【実施例】
【0022】
以下、ディスクタイプの本発明のインフレータを、
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は中央縦断面図、
図2は組立て時の作業を、順を追って示した図である。
【0023】
11はディスクタイプの本発明のインフレータであり、圧力容器2に、例えば、点火薬を内部に含む点火器3、伝火薬4、ガス発生剤5、及びフィルター6を収容した構成である。
【0024】
このうち、圧力容器2は、ベース部と、このベース部に接合されるディフューザ部を有している。第1実施例では、ベース部は、ベース2bにアダプター2cを接合した構成であり、ディフューザ部は、ディフューザ2aの側壁に、インフレータ11の内部で発生したガスを外部に噴出させるガス噴出孔2aaを設けた構成である。
【0025】
また、前記点火器3と前記伝火薬4は、前記アダプター2cに保持されたイグナイタチューブ7の内部に収容されている。イグナイタチューブ7の上部には、伝火薬4を仕切るリッド8が設けられている。
【0026】
また、複数のペレットを含む前記ガス発生剤5は、本発明では、前記複数のペレット同士が相対的に移動しないように真空パックされ、塊となって包装容器12に真空状態で収容されている。以下、この包装容器12に真空状態で収容され、塊状態となったガス発生剤5をガス発生体という。
【0027】
前記包装容器12の素材やその構成は、ペレット同士が相対的に移動しないように真空状態で収容できるものであれば特に限定されないが、例えばポリエチレン、ポリエステルなどの樹脂層と、アルミ箔等の金属箔が積層されたものを使用する。
【0028】
そして、ガス発生剤5を包装容器12に真空状態で収容したガス発生体は、前記圧力容器2の内部、
図1の例では、イグナイタチューブ7と、圧力容器2の側壁内面に沿って配置したフィルター6の間に収容可能なリング状に形成している(
図2(a)参照)。このガス発生体は、ほぼ燃焼室の形状に一致している。
【0029】
図1に示す例では、前記ガス発生体のディフューザ側は、ガス発生体側にクッション部材9を設けたリテーナディスク13で保持されている。
【0030】
上記インフレータ11では、先ず、ガス発生剤5を真空パックする。予め計量したガス発生剤5を包装容器12に真空状態で収容して、ガス発生剤5を構成するペレット同士が内部で相対的移動しないようにしたガス発生体を形成する(
図2(a))。包装容器12の内部が真空になると、包装容器12は大気圧によって圧力を受けて全体が収縮しようとする。この収縮する力がペレットに伝わり、ペレット同士が包装容器12に押されて一つの塊になる。塊になったガス発生体は容易には変形しないし、ペレット同士がこすれたり、相対的に動いたりしない。
【0031】
次に、このガス発生体を、フィルター6、及び内部に伝火薬4を装填したイグナイタチューブ7を配置したベース2bに挿入する(
図2(b))。ガス発生体は塊になっているので、挿入は一瞬で完了する。ベース2bへガス発生体を挿入した後は、リテーナディスク13をフィルター6に圧入して、伝火薬4、フィルター6及びガス発生体を保持する(
図2(c))。その後、ガス噴出孔2aaを内部からシールテープ10で塞いだディフューザ2aをベース2bに接合する(
図1)。
【0032】
上記インフレータ11では、計量したガス発生剤5を圧力容器2に装填した後に、装填状態を均一に均すための振動を行う従来のインフレータ1に比べて、ガス発生剤5の装填時における作業効率が大幅に向上する。
【0033】
また、前記ガス発生体は、一度、包装容器12に真空状態で収容されると、包装容器12の内部でペレット同士が擦れることがない。従って、車両に搭載した後に、振動等によってペレットが割れたり、欠けたり、粉々になることがなく、時間が経過しても異常燃焼をせず、設計通りのガス発生特性を得ることができる。
【0034】
さらに、上記インフレータ11では、ガス発生剤5を包装容器12に真空状態で収容するので、ガス発生剤5が吸湿する可能性がより低くなって、変質することを防止する。ガス発生体の挿入工程で仮に包装容器12が破損した場合には、ガス発生体が膨らむので、目視で包装容器12のリークを発見することができる。
【0035】
またさらに、上記インフレータ11では、予めガス発生体を形成しておくので、圧力容器2にガス発生剤5を装填する時間は一瞬である。そして、ガス発生体を形成するパッキング自体は容易で、パッキングは圧力容器2の外部で行うことから、タクトタイムが延びても並列処理すれば作業効率の向上が図れるので、より小さいペレットを用いることができる。それにより理想的な燃焼特性を得ることができる。
【0036】
本発明は上記の例に限らず、各請求項に記載された技術的思想の範疇に含まれるものであれば、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
【0037】
すなわち、以上で述べたエアバッグ用インフレータは、本発明の好ましい例であって、これ以外の実施態様も、各種の方法で実施または遂行できる。特に本願明細書中に限定する主旨の記載がない限り、本発明は添付図面に示した詳細な部品の形状、大きさ、および構成配置等に制約されるものではない。また、本願明細書の中で用いられた表現および用語は、説明を目的としたもので、特に限定される主旨のない限り、それに限定されるものではない。
【0038】
例えば、
図3はシリンダタイプのインフレータ21を示したものである。長尺円筒状の圧力容器22の中央部分の外周側に、ガス発生剤5を装填したガス発生室22aを、中央部分の中心部に内筒22bを設けている。内筒22bの点火器3側の位置には、内筒22bの内側に凸状に膨らむ凸部22eを有し、凸部22eと点火器3の間で点火室22cを形成している。
【0039】
図3に示す例では、輸送中に火災等が発生した場合にも、少し低温の時に燃焼を開始させてインフレータの暴発を防止できるように、前記ガス発生剤5の所定位置に、ガス発生剤5よりも低発火点のオートイグニッション用ペレット23を配置している。
【0040】
また、圧力容器22の一方端側には、ガス噴出孔22daを設けた側壁に沿ってフィルター6を配置したフィルター室22dを形成している。一方、圧力容器22の他方端側には、前記内筒22bの側壁に形成した多数の連通孔22baを介して前記ガス発生剤5を均一に着火するための点火器3を配置している。
【0041】
このようなシリンダタイプのインフレータ21にも本発明を適用することができる。
すなわち、シリンダタイプのインフレータ21の場合も、ガス発生剤5のペレット同士やオートイグニッション用ペレット23が相対的に移動しないように包装容器12に真空状態で収容してガス発生体を形成し、このガス発生体を圧力容器22に収容すればよい。
【0042】
また、
図1に示したインフレータ11では、ガス発生剤5のみを包装容器12に真空状態で収容しているが、フィルター6、或いは、伝火薬4及びイグナイタチューブ7も一緒に収容して圧力容器2に収容しても良い。また、フィルター6、伝火薬4及びイグナイタチューブ7をガス発生剤5と一緒に包装容器12に真空状態で収容して圧力容器2に収容しても良い。いずれにせよ、ガス発生剤5同士が真空パックによって相対的に動かないような状況にできる方式であれば、どのようなものでもよい。
【0043】
また、ディスクタイプのインフレータ11は、
図1に示したようなシングルステージタイプに限らず、ダブルステージタイプのインフレータにも適用できる。