特許第5952811号(P5952811)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社イクスの特許一覧

特許5952811輝度測定方法、輝度測定装置及びこれらを用いた画質調整技術
<>
  • 特許5952811-輝度測定方法、輝度測定装置及びこれらを用いた画質調整技術 図000002
  • 特許5952811-輝度測定方法、輝度測定装置及びこれらを用いた画質調整技術 図000003
  • 特許5952811-輝度測定方法、輝度測定装置及びこれらを用いた画質調整技術 図000004
  • 特許5952811-輝度測定方法、輝度測定装置及びこれらを用いた画質調整技術 図000005
  • 特許5952811-輝度測定方法、輝度測定装置及びこれらを用いた画質調整技術 図000006
  • 特許5952811-輝度測定方法、輝度測定装置及びこれらを用いた画質調整技術 図000007
  • 特許5952811-輝度測定方法、輝度測定装置及びこれらを用いた画質調整技術 図000008
  • 特許5952811-輝度測定方法、輝度測定装置及びこれらを用いた画質調整技術 図000009
  • 特許5952811-輝度測定方法、輝度測定装置及びこれらを用いた画質調整技術 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5952811
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】輝度測定方法、輝度測定装置及びこれらを用いた画質調整技術
(51)【国際特許分類】
   G01M 11/00 20060101AFI20160630BHJP
   G01J 1/42 20060101ALI20160630BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20160630BHJP
   G09G 5/10 20060101ALI20160630BHJP
   H04N 17/00 20060101ALI20160630BHJP
【FI】
   G01M11/00 T
   G01J1/42 K
   G09G5/00 X
   G09G5/00 550C
   G09G5/10 B
   H04N17/00 G
【請求項の数】16
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-516048(P2013-516048)
(86)(22)【出願日】2013年4月8日
(86)【国際出願番号】JP2013060659
(87)【国際公開番号】WO2014167641
(87)【国際公開日】20141016
【審査請求日】2015年10月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】503193351
【氏名又は名称】株式会社イクス
(74)【代理人】
【識別番号】100148518
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100160299
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 卓
(74)【代理人】
【識別番号】100160314
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 公芳
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 浩
【審査官】 小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/151866(WO,A1)
【文献】 特開2009−156704(JP,A)
【文献】 特開2006−234414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 11/00
G01J 1/00 − G01J 1/60
G09G 5/00 − G09G 5/40
H04N 17/00 − H04N 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体撮像素子を備えるカメラにより表示パネルのピクセルを撮像したときに、前記カメラの撮像面上でピクセルの像が複数の画素に及ぶとともにピクセルの像同士が重なり合わないように、前記表示パネルの一又は複数のピクセルを点灯させて前記カメラにより撮像する単ピクセル撮像ステップと、
前記単ピクセル撮像ステップで撮像したピクセルの像の中心部に対応する一又は複数の画素の出力に基づいて、前記ピクセルの像の中心部の輝度が前記ピクセルの像の全体の輝度に占める割合を示す中心露光係数を算出するとともに、前記ピクセルの像の周辺部に対応する一又は複数の画素の出力に基づいて、前記ピクセルの像の周辺部の輝度が前記ピクセルの像の全体の輝度に占める割合を示す周辺露光係数を算出する露光係数算出ステップと、
前記表示パネルの全てのピクセルを点灯させて前記カメラにより撮像する全ピクセル撮像ステップと、
前記全ピクセル撮像ステップの撮像画像並びに前記中心露光係数及び前記周辺露光係数に基づいて、前記表示パネルの全てのピクセルの輝度を算出する輝度算出ステップとを含むことを特徴とする輝度測定方法。
【請求項2】
前記表示パネルの所定のピクセルを点灯させてなるアライメントパターンを前記カメラにより撮像し、前記アライメントパターンの像が前記カメラのどの画素に写るかを検出することにより、前記表示パネルのピクセルと前記カメラの画素との対応関係を求めるアライメントステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の輝度測定方法。
【請求項3】
前記単ピクセル撮像ステップよりも前記ピクセルを拡大して撮像することにより、前記中心露光係数及び前記周辺露光係数を算出するための前記ピクセルの像の全体の輝度を求める拡大撮像ステップを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の輝度測定方法。
【請求項4】
表示パネルのピクセルの点灯を制御するとともに、固体撮像素子を備えるカメラによる撮像を制御する制御部と、
前記カメラの撮像画像に基づいて演算を行う演算部とを有し、
前記カメラにより前記表示パネルのピクセルを撮像したときに、前記カメラの撮像面上でピクセルの像が複数の画素に及ぶとともにピクセルの像同士が重なり合わないように、前記制御部が、前記表示パネルの一又は複数のピクセルを点灯させて前記カメラにより撮像した後に、前記演算部が、撮像されたピクセルの像の中心部に対応する一又は複数の画素の出力に基づいて、前記ピクセルの像の中心部の輝度が前記ピクセルの像の全体の輝度に占める割合を示す中心露光係数を算出するとともに、前記ピクセルの像の周辺部に対応する一又は複数の画素の出力に基づいて、前記ピクセルの像の周辺部の輝度が前記ピクセルの像の全体の輝度に占める割合を示す周辺露光係数を算出し、
前記制御部が、前記表示パネルの全てのピクセルを点灯させて前記カメラにより撮像した後に、前記演算部が、その撮像画像並びに前記中心露光係数及び前記周辺露光係数に基づいて、前記表示パネルの全てのピクセルの輝度を算出することを特徴とする輝度測定装置。
【請求項5】
前記制御部が、前記表示パネルの所定のピクセルを点灯させてなるアライメントパターンを前記カメラにより撮像し、前記演算部が、前記アライメントパターンの像が前記カメラのどの画素に写るかを検出することにより、前記表示パネルのピクセルと前記カメラの画素との対応関係を求めることを特徴とする請求項4に記載の輝度測定装置。
【請求項6】
前記制御部が、前記ピクセルの像の中心部に対応する一又は複数の画素の出力及び前記ピクセルの像の周辺部に対応する一又は複数の画素の出力を得るための撮像よりも、前記ピクセルを拡大して撮像し、前記演算部が、その撮像画像に基づいて前記ピクセルの像の全体の輝度を求め、前記中心露光係数及び前記周辺露光係数を算出することを特徴とする請求項4又は5に記載の輝度測定装置。
【請求項7】
固体撮像素子を備えるカメラにより表示パネルのピクセルを撮像したときに、前記カメラの撮像面上でピクセルの像が複数の画素に及ぶとともにピクセルの像同士が重なり合わないように、前記表示パネルの一又は複数のピクセルを点灯させて前記カメラにより撮像する単ピクセル撮像ステップと、
前記単ピクセル撮像ステップで撮像したピクセルの像の中心部に対応する一又は複数の画素の出力に基づいて、前記ピクセルの像の中心部の輝度が前記ピクセルの像の全体の輝度に占める割合を示す中心露光係数を算出するとともに、前記ピクセルの像の周辺部に対応する一又は複数の画素の出力に基づいて、前記ピクセルの像の周辺部の輝度が前記ピクセルの像の全体の輝度に占める割合を示す周辺露光係数を算出する露光係数算出ステップと、
前記表示パネルの全てのピクセルを点灯させて前記カメラにより撮像する全ピクセル撮像ステップと、
前記全ピクセル撮像ステップの撮像画像並びに前記中心露光係数及び前記周辺露光係数に基づいて、前記表示パネルの全てのピクセルの輝度を算出する輝度算出ステップと、
前記輝度算出ステップで算出した輝度に基づいて、前記表示パネルの入力信号を補正して前記表示パネルの輝度むらを低減させる補正データを生成する補正データ生成ステップとを含むことを特徴とする補正データ生成方法。
【請求項8】
前記表示パネルの所定のピクセルを点灯させてなるアライメントパターンを前記カメラにより撮像し、前記アライメントパターンの像が前記カメラのどの画素に写るかを検出することにより、前記表示パネルのピクセルと前記カメラの画素との対応関係を求めるアライメントステップを含むことを特徴とする請求項7に記載の補正データ生成方法。
【請求項9】
前記単ピクセル撮像ステップよりも前記ピクセルを拡大して撮像することにより、前記中心露光係数及び前記周辺露光係数を算出するための前記ピクセルの像の全体の輝度を求める拡大撮像ステップを含むことを特徴とする請求項7又は8に記載の補正データ生成方法。
【請求項10】
表示パネルのピクセルの点灯を制御するとともに、固体撮像素子を備えるカメラによる撮像を制御する制御部と、
前記カメラの撮像画像に基づいて演算を行う演算部と、
前記表示パネルの入力信号を補正して前記表示パネルの輝度むらを低減させる補正データを生成する補正データ生成部とを有し、
前記カメラにより前記表示パネルのピクセルを撮像したときに、前記カメラの撮像面上でピクセルの像が複数の画素に及ぶとともにピクセルの像同士が重なり合わないように、前記制御部が、前記表示パネルの一又は複数のピクセルを点灯させて前記カメラにより撮像した後に、前記演算部が、撮像されたピクセルの像の中心部に対応する一又は複数の画素の出力に基づいて、前記ピクセルの像の中心部の輝度が前記ピクセルの像の全体の輝度に占める割合を示す中心露光係数を算出するとともに、前記ピクセルの像の周辺部に対応する一又は複数の画素の出力に基づいて、前記ピクセルの像の周辺部の輝度が前記ピクセルの像の全体の輝度に占める割合を示す周辺露光係数を算出し、
前記制御部が、前記表示パネルの全てのピクセルを点灯させて前記カメラにより撮像した後に、前記演算部が、その撮像画像並びに前記中心露光係数及び前記周辺露光係数に基づいて、前記表示パネルの全てのピクセルの輝度を算出し、
前記補正データ生成部が、前記表示パネルの全てのピクセルの輝度に基づいて、前記補正データを生成することを特徴とする補正データ生成装置。
【請求項11】
前記制御部が、前記表示パネルの所定のピクセルを点灯させてなるアライメントパターンを前記カメラにより撮像し、前記演算部が、前記アライメントパターンの像が前記カメラのどの画素に写るかを検出することにより、前記表示パネルのピクセルと前記カメラの画素との対応関係を求めることを特徴とする請求項10に記載の補正データ生成装置。
【請求項12】
前記制御部が、前記ピクセルの像の中心部に対応する一又は複数の画素の出力及び前記ピクセルの像の周辺部に対応する一又は複数の画素の出力を得るための撮像よりも、前記ピクセルを拡大して撮像し、前記演算部が、その撮像画像に基づいて前記ピクセルの像の全体の輝度を求め、前記中心露光係数及び前記周辺露光係数を算出することを特徴とする請求項10又は11に記載の補正データ生成装置。
【請求項13】
固体撮像素子を備えるカメラにより表示パネルのピクセルを撮像したときに、前記カメラの撮像面上でピクセルの像が複数の画素に及ぶとともにピクセルの像同士が重なり合わないように、前記表示パネルの一又は複数のピクセルを点灯させて前記カメラにより撮像する単ピクセル撮像ステップと、
前記単ピクセル撮像ステップで撮像したピクセルの像の中心部に対応する一又は複数の画素の出力に基づいて、前記ピクセルの像の中心部の輝度が前記ピクセルの像の全体の輝度に占める割合を示す中心露光係数を算出するとともに、前記ピクセルの像の周辺部に対応する一又は複数の画素の出力に基づいて、前記ピクセルの像の周辺部の輝度が前記ピクセルの像の全体の輝度に占める割合を示す周辺露光係数を算出する露光係数算出ステップと、
前記表示パネルの全てのピクセルを点灯させて前記カメラにより撮像する全ピクセル撮像ステップと、
前記全ピクセル撮像ステップの撮像画像並びに前記中心露光係数及び前記周辺露光係数に基づいて、前記表示パネルの全てのピクセルの輝度を算出する輝度算出ステップと、
前記輝度算出ステップで算出した輝度に基づいて、前記表示パネルの入力信号を補正して前記表示パネルの輝度むらを低減させる補正データを生成する補正データ生成ステップと、
前記補正データを画質調整回路の記憶部に記憶させる補正データ記憶ステップと、
前記画質調整回路が前記補正データに基づいて前記入力信号を補正するように、前記画質調整回路を前記表示パネルに実装する実装ステップとを含むことを特徴とする画質調整型表示パネルの製造方法。
【請求項14】
前記表示パネルの所定のピクセルを点灯させてなるアライメントパターンを前記カメラにより撮像し、前記アライメントパターンの像が前記カメラのどの画素に写るかを検出することにより、前記表示パネルのピクセルと前記カメラの画素との対応関係を求めるアライメントステップを含むことを特徴とする請求項13に記載の画質調整型表示パネルの製造方法。
【請求項15】
前記単ピクセル撮像ステップよりも前記ピクセルを拡大して撮像することにより、前記中心露光係数及び前記周辺露光係数を算出するための前記ピクセルの像の全体の輝度を求める拡大撮像ステップを含むことを特徴とする請求項13又は14に記載の画質調整型表示パネルの製造方法。
【請求項16】
表示パネルと、前記表示パネルの入力信号を補正して前記表示パネルの表示むらを低減させる補正データが記憶された記憶部を備える画質調整回路とを有し、
前記記憶部には、固体撮像素子を備えるカメラにより前記表示パネルのピクセルを撮像したときに、前記カメラの撮像面上でピクセルの像が複数の画素に及ぶとともにピクセルの像同士が重なり合わないように、前記表示パネルの一又は複数のピクセルを点灯させて前記カメラにより撮像し、撮像されたピクセルの像の中心部に対応する一又は複数の画素の出力に基づいて、前記ピクセルの像の中心部の輝度が前記ピクセルの像の全体の輝度に占める割合を示す中心露光係数を算出するとともに、前記ピクセルの像の周辺部に対応する一又は複数の画素の出力に基づいて、前記ピクセルの像の周辺部の輝度が前記ピクセルの像の全体の輝度に占める割合を示す周辺露光係数を算出し、前記表示パネルの全てのピクセルを点灯させて前記カメラにより撮像し、その撮像画像並びに前記中心露光係数及び前記周辺露光係数に基づいて、前記表示パネルの全てのピクセルの輝度を算出し、前記表示パネルの全てのピクセルの輝度に基づいて生成した補正データが、記憶されていることを特徴とする画質調整型表示パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルの各ピクセルの輝度を測定する輝度測定方法及び輝度測定装置と、これらを用いた画質調整技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルや有機ELパネル等の表示パネルでは、製造上のばらつきに起因して、表示むら(輝度むら、色むら)が生じることが知られている。表示パネルの各ピクセルがR、G、Bのサブピクセルを有する場合、個々のピクセルにおけるR、G、Bの相対的な明るさの関係は異ならないものの、近接するピクセル間で絶対的な明るさに差があるときには、輝度むらとなる。また、個々のピクセルにおけるR、G、Bの相対的な明るさの関係が、近接するピクセル間で異なるときには、色むらとなる。特に、有機ELパネルでは、ピクセルごとの有機化合物層の厚さを均一にすることが難しいため、不揃いな層厚に起因する表示むらが生じやすく、大画面化が容易ではなかった。
【0003】
このような表示むらを低減させて表示パネルの画質を改善する技術としては、例えば特許文献1に記載の輝度測定方法がある。この方法では、表示パネルの全てのピクセル(同文献における「画素」)を点灯させ、各ピクセルをCCDカメラの複数の撮像点で撮像し(同文献の図5参照)、この複数の撮像点の輝度データに基づいてピクセルの輝度を算出している。算出されたピクセルごとの輝度を用いて表示むらを低減させる補正データを生成し、この補正データに応じて表示パネルの入力信号を補正することにより、表示パネルの画質を改善することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−203889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1では、表示パネルの各ピクセルがカメラの撮像面上で独立して像を形成し、隣接するピクセルの像同士が重なり合わないことを前提としているが、実際には、カメラのレンズの収差その他の原因により、隣接するピクセルの像同士は重なり合う。したがって、ピクセルの輝度を正確に測定するためには、そのピクセルの像が位置する撮像面上の画素の出力をそのまま用いることはできず、そのピクセルに隣接するピクセルがその画素に与える影響を除去しなければならない。
【0006】
一方、隣接するピクセルの像同士の重なり合いを回避するために、ピクセルを一つずつ点灯させて輝度を順次測定したとしても、一般に、ピクセルの輝度は、個別に点灯させた場合と全体で点灯させた場合(全てのピクセルを同時に点灯させた場合)では異なるから、ピクセルを一つずつ点灯させて測定した輝度を用いて、表示むらを低減させるための補正データを生成したとしても、表示むらをうまく消すことができない。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、表示パネルのピクセルの像がカメラの撮像面上で重なり合っていても、各ピクセルの輝度を正確に測定することができる輝度測定方法及び輝度測定装置と、これらを用いた画質調整技術を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、固体撮像素子を備えるカメラにより表示パネルのピクセルを撮像したときに、前記カメラの撮像面上でピクセルの像が複数の画素に及ぶとともにピクセルの像同士が重なり合わないように、前記表示パネルの一又は複数のピクセルを点灯させて前記カメラにより撮像する単ピクセル撮像ステップと、前記単ピクセル撮像ステップで撮像したピクセルの像の中心部に対応する一又は複数の画素の出力に基づいて、前記ピクセルの像の中心部の輝度が前記ピクセルの像の全体の輝度に占める割合を示す中心露光係数を算出するとともに、前記ピクセルの像の周辺部に対応する一又は複数の画素の出力に基づいて、前記ピクセルの像の周辺部の輝度が前記ピクセルの像の全体の輝度に占める割合を示す周辺露光係数を算出する露光係数算出ステップと、前記表示パネルの全てのピクセルを点灯させて前記カメラにより撮像する全ピクセル撮像ステップと、前記全ピクセル撮像ステップの撮像画像並びに前記中心露光係数及び前記周辺露光係数に基づいて、前記表示パネルの全てのピクセルの輝度を算出する輝度算出ステップとを含む輝度測定方法を特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の輝度測定方法であって、前記表示パネルの所定のピクセルを点灯させてなるアライメントパターンを前記カメラにより撮像し、前記アライメントパターンの像が前記カメラのどの画素に写るかを検出することにより、前記表示パネルのピクセルと前記カメラの画素との対応関係を求めるアライメントステップを含むことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の輝度測定方法であって、前記単ピクセル撮像ステップよりも前記ピクセルを拡大して撮像することにより、前記中心露光係数及び前記周辺露光係数を算出するための前記ピクセルの像の全体の輝度を求める拡大撮像ステップを含むことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、表示パネルのピクセルの点灯を制御するとともに、固体撮像素子を備えるカメラによる撮像を制御する制御部と、前記カメラの撮像画像に基づいて演算を行う演算部とを有し、前記カメラにより前記表示パネルのピクセルを撮像したときに、前記カメラの撮像面上でピクセルの像が複数の画素に及ぶとともにピクセルの像同士が重なり合わないように、前記制御部が、前記表示パネルの一又は複数のピクセルを点灯させて前記カメラにより撮像した後に、前記演算部が、撮像されたピクセルの像の中心部に対応する一又は複数の画素の出力に基づいて、前記ピクセルの像の中心部の輝度が前記ピクセルの像の全体の輝度に占める割合を示す中心露光係数を算出するとともに、前記ピクセルの像の周辺部に対応する一又は複数の画素の出力に基づいて、前記ピクセルの像の周辺部の輝度が前記ピクセルの像の全体の輝度に占める割合を示す周辺露光係数を算出し、前記制御部が、前記表示パネルの全てのピクセルを点灯させて前記カメラにより撮像した後に、前記演算部が、その撮像画像並びに前記中心露光係数及び前記周辺露光係数に基づいて、前記表示パネルの全てのピクセルの輝度を算出する輝度測定装置を特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の輝度測定装置であって、前記制御部が、前記表示パネルの所定のピクセルを点灯させてなるアライメントパターンを前記カメラにより撮像し、前記演算部が、前記アライメントパターンの像が前記カメラのどの画素に写るかを検出することにより、前記表示パネルのピクセルと前記カメラの画素との対応関係を求めることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の輝度測定装置であって、前記制御部が、前記ピクセルの像の中心部に対応する一又は複数の画素の出力及び前記ピクセルの像の周辺部に対応する一又は複数の画素の出力を得るための撮像よりも、前記ピクセルを拡大して撮像し、前記演算部が、その撮像画像に基づいて前記ピクセルの像の全体の輝度を求め、前記中心露光係数及び前記周辺露光係数を算出することを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、固体撮像素子を備えるカメラにより表示パネルのピクセルを撮像したときに、前記カメラの撮像面上でピクセルの像が複数の画素に及ぶとともにピクセルの像同士が重なり合わないように、前記表示パネルの一又は複数のピクセルを点灯させて前記カメラにより撮像する単ピクセル撮像ステップと、前記単ピクセル撮像ステップで撮像したピクセルの像の中心部に対応する一又は複数の画素の出力に基づいて、前記ピクセルの像の中心部の輝度が前記ピクセルの像の全体の輝度に占める割合を示す中心露光係数を算出するとともに、前記ピクセルの像の周辺部に対応する一又は複数の画素の出力に基づいて、前記ピクセルの像の周辺部の輝度が前記ピクセルの像の全体の輝度に占める割合を示す周辺露光係数を算出する露光係数算出ステップと、前記表示パネルの全てのピクセルを点灯させて前記カメラにより撮像する全ピクセル撮像ステップと、前記全ピクセル撮像ステップの撮像画像並びに前記中心露光係数及び前記周辺露光係数に基づいて、前記表示パネルの全てのピクセルの輝度を算出する輝度算出ステップと、前記輝度算出ステップで算出した輝度に基づいて、前記表示パネルの入力信号を補正して前記表示パネルの輝度むらを低減させる補正データを生成する補正データ生成ステップとを含む補正データ生成方法を特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の補正データ生成方法であって、前記表示パネルの所定のピクセルを点灯させてなるアライメントパターンを前記カメラにより撮像し、前記アライメントパターンの像が前記カメラのどの画素に写るかを検出することにより、前記表示パネルのピクセルと前記カメラの画素との対応関係を求めるアライメントステップを含むことを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項7又は8に記載の補正データ生成方法であって、前記単ピクセル撮像ステップよりも前記ピクセルを拡大して撮像することにより、前記中心露光係数及び前記周辺露光係数を算出するための前記ピクセルの像の全体の輝度を求める拡大撮像ステップを含むことを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載の発明は、表示パネルのピクセルの点灯を制御するとともに、固体撮像素子を備えるカメラによる撮像を制御する制御部と、前記カメラの撮像画像に基づいて演算を行う演算部と、前記表示パネルの入力信号を補正して前記表示パネルの輝度むらを低減させる補正データを生成する補正データ生成部とを有し、前記カメラにより前記表示パネルのピクセルを撮像したときに、前記カメラの撮像面上でピクセルの像が複数の画素に及ぶとともにピクセルの像同士が重なり合わないように、前記制御部が、前記表示パネルの一又は複数のピクセルを点灯させて前記カメラにより撮像した後に、前記演算部が、撮像されたピクセルの像の中心部に対応する一又は複数の画素の出力に基づいて、前記ピクセルの像の中心部の輝度が前記ピクセルの像の全体の輝度に占める割合を示す中心露光係数を算出するとともに、前記ピクセルの像の周辺部に対応する一又は複数の画素の出力に基づいて、前記ピクセルの像の周辺部の輝度が前記ピクセルの像の全体の輝度に占める割合を示す周辺露光係数を算出し、前記制御部が、前記表示パネルの全てのピクセルを点灯させて前記カメラにより撮像した後に、前記演算部が、その撮像画像並びに前記中心露光係数及び前記周辺露光係数に基づいて、前記表示パネルの全てのピクセルの輝度を算出し、前記補正データ生成部が、前記表示パネルの全てのピクセルの輝度に基づいて、前記補正データを生成する補正データ生成装置を特徴とする。
【0018】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の補正データ生成装置であって、前記制御部が、前記表示パネルの所定のピクセルを点灯させてなるアライメントパターンを前記カメラにより撮像し、前記演算部が、前記アライメントパターンの像が前記カメラのどの画素に写るかを検出することにより、前記表示パネルのピクセルと前記カメラの画素との対応関係を求めることを特徴とする。
【0019】
請求項12に記載の発明は、請求項10又は11に記載の補正データ生成装置であって、前記制御部が、前記ピクセルの像の中心部に対応する一又は複数の画素の出力及び前記ピクセルの像の周辺部に対応する一又は複数の画素の出力を得るための撮像よりも、前記ピクセルを拡大して撮像し、前記演算部が、その撮像画像に基づいて前記ピクセルの像の全体の輝度を求め、前記中心露光係数及び前記周辺露光係数を算出することを特徴とする。
【0020】
請求項13に記載の発明は、固体撮像素子を備えるカメラにより表示パネルのピクセルを撮像したときに、前記カメラの撮像面上でピクセルの像が複数の画素に及ぶとともにピクセルの像同士が重なり合わないように、前記表示パネルの一又は複数のピクセルを点灯させて前記カメラにより撮像する単ピクセル撮像ステップと、前記単ピクセル撮像ステップで撮像したピクセルの像の中心部に対応する一又は複数の画素の出力に基づいて、前記ピクセルの像の中心部の輝度が前記ピクセルの像の全体の輝度に占める割合を示す中心露光係数を算出するとともに、前記ピクセルの像の周辺部に対応する一又は複数の画素の出力に基づいて、前記ピクセルの像の周辺部の輝度が前記ピクセルの像の全体の輝度に占める割合を示す周辺露光係数を算出する露光係数算出ステップと、前記表示パネルの全てのピクセルを点灯させて前記カメラにより撮像する全ピクセル撮像ステップと、前記全ピクセル撮像ステップの撮像画像並びに前記中心露光係数及び前記周辺露光係数に基づいて、前記表示パネルの全てのピクセルの輝度を算出する輝度算出ステップと、前記輝度算出ステップで算出した輝度に基づいて、前記表示パネルの入力信号を補正して前記表示パネルの輝度むらを低減させる補正データを生成する補正データ生成ステップと、前記補正データを画質調整回路の記憶部に記憶させる補正データ記憶ステップと、前記画質調整回路が前記補正データに基づいて前記入力信号を補正するように、前記画質調整回路を前記表示パネルに実装する実装ステップとを含む画質調整型表示パネルの製造方法を特徴とする。
【0021】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の画質調整型表示パネルの製造方法であって、前記表示パネルの所定のピクセルを点灯させてなるアライメントパターンを前記カメラにより撮像し、前記アライメントパターンの像が前記カメラのどの画素に写るかを検出することにより、前記表示パネルのピクセルと前記カメラの画素との対応関係を求めるアライメントステップを含むことを特徴とする。
【0022】
請求項15に記載の発明は、請求項13又は14に記載の画質調整型表示パネルの製造方法であって、前記単ピクセル撮像ステップよりも前記ピクセルを拡大して撮像することにより、前記中心露光係数及び前記周辺露光係数を算出するための前記ピクセルの像の全体の輝度を求める拡大撮像ステップを含むことを特徴とする。
【0023】
請求項16に記載の発明は、表示パネルと、前記表示パネルの入力信号を補正して前記表示パネルの表示むらを低減させる補正データが記憶された記憶部を備える画質調整回路とを有し、前記記憶部には、固体撮像素子を備えるカメラにより前記表示パネルのピクセルを撮像したときに、前記カメラの撮像面上でピクセルの像が複数の画素に及ぶとともにピクセルの像同士が重なり合わないように、前記表示パネルの一又は複数のピクセルを点灯させて前記カメラにより撮像し、撮像されたピクセルの像の中心部に対応する一又は複数の画素の出力に基づいて、前記ピクセルの像の中心部の輝度が前記ピクセルの像の全体の輝度に占める割合を示す中心露光係数を算出するとともに、前記ピクセルの像の周辺部に対応する一又は複数の画素の出力に基づいて、前記ピクセルの像の周辺部の輝度が前記ピクセルの像の全体の輝度に占める割合を示す周辺露光係数を算出し、前記表示パネルの全てのピクセルを点灯させて前記カメラにより撮像し、その撮像画像並びに前記中心露光係数及び前記周辺露光係数に基づいて、前記表示パネルの全てのピクセルの輝度を算出し、前記表示パネルの全てのピクセルの輝度に基づいて生成した補正データが、記憶されている画質調整型表示パネルを特徴とする。
【0024】
請求項1又は4に記載の発明によれば、表示パネルのピクセルの像同士がカメラの撮像面上で重なり合わないように、表示パネルのピクセルをカメラにより撮像し、ピクセルの像の中心部の輝度がピクセルの像の全体の輝度に占める割合を示す中心露光係数及びピクセルの像の周辺部の輝度がピクセルの像の全体の輝度に占める割合を示す周辺露光係数を算出した上で、表示パネルの全てのピクセルを点灯させてカメラにより撮像し、この撮像画像並びに中心露光係数及び周辺露光係数に基づいて、表示パネルの全てのピクセルの輝度を算出するので、表示パネルのピクセルの像がカメラの撮像面上で重なり合っていても、隣接するピクセルの像の影響を控除して、各ピクセルの輝度を正確に測定することができる。
【0025】
請求項2又は5に記載の発明によれば、表示パネルの所定のピクセルを点灯させてなるアライメントパターンをカメラにより撮像し、アライメントパターンの像がカメラのどの画素に写るかを検出することにより、表示パネルのピクセルとカメラの画素との対応関係を求めるので、この対応関係を利用することによって撮像結果(各画素の出力)と各ピクセルの輝度との結び付きの正確性が増し、各ピクセルの輝度をより一層正確に測定することができる。
【0026】
請求項3又は6に記載の発明によれば、ピクセルの像を拡大して(撮像面上でピクセルの像がより多くの画素に及ぶようにして)撮像することにより、ピクセルの像の全体の輝度を求めるので、撮像面上の画素間にある非受光部に起因する測定精度の低下を抑制することができ、各ピクセルの輝度をより一層正確に測定することができる。
【0027】
請求項7又は10に記載の発明によれば、請求項1又は4に記載の発明と同様に、表示パネルのピクセルの像同士がカメラの撮像面上で重なり合わないように、表示パネルのピクセルをカメラにより撮像し、ピクセルの像の中心部の輝度がピクセルの像の全体の輝度に占める割合を示す中心露光係数及びピクセルの像の周辺部の輝度がピクセルの像の全体の輝度に占める割合を示す周辺露光係数を算出した上で、表示パネルの全てのピクセルを点灯させてカメラにより撮像し、この撮像画像並びに中心露光係数及び周辺露光係数に基づいて、表示パネルの全てのピクセルの輝度を算出するので、表示パネルのピクセルの像がカメラの撮像面上で重なり合っていても、隣接するピクセルの像の影響を控除して、各ピクセルの輝度を正確に測定することができる。そして、この表示パネルのピクセルごとの輝度に基づいて、表示パネルの輝度むらを低減させる補正データが生成されるので、表示パネルの画質を高精度に調整することが可能な補正データを生成することができる。
【0028】
請求項8又は11に記載の発明によれば、請求項2又は5に記載の発明と同様に、表示パネルの所定のピクセルを点灯させてなるアライメントパターンをカメラにより撮像し、アライメントパターンの像がカメラのどの画素に写るかを検出することにより、表示パネルのピクセルとカメラの画素との対応関係を求めるので、この対応関係を利用することによって撮像結果(各画素の出力)と各ピクセルの輝度との結び付きの正確性が増し、各ピクセルの輝度をより一層正確に測定することができる。そして、この表示パネルのピクセルごとの輝度に基づいて、表示パネルの輝度むらを低減させる補正データが生成されるので、表示パネルの画質をより高精度に調整することが可能な補正データを生成することができる。
【0029】
請求項9又は12に記載の発明によれば、請求項3又は6に記載の発明と同様に、ピクセルの像を拡大して(撮像面上でピクセルの像がより多くの画素に及ぶようにして)撮像することにより、ピクセルの像の全体の輝度を求めるので、撮像面上の画素間にある非受光部に起因する測定精度の低下を抑制することができ、各ピクセルの輝度をより一層正確に測定することができる。そして、この表示パネルのピクセルごとの輝度に基づいて、表示パネルの輝度むらを低減させる補正データが生成されるので、表示パネルの画質をより高精度に調整することが可能な補正データを生成することができる。
【0030】
請求項13又は16に記載の発明によれば、請求項7又は10に記載の発明と同様に補正データが生成され、この補正データが記憶された画質調整回路が表示パネルに実装されるので、表示パネルの画質を高精度に調整することができる。
【0031】
請求項14に記載の発明によれば、請求項8又は11に記載の発明と同様に補正データが生成され、この補正データが記憶された画質調整回路が表示パネルに実装されるので、表示パネルの画質をより高精度に調整することができる。
【0032】
請求項15に記載の発明によれば、請求項9又は12に記載の発明と同様に補正データが生成され、この補正データが記憶された画質調整回路が表示パネルに実装されるので、表示パネルの画質をより高精度に調整することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、表示パネルのピクセルの像がカメラの撮像面上で重なり合っていても、各ピクセルの輝度を正確に測定することができ、この測定輝度を用いて表示パネルの画質を向上させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】実施形態1に係る輝度測定装置を示す説明図である。
図2】実施形態1に係る輝度測定方法を示す流れ図である。
図3】アライメントパターンを示す説明図である。
図4】露光係数測定用パターンを拡大して示す説明図である。
図5】デフォーカスした場合の撮像面上におけるピクセルの像の例を示す説明図である。
図6】フォーカスした場合の撮像面上におけるピクセルの像の例を示す説明図である。
図7】撮像面上においてピクセルの像が重なり合っている例を示す説明図である。
図8】実施形態2に係る補正データ生成装置を示す説明図である。
図9】実施形態2に係る補正データ生成方法、画質調整型有機ELパネルの製造方法及び画質調整方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0036】
〔実施形態1〕
図1は、本形態に係る輝度測定装置を示す。この輝度測定装置1は、有機ELパネル2の全てのピクセル(有機ELパネル2の各ピクセルはR、G、Bのサブピクセルからなり、本発明では、このようなサブピクセルも「ピクセル」に含まれるものとする。)の輝度を測定するもので、制御部3と、演算部4と、記憶部5とを有する。制御部3は、パターン発生装置6を介して有機ELパネル2の表示を制御するとともに、有機ELパネル2に正対した白黒の固体撮像素子カメラ7による撮像を制御する。演算部4は、カメラ7の撮像画像等に基づいて各種の演算を行い、記憶部5は、カメラ7の撮像結果や演算部4の演算結果を記憶する。
【0037】
輝度測定装置1が有機ELパネル2のピクセルの赤色表示時の輝度を測定する際には、図2に示すように、まず、制御部3が、パターン発生装置6に指示して、図3に示すアライメントパターンPを有機ELパネル2に表示させる(ステップ1(図中「S.1」と記載。以下同様。))。アライメントパターンPは、有機ELパネル2上で既知の位置にある特定のピクセル(Rのサブピクセル)が点灯することにより、赤色四角形状のドットDが縦横に並んだものである。
【0038】
制御部3は、アライメントパターンPが表示された有機ELパネル2をカメラ7により撮像し(ステップ2)、演算部4は、この撮像画像に基づいて、ドットDの像がカメラ7の撮像面上のどの画素に写るかを検出することにより、有機ELパネル2のピクセルとカメラ7の画素との位置的な対応関係を求め(ステップ3)、これを記憶部5に記憶させる(ステップ4)。
【0039】
次に、制御部3は、パターン発生装置6に指示して、図4に示す露光係数測定用パターンPを有機ELパネル2に表示させる(ステップ5)。露光係数測定用パターンPは、有機ELパネル2の最も左上のピクセルと、このピクセルから3ピクセルおきに右に位置するピクセルと、これらのピクセルから3ピクセルおきに下に位置するピクセルとを点灯させたもので、制御部3は、これをカメラ7によりデフォーカスして撮像する(ステップ6)。カメラ7の撮像面上におけるピクセルの像の形状や大きさは、そのピクセルの像が撮像面上のどこに位置するのかによって異なるが、ここでは、概ね、カメラ7の4画素×4画素に及ぶ程度の大きさであるとし、例えば図5に示すように、あるピクセルの像Iは、カメラ7の撮像面8上で画素9a〜9pに及んでいる。また、カメラ7の撮像面上において、隣接するピクセルの像同士は重なり合っていない。
【0040】
演算部4は、ステップにおける撮像画像に基づいて、ピクセルの像の全体の輝度を求める(ステップ7)。例えばピクセルの像Iの全体の輝度であれば、画素9a〜9pの出力から求めることができる。露光係数測定用パターンP1を構成する点灯中の各ピクセルについて、求められたピクセルの像の全体の輝度は、記憶部5に記憶される(ステップ8)。
【0041】
続いて、制御部3は、露光係数測定用パターンPをカメラ7によりフォーカスして(ピントを合わせて)撮像する(ステップ9)。前述したように、カメラ7の撮像面上におけるピクセルの像の形状や大きさは、そのピクセルの像が撮像面上のどこに位置するかによって異なるが、ここでは、概ね、カメラ7の3画素×3画素に及ぶ程度の大きさであるとし、例えば図6に示すように、ピクセルの像Iは、カメラ7の撮像面8上で画素9a〜9c,9e〜9g,9i〜9kに及んでいる。すなわち、ピクセルの像Iは、デフォーカスして撮像した場合(図5)と比べて縮小しており(換言すると、ステップ9よりもピクセルの像が多数の画素に及ぶステップ6では、ピクセルを拡大して撮像していた。)、このとき、当然ながら、隣接するピクセルの像同士は重なり合っていない。
【0042】
演算部4は、ステップ9における撮像画像に基づいて、ピクセルの像の中心部の輝度を求め(ステップ10)、これを記憶部5に記憶させるとともに(ステップ11)、ピクセルの像の8つの周辺部の輝度を求め(ステップ12)、これらを記憶部5に記憶させる(ステップ13)。ここでは、ピクセルの像の中心部の輝度とは、ピクセルの像の重心が位置する画素の出力に応じた輝度とし、ピクセルの像の8つの周辺部の輝度とは、その重心が位置する画素に隣接する8つの画素の出力に応じた輝度とする。したがって、図6では、画素9fの出力からピクセルの像Iの中心部の輝度を求め、画素9aの出力からピクセルの像Iの第1の周辺部の輝度を求め、画素9bの出力からピクセルの像Iの第2の周辺部の輝度を求め、画素9cの出力からピクセルの像Iの第3の周辺部の輝度を求め、画素9eの出力からピクセルの像Iの第4の周辺部の輝度を求め、画素9gの出力からピクセルの像Iの第5の周辺部の輝度を求め、画素9iの出力からピクセルの像Iの第6の周辺部の輝度を求め、画素9jの出力からピクセルの像Iの第7の周辺部の輝度を求め、画素9kの出力からピクセルの像Iの第8の周辺部の輝度を求めることができる。
【0043】
さらに、演算部4は、ステップ10で求めたピクセルの像の中心部の輝度をステップ7で求めたピクセルの像の全体の輝度で除してなる中心露光係数を算出し(ステップ14)、これを記憶部5に記憶させるとともに(ステップ15)、ステップ12で求めたピクセルの像の8つの周辺部の輝度をそれぞれステップ7で求めたピクセルの像の全体の輝度で除してなる8つの周辺露光係数を算出し(ステップ16)、これらを記憶部5に記憶させる(ステップ17)。
【0044】
以降、輝度測定装置1は、露光係数測定用パターンPで点灯していた各ピクセルの1つ右のピクセルが点灯してなる露光係数測定用パターンP、露光係数測定用パターンPで点灯していた各ピクセルの2つ右のピクセルが点灯してなる露光係数測定用パターンP、露光係数測定用パターンPで点灯していた各ピクセルの3つ右のピクセルが点灯してなる露光係数測定用パターンP、露光係数測定用パターンPで点灯していた各ピクセルの1つ下のピクセルが点灯してなる露光係数測定用パターンP、露光係数測定用パターンPで点灯していた各ピクセルの1つ下のピクセルが点灯してなる露光係数測定用パターンP、露光係数測定用パターンPで点灯していた各ピクセルの1つ下のピクセルが点灯してなる露光係数測定用パターンP、露光係数測定用パターンPで点灯していた各ピクセルの1つ下のピクセルが点灯してなる露光係数測定用パターンP、露光係数測定用パターンPで点灯していた各ピクセルの2つ下のピクセルが点灯してなる露光係数測定用パターンP、露光係数測定用パターンPで点灯していた各ピクセルの2つ下のピクセルが点灯してなる露光係数測定用パターンP10、露光係数測定用パターンPで点灯していた各ピクセルの2つ下のピクセルが点灯してなる露光係数測定用パターンP11、露光係数測定用パターンPで点灯していた各ピクセルの2つ下のピクセルが点灯してなる露光係数測定用パターンP12、露光係数測定用パターンPで点灯していた各ピクセルの3つ下のピクセルが点灯してなる露光係数測定用パターンP13、露光係数測定用パターンPで点灯していた各ピクセルの3つ下のピクセルが点灯してなる露光係数測定用パターンP14、露光係数測定用パターンPで点灯していた各ピクセルの3つ下のピクセルが点灯してなる露光係数測定用パターンP15、露光係数測定用パターンPで点灯していた各ピクセルの3つ下のピクセルが点灯してなる露光係数測定用パターンP16について、ステップ5乃至15と同様な処理を行い、各ピクセルについて中心露光係数と8つの周辺露光係数(以下、これらをまとめて「露光係数」ともいう。)を算出し、これらを記憶部5に記憶する(ステップ18)。これにより、有機ELパネル2の全てのピクセルについて、計9つの露光係数が算出されたことになる。
【0045】
ところで、露光係数は、カメラ7のレンズの収差等により、カメラ7の撮像面上におけるピクセルの像の位置(ピクセルの像の重心がある画素の撮像面上における位置)や位相(ピクセルの像の重心がある画素の中心と、その重心とのずれ)により変化する。つまり、露光係数は、ピクセルの像の位置δ,δと位相α,αの4つのパラメータにより決定されるが、ステップ5乃至18で求めた各ピクセルの露光係数は、ピクセルごとに位置や位相がばらばらであり、後述のステップ23等において使おうとすると、使いにくい。そこで、演算部4は、これまで求めた各ピクセルの露光係数に基づいて、有機ELパネル2のエリアごとに代表的な位置及び位相についての露光係数を算出し(ステップ19)、これを露光係数テーブルとして記憶部5に記憶させる(ステップ20)。ここで、有機ELパネル2のエリアごとに、そのエリアを代表する位置及び位相についての露光係数を算出することにしたのは、例えばピクセルの像の形状が、有機ELパネル2のエリアごと(カメラ7の撮像面のエリアごと)に円形に近かったり楕円形に近かったりすることがあり、円形に近いエリアでいくつかの位置及び位相についての露光係数が準備され、かつ、楕円形に近いエリアでいくつかの位置及び位相についての露光係数が準備されていれば、円形に近いピクセルの像の露光係数が必要な場合には、円形に近いエリアの代表的な露光係数を補間して求めることができ、楕円形に近いピクセルの像の露光係数が必要な場合には、楕円形に近いエリアの代表的な露光係数を補間して求めることができるからである。
【0046】
露光係数テーブルが得られると、制御部3は、パターン発生装置6に指示して、輝度測定用パターンPを有機ELパネル2に表示させる(ステップ21)。輝度測定用パターンPは、有機ELパネル2の全てのピクセル(全てのRのサブピクセル)が同時に点灯することにより、有機ELパネル2の全面に表示される赤色の画像である。
【0047】
制御部3は、輝度測定用パターンPが表示された有機ELパネル2をカメラ7により撮像し(ステップ22)、演算部4は、この撮像画像に基づいて、有機ELパネル2の全てのピクセルの輝度を算出し(ステップ23)、記憶部5に記憶させる(ステップ24)。
【0048】
具体的には、ステップ3で求めた有機ELパネル2のピクセルとカメラ7の画素との対応関係、並びに、ステップ19及び20で生成した露光係数テーブルにより、演算部4は、カメラ7の各画素に有機ELパネル2のどのピクセルの像が写っているのかを認識することができる。すなわち、上記対応関係により、有機ELパネル2の任意のピクセルの像がカメラ7のある画素を中心に写ることがわかり、上記露光係数テーブルにより、その「任意のピクセルの像」が「ある画素」の周囲のどの画素にまで及ぶかがわかるから、演算部4は、カメラ7の各画素が、有機ELパネル2のどのピクセルの影響をどのくらい受けているのかを把握することができる。また、カメラ7の各画素の出力(各画素の受光量)は測定により明らかである一方、有機ELパネル2をラスタ点灯した時(全てのピクセルを同時点灯した時)の各ピクセルの輝度は未知数であるから、例えば図7に示すように、カメラ7の画素9fが、ピクセルの像Iの中心部、ピクセルの像I〜I,I〜Iの周辺部に対応する場合、
画素9fの出力に対応する輝度をB9f
ピクセルの像Iの輝度をX、中心部の露光係数をk
ピクセルの像Iの輝度をX、画素9fに対する周辺部の露光係数をk
ピクセルの像Iの輝度をX、画素9fに対する周辺部の露光係数をk
ピクセルの像Iの輝度をX、画素9fに対する周辺部の露光係数をk
ピクセルの像Iの輝度をX、画素9fに対する周辺部の露光係数をk
ピクセルの像Iの輝度をX、画素9fに対する周辺部の露光係数をk
ピクセルの像Iの輝度をX、画素9fに対する周辺部の露光係数をk
ピクセルの像Iの輝度をX、画素9fに対する周辺部の露光係数をk
ピクセルの像Iの輝度をX、画素9fに対する周辺部の露光係数をk
とすると、次の方程式が成り立つ。
9f=k+k+k+k+k+k+k+k+k
このような方程式は他の画素についても成り立つから、演算部4は、それらの方程式からなる連立一次方程式を未知数Xについて解くことにより、全てのピクセルの輝度を求めることができる。
【0049】
以上は、輝度測定装置1が有機ELパネル2のピクセルの赤色表示時の輝度(全てのRのサブピクセルの輝度)を測定する方法であるが、輝度測定装置1は、有機ELパネル2のピクセルの緑色表示時の輝度(全てのGのサブピクセルの輝度)及び青色表示時の輝度(全てのBのサブピクセルの輝度)についても、同様に測定可能である。
【0050】
本形態に係る輝度測定装置1による輝度測定方法では、有機ELパネル2のピクセルの像同士がカメラ7の撮像面8上で重なり合わないように、有機ELパネル2のピクセルをカメラ7により撮像し、ピクセルの像の中心部の輝度がピクセルの像の全体の輝度に占める割合を示す中心露光係数及びピクセルの像の周辺部の輝度がピクセルの像の全体の輝度に占める割合を示す周辺露光係数を算出した上で、有機ELパネル2の全てのピクセルを点灯させてカメラ7により撮像し、この撮像画像並びに中心露光係数及び周辺露光係数に基づいて、有機ELパネル2の全てのピクセルの輝度を算出するので、有機ELパネル2のピクセルの像がカメラ7の撮像面8上で重なり合っていても、隣接するピクセルの像の影響を控除して、各ピクセルの輝度を正確に測定することができる。
【0051】
また、輝度測定装置1では、有機ELパネル2の所定のピクセルを点灯させてなるアライメントパターンPをカメラ7により撮像し、アライメントパターンPの像がカメラ7のどの画素に写るかを検出することにより、有機ELパネル2のピクセルとカメラ7の画素との対応関係を求め、この対応関係を利用することによって、撮像結果とピクセルの輝度との結び付きの正確性が増している。さらに、ステップ6においてピクセルの像を拡大して撮像した上で、ステップ7においてピクセルの像の全体の輝度を求めているので、撮像面8上の画素間にある非受光部に起因する測定精度の低下を抑制することができ、各ピクセルの輝度をより一層正確に測定することができる。
【0052】
〔実施形態2〕
図8は、本形態に係る補正データ生成装置を示す。この補正データ生成装置10は、実施形態1に係る輝度測定装置1に対してROMライタ11が追加接続されたもので、図9に示すように、輝度測定装置1と同様に有機ELパネル2の全てのピクセルの輝度を測定した上で(ステップ1乃至24)、このピクセルごとの輝度に基づいて、演算部4が、有機ELパネル2の表示むら(輝度むら)を低減させる補正データを生成する(ステップ25)。生成された補正データは、ROMライタ11によりROM(不揮発性メモリ)12に書き込まれ(ステップ26)、このROM12を備える画質調整回路13が有機ELパネル2に実装されることによって、画質調整型有機ELパネル14が製造される(ステップ27)。
【0053】
画質調整型有機ELパネル14では、画像信号が入力されると(ステップ28)、画質調整回路13がROM12に書き込まれた補正データを参照して有機ELパネル2に入力された画像信号(入力信号)を補正することにより、有機ELパネル2の表示むらの低減が図られて画質が調整される(ステップ29)。
【0054】
本形態に係る補正データ生成装置10による補正データ生成方法及び画質調整型有機ELパネル14の製造方法では、実施形態1におけると同様に有機ELパネル2のピクセルごとの輝度が測定され、このピクセルごとの輝度に基づいて、有機ELパネル2の表示むらを低減させる補正データが生成されるので、有機ELパネル2の画質を高精度に調整することができる。
【0055】
以上、本発明を実施するための形態について例示したが、本発明の実施形態は上述したものに限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更等してもよい。
【0056】
例えば画質調整に供する表示パネルは有機ELパネルに限られず、液晶パネルやプラズマディスプレイ(PDP)、あるいは、投影型のプロジェクタ等であってもよい。
【0057】
また、カメラは白黒カメラに限られずカラーカメラであってもよく、ピクセルの像を拡大して撮像するにはデフォーカスによらず、ズームやカメラの移動等によることとしてもかまわない。
【0058】
さらに、ピクセルの像の中心部の輝度及び周辺部の輝度の定義についても、上述したものに限られない。
【符号の説明】
【0059】
1 輝度測定装置
2 有機ELパネル(表示パネル)
3 制御部
4 演算部
5 記憶部
6 パターン発生装置
7 カメラ
8 撮像面
9a〜9p 画素
10 補正データ生成装置
11 ROMライタ
12 ROM(記憶部)
13 画質調整回路
14 画質調整型有機ELパネル(画質調整型表示パネル)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9