特許第5952753号(P5952753)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5952753
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】プリンタドライバ導入支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20160630BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20160630BHJP
【FI】
   G06F3/12 303
   G06F3/12 325
   B41J29/38 Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-31843(P2013-31843)
(22)【出願日】2013年2月21日
(65)【公開番号】特開2014-164313(P2014-164313A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2015年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000155469
【氏名又は名称】株式会社野村総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100080001
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 大和
(74)【代理人】
【識別番号】100093023
【弁理士】
【氏名又は名称】小塚 善高
(74)【代理人】
【識別番号】100117008
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 章子
(72)【発明者】
【氏名】浦部 知宏
【審査官】 白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−231406(JP,A)
【文献】 特開2004−086863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続されたプリンタを利用するためのドライバについての、前記ネットワークに接続された情報処理端末への導入を支援するプリンタドライバ導入支援システムであって
記ドライバを前記情報処理端末に導入するための設定ファイルと、
前記設定ファイルを利用して前記ドライバを前記情報処理端末に導入するための一連の処理が記述されたスクリプトについて、利用する対象の前記プリンタに固有の部分をパラメータ化したテンプレートと、
1つ以上の前記プリンタについての管理情報を保持するプリンタ情報記録部と、
前記情報処理端末から指示された前記プリンタに対応する前記管理情報を前記プリンタ情報記録部から取得するプリンタ情報管理部と、
前記プリンタ情報管理部により取得された前記管理情報の内容に基づいて前記テンプレートにおけるパラメータ化された部分を置き換えることで、当該プリンタに対応する前記ドライバを前記情報処理端末に導入するためのスクリプトファイルを生成する導入スクリプト生成部と、を有する、プリンタドライバ導入支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタドライバ導入支援システムにおいて、
前記プリンタ情報記録部に保持される前記管理情報は、前記プリンタについての設置情報と、対応する前記ドライバおよび前記設定ファイルに係るドライバ情報と、を含む、プリンタドライバ導入支援システム。
【請求項3】
請求項2に記載のプリンタドライバ導入支援システムにおいて、
前記設置情報は、前記プリンタについての機種の情報と、割り当てられた前記ネットワーク上のアドレスの情報と、を含む、プリンタドライバ導入支援システム。
【請求項4】
請求項2に記載のプリンタドライバ導入支援システムにおいて、
前記ドライバ情報は、前記プリンタについての前記設定ファイルおよび前記設定ファイルに含まれる前記プリンタに対応する機種の情報と、前記設定ファイルおよび前記ドライバの保持場所の情報と、を含む、プリンタドライバ導入支援システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のプリンタドライバ導入支援システムにおいて、
生成した前記スクリプトファイルを前記情報処理端末によりダウンロードさせる、プリンタドライバ導入支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理端末に対してプリンタドライバを導入する技術に関し、特に、ネットワークプリンタに対して各ユーザが独自に対応するプリンタドライバをクライアント端末に導入することを支援するプリンタドライバ導入支援システムに適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多数の従業員が勤務するオフィス等では、ネットワークを介して共用利用することができる複数のプリンタや複合機(以下では、これらを総称して単に「プリンタ」と記載する場合がある)が設置される場合がある。このとき、各設置場所でそれぞれ異なるメーカーのプリンタが設置される場合がある。また、同じメーカーでも機種やモデル、型番などがそれぞれ異なるプリンタが設置される場合もある。
【0003】
各プリンタの設置場所近辺のフロアやエリアに在籍するユーザは、自身が利用するPC(Personal Computer)等の情報処理端末において近隣のプリンタを利用可能とする際、ユーザ自身が個別に対象のプリンタに係るドライバを導入する等のセットアップ処理を行う必要があった。もしくは、管理者等が直接またはリモートから当該情報処理端末を操作してドライバを導入する必要があった。
【0004】
これらの場合、ユーザが、利用したいプリンタやその機種、モデル等について必ずしも正しく把握できておらず、どのドライバをどのように導入すべきかを理解できていない場合がある。また、管理者等にとっても、各ユーザの情報処理端末に対して個別にプリンタのセットアップ処理を行うのは、非常に煩雑であり、オフィスの規模が大きくユーザが多数となるような場合はさらに困難となる。
【0005】
このようなプリンタドライバの導入処理を簡易化・効率化するような技術として、例えば、特開2006−163869号公報(特許文献1)には、サーバがネットワークに接続されているクライアントを探索する手段と、サーバがネットワークに接続されているプリンタを探索する手段と、サーバの出力装置上に応答したクライアントとプリンタのリストを表示する手段と、サーバ管理者がプリンタリストからプリンタを選択する手段と、選択したプリンタをクライアントリストのクライアント上にドロップする手段と、サーバがプリンタリストで選択されたドライバをクライアントにインストールする手段とを備える装置に係る技術が記載されている。これにより、システム管理者がドラッグ&ドロップ操作により複数のクライアントに複数のプリンタドライバのインストール処理を、短時間で容易に行うことを可能とする。
【0006】
また、特開2010−128668号公報(特許文献2)には、PC上の制御部が、ネットワーク接続プリンタを検索し、検索されたプリンタの機器情報(機器名、装着オプション名、機器名に対応する本体用外観画像、及び装着オプション名のうちプリンタの外観に影響を与える装着オプション名に対応するオプション用外観画像を含む)を各プリンタから取得し、取得した本体用外観画像とオプション用外観画像からプリンタの外観図を構成し、各外観図を表示部に一覧表示させるとともに、操作部が、インストールするプリンタに対応する外観図を選択するユーザ操作を受け付け、制御部が、選択されたプリンタに対応するプリンタドライバを取得して、実行可能な状態で記憶部にインストールする技術が記載されている。これにより、ユーザが利用したいプリンタの名称や利用できる機能を理解していない場合でも、利用したいプリンタを容易に選択してそのプリンタドライバのインストールを可能にする。
【0007】
また、特開2012−194640号公報(特許文献3)には、プリントサーバ上の共有プリンタデバイスとして認識され、端末上でインストーラーとして動作するプリンタドライバをクライアント端末に対し提供するプリントキューインストーラと、それぞれのプリンタと通信する複数のプリントキューとを含み、プリンタドライバは、1以上のクライアント端末とプリンタとの対応付けを記述するマッピングデータと、提供先のクライアント端末にインストールされて起動し、該提供先のクライアント端末に対応付けられる追加のプリンタのプリントキューをインストールする処理を実行するインストーラー本体とを含むことで、簡単な作業で適切な画像処理装置をクライアント端末に導入する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−163869号公報
【特許文献2】特開2010−128668号公報
【特許文献3】特開2012−194640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の特許文献1や特許文献3に記載されたような技術では、管理者がクライアント端末単位で各種の設定をしたり処理したりする必要があり、ユーザ数が多くなればなるほど管理者の負荷も大きくなる。また、特許文献1や特許文献2に記載されたような技術では、ネットワークプリンタ等を検索する処理を要するという点で処理時間や負荷が大きくなる。
【0010】
ユーザ数が多い場合には、各ユーザ自身にプリンタドライバの導入作業を自立的に行なってもらうのが効率的であるが、上記の特許文献2に記載されたような技術では、ユーザがプリンタの外観に基づいてドライバを選択することが可能であるものの、同一メーカーの機種で外観がほぼ同じでもモデルが異なるという場合もあり、外観からは詳細な識別が困難である場合もある。
【0011】
また、ユーザ自身が自立的にドライバの導入作業を行う場合、例えば、Windows(登録商標)環境では、メーカーが独自に配布しているドライバのインストーラー(実行プログラム、EXEファイル)を実行するためには管理者権限が必要であり、各ユーザにユーザ権限しか与えていない場合にはインストーラーが実行できないという場合が生じる。この場合には、管理者等が直接またはリモートから管理者権限によって作業する必要が生じる。
【0012】
一方、Windows(登録商標)環境の場合、ドライバソフトウェアのインストール用のシステム設定ファイル(INFファイル)を利用することで、管理者権限を有しなくてもプリンタドライバを直接導入することが可能である。しかしながら、INFファイルには導入が可能な機種やモデル、型番などが複数まとめて設定される場合があり、ユーザがどれを選択してどのように設定するかなどの手順については、マニュアル等の整備が必要となるなどの負荷を要する。
【0013】
そこで本発明の目的は、オフィス等においてユーザがネットワークを介して利用するプリンタについて、対応するプリンタドライバをINFファイルにより導入・設定するためのスクリプトファイルを生成してユーザに提供するプリンタドライバ導入支援システムを提供することにある。
【0014】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0016】
本発明の代表的な実施の形態によるプリンタドライバ導入支援システムは、ネットワークに接続されたプリンタを利用するためのドライバについての、前記ネットワークに接続された情報処理端末への導入を支援するプリンタドライバ導入支援システムであって、以下の特徴を有するものである。
【0017】
すなわち、1つ以上の前記プリンタについてのドライバと、前記ドライバを前記情報処理端末に導入するための設定ファイルと、前記設定ファイルを利用して前記ドライバを前記情報処理端末に導入するための一連の処理が記述されたスクリプトについて、利用する対象の前記プリンタに固有の部分をパラメータ化したテンプレートと、1つ以上の前記プリンタについての管理情報を保持するプリンタ情報記録部と、前記情報処理端末から指示された前記プリンタに対応する前記管理情報を前記プリンタ情報記録部から取得するプリンタ情報管理部と、前記プリンタ情報管理部により取得された前記管理情報の内容に基づいて前記テンプレートにおけるパラメータ化された部分を置き換えることで、当該プリンタに対応する前記ドライバを前記情報処理端末に導入するためのスクリプトファイルを生成する導入スクリプト生成部と、を有する。
【発明の効果】
【0018】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0019】
すなわち、本発明の代表的な実施の形態によれば、オフィス等においてユーザがネットワークを介して利用するプリンタについて、対応するプリンタドライバをINFファイルにより導入・設定するためのスクリプトファイルを生成してユーザに提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施の形態であるプリンタドライバ導入支援システムの構成例について概要を示した図である。
図2】本発明の一実施の形態におけるプリンタ情報TBのデータ構成と具体的なデータの例について概要を示した図である。
図3】本発明の一実施の形態における利用するプリンタに対応するドライバを導入するまでの処理の流れの例について概要を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0022】
本発明の一実施の形態であるプリンタドライバ導入支援システムは、オフィス等における複数のプリンタについてプリンタドライバを一元的に管理し、プリンタを利用するクライアント端末に対して、対応するプリンタドライバをINFファイルにより導入・設定するための一連の処理を記述したバッチファイル等のスクリプトファイルを自動的に生成して提供するシステムである。スクリプトファイルの生成の際に必要となる、各プリンタについてのパラメータ情報については、各プリンタについて予め保持している設置情報等の管理情報を参照してこれを取得し、自動的に設定する。
【0023】
これにより、各ユーザは、生成されたスクリプトファイルをクライアント端末上で実行することで、インストーラーなどの実行プログラムに対する管理者権限を有しなくても容易に必要なプリンタドライバを導入し、設定することを可能とする。
【0024】
<システム構成>
図1は、本発明の一実施の形態であるプリンタドライバ導入支援システムの構成例について概要を示した図である。プリンタドライバ導入支援システム10は、サーバ機器やクラウドコンピューティング環境上の仮想サーバ、もしくはPCなどのコンピュータシステムにより構成され、オフィスにおける社内LAN(Local Area Network)などのネットワーク30に接続されている。
【0025】
オフィスでは、例えば、各フロア20(例えば、図中のフロアa(20a)〜フロアc(20c))やエリア毎にそれぞれプリンタ21(例えば、図中のプリンタa(21a)〜プリンタc(21c))がネットワーク30に接続されて配置されている。また、各フロア20に在籍するユーザが使用するPC等の情報処理端末であるクライアント端末22(例えば、図中のクライアント端末a(22a)〜クライアント端末c(22c))がネットワーク30に接続されて配置されている。各フロア20に在籍するユーザは、原則として自身が在籍するフロア20に配置されているプリンタ21をネットワーク30を介して利用して印刷出力等を行うものとする。
【0026】
プリンタドライバ導入支援システム10は、例えば、図示しないOS(Operating System)やDBMS(DataBase Management System)、Webサーバプログラム等のミドルウェア上で動作するソフトウェアプログラムによって実装されるプリンタ情報管理部11、導入スクリプト生成部12、およびユーザインタフェース部13などの各部を有する。また、データベースやファイルテーブルなどにより実装されるプリンタ情報テーブル(TB)14を有する。
【0027】
また、各プリンタ21についてメーカーからそれぞれ提供されるドライバ15のファイル、およびドライバ15を導入するための設定ファイル16(INFファイル)を一元的に保持している。これらのファイルは、例えば、ネットワーク30に接続された図示しないNAS(Network Attached Storage)などに保持する構成とすることも可能である。プリンタドライバ導入支援システム10は、さらに、ドライバ15を導入するためのスクリプトファイルのひな形となるテンプレート17を有している。
【0028】
プリンタ情報管理部11は、オフィスに設置されている各プリンタ21についての管理情報をプリンタ情報TB14に保持し、その内容の登録や変更等について管理する機能を有する。プリンタ情報TB14の内容については後述するが、例えば、オフィスの管理者等が管理している各プリンタ21についての設置情報を、システム管理者がインポートや手動入力等の手段によって予めプリンタ情報TB14に登録し、これに対してさらに対応するドライバ15や設定ファイル16に係る情報をシステム管理者が予め追加的に登録しておく。
【0029】
導入スクリプト生成部12は、クライアント端末22を介したユーザからの指示に基づいて、当該クライアント端末22が利用するプリンタ21に対応するドライバ15を、対応する設定ファイル16を利用して当該クライアント端末22に導入するためのスクリプトファイルを生成する機能を有する。例えば、ユーザにより指定されたプリンタ21について、対応する設置情報やドライバ情報などの管理情報をプリンタ情報TB14から取得し、取得した値をスクリプトファイルについてのテンプレート17にパラメータとして設定することでスクリプトファイルを生成する。テンプレート17は、例えば、設定ファイル16によりドライバ15を導入するための一連の処理を記述したスクリプトにおいて、導入するプリンタ21毎に異なる可変部分をパラメータ化したものとして予め作成しておく。
【0030】
ユーザインタフェース部13は、例えば、図示しないWebサーバプログラムにより、クライアント端末22等に対して、図示しないWebブラウザを介して操作画面等のユーザインタフェースを提供する機能を有する。例えば、各ユーザがドライバ15を導入するためのスクリプトファイルを生成する指示を行ったり、生成されたスクリプトファイルをダウンロードする操作を行ったりする画面をクライアント端末22上に表示させる。また、システム管理者が各プリンタ21についての管理情報をインポートしたり登録したりする画面を、システム管理者が利用する図示しない情報処理端末上に表示させる。
【0031】
<データ構成>
図2は、プリンタ情報TB14のデータ構成と具体的なデータの例について概要を示した図である。プリンタ情報TB14は、オフィスに設置されている各プリンタ21についての設置情報やドライバ情報などからなる管理情報を保持するテーブルであり、例えば、メーカー、機種、管理番号、IPアドレス、ビル名、フロア、設定ファイル、設定用機種、およびドライバパスなどの各項目を有する。
【0032】
メーカーおよび機種の各項目は、それぞれ、対象のプリンタ21のメーカーの情報、および機種名やモデル名、型番などの情報を保持する。管理番号の項目は、オフィスのフロアに設置される各プリンタ21を一意に識別して管理可能とするために割り振られた番号やID等の情報を保持する。IPアドレスの項目は、対象のプリンタ21がオフィスのフロアに設置される際に割り当てられるIPアドレスの情報を保持する。ビル名、およびフロアの各項目は、それぞれ、対象のプリンタ21が設置されるオフィス建物を特定する情報、および上記オフィス建物の中で実際に対象のプリンタ21が設置されるフロア20やエリア等の場所を特定する情報を保持する。
【0033】
上記の各項目は、オフィスの管理者等が一般的に管理している各プリンタ21についての設置情報に相当し、資産管理システム等の他のシステムにより管理されている場合がある。この場合は、これらのシステムから該当データをインポートする等の手段によりデータを登録してもよい。テンプレート17におけるパラメータ化された部分を置き換えてスクリプトファイルを作成するためには、これらの設置情報のうち少なくとも機種およびIPアドレスの情報が設定されている必要がある。
【0034】
設定ファイルの項目は、対象のプリンタ21に対応するドライバ15を導入するためにメーカーから提供されている設定ファイル16のファイル名の情報を保持する。設定用機種の項目は、上記の設定ファイル16にまとめて登録されている複数の機種やモデル、型番などに対する設定情報の中で対象のプリンタ21に対応するものとして選択すべき機種等を特定する情報を保持する。ドライバパスの項目は、対象のプリンタ21に対応するドライバ15および設定ファイル16が保持されている場所を特定するパス情報を保持する。上述したように、これらのファイルをネットワーク30に接続されたNASなどに保持する構成とすることも可能である。
【0035】
なお、上述のデータ構成(項目)はあくまで一例であり、同様のデータを保持・管理することが可能な構成であれば、他のテーブル構成やデータ構成であってもよい。
【0036】
<処理の流れ>
図3は、ユーザによりクライアント端末22において利用するプリンタ21に対応するドライバ15を導入するまでの処理の流れの例について概要を示した図である。まず、初期時には、プリンタドライバ導入支援システム10上で、システム管理者等により、ドライバ15を設定ファイル16により導入するためのスクリプトファイルに対するテンプレート17の作成を行う(S01)。テンプレート17が既に作成されている場合は当該処理は不要である。また、オフィスに設置されている各プリンタ21について、それぞれ、メーカーから提供されているドライバ15および設定ファイル16を、所定の場所に配置する(S02)。
【0037】
また、システム管理者等は、資産管理システム等の他のシステムから各プリンタ21についての設置情報を取得して、ユーザインタフェース部13により自身が使用する情報処理端末上に表示された操作画面等を利用して、プリンタ情報管理部11により、プリンタ情報TB14に設置情報を登録する(S03)。また、登録された各プリンタ21に対して、対応するドライバ15や設定ファイル16等を特定するドライバ情報を追加的に登録する(S04)。
【0038】
ステップS02〜S04までの各処理は、オフィスに設置されるプリンタ21が新たに増える場合や、プリンタ21の設置場所が変更された場合等に行えばよく、設置情報に変更がない場合は特に行う必要はない。また、プリンタ21が新たに設置される場合でも、例えば、当該プリンタ21が既存のものと同じ機種等である場合は、既に対応するドライバ15や設定ファイル16は配置されているため、ステップS02の作業が不要となるなど、管理にかかる工数を削減することが可能である。
【0039】
その後、オフィスにおいて、ユーザが、利用するプリンタ21のセットアップを行う際に、クライアント端末22では、図示しないWebブラウザ等によりプリンタドライバ導入支援システム10にアクセスし、プリンタ情報TB14に登録されたプリンタ21のリストの情報を取得する要求を行う(S11)。プリンタドライバ導入支援システム10では、プリンタ情報管理部11により、プリンタ情報TB14からプリンタ21のリストを抽出して、ユーザインタフェース部13によりクライアント端末22に対して画面出力する(S12)。
【0040】
なお、プリンタ情報管理部11がプリンタ情報TB14からプリンタ21のリストを抽出する際、例えば、クライアント端末22からの要求メッセージに基づいて対象のクライアント端末22のIPアドレスを取得し、これに基づいて対象のクライアント端末22のある程度の所在位置を算出することにより、利用対象となるプリンタ21を絞り込んで抽出することも可能である。在籍するフロア20の情報をユーザから取得し、これに基づいて利用対象となるプリンタ21を絞り込んでもよい。
【0041】
クライアント端末22では、出力されたプリンタ21のリストから、ユーザが利用するプリンタ21の選択を受け付ける(S13)。プリンタドライバ導入支援システム10では、選択されたプリンタ21に対して、プリンタ情報管理部11により、プリンタ情報TB14から管理情報(設置情報およびドライバ情報)を取得する(S14)。さらに、導入スクリプト生成部12により、テンプレート17に対して管理情報に基づいてパラメータ部分を置き換えることで、スクリプトファイルを生成する(S15)。
【0042】
このように、スクリプトファイルをユーザからの要求の都度生成する構成とすることで、例えば、プリンタ21の設置フロアの移動や、IPアドレスの変更などの設置情報の変更があった場合に、システム管理者は、プリンタ情報TB14の設置情報の変更のみを行えばよく、例えばスクリプトファイルを予め生成しておく構成とした場合に必要となる再生成などの処理が不要となり、メンテナンスが簡素化されて容易となる。
【0043】
その後、クライアント端末22では、生成されたスクリプトファイルをユーザインタフェース部13を介してダウンロードし(S16)、これを実行する(S17)。スクリプトファイルの実行の中では、ドライバ15や設定ファイル16を参照することになるが、これらはプリンタドライバ導入支援システム10上(もしくはネットワーク30上のNAS等のファイルサーバ上)に保持されているため、これらに対する参照要求を行ってファイルを参照する(S18、S19)。なお、これらのファイルを、ステップS16におけるスクリプトファイルのダウンロードと合わせてダウンロードするようにしてもよいが、上記のようにスクリプトファイルのみダウンロードする形とすることで、ネットワーク30上での余計なトラフィックを抑制することが可能となる。
【0044】
クライアント端末22では、スクリプトファイルの内容に従って、設定ファイル16を利用して対象のプリンタ21の機種に対応するドライバ15を導入し(S20)、また、導入したドライバ15を利用して対象のプリンタ21を利用可能とする設定を行う(S21)。ここでは、例えば、対象のプリンタ21のIPアドレスの設定などが含まれる。以上の処理により、クライアント端末22では、利用対象のプリンタ21に対するドライバ15が適切に導入され、当該プリンタ21が利用可能なように設定される。
【0045】
以上に説明したように、本発明の一実施の形態であるプリンタドライバ導入支援システム10によれば、オフィス等における複数のプリンタ21についてドライバ15や設定ファイル16を一元的に管理し、プリンタ21を利用するクライアント端末22に対して、対応するドライバ15を設定ファイル16により導入・設定するためのスクリプトファイルを自動的に生成して提供する。また、テンプレート17からスクリプトファイルを生成する際に必要となる、各プリンタ21についてのパラメータ情報については、プリンタ情報TB14に予め保持している管理情報を参照してこれを取得し、自動的に設定する。
【0046】
これらにより、各ユーザは、生成されたスクリプトファイルをクライアント端末22上で実行することで、インストーラーなどの実行プログラムに対する管理者権限を有しなくても容易に必要なドライバ15を導入し、設定することが可能となる。
【0047】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、上記の実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記の実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、ネットワークプリンタに対して各ユーザが独自に対応するプリンタドライバをクライアント端末に導入することを支援するプリンタドライバ導入支援システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
10…プリンタドライバ導入支援システム、11…プリンタ情報管理部、12…導入スクリプト生成部、13…ユーザインタフェース部、14…プリンタ情報テーブル(TB)、15…ドライバ、16…設定ファイル、17…テンプレート、
20(20a〜c)…フロア(フロアa〜c)、21(21a〜c)…プリンタ(プリンタa〜c)、22(22a〜c)…クライアント端末(クライアント端末a〜c)、
30…ネットワーク。
図2
図3
図1