【実施例】
【0017】
図8に示すように、ルーフスポイラ20は、自動車等の車両の車体10におけるルーフ部12に連なるバックドア14の上部に配設され、該ルーフ部12の後方からバックドア14の上方に延出するよう構成される。また、ルーフスポイラ20は、バックドア14の上部の左右幅と略同サイズの横長形状に形成される。ルーフスポイラ20は、合成樹脂からブロー成形された単一部材から構成されたり、合成樹脂からブロー成形またはインジェクション成形された複数の部材を組み合わせて構成される。ルーフスポイラ20は、バックドア14に配設された取付具30(
図4〜
図7参照)に対して、該ルーフスポイラ20に形成された取付孔22を介してねじ締結することで取り付けられる。ここで、ルーフスポイラ20には、長手方向(左右方向)に離間して複数の取付孔22が開設され、これらの取付孔22に合わせて配設された取付具30に対して夫々ねじ止めすることで、複数箇所で機械的に締結される。なお、ルーフスポイラ20の取付孔22は、着脱可能なキャップ28によって覆われる。
【0018】
図3および
図4(b)に示すように、実施例に係る取付具30は、バックドア14(車体10)の外面を構成する外板11に貫通形成された第1開口16を通して、この第1開口16に並べて外板11に貫通形成された第2開口18に臨むように配設される。すなわち、外板11には、1つの取付具30を配設するために、該取付具30に合わせて2つの開口16,18が形成され、実施例では、両開口16,18が円形に形成されると共に、第2開口18よりも第1開口16が大きく形成される。ここで、第2開口18は、取付具30の後述する締結部36および該締結部36に締結する締結具としてのボルト24(例えばM6程度)に合わせて該ボルト24を挿通可能な直径(例えばφ8程度)に形成される。また、第1開口16は、取付具30の後述する胴部32を通すことができる直径(例えばφ14程度)に形成される。また、第1開口16および第2開口18は、ルーフスポイラ20を車体10に取り付けた際に、該ルーフスポイラ20で隠れる位置に形成される。
【0019】
図1〜
図3に示すように、取付具30は、細長い板状の胴部32を本体としており、胴部32における短手方向の寸法が第1開口16の直径より小さく形成されて、胴部32を第1開口16に対して外板11の表側から挿入可能に構成される。また、胴部32は、第1開口16から外板11の裏側に挿入した長手方向の一端部が、該第1開口16に隣り合う第2開口18の裏側に位置すると共に、該一端部が第2開口18の裏側に位置した状態で該一端部と長手方向反対側の他端部が第1開口16から外板11の表側に突き出る長さで形成される。このように、取付具30は、組をなす2つの開口16,18の互いに離間した開口縁間よりも長尺に形成される(
図3参照)。そして、取付具30は、胴部32における第1開口16から外板11の裏側に挿入した挿入部分32aを、その板面を外板11の裏面に並行させると共に、胴部32における第1開口16から外板11の表側に突出する突出部分32bを、その板面を外板11の表面に並行させた配設姿勢で配設される(
図6参照)。なお、実施例の胴部32は、該胴部32における短手方向の寸法が第2開口18の直径より大きく形成されて、胴部32を第2開口18に挿入できないようになっている。
【0020】
図6に示すように、取付具30は、胴部32の突出部分32bを外板11の表面に沿わせた状態で、該胴部32の挿入部分32aが外板11の裏面に沿うように、胴部32の途中部位に該胴部32を曲げて形状調節部34が形成される。形状調節部34は、外板11における組をなす2つの開口16,18が形成された部分の面形状に合わせて、胴部32を板厚方向に曲げて形成される。実施例では、外板11における組をなす2つの開口16,18の離間方向の面形状がおおよそ平らであるのに対応して、胴部32における挿入部分32aと突出部分32bとの間に外板11の板厚程度の段差を付けるように、形状調節部34が段状に屈曲形成される(
図1および
図2参照)。取付具30は、胴部32の挿入部分32aと突出部分32bとが形状調節部34を挟んで平行に延在し、前記配設姿勢で、胴部32の突出部分32bが外板11の表面に対して面接触可能に構成されると共に、胴部32の挿入部分32aが外板11の裏面に面接触可能に構成される。また、形状調節部34は、前記配設姿勢で第1開口16内に位置する。
【0021】
図1および
図2に示すように、取付具30は、胴部32の挿入部分32aに設けられて、配設姿勢で第2開口18に対して外板11の裏側から整合する締結部36を備え、この締結部36にボルト24がねじ締結可能になっている。締結部36は、該締結部36に対してルーフスポイラ20を取り付けるためのねじ(実施例ではボルト24)に対応したねじで構成され、すなわち締結部36および締結具24が、雌ねじおよび雄ねじの組み合わせになっている。実施例の締結部36は、胴部32の挿入部分32aにおける端部裏面に溶接固定されたナット(雌ねじ)から構成され、胴部32の挿入部分32aに貫通形成された締結通孔35にねじ孔が整合しており、該ねじ孔に対して、胴部32の表側からボルト24(雄ねじ)を締結可能になっている。
【0022】
図1および
図2に示すように、取付具30は、胴部32の突出部分32bに、第1開口16に対して挿通不能な掛止部38を備えている。掛止部38は、胴部32における挿入側と反対側の端部両側縁から、胴部32の短手方向(第1開口16への挿入方向と交差する方向)に夫々延出する板状片からなり、掛止部38の幅寸法が第1開口16の開口幅よりも大きく形成される(
図3参照)。また、掛止部38は、胴部32の突出部分32bから外板11の表面と並行するように延出形成され、配設姿勢において掛止部38が外板11の表面に沿うと共に、該表面に対して面接触可能に構成される。実施例では、掛止部38が胴部32の突出部分32bと同一面上に延びており、取付具30は、胴部32および掛止部38によって平面視で略「T」字形状になっている(
図3参照)。
【0023】
図6に示すように、取付具30は、第1開口16から挿入した胴部32の挿入部分32aとの間に、外板11における第1開口16の開口縁を挟持して、前記配設姿勢を保持する保持部40を備えている。保持部40は、胴部32における形状調節部34と挿入部分32aとの境界部から表側に延出するよう形成された板状片であり、挿入部分32aの表面に対して胴部32における第1開口16への挿入端側に向かうにつれて離れるように斜めに延在するよう形成される。胴部32の挿入部分32aと保持部40との間は、胴部32の挿入端側が拡開するよう構成される。また、保持部40は、胴部32の挿入部分32aから外板11の板厚より大きく立ち上がるように形成され、第1開口16の開口縁に引っ掛かるように構成される。なお、保持部40は、胴部32の短手方向中央部に設けられる。取付具30は、胴部32の挿入部分32aと保持部40とで第1開口16の開口縁を挟持した際に外板11の表裏方向への移動が規制され、掛止部38が外板11の表面に当接すると共に、挿入部分32aが外板11の裏面に当接する配設姿勢に保持される。また、取付具30は、第1開口16における第2開口18側の開口縁に引っ掛かった保持部40によって、第1開口16から第2開口18へ向かう外板11の面方向に沿う移動が規制され、この状態で挿入部分32aに設けられた締結部36が第2開口18に整合するように位置決めされる。実施例の保持部40は、金属板からなる胴部32における挿入部分32aの一部を打ち抜いて折り曲げるプレス加工によって、胴部32に一体形成される。
【0024】
前記取付具30は、第1開口16に対して挿脱可能に形成されて、第1開口16に挿入した状態で外板11の裏側に引っ掛かるよう構成された係合部42を備えている。係合部42は、胴部32における突出部分32bの両側縁に夫々設けられ、該側縁から裏側へ向けて突出するよう形成される。すなわち、取付具30には、胴部32における掛止部38と形状調節部34との間に、該胴部32の突出部分32bを挟んで一対の係合部42,42が対向配置される。各係合部42は、胴部32からの突出方向と交差する方向の面形状が、第1開口16の開口縁の形状に合わせて形成され、実施例では、円形の第1開口16に合わせて、係合部42の面形状が外方へ向けて凸となる円弧状になっている(
図3参照)。各係合部42は、胴部32の突出部分32bの側縁から外側方に向けて膨らむように湾曲した膨出部分42aと、この膨出部分42aに連なって直線的に延びた先端部分42bとを有し、膨出部分42aが第1開口16の開口縁に引っ掛かるようになっている(
図7参照)。
【0025】
図7に示すように、一対の係合部42,42は、膨出部分42aが互いに反対向きに膨らむように、胴部32を挟んで対称な形状に形成され、両係合部42,42における膨出部分42a,42aの頂部間の寸法が第1開口16の開口寸法(直径)よりも大きく構成される。また、取付具30は、両係合部42,42における膨出部分42a,42aの根元部間および先端部分42b,42b間の寸法が、第1開口16の開口寸法よりも小さく構成される。係合部42は、該係合部42および第1開口16の開口縁の何れか一方あるいは両方の弾性変形によって、第1開口16に対して膨出部分42aを挿入したり、第1開口16から抜き出したりする挿脱が許容される。取付具30は、両係合部42,42を第1開口16に嵌め合わせた際に、掛止部38が外板11の表面に当接すると共に、胴部32の挿入部分32aが外板11の裏面に当接するよう構成される。そして、取付具30は、外板11の裏側に膨出部分42aが引っ掛かった係合部42と、外板11の表面に当接した掛止部38とにより外板11を表裏から挟持して、前記配設姿勢を保持するようになっている。実施例の係合部42は、金属板からなる胴部32の側縁から延出する片部を折り曲げるプレス加工によって、胴部32に一体形成される。
【0026】
次に、前述した取付具30を用いてルーフスポイラ20を取り付ける取付構造について説明する。ルーフスポイラ20の左右方向に離間して形成された取付孔22の夫々に対応して、バックドア14の上部を構成する外板11に第2開口18を形成すると共に、各第2開口18の左右方向に並べて該第2開口18と組をなす第1開口16を形成する(
図4(a)参照)。ここで、第1開口16および第2開口18は、バックドア14の外板11に形成するだけなので、バックドア14の内側からアクセスする必要はなく、完成車両であってもルーフスポイラ20の取り付け現場において表側から簡単に孔あけ加工を行うことができる。
【0027】
前記取付具30を、第1開口16に対して、胴部32における締結部36が設けられた挿入部分32a側より立てた姿勢で外板11の表側から挿入する。この際、第1開口16と第2開口18とは大きさが異なり、第2開口18からは取付具30の胴部32を挿入できないので、取付具30を挿入する開口16を間違えることはない。そして、第1開口16から表側に突き出た胴部32の突出部分32bを、第2開口18から遠ざかる向きに傾けて、突出部分32bを外板11の表面に沿わせるように寝かせる。これにより、第1開口16から外板11の裏側に挿入された胴部32の挿入部分32aが、第2開口18に向けて外板11の裏側から近づく。ここで、取付具30は、胴部32の表側に突出する保持部40を、第1開口16における第2開口18側の開口縁に引っ掛けて胴部32を傾けることができ、このように保持部40を胴部32の傾動支点として用いることで、外板11の裏側に存在して表側から見えないあるいは見難い締結部36を第2開口に合わせ易い。
【0028】
前記取付具30は、保持部40を第1開口16の開口縁に引っ掛けると共に、両係合部42,42を第1開口16に嵌め合わせることで、胴部32の挿入部分32aが外板11の裏面に沿うと共に、胴部32の突出部分32bおよび掛止部38が外板11の表面に沿う配設姿勢とされる(
図4(b)参照)。このように、取付具30は、両係合部42,42を第1開口16に嵌め合わせることで、外板11における第1開口16の開口縁裏面に膨出部分42aが引っ掛かった係合部42と外板11の表面に当接した掛止部38とで該外板11を挟んで、外板11の表裏方向への移動が規制されるから、前記配設姿勢を保持することができる。また、取付具30は、胴部32から表側に突出する保持部40と胴部32の挿入部分32aとの間に第1開口16の開口縁を挟持した状態となることで、外板11の表裏方向への移動が規制されるから、前記配設姿勢を保持することができる。更に、保持部40を第1開口16における第2開口18側の開口縁に引っ掛けることで、締結部36が外板11の裏側から第2開口18に整合するように、簡単に位置決めすることができる。ここで、前述の如く、第1開口16の開口縁に引っ掛けた保持部40を傾動支点として取付具30を傾けて両係合部42,42を第1開口16に嵌め合わせることで、締結部36が第2開口18に整合するように自然に位置合わせされるから、締結部36を外板11の裏側からであっても第2開口18に簡単に整合させることができる。
【0029】
このように、取付具30は、締結部36を第2開口18に整合させた状態で保持した配設姿勢で、外板11に対して配設することができ、治具やテープなどで仮固定することなく、この配設姿勢を適切に維持することができる。そして、取付具30を適切な配設姿勢で保持し得るので、ルーフスポイラ20との後述するねじ締結を行い易くすることができる。取付具30は、仮に保持部40が第1開口16の開口縁から外れたとしても、外板11の表側に突出している掛止部38が第1開口16の開口縁に引っ掛かるので、第1開口16を介して外板11の裏側へ脱落することはない。
【0030】
図5および
図6に示すように、外板11とルーフスポイラ20の設置面20aとの間には、組をなす2つの開口16,18を囲むようにシール材50が配設される。シール材50は、組をなす2つの開口16,18と、第1開口16から突出した突出部分32bおよび掛止部38とを内側に収容可能な環状に形成されると共に、その厚みが外板11とルーフスポイラ20の設置面20aとの離間間隔よりも僅かに大きく設定される。シール材50は、EPDMなどの発泡体やその他の素材からなるものを用いることができ、外板11とルーフスポイラ20の設置面20aとの間に圧縮するように挟持されて、外板11とルーフスポイラ20の設置面20aとの間から、開口16,18または取付孔22への水等の浸入を防止する。
【0031】
前記ルーフスポイラ20は、取付孔22を対応の第2開口18に合わせて設置面20aを外板11に突き合わせ、取付孔22に表側から挿入したボルト24を、第2開口18および締結通孔35を介して締結部36に螺合することで、外板11の表側に取り付けられる(
図6参照)。なお、ボルト24は、該ボルト24の頭部とルーフスポイラ20における取付孔22の表側開口縁との間に挟んだワッシャー25を介して締結部36に締め付けられる。ここで、実施例では、取付孔22に挿通されたスリーブ26を挟んで、取付具30の締結部36と該スリーブ26の内側を通したボルト24とが締結される。スリーブ26は、外周面が取付孔22の開口形状に合致すると共にボルト24の軸部を挿通可能な筒状本体26aと、この筒状本体26aの一端縁に径方向に延出するよう形成された鍔部26bとを有し、ボルト24や締結部36(取付具30)と同様に金属製のものを用いることができる。また、スリーブ26は、筒状本体26aの軸方向の長さが、ルーフスポイラ20における取付孔開設部位の板厚と同じに設定され、ルーフスポイラ20の設置面20aと外板11の表面との間に鍔部26bが挟持された状態で、筒状本体26aの表側の端面が取付孔22の表側開口縁に揃うように構成される(
図6参照)。すなわち、スリーブ26は、外板11の表面に筒状本体26aの一端(鍔部26a)が当接すると共に、筒状本体26aの他端縁が取付孔22におけるボルト24の挿入側に臨むように、取付孔22に挿入される。そして、スリーブ26の筒状本体26aを通して締結部36に締結したボルト24の頭部によって、筒状本体26aの他端がワッシャー25を介して押圧される。これにより、外板11に支持されてルーフスポイラ20における取付孔22の裏側開口縁に当接するスリーブ26の鍔部26bと、取付孔22の表側開口縁および該取付孔22から表側に臨むスリーブ26の筒状本体26aの端面を、ワッシャー25を介して押圧するボルト24の頭部とによってルーフスポイラ20が挟持される。また、ボルト24を締結部36に締結することで、外板11における第2開口18の開口縁に裏側から当接する取付具30の胴部32と、第2開口18の開口縁に表側から当接するスリーブ26の鍔部26bとによって外板11が挟持される。そして、締結部36に締結したボルト24が挿通された取付孔22は、表側から取り付けられたキャップ28によって塞がれる。
【0032】
前記ルーフスポイラ20を取り外す際には、ボルト24を締結部36から取り外せば、取付具30は、保持部40および係合部42で外板11に引っ掛かっているだけなので、第1開口16から抜き出すことができる。そして、取り外した取付具30は、再度用いることができる。なお、残った開口16,18は、蓋を取り付ければよい。
【0033】
このように、取付具30を用いることで、ルーフスポイラ20をねじ締結により車体10における外板11の表側に取り付けることができる。ねじ締結は、従来技術で説明したような突起と溝との引っ掛け構造や爪による引っ掛け構造などに比べて締結強度が非常に高いから、取付具30によってルーフスポイラ20を堅固に保持することができる。また、取付具30は、ボルト24をナットからなる締結部36に締結する構成であるから、ボルト24の受け入れのために締結部を弾性変形可能にする必要はなく、全体を金属で構成することができ、また合成樹脂で構成した場合であっても剛性を高く設定し得る。すなわち、取付具30は、全体として剛性を高くでき、特にルーフスポイラ20の保持に直接関わる締結部36の剛性を高くすることができる。また、取付具30は、弾性変形させるためにゴム等を採用する場合と異なり、時間が経過しても劣化することを抑えることができ、耐久性を高くし得る。従って、取付具30によれば、長期間に亘ってルーフスポイラ20を適切に保持することができ、信頼性が高い。そして、取付具30は、第1開口16から胴部32を挿入することで簡単に配設でき、胴部32に第1開口16に挿通不能な掛止部38が形成されているので、挿入時に手を離しても掛止部38で引っ掛かって第1開口16から脱落することはない。すなわち、取付具30を車体10の内外の板間に落としてしまうことはなく、取り付け作業の熟練を要しない。
【0034】
前記取付具30は、本体となる胴部32と、この胴部32に設けられ、ねじを有する締結部36と、胴部32に設けられ、第1開口16に引っ掛かる掛止部38とを最小限備えていればよく、構成が簡単である。また、取付具30は、胴部32および掛止部38を1つの板状体から構成し、締結部36を汎用のナットで構成することができ、低廉なコストで製造することができる。取付具30は、保持部40および係合部42を設けたとしても、保持部40および係合部42が突状片からなる簡単な構成であり、胴部32をなす板状体をプレス加工することで、保持部40および係合部42を形成することができるので、コストの上昇を抑えることができる。
【0035】
前記取付具30は、胴部32を第1開口16から挿入して、胴部32の挿入部分32aに設けられた締結部36を第2開口18に整合すれば、ボルト24を締結することができ、外板11に対して簡単に配設することができる。また、取付具30は、締結部36を第2開口18に整合させた配設姿勢で、掛止部38、保持部40および係合部42によって当該姿勢を保つことができ、ボルト24を締結部36に締結し易い。更に、取付具30は、挿入部分32aが第1開口16から挿入して外板11の裏側に位置し、突出部分32bが第1開口16から表側に突き出て外板11の表側に位置しているので、少なくとも胴部32が第1開口16に引っ掛かって締結部36を中心とした回転が規制される。なお、実施例の取付具30は、保持部40および係合部42も第1開口16に引っ掛かり、締結部36を中心とした回転が規制される。すなわち、締結部36に対してボルト24を締め付けまたは取り外す際に、ボルト24の回転に伴って取付具30が共回りすることを防止でき、ボルト24の着脱作業を容易に行うことができる。更に、外板11への開口16,18の形成、取付具30の配設およびねじ締結の全てを、外板11の表側から行うことができ、車体10の内側からルーフスポイラ20の取り付け部位にアクセスする必要はない。すなわち、車体10の内側を構成する内装部材に開口を設定する必要はなく、また車両の製造工程だけでなく、完成車両に対してルーフスポイラ20を簡単に後付けすることが可能となる。
【0036】
また、取付孔22に挿通して取付具30の締結部36に締結するボルト24を、ワッシャー25を介してスリーブ26で受ける構成とすることで、ボルト24を締め付ける際にスリーブ26に当たって規制されたときに適切な締め付け状態になることが判り易く、ボルト24の締め付け管理を行い易くなる。すなわち、ボルト24の締め過ぎや緩みなどを防止でき、ルーフスポイラ20を堅固に保持することができる。しかも、実施例のように、金属製のスリーブ26と金属製のボルト24との組み合わせとすることで、金属部材同士が接する所謂メタルタッチとなり、締め付け圧力を大きくすることが可能となり、ルーフスポイラ20をより堅固に保持することができる。このように、取付具30を用いることで、ねじ締結が可能となるから、従来技術で説明した取付構造では達成できない前記メタルタッチとすることができる。
【0037】
(変更例)
前述した実施例に限られず、以下の如き構成も採用することができる。
(1)実施例の締結部として雌ねじを用いたが、雄ねじで構成してもよい。この場合は、第2開口および車両外装部材の取付孔に挿通して表側に突出した締結部に対して、ナット等の雌ねじからなる締結具が締結される。
(2)実施例の締結部は、ナットで構成したが、例えば胴部の締結通孔の外周に設けたバーリングの内側にタッピング加工を施すことで、雌ねじを形成してもよい。
(3)外板に形成する開口の形状は、円形に限定されず、矩形等その他の形状であってもよい。
(4)取付具は、保持部および係合部の何れか一方あるいは両方を設けない構成であってもよい。保持部および係合部の両方を設けない場合は、テープで仮止めしたり、車両外装部材で胴部の突出部分または掛止部を押さえて姿勢保持する構成であってもよい。
(5)実施例では、車両外装部材としてルーフスポイラを例に挙げたが、これに限定されず、フロントスポイラやリアウィング等、その他の車体の外側に取り付けられる部材に適用可能である。