(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記モータ駆動装置および前記上位装置の少なくとも一方は、前記故障情報伝達装置から伝達される前記故障識別信号の種類に応じた光信号を出力する光信号出力部を備える、請求項8に記載のモータ装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。本実施の形態におけるモータ装置は、モータと、モータ駆動装置とを備えている。モータ駆動装置は、異常状態を検出する異常検出回路を備える。モータ駆動装置は、駆動制御部を備える。尚、本実施の形態では、駆動制御部が故障情報伝達手段を含む例として、説明する。
【0020】
駆動制御部は、モータまたはモータ駆動装置が故障したとき、異常検出回路から入力されるモータまたはモータ駆動装置の故障情報の種類に応じて、波形の波の個数、あるいは、波形の休止期間の少なくともどちらが異なる、休止期間を有する非正弦波形からなる故障識別信号を上位装置に送信する。
【0021】
このような故障識別信号を送信することで、上位装置における複雑な変換回路が不要となる。また、故障情報を容易に、かつ正確に識別できるという効果がある。
【0023】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るモータ駆動システム60の回路構成を示すブロック図である。
【0024】
図1に示すように、モータ駆動システム60は、モータ装置40と、モータ装置40を制御する上位装置50とを備える。また、モータ装置40は、モータ30と、モータ30を駆動制御するモータ駆動装置20とを備える。
【0025】
モータ駆動装置20は、モータ30に電力を供給して駆動するモータ駆動回路11(例えば、インバータ回路)と、モータ駆動回路11を制御する駆動制御部10と、複数の異常検出回路とを備える。ここに複数の異常検出回路は、電源電圧検出回路12、電流検出回路13、回転位置検出回路14(例えば、位置センサおよび検出信号の補正回路などを含む。)、および温度検出回路15を含んでいる。駆動制御部10は、故障情報伝達手段を含んでおり、複数の異常検出回路のいずれかから入力される検出信号に基づき特定された故障情報の種類に応じた故障識別信号3aを出力する。
【0026】
電源電圧検出回路12は、モータ駆動回路11に供給される電源電圧を検出する回路である。電流検出回路13は、モータ30に流れる駆動電流を検出する回路である。回転位置検出回路14は、モータ30の回転位置を検出する回路である。温度検出回路15は、モータ駆動装置20の周囲温度を検出する回路である。
【0027】
駆動制御部10は、モータ駆動回路11に制御信号を出力するモータ制御部1と、回転位置検出回路14からの回転位置信号を入力して、回転数情報を有する回転数信号2aを上位装置50に出力する回転数演算部2と、複数の異常検出回路から検出信号を入力する故障識別信号生成部3(伝達部の一部を構成)とを備える。故障識別信号生成部3は、検出信号を、検出信号に基づき特定された故障情報の種類に応じた故障識別信号3aに変換して出力する。
【0028】
図2は、故障情報と故障識別信号3aとの対応を示すエラーコード表の一例を示す図である。
【0029】
ここでは「01」〜「06」のエラーコードのそれぞれに対して、故障情報と、パルス数とが対応付けられている。
【0030】
例えば、モータ30およびモータ駆動装置20の少なくとも一方が故障したとき、複数の異常検出回路のいずれかより故障の種類に応じた検出信号が出力される。故障識別信号生成部3は、異常検出回路からの検出信号を入力して、故障の種類に応じたエラーコードを割り当てる。故障識別信号生成部3は、エラーコードを、故障情報の種類に応じた故障識別信号3aである単数または複数のパルスに変換して出力する。
【0031】
図2のエラーコード表は、故障識別信号生成部3内のメモリに記憶される(より詳しくは、故障識別信号生成部3は、
図2に示したエラーコード表に対応する変換テーブルを記憶している)。記憶されたエラーコード表に基づいて、故障識別信号生成部3内のコンピュータ(CPU)は、エラーコードをパルス数に変換する。
【0032】
エラーコード01は、駆動回路の故障を意味するコードであり、パルス数=1が対応付けられている。エラーコード02は、モータのロック状態を意味するコードであり、パルス数=2が対応付けられている。エラーコード03は、過電流・過負荷を意味するコードであり、パルス数=3が対応付けられている。エラーコード04は、温度異常を意味するコードであり、パルス数=4が対応付けられている。エラーコード05は、電源電圧不足を意味するコードであり、パルス数=5が対応付けられている。エラーコード06は、電源電圧超過を意味するコードであり、パルス数=6が対応付けられている。
【0033】
モータ30またはモータ駆動装置20が故障したとき、故障識別信号生成部3には、複数の異常検出回路のいずれかから異常状態を示す検出信号(エラーコード)が入力される。故障識別信号生成部3は、異常状態を示す検出信号に基づき、変換テーブルを用いて故障情報に応じた故障識別信号3a(
図1)を上位装置50に送信する。
【0034】
本実施の形態では、故障識別信号3aは、モータ30の回転数信号2aを送信する通信回線L(
図1)を利用して上位装置50に送信される。すなわち、同じ通信回線Lを介して、モータ30が正常に回転している時にはモータ30の回転数信号2aが、モータ30またはモータ駆動装置20の故障によりモータ30が回転を停止している時には故障識別信号3aが、上位装置50に送信される。本実施の形態では、故障識別信号生成部3と通信回線Lとが故障識別信号3aを伝達する伝達部の役割を担う。
【0035】
図3は、故障識別信号の波形の具体例を説明する波形図である。
【0036】
図3においては、
図2のうち、エラーコード01〜03に対応して出力される故障識別信号3aとしてのパルスを示している。なお、エラーコード04〜06に対応して出力されるパルスについては図示を省略している。故障識別信号3aとしてのパルスも、モータの回転数信号2aとしてのパルスも、通信回線L(
図1)により伝送される。
【0037】
図3において、横軸は時間tの流れを示しており、各時刻において出力されるパルスが示されている。時刻0〜時刻T1までは故障がない状態を示している。この時間において回転数演算部2は、回転位置検出回路14からの回転位置信号を入力し、回転数信号2aを上位装置50に出力している。回転数信号2aは、モータ30が所定角度回転したときに出力されるパルス信号である。
【0038】
時刻T1においてモータ30またはモータ駆動装置20の故障が発生すると、故障識別信号生成部3には、複数の異常検出回路のいずれかから異常状態を示す検出信号(エラーコード)が入力される。故障識別信号生成部3は、異常状態を示す検出信号に基づき、変換テーブルを用いて故障情報に応じた故障識別信号3aを上位装置50に送信する。なお、故障時にモータ30が停止した時点で、回転位置検出回路14からの信号出力が停止し、これにあわせて回転数演算部2は、回転数信号2aの出力を停止している(あるいは、モータ30またはモータ駆動装置20の故障が発生したとき、故障識別信号生成部3が回転数演算部2からの回転数信号2aの出力を停止させてもよい)。
【0039】
図2のように、エラーコードに応じて出力するパルス数が決められている。時刻T1から5秒経過した後に、発生した故障に対応する数のパルスが送信される。
【0040】
図3(1)に示される「エラーコード01」は、駆動回路の故障状態であることを示し(
図2)、電流検出回路13で検出される故障である。
【0041】
エラーコード01の故障が発生した場合、回転数信号2aの出力が停止された後、所定の信号停止期間(
図3では5秒)を設けて、パルス数が1個のパルス信号(矩形波信号;
図3ではオン時間が1秒)からなる故障識別信号3aが出力される。パルス数が1個のパルス信号は、所定の休止期間(
図3では5秒)をおいて繰り返し出力される。故障識別信号3aの休止期間(
図3では5秒)は、回転数信号2aの周波数に対して十分に長く設定されている。このため、故障識別信号3aと回転数信号2aとは上位装置50において容易に区別することが可能である。
【0042】
図3(2)に示される「エラーコード02」は、モータ30のロック状態であることを示し(
図2)、回転位置検出回路14で検出される故障である。
【0043】
エラーコード02の故障が発生した場合、回転数信号2aの出力が停止された後、所定の信号停止期間(
図3では5秒)を設けて、パルス数が2個のパルス信号(
図3ではオン時間およびオン間隔が1秒)からなる故障識別信号3aが出力される。パルス数が2個のパルス信号は、所定の休止期間(
図3では5秒)をおいて繰り返し出力される。
【0044】
図3(3)に示される「エラーコード03」は、過電流あるいは過負荷状態であることを示し(
図2)、電流検出回路13で検出される故障である。
【0045】
エラーコード03の故障が発生した場合、回転数信号2aの出力が停止された後、所定の信号停止期間(
図3では5秒)を設けて、パルス数が3個のパルス信号(
図3ではオン時間およびオン間隔が1秒)からなる故障識別信号3aが出力される。パルス数が3個のパルス信号は、所定の休止期間(
図3では5秒)をおいて繰り返し出力される。
【0046】
以下、図示はしないが「エラーコード04」は、温度異常の状態であることを示し(
図2)、温度検出回路15で検出される故障である。エラーコード04の故障が発生した場合、回転数信号2aの出力が停止された後、所定の信号停止期間(例えば上記と同様に5秒)を設けて、パルス数が4個のパルス信号(例えば上記と同様に、オン時間およびオン間隔が1秒)からなる故障識別信号3aが出力される。パルス数が4個のパルス信号は、所定の休止期間(例えば上記と同様に5秒)をおいて繰り返し出力される。
【0047】
「エラーコード05」、「エラーコード06」は、それぞれ、電源電圧不足、電源電圧超過の状態であることを示し(
図2)、どちらも電源電圧検出回路12で検出される故障である。この故障が発生した場合、回転数信号2aの出力が停止された後、所定の停止期間(例えば上記と同様に5秒)を設けて、パルス数がそれぞれ5個、6個のパルス信号(例えば上記と同様に、オン時間およびオン間隔が1秒)からなる故障識別信号3aが出力される。パルス数が5個、6個のパルス信号は、所定の休止期間(例えば上記と同様に5秒)をおいて繰り返し出力される。
【0048】
なお、信号停止期間、パルスのオン時間、パルス間隔、休止期間は
図2および3に示されるものに限定されない。
【0049】
また、故障識別信号3aの送信に利用する通信回線Lは、回転数情報(回転数信号2a)を送信する既存の通信回線に限定されるものではない。例えば、モータの角度情報などを送信する通信回線を用いてもよい。
【0050】
以上のように本実施の形態によると、故障情報を識別するための故障識別信号3aとして、パルスの数が異なる複数種類のパルス信号を用いている。このため、上位装置50はカウンタ回路などの簡易な回路を備えれば、故障の種類(診断項目)を特定することができる。すなわち従来の技術のように、周波数から復調するといった変換が不要となるため、容易にかつ正確に故障情報を識別できる。
【0051】
さらに、故障識別信号3aを送信する通信回線として、既存の通信回線を利用することで、新たに通信回線を用意する必要が無く、簡易な回路構成とすることができる。
【0053】
以下、本発明の第2の実施の形態におけるモータ駆動システム60が第1の実施の形態と異なる点について説明する。
【0054】
図4は、第2の実施の形態における故障情報と故障識別信号3aとの対応を示すエラーコード表の一例を示す図である。
【0055】
ここでは「01A」〜「06A」のエラーコードのそれぞれに対して、故障情報と、パルスの休止時間とが対応付けられている。「01A」〜「06A」のエラーコードのそれぞれが示す故障は、
図2の「01」〜「06」のエラーコードのそれぞれが示す故障と同じである。
【0056】
モータ30およびモータ駆動装置20の少なくとも一方が故障したとき、複数の異常検出回路のいずれかより故障の種類に応じた検出信号が出力され、故障識別信号生成部3は、異常検出回路からの検出信号を入力して、故障の種類に応じたエラーコードを割り当てる点は第1の実施の形態と同じである。故障識別信号生成部3は、エラーコードを、故障情報の種類に応じた故障識別信号3aであるパルスに変換して出力する。
【0057】
図5は、第2の実施の形態における故障識別信号の波形の具体例を説明する波形図である。
【0058】
図5においては、
図4のうち、エラーコード01A〜03Aに対応して出力される故障識別信号3aとしてのパルスを示している。なお、エラーコード04A〜06Aに対応して出力されるパルスについては図示を省略している。故障識別信号3aとしてのパルスも、モータの回転数信号2aとしてのパルスも、通信回線L(
図1)により伝送される。
【0059】
図4のように、エラーコードに応じて出力するパルスの休止期間が決められている。時刻T1(故障が生じたとき)から信号停止期間である5秒が経過した後に、発生した故障に対応する休止期間を有するパルスが送信される。
【0060】
例えば
図5(1)に示されるように、エラーコード01Aの故障が発生した場合、回転数信号2aの出力が停止された後、所定の信号停止期間(
図5では5秒)を設けて、パルス数が2個のパルス信号(
図5ではオン時間およびオン間隔が1秒)からなる故障識別信号3aが出力される。パルス数が2個のパルス信号は、所定の休止期間(
図4に示されるように5秒)をおいて繰り返し出力される。
【0061】
図5(2)、(3)に示されるように、「エラーコード02A」、「エラーコード03A」の故障が発生したときにも、回転数信号2aの出力が停止された後、所定の信号停止期間(
図5では5秒)を設けて、パルス数が2個のパルス信号(
図5ではオン時間およびオン間隔が1秒)からなる故障識別信号3aが出力される。但し、パルス数が2個のパルス信号は、
図4に示されるように6秒または7秒の休止期間をおいて繰り返し出力される。
【0062】
なお、信号停止期間、パルスのオン時間、パルス間隔、休止期間は
図4および5に示されるものに限定されない。
【0063】
本実施の形態においても上位装置50では、パルスの休止期間を測定することで故障の種類を特定することができ、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0065】
以下、本発明の第3の実施の形態におけるモータ駆動システムが第1または第2の実施の形態と異なる点について説明する。第3の実施の形態においては、駆動制御部は、故障識別信号などを保存可能な記憶部をさらに備える。モータが故障したときに駆動制御部は、故障識別信号などを記憶部に保存するとともに、モータが故障状態で電源遮断となったときは、モータの再起動時に、記憶部に保存された故障識別信号を上位装置に送信する。
【0066】
図6は、本発明の第3の実施の形態に係るモータ駆動システム61の回路構成を示すブロック図である。
【0067】
本実施の形態のモータ駆動システム61は、駆動制御部10a内に、故障識別信号3a(これに代えて、エラーコードや故障情報でもよい。)を記憶する記憶部4をさらに備える点で、第1の実施の形態と異なっている。
【0068】
モータ30またはモータ駆動装置20が故障したとき、故障情報に応じた故障識別信号3aが記憶部4に保存される。これにより、モータ30またはモータ駆動装置20が故障状態で電源が遮断されたときは、モータ30またはモータ駆動システム61の再起動時に、記憶部4に保存された故障識別信号3aを上位装置50に送信することが可能となる。
【0069】
なお、エラーコードや故障情報を記憶部4に記憶させる場合には、故障識別信号生成部3は再起動時に、記憶部4に保存されたエラーコードや故障情報から、それに対応する故障識別信号3aを生成し、上位装置50に送信する。
【0070】
このような記憶部4を設ける構成は、上述の第1および第2の実施の形態のモータ駆動システムのいずれにおいても適用可能である。
【0071】
本実施の形態においては、上述の第1および第2の実施の形態の効果に加えて、故障識別信号3aなどが記憶部4で記憶されるため、電源が遮断された後でも、モータの再起動時に、直ちに故障識別信号3aを上位装置50に送信することができる。このため、迅速な故障診断が可能となる。
【0073】
以下、本発明の第4の実施の形態におけるモータ駆動システムが第1〜第3の実施の形態と異なる点について説明する。
【0074】
図7は、本発明の第4の実施の形態に係るモータ駆動システム62の回路構成を示すブロック図である。
【0075】
本実施の形態におけるモータ駆動システム62では、上位装置50aが光信号出力部(本例ではLED)51を備えている。光信号出力部51は、故障の種類に応じた故障識別信号3aを受信し、それを光信号として出力する。すなわち光信号出力部51は、モータ駆動装置20から送信される故障識別信号の種類に応じた光信号を出力し、その光の出力状態からモータの故障情報を識別可能とする。光信号出力部51の光の出力状態から、(例えばユーザやオペレータなどは)モータの故障情報を識別可能となる。
【0076】
なお、光信号出力部51はLEDに限定されるものではなく、電球などであってもよい。
【0077】
また本実施の形態では、光信号出力部51は上位装置50aが備えることとしたが、モータ装置40に備えさせていてもよい。または、上位装置50aとモータ装置40の両方が光信号出力部51を備えていてもよい。
【0078】
このような光信号出力部51を設ける構成は、上述の第1〜第3の実施の形態のモータ駆動システムのいずれにおいても適用可能である。
【0079】
本実施の形態においては、上述の第1〜第3の実施の形態の効果に加えて、上位装置50a側では光信号出力部51(LEDなど)を接続しておくだけで、その点滅状態から目視にて簡易的に故障情報を識別できる。このため、特別な変換回路を用意する必要がないため、コストの低減を図ることができる。
【0081】
上記の実施の形態では、故障情報伝達手段が駆動制御部10,10aに含まれる構成として説明したが、故障情報伝達手段は、必ずしも駆動制御部10,10aに含まれる必要はなく、例えば、モータ駆動装置20とは別の構成として、故障情報伝達装置を設けるようにしてもよい。この場合、故障情報伝達装置は、複数の異常検出回路からの検出信号を入力して故障情報識別信号を出力する故障識別信号生成部を含むものとし、上記の実施の形態と同様に、通信回線Lを利用して上位装置50に送信するようにすればよい。
【0082】
通信回線の数は増えるが、故障識別信号3aの通信回線としては、上述の通り既存の通信回線を利用せず、専用の回線を用意してもよい。
【0083】
また、故障種別に応じた故障識別信号3aを、パルス数および休止期間の両方が異なるパルス信号(すなわち第1および第2の実施の形態の両方の特徴を有する信号)としてもよい。
【0084】
第1の実施の形態において、故障識別信号3aは休止期間を置いて繰り返し出力されることとしたが、必ずしも繰り返し出力される必要はなく、1回だけ故障の種類に応じたパルス数の異なるパルス信号を出力してもよい。
【0085】
故障識別信号3aの波形は、上述の実施の形態で示したパルス信号の波形(矩形波信号)に限定されない。三角波、鋸波状など、他の非連続の(休止期間を有する)非正弦波形信号であってもよい。
【0086】
異常検出回路は、モータの回転位置を検出する回転位置検出回路、モータ駆動回路に供給される電源電圧を検出する電源電圧検出回路、モータに流れる駆動電流を検出する電流検出回路、あるいは、モータ駆動装置の周囲温度を検出する温度検出回路の少なくともいずれか1つを含むことが望ましい。但し、異常検出回路は上記の実施の形態に記載の回路に限定されない。また、1つの異常検出回路が故障識別信号生成部3に接続されていれば、本発明を実施することができる。さらに上述の異常検出回路以外に、他の検出回路が接続されてもよい。また、回転位置検出回路14は、位置センサを用いる方式ではなく、センサレス方式(電機子コイルに誘起される逆起電圧を検出する方式)であってもよい。
【0087】
モータ駆動回路11は、駆動制御部10(あるいは10a)に含まれる構成としてもよい。
【0088】
[実施の形態における作用および効果]
【0089】
以上のようにモータ装置は、モータと、モータを駆動制御するモータ駆動装置とを備える。モータ駆動装置は、モータまたはモータ駆動装置が故障したとき、異常状態を検出する異常検出回路から出力されるモータまたはモータ駆動装置の故障情報を入力する。モータ駆動装置は、故障情報の種類に応じて、波形の波の個数、または波形の休止期間の少なくともどちらが異なる、休止期間を有する非正弦波形からなる故障識別信号を上位装置に送信する駆動制御部を備える。
【0090】
このような構成を採用することにより、上位装置における複雑な変換回路が不要となる。また、故障情報を容易に、かつ正確に識別できるという効果がある。
【0091】
また、非正弦波形からなる故障識別信号としてはパルス信号を用いることにより、より故障情報を容易に、かつ正確に識別できるという効果がある。
【0092】
さらに、非正弦波形からなる故障識別信号を、モータの動作状態を送信する通信回線を介して上位装置に送信することで、新たに通信回線を設ける必要が無く、簡易的な回路構成とすることができる。モータの動作状態を送信する通信回線は、モータの回転数情報を送信する通信回線であって、該通信回線を介して、モータが正常に回転している時にはモータの回転数情報を有する信号が、モータが故障により回転を停止している時は故障識別信号が、上位装置に送信されることが望ましい。
【0093】
上述の実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。