(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る車両用表示装置に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0014】
本実施形態に係る車両用表示装置100は、通常の走行を行う通常モードであるNORMALモードの他に、例えばトルクを増加させた状態で走行するSPORTモード、燃費を重視してエンジン回転数を低めに抑制して走行するECOモード等の走行モードを切り替え可能に備える、即ち車両の状態として複数の走行モードを切り替え可能に備える自動車等の車両に搭載されて用いられる。
【0015】
図1は、本実施形態に係る車両用表示装置100のハードウェアの構成例を示したものである。
図1に示すように、車両用表示装置100は、マイクロコンピュータ(CPU:Central Processing Unit)101、読み出し専用メモリ(EEPROM:Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)102、インタフェース103、インタフェース104、インタフェース105、操作部106、CPU電源部107、グラフィックコントローラ108、フレームメモリ109、Xドライバ110、Yドライバ111、LCD(Liquid Crystal Display)電源部112、及び液晶表示器(TFT−LCD:Thin Film Transistor Liquid Crystal Display)113を備えている。
【0016】
マイクロコンピュータ101は、予め用意されたプログラムを実行し、車両用表示装置100の機能を実現するために必要な様々な処理を行う。例えば、後述する
図4のフローチャートに示した処理をマイクロコンピュータ101が行う。
【0017】
読み出し専用メモリ102は、マイクロコンピュータ101が実行するプログラムの内容や予め用意された固定データなどを保持している。例えば、後述する
図4のステップS43,S45,S47等においてマイクロコンピュータ101が参照する、NORMAL表示36、SPORT表示37、及びECO表示38の画像データが読み出し専用メモリ102に保持されている。
【0018】
インタフェース103は、車両側のイグニッションスイッチの状態を表す信号(IGN+)をマイクロコンピュータ101に入力する。
【0019】
インタフェース104は、マイクロコンピュータ101と車両側の各種制御装置(ECU:Electric Control Unit)との間で通信を行うために利用される。具体的には、車速、エンジン回転速度、燃料残量、冷却水温、クラッチ接続の有無等の現在の様々な車両状態を表すデータが、ほぼリアルタイムのデータとして車両側からマイクロコンピュータ101に入力される。
【0020】
インタフェース105は、操作部106から受け付けた信号をマイクロコンピュータ101に入力する。操作部106は、運転者からの操作を受け付けるための種々のスイッチを備えている。本実施形態では、操作部106は、
図2(a)〜
図2(c)に示すような回動軸を中心に回動可能且つ該回動軸方向に移動可能なスイッチ114を備えている。スイッチ114は、回動軸を中心とする回動操作と回動軸方向への押圧操作により操作入力を受け付ける。回動軸を中心とする時計回りの向きへの回動操作により操作入力Rを、回動軸を中心とする反時計回りの向きへの回動操作により操作入力Lを、回動軸方向への押圧操作により操作入力Pを、それぞれ受け付ける。
【0021】
図2は、スイッチ114の具体的な動作を示す図であり、
図2(a)は走行モードをSPORTモードに切り替える際の動作を、
図2(b)は走行モードをNORMALモードに切り替える際の動作を、
図2(c)は走行モードをECOモードに切り替える際の動作を示している。尚、
図2中のSPORT,NORMAL,ECOの各表示及び矢印は、スイッチ114の状態と走行モードとの対応関係、及びスイッチ114の操作方向を示すために仮想的に表示しているものであり、実際のスイッチ114が備えるものではない。
図2(a)に示すように、回動軸を中心として時計回りの向きへ予め定めた所定量だけ回動すると、スイッチ114は、走行モードをSPORTモードに切り替えるための操作入力Rの受け付け信号を、インタフェース105を介してマイクロコンピュータ101に出力する。
図2(b)に示す状態から、回動軸方向へ予め定めた所定量だけ押圧されると、スイッチ114は、走行モードをNORMALモードに切り替えるための操作入力Pの受け付け信号を、インタフェース105を介してマイクロコンピュータ101に出力する。
図2(c)に示すように、回動軸を中心として反時計回りの向きへ予め定めた所定量だけ回動すると、スイッチ114は、走行モードをECOモードに切り替えるための操作入力Lの受け付け信号を、インタフェース105を介してマイクロコンピュータ101に出力する。
スイッチ114は、回動操作及び押圧操作がされていない場合には、回動軸を中心とする周方向における所定位置に、且つ押圧操作を受け付け可能な状態に復帰する。このため、操作入力を受け付けて走行モードが切り替えられた後、スイッチ114は、上述の位置及び状態に復帰する。本実施形態においては、
図2(b)に示すように、スイッチ114に形成された目印114aが
図2(b)における上向きを向く回動位置に、押圧操作を受け付け可能な状態に自動的に復帰する。
【0022】
CPU電源部107は、車両側のプラス側電源ライン(+B)から供給される直流電力を入力してマイクロコンピュータ101の動作に必要な直流電圧(Vcc)を生成する。また、必要に応じてリセット信号を生成したり、マイクロコンピュータ101から出力されるスリープ信号に従って電力供給を抑制するための動作も行う。
【0023】
液晶表示器113は、液晶デバイスにより構成された多数の微小表示セルをX方向およびY方向に並べて配置されたカラーの2次元表示画面を有している。多数の微小表示セルの表示状態をセル毎に個別に制御することにより、2次元表示画面上に図形、文字、画像等の所望の情報をグラフィック表示することができる。
【0024】
図3は、走行モードを表示する際の液晶表示器113の表示内容を示す図であり、
図3(a)は走行モードがSPORTモードである場合の表示内容を、
図3(b)は走行モードがNORMALモードである場合の表示内容を、
図3(c)走行モードがECOモードである場合の表示内容を示している。液晶表示器113は、2次元画面表示によって、
図3(a)〜
図3(c)に示すようなグラフィック表示画面を表示する。グラフィック表示画面は、速度スケール31、回転数スケール32、速度計33、指針34、領域35、領域39,40,41,42等を表示する。領域35上には、走行モードがNORMALモードであることを表す画像であるNORMAL表示36、走行モードがSPORTモードであることを表す画像であるSPORT表示37、及び走行モードがECOモードであることを表す画像であるECO表示38が表示される。速度スケール31及び回転数スケール32は、走行モードがNORMALモード又はECOモードである場合には速度スケール31が表示され、走行モードがSPORTモードである場合には回転数スケール32及び速度計33が表示される。指針34は、速度スケール31が表示されている場合には速度スケール31上の一部を指し示して現在の車両の速度を示し、回転数スケール32が表示されている場合には回転数スケール32上の一部を指し示して現在のエンジンの回転数を示す。速度計33は、数値を表示することにより現在の車両の速度を示す。領域35は、速度スケール31又は回転数スケール32の中心点付近に表示される。液晶表示器113は、領域35上にNORMAL表示36、SPORT表示37、及びECO表示38が表示されることにより、現在の走行モードを運転者に示す。
また、領域39,40,41,42は、速度スケール31又は回転数スケール32の外側に表示される。領域39,40,41,42には、水温計、平均燃費計、瞬間燃費計、燃料計がそれぞれ表示される。
【0025】
本実施形態に係る車両用表示装置100では、NORMAL表示36として、「NORMAL」とアルファベットを並べた画像を用いている。同様に、SPORT表示37として、「SPORT」とアルファベットを並べた画像を用いており、ECO表示38として、「ECO」とアルファベットを並べた画像を用いている。尚、NORMAL表示36としては、運転者が現在の走行モードが通常の走行モードであることを認識できる態様であれば、仮名や片仮名等の文字による表示を用いてもよいし、通常の走行モードであることを表す図形や記号による表示を用いてもよい。SPORT表示37及びECO表示38についても同様である。
また、本実施形態では、液晶表示器113の全面にグラフィック表示がなされている構成としたが、領域35以外の表示部分はアナログ式のものとする構成としてもよい。
【0026】
液晶表示器113の表示画面のY方向の走査位置は、Yドライバ111の出力により順次に切り替わる。Yドライバ111は、グラフィックコントローラ108から出力される垂直同期信号に同期して、Y方向の走査位置を順次に切り替える。
【0027】
Xドライバ110は、グラフィックコントローラ108から出力される水平同期信号に同期して液晶表示器113の表示画面のX方向の走査位置を順次に切り替える。また、Xドライバ110はグラフィックコントローラ108から出力されるRGB各色の画像データを走査位置の表示セルに与えて画面中の表示内容を制御する。
【0028】
グラフィックコントローラ108は、マイクロコンピュータ101から入力される様々な命令に従って、様々なグラフィック要素を液晶表示器113の画面上に表示する。実際には、画素毎の表示内容を保持するフレームメモリ109に対して、マイクロコンピュータ101又はグラフィックコントローラ108が表示データを書き込みグラフィックの描画を行う。また、液晶表示器113の画面を2次元走査するための垂直同期信号及び水平同期信号を生成し、これらの同期信号に同期したタイミングでフレームメモリ109上の該当するアドレスに格納されている表示データを液晶表示器113に与える。
【0029】
LCD電源部112は、車両側のプラス側電源ライン(+B)から供給される直流電力を入力して、液晶表示器113の表示に必要とされる所定の直流電力を生成する。
【0030】
次に、車両用表示装置100の具体的な動作について説明する。
図4は、走行モードの表示を開始してから終了するまでの処理ルーチンを表すフローチャートである。なお、以下においては、第1の呈示情報がNORMAL表示36の場合について説明するが、第1の呈示情報が、すでにステップS46を経た後のECO表示38であってもよい。そして、第1の操作入力が操作入力Rである場合には、第2の呈示情報は、SPORT表示37となる。さらに、第2の操作入力として操作入力Lが引き続き行われると、第2の呈示情報と異なる呈示情報としてECO表示38が表示されることになる。同様に、第1の呈示情報が、すでにステップS43を経た後のSPORT表示37であってもよく、第1の操作入力が操作入力Lである場合には、第1の呈示情報がNORMAL表示36およびSPORT表示37のいずれの場合においても、第2の呈示情報が、ECO表示38となり、第2の操作入力として操作入力Rが引き続き行われると、第2の呈示情報と異なる呈示情報としてSPORT表示37が表示される。
【0031】
まず、運転手は、イグニッションスイッチをオンにする。直流電圧(Vcc)が供給されたマイクロコンピュータ101は、液晶表示器113による走行モードの表示を開始する。本実施形態においては、走行モードの表示を開始した直後の走行モードはNORMALモードに設定されている。
【0032】
ステップS41では、マイクロコンピュータ101は、読み出し専用メモリ102を参照して、NORMAL表示36の画像データを取得する。その後、取得したデータに基づいて、
図3(b)に示すように、NORMAL表示36を領域35の中心付近に出力する。
【0033】
ステップS42では、マイクロコンピュータ101は、液晶表示器113に表示する走行モードをSPORTモードに切り替える際の処理を開始するための操作入力Rを待ち受ける。具体的には、マイクロコンピュータ101は、スイッチ114の回動の状態を判別する。判別の結果、時計回りの向きへの回動操作がなされたと判定した場合には、ステップS43の処理を実行し、液晶表示器113に表示する走行モードをSPORTモードに切り替える際の処理を開始する。一方、ステップS42の判別により、時計回りの向きへの回動操作がなされていないと判定した場合には、ステップS44を実行する。
【0034】
ステップS43では、マイクロコンピュータ101は、液晶表示器113に表示する走行モードをSPORTモードに切り替える際の処理を実行する。これにより、液晶表示器113には、
図3(a)に示すグラフィック表示画面が表示される。このステップS43における処理の詳細については後述する。当該処理を実行した後は、再びステップS42を実行する。
【0035】
ステップS44では、マイクロコンピュータ101は、液晶表示器113に表示する走行モードをNORMALモードに切り替える際の処理を開始するための操作入力Pを待ち受ける。具体的には、マイクロコンピュータ101は、スイッチ114の押圧の状態を判別する。判別の結果、押圧操作がなされたと判定した場合には、ステップS45の処理を実行し、走行モードをNORMALモードに切り替える際の処理を開始する。一方、ステップS44の判別により、押圧操作がなされていないと判定した場合には、ステップS46を実行する。
【0036】
ステップS45では、マイクロコンピュータ101は、液晶表示器113に表示する走行モードをNORMALモードに切り替える際の処理を実行する。これにより、液晶表示器113には、
図3(b)に示すグラフィック表示画面が表示される。このステップS45における処理の詳細については後述する。当該処理を実行した後は、再びステップS42を実行する。
【0037】
ステップS46では、マイクロコンピュータ101は、液晶表示器113に表示する走行モードをECOモードに切り替える際の処理を開始するための操作入力Lを待ち受ける。具体的には、マイクロコンピュータ101は、スイッチ114の回動の状態を判別する。判別の結果、反時計回りの向きへの回動操作がなされたと判定した場合には、ステップS47の処理を実行し、液晶表示器113に表示する走行モードをECOモードに切り替える際の処理を開始する。一方、ステップS46の判別により、反時計回りの向きへの回動操作がなされていないと判定した場合には、再びステップS42を実行する。ステップS42(No)、ステップS44(No)及びステップS46(No)は、これらのうちのいずれか1つの処理において操作入力を受け付けるまで処理が循環することになる。
【0038】
ステップS47では、マイクロコンピュータ101は、液晶表示器113に表示する走行モードをECOモードに切り替える際の処理を実行する。これにより、液晶表示器113には、
図3(c)に示すグラフィック表示画面が表示される。このステップS47における処理の詳細については後述する。当該処理を実行した後は、再びステップS42を実行する。
【0039】
以下では、ステップS43における処理について説明する。SPORTモードには、NORMALモード及びECOモードの双方から遷移する。即ち、ステップS43の処理を開始する直前においては、車両の走行モードはNORMALモード又はECOモードであり、液晶表示器113の領域35には、NORMAL表示36又はECO表示38が表示されている。以下では、ステップS43の処理を開始する前まで領域35に表示されていた前表示をNORMAL表示36であるとして説明するが、前表示はECO表示38であっても構わない。
【0040】
図5は、液晶表示器113に表示する走行モードをSPORTモードに切り替える際の処理ルーチンを表すフローチャートである。
図6は、液晶表示器113に表示する走行モードをSPORTモードに切り替える処理に伴う液晶表示器113の表示の変化を示す図であり、
図6(a)はSPORT表示37が初期位置にある場合の表示内容を、
図6(b)はSPORT表示37が中間位置にある場合の表示内容を、
図6(c)SPORT表示37が固定位置にある場合の表示内容を示している。
【0041】
ステップS51では、マイクロコンピュータ101は、領域35上にNORMAL表示36とSPORT表示37とを重畳して出力する。この際、
図6(a)に示すように、SPORT表示37を領域35の右下に小さく、薄く出力する。
図6(a)に示すSPORT表示37の表示位置をSPORT表示37の初期位置と称する場合がある。
【0042】
ステップS52では、マイクロコンピュータ101は、
図6(b)に示すように、ステップS51における表示位置と比較して、SPORT表示37をより中央寄りに、より大きく、より濃く領域35上に出力する。
図6(b)に示すように、SPORT表示37が初期位置と後述する固定位置との間に位置する際の表示位置を、SPORT表示37の中間位置と称する場合がある。
【0043】
ステップS53では、マイクロコンピュータ101は、
図6(b)に示すように、ステップS51における表示位置と比較して、NORMAL表示36をより左側に、より小さく、より薄く領域35上に出力する。
【0044】
ステップS54では、マイクロコンピュータ101は、領域35上におけるSPORT表示37の位置が予め定めた所定の位置と一致するか否かを判定する。本実施形態に係る車両用表示装置100では、この所定の位置として領域35の中央を定めている。即ち、本実施形態においては、ステップS54では、マイクロコンピュータ101は、領域35上におけるSPORT表示37の位置が領域35の中央に位置するか否かを判定する。判定の結果、SPORT表示37の位置が領域35の中央に位置しないと判定した場合には、再度ステップS52,53を実行する。判定の結果、SPORT表示37の位置が領域35の中央に位置すると判定した場合には、ステップS55を実行する。
【0045】
ステップS55では、マイクロコンピュータ101は、領域35上からNORMAL表示36を消去する、即ち領域35へのNORMAL表示36の出力を停止する。
【0046】
ステップS56では、マイクロコンピュータ101は、領域35の中央にSPORT表示37を出力する。
図6(c)に示すSPORT表示37の表示位置、即ち領域35の中央位置をSPORT表示37の固定位置と称する場合がある。
【0047】
このステップS51〜ステップS56、即ちステップS43における一連の処理により、マイクロコンピュータ101は、領域35においてSPORT表示37を出力する位置を変える。この際、
図6(a)〜
図6(c)に示すように、SPORT表示37は、領域35の右下側から中央に向けて反時計回りに移動する。即ち、操作入力Rに基づいて特定される時計回りの方向に沿ってSPORT表示37を出力する位置を変えることによって、走行モードがSPORTモードに切り替わったことを運転者に呈示する。
【0048】
また、ステップS43における一連の処理において、マイクロコンピュータ101は、領域35においてNORMAL表示36を出力する位置を変える。この際、
図6(a)〜
図6(c)に示すように、SPORT表示37は、領域35の中央から左下側に向けて反時計回りに移動する。即ち、操作入力Rに基づいて特定される時計回りの方向に沿ってNORMAL表示36を出力する位置を変えることによって、走行モードがNORMALモードから切り替わったことを運転者に呈示する。
【0049】
以下では、ステップS45における処理について説明する。NORMALモードには、SPORTモード及びECOモードの双方から遷移する。即ち、ステップS45の処理を開始する直前においては、車両の走行モードはSPORTモード又はECOモードであり、液晶表示器113の領域35には、SPORT表示37又はECO表示38が表示されている。以下では、ステップS45の処理を開始する前まで領域35に表示されていた前表示をSPORT表示37であるとして説明するが、前表示はECO表示38であっても構わない。
【0050】
図7は、液晶表示器113に表示する走行モードをNORMALモードに切り替える際の処理ルーチンを表すフローチャートである。
図8は、液晶表示器113に表示する走行モードをNORMALモードに切り替える処理に伴う液晶表示器113の表示の変化を示す図であり、
図8(a)はNORMAL表示36が初期位置にある場合の表示内容を、
図8(b)はNORMAL表示36が中間位置にある場合の表示内容を、
図8(c)NORMAL表示36が固定位置にある場合の表示内容を示している。
【0051】
ステップS71では、マイクロコンピュータ101は、領域35上にNORMAL表示36とSPORT表示37とを重畳して出力する。この際、
図8(a)に示すように、NORMAL表示36を領域35の下側に小さく、薄く出力する。
図8(a)に示すNORMAL表示36の表示位置をNORMAL表示36の初期位置と称する場合がある。
【0052】
ステップS72では、マイクロコンピュータ101は、
図8(b)に示すように、ステップS51における表示位置と比較して、NORMAL表示36をより中央寄りに、より大きく、より濃く領域35上に出力する。
図8(b)に示すように、NORMAL表示36が初期位置と後述する固定位置との間に位置する際の表示位置を、NORMAL表示36の中間位置と称する場合がある。
【0053】
ステップS73では、マイクロコンピュータ101は、
図8(b)に示すように、ステップS51における表示位置と比較して、SPORT表示37をより上側に、より小さく、より薄く領域35上に出力する。
【0054】
ステップS74では、マイクロコンピュータ101は、領域35上におけるNORMAL表示36の位置が予め定めた所定の位置と一致するか否かを判定する。この所定の位置はステップS54における位置と同一の位置が定められ、本実施形態においては領域35の中央である。即ち、ステップS74では、マイクロコンピュータ101は、領域35上におけるNORMAL表示36の位置が領域35の中央に位置するか否かを判定する。判定の結果、NORMAL表示36の位置が領域35の中央に位置しないと判定した場合には、再度ステップS72,73を実行する。判定の結果、NORMAL表示36の位置が領域35の中央に位置すると判定した場合には、ステップS75を実行する。
【0055】
ステップS75では、マイクロコンピュータ101は、領域35上からSPORT表示37を消去する、即ち領域35へのSPORT表示37の出力を停止する。
【0056】
ステップS76では、マイクロコンピュータ101は、領域35の中央にNORMAL表示36を出力する。
図8(c)に示すNORMAL表示36の表示位置、即ち領域35の中央位置をNORMAL表示36の固定位置と称する場合がある。
【0057】
このステップS71〜ステップS76、即ちステップS45における一連の処理により、マイクロコンピュータ101は、領域35においてNORMAL表示36を出力する位置を変える。この際、
図8(a)〜
図8(c)に示すように、NORMAL表示36は、領域35の下側から中央に向けて上向きに移動する。即ち、操作入力Pに基づいて特定される上下方向に沿ってNORMAL表示36を出力する位置を変えることによって、走行モードがNORMALモードに切り替わったことを運転者に呈示する。
【0058】
また、ステップS45における一連の処理において、マイクロコンピュータ101は、領域35においてSPORT表示37を出力する位置を変える。この際、
図8(a)〜
図8(c)に示すように、SPORT表示37は、領域35の中央から上側に向けて上向きに移動する。即ち、操作入力Pに基づいて特定される上下方向に沿ってSPORT表示37を出力する位置を変えることによって、走行モードがSPORTモードから切り替わったことを運転者に呈示する。
【0059】
以下では、ステップS47における処理について説明する。ECOモードには、SPORTモード及びNORMALモードの双方から遷移する。即ち、ステップS47の処理を開始する直前においては、車両の走行モードはSPORTモード又はNORMALモードであり、液晶表示器113の領域35には、NORMAL表示36又はSPORT表示37が表示されている。以下では、ステップS47の処理を開始する前まで領域35に表示されていた前表示をSPORT表示37であるとして説明するが、前表示はNORMAL表示36であっても構わない。
【0060】
図9は、液晶表示器113に表示する走行モードをECOモードに切り替える際の処理ルーチンを表すフローチャートである。
図10は、液晶表示器113に表示する走行モードをECOモードに切り替える処理に伴う液晶表示器113の表示の変化を示す図であり、
図10(a)はECO表示38が初期位置にある場合の表示内容を、
図10(b)はECO表示38が中間位置にある場合の表示内容を、
図10(c)ECO表示38が固定位置にある場合の表示内容を示している。
【0061】
ステップS91では、マイクロコンピュータ101は、領域35上にECO表示38とSPORT表示37とを重畳して出力する。この際、
図10(a)に示すように、ECO表示38を領域35の左下に小さく、薄く出力する。
図10(a)に示すECO表示38の表示位置をECO表示38の初期位置と称する場合がある。
【0062】
ステップS92では、マイクロコンピュータ101は、
図10(b)に示すように、ステップS51における表示位置と比較して、ECO表示38をより中央寄りに、より大きく、より濃く領域35上に出力する。
図10(b)に示すように、ECO表示38が初期位置と後述する固定位置との間に位置する際の表示位置を、ECO表示38の中間位置と称する場合がある。
【0063】
ステップS93では、マイクロコンピュータ101は、
図10(b)に示すように、ステップS51における表示位置と比較して、SPORT表示37をより右側に、より小さく、より薄く領域35上に出力する。
【0064】
ステップS94では、マイクロコンピュータ101は、領域35上におけるECO表示38の位置が予め定めた所定の位置と一致するか否かを判定する。この所定の位置はステップS54における位置と同一の位置が定められ、本実施形態においては領域35の中央である。即ち、ステップS94では、マイクロコンピュータ101は、領域35上におけるECO表示38の位置が領域35の中央に位置するか否かを判定する。判定の結果、ECO表示38の位置が領域35の中央に位置しないと判定した場合には、再度ステップS92,93を実行する。判定の結果、ECO表示38の位置が領域35の中央に位置すると判定した場合には、ステップS95を実行する。
【0065】
ステップS95では、マイクロコンピュータ101は、領域35上からSPORT表示37を消去する、即ち領域35へのSPORT表示37の出力を停止する。
【0066】
ステップS96では、マイクロコンピュータ101は、領域35の中央にECO表示38を出力する。
図10(c)に示すECO表示38の表示位置、即ち領域35の中央位置をECO表示38の固定位置と称する場合がある。
【0067】
このステップS91〜ステップS96、即ちステップS47における一連の処理により、マイクロコンピュータ101は、領域35においてECO表示38を出力する位置を変える。この際、
図10(a)〜
図10(c)に示すように、ECO表示38は、領域35の左下側から中央に向けて時計回りに移動する。即ち、操作入力Lに基づいて特定される時計回りの方向に沿ってECO表示38を出力する位置を変えることによって、走行モードがECOモードに切り替わったことを運転者に呈示する。
【0068】
また、ステップS47における一連の処理において、マイクロコンピュータ101は、領域35においてSPORT表示37を出力する位置を変える。この際、
図10(a)〜
図10(c)に示すように、SPORT表示37は、領域35の中央から右下側に向けて時計回りに移動する。即ち、操作入力Lに基づいて特定される時計回りの方向に沿ってSPORT表示37を出力する位置を変えることによって、走行モードがSPORTモードから切り替わったことを運転者に呈示する。
【0069】
以下では、本実施形態に係る車両用表示装置100の作用及び効果について説明する。
【0070】
本実施形態に係る車両用表示装置100は、各種入力を受け付ける操作部106(スイッチ114)と、各種情報を出力する液晶表示器113と、を備え、操作部106によって受け付けた操作入力に基づいて、車両の状態に関する情報を切り替えて液晶表示器113に表示する車両用表示装置100であって、液晶表示器113は、車両の状態を表す呈示情報が出力される領域35を有し、車両の走行モードがNORMALモードであることを表すNORMAL表示36が領域35に出力されている場合であって、操作入力Rを操作部106が受け付けたときには、領域35内において、操作入力Rに基づいて特定される時計回り方向に沿って車両の走行モードがSPORTモードであることを表すSPORT表示37を出力する位置を変えることによって、領域35に出力される呈示情報を、NORMAL表示36からSPORT表示37へ切り替え、SPORT表示37が領域35に出力されている場合であって、操作入力Pを操作部106が受け付けたときには、領域35内において、時計回り方向と異なる、操作入力Pに基づいて特定される上下方向に沿ってNORMAL表示36を出力する位置を変えることによって、領域35に出力される呈示情報を、SPORT表示37からNORMAL表示36へ切り替える。
即ち、領域35内において、操作入力に基づいて特定される方向に沿って呈示情報を出力する位置を変えることによって、領域35に出力される呈示情報を切り替える。これにより、運転者の操作により車両の走行モードが切り替わる際に、運転者が行う操作の方向と、領域35内における呈示情報の出力位置の変化の方向とが一致する。また、領域35に出力される呈示情報をNORMAL表示36からSPORT表示37に切り替える際にSPORT表示37の出力位置を変える時計回り方向と、領域35に出力される呈示情報をSPORT表示37からNORMAL表示36に切り替える際にNORMAL表示36の出力位置を変える上下方向とが異なる。これにより、車両の走行モードが切り替わる際に、車両の状態がNORMALモードからSPORTモードに切り替わる場合と、SPORTモードからNORMALモードに切り替わる場合とで、運転者が行う操作の方向が異なる。
この結果、運転者は、操作の方向と領域35内における呈示情報の出力位置の変化の方向とが一致するために、走行モードを切り替える操作を直感的に行うことができる。さらに、これに加えて、切り替え後の走行モードにより操作の方向が異なるために、走行モードを切り替える操作を間違えることなく直感的に行うことができる。よって、本実施形態の車両用表示装置100によれば、運転者が直感的に操作可能である車両用表示装置を提供できる。
【0071】
また、本実施形態に係る車両用表示装置100は、SPORT表示37が領域35に出力されている場合であって、操作入力Lを操作部106が受け付けたときには、領域35内において、時計回り方向に沿ってECO表示38を出力する位置を変えることによって、領域35に出力される呈示情報を、SPORT表示37からECO表示38へ切り替える。
即ち、SPORT表示37が領域35に出力されている場合に、操作入力Pを受け付け、領域35に出力されるNORMAL表示36の出力位置を上下方向に沿って変えることにより、領域35に出力される呈示情報をSPORT表示37からNORMAL表示36に切り替えるだけではなく、操作入力Lを受け付け、領域35に出力されるECO表示38の出力位置を時計回り方向に沿って変えることにより、領域35に出力される呈示情報をSPORT表示37からECO表示38に切り替える。これにより、車両の状態がSPORTモードである場合に、運転者の操作にしたがって車両の状態がNORMALモード及びECOモードの双方の状態に切り替わることができる。また、車両の状態がSPORTモードからNORMALモードに切り替わる際の運転者の操作の方向と、車両の状態がSPORTモードからECOモードに切り替わる際の運転者の操作の方向とが異なる。
この結果、運転者は、1つの走行モードから異なる2つの走行モードに走行モードを切り替えることができる。また、これら2つの走行モードへの切り替えは操作の方向が異なるため、運転者は、走行モードを切り替える操作を間違えることなく直感的に行うことができる。
【0072】
また、本実施形態に係る車両用表示装置100は、操作部106は、回動軸を中心に回動可能且つ該回動軸方向に移動可能なスイッチ114を有し、スイッチ114の回動軸を中心とする回動操作により操作入力R,Lを受け付け、スイッチ114の回動軸方向への押圧操作により操作入力Pを受け付ける。
これにより、操作入力R,Lに基づいて特定される時計回り方向と操作入力Pに基づいて特定される上下方向とが異なる。
この結果、運転者は、操作の方向と領域35内における呈示情報の出力位置の変化の方向とが一致するために、走行モードを切り替える操作を直感的に行うことができる。さらに、これに加えて、回動操作と押圧操作とで操作の方向が異なるために、走行モードを切り替える操作を間違えることなく直感的に行うことができる。
【0073】
また、本実施形態に係る車両用表示装置100は、押圧操作により受け付けられる操作入力Pにより、走行モードが通常の走行モードであるNORMALモードに切り替わる。スイッチ114は、回動操作及び押圧操作がされていない場合には、回動軸を中心とする周方向における所定位置に、且つ押圧操作を受け付け可能な状態に復帰する。
これにより、時計回り及び反時計回りの2つの向きへの操作が可能である回動操作ではなく、1つの向きへの操作のみが可能である押圧操作により、いずれの走行モードにある状態からでも走行モードが通常の走行モードに切り替えられる。
この結果、運転者は、直感的な操作により間違えることなく走行モードを通常の走行モードに切り替えることができる。
【0074】
また、本実施形態に係る車両用表示装置100は、車両の状態として走行モードの切り替えに関する情報を領域35に表示する。
これにより、運転者が直感的に走行モードを切り替え可能である車両用表示装置を提供できる。
【0075】
また、本実施形態に係る車両用表示装置100は、領域35内において、操作入力に基づいて特定される方向に沿って呈示情報を出力する位置を変えるだけではなく、同時に呈示情報を出力する大きさを変える。
これにより、当該呈示情報が強調されて領域35上に出力される。
この結果、本実施形態に係る車両用表示装置100は、運転者が直感的に操作可能である車両用表示装置を提供できる。
【0076】
また、本実施形態に係る車両用表示装置100は、領域35内において、操作入力に基づいて特定される方向に沿って呈示情報を出力する位置を変えるだけではなく、同時に呈示情報を出力する色を変える。
これにより、当該呈示情報が強調されて領域35上に出力される。
この結果、本実施形態に係る車両用表示装置100は、運転者が直感的に操作可能である車両用表示装置を提供できる。
【0077】
尚、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態は、本発明の技術的範囲内で種々の変形や改良等を伴うことができる。
【0078】
例えば、本実施形態に係る車両用表示装置100では、車両の状態として複数の走行モードを切り替え可能に備える車両に搭載される構成としたが、走行モード以外の車両の状態を切り替え可能に備える車両に搭載される構成としてもよい。例えば、ギアのポジションを知らせるシフトインジケーターの表示に適用してもよいし、幅広い数値から適当な数値を選択する表示装置の輝度調整等に適用してもよい。この際には、標準的な輝度の値を初期モードとすることで、不意に輝度を低くしてしまった場合にもスイッチの押圧操作により標準の値に戻すことができる。
【0079】
また、本実施形態に係る車両用表示装置100では、走行モードとして、NORMALモード、SPORTモード、ECOモードの3つの走行モードを切り替え可能に備える車両に搭載される構成としたが、これら3つの走行モードに加えて更に走行モードを備える車両に搭載される構成としてもよい。この場合には、例えば、スイッチ114は時計回りの向きへ所定量だけ回動すると、1つ目の操作入力を受け付け、更に時計回りの向きへ所定量だけ回動すると、2つ目の操作入力を受け付ける構成とすればよい。
【0080】
また、本実施形態に係る車両用表示装置100では、スイッチ114は、押圧操作により操作入力Pを受け付ける構成としたが、押引操作により上向き及び下向きの上下方向の2つの向きへの操作入力を受け付ける構成としてもよい。
【0081】
また、本実施形態に係る車両用表示装置100では、スイッチ114は、回動操作及び押圧操作がされていない場合には、回動軸を中心とする周方向における所定位置に、且つ押圧操作を受け付け可能な状態に復帰する構成としたが、回動操作及び押圧操作がされていない場合に所定の位置及び状態に復帰しないものでもよい。
【0082】
また、本実施形態に係る車両用表示装置100では、
図6(a)〜
図6(c)に示すように、SPORT表示37は、操作入力Rに基づいて特定される時計回り方向に沿って、領域35の右下側から中央に向けて反時計回りに移動する構成としたが、SPORT表示37の移動方向は、操作入力に基づいて特定される方向に沿った方向であればよく、例えばスイッチ114の時計回り方向への回動操作に基づいて左右方向が特定されるとして、SPORT表示37が領域35の中央から左右方向に沿って移動する構成としてもよい。このことは、NORMAL表示36及びECO表示38についても同様である。
【0083】
また、本実施形態に係る車両用表示装置100では、操作入力に基づいて特定される方向に沿って呈示情報を出力する位置を変えるだけではなく、同時に呈示情報を出力する大きさ及び色の濃淡を変える構成としたが、大きさ及び色の濃淡のいずれの一方のみを変えてもよいし、大きさ及び色の濃淡を変えずに表示位置のみを変える構成としてもよい。また、色の濃淡ではなく、色の色相、彩度、明度のいずれかを変える構成としてもよい。また、本実施形態に係る車両用表示装置100では、切り替え前の呈示情報も領域35上を移動する構成としたが、切り替え前の呈示情報は操作入力を受け付けた直後に消去される構成としてもよい。