(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
発光素子が搭載される素子搭載部を有する基体部と、前記基体部上に前記素子搭載部を取り囲んで形成され、前記基体部と反対側が開口する枠体部と、前記枠体部上に形成される突起部と、が一体成型された単層のセラミック焼結体からなる基板本体と、
前記枠体部上に形成され、前記枠体部の開口及び前記突起部を取り囲むと共に、前記突起部の高さより高い囲繞部と、
前記枠体部上における前記突起部と前記囲繞部との間に形成され、前記発光素子の電極と電気的に接続される電極パッドと、
を備え、
前記基体部の前記枠体部で囲まれる領域の内、少なくとも前記素子搭載部以外の領域、及び、前記枠体部の内周面から前記突起部の前記枠体部と最も離れた位置までの領域において、前記セラミック焼結体に金属層が被着されておらず、
前記突起部は、前記枠体部における前記突起部が形成される面と対向する平面を有すると共に、前記電極パッド側の面の傾斜角度が前記開口側の面の傾斜角度よりも大きくなるように形成される
ことを特徴とする発光素子搭載用基板。
発光素子が搭載される素子搭載部を有する基体部と、前記基体部上に前記素子搭載部を取り囲んで形成される枠体部と、前記枠体部上に形成される突起部と、を有する基板本体を一体成型のセラミック焼結体により作製する本体作製工程と、
前記枠体部上における前記突起部を基準とした前記枠体部の開口側と反対側に前記発光素子の電極と電気的に接続される配線導体を形成する配線導体形成工程と、
前記枠体部の開口と前記突起部と前記配線導体の一部とを取り囲み、前記突起部の高さより高い囲繞部を前記枠体部上に形成する囲繞部形成工程と、
を備え、
前記本体作製工程は、
単層のセラミックグリーンシートにプレス成型を施すことにより、前記基体部と、前記枠体部と、前記突起部とを一体形成するプレス工程と、
プレス成型された前記セラミックグリーンシートを焼成する焼成工程と、
を備え、
前記基体部の前記枠体部で囲まれる領域の内少なくとも前記素子搭載部以外の領域、及び、前記枠体部の内周面から前記突起部の前記枠体部と最も離れた位置までの領域において、前記セラミック焼結体に金属層が被着されず、
前記突起部は、前記枠体部における前記突起部が形成される面と対向する平面を有すると共に、前記枠体部上の前記配線導体側の面の傾斜角度が前記開口側の面の傾斜角度よりも大きくなるように形成される
ことを特徴とする発光素子搭載用基板の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、キャビティの底面に被着される電極パッドの金メッキ層は、光の特定の波長に対する反射率の変動が大きく、発光素子が発光する光を効率よく反射しにくい傾向がある。
【0007】
また、キャビティの底面に被着される電極パッドの銀メッキ層は、長期間の使用により、マイグレーションや酸化腐食等により変色し易いため、この変色により発光素子が発光する光の反射効率が時間の経過とともに低下する傾向がある。
【0008】
従って、特許文献1に記載の発光素子搭載用基板のようにキャビティの底面に金属層があると、その金属層により、発光素子が発光する光の反射効率が低下したり、長期間の使用により光の反射効率が更に低下したりするという不具合が生じ易い。
【0009】
そこで、本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、長期間に亘って優れた光の反射効率を発揮する発光装置を実現可能な発光素子搭載用基板、及び、それを用いた発光装置、及び、発光素子搭載用基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の発光素子搭載用基板は、発光素子が搭載される素子搭載部を有する基体部と、前記基体部上に前記素子搭載部を取り囲んで形成され、前記基体部と反対側が開口する枠体部と、前記枠体部上に形成される突起部と、が一体成型されたセラミック焼結体からなる基板本体と、前記枠体部上に形成され、前記枠体部の開口及び前記突起部を取り囲むと共に、前記突起部の高さより高い囲繞部と、前記枠体部上における前記突起部と前記囲繞部との間に形成され、前記発光素子の電極と電気的に接続される電極パッドと、を備え、前記基体部の前記枠体部で囲まれる領域の内、少なくとも前記素子搭載部以外の領域、及び、前記枠体部の内周面から前記突起部の前記枠体部と最も離れた位置までの領域において、前記セラミック焼結体が露出していることを特徴とするものである。
【0011】
このような発光素子搭載用基板によれば、素子搭載部に発光素子を搭載して発光装置とする場合に、発光素子が発光する光は、直接発光装置の外部に出射されたり、基板本体の表面で反射して外部に出射する。このとき基板本体においては、基体部の枠体部で囲まれる領域の内少なくとも素子搭載部以外の領域、及び、前記枠体部の内周面から前記突起部の前記枠体部と最も離れた位置までの領域において、セラミック焼結体が露出しているため、光は、露出したセラミック焼結体で直接反射する。従って、金属層による反射効率の低下を防止することができる。また、この発光素子搭載用基板において、基板本体は、基体部と枠体部と突起部とが一体成型されたセラミック焼結体から成るため、基体部と枠体部との間、及び、枠体部と突起部との間に、接合層が形成されない。従って、上記のように、光が基板本体の表面で反射して外部に出射する場合において、基板本体の反射面における基体部と枠体部との境界や、枠体部と突起部との境界に、素子搭載部に搭載される発光素子から出射される光が到達することがあっても、接合層により反射効率が低減することを防止することができる。
【0012】
また、枠体部を有する発光素子搭載用基板を用いて発光装置とする場合、素子搭載部に発光素子が搭載されて、通常、枠体部の開口内、及び、囲繞部で囲まれる領域が、光透過性の樹脂で充填される。このような場合、発光素子から出射される光の一部が、樹脂の界面で反射したり、樹脂内部で散乱する場合がある。しかし、本発明の発光素子搭載用基板によれば、発光素子から出射される光は、突起部により遮られて電極パッドに届きにくくなり、電極パッドで反射する光の量を低減することができる。従って、電極パッドによる反射効率の低下や、電極パッドの経時劣化による反射効率の更なる低下といった不具合を低減することができる。このように本発明の発光素子搭載用基板を用いることにより、長期間に亘って優れた光の反射効率を発揮する発光装置を実現することができる。
【0013】
さらに、前記基板本体は、単層のセラミック焼結体から成ることが好ましい。
【0014】
例えば、グリーン積層法等により基板本体が多層から形成される場合、基体部と枠体部との間、及び、枠体部と突起部との間には、積層界面が形成される。しかし、基板本体が、単層のセラミック焼結体から成ることにより、この積層界面が形成されることが防止されるので、基体部と枠体部との境界や、基板本体の反射面における枠体部と突起部との境界に、素子搭載部に搭載される発光素子から出射される光が到達する場合であっても、積層界面により反射効率が低減することを防止することができる。従って、このような発光素子搭載用基板を用いることにより、光の反射効率がより良好な発光装置を実現することができる。
【0015】
また、前記突起部は、前記開口を囲んでいることが好ましい。
【0016】
突起部が枠体部の開口を囲むことにより、突起部の開口側の面により、素子搭載部に搭載される発光素子から出射される光をより反射することができる。従って、このような発光素子搭載用基板を用いることにより、光の反射効率がより良好な発光装置を実現することができる。
【0017】
また、前記突起部は、前記開口から離間していることが好ましい。
【0018】
突起部を枠体部の開口から離間させることにより、枠体部の開口を形成する内周面から連続して突起部の開口側の面が形成される場合と比べると、素子搭載部に搭載される発光素子から出射される光が電極パッドに回り込むことをより抑制することができる。
【0019】
また、前記突起部は、前記枠体部における前記突起部が形成される面と対向する平面を有することが好ましい。
【0020】
このように突起部が枠体部の面と対向する平面を有することにより、枠体部側と反対側の形状が曲面状である同じ高さの突起部と比べると、素子搭載部に搭載される発光素子から出射される光が電極パッドに回り込むことをより抑制することができる。従って、電極パッドによる反射効率の低下や、電極パッドの経時劣化による反射効率の更なる低下といった不具合をより低減することができる。
【0021】
また、前記枠体部及び前記囲繞部の内周面は、前記枠体部の開口方向において、外側に向かって広がる傾斜面とされ、前記囲繞部の内周面の傾斜角度は、前記枠体部の内周面の傾斜角度より大きいことが好ましい。
【0022】
枠体部の内周面が、枠体部の開口方向において、外側に向かって広がる傾斜面とされるため、素子搭載部に搭載される発光素子から出射される光の内、広がるように進む光の少なくとも一部は、枠体部の内周面で反射して、進行方向が枠体部の開口方向に近づくように補正される。そして、囲繞部の内周面の傾斜角度が、枠体部の内周面の傾斜角度より大きくされることにより、囲繞部の内周面の傾斜角度が、枠体部の内周面の傾斜角度以下である場合と比べて、発光素子から広がるように出射される光の内、枠体部の内周面で反射されない光が、囲繞部の内周面で反射され易くなる。囲繞部で反射される光は、囲繞部の内周面が、枠体部の開口方向において、外側に向かって広がる傾斜面であるため、進行方向が枠体部の開口方向に近づくように補正される。従って、このような発光素子搭載用基板を用いることにより、光の集光性が良好な発光装置を実現することができる。
【0023】
また、前記突起部は、前記電極パッド側の面の傾斜角度が、前記開口側の面の傾斜角度よりも大きくなるように形成されることが好ましい。
【0024】
このような構成の発光素子搭載用基板によれば、突起部の電極側の面が開口方向により近く反り立つため、反射や散乱等により電極パッドに向かう光が、電極パッドに到達することをより低減することができる。従って、電極パッドに光が到達することに起因する反射効率の低下をより低減することができる。
【0025】
また、本発明の発光装置は、上記のいずれかに記載の発光素子搭載用基板と、前記素子搭載部に搭載され、電極が前記電極パッドとボンディングワイヤにより電気的に接続される発光素子と、前記枠体部の前記開口内、及び、前記囲繞部で囲まれる領域に充填される光透過性の樹脂と、を備えることを特徴とするものである。
【0026】
このような発光装置によれば、長期間に亘って優れた光の反射効率を発揮することができる。
【0027】
また、本発明の発光素子搭載用基板の製造方法は、発光素子が搭載される素子搭載部を有する基体部と、前記基体部上に前記素子搭載部を取り囲んで形成される枠体部と、前記枠体部上に形成される突起部と、を有する基板本体を一体成型のセラミック焼結体により作製する本体作製工程と、前記枠体部上における前記突起部を基準とした前記枠体部の開口側と反対側に前記発光素子の電極と電気的に接続される配線導体を形成する配線導体形成工程と、前記枠体部の開口と前記突起部と前記配線導体の一部とを取り囲み、前記突起部の高さより高い囲繞部を前記枠体部上に形成する囲繞部形成工程と、を備え、前記基体部の前記枠体部で囲まれる領域の内少なくとも前記素子搭載部以外の領域、及び、前記枠体部の内周面から前記突起部の前記枠体部と最も離れた位置までの領域において、前記セラミック焼結体が露出された状態とされることを特徴とするものである。
【0028】
このような発光素子搭載用基板の製造方法により製造される発光素子搭載用基板は、囲繞部で囲まれる配線導体が電極パッドとなり、この結果、枠体部上における突起部と囲繞部との間に電極パッドが形成される。従って、長期間に亘って優れた光の反射効率を発揮する発光装置を実現可能な発光素子搭載用基板を製造することができる。
【0029】
さらに前記本体形成工程は、単層のセラミックグリーンシート2にプレス成型を施すことにより、前記基体部と、前記枠体部と、前記突起部とを一体形成するプレス工程と、プレス成型された前記セラミックグリーンシートを焼成する焼成工程と、を備えることが好ましい。
【0030】
このような発光素子搭載用基板の製造方法によれば、単層のセラミックグリーンシートのプレス成型により、基板本体が形成されることで、基体部の表面と枠体部の表面との境界や、枠体部の表面と突起部の表面との境界に、積層界面が生じることを防止することができる。従って、光の反射効率がより良好な発光装置を実現可能な発光素子搭載用基板を製造することができる。なお、このように単層のセラミックグリーンシートのプレス成型により、基板本体が形成されることが好ましいが、セラミック粒子同士の摩擦係数が高いため、一般にセラミックグリーンシートのプレス成形時にセラミック粒子を全体的に大きく移動させることは困難である。従って、セラミックグリーンシートのプレス成型により枠体部の開口を形成することは、一般的に困難とされる。しかし、本発明の発光素子搭載用基板の製造方法によれば、プレス成型前のセラミックグリーンシートにおいて、開口されるべき場所に位置するセラミック粒子を、プレス成型の圧力によって突起部に移動させることができる。このためセラミック粒子を全体的に大きく移動させることを必要とせず、適切に開口を形成することができる。従って、このような発光素子搭載用基板の製造方法によれば、光の反射効率がより良好な発光装置を実現可能な発光素子搭載用基板を適切に製造することができる。
【発明の効果】
【0031】
上記のように、本発明によれば、長期間に亘って優れた光の反射効率を発揮する発光装置を実現することができる発光素子搭載用基板、及び、それを用いた発光装置、及び、発光素子搭載用基板の製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の発光素子搭載用基板、及び、それを用いた発光装置、及び、発光素子搭載用基板の製造方法に係る好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0034】
図1は、本発明の実施形態に係る発光装置の斜視図であり、
図2は、
図1の発光装置1の断面図である。
図1、
図2に示すように、本実施形態の発光装置1は、発光素子搭載用基板10と、発光素子搭載用基板10に搭載される発光素子30と、発光素子30を封止する封止樹脂50とを主な構成として備える。なお、理解の容易のため、
図1においては、封止樹脂50が省略されており、
図2においては、発光素子30は断面で記載されていない。
【0035】
発光素子搭載用基板10は、基板本体11と、囲繞部12と、基板本体11の表面に形成されて一部が電極パッド41aとなる配線導体と、を備えている。
【0036】
基板本体11は、基体部7と、基体部7上に形成される枠体部8と、枠体部8上に形成される突起部9とから成る。
【0037】
基体部7は、仮に基体部7と枠体部8と突起部9とを分解する場合、
図2に示すように平板状の部位であり、セラミック焼結体から成る。この基体部7の枠体部8側の面である上面21における略中心には、発光素子30が配置される素子搭載部25が設けられている。この素子搭載部25は、発光素子30を搭載することができる領域である限りにおいて特に制限が無く、その周りの領域と特に区別されない領域とされても良く、発光素子30が搭載され易いように立体的な形状とされていても良い。そして、基体部7の上面21の内、枠体部8で囲まれる領域における少なくとも素子搭載部25以外の領域は、基体部7を構成するセラミック焼結体が露出した状態とされ、発光素子30が発光する光を反射する反射面とされている。
【0038】
なお、基体部7の大きさは、発光素子30の大きさ等により変わるため特に限定されないが、例えば、3mm(縦幅)×2mm(横幅)×0.6mm(厚さ)とされる。
【0039】
また、基体部7の互いに向かい合う一対の側面のそれぞれには、配線導体の一部である一対の配線端子を設けるための一対の溝15が設けられている。この溝15は、基板本体11の厚さ方向に延在しており、長手方向に垂直な断面の形状が略半円形とされている。
【0040】
枠体部8は、素子搭載部25を取り囲んで基体部7上に形成されるセラミック焼結体から成る環状の部位である。枠体部8の基体部7側と反対側の面である上面23は平坦状とされる。また、枠体部8の外周側の側面の形状は、基体部7の側面の形状と同様とされており、外周側の側面には、基体部7から延在する溝15が形成されている。つまり、溝15は、
図1に示すように、基体部7の側面から枠体部8の側面にかけて形成されている。また、枠体部8は、上述のように環状の部位であるため、枠体部8には、厚さ方向に貫通するする開口24が形成されており、本実施形態において、この開口24は、四角形の形状とされている。枠体部8は、基体部7上に形成されているため、基板本体11としてみると、枠体部8は、基体部7と反対側が開口していることになる。枠体部8の内周面22は、基体部7を構成するセラミック焼結体が露出した状態とされ、発光素子30が発光する光の反射面として作用する。また、内周面22は、枠体部8と基体部7とが一体とされた状態での枠体部8の開口方向(基体部7から枠体部8に向かう方向)において、外側に向かって広がる傾斜面とされている。このように内周面22が傾斜することにより、発光素子30から出射される光の内、広がるように進む光の少なくとも一部が、内周面22で反射されて、進行方向が枠体部8の枠体部8の開口方向に近づくように補正される。
【0041】
なお、枠体部8のサイズは、特に限定されないが、例えば3mm(縦幅)×2mm(横幅)×0.2mm(厚さ)とされる。また、傾斜面である内周面22の傾斜角度θ
1は、特に限定されないが、例えば75°とされる。また、開口24の基体部7側と反対側におけるサイズは、特に限定されないが、例えば0.9mm(縦幅)×0.9mm(横幅)とされる。尚、内周面22の傾斜角度θ
1とは、
図2に示すように、発光素子搭載用基板10の断面において、枠体部8の内部側から見た場合の基体部7の上面21と枠体部8の内周面22とがなす角度のことであり、本実施形態においては、上述のように、内周面22が外側に向かって広がる傾斜面とされていることから、傾斜角度θ
1は鋭角とされる。
【0042】
突起部9は、枠体部8の基体部7側と反対側の面である上面23上に形成され、枠体部8の厚さ方向に伸びるセラミック焼結体から成る部位であり、本実施形態においては、枠体部8における内周面22と上面23との縁に沿って形成されている。また、
図1、
図2に示すように、本実施形態においては、一対の突起部9が、開口24を挟んで互いに対向する枠体部8の開口24の一対の縁に沿ってそれぞれ設けられている。
【0043】
図3は、
図2に示す突起部9を拡大図である。
図3に示すように、本実施形態において、突起部9は、開口24側の面である第1傾斜面26と、電極パッド41a側の面である第2傾斜面27とを有している。開口側の面とは、突起部9の枠体部8と最も離れた位置を基準として、開口24側に位置している面を指し、電極パッド41a側の面とは、同じ位置を基準として、電極パッド41a側に位置している面を指す。第1傾斜面26は、枠体部8の開口方向において、開口24から離れる方向に傾斜しており、第2傾斜面27は、枠体部8の開口方向において、電極パッド41aから離れる方向に傾斜している。また、本実施形態においては、第2傾斜面27の傾斜角度βは、第1傾斜面26の傾斜角度αよりも大きくされている。尚、傾斜角度α,βとは、
図3に示すように、突起部9の内部側から見た場合の第1、第2傾斜面26,27と枠体部8の上面23とがなす角度のことである。上述のように、枠体部8の開口方向において、第1傾斜面26が開口から離れる方向に傾斜し、第2傾斜面27が電極パッド41aから離れる方向に傾斜するため、第1、第2傾斜面26,27は、共に鋭角とされる。この第1,第2傾斜面26,27の傾斜角度α,βは、特に限定されないが、例えば、傾斜角度αが75°で、傾斜角度βが80°とされる。
【0044】
また、本実施形態では、突起部9の第1傾斜面26と枠体部8の内周面22とは、連続して形成されており、第1傾斜面26と内周面22とが略面一に形成されている。なお、突起部9は、少なくとも開口24側の面が、突起部9を構成するセラミック焼結体が露出した状態とされ、発光素子30から発光された光の反射面として作用する。
【0045】
なお、突起部9のサイズは、特に限定されないが、例えば、0.1mm(縦幅)×0.9mm(横幅)×0.07mm(高さ)とされる。
【0046】
ところで、上述のように、基体部7の枠体部8で囲まれる領域の内、少なくとも素子搭載部25以外の領域は、セラミック焼結体が露出した状態とされる。また、枠体部8の内周面22、及び、突起部9の少なくとも開口24側の面は、それぞれセラミック焼結体が露出した状態とされる。従って、発光素子搭載用基板10は、基体部7の枠体部8で囲まれる領域の内、少なくとも素子搭載部25以外の領域、及び、枠体部8の内周面22から突起部9の枠体部8と最も離れた位置までの領域において、セラミック焼結体が露出している状態とされる。つまり、これらの領域において、金属層が被着されていない状態とされる。そして、これらの領域が発光素子30が発光する光を反射する反射面とされる。
【0047】
また、基板本体11は、基体部7と枠体部8と突起部9とが、一体成型後に焼結されたセラミック焼結体から成る。従って、基板本体11は、基体部7と枠体部8との接合面、枠体部8と突起部9との接合面を有していない。そのため、発光素子30から出射される光が、基板本体11の反射面における基体部7と枠体部8との境界に達する場合や、枠体部8と突起部9との境界に達する場合に、接合面により反射効率が低下されることが防止されている。更に、本実施形態では、基板本体11は単層のセラミック焼結体から成る。従って、基板本体11は、接合面だけでなく積層界面も有していない。そのため、発光素子30から出射される光が、基板本体11の反射面における基体部7と枠体部8との境界に達する場合や、枠体部8と突起部9との境界に達する場合に、積層界面により反射効率が低下されることが防止されている。このため基板本体11は、反射効率がより一層優れた構成とされている。
【0048】
なお、基板本体11を構成するセラミック焼結体としては、アルミナを主成分とするセラミック焼結体や、窒化アルミニウムを主成分とするセラミック焼結体や、ムライトを主成分とするセラミック焼結体や、低温焼成の一種であるガラス−セラミック焼結体等を挙げることができ、主成分としてアルミナを含み、添加成分としてバリウム元素を含むセラミック焼結体が、光の反射効率が優れる観点からより好ましい。
【0049】
基板本体11の表面には、上述のように配線導体が形成されている。この配線導体は、金属等の導体の層から構成されており、基板本体11における枠体部8の上面23上に設けられる上面配線導体41と、基板本体11の側面に形成される側面配線導体42と、基板本体11の底面上に形成される底面配線導体43とから成る。
【0050】
上面配線導体41は、枠体部8の上面23において、上面23と溝15が形成されている側面との縁に沿って直線状に形成されている。上述のように溝15は、基体部7及び枠体部8の互いに対向する側面のそれぞれに一対ずつ形成されているため、上面配線導体41は、枠体部8の上面23上において、溝15が形成されている互いに対向する一対の縁に沿って一対形成されている。そして、枠体部8の上面23が溝15によって浸食されている部分においては、枠体部8の上面23の縁に沿って形成される上面配線導体41も溝15によって浸食されている。さらに、上面配線導体41は、枠体部8の縁に沿って形成される部分の略中点から開口24に向かって垂直に分岐する分岐部分を有しており、この分岐部分が突起部9の近傍まで延在している。このため、それぞれの上面配線導体41は、枠体部8の上面23を平面視する場合に略T字状の外形をしている。また、上面配線導体41の分岐部分の幅は、この分岐部分の幅方向に沿った突起部9の幅よりも小さくされている。さらに、配線導体の厚さは、突起部9の高さよりも小さくされており、この結果、枠体部8の上面23と同一面上において、開口24側から上面配線導体41の分岐部分を見る場合に、この分岐部分は突起部9の陰に位置して突起部9に隠れる。このような配線導体の厚さは、特に限定されないが、例えば、0.01mmとされる。
【0051】
側面配線導体42は、基体部7及び枠体部8の側面に共通に形成されているそれぞれの溝15の内周面上に形成されており、基板本体11における基体部7の底面から枠体部8の上面23まで延在している。そして、側面配線導体42は、溝15の内周面と枠体部8の上面23との縁において、上面配線導体41と接続されている。
【0052】
また、底面配線導体43は、基板本体11の底面、すなわち基体部7の枠体部8側とは反対側の面(底面)に複数設けられており、基板本体11の底面とそれぞれの溝15の内周面との縁において、それぞれの側面配線導体42に接続されている。こうして底面配線導体43は、側面配線導体42を介して、上面配線導体41と電気的に接続されている。これら底面配線導体43、及び、側面配線導体42は、発光装置1の外部と電気的に接続される配線端子とされる。
【0053】
囲繞部12は、
図1、
図2に示すように、突起部9よりも高さが高い環状の部材であり、枠体部8の上面23上に形成されている。具体的には、囲繞部12は、枠体部8の上面23を平面視する場合に、トラック形状(略平行な2本の直線と、それらを繋ぐ2つの曲線とを有する形状)とされており、枠体部8の開口24から離間して、更に枠体部8の開口24突起部9とを取り囲み、更に上面配線導体41の分岐部分の少なくとも先端を取り囲んで形成されている。
【0054】
この囲繞部12で囲まれる上面配線導体41の分岐部分が、発光素子30と電気的に接続される電極パッド41aとされる。この結果、電極パッド41aは、突起部9と囲繞部12との間に形成されることになる。従って、枠体部8の上面23と同一面上において、開口24側から電極パッド41aを見る場合に、電極パッド41aは突起部9に隠れる。このように形成される電極パッド41aのサイズは、特に限定されないが、例えば、0.15mm(縦幅)×0.3mm(横幅)×0.01mm(厚さ)とされる。
【0055】
また、囲繞部12の内周面12aは、枠体部8の開口方向において、外側に向かって広がる傾斜面とされている。この内周面12aは、発光素子30から出射された光の反射面として作用し、このように内周面12aが傾斜することにより、発光素子30から出射される光の内、広がるように進む光の少なくとも一部が、内周面12aで反射されて、進行方向が枠体部8の開口方向に近づくように補正される。
【0056】
囲繞部12を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、ガラス組成物を挙げることができる。また、尚、ガラス組成物には、ガラス成分のみを用いることもできるが、発光素子搭載用基板10の光の反射効率を向上させる観点から、ガラス成分とセラミック粒子との混合物を用いることがより好ましい。この場合、ガラス成分としては、例えば、ホウ珪酸ガラスを挙げることができ、セラミック粒子としては、酸化チタンや硫酸バリウム等の光散乱粒子を挙げることができる。
【0057】
囲繞部12の高さは、突起部9よりも高い限りにおいて特に限定されないが、例えば、0.19mmとすることができ、囲繞部12の内周面12aの傾斜角度θ
2は、特に限定されないが、例えば、80°とされる。なお、この内周面12aの傾斜角度θ
2とは、
図2に示すように、発光素子搭載用基板10の断面において、囲繞部12の内部側から見た場合の枠体部8の上面23と囲繞部12の内周面12aとがなす角度のことであり、本実施形態においては、上述のように、囲繞部12の内周面12aが外部に向かって広がる傾斜面とされていることから、傾斜角度θ
2は鋭角とされる。
【0058】
なお、上述した枠体部8の内周面22の傾斜角度θ
1、突起部9の第1傾斜面26の傾斜角度α、第2傾斜面27の傾斜角度β、及び、囲繞部12の内周面12aの傾斜角度θ
2は、発光素子搭載用基板10を切断して、その切断面を画像化し、その画像より求めることができる。
【0059】
このようにして発光素子搭載用基板10において、基体部7と、枠体部8と、囲繞部12により囲まれる空間とによりキャビティ20が形成されている。
【0060】
発光素子30は、特に図示しないが、半導体の層や複数の電極を有して成り、単一或いは複数の波長帯域の光を出射することができるように構成されている。この発光素子30は、キャビティ20内の素子搭載部25上に配置され、図示しない接着剤により固定される。そして、電極パッド41aと発光素子30の電極とがボンディングワイヤ32により電気的に接続される。このボンディングワイヤ32は、発光素子30の電極から突起部9を超えて電極パッド41aまで配線される。
【0061】
さらに発光素子30の電極と電極パッド41aとがボンディングワイヤ32を介して電気的に接続された状態で、キャビティ20内には、少なくとも発光素子30及びボンディングワイヤ32を覆うように、発光素子30が発光する光を透過可能な光透過性の封止樹脂50が充填される。封止樹脂50に用いる樹脂としては、発光素子30が発光する光を透過する樹脂である限りにおいて、特に限定されないが、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂を挙げることができ、発光装置1の耐久性を向上させる観点から、シリコーン樹脂がより好ましい。また、封止樹脂50には蛍光体が含有されても良く、このような蛍光体としては、発光素子30から出射する光を受けて、他の波長の光を発光可能なものであれば良い。
【0062】
このような発光装置1は、基板本体11の底面に形成された端子としての底面配線導体43や側面配線導体42が、外部の電気回路基板の端子に接続されて使用される。発光装置1の使用状態においては、底面配線導体43や側面配線導体42に印加される電圧が、電極パッド41aやボンディングワイヤ32等を介して、発光素子30へ印加され、この電圧により発光素子30が発光する。発光素子30が発光する光は、封止樹脂50を透過して直接発光装置1の外部に出射されたり、基板本体11や囲繞部12の表面で反射して、発光装置1の外部に出射する。
【0063】
このとき基板本体11においては、基体部7の枠体部8で囲まれる領域の内、少なくとも素子搭載部25以外の領域、及び、枠体部8の内周面22から突起部9の枠体部8と最も離れた位置までの領域において、セラミック焼結体が露出しているため、発光素子30が発光する光は、露出したセラミック焼結体で直接反射する。従って、金属層による反射効率の低下を防止することができる。
【0064】
また、発光素子30が発光する光は、突起部9により遮られて電極パッド41aに届きにくくなり、電極パッド41aで反射する光の量を低減することができる。従って、電極パッド41aによる反射効率の低下や、電極パッド41aの経時劣化による反射効率の更なる低下といった不具合を低減することができる。このように本実施形態の発光素子搭載用基板10を用いることで、発光装置1は、長期間に亘って優れた光の反射効率を発揮することができる。
【0065】
また、本実施形態の発光素子搭載用基板10においては、上述のように、枠体部8の内周面22が、枠体部8の開口方向において、外側に向かって広がる傾斜面とされるため、発光素子30から出射される光の内、広がるように進む光の少なくとも一部は、枠体部8の内周面22で反射して、進行方向が枠体部8の開口方向に近づくように補正される。そして、囲繞部12の内周面12aの傾斜角度が、枠体部8の内周面22の傾斜角度より大きくされることにより、囲繞部12の内周面12aの傾斜角度が、枠体部8の内周面22の傾斜角度以下である場合と比べて、発光素子30から広がるように出射される光の内、枠体部8の内周面22で反射されない光が、囲繞部12の内周面12aで反射され易くなる。囲繞部12で反射される光は、囲繞部12の内周面12aが、枠体部8の開口方向において、外側に向かって広がる傾斜面であるため、進行方向が枠体部8の開口方向に近づくように補正される。発光装置1は、このような発光素子搭載用基板10を用いているため、光の集光性を良好とすることができる。
【0066】
また、本実施形態においては、上記のように、第2傾斜面27の傾斜角度βが、第1傾斜面26の傾斜角度αよりも大きくされることにより、素子搭載部25に搭載される発光素子30から出射されて突起部9を超える光が、枠体部8の上面23における突起部9の近傍に照射されづらくなる。従って、第2傾斜面27の傾斜角度βが、第1傾斜面26の傾斜角度αよりも大きくされることにより、発光素子30が発光する光が、電極パッド41aにより届きにくくなる。なお、上記において、第2傾斜面27の傾斜角度βが鋭角であるとしたが、第2傾斜面27の傾斜角度βを垂直をすることにより、より一層と発光素子30が発光する光が、電極パッド41aにより届きにくくなる。この場合、第2傾斜面27は、枠体部8の上面23に対して垂直となる。
【0067】
なお、本実施形態においては、一対の突起部9が、開口24を挟んで互いに対向する枠体部8の開口24の一対の縁に沿ってそれぞれ設けられるものとしたが、突起部9は、1ヶ所、又は3ヶ所以上で形成していても良い。また、枠体部8の開口24を取り囲むように、環状に形成しても良い。突起部9が、枠体部8の開口24を取り囲むように形成される場合、突起部9の開口24側の面(内周面)により、素子搭載部25に搭載される発光素子30が発光する光をより効率良く反射することができる。
【0068】
次に、発光装置1を製造する方法について説明する。
【0069】
図4は、
図1に示す発光装置1を製造する工程を示すフローチャートである。
図4に示すように、発光素子搭載用基板10の製造方法は、シート準備工程P1aと、プレス工程P1bと焼成工程P1cと、を有する本体作製工程P1と、配線導体形成工程P2と、囲繞部形成工程P3と、素子実装工程P4と、樹脂封止工程P5と、を備える。
【0070】
<本体作製工程P1>
(シート準備工程P1a)
まず、セラミックグリーンシートを準備する。
図6は、本工程において準備されるセラミックグリーンシートを示す図である。
図6に示すように本工程においては、平坦なセラミックグリーンシート2を準備する。具体的には、例えば、基板本体11が、バリウムが添加されたアルミナセラミックから成る場合には、アルミナ粉末、炭酸バリウム粉末、有機バインダ、溶剤、可塑剤等を適宜混合してスラリーを調製する。そして、調製したスラリーをドクターブレード法やカレンダーロール法等の方法により、平坦なシート状に成形して単層のセラミックグリーンシート2を作製する。なお、セラミックグリーンシート2は、原料粉末を成型機に充填して、加圧成形して作製することもできる。
【0071】
(プレス工程P1b)
次に、シート準備工程P1aで準備した平坦なセラミックグリーンシート2をプレス成型して、発光素子搭載用基板10の基体部7、及び、枠体部8、及び、突起部9を形成する。この形成においては、プレス機により、少なくとも、基体部7の上面21と、枠体部8の内周面22及び上面23と、突起部9とを形成するための成形型が形成された金型を平坦なセラミックグリーンシート2の一方の面に押圧する。この押圧力により、セラミックグリーンシート2の上面の少なくとも一部に立体形状を形成する。こうして、
図6に示す基体部7と、枠体部8と、突起部9とが一体形成された単層のセラミックグリーンシート11aを得る。
【0072】
(焼成工程P1c)
次に、基体部7と、枠体部8と、突起部9とが一体形成された単層のセラミックグリーンシート11aを焼成する。このとき、上記のように、基板本体11がバリウムが添加されたアルミナセラミックから成る場合には、アルミナが焼結し得る所定の温度(例えば、1400℃から1800℃程度の温度)で焼成する。この焼成により、セラミックグリーンシート11aを焼結させて、基体部7と枠体部8と突起部9とが、一体化した単層のアルミナセラミックから成る
図1に示す基板本体11を得る。
【0073】
<配線導体形成工程P2>
次に、基板本体11に配線導体を形成する。具体的には、金属粉末、有機バインダ、溶剤、可塑剤等を適宜混合して、導体ペーストを調製する。そして、その導体ペーストを、枠体部8の上面23上の上面配線導体41が形成される位置、及び、側面配線導体42が形成される位置(溝15の内周面上)、及び、基体部7の底面における底面配線導体43が形成される位置に印刷する。この印刷の方法としては、例えば、スクリーン印刷やインクジェット印刷を挙げるとことができる。その後、導体ペーストが印刷された状態の基板本体11を焼成することで、導体ペーストを固化する。こうして、上面配線導体41、側面配線導体42、底面配線導体43が形成され、
図7に示すように、基板本体11に配線導体が形成された状態となる。
【0074】
<囲繞部形成工程P3>
次に、囲繞部を形成する。具体的には、例えば、酸化ケイ素(SiO
2)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、酸化ホウ素(B
2O
3)等を主成分とするガラス粉末と、酸化チタン(TiO
2)、硫酸バリウム(BaSO
4)等の光散乱粒子(セラミック粉末)と有機ビヒクルとを適宜混合して、ガラスペーストを調製する。そして、
図7に示す配線導体が形成された基板本体11の枠体部8の上面23上において、囲繞部12が位置する場所に調製したガラスペーストを塗布する。具体的には、枠体部8の上面23を平面視する場合に、開口24から離間して、開口24、及び、突起部9、及び、上面配線導体41における突起部9の近傍の一部を取り囲むようにガラスペーストをスクリーン印刷する。その後、ガラスペーストが印刷された状態の基板本体11を焼成して、ガラスペーストの印刷層を焼結する。焼結したガラスペーストは、ガラス焼成膜を形成する。次に、形成したガラス焼成膜の上に、先程と同様にしてガラスペーストをさらに印刷し、再び焼成する。このガラスペーストの印刷、及び、焼成から成る工程を複数回行うことにより、ガラス焼成膜の積層体からなる囲繞部12が形成される。そして、上面配線導体41の囲繞部で囲まれる部分が電極パッド41aとなる。こうして、
図8に示すように基板本体11上に囲繞部12が形成された状態となる。こうして、
図1、
図2に示す発光素子搭載用基板10を得る。
【0075】
なお、囲繞部12は、ガラスペーストの印刷を複数回行った後に一度に焼成することで、形成されても良く、また、ガラスペーストを厚く1回印刷した後に焼成することで、形成されても良い。
【0076】
<素子実装工程P4>
次に、得られた発光素子搭載用基板10の素子搭載部25に、予め準備しておいた発光素子30を接着剤により固着する。その後、電極パッド41aとボンディングワイヤ32の一端とをはんだ付けすると共に、発光素子30の電極とボンディングワイヤ32の他端とをはんだ付けする。こうして発光素子30の電極と、電極パッド41aとが電気的に接続され、発光素子30が実装される。こうして、
図9に示すように発光素子搭載用基板10に発光素子30が実装された状態となる。
【0077】
<樹脂封止工程P5>
次に、キャビティ20に、固化前の封止樹脂を発光素子30及びボンディングワイヤ32が埋まるまで充填する。このとき、固化後において、囲繞部12の上面と封止樹脂とが面一になるように充填する。例えば、
図2に示す封止樹脂が紫外線硬化樹脂であれば、この紫外線硬化樹脂の前駆体である液状の紫外線硬化性樹脂を充填して、その後、紫外線を照射することにより樹脂を固化させれば良い。
【0078】
こうして、
図1に示す発光装置1を得る。
【0079】
本実施形態の発光素子搭載用基板10の製造方法により製造される発光素子搭載用基板10は、囲繞部12で囲まれる配線導体が電極パッド41aとなり、この結果、枠体部8上における突起部9と囲繞部12との間に電極パッド41aが形成される。従って、本実施形態の発光素子搭載用基板の製造方法によれば、長期間に亘って優れた光の反射効率を発揮する発光装置を実現可能な発光素子搭載用基板10を製造することができる。
【0080】
また、本実施形態においては、プレス工程P1bにおいて、単層のセラミックグリーンシート2にプレス成型を施すことにより、基体部7と、枠体部8と、突起部9とを一体形成した。このように単層のセラミックグリーンシート2にプレス成型する工程を経て、基板本体11が形成されることで、基体部7の表面と枠体部8の表面との境界や、枠体部8の表面と突起部9の表面との境界に積層界面が生じることを防止することができる。従って、光の反射効率がより良好な発光装置1を実現可能な発光素子搭載用基板10を製造することができる。
【0081】
このように単層のセラミックグリーンシート2をプレス成型する工程を経て、基板本体11が形成されることが好ましいが、セラミック粒子同士の摩擦係数が高いため、一般にセラミックグリーンシート2をプレス成形することによりセラミック粒子を全体的に大きく移動させることは困難である。このためプレス成型により、セラミックグリーンシートに開口24を形成する場合、開口24の近傍におけるセラミックの密度が他の場所よりも高くなったり、プレス後のセラミックグリーンシートの上面の平坦性を担保出来ない場合がある。しかし、本実施形態の発光素子搭載用基板の製造方法によれば、プレス成型前のセラミックグリーンシートにおいて開口されるべき場所に位置するセラミック粒子を、プレス成型の圧力によって突起部9に移動させることができる。このためセラミック粒子を全体的に大きく移動させることを必要とせず、適切に開口24を形成することができる。従って、本実施形態のように基板本体11が突起部9を有することにより、単層のセラミック焼結体からなり、光の反射効率がより良好な発光装置1を実現可能な発光素子搭載用基板10を適切に製造することができる。
【0082】
以上、本発明について、上記実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0083】
例えば、上記実施形態において、基板本体11が単層のセラミック焼結体から成るものとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、基板本体11には、積層のセラミック焼結体も用いることができる。その場合、基体部7と枠体部8と突起部9とに対応したセラミックグリーンシートを積層圧着して一体化させた後、焼成して作製すれば良い。ただし、上記のように、基板本体11が単層のセラミック焼結体から成るものであれば、より光の反射効率に優れる発光装置を実現することができる。
【0084】
また、上記実施形態においては、枠体部8の内周面22の傾斜角度θ
1よりも、囲繞部12の内周面12aの傾斜角度θ
2が大きいものとしたが、本発明はこれに限らず、傾斜角度θ
1と傾斜角度θ
2とが同じ角度であったり、傾斜角度θ
1が傾斜角度θ
2よりも囲大きくても良い。また、突起部9の第2傾斜面27の傾斜角度βが、第1傾斜面26の傾斜角度αよりも大きいものとしたが、傾斜角度αと傾斜角度βとが同じ角度であっても良く、傾斜角度αが傾斜角度βよりも大きくても良い。
【0085】
また、上記実施形態においては、枠体部8の内周面22と突起部9の第1傾斜面26とが、連続して形成され面一とされたが、本発明は、これに限らず、内周面22と突起部9が面一とされなくとも良く、更に、連続して形成されていなくても良い。
【0086】
図10は、このような突起部の変形例を示す図である。なお、本変形例を説明するにあたり、上記実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0087】
図10に示すように、本変形例においては、突起部91は、枠体部8の開口24から離間して形成される。従って、素子搭載部25に搭載される発光素子30から出射される光が電極パッド41aに回り込むことをより抑制することができる。
【0088】
また、上記実施形態における突起部9は、断面における形状が全体的に山なりとなっていたが、本変形例においては、枠体部8における突起部91が形成される面と対向する平面28を有している。言い換えると、開口側の第1傾斜面26aと電極パッド41a側の傾斜面27aとの間に、枠体部8における突起部91が形成される面(上面23)と平行な平面28が形成されている。突起部91の上面がこのように平面状であることにより、上記実施形態のように枠体部8側と反対側の面の形状が曲面状である同じ高さの突起部9と比べると、発光素子30が発光する電極パッド41aに回り込むことをより抑制することができる。従って、電極パッド41aによる反射効率の低下や、電極パッド41aの経時劣化による反射効率の更なる低下といった不具合をより低減することができる。
【0089】
また、上記実施形態においては、単層のセラミックグリーンシート2を、プレス成型することで、基板本体11の形状を形成したが、本発明はこれに限らず、金型に原料粉末を充填して加圧成形することで、基板本体11の形状を形成しても良い。