【実施例】
【0014】
図2に示すように、製氷機10は、製氷機構24を備える製氷装置12と、この製氷装置12の下方に配置され、製氷機構24からの氷Iを貯蔵する貯氷室76が内部画成された貯氷庫74とから構成されている。なお、製氷装置12と貯氷庫74とは、別体として独立分離可能に構成され、前記貯氷庫74は必要な容量のものが選択的に使用されるようになっている。
【0015】
製氷装置12は、
図1に示すように、外骨格をなす矩形状フレーム16の前後、左右および上面の夫々に、本体パネル18を組み付けた略箱形の筺体を有している。この筺体の内部上方に、圧縮機CM,凝縮器CD等の冷凍機構42や関連部品を組み込んだ機械室40が配置され、また内部下方に、製氷機構24と氷放出シュート50とを内部に設けた製氷室22が配設されている。製氷室22を覆う本体パネル18の内側には結露を防止するため板状の断熱材20が貼設されて、製氷室22を外気から断熱する構造になっている。なお前記断熱材20としては、ポリスチレンや硬質ウレタンの発泡シートが一般に使用されるが、これに限定されるものではない。また貯氷庫74は、
図2に示すように、外箱78と内箱80との間に断熱材20を発泡充填した筺体構造になっている。この貯氷庫74の上部は開放されており、上方に位置する製氷装置12から落下する氷Iは、前記氷放出シュート50を介して貯氷室76へ放出貯留される。
【0016】
製氷機構24は、
図2に示す如く、製氷室22の内部上方に配設されている。この製氷機構24は、下向きに開口する多数の製氷小室を画成した製氷部26と、前記冷凍機構42に接続して前記製氷部26の上面に蛇行配置した蒸発器EPと、前記製氷部26の下方に配設された水皿28と、この水皿28の下部に配設された製氷水タンク30と、該製氷水タンク30に配設されたポンプモータ32とから構成されている。前記水皿28は、
図2において、その左側端部が支軸34により支持されて斜め下方へ傾動可能であり、また右側端部が水皿開閉機構36に接続されている。そして水皿28は、水皿開閉機構36の正逆駆動により、前記製氷小室を下方から閉成する閉成姿勢(
図1の状態)と、製氷水タンク30と一体的に傾動して前記製氷小室を開放する開放姿勢(
図2の状態)とに姿勢変位する。製氷運転に際しては、水皿28を閉成した姿勢のもとでポンプモータ32を作動させると、製氷水タンク30の製氷水が水皿28に開設した噴水孔から前記製氷小室へ噴射供給される。
【0017】
前記製氷運転では、蒸発器EPによって冷却されている製氷小室に製氷水が供給されるので、製氷小室の内壁面に徐々に氷層が形成されて氷塊に成長する。そして、製氷小室での製氷完了を検知センサが検出すると、除氷運転に切り替わり、蒸発器EPに冷凍機構42からホットガスが供給されて、製氷小室と氷Iとの氷結面を融解する。除氷運転では、水皿28が斜め下方へ傾動した開放姿勢に変位するので、製氷小室から落下した氷Iは前記水皿28の傾斜面上を滑落し、前記貯氷室76に放出貯留される。
【0018】
図2および
図4に示すように、前記製氷機構24の下方には、除氷運転に伴い傾動開放した製氷水タンク30から排出される製氷水を受入れるドレンパン44が配設されている。このドレンパン44は、略矩形状をなす底板部46の各端縁部に所要高さで壁部48が立設され、該ドレンパン44に回収された製氷水はドレンパイプ(図示せず)から機外へ排出される。また、ドレンパン44は、
図1に示すように、製氷室22の下部に左側に偏って配設され、その右側に後述する氷放出シュート50が設置される。
【0019】
特に
図1および
図2に示すように、製氷室22における製氷機構24の下方には、該製氷機構24から落下する氷Iを貯氷室76に案内する氷放出シュート50が、前記ドレンパン44の右側に配置されている。この氷放出シュート50は、
図4および
図6に示すように、内部に中空部68を形成した中空構造になっている。実施例の氷放出シュート50は、ポリエチレン等の合成樹脂を材質とし、ブロー成形によって全体に中空部68が内部画成されている。すなわち、中空部68は空気を良好な断熱材としているので、氷放出シュート50はそれ自体が良質の断熱部(空気断熱部)として機能する。
【0020】
この氷放出シュート50は、
図5に示すように、所要高さで前後方向に延在する本体部52と、この本体部52の前後方向両端から左方向に夫々延出して立設された側部54,56とからなり、全体として平面コ字状に形成されている。
図2および
図4に示すように、前記本体部52の背面となる右壁面は、右本体パネル18cに当接する当接面58となっている。この当接面58の表側となる本体部52の左壁面は、
図6に示すように、左下がりに傾斜する第1案内面60になっている。また前側の側部54における後壁面と、後側の側部56における前壁面とは、第1案内面60の前後両端に連接された第2案内面62になっている(
図4参照)。更に前記第1案内面60、第2案内面62およびドレンパン44の右壁部48aによって、殊に
図2から判明するように、製氷室22および貯氷室76を上下に連通する氷通路64が画成されている。
【0021】
除氷運転により製氷機構24から落下した氷Iは、第1案内面60や第2案内面62により落下範囲を規制されつつ下方へ案内され、前記氷通路64を介して貯氷庫74に放出貯留される。また、第1案内面60には、上下方向に延在する複数の溝66(実施例では5本)が凹設され、この溝66によって氷Iはスムーズに下方に案内される。なお、氷放出シュート50の前記当接面58には、第1案内面60に向けて円錐形状の補強リブ70が複数(実施例では4つ)設けられ(殊に
図7参照)、該氷放出シュート50を補強して反りや変形を防止している。
【0022】
図3、
図5および
図7に示すように、氷放出シュート50における底面の前後方向両端には、上方に陥凹した段部72,72が夫々形成され、該氷放出シュート50の左右方向に亘り略水平に延在している。氷放出シュート50を製氷室22に設置するに際しては、外骨格をなす前記フレーム16における前後の下部左右フレーム16a,16aに載置され、この前後の下部左右フレーム16a,16aに前記段部72,72が下方から支持される(
図3および
図4参照)。このとき、氷放出シュート50は、前記ドレンパン44の右壁部48aと、前本体パネル18aと、後本体パネル18bと、右本体パネル18cとに囲まれた空間に嵌まり込むように寸法設定されている。また、氷放出シュート50の前後方向寸法は、製氷室22内の前後方向寸法より僅かに小さく形成されていて、前後の下部左右フレーム16a,16aまたは前本体パネル18aおよび後本体パネル18bによって、該氷放出シュート50の前後方向への移動が規制される。更に、氷放出シュート50の左右方向寸法は、前記ドレンパン44の右壁部48a外面と右本体パネル18cの内面との間隔より僅かに小さく形成されていて、フレーム16における右側の下部前後フレーム16bまたは右本体パネル18cと、ドレンパン44の右壁部48aとによって、氷放出シュート50の左右方向への移動が規制されている。すなわち、氷放出シュート50は、製氷機10のフレーム16または本体パネル18と、ドレンパン44とによって水平方向の移動が規制される。
【0023】
氷放出シュート50の上下方向の寸法は、製氷室22の略下半分に対応している。従って、
図1に示すように、氷放出シュート50の前記当接面58は、製氷室22における右本体パネル18cの対応部位の略下半分に密着的に当接する。また製氷室22を覆う前本体パネル18a、左本体パネル18dおよび後本体パネル18bの内側には、製氷室22の対応部位の略全面に亘って前記断熱材20が貼設されている。一方、製氷室22における右本体パネル18cの内側には、氷放出シュート50の当接面58が当接する部位を除いて断熱材20が貼設されている。
【0024】
実施例の製氷機10では、氷放出シュート50に中空部68が形成されているので、前述の如く氷放出シュート50自体が断熱部材として機能する。このような氷放出シュート50の当接面58が、右本体パネル18cに当接させてあるので、その当接面58が当接する部位には断熱材20を貼設する必要がない。従って、全体として断熱材20の使用量を抑えることができ、コストの削減を図ることができる。
【0025】
実施例の製氷機10は、製氷装置12と貯氷庫74とを別体として構成したので、貯氷庫74の断熱材20に影響を与えることなく、製氷装置12における断熱材20の使用量を抑えることができる。また、製氷装置12と貯氷庫74とを別体とし、製氷室22を覆う本体パネル18の内側に断熱材20を貼り付けて構成する製氷機10では、製氷室22と貯氷室76とが一体に形成され、製氷室22の断熱材20を貯氷室76の断熱材20と一体に発泡充填する場合に較べて、効率よく製氷装置12における断熱材20の使用量を抑えることができる。
【0026】
先に述べたように氷放出シュート50は、該氷放出シュート50の段部72,72が前後の下部左右フレーム16a,16aに支持されている。また、前後の下部左右フレーム16a,16aまたは前本体パネル18aおよび後本体パネル18bによって、氷放出シュート50の前後方向への移動が規制されると共に、右側の下部前後フレーム16bまたは右本体パネル18cとドレンパン44の右壁部48aとによって、氷放出シュート50の左右方向への移動が規制される。従って、氷放出シュート50をフレーム16に載置するだけで、該氷放出シュート50を製氷室22内に安定的に取り付けることができる。すなわち、氷放出シュート50を固定するために、ネジや接着剤等の固定手段を必要としないので、作業効率がよくコストを削減できる。なお、製氷機構24から落下する氷Iが第1案内面60や第2案内面62に当接しても、氷放出シュート50に上向きの力が掛かることはないので、氷放出シュート50が上方へ持ち上がることはない。
【0027】
(変更例)
本発明は、前述の実施例に限定されず、以下の如く変更することも可能である。
(1) 実施例では、噴射式の製氷機構を有し、貯氷庫と製氷装置とが別体に構成された製氷機を例に挙げて説明したが、流下式の製氷機構を有する製氷機であってもよく、貯氷室内に製氷機構が設けられた製氷機であってもよい。
(2) 実施例では、空気断熱部として中空部を備える氷放出シュートを例に挙げて説明したが、氷放出シュートに空気による断熱部が形成されていればよく、氷放出シュートの一部または全部をウレタンフォームのような気泡を含有した材質で形成してもよい。
(3) 実施例では、全体に中空部が形成された氷放出シュートを例に挙げて説明したが、本体パネルに当接させる部位に中空部が形成されていればよい。
(4) 実施例では、フレームに載置して取り付けられる氷放出シュートを採用したが、ネジや接着剤等の固定手段を用いて氷放出シュートを取り付ける構成であってもよい。
(5) 実施例では、右本体パネルの製氷室に対応する部位の略下半分に当接する氷放出シュートを例に挙げて説明したが、空気断熱部を本体パネルに当接する構成であればよく、当接させる面積および形状は任意である。
(6) 実施例では、ブロー成形された氷放出シュートを例に挙げて説明したが、射出成形された部材を組み合わせて氷放出シュートを形成してもよく、実施例のものに限定されない。