(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記終結処理部は、前記レプリカ信号生成部が前記レプリカ信号を生成する際に用いる遅延量に基づいて、ノードを延長させることを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る受信装置の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る受信装置は、信号入力部1、レプリカ信号生成部2、メトリック算出部3、SSE(Sequential Sequence Estimator;逐次系列推定)処理部(逐次系列推定部)4、スイッチ部5、処理部6、終結処理部7、及び信号出力部8を備えている。
【0010】
信号入力部1には、受信信号が入力される。入力される受信信号は、送信側から送信されてくる例えばQPSK(Quadrature Phase Shift Keying;四位相偏移変調)で変調された信号である。QPSK変調では、複素平面上で90度離れた4つの位相に、4つのシンボルが配置される。各シンボルには、(0,0)、(0,1)、(1,0)、(1,1)の2ビットの情報が送られる。したがって、4つの各シンボルは、(0,0)、(0,1)、(1,0)、(1,1)の2ビットの情報それぞれ含む複素値信号となる。
【0011】
レプリカ信号生成部2は、レプリカ信号を生成し、生成したレプリカ信号をメトリック算出部3に出力する。レプリカ信号生成部2は、後述するように、QPSK信号発生器と、等化器とから構成される。
メトリック算出部3は、信号入力部1より入力された受信信号とレプリカ信号生成部2からのレプリカ信号とから、受信シンボルのメトリック(尤度)を算出し、算出したメトリックをSSE処理部4に出力する。メトリックとしては、ファノ(Fano)メトリックが用いられる。
【0012】
SSE処理部4は、メトリック算出部3で算出されたメトリックにより、逐次系列推定により、受信信号の符号判定を行う。SSE処理部4は、復号終了時点から、レプリカ信号生成部2の等化器の拘束長に相当する分だけSSE処理を延長した木構造の情報から、最終的に、パスメトリックが最大となるノードを判定する。そして、SSE処理部4は、パスメトリックが最大となる枝を辿ることで、送信信号の推定を行い、推定した符号を信号出力部8に出力する。本発明においてパスメトリックとは、選択されたノードまでのメトリックの累計である。復号終了時点とは、予め定められたデータ長のデータを受信し、該受信したデータを推定したときである。
【0013】
スイッチ部5は、復号終了時点に達する前は、SSE処理部4での復号処理結果を、レプリカ信号生成部2へ出力し、複合終了時点に達した場合、復号処理結果の出力先を終結処理部7へ、切り替える。
処理部6は、復号処理時点に達したかどうかを判定し、復号終了時点に達する前には、スイッチ部5を接点5a側に設定し、復号終了時点に達したら、スイッチ部5を接点5b側に切り替える。
【0014】
終結処理部7は、後述するように復号終了時点から、レプリカ信号生成部2の等化器の拘束長(所定シンボル数)に対応する間、逐次系列推定を継続できるようにする。すなわち、終結処理部7は、等化器の拘束長(所定シンボル数)に対応する間、復号終了時点のノードから送信信号が0である既知の状態を延ばしていく。終結処理部7は、このように枝を延長した木構造の情報をSSE処理部4に出力する。
信号出力部8は、SSE処理部4が出力した推定された符号を、不図示の信号処理部に受信信号の復号結果として出力する。
【0015】
以上の構成により、本発明は、レプリカ信号を生成するレプリカ信号生成部2と、信号入力部が受信した受信信号とレプリカ信号とに基づきメトリックを算出するメトリック算出部3と、メトリック算出部が算出したメトリックに基づき、木構造を用いて逐次系列推定を行う逐次系列推定部(SSE処理部4)と、逐次系列推定部で予め定められたデータ長のデータの推定が終了したときである複合終了時点に到達した場合、逐次系列推定部が推定に用いる木構造のノードを延長させる終結処理部7と、を備え、逐次系列推定部は、前記終結処理部が延長した結果に基づいて送信信号を推定する。
【0016】
次に、信号入力部1に入力される受信信号について説明する。
図2は、送信側から送られてくる信号の特性を説明するものである。
信号入力部1に入力される受信信号は、マルチパスや遅延による影響を受けている。
図2に示すように、送信側の送信信号生成部11からの送信信号は、マルチパスや遅延による影響を受ける。この空間伝送路特性12は、希望波を1波、1シンボル遅延波を1波、2シンボル遅延波を1波とすると、1シンボルの遅延素子13及び14と、乗算器15〜17と、加算器18及び19とからなるトランスバーサルフィルタで表現できる。なお、s(n)は希望波、s(n−1)は1シンボル遅延波、s(n−2)は2シンボル遅延波である。w
x(n)は伝送路を表すチャネル係数、g(n)は外部雑音、r(n)は受信信号である。なお、受信信号は、マルチパスや遅延による影響と共に、外来雑音の影響を受ける。加算器20は、受信信号に外部雑音を加算する。
【0017】
次に、レプリカ信号生成部2について説明する。
図3は、本実施形態に係るレプリカ信号生成部(回路部)2の概略構成を示すブロック図である。
図3に示すように、レプリカ信号生成部2は、QPSK信号発生器31と、等化器32とから構成される。QPSK信号発生器31は、2ビットの情報(0,0)、(0,1)、(1,0)、(1,1)から、これら2ビットの情報それぞれを含む4つのシンボルを生成する。等化器32は、これら4つのシンボルに対して、
図2に示した伝送路の空間伝送路特性12に相当する特性を与える。ここでは、等化器32として、1シンボルの遅延素子33及び34と、乗算器35〜37と、加算器38及び39とからなるトランスバーサルフィルタが用いられる。ここで、u(n)は希望波のレプリカ信号、u(n−1)は1シンボル遅延波のレプリカ信号、u(u−2)は2シンボル遅延波のレプリカ信号である。w
x*(n)はフィルタ係数であり、y(n)はレプリカ信号生成部出力である。また、「*」は、複素共役を表している。
【0018】
次に、メトリック算出部3が行うファノメトリックの算出例を説明する。
ファノメトリックλ(y
k,z
k)は、以下のように計算できる。すなわち、受信シンボルがガウス分布しているとすると、確率密度p(z
k)は、次式(1)のように表すことができる。
【0020】
また、レプリカ信号がy
kであった場合の確率密度は、次式(2)のように表すことができる。
【0022】
メトリック算出部3は、ファノメトリックλ(y
k,z
k)を、式(1)、式(2)より、次式(3)のようにして算出する。
【0024】
ここで、Mは変調多値数、σ
2は雑音電力、y
kとy
jは受信信号予測値(レプリカ)、z
kは受信信号サンプル値、Lは等化器が考慮するパス数(等化器の最大遅延シンボル数+1)を表す。なお、(L−1)が等化器の拘束長となる。
【0025】
次に、SSE処理部4が行う処理を説明する。
SSE処理部4は、ルートノードから各枝が分岐する木構造の樹形図を用い、枝毎に、ブランチメトリックを求め、ブランチメトリックとそれまでのパスメトリックとを加算して、各ノードへのパスメトリックを求める。そして、SSE処理部4は、パスメトリックの最も大きいノードを選択し、選択されたノードから、更に、枝を分岐し、枝毎に、ブランチメトリックを求め、ブランチメトリックとそれまでのパスメトリックとを加算して、各ノードへのパスメトリックを求め、パスメトリックの最も大きいノードを選択していく処理を繰り返す。そして、SSE処理部4は、メトリックの最大となる経路から、符号を推定する。なお、ブランチメトリックは、枝毎に求められるメトリックである。
【0026】
図4は、SSEの符号判定処理に用いる樹形図の一例を示すものである。受信信号は、例えばQPSKで変調されている。QPSKは多値数が4であり、4つの各シンボルを、「x=0」、「x=1」、「x=2」、「x=3」とする。
図4において、時点jのルートノードN1では、次のシンボルは、「x=0」、「x=1」、「x=2」、「x=3」の4つのシンボルの何れかである。したがって、ルートノードN1からは、4つの枝が分岐される。
【0027】
SSE処理部4は、これらルートノードN1から延びる4つの枝の中から、パスメトリックが最大となるものを選択し、時点(j+1)でのノードを決定する。すなわち、メトリック算出部3は、信号入力部1からの受信信号と、レプリカ信号生成部2からのレプリカ信号とから、式(1)〜(3)により、ルートノードN1からノードN2へのブランチメトリックと、ルートノードN1からノードN3へのブランチメトリックと、ルートノードN1からノードN4へのブランチメトリックと、ルートノードN1からノードN5へのブランチメトリックとを算出する。ルートノードN1から延びる枝は最初の分岐となるから、ブランチメトリックがパスメトリックとなる。そして、SSE処理部4は、これらのパスメトリックの中で最大となるものを選択し、選択された枝から延びるノードを時点(j+1)でのノードとする。
【0028】
この例では、ノードN3に延びる枝のメトリックが最大となり、ノードN3が時点(j+1)での選択ノードとなる。そして、メトリック算出部3は、ノードN1からノードN3へのブランチメトリックを、ノードN3までのパスメトリックとして保存する。
【0029】
次に、SSE処理部4は、ノードN3から延びる4つの枝の中から、パスメトリックが最大となるものを選択し、時点(j+2)でのノードを決定する。すなわち、メトリック算出部3は、信号入力部1からの受信信号と、レプリカ信号生成部2からのレプリカ信号とから、式(1)〜(3)により、ノードN3からノードN6へのブランチメトリックと、ノードN3からノードN7へのブランチメトリックと、ノードN3からノードN8へのブランチメトリックと、ノードN3からノードN9へのブランチメトリックとを算出する。そして、SSE処理部4は、これらのブランチメトリックと、ノードN3までのパスメトリックとを加算して、各枝へのパスメトリックを求め、パスメトリックが最大となるものを選択し、選択された枝から延びるノードを時点j+2でのノードとする。
【0030】
この例では、ノードN9に延びる枝のメトリックが最大となり、ノードN3が時点(j+2)での選択ノードとなる。そして、SSE処理部4は、ノードN3までのパスメトリックと、ノードN3からノードN9へのブランチメトリックとを加算したメトリックを、ノードN9までのパスメトリックとして保存する。
【0031】
以下、同様にして、SSE処理部4は、ノートから延びる4つの枝の中から、パスメトリックが最大となるものを選択し、それを次の時点でのノードとして決定する。そして、それまでのパスメトリックと、最大となる枝のブランチメトリックとを加算したメトリックを、それまでのノードのパスメトリックとして保存する。SSE処理部4は、所定のシンボル数だけ、上述の処理を繰り返し行う。
【0032】
なお、SSE処理部4では、ノード選択時に、選択されたノードのパスメトリックよりも過去のノードのパスメトリックの方が大きい場合には、過去のノードを選択する。例えば、選択されたノードから計算されたブランチメトリックが負の値となるような場合には、パスメトリックの値が減少し、このようなことも起こり得る。すなわち、SSE処理は、ビタビアルゴリズムのように同時点でのメトリック比較ではない。
【0033】
次に、スイッチ部5と処理部6が行う処理について説明する。
図5は、送信信号の形態の説明図である。
図5に示すように、送信信号がフレーム単位で送信され、1フレームのデータ長(シンボル数)がDであるとする。そして、フレームの間に、ガードタイムが設けられ、このガードタイムでは、無信号であるとする。この場合、処理部6は、SSE処理部4でDシンボルの復号が行われたかどうかを判定することにより、復号終了時点Eに達したかどうかを判定して、スイッチ部5を制御する。
【0034】
処理部6は、復号終了時点Eに達する前、スイッチ部5は接点5a側に制御する。スイッチ部5が接点5a側に設定されている間、SSE処理部4の復号処理結果は、スイッチ部5を介して、レプリカ信号生成部2に送られる。レプリカ信号生成部2は、SSE処理部4が推定した符号に基づいて、レプリカ信号を生成する。SSE処理部4は、前述したように、逐次処理による復号を行う。
復号終了時点Eに達すると、処理部6は、スイッチ部5を接点5b側に切り替える。スイッチ部5が接点5b側に切り替えられると、SSE処理部4での復号処理結果は、スイッチ部5を介して、終結処理部7に送られる。
【0035】
次に、終結処理について説明する。
図6は、終結処理の説明図である。
図6に示すように、復号終了時点Eに達すると、終結処理部7は、更に、等化器32の拘束長に相当する分(ここでは2シンボル分)、ノードから延びる4つの枝にブランチメトリックを加算して、枝を延長する。そして、SSE処理部4は、復号終了時点Eから、等化器32の拘束長に相当する分だけSSE処理を延長して得られた木構造から、最終的に、パスメトリックが最大となるノードを判定する。そして、SSE処理部4は、パスメトリックが最大となる枝を辿ることで、受信信号の推定を行う。なお、枝を延長した場合のパスメトリックの算出は、終結処理部7が行うようにしてもよい。
【0036】
図7は、本発明の第1の実施形態に係る受信装置での処理を示すフローチャートである。
図7において、信号入力部1が信号を受信すると(ステップS1)、メトリック算出部3は、信号入力部1より入力された受信信号とレプリカ信号生成部2からのレプリカ信号とから、受信シンボルのメトリックを計算する(ステップS2)。
【0037】
次に、SSE処理部4は、計算されたメトリックから、ルートノードから各枝が分岐する樹形図を用い(
図4参照)、逐次系列推定により、受信信号の符号判定処理を行う(ステップS3)。次に、SSE処理部4は、所定のシンボル数(例えば1フレームのシンボル数)の復号が終了し、復号終了時点に達したかどうかを判定し、復号終了時点に達するまで、ステップS1〜ステップS4の処理を繰り返す。
【0038】
SSE処理部4で処理が復号終了時点に達すると、処理部6は、スイッチ部5を接点5b側に切り替え、SSE処理部4での復号処理結果を終結処理部7に送る。終結処理部7は、等化器32の拘束長に相当する分だけ、更に、ノードを延長して、メトリックを求める(ステップS5)。次に、SSE処理部4は、復号終了時点に至ったパスでその時点のノードから、終結処理パスメトリックを計算し、その値と記憶されている全ノード情報のパスメトリックとを比較して、その値が最大であったとき、その復号終了時点に至るまでに通るパスを送信信号系列推定結果として出力する(ステップS6)。
【0039】
上述のように、本発明の第1の実施形態に係る受信装置では、復号終了時点に達した後、終結処理部7により、等化器32の拘束長に相当する分だけSSE処理を延長している。これにより、復号終了時点付近での誤り率の劣化を軽減することができる。このことについて、以下に説明する。
【0040】
図5に示したように、送信側から1フレームの信号が送信されると、ガードタイムとなり、時点Eから後のガードタイムでは、送信側からは信号は送信されない。したがって、時点Eから後のガードタイムに受信される信号は、ノイズ成分だけである。しかしながら、時点Eの直後では、マルチパスや遅延による影響が受信信号中に残っている。
【0041】
一方、
図3に示したように、等化器32は、1シンボルの遅延素子33及び34と、乗算器35〜37と、加算器38及び39とから構成されており、拘束長は2である。このような等化器32では、1フレームの受信シンボル数Dの復号が終了した時点Eでは、等化器32の遅延素子33及び34に、2シンボル分に相当するレプリカ信号が残る。時点Eの直後で等化器32から出力されるレプリカ信号は、時点Eの直後のマルチパスや遅延による影響を反映している。
【0042】
そこで、本発明の第1の実施形態に係る受信装置では、この等化器32の遅延素子33及び34に残るレプリカ信号を用いて、SSE処理を継続することで、復号終了時点付近での誤り率の劣化を軽減させている。
つまり、本発明の第1の実施形態に係る受信装置では、復号終了時点Eから後では、終結処理部7は、送信信号が0である状態、すなわち、送信信号はノイズ成分だけである状態として、ブランチメトリックを算出する。そして、SSE処理部4及び終結処理部7は、終了時点のパスメトリックに、このブランチメトリックを新たに加算していき、
図6に示したように、時点Eから更にノードを延ばし、最終的なパスメトリックを求める。
【0043】
復号終了時点Eでは、QPSK信号発生器31からは、レプリカ信号u(E)が出力され、等化器32の遅延素子33からはレプリカ信号u(E−1)が出力され、遅延素子34からはレプリカ信号u(E−2)が出力される。したがって、次の時点(E+1)では、QPSK信号発生器31からは、レプリカ信号u(E+1)が出力され、等化器32の遅延素子33からはレプリカ信号u(E1)が出力され、遅延素子34からはレプリカ信号u(E−1)が出力される。
【0044】
ここで、復号終了時点Eから後では、送信信号は0としている。よって、レプリカ信号u(E+1)は、u(E+1)=0である。したがって、等化器32から出力されるレプリカ信号y(E+1)は、次式(4)となる。
【0046】
式(4)において、w
x*(n)はフィルタ係数である(
図3参照)。時点(E+1)のファノメトリックは、前述の式(1)〜(3)に示すようにして求めることができる。前述の式(1)におけるLは、等化器が考慮するパス数であり、Lは最大遅延シンボル数に1を加えたものとなる。時点(E+1)では、(u(E+1)=0)となるので、等化器32の遅延は、1段減少したことになる。よって、前述の式(1)におけるLは、(L−1)となり、次式(5)となる。
【0048】
この時点における式(1)のレプリカ計算パターン数は4
2となる。
【0049】
次の時点(E+2)でも、ノイズ成分だけの状態となるが、それまでの送信信号の影響は残っている。また、等化器32の拘束長は2であるので、次の時点(E+2)でも、等化器32の遅延素子34に、1シンボル分に相当するレプリカ信号が残っている。この復号終了時点Eの直後の時点(E+2)で、レプリカ信号と受信信号とから、メトリックが算出される。
【0050】
時点(E+2)では、QPSK信号発生器31からは、レプリカ信号u(E+2)が出力され、等化器32の遅延素子33からはレプリカ信号u(E+1)が出力され、遅延素子34からはレプリカ信号u(E)が出力される。
ここで、復号終了時点Eから後では、送信信号は0としているので、レプリカ信号u(E+1)及びu(E+2)は、u(E+1)=u(E+2)=0である。したがって、等化器32から出力されるレプリカ信号y(E+2)は、次式(6)となる。
【0052】
時点(E+2)のファノメトリックは、前述の式(1)〜(3)に示すようにして求めることができる。前述の式(1)におけるLは、等化器が考慮するパス数であり、時点(E+2)では、u(E+1)=u(E+2)=0となるので、等化器32の遅延は、2段減少したことになる。よって、前述の式(1)は、次式(7)となる。
【0054】
この時点における式(1)のレプリカ計算パターン数は4となる。
このように、終結処理においては、送信信号を0としたことで、レプリカ計算パターン数は、時点(E+1)で4
2、時点(E+2)で4となり、合計(16+4=20)となる。
SSE処理部4は、時点Eに至ったパスでその時点のノードから、時点(E+1)及び時点(E+2)で終結処理後のパスメトリックを計算し、その値と記憶されている全ノード情報のパスメトリックとを比較して、その値が最大であったとき、その時点Eに至るまでに通るパスを送信信号系列推定結果として出力する.
【0055】
なお、ここで、終結処理後のパスメトリックは、その他のノードにおけるパスメトリック値よりも低い値となることもある。この場合、SSE処理部4は、そのときの最大パスメトリックのノードから通常のSSE処理が行われ、ノードからノードを延ばしていく処理を行う。
【0056】
図8は、本発明の第1の実施形態を用いた場合のビット誤り率の改善を示すものである。
図8において、横軸は、Eb/N0(ビットエネルギー対雑音電力密度比)を示し、縦軸は、BER(Bit Error Rate;ビット・エラー・レート)を示している。この例では、等化器の拘束長は2とし、データ長は224シンボルとし、10000フレームのビット誤り率を調べたものである。
図8において、特性A1は終結処理を行わない場合の特性を示し、特性A2は、上述の終結処理を行った場合の特性を示している。
図8から分かるように、本発明の第1の実施形態では、復号終了時点に達した後、終結処理を行っているため、特性A2で示すように、誤り率の劣化が軽減できる。
【0057】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
例えば、上述の例では、送信信号をQPSKで変調して送信しているが、本発明は、QPSK変調に限らず、他の変調方式の場合にも、同様に適用することができる。
また、上述の例では、ガードタイムに基づいてガードタイム中に受信している値(信号0)を使っているが、ガードタイムに基づいて0を生成して使うようにしても良い。
【0058】
また、各実施形態における〜の一部の機能の全て、もしくは一部を、図示しないCPU(中央演算装置)に接続されたROM(Read Only Memory)等に保存されているプログラムにより実行することも可能である。