(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被測定体(10)の表面に固定するための取り付け部(1a、13a、13b、23a〜23h)、並びに、前記被測定体の歪量に応じて互いの対向距離が短くなる第1の対向部(14、34)及び第2の対向部(15、35)を有するベース板(11)と、
少なくとも一部が前記第1の対向部上に固定される最大歪量保持部(16、16a〜16c、18a〜18g)、及び、少なくとも一部が前記第2の対向部上に固定される押圧部(17)を有するセンサ部(12)と、を備え、
前記最大歪量保持部は、外枠部(16)と、両端部が当該外枠部に支持され、前記押圧部に対して一方向に所定の間隔を設けて配列された少なくとも1つの梁部(16a〜16c)と、当該各梁部上に形成された主電極部(18a〜18c)と、前記外枠部上に形成され、前記各主電極部の両端部とそれぞれ電気的に接続された複数の端子部(18d〜18g)と、を有し、
前記梁部及び対応する前記主電極部は、前記被測定体の歪量が前記梁部の前記所定の間隔により規定される値に到達したときに、前記押圧部により当該押圧部に近い側から順次不可逆的に破壊されることを特徴とする歪センサ。
前記センサ部は、初期状態において前記押圧部を前記外枠部に連結して支持するとともに、前記被測定体の歪量が所定値に到達したときに不可逆的に破壊される支持部(17a〜17d)をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の歪センサ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
構造物の安全性を診断する上では、その構造物に印加された歪量の最大値(最大歪量)を知ることが重要である。特許文献1や特許文献2に開示された従来の歪センサは、被測定体の歪量に従ってブラッグ波長や電気抵抗の値が変化するものであり、それらの変化は可逆的である。それ故に、従来の歪センサを用いて歪量を計測する計測システムは、最大歪量を得るために被測定体の常時監視を行わなければならず、歪センサが設置される構造物ごとに測定器が設置されることが必須となり、コストがかかるという課題があった。
【0007】
また、従来の歪センサを用いた計測システムは、歪センサ自体が正常であっても、測定器が故障して測定が行われなかった場合には、測定器が故障していた期間の最大歪量が不明になってしまうという課題も有していた。
【0008】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであって、被測定体の常時監視を行うための測定器を必要とせず、被測定体の最大歪量を任意のタイミングで測定可能な歪センサ及び歪センサシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1の歪センサは、被測定体の表面に固定するための取り付け部、並びに、前記被測定体の歪量に応じて互いの対向距離が短くなる第1の対向部及び第2の対向部を有するベース板と、少なくとも一部が前記第1の対向部上に固定される最大歪量保持部、及び、少なくとも一部が前記第2の対向部上に固定される押圧部を有するセンサ部と、を備え、前記最大歪量保持部は、外枠部と、両端部が当該外枠部に支持され、前記押圧部に対して一方向に所定の間隔を設けて配列された少なくとも1つの梁部と、当該各梁部上に形成された主電極部と、前記外枠部上に形成され、前記各主電極部の両端部とそれぞれ電気的に接続された複数の端子部と、を有し、前記梁部及び対応する前記主電極部は、前記被測定体の歪量が前記梁部の前記所定の間隔により規定される値に到達したときに、前記押圧部により当該押圧部に近い側から順次不可逆的に破壊されることを特徴とする構成を有している。
【0010】
この構成により、本発明の請求項1の歪センサは、被測定体に印加された最大歪量を不可逆的に保持する最大歪量保持部を有することにより、被測定体の常時監視を行うための測定器を用いずに、被測定体の最大歪量を任意のタイミングで測定することを可能とする。
【0011】
また、本発明の請求項2の歪センサは、前記センサ部が、初期状態において前記押圧部を前記外枠部に連結して支持するとともに、前記被測定体の歪量が所定値に到達したときに不可逆的に破壊される支持部をさらに有することを特徴とする構成を有していてもよい。
【0012】
また、本発明の請求項3の歪センサは、前記センサ部
が一体形成されていることを特徴とする構成を有している。
【0013】
この構成により、本発明の請求項3の歪センサは、各梁部と押圧部の先端との距離を精度良く構成できるとともに、取得したい最大歪量に応じてそれらの距離を任意に設定することが可能である。
【0014】
また、本発明の請求項4の歪センサシステムは、上記の歪センサと、前記最大歪量保持部における前記各端子部に電気的に接続され、前記各主電極部の電気抵抗に基づいて前記被測定体の最大歪量を検出する最大歪量検出部と、を備えることを特徴とする構成を有している。
【0015】
この構成により、本発明の請求項4の歪センサシステムは、被測定体に印加された最大歪量を不可逆的に保持する歪センサを備えることにより、被測定体の常時監視を行うための測定器を用いずに、最大歪量を任意のタイミングで測定することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、被測定体に印加された最大歪量を不可逆的に保持することにより、被測定体の常時監視を行うための測定器を必要とせず、被測定体の最大歪量を任意のタイミングで測定可能な歪センサ及び歪センサシステムを提供するものである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る歪センサ及び歪センサシステムの実施形態について図面を用いて説明する。なお、各図面上の各構成の寸法比は、実際の寸法比と必ずしも一致していない。
【0019】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る歪センサ1の構成について説明する。
図1〜4に示すように、歪センサ1は、金属製のベース板11と、ベース板11上に設置されるセンサ部12と、を主に備える。
【0020】
ベース板11は、被測定体10の表面に取り付けられることにより、被測定体10の外力あるいは温度による歪に応じて変形するようになっている。被測定体10としては、ビル、河川堤防等の各種堤体、地盤斜面、岩盤、橋梁(道路や鉄道の高架等も含む)等の構造物が挙げられる。
図3、4に示すように、ベース板11は、歪センサ1を被測定体10の表面に取り付けるための取り付け面1a、及び、複数の取り付け穴13a、13bと、初期状態(被測定体10に歪がない状態)でX方向に所定の距離だけ離れて対向し、被測定体10の圧縮歪量に応じてその対向距離が短くなる第1の対向部14及び第2の対向部15と、を有する。
【0021】
ここで、取り付け面1a及び取り付け穴13a、13bは、取り付け部を構成している。取り付け穴13aは第1の対向部14側に形成され、一方、取り付け穴13bは第2の対向部15側に形成される。なお、
図3は、
図1のA−A断面図であるが、取り付け穴13a、13bを介して被測定体10に取り付けネジ20a、20bがねじ込まれた状態を示している。
【0022】
ここで、第1及び第2の対向部14、15はそれぞれベース板11の長手方向(X方向)に突出する突出部位14a、15aを有しており、これらの突出部位14a、15a上に接着剤によりセンサ部12が接着されるようになっている。ベース板11のX方向の長さDは、例えば100mmである。
【0023】
センサ部12は、MEMS技術によりシリコン(Si)基板から一体形成されてなる。
図2及び4に示すように、センサ部12は、略コの字状に形成され、少なくとも一部がベース板11の突出部位14a上に接着固定される外枠部16と、少なくとも一部がベース板11の突出部位15a上に接着固定される押圧部17と、両端部が外枠部16に支持されて梯子状に形成された梁部16a、16b、16cと、初期状態において押圧部17を外枠部16に連結して支持するとともに、被測定体10の歪量が所定値に到達したときに不可逆的に破壊される支持部17a、17b、17c、17dと、を有する。
【0024】
梁部16a〜16cは、押圧部17に近い方からこの順に、ベース板11の長手方向(X方向)に所定の間隔を設けて配列されている。ここでは、押圧部17の先端から梁部16aの中心までの距離をd
1、梁部16aと梁部16bの中心間距離をd
2、梁部16bと梁部16cの中心間距離をd
3としている。各距離d
1〜d
3は例えば100μm程度の長さである。なお、距離d
1〜d
3は、全て同一である必要はなく、例えば押圧部17側から対数的に増加または減少するものであってもよい。また、梁部の個数は
図2等に示した3個に限定されるものではなく、1個であってもよいし、4個以上であってもよい。
【0025】
即ち、押圧部17は、被測定体10の圧縮歪量に応じて支持部17a〜17dを破壊して、梁部16a〜16cに向かってX方向に移動するようになっている。そして、押圧部17は、被測定体10の圧縮歪量が所定値に到達すると梁部16aに接触し、さらに圧縮歪量が大きくなると遂には梁部16a〜16cを不可逆的に順次破壊するようになっている。
【0026】
外枠部16及び梁部16a〜16cには電極18が形成されている。電極18は、各梁部16a〜16c上に金を蒸着することによって形成され、ベース板11の長手方向に垂直なY方向に延伸する主電極部18a、18b、18cと、外枠部16上に形成され、主電極部18a〜18cの両端部とそれぞれ電気的に接続された端子部18d、18e、18f、18gと、を有する。ここで、外枠部16、梁部16a〜16c、及び電極18は最大歪量保持部を構成する。
【0027】
図2に示した例では、各主電極部18a、18b、18cに対応する端子部18d、18e、18fは、コの字形状の外枠部16の対向する辺の一方側に形成され、他方側に主電極部18a〜18cの共通電極としての端子部18gが形成されている。なお、主電極部18a〜18cと端子部18d〜18gとは、一体的に蒸着形成されたものであっても、別個に形成されたものであってもよい。
【0028】
このように構成された歪センサ1は、梁部16a〜16c及び対応する主電極部18a〜18cが破壊されることにより、被測定体10の圧縮歪量が、各梁部16a〜16cと押圧部17の先端との距離(d
1、d
1+d
2、d
1+d
2+d
3)によって規定される圧縮歪量St
1〜St
3に到達したか否かを検出することができる。
【0029】
次に、歪センサ1の被測定体10への取り付け手順について説明する。まず、ベース板11の突出部位14a(
図4参照)上に、歪センサ1の外枠部16(
図2参照)をエポキシ樹脂等の接着剤により接着固定する。この作業は工場の作業台で行われるとよい。次に、外枠部16が接着固定されたベース板11を被測定体10の表面に接着する。このとき、ベース板11の長手方向(X方向)は、被測定体10の圧縮歪量を測定したい方向に一致させることが望ましい。次に、取り付け穴13a、13bに取り付けネジ20a、20b(
図3参照)をねじ込むことにより、ベース板11を被測定体10に固定する。最後に、ベース板11の突出部位15a上に押圧部17を接着固定する。
【0030】
なお、歪センサ1の被測定体10への取り付け手順は上記に限定されない。例えば、工場の作業台で突出部位15a上に押圧部17を接着固定した後に、押圧部17が接着固定されたベース板11を被測定体10の表面に接着し、最後に突出部位14a上に外枠部16を接着固定してもよい。
【0031】
次に、本実施形態の歪センサ1を用いた被測定体10の圧縮歪量の測定方法について
図5及び6を参照しながら説明する。この測定方法は、歪センサ1を備えた歪センサシステム40、50を用いるものである。
【0032】
図5に示すように、歪センサシステム40は、歪センサ1の各端子部18d〜18g(
図2参照)に、それぞれ抵抗体R
1、R
2、R
3を介して外部端子T
1、T
2、T
3、T
gが電気的に接続された構成を有している。
【0033】
図5の上段は、ベース板11に歪が加えられていない初期状態を示している。このとき、主電極部18a〜18cの電気抵抗は全てゼロであるため、外部端子T
gと各外部端子T
1〜T
3との間の電気抵抗をデジタルマルチメータ等の測定手段(不図示)で測定すると、その測定結果は各抵抗体R
1〜R
3の電気抵抗値に応じた所定の値となる。ここで、測定手段(不図示)と、抵抗体R
1〜R
3と、外部端子T
1〜T
3、T
gは、最大歪量検出部を構成している。
【0034】
一方、
図5の下段は、被測定体10の圧縮歪により、ベース板11が所定長さεだけX方向に収縮し、押圧部17に最も近い1本目の梁部16a(
図2参照)が不可逆的に破壊された状態を示している。このとき、外部端子T
gと外部端子T
2、T
3との間の電気抵抗は上記所定の値となるが、外部端子T
gと外部端子T
1との間の電気抵抗(あるいは、主電極部18aの電気抵抗)は無限大となり、梁部16aが破壊されて主電極部18aに断線が生じたことが分かる。
【0035】
このように、外部端子T
gと各外部端子T
1〜T
3との間の電気抵抗を測定することにより、被測定体10に加わった最大の圧縮歪量が、各梁部16a〜16cと押圧部17の先端との距離(d
1、d
1+d
2、d
1+d
2+d
3)によって規定される圧縮歪量St
1〜St
3に到達したか否かを任意のタイミングで観測することが可能となる。
【0036】
図6は、
図5に示した外部端子T
1〜T
3、T
gに代えて、梁部16a〜16c及び対応する主電極部18a〜18cの破壊状況を表示するLED等からなる表示ランプL
1、L
2、L
3と、これらの表示ランプL
1〜L
3に電力を供給するための電池19と、を備えた歪センサシステム50の構成を示している。ここで、抵抗体R
1〜R
3と、表示ランプL
1〜L
3と、電池19は最大歪量検出部を構成している。
【0037】
この構成によれば、梁部16a〜16c及び対応する主電極部18a〜18cがいずれも破壊されていない場合には、主電極部18a〜18cの電気抵抗は全てゼロであるため、表示ランプL
1〜L
3のアノード側の電位とカソード側の電位はいずれもグラウンド電位となり、表示ランプL
1〜L
3のいずれも点灯しない。しかしながら、一旦梁部16a〜16c及び対応する主電極部18a〜18cのいずれかが破壊されると、対応する表示ランプL
1〜L
3のアノード側とカソード側に電位差が生じるため、対応する表示ランプL
1〜L
3が点灯する。
【0038】
例えば、押圧部17に近い側から1本目と2本目の梁部16a、16b(
図2参照)が破壊されて、主電極部18a、18bに断線が生じた場合には、表示ランプL
1、L
2に発光閾値電流以上の電流が印加されて表示ランプL
1、L
2が点灯する。
【0039】
このように、歪センサシステム50は、被測定体10の最大の圧縮歪量を目視で容易に確認できるという利点を有する。なお、
図6に示した構成では、破壊された梁部に対応する表示ランプが点灯するとしたが、逆に、破壊されていない梁部に対応する表示ランプが常に点灯し、破壊された梁部に対応する表示ランプのみが消灯する構成であってもよい。
【0040】
以上説明したように、本実施形態に係る歪センサは、橋梁等の建造物に設置され、例えば地震が発生した際に建造物に印加された最大の圧縮歪量が、センサ部12の構成によって規定される圧縮歪量以上であったか否かを示す情報を不可逆的に保持することができる。従って、本実施形態に係る歪センサ及び歪センサシステムを用いれば、被測定体10に印加された最大の圧縮歪量の情報を地震が収まった後日に取得することが可能となる。
【0041】
つまり、本実施形態に係る歪センサ及び歪センサシステムを用いれば、被測定体10の常時監視が不要となる。例えば複数の橋梁に本実施形態に係る歪センサを取り付けておき、測定者がデジタルマルチメータ等の簡易な測定器をそれぞれの橋梁に持参してその場で測定することにより、それぞれの橋梁に印加された最大の圧縮歪量を測定することが可能となる。このようにして、歪量を観測するための測定器が1つですむため、システム全体のコストが大幅に削減される。
【0042】
また、本実施形態に係る歪センサは、センサ部12がMEMS技術により一体形成されるため、各梁部16a〜16cと押圧部17の先端との距離を精度良く構成できるとともに、取得したい最大歪量に応じてそれらの距離を任意に設定することが可能である。
【0043】
なお、本実施形態では、センサ部12がMEMS技術により一体形成されるとしたが、センサ部12の外枠部16、押圧部17、梁部16a〜16c、支持部17a〜17dはそれぞれ別個に形成されたものであってもよい。なお、支持部17a〜17dを省略し、押圧部17が外枠部16と分離された構成であってもよい。
【0044】
また、押圧部17が梁部16a〜16cよりも十分に厚く形成されていると、押圧部17と梁部16a〜16cとが互いにZ方向に逆向きに歪んだ場合であっても、押圧部17による梁部16a〜16cの破壊に影響を与えにくくなるため好ましい。
【0045】
また、押圧部17、支持部17a及び17c上(
図2参照)にも、Y方向に延伸する主電極部と、外枠部16上に配置される端子部とが形成されていてもよい。この場合には、梁部16aが破壊されるまでに至らない微小な圧縮歪量を検出することも可能となる。
【0046】
なお、
図2等に示した例では、梁部16a〜16cは、X方向の幅が一定となるストライプ状をなすものであるが、梁部16a〜16cは、破壊されやすいように適宜その幅が狭くなる箇所を設けたものであってもよい。
【0047】
(第2の実施形態)
本発明に係る歪センサの第2の実施形態を図面を参照しながら説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成及び動作については適宜説明を省略する。第1の実施形態では、ベース板11は、Y方向に中心位置が揃うように配列された2つの取り付け穴13a、13bを有するものであった。
【0048】
これに対して、
図7に示すように本実施形態の歪センサ2におけるベース板21は、X方向に中心位置が揃った2つの取り付け穴を1組として、その組がX方向に複数配列された構成を有している。
図7に示した例では、取り付け穴23a、23eの組、及び、取り付け穴23b、23fの組が第1の対向部14側に形成され、一方、取り付け穴23c、23gの組、及び、取り付け穴23d、23hの組が第2の対向部15側に形成される。
【0049】
取り付け穴23b(23f)と取り付け穴23c(23g)との中心間距離D
1は例えば50mmであり、取り付け穴23a(23e)と取り付け穴23d(23h)との中心間距離D
2は例えば100mmである。
【0050】
図8(a)に示すように、取り付けネジ24a、24d、24e、24hを外側の取り付け穴23a、23d、23e、23hにねじ込んで歪センサ2を被測定体10に固定する場合には、例えば1000μεの圧縮歪量がベース板21に加わると、押圧部17に最も近い1本目の梁部16a(
図2参照)が破壊される。
【0051】
一方、
図8(b)に示すように、取り付けネジ24b、24c、24f、24gを内側の取り付け穴23b、23c、23f、23gにねじ込んで歪センサ2を被測定体10に固定する場合には、外側に取り付けネジをねじ込んだ場合よりも大きい、例えば2000μεの圧縮歪量がベース板21に加わると、押圧部17に最も近い1本目の梁部16a(
図2参照)が破壊される。
【0052】
従って、上記中心間距離D
1、D
2や、取り付けネジ24a〜24hの取り付け箇所を調整すれば、被測定体10の歪量の検出感度を任意に調整することが可能となる。なお、取り付け穴の位置と個数、また、取り付けネジの取り付け箇所は、
図7、8に示した例に限定されない。
【0053】
(第3の実施形態)
本発明に係る歪センサの第3の実施形態を図面を参照しながら説明する。なお、第1及び第2の実施形態と同様の構成及び動作については適宜説明を省略する。第1及び第2の実施形態では、被測定体10の圧縮歪量を検出する構成を例に挙げて説明したが、本実施形態では被測定体10の圧縮歪量のみならず伸長歪量も検出できる構成を説明する。
【0054】
図9、10に示すように、本実施形態の歪センサ3におけるベース板31は、センサ部12が接着固定される第1及び第2の対向部14、15からなる圧縮歪量を検出する構成に加えて、初期状態でX方向に所定の距離だけ離れて対向し、被測定体10の伸長歪量に応じてその対向距離が短くなる第1の対向部34及び第2の対向部35を有する。
【0055】
ここで、第1及び第2の対向部34、35は、それぞれ略コの字状の部位を有して互い違いに配置される。また、第1及び第2の対向部34、35は、それぞれベース板11の長手方向(X方向)に突出する突出部位34a、35aを有している。突出部位34a上にはセンサ部12(
図2参照)の外枠部16が接着固定され、一方、突出部位35a上にはセンサ部12の押圧部17が接着固定されるようになっている。
【0056】
即ち、突出部位35a上に接着固定された押圧部17は、被測定体10の伸長歪量に応じて支持部17a〜17dを破壊して、梁部16a〜16cに向かってX方向に移動するようになっている。そして、突出部位35a上に接着固定された押圧部17は、被測定体10の伸長歪量が所定値に到達すると梁部16aに接触し、さらに伸長歪量が大きくなると遂には梁部16a〜16cを不可逆的に順次破壊するようになっている。
【0057】
センサ部12の構成及び機能は、既に説明した第1及び第2の実施形態のものと同一である。従って、本実施形態に係る歪センサ3は、被測定体の圧縮歪量のみならず伸長歪量も検出することができる。