の機能を発揮できれば、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の前後方向における前方から見たとき、上クロス部材51の可動範囲CMRの下端CMRDより車体フレーム21の上下方向における上方、リンク機構5の可動範囲LMRの左端LMRLより車体フレーム21の左右方向における左方、およびリンク機構5の可動範囲LMRの右端LMRRより車体フレーム21の左右方向における右方に位置している空間の少なくとも1つがエアクリーナ25へ空気を導くために利用される構成が採用されうる。
【0201】
例えば、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の前後方向における前方から見たとき、上クロス部材51の可動範囲CMRの下端CMRDより車体フレーム21の上下方向における上方、リンク機構5の可動範囲LMRの左端LMRLより車体フレーム21の左右方向における右方、およびリンク機構5の可動範囲LMRの右端LMRRより車体フレーム21の左右方向における左方に位置する空間を区画するように車体カバー22が配置されている構成が採用されうる。また、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の前後方向における前方から見たとき、上クロス部材51の可動範囲CMRの下端CMRDより車体フレーム21の上下方向における下方、リンク機構5の可動範囲LMRの左端LMRLより車体フレーム21の左右方向における左方、およびリンク機構5の可動範囲LMRの右端LMRRより車体フレーム21の左右方向における右方に位置する空間を区画するように車体カバー22が配置されている構成が採用されうる。
【0202】
上記の実施形態においては、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の上下方向から見たとき、車体フレーム21の左右方向におけるリンク機構5の左方および右方に位置する車体カバー22の一部が、エアクリーナ25へ空気を導くために利用されている。しかしながら、エアクリーナ25が所望の機能を発揮できれば、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の上下方向から見たとき、車体フレーム21の左右方向におけるリンク機構5の左方と右方のいずれか一方に位置する車体カバー22の一部が、エアクリーナ25へ空気を導くために利用される構成が採用されうる。
【0203】
上記の実施形態においては、左導風カバー部22L、右導風カバー部22R、および上導風カバー部22Uが、車体フレーム21の左右方向におけるリンク機構5の左方および右方、車体フレーム21の上下方向におけるリンク機構5の上方、および車体フレーム21の前後方向におけるリンク機構5の前方を覆うように形成されている。しかしながら、左導風カバー部22L、右導風カバー部22R、および上導風カバー部22Uは、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の前後方向における前方から見たとき、上クロス部材51の下端CDより車体フレーム21の上下方向における上方、リンク機構5の左縁LLEより車体フレーム21の左右方向における左方、およびリンク機構5の右縁LREより車体フレーム21の左右方向の右方に位置している空間の少なくとも1つがエアクリーナ25へ空気を導くために区画されていれば、車体フレーム21の前後方向におけるリンク機構5の前方を覆うように形成されていなくてもよい。
【0204】
例えば、車体フレーム21の左右方向から見たとき、左導風カバー部22L、右導風カバー部22R、および上導風カバー部22Uの少なくとも1つの前端が、リンク機構5より車体フレーム21の前後方向における後方に位置するよう形成されていてもよい。
図10に示す二点鎖線CVFは、そのように形成された車体カバー22の前端を表している。また、左導風カバー部22L、右導風カバー部22R、および上導風カバー部22Uの少なくとも1つの前端の一部が、リンク機構5より車体フレーム21の前後方向における後方に位置するよう形成されていてもよい。
【0205】
上記の実施形態においては、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の上下方向から見たとき、ハンドル651より車体フレーム21の前後方向における後方、かつエアクリーナ25の後端より車体フレーム21の前後方向における前方において、左導風カバー部22Lと右導風カバー部22Rの間隔は、車体フレーム21の前後方向における前方に向かって大きくなっている。ハンドル651より車体フレーム21の前後方向における前方においては、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の上下方向から見たとき、左導風カバー部22Lと右導風カバー部22Rの間隔は、フロントカバー221の前端に向かって小さくなっている。しかしながら、エアクリーナ25へ所望量の空気を導くことができれば、左導風カバー部22Lと右導風カバー部22Rの形状は適宜に定められうる。
【0206】
例えば、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の上下方向から見たとき、ハンドル651より車体フレーム21の前後方向における後方、かつエアクリーナ25の後端より車体フレーム21の前後方向における前方において、左導風カバー部22Lと右導風カバー部22Rの間隔が、車体フレーム21の前後方向における前方に向かって小さくなる部分や、間隔が一定の部分を有する構成が採用されうる。また、ハンドル651より車体フレーム21の前後方向における前方においては、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の上下方向から見たとき、左導風カバー部22Lと右導風カバー部22Rの間隔が、フロントカバー221の前端に向かって大きくなる部分や、間隔が一定の部分を有する構成が採用されうる。
【0207】
上記の実施形態においては、ハンドル651より車体フレーム21の前後方向における後方、かつエアクリーナ25の後端より車体フレーム21の前後方向における前方においては、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の左右方向から見たとき、上導風カバー部22Uは、エアクリーナ25から車体フレーム21の前後方向における前方へ離れるにつれて、車体フレーム21の上下方向における上方へ延びている。車体フレーム21の上下方向におけるハンドル651の下方においては、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の左右方向から見たとき、上導風カバー部22Uは、車体フレーム21の前後方向とほぼ平行に延びている。ハンドル651より車体フレーム21の前後方向における前方においては、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の左右方向から見たとき、上導風カバー部22Uは、フロントカバー221の前端に向かって、車体フレーム21の上下方向における下方へ延びている。しかしながら、エアクリーナ25へ所望量の空気を導くことができれば、左導風カバー部22Lと右導風カバー部22Rの形状は適宜に定められうる。
【0208】
例えば、ハンドル651より車体フレーム21の前後方向における後方、かつエアクリーナ25の後端より車体フレーム21の前後方向における前方においては、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の左右方向から見たとき、上導風カバー部22Uは、エアクリーナ25から車体フレーム21の前後方向における前方へ離れるにつれて、車体フレーム21の前後方向とほぼ平行に延びる部分や、車体フレーム21の上下方向における下方に向かって延びる部分を有する構成が採用されうる。車体フレーム21の上下方向におけるハンドル651の下方においては、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の左右方向から見たとき、上導風カバー部22Uは、車体フレーム21の上下方向における上方あるいは下方に向かって延びる部分を有する構成が採用されうる。ハンドル651より車体フレーム21の前後方向における前方においては、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の左右方向から見たとき、上導風カバー部22Uは、フロントカバー221の前端に向かって、車体フレーム21の前後方向とほぼ平行に延びる部分や、車体フレーム21の上下方向における上方に向かって延びる部分を有する構成が採用されうる。
【0209】
上記の実施形態においては、中間開口224、左開口225、および右開口226がフロントカバー221に形成されている。しかしながら、エアクリーナ25へ空気を導くために車体カバー22の内方に区画された空間へ空気を流入させることができれば、開口の数、形状、および配置は適宜に定められうる。但し、開口の形状と配置は、車体フレーム21の直立状態における車両1を車体フレーム21の前後方向における前方から見たとき、中間操舵軸線Zについて左右対称である構成が好ましい。
【0210】
上記の実施形態においては、エアクリーナ25は、複数の吸気口251を備えている。しかしながら、エアクリーナ25が所望の機能を発揮できれば、吸気口251の数は1つでもよい。
【0211】
上記の実施形態においては、吸気口251は、車体フレーム21の前後方向における前方に開口されている。しかしながら、エアクリーナ25が所望の機能を発揮できれば、吸気口251の向きは適宜に定められうる。例えば、吸気口251は、エアクリーナ25の上面に設けられ、車体フレーム21の前後方向における後方に開口されていてもよいし、車体フレーム21の左右方向における左方または右方に開口されていてもよい。吸気口251は、エアクリーナ25の右側面または左側面に設けられ、車体フレーム21の上下方向における上方または下方に開口されていてもよいし、車体フレーム21の左右方向における左方または右方に開口されていてもよい。吸気口251は、エアクリーナ25の下面に設けられ、車体フレーム21の前後方向における前方または後方に開口されていてもよいし、車体フレーム21の左右方向における左方または右方に開口されていてもよいし、車体フレーム21の上下方向における下方を向いていてもよい。複数の吸気口251が設けられる場合、当該複数の吸気口251が開口される向きは、同じでもよいし異なっていてもよい。
【0212】
上記の実施形態においては、左緩衝機構61と右緩衝機構62は、それぞれ一対のテレスコピック機構を備えている。しかしながら、車両1の仕様に応じて、左緩衝機構61と右緩衝機構62がそれぞれ備えるテレスコピック機構の数は、1つであってもよい。また、車両1の仕様に応じて、ボトムリンク機構などが左緩衝機構61と右緩衝機構62に採用されうる。
【0213】
上記の実施形態においては、車両1は、1つの後輪4を備えている。しかしながら、後輪の数は、複数でもよい。
【0214】
上記の実施形態においては、後輪4の車体フレーム21の左右方向における中央は、車体フレーム21の左右方向における左前輪31と右前輪32の間隔の中央と一致している。このような構成が好ましいものの、後輪4の車体フレーム21の左右方向における中央は、車体フレーム21の左右方向における左前輪31と右前輪32の間隔の中央と一致していなくてもよい。
【0215】
上記の実施形態においては、リンク機構5は、上クロス部材51と下クロス部材52を備えている。しかしながら、リンク機構5は、クロス部材の一例として、上クロス部材51または下クロス部材52のみを備えている構成が採用されうる。その場合、「クロス部材の下端CDは、リンク機構5が備えている少なくとも1つのクロス部材について定義される。また、上クロス部材51と下クロス部材52以外のクロス部材を備えている構成が採用されうる。「上クロス部材」と「下クロス部材」は、相対的な上下関係に基づいて命名しているに過ぎない。上クロス部材は、リンク機構5における最上位のクロス部材を意味していない。上クロス部材は、それより下方の別のクロス部材より上方にあるクロス部材を意味する。下クロス部材は、リンク機構5における最下位のクロス部材を意味していない。下クロス部材は、それより上方の別のクロス部材より下方にあるクロス部材を意味する。
【0216】
上記の実施形態においては、上クロス部材51が単一の板状部材であり、下クロス部材52が前板状部材521と後板状部材522を含んでいる。しかしながら、上クロス部材51が前板状部材と後板状部材を含んでいる構成が採用されうる。また、下クロス部材52が単一の板状部材からなる構成が採用されうる。上クロス部材51と下クロス部材52の少なくとも一方は、ヘッドパイプ211と左サイド部材53に支持される左板状部材、およびヘッドパイプ211と右サイド部材54に支持される右板状部材を含んでいる構成が採用されうる。
【0217】
上記の実施形態において、ハンドル651は、車体フレームの左右方向に延びる単一の部材で構成されている。しかしながら、ハンドル651は、左前輪31および右前輪32を回動させる操舵力の入力が可能であれば、運転者の左手により操作される左ハンドル部と運転者の右手により操作される右ハンドル部が別体として設けられている構成が採用されうる。
【0218】
上記の実施形態においては、リンク機構5は、リンク支持部の一例としてのヘッドパイプ211に支持されている。しかしながら、ステアリングシャフト652を支持するヘッドパイプ211以外の車体フレーム21の一部にリンク機構5が支持されている構成が採用されうる。
【0219】
上記の実施形態においては、操舵機構6は、ハンドル651、ステアリングシャフト652、中間伝達プレート653、左伝達プレート654、右伝達プレート655、中間ジョイント656、左ジョイント657、右ジョイント658、およびタイロッド659を含んでいる。しかしながら、ハンドル651から入力された操舵力をタイロッド69を経由して左前輪31と右前輪32に伝達できれば、中間伝達プレート653、左伝達プレート654、右伝達プレート655、中間ジョイント656、左ジョイント657、および右ジョイント658は、ユニバーサルジョイントなどの適宜の機構で置き換えられうる。
【0220】
本明細書で用いられた用語および表現は、説明のために用いられたものであって、限定的に解釈するために用いられたものではない。本明細書に示され、かつ述べられた特徴事項のいかなる均等物をも排除するものではなく、本発明のクレームされた範囲内における各種変形をも許容するものであると認識されねばならない。
【0221】
本明細書で用いられている「平行」という語は、±40°の範囲で傾斜するが、部材としては交わらない2つの直線も含む意味である。本明細書において方向や部材に関して用いられている「沿う」という語は、±40°の範囲で傾斜する場合も含む意味である。本明細書で用いられている「方向に延びる」という語は、当該方向に対して±40°の範囲で傾斜する場合も含む意味である。
【0222】
本明細書において、ある部品あるいは部材が、「車体フレーム21に対して変位不能に配置されている」と説明されている場合、車体フレーム21が車両1の左右方向に傾斜したときに、当該部品あるいは部材が車体フレーム21とともに車両1の左右方向に傾斜することを意味する。本明細書において用いられている「車体フレーム21に対して変位不能に配置されている」という表現は、ある部品あるいは部材が車体フレーム21に直接固定されているものだけでなく、車体フレーム21に固定された車両部品(燃料タンク、ブラケット、パワーユニット24など)に固定されるものを含む。ここで、「固定」とは、防振部材などを介して固定することを含む。
【0223】
本発明は、多くの異なった形態で具現化され得るものである。本明細書は、本発明の原理の実施形態を提供するものと見なされるべきである。本明細書において記載と図示の少なくとも一方がなされた好ましい実施形態は、当該実施形態に本発明が限定されることを意図するものではないという了解に基づいている。
【0224】
本発明は、本明細書に開示された実施形態例に基づいて当業者によって認識されうる、均等な要素、修正、削除、組み合わせ(例えば、各種実施形態に跨る特徴の組み合わせ)、改良、変更を含むあらゆる実施形態も包含する。クレームの限定事項はそのクレームで用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施形態に限定されるべきではない。そのような実施形態は非排他的であると解釈されるべきである。例えば、本明細書において、「好ましくは」、「よい」という用語は非排他的なものであって、「好ましいがこれに限定されるものではない」「よいがこれに限定されるものではない」ということを意味する。
【0225】
本出願の記載の一部を構成するものとして、2014年9月29日に提出された日本国特許出願2014−199003の内容が援用される。
車体フレーム(21)に対して変位不能に設けられた車体カバー(22)の一部は、エアクリーナへ空気を導く空間を区画している。当該空間の少なくとも一部は、車体フレーム(21)の直立状態における車両を車体フレーム(21)の前後方向における前方から見たとき、上クロス部材(51)の下端(CD)より車体フレーム(21)の上下方向における上方、リンク機構(5)の左縁(LLE)より車体フレーム(21)の左右方向における左方、およびリンク機構(5)の右縁(LRE)より車体フレーム(21)の左右方向における右方の少なくとも1つに位置している。