(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、内燃機関用潤滑油における無灰分散剤、駆動系潤滑油における摩擦調整剤などの用途に有用な新規なコハク酸イミド化合物、並びに該化合物を含有した潤滑油添加剤及び潤滑油組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、下記一般式(1)で表されるコハク酸イミド化合物を提供する。
【化1】
[式(1)中、R
1は数平均分子量500以上5000未満のアルキル基又は数平均分子量500以上5000未満のアルケニル基を示し、同一分子中の2つのR
1は互いに同一でも異なっていてもよく、nは3以上20以下の整数を示す。]
【0007】
また、本発明は、下記一般式(2)で表される化合物と、下記一般式(3)で表される化合物との反応により得られるコハク酸イミド化合物を提供する。
【化2】
[式(2)中、R
1は数平均分子量500以上5000未満のアルキル基又は数平均分子量500以上5000未満のアルケニル基を示す。]
【化3】
[式(3)中、nは3以上20以下の整数を示す。]
【0008】
本発明のコハク酸イミド化合物は、従来のコハク酸イミド化合物と比較して、非常に優れた特性を有するため、内燃機関用潤滑油における無灰分散剤、駆動装置用潤滑油における摩擦調整剤などの用途に有用である。
【0009】
例えば、近時、駆動系潤滑油では、燃費効率向上の観点から自動変速機内部での摩擦力を効率よく駆動力に転換するために、従来以上の高い摩擦係数が求められている。しかし、上記の特許文献1〜3に記載されているような従来のコハク酸イミド化合物を用いた場合には、十分な摩擦特性向上効果を得ることができなかった。なお、この原因としては、従来のコハク酸イミド化合物の場合、コハク酸イミド化合物自体の摩擦特性向上効果が不十分であることに加えて、コハク酸イミドの量を増やすと金属表面への吸着性が変化してその他の添加剤のバランスを崩してしまい、結果として摩擦特性を悪化させてしまうことが考えられる。
【0010】
それに対して、本発明のコハク酸イミド化合物は、従来のコハク酸イミド化合物と比較して、摩擦特性向上効果に優れるため、自動変速機内部での摩擦力を効率よく駆動力に転換するための高い摩擦係数を達成することができ、燃費効率を向上させることができる。
【0011】
また、本発明は、上記本発明のコハク酸イミド化合物を含有する潤滑油添加剤を提供する。
【0012】
また、本発明は、潤滑油基油と、上記本発明のコハク酸イミド化合物とを含有する潤滑油組成物を提供する。
【0013】
また、本発明は、潤滑油基油と、上記本発明のコハク酸イミド化合物とを含有する無段変速機用潤滑油組成物を提供する。
【0014】
本発明の潤滑油組成物は、リン化合物をさらに含有することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、内燃機関用潤滑油における無灰分散剤、駆動系潤滑油における摩擦調整剤などの用途に有用な新規なコハク酸イミド化合物、並びに該化合物を含有した潤滑油添加剤及び潤滑油組成物を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0018】
[第1実施形態;コハク酸イミド化合物]
本発明の第1実施形態に係るコハク酸イミド化合物は、下記式(1)で表される構造を有する。
【化4】
【0019】
一般式(1)中のR
1としては、ポリブテニル基、ポリイソブテニル基が好ましい。また、数平均分子量は、500以上5000未満であり、好ましくは700〜4000、より好ましくは800〜3500である。
【0020】
また、一般式(1)中のnは3以上20以下の整数であり、好ましくは3以上16以下の整数、より好ましくは3以上10以下の整数である。nが上記下限値未満であると不純物が多くなり、反応性が低下し、基油への不溶分が多くなる傾向にあり、また、上記上限値を超えると基油に対する溶解性が低下する傾向にある。
【0021】
一般式(1)で表されるコハク酸イミド化合物は、ホウ素化せずにそのまま(すなわち非ホウ素化コハク酸イミド化合物として)用いてもよく、あるいはホウ素化コハク酸イミド化合物として用いてもよい。さらに、ホウ素化コハク酸イミド化合物と非ホウ素化コハク酸イミド化合物とを組み合わせて用いてもよい。
【0022】
ホウ素化コハク酸イミド化合物は、一般式(1)で表されるコハク酸イミド化合物に対し、ホウ素含有化合物を、通常50〜250℃、好ましくは100〜200℃の温度で反応させることにより得ることができる。ホウ素含有化合物としては、酸化ホウ素、ハロゲン化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸無水物及びホウ酸エステルなどが挙げられる。これらのホウ素含有化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
[第2実施形態:コハク酸イミド化合物]
本発明の第2実施形態に係るコハク酸イミド化合物は、下記一般式(2)で表される化合物と、下記一般式(3)で表される化合物との反応により得られるコハク酸イミド化合物である。
【化5】
[式(2)中、R
1は数平均分子量500以上5000未満のアルキル基又は数平均分子量500以上5000未満のアルケニル基を示す。]
【化6】
[式(3)中、nは3以上20以下の整数を示す。]
【0024】
一般式(2)中のR
1並びに一般式(3)中のnは、それぞれ一般式(1)中のR
1及びnと同一の定義内容を示す。これらの好ましい態様も一般式(1)の場合と同様であり、ここでは重複する説明を省略する。
【0025】
一般式(2)で表される化合物と一般式(3)で表される化合物との反応においては、通常、上記一般式(1)で表されるコハク酸イミド化合物が主生成物として得られる。また、一般式(3)で表される化合物の反応部位は複数箇所あるため、原料化合物の仕込み比(モル比)によっては、反応生成物中に一般式(3)で表される化合物1当量に対して一般式(2)で表される化合物が2当量以上反応した下記一般式(4)で表される副生成物が存在し得る。本実施形態においては、反応生成物から上記の副生成物を除去し、一般式(1)で表されるコハク酸イミド化合物のみを潤滑油添加剤として用いてもよく、あるいは、一般式(1)で表されるコハク酸イミド化合物と上記の副生成物との混合物を潤滑油添加剤として用いても良い。
【化7】
[式(4)中、R
1は数平均分子量500以上5000未満のアルキル基又は数平均分子量500以上5000未満のアルケニル基を示し、R
2は−NH
2又は下記一般式(5):
【化8】
(式(5)中、R
1は数平均分子量500以上5000未満のアルキル基又は数平均分子量500以上5000未満のアルケニル基を示す。)
で表される基を示し、nは3以上20以下の整数を示し、n個のR
2のうち少なくとも1つは一般式(5)で表される基である。]
【0026】
また、一般式(2)で表される化合物及び一般式(3)で表される化合物の仕込み比を適宜選定することによって、反応生成物中の一般式(1)で表されるコハク酸イミド化合物の割合を調整することが可能である。一般式(1)で表されるコハク酸イミド化合物をより確実に得ることができる点から、両者の仕込み比は、一般式(2)で表される化合物1molに対して、一般式(3)で表される化合物が、好ましくは1〜2mol、より好ましくは1〜1.8mol、さらに好ましくは1.1〜1.6mol、特に好ましくは1.2〜1.5molである。
【0027】
一般式(2)で表される化合物と一般式(3)で表される化合物との反応条件は特に制限されないが、反応温度は145〜180℃、好ましくは155〜175℃であり、反応時間は1〜8、好ましくは2〜6時間である。
必要に応じて反応溶媒を用いることが出来、溶媒としては、一般式(2)で表される化合物と一般式(3)で表される化合物を溶解するものが好ましく、具体的には有機溶媒であり、エタノール、トルエン、キシレン類などが例示できる。
【0028】
本実施形態に係るコハク酸イミド化合物は、ホウ素化せずにそのまま(すなわち非ホウ素化コハク酸イミド化合物として)用いてもよく、あるいはホウ素化コハク酸イミド化合物として用いてもよい。さらに、ホウ素化コハク酸イミド化合物と非ホウ素化コハク酸イミド化合物とを組み合わせて用いてもよい。
【0029】
ホウ素化コハク酸イミド化合物は、式(1)で表されるコハク酸イミド化合物に対し、ホウ素含有化合物を、通常50〜250℃、好ましくは100〜200℃の温度で反応させることにより得ることができる。ホウ素含有化合物としては、酸化ホウ素、ハロゲン化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸無水物及びホウ酸エステルなどが挙げられる。これらのホウ素含有化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
[第3実施形態:潤滑油添加剤]
本実施形態に係る潤滑油添加剤は、上記の第1実施形態又は第2実施形態に係るコハク酸イミド化合物を含有する。当該潤滑油添加剤は、第1実施形態又は第2実施形態に係るコハク酸イミド化合物のみからなるものであってもよく、第1実施形態又は第2実施形態に係るコハク酸イミド化合物と他の添加剤との混合物であってもよい。また、当該潤滑油添加剤は、添加剤を溶解するための希釈剤をさらに含有してもよい。
【0031】
第1実施形態及び第2実施形態に係るコハク酸イミド化合物は、潤滑油分野に用いられる各種添加剤との適合性に優れている。そのため、本実施形態に係る潤滑油添加剤が第1実施形態又は第2実施形態に係るコハク酸イミド化合物と他の添加剤との混合物である場合、併用される他の添加剤の種類は特に制限されず、第1実施形態又は第2実施形態に係るコハク酸イミド化合物と併用される他の添加剤の種類並びに両者の配合量は、潤滑油添加剤の用途・目的に応じて適宜選定することができる。併用される他の添加剤の具体例は後述する。
【0032】
[第4実施形態:潤滑油組成物]
本発明の第4実施形態に係る潤滑油組成物は、潤滑油基油と、上記第1実施形態又は第2実施形態に係るコハク酸イミド化合物とを含有する。なお、当該潤滑油組成物には、潤滑油基油と、上記第3実施形態に係る潤滑油添加剤とを含有する態様が包含される。
【0033】
潤滑油基油としては特に制限されず、鉱油及び合成油のいずれも使用することができる。鉱油としては、従来公知の種々のものが使用可能であり、例えば、パラフィン基系鉱油、中間基系鉱油、ナフテン基系鉱油などが挙げられる。具体的には、溶剤精製又は水素精製による軽質ニュートラル油、中間ニュートラル油、重質ニュートラル油又はブライトストックなどを挙げることができる。また、ワックスを異性化したGTL基油などを用いてもよく、精製度が上がるほどその効果は高くなる。
【0034】
また、合成油としては、同様に従来公知の種々のものが使用可能である。例えば、ポリα―オレフィン(α―オレフィン共重合体を含む)、ポリブテン、ポリオールエステル、二塩基酸エステル、リン酸エステル、ポリフェニルエーテル、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ポリオキシアルキレングリコール、ネオペンチルグリコール、シリコーンオイル、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、さらにはヒンダードエステルなどを用いることができる。
【0035】
これらの潤滑油基油は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができ、鉱油と合成油とを組み合わせて使用してもよい。
【0036】
潤滑油基油の動粘度は、潤滑油組成物の用途・目的に応じて適宜選定することができる。例えば、本実施形態に係る潤滑油組成物を駆動系潤滑油として用いる場合、潤滑油基油の100℃における動粘度は、好ましくは1〜30mm
2/s、より好ましくは2〜20mm
2/s、さらに好ましくは3〜10mm
2/sである。100℃における動粘度が上記範囲にあると、自動変速機のギア軸受けやクラッチなどの摺動部における摩擦を十分に低減し得ると共に低温特性も良好となる。一方、100℃における動粘度が30mm
2/sを超えると、燃費が悪化し、また低温粘度が高くなりすぎる傾向にある。また、100℃における動粘度が1mm
2/s未満であると、自動変速機のギア軸受けやクラッチ等の摺動部において摩耗量が増加するなど潤滑性能が低下したり、蒸発性が高くなり潤滑油消費量が多くなるおそれがある。
【0037】
また、潤滑油基油の%CAは、低温特性の点から、20以下であるものが好ましく、特に10以下であることがより好ましい。
【0038】
本実施形態に係る潤滑油組成物において、式(1)で表されるコハク酸イミド化合物の含有量は、その添加効果を有効に発揮し得る点から、好ましくは0.01〜30質量%、より好ましくは0.05〜20質量%、さらに好ましくは0.1〜10質量%である。
【0039】
本実施形態に係る潤滑油組成物は、その性能をさらに向上させる目的で、必要に応じて、第1実施形態又は第2実施形態に係るコハク酸イミド化合物以外の添加剤をさらに含有することができる。当該添加剤としては、式(1)で表されるコハク酸イミド化合物以外の無灰分散剤及び/又は摩擦調整剤、金属系清浄剤、粘度指数向上剤、極圧添加剤、酸化防止剤、腐食防止剤、消泡剤、着色剤等が挙げられる。これらの添加剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0040】
第1実施形態又は第2実施形態に係るコハク酸イミド化合物以外の無灰分散剤及び/摩擦調整剤としては、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、又は、リン酸エステル、亜リン酸エステル、チオリン酸エステルなどのリン化合物、MoDTP、MoDTCなどの有機モリブデン化合物、ZnDTPなどの有機亜鉛化合物、アルキルメルカプチルボレートなどの有機ホウ素化合物、グラファイト、二硫化モリブデン、硫化アンチモン、ホウ素化合物、ポリテトラフルオロエチレンなどの固体潤滑剤系摩擦調整剤などが挙げられ、これら中でも、リン化合物が好ましい。無灰分散剤及び/又は摩擦調整剤の含有量は、潤滑油組成物全量を基準として、通常0.1〜10質量%である。
【0041】
酸化防止剤としては、例えばアルキル化ジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキル化−α−ナフチルアミンなどのアミン系酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)などのフェノール系酸化防止剤などが挙げられる。酸化防止剤の含有量は、潤滑油組成物全量を基準として、通常0.05〜5質量%である。
【0042】
金属系清浄剤としては、例えば、カルシウムスルホネート、マグネシウムスルホネート、バリウムスルホネート、カルシウムサリチレート、マグネシウムサリチレート、カルシウムフェネート、バリウムフェネートなどが挙げられ、金属系清浄剤の含有量は、潤滑油組成物全量を基準として、通常0.1〜10質量%である。
【0043】
粘度指数向上剤としては、例えばポリメタクリレート系、ポリイソブテン系、エチレン−プロピレン共重合体系、スチレン−ブタジエン水添共重合体系のものなどが挙げられる。粘度指数向上剤の含有量は、潤滑油組成物全量を基準として、通常0.5〜35質量%である。
【0044】
本実施形態に係る潤滑油組成物の用途は特に制限されず、内燃機関用潤滑油、駆動系潤滑油等の幅広い分野で使用することができる。例えば、本実施形態に係る潤滑油組成物は、潤滑式(1)で表されるコハク酸イミド化合物を含有するため、従来のコハク酸イミド化合物と比較して、高い静摩擦係数(高い湿式摩擦材トルク容量)を達成することができ、自動変速機油や無段変速機油として好適である。また湿式クラッチ、湿式ブレーキを有する変速機を備えた建設機械や農機、手動変速機、二輪車ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ガスエンジン、ショックアブソーバー油等の潤滑油として用いることができる。
【実施例】
【0045】
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0046】
[実施例1;コハク酸イミド化合物I−aの合成]
合成装置を組み、500mLの4口フラスコに、一般式(2)で表され、R
1が数平均分子量1,000のポリイソブテニル基である化合物69.90gをはかりとり、4口フラスコ内を窒素置換した。
一方、スクリュー管に、一般式(3)で表され、nが3である化合物14.2gをはかりとり、それにキシレン50mlを加えて溶液を得た。この溶液を、4口フラスコに装着した滴下ロートに移した。また、滴下を開始する前に4口フラスコ内に150mlのキシレンをロートを用いて加えた。上記の溶液を滴下ロートから165℃にて1時間15分かけて滴下し、さらに、滴下終了後、300rpmで撹拌しながら165℃で2時間反応させた。
反応終了後、エバポレータ及びストリッピングにより溶媒を除去し、目的の生成物86.10gを得た。
IR及びGPC分析により、得られた生成物が、一般式(1)で表され、R
1が数平均分子量1,000のポリイソブテニル基であり、nが3であるコハク酸イミド化合物(以下、「コハク酸イミド化合物I−a」という。)であることを確認した。生成物のIRチャートを
図1に示す。
【0047】
[実施例2;コハク酸イミド化合物I−bの合成]
合成装置を組み、500mLの4口フラスコに、一般式(2)で表され、R
1が数平均分子量2,300のポリイソブテニル基である化合物69.90gをはかりとり、4口フラスコ内を窒素置換した。
一方、スクリュー管に、一般式(3)で表され、nが3である化合物6.11gをはかりとり、それにキシレン50mlを加えて溶液を得た。この溶液を、4口フラスコに装着した滴下ロートに移した。また、滴下を開始する前に4口フラスコ内に150mlのキシレンをロートを用いて加えた。上記の溶液を滴下ロートから165℃にて1時間15分かけて滴下し、さらに、滴下終了後、300rpmで撹拌しながら165℃で2時間反応させた。
反応終了後、エバポレータ及びストリッピングにより溶媒を除去し、目的の生成物69.2gを得た。
IR及びGPC分析により、得られた生成物が、一般式(1)で表され、R
1が数平均分子量2,300のポリイソブテニル基であり、nが3であるコハク酸イミド化合物(以下、「コハク酸イミド化合物I−b」という。)であることを確認した。
【0048】
[比較例1;コハク酸イミド化合物IIの合成]
2000mLのオートクレーブに、ポリイソブテン(数平均分子量1000)1.0molと、無水マレイン酸1.0molとを入れ、1.5時間かけて220℃まで昇温させ、220℃に達してから4時間反応させた。反応終了後、得られた生成物にn−ヘキサンを加え攪拌し、その液をろ過してスラッジを取り除いた。ろ液を常圧蒸留でn−ヘキサンを除去後、減圧下220℃で無水マレイン酸を除去し、マレイン化ポリイソブテンを得た。
2Lセパラブルフラスコに、ジエチレントリアミン1.7mol、キシレンを入れた。次に、キシレンに溶解させた得られたマレイン化ポリブテン0.17molを滴下させながら、145〜155℃で11時間反応させた。反応終了後、常圧蒸留で溶媒を除去し、減圧蒸留で残留ジエチレントリアミンを除去し、コハク酸イミド化合物IIを得た。
【0049】
[実施例3〜8、比較例2〜4;潤滑油組成物の調製及び評価試験]
実施例3〜8においては、それぞれ、潤滑油基油としてのSAE10留分(100℃動粘度4.1mm
2/s)の鉱油、コハク酸イミド化合物I−a又はI−b並びに以下に示す添加剤を用いて、表1に示す組成を有する潤滑油組成物を調製した。
比較例2、3においては、それぞれ、潤滑油基油としてのSAE10留分(100℃動粘度4.1mm
2/s)の鉱油、コハク酸イミド化合物II並びに以下に示す添加剤を用いて、表2に示す組成を有する潤滑油組成物を調製した。また、比較例4においては、潤滑油基油としてのSAE10留分(100℃動粘度4.1mm
2/s)の鉱油及び以下に示す添加剤を用いて、表2に示す組成を有する潤滑油組成物を調製した。
ポリメタクリレート:平均分子量20,000
アミン系酸化防止剤:ジフェニルアミン
トリクレジルホスフェノート
カルシウムスルホネート:300TBN
無灰系油性剤:グリセリンモノオレート
【0050】
次に、実施例3〜8及び比較例2〜4の潤滑油組成物について、LFW−1試験機を用いて金属間摩擦係数を評価した。試験条件は面圧0.8GPa、すべり速度0.2m/s、試験温度80℃で、試験時間1時間とし、時間内の摩擦係数を平均化した平均摩擦係数で評価した。得られた結果を表1〜2に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】