【実施例】
【0019】
まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。
図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。
図2は、パチンコ遊技機を示す背面図である。
図3は、主基板における回路構成の一例を示すブロック図である。
【0020】
パチンコ遊技機1は、
図1及び
図2に示すように、縦長の方形枠状に形成された外枠100と、外枠100に開閉可能に取り付けられた前面枠101と、で主に構成されている。前面枠101の前面には、ガラス扉枠102及び下扉枠103がそれぞれ左側辺を中心に開閉可能に設けられている。
【0021】
下扉枠103の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4(下皿)や、打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。また、ガラス扉枠102の背面には、遊技盤6が前面枠101に対して着脱可能に取り付けられている。
【0022】
遊技盤6は、遊技領域7が遊技盤6の遊技盤面6a側に形成された透光性の合成樹脂材からなる盤面板(図示略)と、所定の厚み幅寸法を有する非透光性の合成樹脂材からなり、盤面板を取り付ける取付面が前面に設けられたスペーサ部材(図示略)と、から構成され、該遊技盤6の背面側には、演出表示装置9及び演出制御基板80等を含む変動表示制御ユニット(図示略)等の遊技に関連する遊技用部品が組み付けられる遊技盤ユニット260が一体的に組み付けられている(
図2参照)。
【0023】
遊技盤ユニット260は、遊技盤6と、該遊技盤6の背面側に配置され、遊技盤6を背面側から装飾する装飾ユニット(図示略)と、該装飾ユニットの背面に取り付けられ、演出表示装置9及び演出制御基板80等を含む変動表示制御ユニットと、から主に構成され、遊技盤6に対して着脱可能に取り付けられる。
【0024】
図1に戻って、遊技領域7の中央付近には、それぞれが演出用の飾り図柄(演出図柄)を可変表示する複数の可変表示部を含む演出表示装置(飾り図柄表示装置)9が設けられている。演出表示装置9には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの可変表示部(図柄表示エリア)がある。演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bによる特別図柄の可変表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の可変表示を行う。演出図柄の可変表示を行う演出表示装置9は、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。
【0025】
遊技盤6における右側下部位置には、第1識別情報としての第1特別図柄を可変表示する第1特別図柄表示器(第1可変表示手段)8aが設けられている。この実施例では、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。また、第1特別図柄表示器8aの上方位置には、第2識別情報としての第2特別図柄を可変表示する第2特別図柄表示器(第2可変表示手段)8bが設けられている。第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。
【0026】
この実施例では、第1特別図柄の種類と第2特別図柄の種類とは同じ(例えば、ともに0〜9の数字)であるが、種類が異なっていてもよい。また、第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bは、それぞれ、例えば2つの7セグメントLED等を用いて00〜99の数字(または、2桁の記号)を可変表示するように構成されていてもよい。
【0027】
以下、第1特別図柄と第2特別図柄とを特別図柄と総称することがあり、第1特別図柄表示器8aと第2特別図柄表示器8bとを特別図柄表示器と総称することがある。
【0028】
第1特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第1始動条件が成立(例えば、遊技球が第1始動入賞口13aに入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。また、第2特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第2始動条件が成立(例えば、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第2特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。なお、入賞とは、入賞口などのあらかじめ入賞領域として定められている領域に遊技球が入ったことである。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。
【0029】
演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aでの第1特別図柄の可変表示時間中、および第2特別図柄表示器8bでの第2特別図柄の可変表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄(飾り図柄ともいう)の可変表示を行う。第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の可変表示と、演出表示装置9における演出図柄の可変表示とは同期している。また、第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の可変表示と、演出表示装置9における演出図柄の可変表示とは同期している。同期とは、可変表示の開始時点および終了時点がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であって、可変表示の期間がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であることをいう。また、第1特別図柄表示器8aにおいて大当り図柄が停止表示されるときと、第2特別図柄表示器8bにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、演出表示装置9において大当りを想起させるような演出図柄の組み合せが停止表示される。
【0030】
演出表示装置9の下方には、第1始動入賞口13aを有する入賞装置が設けられている。第1始動入賞口13aに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ14a(例えば、近接スイッチ)及び第1入賞確認スイッチ14b(例えば、フォトセンサ)によって検出される。
【0031】
また、第1始動入賞口(第1始動口)13aを有する入賞装置の下側には、遊技球が入賞可能な第2始動入賞口13bを有する可変入賞球装置15が設けられている。第2始動入賞口(第2始動口)13bに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ15a及び第2入賞確認スイッチ15bによって検出される。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。可変入賞球装置15が開状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。可変入賞球装置15が開状態になっている状態では、第1始動入賞口13aよりも、第2始動入賞口13bに遊技球が入賞しやすい。また、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態では、遊技球は第2始動入賞口13bに入賞しない。なお、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。
【0032】
また、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14bの検出結果及び第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15bの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。
【0033】
以下、第1始動入賞口13aと第2始動入賞口13bとを総称して始動入賞口または始動口ということがある。
【0034】
可変入賞球装置15が開放状態に制御されているときには可変入賞球装置15に向かう遊技球は第2始動入賞口13bに極めて入賞しやすい。そして、第1始動入賞口13aは演出表示装置9の直下に設けられているが、演出表示装置9の下端と第1始動入賞口13aとの間の間隔をさらに狭めたり、第1始動入賞口13aの周辺で釘を密に配置したり、第1始動入賞口13aの周辺での釘配列を、遊技球を第1始動入賞口13aに導きづらくして、第2始動入賞口13bの入賞率の方を第1始動入賞口13aの入賞率よりもより高くするようにしてもよい。
【0035】
第2特別図柄表示器8bの上部には、第1始動入賞口13aに入った有効入賞球数すなわち第1保留記憶数(保留記憶を、始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)を表示する第1特別図柄保留記憶表示部と、該第1特別図柄保留記憶表示部とは別個に設けられ、第2始動入賞口13bに入った有効入賞球数すなわち第2保留記憶数を表示する第2特別図柄保留記憶表示部と、が設けられた例えば7セグメントLEDからなる特別図柄保留記憶表示器18が設けられている。第1特別図柄保留記憶表示部は、第1保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第1特別図柄表示器8aでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。また、第2特別図柄保留記憶表示部は、第2保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第2特別図柄表示器8bでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。なお、この例では、第1始動入賞口13aへの入賞による始動記憶数及び第2始動入賞口13bへの入賞による始動記憶数に上限数(4個まで)が設けられているが、上限数を4個以上にしてもよい。
【0036】
また、演出表示装置9の表示画面には、第1保留記憶数を表示する第1保留記憶表示部9aと、第2保留記憶数を表示する第2保留記憶表示部9bとが設けられている。なお、第1保留記憶数と第2保留記憶数との合計である合計数(合算保留記憶数)を表示する領域(合算保留記憶表示部)が設けられるようにしてもよい。そのように、合計数を表示する合算保留記憶表示部が設けられているようにすれば、可変表示の開始条件が成立していない実行条件の成立数の合計を把握しやすくすることができる。
【0037】
なお、この実施例では、
図1に示すように、第2始動入賞口13bに対してのみ開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられているが、第1始動入賞口13aおよび第2始動入賞口13bのいずれについても開閉動作を行う可変入賞球装置が設けられている構成であってもよい。
【0038】
また、
図1に示すように、可変入賞球装置15の下方には、第1特別可変入賞球装置20Aが設けられている。第1特別可変入賞球装置20Aは大入賞口扉20b(
図19参照)を備え、第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたとき、および第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21aによって大入賞口扉20bが開放状態に制御されることによって、入賞領域となる第1大入賞口20a(
図19参照)が開放状態になる。
【0039】
第1大入賞口20a内には、第1大入賞口20a内に入賞した遊技球を検出可能な2つのスイッチ(第1カウントスイッチ23aと第3入賞確認スイッチ23b)が設けられている。この実施例では、第1大入賞口20a内で、第1カウントスイッチ23aと第3入賞確認スイッチ23bとが配置されている(本例では、第1カウントスイッチ23aが上側に配置され、第3入賞確認スイッチ23bが下側に配置されている)。従って、この実施例では、第1大入賞口20a内に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、まず第1カウントスイッチ23aで検出され、次いで第3入賞確認スイッチ23bで検出される。
【0040】
第1カウントスイッチ23aによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。こうして、第1特別可変入賞球装置20Aにおいて開放状態となった第1大入賞口20aを遊技球が通過(進入)したときには、例えば第1始動入賞口13aや第2始動入賞口13bといった、他の入賞口を遊技球が通過(進入)したときよりも多くの賞球が払い出される。したがって、第1特別可変入賞球装置20Aにおいて第1大入賞口20aが開放状態となれば、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、第1特別可変入賞球装置20Aにおいて第1大入賞口20aが閉鎖状態となれば、第1大入賞口20aに遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることができないため、遊技者にとって不利な第2状態となる。
【0041】
また、可変入賞球装置15の右斜め上方には、第2特別可変入賞球装置20Bが設けられている。第2特別可変入賞球装置20Bは可動板20dを備え、第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたとき、および第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21bによって可動板20dが開放状態に制御されることによって、入賞領域となる第2大入賞口20cが開放状態になる。
【0042】
第2大入賞口20c内には、第2大入賞口20c内に入賞した遊技球を検出可能な2つのスイッチ(第2カウントスイッチ24aと第4入賞確認スイッチ24b)が設けられている。この実施例では、第2大入賞口20c内で、第2カウントスイッチ24aと第4入賞確認スイッチ24bとが配置されている(本例では、第2カウントスイッチ24aが上側に配置され、第4入賞確認スイッチ24bが下側に配置されている)。従って、この実施例では、第2大入賞口20c内に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、まず第2カウントスイッチ24aで検出され、次いで第4入賞確認スイッチ24bで検出される。
【0043】
第2カウントスイッチ24aによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。こうして、第2特別可変入賞球装置20Bにおいて開放状態となった第2大入賞口20cを遊技球が通過(進入)したときには、例えば第1始動入賞口13aや第2始動入賞口13bといった、他の入賞口を遊技球が通過(進入)したときよりも多くの賞球が払い出される。したがって、第2特別可変入賞球装置20Bにおいて第2大入賞口20cが開放状態となれば、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、第2特別可変入賞球装置20Bにおいて第2大入賞口20cが閉鎖状態となれば、第2大入賞口20cに遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることができないため、遊技者にとって不利な第2状態となる。
【0044】
第1特別図柄表示器8aの右側には、普通図柄表示器10が設けられている。普通図柄表示器10は、例えば2つのランプからなる。遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の可変表示が開始される。この実施例では、上下のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって可変表示が行われ、例えば、可変表示の終了時に下側のランプが点灯すれば当りとなる。そして、普通図柄表示器10の下側のランプが点灯して当りである場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開状態になる。すなわち、可変入賞球装置15の状態は、下側のランプが点灯して当りである場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口13bに遊技球が入賞可能な状態)に変化する。特別図柄保留記憶表示器18の上部には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(例えば、7セグメントLEDのうち4つのセグメント)を有する普通図柄保留記憶表示器41が設けられている。ゲート32への遊技球の通過がある毎に、すなわちゲートスイッチ32aによって遊技球が検出される毎に、普通図柄保留記憶表示器41は点灯する表示部を1増やす。そして、普通図柄表示器10の可変表示が開始される毎に、点灯する表示部を1減らす。
【0045】
なお、7セグメントLEDからなる普通図柄保留記憶表示器41には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(セグメント)とともに、例えば大当り時における第1特別可変入賞球装置20Aの開放回数(大当りラウンド数)を示す2つの表示部(セグメント)、及び遊技状態を示す2つの表示部(セグメント)が設けられているが、これら表示部を普通図柄保留記憶表示部とは別個の表示器にて構成してもよい。また、普通図柄表示器10は、普通図柄と呼ばれる複数種類の識別情報(例えば、「○」および「×」)を可変表示可能なセグメントLED等にて構成してもよい。
【0046】
第1特別可変入賞球装置20Aの周辺には普通入賞装置の入賞口29a〜29dが設けられ、入賞口29a〜29cに入賞した遊技球は入賞口スイッチ30aによって検出され、入賞口29dに入賞した遊技球は入賞口スイッチ30bによって検出される。各入賞口29a〜29dは、遊技球を受け入れて入賞を許容する領域として遊技盤6に設けられる入賞領域を構成している。なお、第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13bや第1大入賞口20a、第2大入賞口20cも、遊技球を受け入れて入賞を許容する入賞領域を構成する。
【0047】
遊技領域7の左側には、遊技中に点滅表示される装飾LED25aを有する装飾部材25が設けられ、下部には、入賞しなかった遊技球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上下部には、効果音を発する4つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、天枠LED28a、左枠LED28bおよび右枠LED28cが設けられている。天枠LED28a、左枠LED28bおよび右枠LED28cおよび装飾LED25aは、遊技機に設けられている装飾発光体の一例である。
【0048】
図1および
図2では、図示を省略しているが、左枠LED28bの近傍に、賞球払出中に点灯する賞球ランプが設けられ、天枠LED28aの近傍に、補給球が切れたときに点灯する球切れランプが設けられている。なお、賞球ランプおよび球切れランプは、賞球の払出中である場合や球切れが検出された場合に、演出制御基板に搭載された演出制御用マイクロコンピュータによって点灯制御される。さらに、特に図示はしないが、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするプリペイドカードユニット(以下、「カードユニット」という。)50が、パチンコ遊技機1に隣接して設置されている。
【0049】
遊技者の操作により、後述する打球発射装置から発射された遊技球は、発射球案内通路(図示略)を通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が第1始動入賞口13aに入り第1始動口スイッチ14aで検出されると、第1特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第1の開始条件が成立したこと)、第1特別図柄表示器8aにおいて第1特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第1特別図柄および演出図柄の可変表示は、第1始動入賞口13aへの入賞に対応する。第1特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第1保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第1保留記憶数を1増やす。
【0050】
遊技球が第2始動入賞口13bに入り第2始動口スイッチ15aで検出されると、第2特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第2の開始条件が成立したこと)、第2特別図柄表示器8bにおいて第2特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第2特別図柄および演出図柄の可変表示は、第2始動入賞口13bへの入賞に対応する。第2特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第2保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第2保留記憶数を1増やす。
【0051】
第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の可変表示及び第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の可変表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄(特定表示結果)であると「大当り」となり、停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄及び小当り図柄とは異なる特別図柄が停止表示されれば「ハズレ」となる。
【0052】
特図ゲームでの可変表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンド(「ラウンド遊技」ともいう)を所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。
【0053】
この実施例では、特図ゲームにおける確定特別図柄が「第1大当り」または「第2大当り」に対応する大当り図柄が停止表示された場合には、多ラウンド特定遊技状態としての大当り状態(15ラウンド大当り状態)に移行する。大当り遊技状態(15ラウンド大当り状態)では、第1特別可変入賞球装置20Aの大入賞口扉20bが、第1期間となる所定期間(例えば29.5秒間)あるいは所定個数(例えば8個)の入賞球が発生するまでの期間にて第1大入賞口20aを開放状態とすることにより、第1特別可変入賞球装置20Aを遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)に変化させるラウンドが実行される。こうしてラウンドの実行中に第1大入賞口20aを開放状態とした大入賞口扉20bは、遊技盤6の表面を落下する遊技球を受け止め、その後に第1大入賞口20aを閉鎖状態とすることにより、第1特別可変入賞球装置20Aを遊技者にとって不利な第2状態(閉鎖状態)に変化させて、1回のラウンドを終了させる。このような15ラウンド大当り状態では、大入賞口に遊技球が入賞するたびに15個の出玉(賞球)が得られる。
【0054】
そして15ラウンド大当り状態では、第1大入賞口20aの開放サイクルであるラウンドの実行回数が所定ラウンド数(例えば「14」)となり、残りの1ラウンドは第2大入賞口20cが開放状態とされるラウンドとされている。例えば、所定ラウンド(本実施例では第9ラウンド)を除く第1〜8、10〜15ラウンドでは第1大入賞口20aが開放状態となり、所定ラウンドである第9ラウンドでは第2大入賞口20cが開放状態となる。
【0055】
具体的には、特図ゲームにおける確定特別図柄として「第2大当り」に対応する大当り図柄が停止表示された場合には、第1大当り状態に移行する。第1大当り状態における第9ラウンドでは、第2特別可変入賞球装置20Bの可動板20dが、第2大当り状態における第2期間よりも短い第1期間(例えば0.5秒間)あるいは所定個数(例えば3個)の入賞球が発生するまでの期間にて第2大入賞口20cを開放状態とする制御を15回繰り返すことにより、第2特別可変入賞球装置20Bを遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)に変化させるラウンドが実行される。こうしてラウンドの実行中に第2大入賞口20cを開放状態とした可動板20dは、遊技盤6の表面を落下する遊技球を受け止め、その後に第2大入賞口20cを閉鎖状態とすることにより、第2特別可変入賞球装置20Bを遊技者にとって不利な第2状態(閉鎖状態)に変化させて、1回のラウンドを終了させる。
【0056】
このような第1大当り状態における第9ラウンドでは、第2大入賞口20cに遊技球が入賞すれば15個の出玉(賞球)が得られるが、第2大入賞口20cの開放期間が第1期間(0.5秒間)であって、非常に短い。そのため、第1大当り状態における第9ラウンドは実質的には出玉(賞球)が得られない大当り遊技状態である。なお、第1大当り状態は第1特定遊技状態ともいう。
【0057】
一方、特図ゲームにおける確定特別図柄として「第2大当り」に対応する大当り図柄が停止表示された場合には、第2大当り状態に移行する。第2大当り状態における第9ラウンドでは、第2特別可変入賞球装置20Bの可動板20dが、第1大当り状態における第1期間よりも長い第2期間(例えば29.5秒間)あるいは所定個数(例えば8個)の入賞球が発生するまでの期間にて第2大入賞口20cを開放状態とする制御を行うことにより、第2特別可変入賞球装置20Bを遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)に変化させるラウンドが実行される。こうしてラウンドの実行中に第2大入賞口20cを開放状態とした可動板20dは、遊技盤6の表面を落下する遊技球を受け止め、その後に第2大入賞口20cを閉鎖状態とすることにより、第2特別可変入賞球装置20Bを遊技者にとって不利な第2状態(閉鎖状態)に変化させて、1回のラウンドを終了させる。
【0058】
このような第2大当り状態における第9ラウンドでは、第2大入賞口20cに遊技球が入賞すれば15個の出玉(賞球)が得られるとともに、第2大入賞口20cの開放期間が第2期間(29.5秒間)であるため、第2大当り状態における第9ラウンドは実質的には出玉(賞球)が得られる大当り遊技状態である。なお、第2大当り状態は第2特定遊技状態ともいう。
【0059】
また、第2大当り状態は、第1大当り状態に比べて、第2大入賞口20cの開放ラウンドの実行回数が多いものであってもよい。すなわち、第2大当り状態は、各ラウンドで第2大入賞口20cを開放状態に変化させる期間が第1大当り状態における第1期間よりも長い第2期間となることと、ラウンドの実行回数が第1大当り状態における第1ラウンド数よりも多い第2ラウンド数となることのうち、少なくともいずれか一方となるものであってもよい。
【0060】
また、「第1大当り」または「第2大当り」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づき第1大当り状態、第2大当り状態が終了した後には、特別遊技状態の1つとして、通常状態に比べて特図ゲームにおける特別図柄の可変表示時間(特図変動時間)が短縮される時間短縮制御(時短制御)が行われる時短状態に制御される。ここで、通常状態とは、大当り遊技状態等の特定遊技状態や確変状態及び時短状態とは異なる遊技状態としての通常遊技状態であり、パチンコ遊技機1の初期設定状態(例えばシステムリセットが行われた場合のように、電源投入後に初期化処理を実行した状態)と同一の制御が行われる。時短状態は、所定回数(例えば30回)の特図ゲームが実行されることと、可変表示結果が「大当り」となることのうち、いずれかの条件が先に成立したときに終了すればよい。
【0061】
そして第1大当り状態及び第2大当り状態において、第2大入賞口20cに遊技球が所定球数(例えば、1球)以上入賞した場合には、当該第1大当り状態及び第2大当り状態が終了した後に、時短状態とは異なる特別遊技状態の1つとして、例えば通常状態に比べて特図変動時間が短縮される時短制御とともに、確率変動制御(確変制御)が行われる確変状態(高確率状態)に制御される。この確変状態では、各特図ゲームや飾り図柄の可変表示において、可変表示結果が「大当り」となって更に大当り遊技状態に制御される確率が、通常状態や時短状態よりも高くなるように向上する。このような確変状態は、特図ゲームの実行回数にかかわりなく、次に可変表示結果が「大当り」となるまで継続する。
【0062】
すなわち、この実施例では、第1大当り状態及び第2大当り状態のいずれにおいても、第2大入賞口20cに遊技球が入賞して当該大当り状態の終了後に確変状態に移行する可能性及び第2大入賞口20cに遊技球が入賞せずに当該大当り状態の終了後に確変状態に移行しない可能性があるが、第2大当り状態では、大当り状態中に第2大入賞口20cに遊技球が入賞する可能性が第1大当り状態よりも高い。
【0063】
ここで、
図1及び
図19に示すように、パチンコ遊技機1の遊技領域7は、演出表示装置9を中心として左右に分かれており、演出表示装置9の左側に打ち込んだ遊技球は左領域7aを流下し、右側に打ち込んだ遊技球は右領域7bを流下し、遊技領域7の下部で合流するようになっている。右領域7bに打ち込まれた遊技球の大半は、下方に向けて流下する遊技球を左右方向に誘導可能な誘導通路部材650a〜650cに形成された誘導面及び図示しない障害釘等により、後述する第2特別可変入賞球装置20Bの第2大入賞口20cの前方を通過するように構成されている。尚、特に図示はしないが、右打ちの場合は第1始動入賞口13aに遊技球が入賞しないように障害釘等が配列されている。
【0064】
また、第2大入賞口20cに入賞しなかった遊技球は、さらに可変入賞球装置15に向けて誘導され、開放状態であれば入賞するようになっている。さらに、可変入賞球装置15に入賞しなかった遊技球は、さらに第1特別可変入賞球装置20Aに向けて誘導され、開放状態であれば入賞するようになっている。
【0065】
よって、大当り遊技中は右打ちして右領域7bに遊技球を打ち込めば、第2特別可変入賞球装置20B及び可変入賞球装置15を通過し、入賞しなければ第1特別可変入賞球装置20Aに誘導されるようになっている。また、第9ラウンドでは、右打ちされた遊技球の大半が第2特別可変入賞球装置20Bの前方を通過するので、第2特別可変入賞球装置20Bに遊技球が入賞するチャンスとなる。
【0066】
尚、本実施例では、特図ゲームにおける表示結果として第1大当り結果及び第2大当り結果が表示される確率は例えば約1/250であり、第1特図ゲームでは大当り時に約50%の割合で第1大当り結果、約50%の割合で第2大当り結果が表示され、また、第2特図ゲームでは大当り時に約20%の割合で第1大当り結果、約80%の割合で第2大当り結果が表示されるようになる。つまり、第2特図ゲームの方が第2大当り状態となる確率が高いので第1特図ゲームに比べて遊技者にとって有利であるが、通常状態において右打ちして場合、普図ゲームが開始されても時短制御は行われないので、第2始動入賞口13bに入賞することは殆どないとともに、第1始動入賞口13aへの流下が規制され不可であるので、通常状態では左領域7aに打ち込んで第1始動入賞口13aに入賞させる方が右領域7bに打ち込むよりも遊技者にとって有利となる。
【0067】
確変状態や時短状態では、普通図柄表示器10による普図ゲームにおける普通図柄の変動時間(普図変動時間)を通常状態のときよりも短くする制御や、各回の普図ゲームで普通図柄の可変表示結果が「普図当り」となる確率を通常状態のときよりも向上させる制御、可変表示結果が「普図当り」となったことに基づく可変入賞球装置15における可動翼片の傾動制御を行う傾動制御時間を通常状態のときよりも長くする制御、その傾動回数を通常状態のときよりも増加させる制御といった、遊技球が第2始動入賞口13bを通過(進入)しやすくして第2始動条件が成立する可能性を高めることで遊技者にとって有利となる制御が行われる。なお、確変状態や時短状態では、これらの制御のいずれか1つが行われるようにしてもよいし、複数の制御が組み合せられて行われるようにしてもよい。このように、確変状態や時短状態において第2始動入賞口13bに遊技球が進入しやすくして遊技者にとって有利となる制御は、高開放制御ともいう。高開放制御が行われることにより、第2始動入賞口13bは、高開放制御が行われていないときよりも拡大開放状態となる頻度が高められる。これにより、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームを実行するための第2始動条件が成立しやすくなり、特図ゲームが頻繁に実行可能となることで、次に可変表示結果が「大当り」となるまでの時間が短縮される。したがって、確変状態や時短状態では、通常状態に比べて大当り遊技状態となりやすくなる。高開放制御が実行可能となる期間は、高開放制御期間ともいい、この期間は、パチンコ遊技機1における遊技状態が確変状態と時短状態のいずれかに制御されている期間と同一であればよい。また、高開放制御期間であるときには、遊技状態が高ベース中であるともいう。これに対して、高開放制御期間でないときには、遊技状態が低ベース中であるともいう。この実施例における時短状態は、低確高ベース状態とも称される遊技状態であり、通常状態は、低確低ベース状態とも称される遊技状態であり、確変状態は、高確高ベース状態とも称される遊技状態である。
【0068】
演出表示装置9に設けられた「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアでは、第1特別図柄表示器8aにおける第1特図を用いた特図ゲームと、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームとのうち、いずれかの特図ゲームが開始されることに対応して、飾り図柄の可変表示(変動表示)が開始される。そして、飾り図柄の可変表示が開始されてから「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリアにおける確定飾り図柄の停止表示により可変表示が終了するまでの期間では、飾り図柄の可変表示状態が所定のリーチ状態となることがある。ここで、リーチ状態とは、演出表示装置9の表示領域にて仮停止表示された飾り図柄が大当り組み合せの一部を構成しているときに未だ仮停止表示もされていない飾り図柄(「リーチ変動図柄」ともいう)については変動が継続している表示状態、あるいは、全部又は一部の飾り図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態のことである。具体的には、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアにおける一部(例えば「左」及び「右」の飾り図柄表示エリアなど)では予め定められた大当り組み合せを構成する飾り図柄(例えば「7」の英数字を示す飾り図柄)が仮停止表示されているときに未だ仮停止表示もしていない残りの飾り図柄表示エリア(例えば「中」の飾り図柄表示エリアなど)では飾り図柄が変動している表示状態、あるいは、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアにおける全部又は一部で飾り図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態である。
【0069】
次に、パチンコ遊技機1の背面の構造について
図2を参照して説明する。
図2は、遊技機を背面から見た背面図である。
図2に示すように、パチンコ遊技機1の背面側では、演出表示装置9を制御する演出制御用マイクロコンピュータが搭載された演出制御基板80を含む変動表示制御ユニット49、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31、音声制御基板70、ランプドライバ基板35、および球払出制御を行なう払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された払出制御基板37等の各種基板が設置されている。なお、遊技制御基板31は基板収納ケース150に収納されている。
【0070】
さらに、パチンコ遊技機1背面側には、DC30V、DC21V、DC12VおよびDC5V等の各種電源電圧を作成する電源回路が搭載された電源基板90やタッチセンサ基板(図示略)が設けられている。電源基板90には、パチンコ遊技機1における遊技制御基板31および各電気部品制御基板(演出制御基板80および払出制御基板37)やパチンコ遊技機1に設けられている各電気部品(電力が供給されることによって動作する部品)への電力供給を実行あるいは遮断するための電力供給許可手段としての電源スイッチ、遊技制御基板31の遊技制御用マイクロコンピュータ156のRAM55をクリアするためのクリアスイッチが設けられている。さらに、電源スイッチの内側(基板内部側)には、交換可能なヒューズが設けられている。
【0071】
なお、この実施例では、主基板31は遊技盤側に設けられ、払出制御基板37は遊技枠側に設けられている。このような構成であっても、後述するように、主基板31と払出制御基板37との間の通信をシリアル通信で行うことによって、遊技盤を交換する際の配線の取り回しを容易にしている。
【0072】
なお、各制御基板には、制御用マイクロコンピュータを含む制御手段が搭載されている。制御手段は、遊技制御手段等からのコマンドとしての指令信号(制御信号)に従って遊技機に設けられている電気部品(遊技用装置:球払出装置97、演出表示装置9、ランプやLEDなどの発光体、スピーカ27等)を制御する。以下、主基板31を制御基板に含めて説明を行うことがある。その場合には、制御基板に搭載される制御手段は、遊技制御手段と、遊技制御手段等からの指令信号に従って遊技機に設けられている電気部品を制御する手段とのそれぞれを指す。また、主基板31以外のマイクロコンピュータが搭載された基板をサブ基板ということがある。なお、球払出装置97は、遊技球を誘導する通路とステッピングモータ等により駆動されるスプロケット等によって誘導された遊技球を上皿や下皿に払い出すための装置であって、払い出された賞球や貸し球をカウントする払出個数カウントスイッチ等もユニットの一部として構成されている。なお、この実施例では、払出検出手段は、払出個数カウントスイッチによって実現され、球払出装置97から実際に賞球や貸し球が払い出されたことを検出する機能を備える。この場合、払出個数カウントスイッチは、賞球や貸し球の払い出しを1球検出するごとに検出信号を出力する。
【0073】
パチンコ遊技機1の背面には、各種情報をパチンコ遊技機1の外部に出力するための各端子を備えたターミナル基板91が設置されている。ターミナル基板91には、例えば、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号(始動口信号、図柄確定回数1信号、大当り1信号、大当り2信号、大当り3信号、時短信号、セキュリティ信号、賞球信号1、遊技機エラー状態信号)を外部出力するための情報出力端子が設けられている。なお、遊技機エラー状態信号に関しては必ずしもパチンコ遊技機1の外部に出力しなくてもよく、該情報出力端子から、この遊技機エラー状態信号の替わりに遊技枠が開放状態であることを示すドア開放信号等を出力するようにしてもよい。
【0074】
貯留タンク38に貯留された遊技球は誘導レールを通り、カーブ樋を経て払出ケース97aで覆われた球払出装置97に至る。球払出装置97の上方には、遊技媒体切れ検出手段としての球切れスイッチ43が設けられている。球切れスイッチ43が球切れを検出すると、球払出装置97の払出動作が停止する。球切れスイッチ43が遊技球の不足を検知すると、遊技機設置島に設けられている補給機構からパチンコ遊技機1に対して遊技球の補給が行われる。
【0075】
入賞にもとづく景品としての遊技球や球貸し要求にもとづく遊技球が多数払出されて打球供給皿3が満杯になると、遊技球は、余剰球誘導通路を経て余剰球受皿4に導かれる。さらに遊技球が払出されると、感知レバー(図示略)が貯留状態検出手段としての満タンスイッチ(図示略)を押圧して、貯留状態検出手段としての満タンスイッチがオンする。その状態では、球払出装置内の払出モータの回転が停止して球払出装置の動作が停止するとともに打球発射装置の駆動も停止する。
【0076】
図3は、主基板(遊技制御基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、
図3には、払出制御基板37および演出制御基板80等も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ(遊技制御手段に相当)156が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ156は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施例では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ156に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータには、少なくともRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は、外付けであってもよい。遊技制御用マイクロコンピュータ156には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路60が内蔵されている。
【0077】
なお、遊技制御用マイクロコンピュータ156においてCPU56がROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ156(またはCPU56)が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU56がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
【0078】
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156には、乱数回路60が内蔵されている。乱数回路60は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路60は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
【0079】
乱数回路60は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路60は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
【0080】
乱数回路60は、数値データの更新範囲の選択設定機能(初期値の選択設定機能、および、上限値の選択設定機能)、数値データの更新規則の選択設定機能、および数値データの更新規則の選択切換え機能等の各種の機能を有する。このような機能によって、生成する乱数のランダム性を向上させることができる。
【0081】
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、乱数回路60が更新する数値データの初期値を設定する機能を有している。例えば、ROM54等の所定の記憶領域に記憶された遊技制御用マイクロコンピュータ156のIDナンバ(遊技制御用マイクロコンピュータ156の各製品ごとに異なる数値で付与されたIDナンバ)を用いて所定の演算を行って得られた数値データを、乱数回路60が更新する数値データの初期値として設定する。そのような処理を行うことによって、乱数回路60が発生する乱数のランダム性をより向上させることができる。
【0082】
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ15aへの始動入賞が生じたときに乱数回路60から数値データをランダムRとして読み出し、特別図柄および演出図柄の変動開始時にランダムRにもとづいて特定の表示結果としての大当り表示結果にするか否か、すなわち、大当りとするか否かを決定する。そして、大当りとすると決定したときに、遊技状態を遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に移行させる。
【0083】
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156には、払出制御基板37(の払出制御用マイクロコンピュータ)や演出制御基板80(の演出制御用マイクロコンピュータ)とシリアル通信で信号を入出力(送受信)するためのシリアル通信回路61が内蔵されている。なお、払出制御用マイクロコンピュータや演出制御用マイクロコンピュータにも、遊技制御用マイクロコンピュータ156とシリアル通信で信号を入出力するためのシリアル通信回路が内蔵されている(図示略)。
【0084】
また、RAM55は、その一部または全部が電源基板において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグや保留記憶数カウンタの値など)と未払出賞球数を示すデータ(具体的には、後述する賞球コマンド出力カウンタの値)は、バックアップRAMに保存される。遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータにもとづいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを遊技の進行状態を示すデータと定義する。なお、この実施例では、RAM55の全部が、電源バックアップされているとする。
【0085】
遊技制御用マイクロコンピュータ156のリセット端子には、電源基板からのリセット信号が入力される。電源基板には、遊技制御用マイクロコンピュータ156等に供給されるリセット信号を生成するリセット回路が搭載されている。なお、リセット信号がハイレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作可能状態になり、リセット信号がローレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作停止状態になる。従って、リセット信号がハイレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を許容する許容信号が出力されていることになり、リセット信号がローレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を停止させる動作停止信号が出力されていることになる。なお、リセット回路をそれぞれの電気部品制御基板(電気部品を制御するためのマイクロコンピュータが搭載されている基板)に搭載してもよい。
【0086】
さらに、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、電源基板からの電源電圧が所定値以下に低下したことを示す電源断信号が入力される。すなわち、電源基板には、遊技機において使用される所定電圧(例えば、DC30VやDC5Vなど)の電圧値を監視して、電圧値があらかじめ定められた所定値にまで低下すると(電源電圧の低下を検出すると)、その旨を示す電源断信号を出力する電源監視回路が搭載されている。なお、電源監視回路を電源基板に搭載するのではなく、バックアップ電源によって電源バックアップされる基板(例えば、主基板31)に搭載するようにしてもよい。また、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、RAMの内容をクリアすることを指示するためのクリアスイッチが操作されたことを示すクリア信号が入力される。
【0087】
また、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ14a、第1入賞確認スイッチ14b、第2始動口スイッチ15a、第2入賞確認スイッチ15b、第1カウントスイッチ23a、第3入賞確認スイッチ23b、第2カウントスイッチ24a、第4入賞確認スイッチ24bおよび各入賞口スイッチ30a,30bからの検出信号を基本回路に与える入力ドライバ回路58も主基板31に搭載され、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、第1特別可変入賞球装置20Aを開閉するソレノイド21a、第2特別可変入賞球装置20Bを開閉するソレノイド21bと、基本回路からの指令に従って駆動する出力回路59も主基板31に搭載され、電源投入時に遊技制御用マイクロコンピュータ156をリセットするためのシステムリセット回路(図示せず)や、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号を、ターミナル基板91を介して、ホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路64も主基板31に搭載されている。
【0088】
この実施例では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ156から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、演出図柄を可変表示する演出表示装置9との表示制御を行う。
【0089】
演出制御基板80は、演出制御用CPUおよびRAMを含む演出制御用マイクロコンピュータ(図示略)を搭載している。なお、RAMは外付けであってもよい。演出制御基板80において、演出制御用CPU(図示略)は、内蔵または外付けのROM(図示略)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板77を介して入力される主基板31からの取込信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバおよび入力ポートを介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用CPU(図示略)は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)に演出表示装置9の表示制御を行わせる。
【0090】
演出制御用CPU(図示略)は、受信した演出制御コマンドに従ってキャラクタROM(図示せず)から必要なデータを読み出す。キャラクタROMは、演出表示装置9に表示されるキャラクタ画像データ、具体的には、人物、文字、図形または記号等(演出図柄を含む)をあらかじめ格納しておくためのものである。演出制御用CPU(図示略)は、キャラクタROMから読み出したデータをVDPに出力する。VDPは、演出制御用CPUから入力されたデータにもとづいて表示制御を実行する。
【0091】
演出制御コマンドおよび演出制御INT信号は、演出制御基板80において、まず、入力ドライバに入力する。入力ドライバは、中継基板77から入力された信号を演出制御基板80の内部に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80の内部から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路でもある。
【0092】
中継基板77には、主基板31から入力された信号を演出制御基板80に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路(図示略)が搭載されている。単方向性回路として、例えばダイオードやトランジスタが使用される。さらに、単方向性回路であるI/Oポート部を介して主基板31から演出制御コマンドおよび演出制御INT信号が出力されるので、中継基板77から主基板31の内部に向かう信号が規制される。すなわち、中継基板77からの信号は主基板31の内部(遊技制御用マイクロコンピュータ156側)に入り込まない。
【0093】
さらに、演出制御用CPU(図示略)は、出力ポート(図示略)を介してランプドライバ基板35に対してLEDを駆動する信号を出力する。また、演出制御用CPUは、出力ポートを介して音声制御基板70に対して音番号データを出力する。
【0094】
ランプドライバ基板35において、LEDを駆動する信号は、入力ドライバ(図示略)を介してLEDドライバに入力される。LEDドライバは、駆動信号を天枠LED28a、左枠LED28b、右枠LED28cなどの枠側に設けられている各LEDに供給する。また、遊技盤側に設けられている装飾LED25aに駆動信号を供給する。なお、LED以外の発光体が設けられている場合には、それを駆動する駆動回路(ドライバ)がランプドライバ基板35に搭載される。
【0095】
音声制御基板70において、音番号データは、入力ドライバ(図示略)を介して音声合成用IC(図示略)に入力される。音声合成用ICは、音番号データに応じた音声や効果音を発生し増幅回路(図示略)に出力する。増幅回路は、音声合成用ICの出力レベルを、ボリュームで設定されている音量に応じたレベルに増幅した音声信号をスピーカ27に出力する。音声データROM(図示略)には、音番号データに応じた制御データが格納されている。音番号データに応じた制御データは、所定期間(例えば演出図柄の変動期間)における効果音または音声の出力態様を時系列的に示すデータの集まりである。
【0096】
次に、遊技機の動作について説明する。
図4は、主基板31における遊技制御用マイクロコンピュータ156が実行するメイン処理を示すフローチャートである。遊技機に対して電源が投入され電力供給が開始されると、リセット信号が入力されるリセット端子の入力レベルがハイレベルになり、遊技制御用マイクロコンピュータ156(具体的には、CPU56)は、プログラムの内容が正当か否か確認するための処理であるセキュリティチェック処理を実行した後、ステップS1以降のメイン処理を開始する。メイン処理において、CPU56は、まず、必要な初期設定を行う。
【0097】
初期設定処理において、CPU56は、まず、割込禁止に設定する(ステップS1)。次に、割込モードを割込モード2に設定し(ステップS2)、スタックポインタにスタックポインタ指定アドレスを設定する(ステップS3)。そして、内蔵デバイスの初期化(内蔵デバイス(内蔵周辺回路)であるCTC(カウンタ/タイマ)およびPIO(パラレル入出力ポート)の初期化など)を行った後(ステップS4)、RAMをアクセス可能状態に設定する(ステップS5)。なお、割込モード2は、CPU56が内蔵する特定レジスタ(Iレジスタ)の値(1バイト)と内蔵デバイスが出力する割込ベクタ(1バイト:最下位ビット0)とから合成されるアドレスが、割込番地を示すモードである。
【0098】
次いで、CPU56は、入力ポートを介して入力されるクリアスイッチ(例えば、電源基板に搭載されている。)の出力信号(クリア信号)の状態を確認する(ステップS6)。その確認においてオンを検出した場合には、CPU56は、通常の初期化処理(ステップS10〜S15)を実行する。
【0099】
クリアスイッチがオンの状態でない場合には、遊技機への電力供給が停止したときにバックアップRAM領域のデータ保護処理(例えばパリティデータの付加等の電力供給停止時処理)が行われたか否か確認する(ステップS7)。そのような保護処理が行われていないことを確認したら、CPU56は初期化処理を実行する。バックアップRAM領域にバックアップデータがあるか否かは、例えば、電力供給停止時処理においてバックアップRAM領域に設定されるバックアップフラグの状態によって確認される。
【0100】
電力供給停止時処理が行われたことを確認したら、CPU56は、バックアップRAM領域のデータチェックを行う(ステップS8)。この実施例では、データチェックとしてパリティチェックを行う。よって、ステップS8では、算出したチェックサムと、電力供給停止時処理で同一の処理によって算出され保存されているチェックサムとを比較する。不測の停電等の電力供給停止が生じた後に復旧した場合には、バックアップRAM領域のデータは保存されているはずであるから、チェック結果(比較結果)は正常(一致)になる。チェック結果が正常でないということは、バックアップRAM領域のデータが、電力供給停止時のデータとは異なっていることを意味する。そのような場合には、内部状態を電力供給停止時の状態に戻すことができないので、電力供給の停止からの復旧時でない電源投入時に実行される初期化処理を実行する。
【0101】
チェック結果が正常であれば、CPU56は、遊技制御手段の内部状態と演出制御手段等の電気部品制御手段の制御状態を電力供給停止時の状態に戻すための遊技状態復旧処理(ステップS41〜S43の処理)を行う。具体的には、ROM54に格納されているバックアップ時設定テーブルの先頭アドレスをポインタに設定し(ステップS41)、バックアップ時設定テーブルの内容を順次作業領域(RAM55内の領域)に設定する(ステップS42)。作業領域はバックアップ電源によって電源バックアップされている。バックアップ時設定テーブルには、作業領域のうち初期化してもよい領域についての初期化データが設定されている。ステップS41およびS42の処理によって、作業領域のうち初期化してはならない部分については、保存されていた内容がそのまま残る。初期化してはならない部分とは、例えば、電力供給停止前の遊技状態を示すデータ(特別図柄プロセスフラグ、確変フラグ、時短フラグなど)、出力ポートの出力状態が保存されている領域(出力ポートバッファ)、未払出賞球数を示すデータが設定されている部分などである。
【0102】
また、CPU56は、電力供給復旧時の初期化コマンドとしての停電復旧指定コマンドを送信する(ステップS43)。そして、ステップS14に移行する。なお、この実施例では、CPU56は、ステップS43の処理において、バックアップRAMに保存されていた合算保留記憶数カウンタの値を設定した合算保留記憶数指定コマンドも演出制御基板80に対して送信する。
【0103】
なお、この実施例では、バックアップフラグとチェックデータとの双方を用いてバックアップRAM領域のデータが保存されているか否か確認しているが、いずれか一方のみを用いてもよい。すなわち、バックアップフラグとチェックデータとのいずれかを、遊技状態復旧処理を実行するための契機としてもよい。
【0104】
初期化処理では、CPU56は、まず、RAMクリア処理を行う(ステップS10)。なお、RAMクリア処理によって、所定のデータ(例えば、普通図柄当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値のデータ)は0に初期化されるが、任意の値またはあらかじめ決められている値に初期化するようにしてもよい。また、RAM55の全領域を初期化せず、所定のデータ(例えば、普通図柄当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値のデータ)をそのままにしてもよい。また、ROM54に格納されている初期化時設定テーブルの先頭アドレスをポインタに設定し(ステップS11)、初期化時設定テーブルの内容を順次作業領域に設定する(ステップS12)。
【0105】
ステップS11およびS12の処理によって、例えば、普通図柄当り判定用乱数カウンタ、特別図柄バッファ、総賞球数格納バッファ、特別図柄プロセスフラグなど制御状態に応じて選択的に処理を行うためのフラグに初期値が設定される。
【0106】
また、CPU56は、サブ基板(主基板31以外のマイクロコンピュータが搭載された基板。)を初期化するための初期化指定コマンド(遊技制御用マイクロコンピュータ156が初期化処理を実行したことを示すコマンドでもある。)をサブ基板に送信する(ステップS13)。例えば、演出制御用マイクロコンピュータは、初期化指定コマンドを受信すると、演出表示装置9において、遊技機の制御の初期化がなされたことを報知するための画面表示、すなわち初期化報知を行う。
【0107】
また、CPU56は、乱数回路60を初期設定する乱数回路設定処理を実行する(ステップS14)。CPU56は、例えば、乱数回路設定プログラムに従って処理を実行することによって、乱数回路60にランダムRの値を更新させるための設定を行う。
【0108】
そして、ステップS15において、CPU56は、所定時間(例えば2ms)毎に定期的にタイマ割込がかかるように遊技制御用マイクロコンピュータ156に内蔵されているCTCのレジスタの設定を行う。すなわち、初期値として例えば2msに相当する値が所定のレジスタ(時間定数レジスタ)に設定される。この実施例では、2ms毎に定期的にタイマ割込がかかるとする。
【0109】
初期化処理の実行(ステップS10〜S15)が完了すると、CPU56は、メイン処理で、表示用乱数更新処理(ステップS17)および初期値用乱数更新処理(ステップS18)を繰り返し実行する。表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理を実行するときには割込禁止状態に設定し(ステップS16)、表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理の実行が終了すると割込許可状態に設定する(ステップS19)。この実施例では、表示用乱数とは、大当りとしない場合の特別図柄の停止図柄を決定するための乱数や大当りとしない場合にリーチとするか否かを決定するための乱数であり、表示用乱数更新処理とは、表示用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。また、初期値用乱数更新処理とは、初期値用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。この実施例では、初期値用乱数とは、普通図柄に関して当りとするか否か決定するための乱数を発生するためのカウンタ(普通図柄当り判定用乱数発生カウンタ)のカウント値の初期値を決定するための乱数である。後述する遊技の進行を制御する遊技制御処理(遊技制御用マイクロコンピュータ156が、遊技機に設けられている演出表示装置、可変入賞球装置、球払出装置等の遊技用の装置を、自身で制御する処理、または他のマイクロコンピュータに制御させるために指令信号を送信する処理、遊技装置制御処理ともいう)において、普通図柄当り判定用乱数のカウント値が1周(普通図柄当り判定用乱数の取りうる値の最小値から最大値までの間の数値の個数分歩進したこと)すると、そのカウンタに初期値が設定される。
【0110】
なお、この実施例では、リーチ演出は、演出表示装置9において可変表示される演出図柄(飾り図柄)を用いて実行される。また、特別図柄の表示結果を大当り図柄にする場合には、リーチ演出は常に実行される。特別図柄の表示結果を大当り図柄にしない場合には、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、乱数を用いた抽選によって、リーチ演出を実行するか否か決定する。ただし、実際にリーチ演出の制御を実行するのは、演出制御用マイクロコンピュータである。
【0111】
タイマ割込が発生すると、CPU56は、
図5に示すステップS20〜S34のタイマ割込処理を実行する。タイマ割込処理において、まず、電源断信号が出力されたか否か(オン状態になったか否か)を検出する電源断検出処理を実行する(ステップS20)。電源断信号は、例えば電源基板に搭載されている電源監視回路が、遊技機に供給される電源の電圧の低下を検出した場合に出力する。そして、電源断検出処理において、CPU56は、電源断信号が出力されたことを検出したら、必要なデータをバックアップRAM領域に保存するための電力供給停止時処理を実行する。次いで、入力ドライバ回路58を介して、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ15aおよび第1カウントスイッチ23a、第2カウントスイッチ24a、入賞口スイッチ30a、30bの検出信号を入力し、それらの状態判定を行う(スイッチ処理:ステップS21)。
【0112】
次に、CPU56は、第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8b、普通図柄表示器10、第1特別図柄保留記憶表示器18a、第2特別図柄保留記憶表示器18b、普通図柄保留記憶表示器41の表示制御を行う表示制御処理を実行する(ステップS22)。第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8bおよび普通図柄表示器10については、ステップS32,S33で設定される出力バッファの内容に応じて各表示器に対して駆動信号を出力する制御を実行する。
【0113】
また、遊技制御に用いられる普通図柄当り判定用乱数等の各判定用乱数を生成するための各カウンタのカウント値を更新する処理を行う(判定用乱数更新処理:ステップS23)。CPU56は、さらに、初期値用乱数および表示用乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する処理を行う(初期値用乱数更新処理,表示用乱数更新処理:ステップS24,S25)。
【0114】
さらに、CPU56は、特別図柄プロセス処理を行う(ステップS26)。特別図柄プロセス処理では、第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8bおよび第1大入賞口20a、第2大入賞口20cを所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理を実行する。CPU56は、特別図柄プロセスフラグの値を、遊技状態に応じて更新する。
【0115】
次いで、普通図柄プロセス処理を行う(ステップS27)。普通図柄プロセス処理では、CPU56は、普通図柄表示器10の表示状態を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理を実行する。CPU56は、普通図柄プロセスフラグの値を、遊技状態に応じて更新する。
【0116】
また、CPU56は、演出制御用マイクロコンピュータに演出制御コマンドを送出する処理を行う(演出制御コマンド制御処理:ステップS28)。
【0117】
さらに、CPU56は、例えばホール管理用コンピュータに供給される大当り情報、始動情報、確率変動情報などのデータを出力する情報出力処理を行う(ステップS29)。
【0118】
また、CPU56は、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ15aおよび第1カウントスイッチ23a、第2カウントスイッチ24aの検出信号にもとづく賞球個数の設定などを行う賞球処理を実行する(ステップS30)。具体的には、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ15aおよび第1カウントスイッチ23a、第2カウントスイッチ24aのいずれかがオンしたことにもとづく入賞検出に応じて、払出制御基板37に搭載されている払出制御用マイクロコンピュータに賞球個数を示す払出制御コマンド(賞球個数信号)を出力する。払出制御用マイクロコンピュータは、賞球個数を示す払出制御コマンドに応じて球払出装置97を駆動する。
【0119】
この実施例では、出力ポートの出力状態に対応したRAM領域(出力ポートバッファ)が設けられているのであるが、CPU56は、出力ポートの出力状態に対応したRAM領域におけるソレノイドのオン/オフに関する内容を出力ポートに出力する(ステップS31:出力処理)。
【0120】
また、CPU56は、特別図柄プロセスフラグの値に応じて特別図柄の演出表示を行うための特別図柄表示制御データを特別図柄表示制御データ設定用の出力バッファに設定する特別図柄表示制御処理を行う(ステップS32)。CPU56は、例えば、特別図柄プロセス処理でセットされる開始フラグがセットされると終了フラグがセットされるまで、変動速度が1コマ/0.2秒であれば、0.2秒が経過する毎に、出力バッファに設定される表示制御データの値を+1する。また、CPU56は、出力バッファに設定された表示制御データに応じて、ステップS22において駆動信号を出力することによって、第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bにおける第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示を実行する。
【0121】
さらに、CPU56は、普通図柄プロセスフラグの値に応じて普通図柄の演出表示を行うための普通図柄表示制御データを普通図柄表示制御データ設定用の出力バッファに設定する普通図柄表示制御処理を行う(ステップS33)。CPU56は、例えば、普通図柄の変動に関する開始フラグがセットされると終了フラグがセットされるまで、普通図柄の変動速度が0.2秒ごとに表示状態(「○」および「×」)を切り替えるような速度であれば、0.2秒が経過する毎に、出力バッファに設定される表示制御データの値(例えば、「○」を示す1と「×」を示す0)を切り替える。また、CPU56は、出力バッファに設定された表示制御データに応じて、ステップS22において駆動信号を出力することによって、普通図柄表示器10における普通図柄の演出表示を実行する。
【0122】
その後、割込許可状態に設定し(ステップS34)、処理を終了する。
【0123】
以上の制御によって、この実施例では、遊技制御処理は2ms毎に起動されることになる。なお、遊技制御処理は、タイマ割込処理におけるステップS21〜S33(ステップS29を除く。)の処理に相当する。また、この実施例では、タイマ割込処理で遊技制御処理が実行されているが、タイマ割込処理では例えば割込が発生したことを示すフラグのセットのみがなされ、遊技制御処理はメイン処理において実行されるようにしてもよい。
【0124】
図6および
図7は、主基板31に搭載される遊技制御用マイクロコンピュータ156(具体的には、CPU56)が実行する特別図柄プロセス処理(ステップS26)のプログラムの一例を示すフローチャートである。上述したように、特別図柄プロセス処理では第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bおよび第1大入賞口20a、第2大入賞口20cを制御するための処理が実行される。特別図柄プロセス処理において、CPU56は、第1始動入賞口13に遊技球が入賞したことを検出するための第1始動口スイッチ14aがオンしていたら、すなわち、第1始動入賞口13への始動入賞が発生していたら、第1始動口スイッチ通過処理を実行する(ステップS311,S312)。また、CPU56は、第2始動入賞口14に遊技球が入賞したことを検出するための第2始動口スイッチ15aがオンしていたら、すなわち第2始動入賞口14への始動入賞が発生していたら、第2始動口スイッチ通過処理を実行する(ステップS313,S314)。そして、ステップS300〜S310のうちのいずれかの処理を行う。第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ15aがオンしていなければ、内部状態に応じて、ステップS300〜S310のうちのいずれかの処理を行う。
【0125】
ステップS300〜S312の処理は、以下のような処理である。
【0126】
特別図柄通常処理(ステップS300):特別図柄プロセスフラグの値が0であるときに実行される。遊技制御用マイクロコンピュータ156は、特別図柄の可変表示が開始できる状態になると、保留記憶数バッファに記憶される数値データの記憶数(合算保留記憶数)を確認する。保留記憶数バッファに記憶される数値データの記憶数は合算保留記憶数カウンタのカウント値により確認できる。また、合算保留記憶数カウンタのカウント値が0でなければ、第1特別図柄または第2特別図柄の可変表示の表示結果を大当りとするか否かを決定する。大当りとする場合には大当りフラグをセットする。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS301に応じた値(この例では1)に更新する。なお、大当りフラグは、第1大当りである場合と第2大当りである場合とで異なるフラグが設定されるようになっているとともに、大当り遊技が終了するときにリセットされる。
【0127】
変動パターン設定処理(ステップS301):特別図柄プロセスフラグの値が1であるときに実行される。また、変動パターンを決定し、その変動パターンにおける変動時間(可変表示時間:可変表示を開始してから表示結果を導出表示(停止表示)するまでの時間)を特別図柄の可変表示の変動時間とすることに決定する。また、特別図柄の変動時間を計測する変動時間タイマをスタートさせる。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS302に対応した値(この例では2)に更新する。
【0128】
表示結果指定コマンド送信処理(ステップS302):特別図柄プロセスフラグの値が2であるときに実行される。演出制御用マイクロコンピュータに、表示結果指定コマンドを送信する制御を行う。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS303に対応した値(この例では3)に更新する。
【0129】
特別図柄変動中処理(ステップS303):特別図柄プロセスフラグの値が3であるときに実行される。変動パターン設定処理で選択された変動パターンの変動時間が経過(ステップS301でセットされる変動時間タイマがタイムアウトすなわち変動時間タイマの値が0になる)すると、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS304に対応した値(この例では4)に更新する。
【0130】
特別図柄停止処理(ステップS304):特別図柄プロセスフラグの値が4であるときに実行される。第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bにおける可変表示を停止して停止図柄を導出表示させる。また、演出制御用マイクロコンピュータに、図柄確定指定コマンドを送信する制御を行う。そして、大当りフラグがセットされている場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS305に対応した値(この例では5)に更新する。また、小当りフラグがセットされている場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS308に対応した値(この例では8)に更新する。大当りフラグおよび小当りフラグのいずれもセットされていない場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS300に対応した値(この例では0)に更新する。なお、演出制御用マイクロコンピュータは、遊技制御用マイクロコンピュータ156が送信する図柄確定指定コマンドを受信すると演出表示装置9において演出図柄が停止されるように制御する。
【0131】
大入賞口開放前処理(ステップS305):特別図柄プロセスフラグの値が5であるときに実行される。大入賞口開放前処理では、第1大入賞口20a、第2大入賞口20cを開放する制御を行う。具体的には、カウンタ(例えば、第1大入賞口20a、第2大入賞口20cに入った遊技球数をカウントするカウンタ)などを初期化するとともに、ソレノイド21a,21bを駆動して第1大入賞口20a、第2大入賞口20cを開放状態にする。また、タイマによって大入賞口開放中処理の実行時間を設定し、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS306に対応した値(この例では6)に更新する。なお、大入賞口開放前処理は各ラウンド毎に実行されるが、第1ラウンドを開始する場合には、大入賞口開放前処理は大当り遊技を開始する処理でもある。
【0132】
大入賞口開放中処理(ステップS306):特別図柄プロセスフラグの値が6であるときに実行される。大当り遊技状態中のラウンド表示の演出制御コマンドを演出制御用マイクロコンピュータに送信する制御や第1大入賞口20a、第2大入賞口20cの閉成条件の成立を確認する処理等を行う。第1大入賞口20a、第2大入賞口20cの閉成条件が成立し、かつ、賞球検出待ち時間が経過した場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS307に対応した値(この例では7)に更新する。
【0133】
大入賞口開放後処理(ステップS307):特別図柄プロセスフラグの値が7であるときに実行される。大当り遊技状態中のラウンド表示の演出制御コマンドを演出制御用マイクロコンピュータに送信する制御や第1大入賞口20a、第2大入賞口20cの閉成条件の成立を確認する処理等を行う。第1大入賞口20a、第2大入賞口20cの閉成条件が成立し、かつ、まだ残りラウンドがある場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS305に対応した値(この例では5)に更新する。また、全てのラウンドを終えた場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS308に対応した値(この例では8)に更新する。
【0134】
大当り終了処理(ステップS308):特別図柄プロセスフラグの値が8であるときに実行される。大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知する表示制御を演出制御用マイクロコンピュータに行わせるための制御を行う。また、遊技状態を示すフラグ(例えば、確変フラグや時短フラグ)をセットする処理を行う。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS300に対応した値(この例では0)に更新する。
【0135】
図8は、大入賞口開放前処理として、
図7のステップS305にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図8に示す大入賞口開放前処理において、CPU56は、まず、大当り状態開始前フラグがオンであるか否かを判定する(ステップS391)。このとき、大当り状態開始前フラグがオンであれば(ステップS391;Yes)、大当り状態開始待ち時間が経過したか否かを判定する(ステップS392)。そして、大当り状態開始待ち時間が経過していなければ(ステップS392;No)、大入賞口開放前処理を終了することで、大当り状態開始待ち時間が経過するまで待機する。演出制御基板80の側では、例えば大当り状態開始待ち時間が経過するまでの期間において、大当り遊技状態が開始されることを報知する演出動作などが実行されるようにすればよい。
【0136】
ステップS392にて大当り状態開始待ち時間が経過したときには(ステップS392;Yes)、大当り状態開始前フラグをクリアしてオフ状態とする(ステップS393)。また、演出制御基板80に対して大当り開始コマンドを送信するための設定を行う(ステップS394)。そして、ラウンド開始待ち時間を設定してから(ステップS395)、大入賞口開放前処理を終了する。
【0137】
ステップS391にて大当り状態開始前フラグがオフであるときには(ステップS391;No)、ラウンド開始待ちが経過したか否かを判定する(ステップS396)。このとき、ラウンド開始待ち時間が経過していなければ(ステップS396;No)、大入賞口開放前処理を終了することで、ラウンド開始待ち時間が経過するまで待機する。
【0138】
ステップS396にてラウンド開始待ち時間が経過したときには(ステップS396;Yes)、入賞個数カウンタをクリアして、その格納値である入賞個数カウント値を「0」に初期化する(ステップS397)。また、セットされている大当りフラグに基づいて大当り種別が第1大当りであるか第2大当りであるかを確認する。そして、第1〜8、10〜15ラウンドであれば第1大入賞口20aの最大開放時間(例えば29500ms)を設定する。また、第9ラウンドであれば、第1大当りの場合は第2大入賞口20cの最大開放時間(例えば500ms)を設定し、第2大当りの場合は第2大入賞口20cの最大開放時間(例えば29500ms)を設定する(ステップS398)。このときには、例えばソレノイド21a、21bを駆動して第1大入賞口20aまたは第2大入賞口20cを開放状態とする設定を行う(ステップS399)。さらに、演出制御基板80に対してラウンド開始コマンドを送信するための設定を行う(ステップS400)。そして、特図プロセスフラグの値を大入賞口開放中処理に対応した値である“6”に更新してから(ステップS401)、大入賞口開放前処理を終了する。
【0139】
図9は、大入賞口開放中処理として、
図7のステップS306にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図9に示す大入賞口開放中処理において、CPU56は、まず、賞球検出待ち時間が設定されているか否かを判定し(ステップS410)、賞球検出待ち時間が設定されていない場合には(ステップS410;No)、大入賞口最大開放時間が経過したか否かを判定する(ステップS411)。このとき、大入賞口最大開放時間が経過していなければ(ステップS411;No)、第1カウントスイッチ23aまたは第2カウントスイッチ24aがオンであるか否かを判定し(ステップS412)、第1カウントスイッチ23aまたは第2カウントスイッチ24aがオンであれば(ステップS412;Yes)、入賞個数カウント値を1加算するように更新した後(ステップS413)、賞球個数コマンドを払出制御基板37に送信し(ステップS414)、ステップS415に進む。また、第1カウントスイッチ23aまたは第2カウントスイッチ24aがオンでなければ(ステップS412;No)、そのままステップS415に進む。
【0140】
尚、第2カウントスイッチ24aがオンである場合、大当り遊技状態の終了後に確変制御に移行させるための確変フラグがセットされていなければセットする。
【0141】
ステップS415においては、入賞個数カウント値が所定の最大入賞判定値(例えば「8」)に達したか否かを判定し(ステップS415)、所定の最大入賞判定値に達していなければ、大入賞口開放中処理を終了する。
【0142】
ステップS411にて大入賞口最大開放時間が経過している場合(ステップS411;Yes)またはステップS415にて入賞個数カウント値が所定の最大入賞判定値に達したことによりラウンド終了条件が成立した場合には、例えばソレノイド21a、21bの駆動を停止して第1大入賞口20a、第2大入賞口20cを閉鎖状態とする設定を行う(ステップS416)。続いて、ラウンド終了コマンドを演出制御基板80に対して送信するための設定を行った後(ステップS417)、賞球検出待ち時間を設定して(ステップS418)、大入賞口開放中処理を終了する。
【0143】
ここで、賞球検出待ち時間は、大入賞口扉20b、可動板20dを閉鎖する直前に入賞した遊技球が第1カウントスイッチ23a、第2カウントスイッチ24aを通過するまでにかかる時間であり、第1大入賞口20aから第1カウントスイッチ23aまでの入賞球誘導通路(図示略)の長さ、第2大入賞口20cから第2カウントスイッチ24aまでの入賞球誘導通路(図示略)の長さに応じて設定される。つまり、上記ラウンドの終了条件が成立したことに基づき大入賞口扉20b、可動板20dを閉鎖してから第1カウントスイッチ23a、第2カウントスイッチ24aにて検出された遊技球は、当該ラウンドにてオーバー入賞した遊技球として検出され、次のラウンドで入賞した遊技球として検出されないようになっている。
【0144】
ステップS410にて賞球検出待ち時間が設定されている場合には(ステップS410;Yes)、賞球検出待ち時間が経過したか否かを判定し(ステップS420)、賞球検出待ち時間が経過していない場合には(ステップS420;No)、第1カウントスイッチ23a、第2カウントスイッチ24aからの検出信号がオンであるか否かを判定し(ステップS422)、第1カウントスイッチ23a、第2カウントスイッチ24aからの検出信号がオンである場合には(ステップS422;Yes)、賞球個数コマンドを払出制御基板37に送信し(ステップS423)、大入賞口開放中処理を終了する。尚、ステップS422;Yesで第2カウントスイッチ24aがオンである場合、大当り遊技状態の終了後に確変制御に移行させるための確変フラグがセットされていなければセットする。
【0145】
また、ステップS420にて賞球検出待ち時間が経過した場合には(ステップS420;Yes)、特図プロセスフラグの値を大入賞口開放後処理に対応した値である“7”に更新してから(ステップS421)、大入賞口開放中処理を終了する。
【0146】
図10は、大入賞口開放後処理として、
図7のステップS307にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図10に示す大入賞口開放後処理において、CPU56は、まず、大入賞口開放カウント値が1減算されるように更新する(ステップS431)。このときには、更新後の大入賞口開放カウント値が「0」となったか否かを判定する(ステップS432)。そして、大入賞口開放カウント値が「0」以外であれば(ステップS432;No)、ラウンド開始待ち時間を設定するとともに(ステップS433)、特図プロセスフラグの値を大入賞口開放前処理に対応した値である“5”に更新してから(ステップS434)、大入賞口開放後処理を終了する。こうして、ステップS432の処理により更新後の大入賞口開放カウント値が「0」であると判定されるまでは、
図7に示すステップS305〜S307の処理を繰り返し実行することにより、大当り遊技状態にて第1特別可変入賞球装置20A、第2特別可変入賞球装置20Bを開放状態とする複数回のラウンド遊技を実行させることができる。
【0147】
ステップS432にて大入賞口開放カウント値が「0」であるときには(ステップS432;Yes)、大当り終了前時間を設定する(ステップS435)。このときには、大当りフラグをクリアしてオフ状態とする(ステップS436)。そして、特図プロセスフラグの値を大当り終了処理に対応した値である“8”に更新してから(ステップS437)、大入賞口開放後処理を終了する。
【0148】
次に、第2特別可変入賞球装置20Bについて、
図11〜
図18に基づいて説明する。
図11は、第2特別可変入賞球装置の閉鎖状態を示す斜視図である。
図12は、第2特別可変入賞球装置の内部構造を示す分解斜視図である。
図13は、(a)は可動板を示す斜視図、(b)は平面図、(c)は(b)のA−A断面図、(d)は(b)のB−B断面図である。
図14は、(a)は開放状態の第2特別可変入賞球装置の断面図、(b)は閉鎖状態の第2特別可変入賞球装置の断面図、(c)はガイド溝を示す図である。
図15は、
図14(b)のC−C断面図である。
図16は、
図14(b)のD−D断面図である。
図17は、可動板が進出位置から退避位置に退避する際の遊技球の進入状況を示す断面図である。
図18は、同じく、可動板が進出位置から退避位置に退避する際の遊技球の進入状況を示す断面図である。
図19は、右遊技領域における遊技球の誘導状況を示す概略図である。尚、以下の説明においては、パチンコ遊技機1の正面に対峙した状態を基準として上下左右方向を説明する。
【0149】
図11及び
図12に示すように、第2特別可変入賞球装置20Bは、前面に遊技球が進入可能な第2大入賞口20cが形成された本体部300と、本体部300の外側を覆うように配設される透光性を有する合成樹脂材からなるカバー部材301と、本体部300内に設けられるソレノイド21bと、ソレノイド21bの動力を伝達する伝達部材302と、伝達部材302を介してソレノイド21bに連結される可動板20dと、第2大入賞口20cから進入した遊技球を検出する第2カウントスイッチ24aと、第2大入賞口20cに連通する大入賞通路305を背面側から照らす装飾用LED304aが前面に設けられたLED基板304と、から主に構成されている。
【0150】
本体部300は、透光性を有する合成樹脂材により形成された左右一対の通路部材300a,300bからなる。これら通路部材300a,300bは、前後方向に向けて立設される側壁300cと該側壁300cの対向面に立設される複数の板部300dとからなり、各通路部材300a,300bを互いに付き合わせることにより前後面が開口する筒状の本体部300が構成される。
【0151】
本体部300の内部には、
図14〜
図16に示すように、前面開口に形成された第2大入賞口20cから後方に向けて延設される第1通路305aと該第1通路305aから屈曲部305cから下方に向けて延設される第2通路305bとからなる大入賞通路305が形成されている。
【0152】
また、第1通路305aの下部には、可動板20dが前後方向に移動可能に収容される収容部306が、第1通路305aから屈曲部305cにかけて連設されている。収容部306は、第1通路305aよりも左右幅寸法が幅広とされている。また、第1通路305aの上壁前部には、遊技球の通過は不可とするが上部を僅かに突出可能な大きさを有する開口310が形成されており、遊技球の浮き上がりを僅かに許容できるようになっている(
図17(a)参照)。
【0153】
屈曲部305cの後壁には開口307が形成されているとともに、その後方位置には装飾用LED304aが配設されており、装飾用LED304aから前方に向けて照射された光が開口307を介して大入賞通路305内に入り込むようになっていることで、大入賞通路305内に進入した遊技球が後方から照らされて装飾されるようになっている。
【0154】
第2通路305bにおける屈曲部305cの直下には、第2カウントスイッチ24aが第2通路305bを通過する遊技球を検出可能に配設されている。
【0155】
また、大入賞通路305の後方上部には、プランジャ308を前方に向けた状態でソレノイド21bが配設されている。プランジャ308の先端には伝達部材302との連結部材309が取り付けられており、該連結部材309には、下向きコ字形をなす係合部309aが形成されている。
【0156】
通路部材300aの側壁300c外面における開口310の後部に対応する位置には、伝達部材302を回動可能に支持する左右方向を向く回動軸311が立設されている。回動軸311の上方位置には、回動軸311を中心とする円弧状に形成された連結溝312が形成されている。
【0157】
また、収容部306に対応する箇所には、可動板20dを前後方向に移動案内するとともに姿勢を変更させるための案内溝313Lが前後方向に向けて延設されている。案内溝313Lは、
図14(c)に示すように、可動板20dの移動方向(前後方向)に向けて延設される第1案内部313aと、第1案内部313aよりも後側に該第1案内部313aに対し傾斜して設けられる第2案内部313bと、第2案内部313bよりも後側に第1案内部313aに対し略平行に形成された第3案内部313cと、から構成されている。
【0158】
具体的には、第1案内部313aは、側壁300cの前端近傍位置から後方に向けて僅かに下側に傾斜するように延設される直線状の案内溝である。第2案内部313bは、第1案内部313aの後端から連設され、第1案内部313aよりも傾斜角度が大きい案内溝であり、屈曲部305cに対応する位置に形成されている。第3案内部313cは、第2案内部313bの後端から連設され、第1案内部313aに対し略平行に延設される直線状の案内溝であり、第1案内部313aよりも短寸とされている。
【0159】
一方、通路部材300bは、側壁300cの形状や板部300dは通路部材300aとほぼ同様に形成されているとともに、案内溝313Lに対応する位置には同形の案内溝313Rが形成されているが、回動軸311及び連結溝312は設けられていない。
【0160】
伝達部材302は棒状のアーム部材からなり、長手方向の略中心位置に回動軸311が挿通される軸孔320が形成されており、該回動軸311を中心として回動可能に軸支される。上端には左右方向を向く連結軸321が内向きに突設され、下端には長孔322が長手方向に向けて形成されている。
【0161】
連結軸321は、軸孔320を回動軸311に挿通して軸支した状態において、連結溝312を挿通して側壁300cの内側に突出され、連結部材309の係合部309aに係合される。よって、ソレノイド21bの励磁及び解除に応じてプランジャ308が前後移動することにより、係合部309aに係合された連結軸321が連結溝312内を前後移動するため、伝達部材302が回動軸311を中心として前後に回動する。
【0162】
カバー部材301は、左側の通路部材300aの外側に所定の隙間を隔てて取り付けられる左カバー301aと、右側の通路部材300bの外側に所定の隙間を隔てて取り付けられる右カバー301bと、通路部材300aの上部に取り付けられる上カバー301cと、から構成される。
【0163】
左カバー301a及び右カバー301bの前端辺には取付片331が外向きに屈曲形成されており、該取付片331を介して遊技盤6の背面に第2特別可変入賞球装置20Bを、第2大入賞口20cが遊技盤6に形成された開口を介して前面側に臨むように取り付けできるようになっている。
【0164】
また、左カバー301aと通路部材300aの側壁300cとの間に形成された空間部には、伝達部材302が回動可能に収容できるようになっている。回動軸311は、伝達部材302が挿通された状態において先端が軸孔320から突出する長さを有しており、左カバー301aが取り付けられたときに、該左カバー301aにおける回動軸311に対応する位置に形成された軸受330に回動可能に嵌合して軸支されるようになっている(
図16参照)。
【0165】
可動板20dは、
図14に示すように、遊技領域7(本実施例では右領域7b)にて遊技球が進入可能な進入通路である大入賞通路305の下部に前後移動可能に設けられる板状部材にて構成されており、大入賞通路305から遊技領域7側に進出する進出位置(
図14(a)参照)と、該進出位置から大入賞通路305内に退避する退避位置(
図14(b)参照)と、の間で前後方向に往復移動可能に設けられる。
【0166】
そして、第2特別可変入賞球装置20Bは、可動板20dが進出位置に位置することで遊技球が入賞しやすい開放状態(第1状態)となり、可動板20dが退避位置に位置することで入賞しないまたは入賞しにくい閉鎖状態(第2状態)とに変化するようになっている。
【0167】
図13に示すように、可動板20dは、上面に遊技球を受ける球受面340aが形成された球受部340と、球受部340の左右側から後側に向けて延設される二股状の被案内部341と、から構成されている。
【0168】
球受部340は、遊技球の直径2Rよりも左右幅寸法L1が短寸に形成されるとともに、上面には、前後左右方向に平坦な球受面340aが形成され、上方から落下してくる遊技球を下方から受けることができるように形成されている。球受部340の先端面は、左右幅方向の中央位置から左右側に向けて後側に傾斜するとともに、板厚下方向に向けて後側に傾斜する左右一対の傾斜面340b,340cにて構成されている。
【0169】
これにより、可動板20dが進出位置まで進出したときに、ガラス扉枠102に形成される遊技領域7を透視可能とする透視窓102aとの間に遊技球があっても、透視窓102aに対して傾斜面340b,340cが傾斜していることにより遊技球が左右または下方に逃がされるため、透視窓102aと傾斜面340b,340cとの間に遊技球が挟まれてしまい、ソレノイド21b等に負荷がかかってしまうことが防止される。
【0170】
被案内部341は、球受部340の左右後端部から後方に向けて延設される左右一対の棒状部341a,341bからなるとともに、これら棒状部341a,341bの間には、遊技球の直径2Rよりも長寸の左右幅寸法L2を有し、後側に開放する切欠部342が形成されている(L1<2R<L2)。
【0171】
棒状部341a,341bの外面には、案内溝313Lに挿入可能な前後一対の案内軸343a〜343dがそれぞれ前後位置から外向きに突設されている。各案内軸343a〜343dは円柱状をなしており、各基部には、案内溝313L,313Rの上下幅よりも幅広とするためのワッシャ部344が形成され、左右方向のガタツキが防止されている。
【0172】
また、これら案内軸343a〜343dのうち左前側の案内軸343aは、案内溝313Lを突出して伝達部材302の長孔322内に摺動可能に挿入される。つまり可動板20dは、伝達部材302を介してソレノイド21bに連結される。よって、可動板20dは、ソレノイド21bの励磁及び解除に応じてプランジャ308が前後移動して伝達部材302が回動軸311を中心として前後に回動することで、進出位置と退避位置との間で前後移動する。
【0173】
また、これら案内軸343a〜343dは、左右の案内溝313L,313Rにそれぞれ挿入され、被案内部341の前後左右の4点が案内溝313L,313Rにより支持されることで、前後移動時に姿勢が維持されるようになっている。
【0174】
具体的には、
図14(a)に示すように、可動板20dが進出位置にあるときには、全ての案内軸343a〜343dが第1案内部313aに案内される。この状態において可動板20dは、球受面340aのほぼ全域が第2大入賞口20cから前方の右領域7b側に突出して、該右領域7bを流下してくる遊技球を受けることが可能となるとともに、球受面340aが第2大入賞口20c側に僅かに傾倒(先端に向けて上側に傾斜)して受けた遊技球を第2大入賞口20c側に誘導可能な第1姿勢となる。
【0175】
また、可動板20dが退避位置にあるときには、前側の案内軸343a、343cが第1案内部313aに案内され、後側の案内軸343b、343dが第1案内部313aよりも下方位置にある第3案内部313cに案内される。この状態において可動板20dは、球受面340aの全域が第2大入賞口20cの内部、つまり大入賞通路305内に退避して、該右領域7bを流下してくる遊技球を受けることが困難となるとともに、球受面340aが第1姿勢よりも大入賞通路305側に傾倒して、第2大入賞口20cから進入した遊技球を大入賞通路305内に進入不可とする第2姿勢となる。
【0176】
すなわち、可動板20dが進出位置にあるときは、第2大入賞口20cの上下幅寸法L3が遊技球の直径2Rよりも長いが、可動板20dが退避位置にあるときは、可動板20dが傾倒して第2姿勢になることで、球受面340aの先端が上向きになって第2大入賞口20cの上下幅寸法L4が遊技球の直径2Rよりも短くなる。よって、退避位置において第2大入賞口20cが完全に閉鎖されていなくても、第2大入賞口20cからの遊技球の進入が規制されるので、遊技球を不正に入賞させることを防止できる。
【0177】
また、退避位置においては、後側の案内軸343b、343dが第1案内部313aよりも下方位置にある第3案内部313cに案内されていることで、案内軸343b、343dが第3案内部313cの上縁辺に当接し、前側の案内軸343a、343cを中心とする可動板20dの回転が規制されるため、球受部340の先端を強制的に押し下げて第2大入賞口20cの間口を広げることが困難となるため、遊技球を不正に入賞させることを防止できる。
【0178】
尚、右領域7bを流下してくる遊技球を受けることが可能な進出位置では、第2大入賞口20cから球受面340aの先端までの突出長さL5が遊技球の半径Rよりも長ければよい(L5>R)。また、右領域7bを流下してくる遊技球を受けることが困難な進出位置では、第2大入賞口20cから球受面340aの先端までの突出長さL5が遊技球の半径Rよりも短ければよい(L5<R)。
【0179】
また、進出位置から退避位置側に向けて退避移動する途中において、前側の案内軸343a、343cが第1案内部313aに案内され、後側の案内軸343b、343dが第2案内部313bに差し掛かると、可動板20dは、球受面340aの約2/3以上の領域が大入賞通路305内に退避して、該右領域7bを流下してくる遊技球を受けることが困難な状態となる(
図17(b)参照)。
【0180】
そして、さらに退避移動を続けて後側の案内軸343b、343dが第2案内部313bにより下方に移動案内されていくことで、球受面340aが前側の案内軸343a、343cを中心として回転することにより、第1姿勢から第2姿勢に漸次変更されていく。
【0181】
このように可動板20dは、進出位置から退避位置まで移動する途中で第1姿勢から第2姿勢に姿勢が変更されるようになっている。特に本実施例では、退避位置の直前において後側の案内軸343b、343dが第2案内部313bにより徐々に下方に移動案内されていくため、球受面340aがほぼ退避してから姿勢変更する。すなわち、ある程度遊技球を大入賞通路305内に引き込んだ状態で姿勢変更されるようになっている。
【0182】
また、このように案内軸343a〜343dのうち前側の案内軸343a、343cは、進出位置と退避位置との間で第1案内部313aにしか移動案内されない案内軸であり、後側の案内軸343b、343dは第1案内部313a、第2案内部313b、第3案内部313cに移動案内される案内軸である。つまり、可動板20dは、前側の案内軸343a、343cを中心として後側の案内軸343b、343dが上下に移動することにより上下方向に回転して姿勢変更する。
【0183】
また、案内軸343a〜343dのうち前側の案内軸343aのみ、伝達部材302を介してソレノイド21bに連結される駆動伝達軸とされている。また、本実施例の場合、
図14に示すように、前側の案内軸343a、343cは、進出位置及び退避位置のいずれも回動軸311からの距離P1はほぼ同じであるが、後側の案内軸343b、343dは、退避位置において、回動軸311からの距離P2が進出位置よりも長くなるとともに、距離P1よりも距離P2の方が長い。
【0184】
よって、可動板20dは、移動方向に並設される被案内部としての後側の案内軸343b、343dと補助被案内部としての前側の案内軸343a、343cとにより安定して支持されるとともに、退避位置側の案内軸343b、343dが第2案内部313bに差し掛かると、進出位置側の案内軸343a、343cを中心として回動することで第2姿勢に変更されるとともに、案内軸343a〜343dのいずれかが伝達部材302との連結部を兼ねることで、部品点数が少なくなり製造コストを低減できるばかりか、伝達部材302を極力短寸化して装置を小型化することができる。
【0185】
次に、
図17及び
図18に基づいて、第2特別可変入賞球装置20Bの閉成動作に伴う遊技球の進入状況について説明する。
【0186】
可動板20dが進出位置にある場合、球受面340aが若干大入賞通路305側に傾倒していることで、球受面340a上に落下した遊技球には大入賞通路305側に向けて誘導される作用が働く(
図17(a)参照)。
【0187】
ここで、可動板20dが進出位置から退避位置側に向けて退避移動を開始すると、退避移動の際に平坦な球受面340a上に載った遊技球に退避方向への外力が殆ど生じないため、退避移動の際に球受面340a上に載っている遊技球がこぼれ落ちることが多い。
【0188】
しかし、球受面340a上に載った遊技球が大入賞通路305側に向けて誘導された場合、可動板20dの退避移動により大入賞通路305側に引き込まれるとともに、後側の案内軸343b、343dが第2案内部313bに差し掛かり、第2姿勢への姿勢変更が開始されることで、大入賞通路305の入口に引き込まれた遊技球は、第2姿勢に変更される球受面340aにより奥側に押し込まれていく(
図17(b)参照)。
【0189】
次いで、後側の案内軸343b、343dが第2案内部313bの下端まで移動すると、可動板20dは完全に第2姿勢になり、第2大入賞口20cの間口が上下幅寸法L4となることで、遊技球が第2大入賞口20cから零れ落ちることがなくなる(
図18(a)参照)。
【0190】
そして、可動板20dは退避位置にて停止するとともに、遊技球は第1通路305aから第2通路305bに流入し、第2カウントスイッチ24aにて検出される(
図18(b)参照)。
【0191】
ここで、可動板20dが退避位置にて停止した状態において、可動板20dの切欠部342が屈曲部305c、つまり第2通路305bの直上に位置するようになっている。このように可動板20dは、移動方向に並設される被案内部としての案内軸343b、343dと補助被案内部としての案内軸343a、343cにより安定して支持されるとともに、退避位置側の案内軸343b、343dが第2案内部313bに差し掛かると、進出位置側の案内軸343a、343cを中心として回動することで第2姿勢に変更される。このように可動板20dの姿勢を安定化させるとともに、案内軸343a、343cを中心として姿勢を傾倒させやすくするために案内軸343b、343dと案内軸343a、343cとを極力離間させようとすると、可動板20dが移動方向に長寸となり、退避位置において屈曲部305cを閉鎖してしまうことになる。しかし、切欠部342が形成されていることで、可動板20dが屈曲部305cに対応する位置に配置されても、遊技球を切欠部342を介して第2通路305bに流入させることができるので、進入した遊技球を遠回りさせずに第2カウントスイッチ24aにて検出させることが可能となる。
【0192】
よって、第2特別可変入賞球装置20Bを大型化することなく、第2大入賞口20cに進入した遊技球を直ちに第2カウントスイッチ24aにて検出させることが可能となるため、ステップS418にて賞球検出待ち時間が設定されてからステップS410、420〜422の処理(ラウンドインターバル中における遊技球の検出待ち時間)において賞球検出待ちをする期間を極力短縮化でき、これにより大当り状態をより高速で消化することが可能となるため、パチンコ遊技機1の稼働率を向上させることができる。
【0193】
以上説明したように、本発明の実施例としてのパチンコ遊技機1にあっては、可動板20dが進出位置にあるときは、被案内部としての案内軸343b,343dが第1案内部313aに案内され第1姿勢となることで、第2姿勢よりも遊技球を大入賞通路305内に引き込みにくいため、遊技球の大入賞通路305内への進入率が高まりすぎることを抑制できる。
【0194】
一方、退避移動の途中で案内軸343b,343dが第2案内部313bに案内されることにより、可動板20dが案内軸343a,343cを中心として回転し、第1姿勢から第2姿勢に変更されて球受面340aが大入賞通路305側に向けて傾倒することで、球受面340a上にある遊技球が大入賞通路305側に向けて押し込まれるため、退避動作により大入賞通路305内に引き込んだ遊技球がこぼれ落ちることを抑制できる。
【0195】
すなわち、可動板20dを位置に応じて姿勢変更することで、遊技球の大入賞通路305内への進入率を調整することができる。つまり、進出位置において第1姿勢で受けた遊技球を引き込みにくいが、退避動作により引き込みかけた遊技球は、姿勢変更により強制的に大入賞通路305側に押し込むことができる。
【0196】
尚、第2姿勢のまま進出位置に進出させる場合、第1姿勢のまま進出位置に進出させる場合に比べて進出位置側への移動量を増加させないと、落下してくる遊技球を受ける間口が小さくなるため、可動板20dのように、第1姿勢で進出させて退避動作の途中で姿勢を第2姿勢に変更する方が好ましい。
【0197】
また、可動板20dが退避動作を開始して直ぐに姿勢変更する場合、未だ大入賞通路305内に引き込まれていない遊技球が姿勢変更により上方に浮き上がってしまう虞がある。よって、大入賞通路305内に引き込まれ始めた遊技球を奥側に押し込むタイミングで姿勢変更されることが好ましい。
【0198】
具体的には、例えば第2大入賞口20cからの球受面340aの突出長さが、進出位置における突出長さに対して約1/2以下になったときに姿勢変更されるようにすることが好ましい。あるいは、第2大入賞口20cからの球受面340aの突出長さが、遊技球の半径R以下になったときに姿勢変更されるようにすることが好ましい。
【0199】
また、可動板20dは、退避位置で案内軸343b,343dが第2案内部313bに案内されることにより第2姿勢となることで、大入賞通路305の進入口が狭まり、遊技球の大入賞通路305内への進入が防止されるため、意図しない入賞や不正な入賞の発生が防止される。
【0200】
また、案内溝313L,313Rは、第2案内部313bよりも退避位置側に第1案内部313aに対し略平行に形成された第3案内部313cを有し、可動板20dは、退避位置で案内軸343b,343dが第3案内部313cに案内されることにより、第2姿勢に維持されることで、退避位置にて傾倒する可動板20dの遊技領域7側の端部を押し下げても、第3案内部313cにより案内軸343b,343dの回動が規制されるため、可動板20dを大入賞通路305内から強制的に進出させるといった不正行為を抑制できる。
【0201】
また、大入賞通路305は、退避位置側に形成された屈曲部305cから下方に向けて延設される第2通路305bと、第2通路305bを流下する遊技球を検出する第2カウントスイッチ24aと、を有し、可動板20dは、案内軸343b,343dよりも進出位置側に突設され、進出位置と退避位置との間で第1案内部313aにのみ案内される補助被案内部としての案内軸343a,343cを有し、退避位置において屈曲部305cに対応する部位に、遊技球が通過可能な切欠部342が形成されているとともに、該切欠部342に対応する位置に案内軸343b,343dが突設されていることで、可動板20dは、移動方向に並設される案内軸343b,343dと案内軸343a,343cとにより安定して支持されるとともに、退避位置側の案内軸343b,343dが第2案内部313bに差し掛かると、進出位置側の案内軸343a,343cを中心として回動することで第2姿勢に変更される。
【0202】
このように可動板20dの姿勢を安定化させるとともに、補助被案内部としての案内軸343a,343cを中心として姿勢を傾倒させやすくするために案内軸343b,343dと案内軸343a,343cとを極力離間させようとすると、可動板20dが移動方向に長寸となり、退避位置において屈曲部305cを閉鎖してしまうことになるが、可動板20dが屈曲部305cに対応する位置に配置されても、遊技球を切欠部342を介して第2通路305bに流入させることができるので、進入した遊技球を遠回りさせずに第2カウントスイッチ24aにて検出させることが可能となる。
【0203】
尚、本実施例では、可動板20dの後部には切欠部342が形成されていたが、遊技球を通過可能となれば、例えば開口部(孔部)等であってもよい。
【0204】
また、球受面340aは、進出位置側の先端部に、大入賞通路305側に向けて傾倒する先端部側傾斜部としての屈曲部340dを有することで、進出位置において球受面340aにて受けた遊技球が先端部からこぼれ落ちにくくすることができるばかりか、退避する際において遊技球が先端部からこぼれ落ちにくくなる。さらに、退避位置において先端部が上向きに傾斜していることで遊技球が進入しにくくなる。
【0205】
また、本実施例では、球受面340aは、移動方向に対し直交する幅方向(左右方向)に向けて平坦状に形成されていたが、移動方向に対し直交する幅方向(左右方向)の略中央から両端側に向けて上向きに傾斜する幅方向傾斜部(図示略)を設けてもよい。このようにすることで、進出位置にて受けた遊技球が幅方向の端部からこぼれ落ちにくくすることができる。
【0206】
また、駆動手段は、第2特別可変入賞球装置20Bの本体部300内に配設されるソレノイド21bと、一端がソレノイド21bに連結されるとともに他端が可動板20dに連結され、本体部300外部に回動軸311を中心として回動可能に設けられた伝達部材302と、を含み、可動板20dは、案内軸343b,343dよりも進出位置側に突設され、進出位置と退避位置との間で第1案内部313aにのみ案内される案内軸343a,343cを有し、伝達部材302の他端は、案内軸343b,343d及び案内軸343a,343cのうち、可動板20dが進出位置及び退避位置にあるときに最も回動軸311に近い位置にある案内軸343a〜343dに連結されていることで、可動板20dは、移動方向に並設される案内軸343b,343d及び案内軸343a,343cにより安定して支持されるとともに、退避位置側の案内軸343b,343dが第2案内部313bに差し掛かると、進出位置側の案内軸343a,343cを中心として回動することで第2姿勢に変更されるとともに、案内軸343b,343d及び案内軸343a,343cのいずれかが伝達部材302との連結部を兼ねることで、部品点数が少なくなり製造コストを低減できるばかりか、伝達部材302を極力短寸化して装置を小型化することができる。
【0207】
また、伝達部材302は、本体部300を外側から覆うカバー部材301の左カバー301aにより覆われていることで、伝達部材302を外側から不正に操作して可動板20dを動作させるといった不正行為を抑制することができる。
【0208】
さらに、伝達部材302は、本体部300と左カバー301aとの間に形成された空間部内に配設され、少なくとも回動軸311の左端が軸受330に回動可能に軸支されていることで、左カバー301aを取り外して伝達部材302を外側から不正に操作して可動板20dを動作させようとしても、左カバー301aを取り外すことで伝達部材302の回動支持状態が解除されて回動動作が不安定になるので、不正行為を防止できる。
【0209】
また、本実施例では、退避位置の直前で姿勢変更が行われるようになっていたが、進出位置と退避位置との間であれば、姿勢変更位置は種々に変更可能である。つまり、第2案内部313bは、案内溝313L,313Rの長手方向の両端部間に形成されていれば、形成位置は任意である。
【0210】
また、本実施例では、退避位置において第2姿勢に維持されるようになっていたが、退避動作の途中で姿勢が変更されるようになっていれば、必ずしも退避位置において第2姿勢に維持されなくてもよい。
【0211】
また、本実施例では、可動板20dは、被案内部としての案内軸343b,343dと補助案内部としての案内軸343a,343cとにより左右側が支持されていたが、被案内部や補助案内部が左右それぞれに複数設けられていてもよい。
【0212】
また、特に図示しないが、例えば可動板20dの後端を左右方向を向く連結軸を介してソレノイド等の駆動手段に連結し、被案内部としての案内軸のみを案内溝313L,313Rに案内させるようにしてもよい。
【0213】
尚、本実施例では、本発明の案内部は、左右それぞれ1本の案内溝313L,313Rにて構成され、被案内部としての案内軸343b,343d及び補助被案内部としての案内軸343a,343cは全て同じ案内溝313L,313Rに案内されていたが、案内軸343b,343dと案内軸343a,343cとはそれぞれ別個の案内溝にて構成されていてもよい。
【0214】
具体的には、例えば
図20に示すように、後側の案内軸343b,343dを案内する第1案内溝370と、前側の案内軸343a,343cを案内する第2案内溝371と、から構成し、別個の案内溝370,371で移動案内することもできる。
【0215】
また、この場合、前側の案内軸343a,343cを移動案内する第2案内溝371を、可動板20dの移動方向(前後方向)に向けて延設される第1案内部371aと、第1案内部371aよりも後側に該第1案内部371aに対し上方に傾斜して設けられる第2案内部371bと、第2案内部371bよりも後側に第1案内部371aに対し略平行に形成された第3案内部371cと、から構成することで、可動板20dが後側の案内軸343b,343dを中心として回動することにより姿勢変更することになる。このように可動板20dの姿勢を変更するための回動中心は、可動板20dの前後方向の中央位置、後側、前側のいずれとしてもよい。
【0216】
すなわち、この場合、後側の案内軸343b,343dが伝達部材302を介してソレノイド21bと連結する連結部および補助被案内部を構成し、前側の案内軸343a,343cが姿勢変更するための被案内部を構成している。
【0217】
また、第2案内部371bは後側に向けて上方に傾斜しており、後側に向けて下方に傾斜する第2案内部313bとは異なる。つまり、第2案内部の傾斜方向は種々に変更可能である。
【0218】
また、本実施例では、可動板20d側に被案内部としての案内軸343b,343dが形成され、本体部300側に案内部としての案内溝313L,313Rが形成されていたが、可動板20d側に案内部としての案内溝313L,313Rが形成され、本体部300側に被案内部としての案内軸343b,343dが形成されていてもよい。
【0219】
また、本実施例では、案内部及び被案内部の一例として、案内溝及び案内軸が適用されていたが、例えば案内部の他の例として案内レールを適用し、被案内部の他の例として案内レールに摺動可能に嵌合される嵌合部材等を適用してもよい。
【0220】
また、本実施例では、可動板20dの姿勢を変更させる姿勢変更手段として、案内部としての案内溝313L,313R及び被案内部としての案内軸343b,343dが適用されていたが、可動板20dの退避移動途中で姿勢を変更可能であれば、これら案内溝及び案内軸以外の手段にて姿勢変更可能とされていてもよい。
【0221】
また、本実施例では、進出動作及び退避動作双方において、動作途中で姿勢が変更するように構成されていたが、少なくとも退避動作においてのみ姿勢が変更するようになっていれば、進出動作途中で姿勢が変更されないように構成してもよい。
【0222】
また、可動板20dの駆動手段も、ソレノイドと回動可能に設けられた伝達部材に限定されるものではなく、例えば駆動源としてモータを適用するとともに、該モータの駆動力をギヤ部材等により伝達すること(例えば、ラックとピニオン)により進退移動及び姿勢変更可能としてもよい。
【0223】
次に、変形例としての第2特別可変入賞球装置20B’について、
図21〜
図23に基づいて説明する。
図21は、(a)は変形例としての可動板を示す斜視図、(b)は平面図、(c)は(b)のE−E断面図、(d)は(b)のF−F断面図である。
図22は、(a)は開放状態の第2特別可変入賞球装置の断面図、(b)は閉鎖状態の第2特別可変入賞球装置の断面図、(c)はガイド溝を示す図である。
図23は、
図21の可動板が進出位置から退避位置に退避する際の遊技球の進入状況を示す断面図である。
【0224】
尚、変形例としての第2特別可変入賞球装置20B’については、第2特別可変入賞球装置20Bと相違する部位に関する図示と説明をし、同一の構成部位に関しては同様の符号を付すこと等により説明を省略することとする。
【0225】
第2特別可変入賞球装置20B’の可動板20d’は、上面に遊技球を受ける球受面340aが形成された球受部340と、球受部340の左右側から後側に向けて延設される二股状の被案内部341と、から構成されている。可動板20dと相違する点は、球受部340の形状と、前後の案内軸343a,343b、343c,343d間が板状の連結部材360a,360bにて連結されている点である。
【0226】
図21(b)に示すように、球受部340は、傾斜面340b,340cと左右側辺との間の角部が湾曲状に形成されているとともに、球受面340aにおける前後方向の略中央位置よりも前側の領域が、後側よりも先端側に向けて上方に屈曲する屈曲部340dとされている。このように球受部340の先端側に後側よりも傾斜角度が大きい屈曲部340dが形成されていることで、球受面340aの先端側で受けた遊技球が第2大入賞口20c側に向けて誘導されやすくなるため、退避移動時に遊技球を引き込みやすくなる。
【0227】
前後の案内軸343a,343b間は、板状の連結部材360aにて連結され、また、前後の案内軸343c,343d間は、板状の連結部材360bにて連結されている。これにより、案内軸343a,343b、343c,343dの強度が増加するため、遊技球を受けた際の衝撃による破損等が防止される。尚、連結部材360aには切欠凹部360cが形成されていることで、案内軸343aが挿入される伝達部材302との干渉を回避している。
【0228】
図22(a)〜(c)に示すように、案内溝313L’,313R’は直線状に形成され、進出位置側から退避位置側に向けて僅かに下方に傾斜するように延設されている。
【0229】
つまり、本変形例の第2特別可変入賞球装置20B’の可動板20d’は、進出位置(
図22(a)参照)と退避位置(
図22(b)参照)との間で前後方向に直線移動するだけであり、姿勢を変更することはないため、進出位置と退避位置との間で常に同じ姿勢で支持される。
【0230】
次に、
図23に基づいて、第2特別可変入賞球装置20B’の閉成動作に伴う遊技球の進入状況について説明する。
【0231】
可動板20d’が進出位置にある場合、球受面340aが若干大入賞通路305側に傾倒しているとともに、球受面340aの先端側に屈曲部340dが形成されていることで、球受面340a上に落下した遊技球には大入賞通路305側に向けて誘導される作用が働く(
図23(a)参照)。
【0232】
ここで、可動板20dが進出位置から退避位置側に向けて退避移動を開始すると、退避移動の際に球受面340a上に載った遊技球が、先端側から移動してくる屈曲部340dにより退避位置側に向けて押し込まれるため、先端が平坦なものに比べて遊技球がこぼれ落ちにくくなる。そして、可動板20d’は退避位置にて停止するとともに、遊技球は第1通路305aから第2通路305bに流入し、第2カウントスイッチ24aにて検出される(
図23(b)参照)。
【0233】
また、本実施例では、本発明を第2特別可変入賞球装置20Bに適用した例を説明したが、第1特別可変入賞球装置20A、可変入賞球装置15や他の入賞口にも本発明を適用可能である。
【0234】
次に、遊技領域7に打ち出された遊技球の移動の障害となるように配設され、遊技球の移動方向を変更させる移動方向変更部材の一例であって、演出表示装置9の周囲を装飾するセンター枠飾り11(
図1参照)の上部に設けられるとともに、金属板750が設けられた上壁部材700について、
図24〜
図28に基づいて説明する。
図24は、遊技盤を示す正面図である。
図25は、上壁部材を左斜め前側から視た状態を示す斜視図である。
図26は、上壁部材を右斜め前側から視た状態を示す斜視図である。
図27は、上壁部材の糸切り部材に糸がかかる状態を示す斜視図である。
図28は、
図27(b)のG−G断面図である。
【0235】
図24に示すように、遊技盤6の遊技盤面6aには、打球発射装置450から発射された遊技球を遊技領域7内に誘導する発射球誘導通路400の一部を構成する外レール401及び内レール402、外レール飾り600a〜600c、障害釘K(例えば、
図19参照)、風車(図示略)、戻り球防止装置500、上壁部材700等が取り付けられるとともに、センター枠飾り11、可変入賞球装置15、第1特別可変入賞球装置20A、第2特別可変入賞球装置20B、ゲート32、装飾部材25等が各取付穴に前面側から取り付けられる。
【0236】
これら外レール401及び内レール402、外レール飾り600a〜600c、障害釘K、風車、戻り球防止装置500、上壁部材700、センター枠飾り11、可変入賞球装置15、第1特別可変入賞球装置20A、第2特別可変入賞球装置20B、ゲート32、装飾部材25は、遊技盤面6a上に配設される遊技用構造物であり、そのうち遊技領域7の周囲に配設される外レール飾り600a〜600c及び各レール401,402を除く障害釘K、風車、戻り球防止装置500、上壁部材700、センター枠飾り11、可変入賞球装置15、第1特別可変入賞球装置20A、第2特別可変入賞球装置20B、ゲート32、装飾部材25は、遊技領域7に遊技球の移動や流下の障害となるように配設され、遊技球の移動方向を変更させる移動方向変更部材を構成する。
【0237】
また、外レール飾り600a〜600cは、遊技盤面6aにおける遊技領域7の周囲に配設されることで、遊技盤面6a上に立設される正面視円弧状の各誘導面601a〜601cの端部同士が接続されて環状の誘導面が構成される。なお、外レール401は誘導面601a,601bの一部の内側に沿って配設され、実質的に誘導面601a,601bを構成している。内レール402の一部は誘導面601cの一部の内側に沿って配設され、実質的に誘導面601cの一部を構成している。
【0238】
このようにこれら誘導面601a〜601cにより、遊技盤面6aは、中央部に形成される略円形の遊技領域7とその周囲に形成される非遊技領域とに区画されるため、外レール飾り600a〜600c及び外レール401及び内レール402は遊技領域7を形成するレール部材を構成している。
【0239】
発射球誘導通路400(
図24中斜線領域)は、遊技盤6に形成された遊技領域7(
図24中網点領域)の右側下方位置に設けられた打球発射装置450から遊技領域7の上部左側に向けて該遊技領域7の左周縁を回り込むように延設される円弧状部を有し、該打球発射装置450から発射された遊技球を遊技領域7の上部に向けて旋回させるように案内するように形成されている。
【0240】
そしてこの発射球誘導通路400と遊技領域7とを連絡する連絡部410には、戻り球防止装置500が設けられ、遊技領域7内に進入した遊技球が発射球誘導通路400に戻ることが防止されている。また、本実施例においては、発射球誘導通路400から連絡部410を介して遊技領域7内に出射される遊技球は、右斜め上方に向けて出射されるようになっている。
【0241】
図25及び
図26に示すように、上壁部材700は、遊技盤面6aに取り付けられる板状の取付部701と、取付部701の前面に遊技球の移動の障害となるように、下面が開口する箱状に形成されたブロック部702と、から構成されている。ブロック部702の左側面703は、上下方向を向く垂直面703aとその下端から下方に向けて左側に向けて湾曲形成される湾曲面703bとから構成され、発射球誘導通路400から連絡部410を介して遊技領域7内に打ち込まれた遊技球を左領域7aに戻すように形成されている。右側面704は垂直面からなり、その下端からは右方向に向けて水平板705が延設されている。
【0242】
ブロック部702の上面706における前後方向の略中央位置には、左右方向を向くV字溝707が形成されているとともに、このV字溝707の内面やや左側位置には、スリット708がV字形に形成されている。また、ブロック部702は下方が開口する箱状に形成されており、この内部には、金属板750が、その一部がスリット708から露呈するように下面開口からネジ709により組み付けられている。
【0243】
また、上面706は、左右方向を向くV字溝707により後上面706aと前上面706bとに分断されている。そしてこれら後上面706aと前上面706bとは、それぞれV字溝707に向けて下方に傾斜する傾斜面とされている。
【0244】
金属板750は、所定の板厚(例えば、約1mm等)を有し、所定箇所を折曲げ加工することにより形成されている。具体的には、略垂直に立設された前後方向を向く後片711と、後片711の前側に該後片711に対し前方に向けて左側に傾斜するように屈曲形成された前片712と、後片711の下端から右側に向けて略水平に屈曲形成された取付片713と、から構成される。取付片713にはネジ709の取付孔714が形成されている。
【0245】
前片712は、下前片712aと該下前片712aの上部に連接される上前片712bとから構成されている。上前片712bは、後片711との間に切込溝715が形成されることにより後片711に対して分断され、下前片712aに対し上方に向けて右側に傾斜するように屈曲形成されている。よって、後片711と上前片712bとの間には、正面視略V字形の切込溝715が形成されている。
【0246】
また、後片711における切込溝715側の先端縁E1は前側に向けて下方に傾斜する傾斜縁とされ、上前片712bにおける切込溝715側の先端縁E2は後側に向けて下方に傾斜する傾斜縁とされている。
【0247】
次に、不正行為に使用される糸付き球が打球発射装置450から打ち出された場合の状況を、
図27にもとづいて説明する。
【0248】
従来、例えば釣り糸等の透明なナイロン糸の一端を遊技球や透明な合成樹脂球等に接着し、該糸付き球を打球発射装置450により遊技領域7に打ち出し、手元の糸を送り出したり引き戻したり操作することにより糸付き球を繰り返し入賞させたり、打ち出した糸付き球を遊技球の流下方向に影響を与えうる箇所(例えばワープ入口や風車等)にかけておく(所謂球かけ)ことで、始動入賞口等に遊技球が誘導されやすくするといった不正行為が行われることがあった。
【0249】
ここで、糸付き球を用いた不正行為の一例を簡単に説明する。
【0250】
図27に示すように、糸Tの一端が接着材等により接着された糸付き球Pを打球発射装置450に送り出すとともに、その糸Tの他端は送り出さずに手前に残したまま打球発射装置450にて打ち出すと、糸付き球Pは発射球誘導通路400から連絡部410を通過して遊技領域7(ここでは右領域7b)に出射される。この糸付き球Pの移動に追従して糸Tが引き出されていく。
【0251】
図28に示すように、ブロック部702付近の前後幅寸法L10は、糸付き球Pの直径2Rよりも幅広で、かつ、遊技盤面6aと透視窓102aの背面102a’との離間幅寸法L11よりも短寸である(L11>L10>2R)。また、離間幅寸法L11から前後幅寸法L10を差し引いた長さが糸付き球Pの直径2Rよりも短い(L11−L10<2R)。
【0252】
よって糸付き球Pは、ブロック部702を通過する際に確実に上面706に接触する、つまり、上面706の上方位置を通過するようになっている。より詳しくは、糸付き球Pが遊技盤面6aに当接した場合及び透視窓102aの背面102a’に当接した場合において、糸付き球Pの中心は上面706a,706bいずれかに対応する位置にある。よって、ブロック部702の上方位置を通過する糸付き球Pに追従して引き出される糸Tは、上面706の上方位置で引き出されていく。
【0253】
ここで、例えば、第2始動入賞口13bに糸付き球Pを繰り返し入賞させることにより賞球を不正に得ようとする場合、右領域7bを狙って遊技球が打ち出される。遊技領域7の左側上部位置に設けられた連絡部410から右斜め上向きに出射された糸付き球Pは、ブロック部702の上方と誘導面601aとの間を通過して右領域7bに誘導される。尚、勢いが弱ければ左側面703に衝突して左領域7aに誘導される。
【0254】
そして、右領域7bを流下した糸付き球Pが例えば入賞口29d内に進入し、該入賞口29d内に設けられた入賞口スイッチ30bにより検出されたら、手元にある糸Tの繰り出しをやめて糸付き球Pの流下を規制した後、糸Tを引き戻して糸付き球Pを逆流させ、入賞口29dの上流側まで引き出す。ここで、一般的に入賞口スイッチ30bは入賞口内の入賞通路に設けられているため、入賞口スイッチ30b内から糸付き球Pを引き上げなくても、入賞口スイッチ30bの上流側まで逆流させるだけでよい。
【0255】
このように、再度糸Tを繰り出して入賞口スイッチ30bに検出させた後、また引き戻すといった一連の操作を繰り返すことで、糸付き球Pを何回も入賞口スイッチ30bに検出させて、不正に賞球を得ることができる。また、例えば第2始動入賞口13bの場合であれば、第2特図ゲームの変動を開始する権利を得ることができる。
【0256】
また、特に図示はしないが、例えばステージ枠のワープ入口や障害釘の間に糸付き球Pを引っ掛けて(詰まらせる)、遊技球が所定の入賞口等に誘導されやすいようにする不正行為(所謂球かけ)を行う場合は、上記と同様に糸付き球Pを打ち出して遊技領域7内の所定箇所で糸Tの繰り出しを止めてその場に糸付き球Pを滞留させればよい。
【0257】
上記のように、遊技領域7内に打ち出された糸付き球Pが流下した後、糸Tの繰り出しを止めた場合、糸Tは糸付き球Pの自重により張力が生じることになる。
【0258】
具体的には、
図27(b)に示すように、発射球誘導通路400から遊技領域7の上部にある連絡部410まで引き出された糸Tは、遊技領域7の上部略中央位置にある上壁部材700で下向きに折返されて右領域7b下部まで延き出される。このように、発射球誘導通路400を上方に向けて移動して連絡部410から遊技領域7内に右斜め上方に出射された糸付き球Pは、自重により上壁部材700にて下向きに折返された後、該上壁部材700よりも下方位置まで自然流下していくため、糸Tの繰り出しを止めることで、糸付き球Pが上壁部材700から垂れ下がった状態となり糸Tに張力が生じる。よって、糸付き球Pがブロック部702の上方位置を通過した後に流下していくことで、金属板750に糸Tが引っ掛かることになる。
【0259】
図28に示すように、糸付き球Pがブロック部702の上方位置を通過して右領域7bに出射された後、上壁部材700よりも下方位置まで流下することで、後上面706a及び前上面706bまたは切込溝715内に露呈した金属板750の先端縁E1,E2のいずれかに糸Tが掛かる。このとき、先端縁E1,E2は、切込溝715に向けて下方に傾斜されていることで、糸Tは張力が大きくなるにつれて切込溝715に誘導されていく。
【0260】
そして、糸Tに張力が生じることで、切込溝715の基部に向けて糸Tが食い込んでいくことで、切込溝715を構成する後片711と上前片712bとの縁辺により糸Tが前後に蛇行するように挟持され、糸Tを繰り出したり引き出したりといった糸Tの移動が規制されるため、糸付き球Pを繰り返し第2始動口スイッチ15aに検出させることができなくなる。つまり、切込溝715は、糸Tの移動を規制する移動規制部を構成している。
【0261】
また、より強い張力が生じた場合は、ハサミと同様の作用が生じ、切込溝715の縁辺にて糸Tが切断する可能性もある。このように糸Tが切断された場合、糸Tを繰り出したり引き出したりといった糸Tの操作ができなくなるため、糸付き球Pを繰り返し第2始動口スイッチ15aに検出させることができなくなる。つまり、切込溝715は、糸Tを切断する切断部を構成している。
【0262】
このように、上壁部材700に切込溝715が設けられていることで、不正行為として、一端が遊技球に取り付けられた糸Tの他端を保持したまま該糸付き球Pを打球発射装置450により打ち出し、発射球誘導通路400から連絡部410を介して右領域7b内に不正に進入させた場合でも、糸付き球Pの自重により糸Tに張力が生じるばかりか、糸Tの引き戻しを繰り返すことにより糸Tが切込溝715により切断または移動が規制されやすくなるので、糸付き球による不正行為を未然に防ぐことが可能となる。
【0263】
また、切込溝715は、糸Tを切断する切断部であってもよいし、引っ掛かった糸Tの送り出しまたは引き戻し方向の移動を規制する移動規制部であってもよいし、あるいは、第1の力がかかることで糸Tの移動を規制するとともに、第1の力以上の第2の力がかかった場合に糸Tを切断するものであってもよい。
【0264】
また、切込溝715が、右領域7bに遊技球を誘導する通路に設けられた上壁部材700に設けられていることで、移動する糸付き球Pに追従する糸Tが切込溝715に誘導されやすくなる。また、右領域7bの上部位置に設けられることによりテンションがかかりやすくなるので、糸Tが掛かりやすくなるばかりか、糸Tを引き戻そうとしても操りにくくなるので、不正行為を抑制することができる。
【0265】
また、本実施例では、金属板750の先端部から切込溝を切断加工することで切込溝715を形成していたが、このような切込溝は極力細くすればするほど、後片711と上前片712bとの縁辺同士が近づくので、切込溝715の基部側に行くほど糸Tが蛇行しやすくなるので引っ掛けやすくなるとともに、切断加工の際に縁辺にバリ等が生じることで、糸Tに抵抗を付与しやすくなる。
【0266】
また、金属板750は、後片711及び前片712が前後幅方向に並設されており、前片712は、後片711に対し前方に向けて左側に傾斜して設けられ、かつ、上前片712bが下前片712aに対し上方に向けて右側に傾斜しており、これら後片711と上前片712bとの間に切込溝715が形成されていることで、後片711と上前片712bとの縁辺同士がずれて切込溝715の間口が広がることで、切込溝715へ糸Tが誘導されやすくなる。
【0267】
このように、切込溝715の前後幅方向の間口を広げることなく、糸Tの移動方向(左右方向)の間口を広げることで、糸Tを切込溝715内に誘導しやすくしつつ、かつ、切込溝715内で糸を保持または切断しやすくすることができる。
【0268】
また、このような金属板750は、上壁部材700以外の部材に設けてもよい。
【0269】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0270】
また、前記実施例では、遊技媒体の一例として、球状のパチンコ球(遊技球)が適用されていたが、球状の遊技媒体に限定されるものではなく、例えばメダル等の非球状の遊技媒体であってもよい。