(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来より、一般的な車載情報記録装置として、ドライブレコーダやデジタルタコグラフのような車載器が様々な業務用車両などに搭載され利用されている。車両に搭載される一般的なドライブレコーダは、車載カメラで撮影された映像や車両の速度などのデータをメモリカードなどの記録媒体に自動的に記録するものが多い。また、従来より交通事故の発生などのイベントをトリガとして一定時間だけ記録を実行するトリガ記録タイプや、イベントとは無関係に常時記録を実行する常時記録タイプのドライブレコーダが存在している。また、デジタルタコグラフは車両の運行に関する情報、例えば車速、エンジン回転速度、車両位置などを定期的に取得して、これらの時系列データをメモリカードなどの記録媒体に自動的に記録するものが多い。
【0003】
ところで、上記のようなドライブレコーダやデジタルタコグラフにおいては、メモリカードなどの記録媒体がデータの保存先になるので、記録可能なデータの容量が有限である。しかし、記録すべきデータについては、イベントが発生するたびに、あるいは時間の経過に伴って徐々に追加されるので、記録媒体上に空き領域がなくなり、それ以降のデータを保存できない状態になる。
【0004】
従って、容量が小さい記録媒体を利用するドライブレコーダにおいては、記録媒体上でデータを記録可能な空き領域がなくなった場合に、時間的に古い記録データを記録媒体から消去して新たな空き領域を確保したり、古い記録データを上書きするようにデータの書き込みを行うのが一般的である。そのため、長時間のデータを全て記録することはできないし、時間的に古くなったデータを残すこともできない。
【0005】
ドライブレコーダに関する従来技術として、例えば特許文献1に開示された技術が知られている。特許文献1においては、次のような技術を開示している。
(1)ドライブレコーダの車載器が、イベント発生時のデータと、所定周期で取得される運行データと、常時記録データとをそれぞれメモリカードに記録する。
(2)ドライブレコーダの車載器に装着されたメモリカードについて、大容量のメモリカード(SDHC)と低容量のメモリカード(SD)とを自動的に識別する。
(3)メモリカードが未記録の状態では、装着されているメモリカードの種別(SDHC/SD)に応じて記録モード(大容量モード/低容量モード)を自動的に切り替える。また、メモリカードが既に記録済みの場合は、記録されているデータの方式に従って記録モードを選択する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ドライブレコーダ等の車載器においては、1枚の記録媒体の記録容量の上限を超える長時間のデータ記録を可能にするために、複数枚の記録媒体を搭載することが考えられている。例えば、2枚の記録媒体を搭載することにより、記録媒体が1枚だけの場合と比べて記録可能な容量を2倍に増やすことができ、長時間の記録が可能になる。
【0008】
また、特許文献1に開示されているように、容量が異なる複数種類(SD/SDHC)の記録媒体を車載器に接続可能にすることも想定されている。更に、特許文献1に開示されているように、デジタルタコグラフの機能(所定周期で取得される運行データを記録する)をドライブレコーダの車載器に組み込みこれらを一体化することも想定されている。
【0009】
従って、例えばデジタルタコグラフの機能とドライブレコーダの機能とを一体化した車載器に、同時に複数の記録媒体を接続して使用することも想定される。ところが、この場合は車載器が常に複数の記録媒体が接続されることを想定して動作することになり、一方だけしか記録媒体が接続されていない時には全ての記録動作を停止してしまう。
【0010】
しかしながら、デジタルタコグラフによって取得されるデータの用途とドライブレコーダによって取得されるデータの用途とは異なるので、これらの機能は互いに独立して利用できることが望ましい。
【0011】
例えば、デジタルタコグラフが記録したデータを車両を管理する会社の事務所で解析するために1つの記録媒体を車載器から取り外した時であっても、この車載器でドライブレコーダの記録機能を利用できることが望まれる。逆に、ドライブレコーダが記録したデータを事務所で解析するために1つの記録媒体を車載器から取り外した時であっても、この車載器でデジタルタコグラフの記録機能を利用できることが望まれる。
【0012】
但し、一般的には、映像のデータを記録するドライブレコーダは大容量の記録媒体を必要とする。また、ドライブレコーダは低容量の記録媒体であっても利用可能である。従って、それぞれの記録媒体の能力の違いや用途の違いを考慮しなければならない。
【0013】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ドライブレコーダやデジタルタコグラフの複数の記録機能の各々のオンオフを記録媒体を用いて適切に管理することが可能な車載情報記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述した目的を達成するために、本発明に係る車載情報記録装置は、下記(1)〜(4)を特徴としている。
(1) 車両上で車両の運行に関連する情報を取得し所定の記録媒体に記録する機能
として、映像データを常時記録し、及び/又は、過大な加速度検出時を含むイベント時に映像及び車両の運行に関するデータを記録するドライブレコーダの記録機能と、一定の時間間隔で車両の運行に関するデータを取得して時系列データとして記録するデジタルタコグラフの記録機能と、を有する車載情報記録装置であって、
情報の保存先として利用可能な複数の記録媒体をそれぞれ挿抜自在に保持する複数の記録媒体接続部と、
前記複数の記録媒体接続部の各々に接続された記録媒体上に
予め登録されている記録可能種別情報を参照し、該当する記録媒体に
対する前記ドライブレコーダの記録機能及び前記デジタルタコグラフの記録機能の各々の実行可否を前記記録可能種別情報に従って決定する情報記録制御部と
を備えること。
(2)
車両上で車両の運行に関連する情報を取得し所定の記録媒体に記録する機能を有し、情報を記録するタイミング及び記録する情報の種類の少なくとも一方が異なる複数の記録モードを有する車載情報記録装置であって、
情報の保存先として利用可能な複数の記録媒体をそれぞれ挿抜自在に保持する複数の記録媒体接続部と、
前記複数の記録媒体接続部の各々に接続された記録媒体上に割り当てられた記録可能種別情報を参照し、該当する記録媒体における前記複数の記録モードの各々の実行可否を前記記録可能種別情報に従って決定する情報記録制御部と
を備え、
前記記録可能種別情報は、前記複数の記録媒体接続部の中で該当する記録媒体の接続を許容する接続先を特定する情報を含む
こと。
(3)
車両上で車両の運行に関連する情報を取得し所定の記録媒体に記録する機能を有し、情報を記録するタイミング及び記録する情報の種類の少なくとも一方が異なる複数の記録モードを有する車載情報記録装置であって、
情報の保存先として利用可能な複数の記録媒体をそれぞれ挿抜自在に保持する複数の記録媒体接続部と、
前記複数の記録媒体接続部の各々に接続された記録媒体上に割り当てられた記録可能種別情報を参照し、該当する記録媒体における前記複数の記録モードの各々の実行可否を前記記録可能種別情報に従って決定する情報記録制御部と
を備え、
前記複数の記録媒体接続部は、それぞれに割り当てられた車載器側記録可能種別情報を有し、
前記情報記録制御部は、記録媒体接続部に接続された記録媒体上の記録可能種別情報、および該当する記録媒体接続部に割り当てられた車載器側記録可能種別情報に従って、該当する記録媒体における前記複数の記録モードの各々の実行可否を決定する
こと。
(4)
車両上で車両の運行に関連する情報を取得し所定の記録媒体に記録する機能を有し、情報を記録するタイミング及び記録する情報の種類の少なくとも一方が異なる複数の記録モードを有する車載情報記録装置であって、
情報の保存先として利用可能な複数の記録媒体をそれぞれ挿抜自在に保持する複数の記録媒体接続部と、
前記複数の記録媒体接続部の各々に接続された記録媒体上に割り当てられた記録可能種別情報を参照し、該当する記録媒体における前記複数の記録モードの各々の実行可否を前記記録可能種別情報に従って決定する情報記録制御部と
を備え、
前記情報記録制御部は、前記複数の記録媒体接続部の各々に対する記録媒体の接続状況を逐次監視し、接続有無の変化を検出した場合には、最新の接続状態における前記記録可能種別情報に従って、前記複数の記録モードの各々の実行可否の状態を更新する
こと。
【0015】
上記(1)の構成の車載情報記録装置によれば、車載器の記録媒体接続部に接続する各記録媒体に前記記録可能種別情報を登録しておくことにより、車載器の記録モードを自動的に選択し、この記録媒体に記録されるデータを、記録媒体の用途や種類に合わせることが可能になる。また、複数の記録媒体接続部のいずれかから記録媒体を取り外した場合であっても、データの記録動作を継続することが可能になる。
上記(2)の構成の車載情報記録装置によれば、各々の記録媒体の接続先を、複数の記録媒体接続部の一部分のみに限定することが可能になる。
上記(3)の構成の車載情報記録装置によれば、接続された記録媒体上に記録可能種別情報が存在しない場合であっても、予め登録された前記車載器側記録可能種別情報に基づき、記録媒体に記録されるデータの種別を制御することが可能になる。
上記(4)の構成の車載情報記録装置によれば、車載器の電源が投入され記録動作が開始された後でいずれかの記録媒体を取り外したり、新たな記録媒体を装着した場合であっても、最新の接続状態に適した記録動作を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の車載情報記録装置によれば、ドライブレコーダやデジタルタコグラフの複数の記録機能の各々のオンオフを記録媒体を用いて適切に管理することが可能になる。すなわち、車載器の記録媒体接続部に接続する各記録媒体に前記記録可能種別情報を登録しておくことにより、車載器の記録モードを自動的に選択し、この記録媒体に記録されるデータを、記録媒体の用途や種類に合わせることが可能になる。
【0017】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の車載情報記録装置に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0020】
<装置の構成>
本実施形態の車載情報記録装置の構成例が
図1に示されている。この車載器本体10は、一般的なドライブレコーダが有する機能と、デジタルタコグラフが有する機能との双方を備えている。ドライブレコーダの機能については、映像などのデータを常時記録する動作や、過大な加速度を検出したようなイベントの際に映像や車両の運行に関するデータを記録する動作が含まれる。デジタルタコグラフの機能については、例えば一定の時間間隔で車両の様々な運行データを取得して時系列データとして記録する動作が含まれる。
【0021】
図1に示す車載器本体10には、マイクロコンピュータ(CPU)11、インタフェース(I/F)12〜14、カード接続用インタフェース15、16、記録媒体17、18、メモリ(SDRAM)19、および広域通信端末20が備わっている。
【0022】
マイクロコンピュータ11は、予め組み込まれたプログラムを読み込んで実行することにより、車載器本体10に必要とされる様々な機能、例えばドライブレコーダ機能11aやデジタルタコグラフ機能(デジタコ機能)11bが実現される。マイクロコンピュータ11の具体的な動作については後で説明する。
【0023】
インタフェース12には、車載カメラ21が接続されている。車載カメラ21は、CCD等の二次元撮像素子を内蔵しており、車体に固定され、車両の運行中に必要とされる被写体を連続的に撮影することができる。例えば、撮影方向を車外の進行方向前方又は後方に向けて車載カメラ21を設置することにより、道路上の他の車両や歩行者などを含む様々な被写体を撮影することができる。また、撮影方向を車室内に向けることにより、乗務員の運転の状況などを撮影することができる。インタフェース12は、車載カメラ21が撮影した映像の信号を処理して、マイクロコンピュータ11が処理可能な画像データを生成することができる。
【0024】
インタフェース13には、加速度(G)センサ22が接続されている。加速度センサ22は、車両の進行方向の前後方向等の加速度の大きさを表す電気信号を出力する。インタフェース13は、加速度センサ22が出力する電気信号を処理して、加速度の大きさを表すデジタル信号をマイクロコンピュータ11に出力する。
【0025】
インタフェース14には、速度センサ23が接続されている。速度センサ23は、車両の変速機に組み込まれており、変速機の出力軸が所定量回動作する毎にパルス信号(車速パルス)を出力する。インタフェース14は、速度センサ23が出力する車速パルスをマイクロコンピュータ11の処理に適した信号に変換する。この車速パルスを計測することにより、車両の移動速度や移動距離を把握することができる。
【0026】
2つのカード接続用インタフェース15および16は、それぞれ、メモリカードなどの所定の記録媒体を接続するためのコネクタ及びスロットを有し、記録媒体へのアクセスに必要な機能を有している。
【0027】
カード接続用インタフェース15、16の各々に装着可能な記録媒体17、18の代表例としては、SDメモリカード、あるいはCF(CompactFlash)(登録商標)カードのように、データの書き込み及び読み出しが自在な不揮発性メモリを内蔵したカードを想定している。
【0028】
また、カード状の記録媒体の他に、フラッシュSSD(ソリッドステートドライブ)のような記憶装置を用いることも想定される。記録媒体17又は18としてフラッシュSSDを用いる場合には、カード接続用インタフェース15又は16の代わりにUSB(Universal Serial Bus)インタフェースのような接続部を設ける。また、カード接続用インタフェース15、16の他に更にUSBインタフェースを追加して3以上の記録媒体を接続可能な構成にしても良い。
【0029】
いずれにしても、記録媒体17、18のそれぞれは、カード接続用インタフェース15、16のいずれかのスロットに装着したり、取り外したりすることができる。マイクロコンピュータ11は、カード接続用インタフェース15、16を介して、これらに接続された記録媒体17、18に必要に応じてアクセスし、データを読み出したり書き込んだりすることができる。
【0030】
メモリ19は、マイクロコンピュータ11のアクセスによりデータの書き込み及び読み出しが自在な記憶装置(SDRAM)であり、様々なデータを一時的に保存するために利用される。
【0031】
広域通信端末20は、この車載器本体10が車両の外に存在するサーバなどの様々な装置との間でデータ通信するための無線通信機能を提供する。広域通信端末20は、携帯電話会社等が提供する移動体通信網の無線基地局との間で無線通信を行い、無線通信回線を確保することができる。
【0032】
<記録媒体の具体例>
前述の各記録媒体17、18に関する領域及び情報の具体例が
図2に示されている。
図2に示した例では、記録媒体17は、デジタルタコグラフ(デジタコ)のデータ記録用途に専用に使用できるように所定の情報を書き込んである。また、記録媒体18は、ドライブレコーダのデータ記録用途に専用に使用できるように情報を書き込んである。
【0033】
図2に示す例では、記録媒体17の所定位置(具体例として先頭アドレスの位置)に、記録可能種別情報D1が予め書き込まれている。また、この記録可能種別情報D1には、許可される接続先を表す情報D1aと、許可される機能を表す情報D1bとが含まれている。情報D1aの「1」は、この記録媒体17を1番目の接続先(カード接続用インタフェース15に相当)に接続できることを表している。また、情報D1bには、デジタルタコグラフの機能を許可するフラグと、ドライブレコーダのイベント記録動作を禁止するフラグおよび常時映像記録動作を禁止するフラグとが含まれている。
【0034】
同様に、記録媒体18の所定位置には記録可能種別情報D2が予め書き込まれている。また、この記録可能種別情報D2には、許可される接続先を表す情報D2aと、許可される機能を表す情報D2bとが含まれている。情報D2aの「2」は、この記録媒体18を2番目の接続先(カード接続用インタフェース16に相当)に接続できることを表している。また、情報D2bには、デジタルタコグラフの機能を禁止するフラグと、ドライブレコーダのイベント記録動作を許可するフラグおよび常時映像記録動作を許可するフラグとが含まれている。
【0035】
この記録可能種別情報D1を設けることにより、記録媒体17はデジタルタコグラフ専用に用途が割り当てられ、データを記録可能な領域にはデジタルタコグラフのデータ(デジタコデータ)が書き込まれる。また、記録可能種別情報D2を設けることにより、記録媒体18はドライブレコーダ専用に用途が割り当てられ、データを記録可能な領域にはドライブレコーダのデータ(イベント検出時のデータ、常時記録映像のデータ)が書き込まれる。
【0036】
<装置の動作>
図1に示した車載情報記録装置の動作手順が
図3に示されている。この動作手順はマイクロコンピュータ11が実行するプログラムの処理によって実現される。
図3の動作手順について以下に説明する。
【0037】
車載器本体10の電源が投入されると、マイクロコンピュータ11は
図3のステップS11から処理を開始する。ステップS11では、それ自身が実行可能な機能をマイクロコンピュータ11が識別する。
図1に示した車載器本体10においては、ドライブレコーダ機能11a及びデジタルタコグラフ機能11bのプログラムが組み込まれているので、ドライブレコーダの常時映像記録およびイベント記録と、デジタルタコグラフの記録が実行できることを認識する。
【0038】
ステップS12では、マイクロコンピュータ11はカード接続用インタフェース15及び16のそれぞれの接続部(コネクタ)の接続状態を表す信号を監視して、記録媒体が接続されているか否かを識別する。カード接続用インタフェース15及び16の少なくとも一方に記録媒体が接続されていることを認識すると次のステップS13に進む。
【0039】
ステップS13では、マイクロコンピュータ11は利用可能な各記録媒体の接続先を確認する。すなわち、1つ又は2以上の各記録媒体が、「接続先A(又は接続先「1」)」に相当するカード接続用インタフェース15と、「接続先B(又は接続先「2」)」に相当するカード接続用インタフェース16のいずれに接続されているのかをそれぞれ認識する。
【0040】
例えば
図1に示すように、カード接続用インタフェース15に記録媒体17が接続され、且つ、カード接続用インタフェース16に記録媒体18が接続されている場合には次のように動作する。すなわち、ステップS14でカード接続用インタフェース15に記録媒体17が接続されていることを認識してステップS15に進む。そして、ステップS15で記録媒体17が既に記録中(記録可能情報種別の検出が終了している)か否かを識別し、記録中であればステップS16に進み、記録中でなければステップS22に進む。また、ステップS16ではカード接続用インタフェース16に記録媒体18が接続されていることを認識してステップS17に進む。ステップS17では、記録媒体18が既に記録中(記録可能情報種別の検出が終了している)か否かを識別し、記録中であればステップS18に進み、記録中でなければステップS22に進む。
【0041】
一方、カード接続用インタフェース15に記録媒体が接続されていない状況では、ステップS14からS20に進み、ステップS20でカード接続用インタフェース16に記録媒体18が接続されているか否かを識別する。カード接続用インタフェース16に記録媒体18が接続されている場合には、次のステップS21でこの記録媒体18が記録中か否かを識別し、記録中であればステップS12に戻り、まだ記録を開始してなければステップS22に進む。
【0042】
ステップS18では、マイクロコンピュータ11は記録動作の継続が可能か否かを識別し、可能であればステップS12に戻り、不可能であればステップS19で記録処理を終了する。
【0043】
例えば、記録媒体17に対する記録を開始した後で、記録媒体17をカード接続用インタフェース15から取り外したような場合には、記録媒体17が取り外されたことをステップS12で認識し、ステップS18で記録媒体17に対する記録継続ができないことを認識する。その場合、記録媒体17に対する機能動作のみをステップS19で停止し、記録媒体18に対する記録動作は継続する。
【0044】
ステップS22では、マイクロコンピュータ11は接続されているそれぞれの記録媒体が車載器本体10にとって記録可能な媒体であるか否かを識別する。具体的には、予め定めた識別コード(メーカの企業コードなど)を有し、且つ、正しい状態でフォーマットされている場合に、記録可能な媒体であると認識する。記録可能な媒体を検出すると次のステップS23に進む。
【0045】
ステップS23では、マイクロコンピュータ11は各々の記録媒体上に設けられた記録可能種別情報(
図2のD1,D2)を参照し、これに含まれる情報(D1b,D2b)により許可されている記録機能の種別を確認する。
【0046】
ステップS24では、マイクロコンピュータ11はステップS23で確認した情報(D1b,D2b)の種別の中で、常時映像記録のフラグがオン(許可)か否かを識別し、オンであればステップS25に進み、オフであればステップS26に進む。
【0047】
ステップS25では、マイクロコンピュータ11は該当する記録媒体に対して、常時映像記録の動作を開始する。
【0048】
ステップS26では、マイクロコンピュータ11はステップS23で確認した情報(D1b,D2b)の種別の中で、イベント記録のフラグがオン(許可)か否かを識別し、オンであればステップS27に進み、オフであればステップS28に進む。
【0049】
ステップS27では、マイクロコンピュータ11は該当する記録媒体に対して、イベント記録の動作を開始する。
【0050】
ステップS28では、マイクロコンピュータ11はステップS23で確認した情報(D1b,D2b)の種別の中で、デジタルタコグラフ記録のフラグがオン(許可)か否かを識別し、オンであればステップS29に進む。
【0051】
ステップS29では、マイクロコンピュータ11は該当する記録媒体に対して、デジタルタコグラフの記録動作を開始する。
【0052】
上述のステップS22〜S29で「接続先A」に接続された記録媒体17に対する処理を行った場合には、もう一方の「接続先B」に接続された記録媒体に対しても同様の処理をステップS30以降で行う。つまり、「接続先A」、「接続先B」のそれぞれに接続された記録媒体に対して、各々の記録可能種別情報(
図2のD1,D2)に従って、常時映像記録、イベント記録、デジタルタコグラフ記録の各動作の開始を制御する。
【0053】
なお、
図2に示すように各記録媒体17、18の記録可能種別情報(
図2のD1,D2)に、許可される接続先の情報(D1a,D2a)が含まれている場合には、この情報の接続先と、これが実際に接続されている接続先(カード接続用インタフェース15又は16)との対応関係が一致するか否かを識別する。そして、一致しない場合はステップS22で記録可能な媒体ではないと認識し、この記録媒体に対する記録動作を中止する。
【0054】
<記録媒体の接続状態の具体例>
各記録媒体の状態と動作との対応関係の一覧が
図4に示されている。つまり、
図2に示した記録媒体17のように、デジタルタコグラフの記録のみ許可する記録可能種別情報D1を有する記録媒体と、記録媒体18のようにドライブレコーダの記録のみ許可する記録可能種別情報D2を有する記録媒体とを車載器本体10に装着する場合の4種類の組み合わせ(1)、(2)、(3)、(4)を表している。
【0055】
図4における組み合わせ(1)については、カード接続用インタフェース15に記録媒体17が装着されておらず、あるいは記録可能種別情報D1が存在せず(×で示す)、且つ、カード接続用インタフェース16に記録媒体18が装着されておらず、あるいは記録可能種別情報D2が存在しない(×で示す)状態を想定している。従って、この状態では、デジタルタコグラフの記録機能は起動せず(×で示す)、ドライブレコーダの記録機能も起動しない(×で示す)。
【0056】
図4の組み合わせ(2)については、記録可能種別情報D1を有する記録媒体がカード接続用インタフェース15に接続され(○で示す)、且つ、カード接続用インタフェース16に記録媒体18が装着されておらず、あるいは記録可能種別情報D2が存在しない(×で示す)状態を想定している。従って、この状態では、デジタルタコグラフの記録機能は起動する(○で示す)が、ドライブレコーダの記録機能は起動しない(×で示す)。
【0057】
図4の組み合わせ(3)については、カード接続用インタフェース15に記録媒体17が装着されておらず、あるいは記録可能種別情報D1が存在せず(×で示す)、且つ、記録可能種別情報D2を有する記録媒体がカード接続用インタフェース16に接続されている(○で示す)状態を想定している。従って、この状態では、デジタルタコグラフの記録機能は起動しない(×で示す)が、ドライブレコーダの記録機能は起動する(○で示す)。
【0058】
図4の組み合わせ(4)については、記録可能種別情報D1を有する記録媒体がカード接続用インタフェース15に接続され(○で示す)、且つ、記録可能種別情報D2を有する記録媒体がカード接続用インタフェース16に接続されている(○で示す)状態を想定している。従って、この状態では、デジタルタコグラフの記録機能が起動し(○で示す)、且つ、ドライブレコーダの記録機能も起動する(○で示す)。
【0059】
<車載器側にも接続部毎に記録可能種別情報を割り当てる場合>
記録媒体接続先の場所毎に割り当てられた情報の例が
図5に示されている。
図5に示す例では、
図1における「接続先1」であるカード接続用インタフェース15と、「接続先2」であるカード接続用インタフェース16の他に、USBインタフェース(図示せず)が「接続先3」として存在する場合を想定している。
【0060】
この場合、マイクロコンピュータ11は、
図5に示す記録可能種別情報D21を「接続先1」であるカード接続用インタフェース15に対応付け、記録可能種別情報D22「接続先2」であるカード接続用インタフェース16に対応付け、記録可能種別情報D23を「接続先3」であるUSBインタフェースに対応付けた状態で予め記憶している。
【0061】
記録可能種別情報D21は
図2の記録可能種別情報D1と同様にデジタルタコグラフの記録を許可することを意味する情報であり、記録可能種別情報D22及びD23は記録可能種別情報D2と同様にドライブレコーダの記録を許可することを意味する情報である。
【0062】
マイクロコンピュータ11が
図5に示す記録可能種別情報D21、D22、D23を事前に把握している場合には、実際に接続された記録媒体上に記録可能種別情報(D1,D2に相当)が存在しない場合であっても、記録可能種別情報D21、D22、D23に従って種別毎に記録機能の起動可否を決定することができる。接続された記録媒体上に記録可能種別情報(D1,D2に相当)が存在する場合は、この情報を優先的に利用して
図3の動作と同様に各記録機能の起動可否を決定し、記録可能種別情報D21、D22、D23の内容は無視すればよい。
【0063】
<補足説明>
例えば、記録媒体としてSDメモリカードを採用する場合には、規格上の容量の制約(2GB)があるので、大量のデータを長時間にわたって記録することは難しい。一方、USBインタフェースを利用できる場合には、大容量のフラッシュSSD(ソリッドステートドライブ)を記録媒体として接続できるので、大量のデータを長時間にわたって記録することもできる。
【0064】
従って、
図5に示した例のように、「接続先1」及び「接続先2」にはSDメモリカードを接続し、「接続先3」にはフラッシュSSDを接続することが想定される。一方、デジタルタコグラフの機能により記録されるデータについては、比較的容量が小さいのでSDメモリカード上に記録することができる。また、ドライブレコーダの機能により記録されるデータについても、イベント発生時に取得したデータだけであれば、比較的容量が小さいのでSDメモリカード上に記録することができる。しかし、車載カメラの撮影により得られる映像のデータを常時記録する場合には、大容量の記録領域が必要になる。
【0065】
従って、記録媒体がフラッシュSSDの場合には、ドライブレコーダの記録機能をオンにして、イベント発生時に取得したデータと、映像の常時記録データとの双方を許可するように該当する記録媒体上の記録可能種別情報(D2に相当)の内容を決定することが想定される。また、ドライブレコーダ用の記録媒体がSDメモリカードの場合には、ドライブレコーダの記録機能をオンにして、イベント発生時に取得したデータは許可するが、映像の常時記録データは禁止にするように、該当する記録媒体上の記録可能種別情報の内容を決定することが想定される。
【0066】
いずれにしても、
図2に示した記録可能種別情報D1を有する記録媒体17が車載器本体10に接続されている場合には、この記録媒体17に対してデジタルタコグラフの記録データのみが書き込まれる。また、
図2に示した記録可能種別情報D2を有する記録媒体18が車載器本体10に接続されている場合には、この記録媒体18に対してドライブレコーダの記録データのみが書き込まれる。
【0067】
また、記録媒体17だけを車載器本体10に接続している状態では、デジタルタコグラフの記録機能だけが稼働するが、新たに記録媒体18を接続すると、マイクロコンピュータ11の認識している記録媒体の状態がステップS12で更新される。そして、記録媒体18に対してドライブレコーダの記録機能が稼働する。また、乗務員等が車載器本体10から記録媒体17を取り外すと、この場合もマイクロコンピュータ11が記録媒体の新たな状態をステップS12で把握し、デジタルタコグラフの記録機能をステップS19で停止する。
【0068】
従って、デジタルタコグラフの機能とドライブレコーダの機能の双方が一体化された車載器本体10を使用する場合であっても、これらの機能を独立して使用することができる。例えば、デジタルタコグラフの記録したデータを解析するために、記録媒体17を車載器本体10から取り外して事務所に持ち帰った場合であっても、記録媒体18が接続されていればドライブレコーダの機能はそのまま継続して利用できる。逆に、記録媒体18を車載器本体10から取り外した場合であっても、記録媒体17が接続されていればデジタルタコグラフの機能はそのまま継続して利用できる。