特許第5952904号(P5952904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5952904アルカリ現像型感光性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物およびプリント配線板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5952904
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】アルカリ現像型感光性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物およびプリント配線板
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20160630BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20160630BHJP
   G03F 7/029 20060101ALI20160630BHJP
   G03F 7/031 20060101ALI20160630BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20160630BHJP
【FI】
   G03F7/004 501
   G03F7/027 502
   G03F7/004 512
   G03F7/029
   G03F7/031
   H05K3/28 D
   H05K3/28 F
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-522355(P2014-522355)
(86)(22)【出願日】2012年8月15日
(86)【国際出願番号】JP2012070726
(87)【国際公開番号】WO2014002294
(87)【国際公開日】20140103
【審査請求日】2014年7月28日
(31)【優先権主張番号】201210221950.8
(32)【優先日】2012年6月29日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】507149350
【氏名又は名称】太陽油墨(蘇州)有限公司
【氏名又は名称原語表記】TAIYO INK(SUZHOU)CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 賢治
【審査官】 倉本 勝利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−164095(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/099732(WO,A1)
【文献】 特開2000−267275(JP,A)
【文献】 特開昭61−243869(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004−7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)カルボキシル基含有樹脂、(B)光重合開始剤、(C)1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物、および(D)二塩基酸エステルを含有し、
前記(B)光重合開始剤が、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1およびアシルホスフィンオキサイド類のうちのいずれか少なくとも1種であることを特徴とするアルカリ現像型感光性樹脂組成物。
【請求項2】
(D)二塩基酸エステルが、(a)アジピン酸ジアルキル0〜40質量%、(b)グルタル酸ジアルキル40〜80質量%、および(c)コハク酸ジアルキル5〜40質量%の混合物である請求項1記載のアルカリ現像型感光性樹脂組成物。
ここで(a)、(b)、(c)のアルキルは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数5〜8のシクロアルキル基である。
【請求項3】
(D)二塩基酸エステルが、アジピン酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、およびコハク酸ジメチルの混合物である請求項1記載のアルカリ現像型感光性樹脂組成物。
【請求項4】
(D)二塩基酸エステルの含有量が、(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、1〜60質量部である請求項1記載のアルカリ現像型感光性樹脂組成物。
【請求項5】
さらに、(E)熱硬化性成分を含有することを特徴とする請求項1記載のアルカリ現像型感光性樹脂組成物。
【請求項6】
基材上に塗布して用いられる請求項1記載のアルカリ現像型感光性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか1項記載のアルカリ現像型感光性樹脂組成物を、キャリアフィルム上に塗布、乾燥して得られるドライフィルム。
【請求項8】
請求項1乃至5のいずれか1項記載のアルカリ現像型感光性樹脂組成物、または、請求項7に記載のドライフィルムを構成するアルカリ現像型感光性樹脂組成物からなることを特徴とする硬化物。
【請求項9】
求項8に記載の硬化物を備えることを特徴とするプリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板のソルダーレジスト等の形成に適したアルカリ現像型感光性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物およびプリント配線板に関し、特に、粗粒がなく、貯蔵安定性に優れ、作業環境の悪化を抑制し、人体への有害物質が少ないアルカリ現像型感光性樹脂組成物硬化塗膜のパターンを形成できるアルカリ現像型感光性樹脂組成物、該アルカリ現像型感光性樹脂組成物を、キャリアフィルム上に塗布、乾燥して得られるドライフィルム、該アルカリ現像型感光性組成物または該ドライフィルムの硬化物、ならびに該硬化物を備えるプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、一部の民生用プリント配線板並びにほとんどの産業用プリント配線板のソルダーレジストには、高精度、高密度の観点から、紫外線照射後、現像することにより画像形成し、熱および光照射で仕上げ硬化(本硬化)する液状現像型ソルダーレジストインキが使用されている。また環境問題への配慮から、現像液として希アルカリ水溶液を用いるアルカリ現像タイプの液状ソルダーレジストインキが主流になっている。このような希アルカリ水溶液を用いるアルカリ現像タイプのソルダーレジストインキとしては、例えば、特許文献1に記載されているような、ノボラック型エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸の反応生成物に多塩基酸無水物を付加した活性エネルギー線硬化性樹脂、光重合開始剤、有機溶剤、充填粉およびエポキシ化合物からなる液状ソルダーレジストインキが広く用いられている。
【0003】
このうち、光重合開始剤のソルダーレジストに対する役割としては、露光時の光硬化反応の起点となることが挙げられる。具体的には、光重合開始剤が露光時に光を吸収して活性化して分解し、活性化した光重合開始剤はモノマーやオリゴマー等感光性樹脂と反応する。反応した感光性樹脂成分は連鎖的に3次元的に架橋化反応して分子量を増大させ、固体となる(硬化する)。このように光重合開始剤は、ソルダーレジストを形成する為の重要な役割を担っている。
【0004】
一方、ソルダーレジストインキは、上記の通り多くの成分を混合して、一般的に3本ロールで分散、形成されており、各成分の相溶性と有機溶剤への溶解性が求められる。無機成分はロール分散によって分散が可能だが、有機成分はロール分散での分散が難しい。その為、有機成分は有機溶剤によって溶解、分散させることが不可欠である。有機成分の溶解が十分でないと完全に溶解せずに粗粒という形で組成内に留まることがある。特にソルダーレジストインキ中に含まれる前記光重合開始剤が十分に溶解せずに粗粒という形で組成内に留まる場合、光硬化反応が不十分となってしまい、本来の光硬化反応を発揮することは望めない。具体的な不具合としては、感度低下、はんだ耐熱性低下等の塗膜特性の低下が挙げられる。更には未溶解の光重合開始剤がソルダーレジスト組成物内に留まってしまうと、印刷、乾燥後の乾燥塗膜表面に未溶解の光重合開始剤が粒状となって現れてしまい、外観不良の原因となる。従って、有機成分、特に光重合開始剤との相溶性と溶解性の高い有機溶剤が求められてきた。
【0005】
また、有機溶剤としては、一般的に石油系芳香族溶剤、グリコールエーテル系、グリコールエステル系が挙げられ、その中でも有機原料に対する溶解性と作業性、貯蔵安定性を考慮して適度な揮発速度を有する有機溶剤が用いられてきた。しかしながら、石油系芳香族溶剤は、有機原料に対する溶解性は優れるものの、発癌物質の疑いがあるナフタレンを含有しており、人体への悪影響が懸念されることから対策を求められてきた。
【0006】
以上のことから、粗粒がなく、貯蔵安定性に優れ、作業環境の悪化を抑制させ人体への有害物質が少ない液状ソルダーレジストインキが望まれてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭61−243869号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記問題点に鑑み、粗粒がなく、貯蔵安定性に優れ、作業環境の悪化を抑制し、人体への有害物質が少ない硬化塗膜のパターンを形成できるアルカリ現像型感光性樹脂組成物、該感光性樹脂組成物を、キャリアフィルム上に塗布、乾燥して得られるドライフィルム、該感光性組成物または該ドライフィルムの硬化物、ならびに該硬化物を備えるプリント配線板を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、アルカリ現像型感光性樹脂組成物において、合成樹脂の溶解および希釈を担っている有機溶剤として、溶解性に優れ、人体への有害物質が少ない特定の有機溶剤を使用することにより、上記課題を解決できることを見いだし本発明に至った。
【0010】
すなわち、本発明は、
[1](A)カルボキシル基含有樹脂、(B)光重合開始剤、(C)1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物、および(D)二塩基酸エステルを含有することを特徴とするアルカリ現像型感光性樹脂組成物。
[2](D)二塩基酸エステルが、(a)アジピン酸ジアルキル0〜40質量%、(b)グルタル酸ジアルキル40〜80質量%、および(c)コハク酸ジアルキル5〜40質量%の混合物である[1]に記載のアルカリ現像型感光性樹脂組成物。
ここで(a)、(b)、(c)のアルキルは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数5〜8のシクロアルキル基である。
[3](D)二塩基酸エステルが、アジピン酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、およびコハク酸ジメチルの混合物である[1]または[2]に記載のアルカリ現像型感光性樹脂組成物。
[4](D)二塩基酸エステルの含有量が、(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、1〜60質量部である[1]乃至[3]のいずれか1項に記載のアルカリ現像型感光性樹脂組成物。
[5]さらに、(E)熱硬化性成分を含有することを特徴とする[1]乃至[4]のいずれか1項に記載のアルカリ現像型感光性樹脂組成物。
[6]基材上に塗布して用いられる[1]乃至[5]のいずれか1項に記載のアルカリ現像型感光性樹脂組成物。
[7][1]乃至[5]のいずれか1項に記載のアルカリ現像型感光性樹脂組成物を、キャリアフィルム上に塗布、乾燥して得られるドライフィルム。
[8][1]乃至[5]のいずれか1項に記載のアルカリ現像型感光性樹脂組成物、または、該アルカリ現像型感光性樹脂組成物を、キャリアフィルム上に塗布、乾燥して得られるドライフィルムを、基材上にて光硬化、または、光硬化および熱硬化して得られることを特徴とする硬化物。
[9]前記[1]乃至[5]のいずれか1項に記載のアルカリ現像型感光性樹脂組成物、または、該アルカリ現像型感光性樹脂組成物を、キャリアフィルム上に塗布、乾燥して得られるドライフィルムを光硬化、または光硬化および熱硬化して得られる硬化物を備えることを特徴とするプリント配線板。
を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のアルカリ現像型感光性樹脂組成物は、有機溶剤として溶解性に優れる(D)二塩基酸エステルを使用することにより、光重合開始剤等有機成分由来の粗粒が無く、硬化塗膜の特性を良好にし、更に硬化塗膜の外観不良を低減させることができる。
また、本発明の(D)二塩基酸エステルは、特に生分解性に優れることから、人体へ悪影響を及ぼす有害物質の含有量が低いアルカリ現像型感光性樹脂組成物、該感光性樹脂組成物を、キャリアフィルム上に塗布、乾燥して得られるドライフィルム、該感光性組成物または該ドライフィルムの硬化物、ならびに該硬化物を備えるプリント配線板を提供することができる。
さらに、アルカリ現像型感光性樹脂組成物は、有機溶剤として適度な揮発速度を有する(D)二塩基酸エステルを使用することにより、アルカリ現像型感光性樹脂組成物の粘度上昇を抑える事ができ、結果、貯蔵安定性に優れるアルカリ現像型感光性樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のアルカリ現像型感光性樹脂組成物は、(A)カルボキシル基含有樹脂、(B)光重合開始剤、(C)1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物、および(D)二塩基酸エステルを含有するものである。かかる場合、光重合開始剤等有機成分への溶解性に優れることより、粗粒がない硬化塗膜を形成できると共に、良好な貯蔵安定性が得られ、かつ人体へ悪影響を及ぼす有害物質の含有量を低減させた組成物が得られる。
【0013】
以下、本発明のアルカリ現像型感光性樹脂組成物における各構成成分について説明する。本発明のアルカリ現像型感光性樹脂組成物は、(D)二塩基酸エステルを必須成分として含有することを特徴とすることから、先ず(D)二塩基酸エステルについて説明する。
【0014】
本発明のアルカリ現像型感光性樹脂組成物に含有される(D)二塩基酸エステルを構成する各成分の比率は、(a)アジピン酸ジアルキル0〜40質量%、(b)グルタル酸ジアルキル40〜80質量%、(c)コハク酸ジアルキル5〜40質量%が特に望ましい。この量を逸脱すると、揮発速度に影響をきたす恐れがあり、アルカリ現像型感光性樹脂組成物の不具合としては、下記の問題が挙げられる。
すなわち、各上限値を超えると揮発速度が遅くなり、アルカリ現像型感光性樹脂組成物内に(D)二塩基酸エステルが多量に残留し、所謂、ベタツキと言われる指触乾燥性が悪くなる。
一方、各下限値未満であると揮発速度が速くなり、アルカリ現像型感光性樹脂組成物の粘度が上昇し、貯蔵安定性が悪くなる。
【0015】
(a)〜(c)成分のアルキルは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数5〜8のシクロアルキル基であるが、炭素数4以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
(a)〜(c)成分のアルキルは、各成分において同一であってもよく、異なるアルキルのエステルであってもよい。
炭素数5以上のアルキル基のものは、揮発性がやや乏しく、乾燥後の指触乾燥性が悪くなる。
【0016】
本実施の形態において、炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどのアルキル基が挙げられる。炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ジメチルシクロへキシルなどのシクロアルキル基が挙げられる。
上記(D)二塩基酸エステルの配合割合は、下記カルボキシル基含有樹脂(A)100質量部に対して、1〜60質量部が適当であり、好ましくは5〜40質量部である。(D)二塩基酸エステルの使用量が上記範囲より少ない場合、有機成分に対する溶解性が悪くなり、一方、多過ぎる場合は、揮発性がやや乏しく、乾燥後の指触乾燥性が悪くなるので好ましくない。
【0017】
(D)二塩基酸エステルに占める(a)アジピン酸ジアルキルの比率は、0〜40質量%であり、より好ましくは5〜30質量%である。(a)アジピン酸ジアルキルは、1種で用いてもよく、2種以上の混合物を用いてもよい。(D)二塩基酸エステルに占める(b)グルタル酸ジアルキルの比率は、40〜80質量%であり、より好ましくは50〜70質量%である。(b)グルタル酸ジアルキルは、1種で用いてもよく、2種以上の混合物を用いてもよい。
(D)二塩基酸エステルに占める(c)コハク酸ジアルキルの比率は、5〜40質量%であり、より好ましくは10〜30質量%である。(c)コハク酸ジアルキルは、1種で用いてもよく、2種以上の混合物を用いてもよい。
【0018】
また、本発明の(D)二塩基酸エステルは、アルカリ現像型感光性樹脂組成物に含まれている成分、特に光重合開始剤に対する溶解力が高いため、低温(5℃以下)にて保管する際に結晶状の異物が組成物中に析出する、いわゆる再凝集の発生を防止することができ、アルカリ現像型感光性樹脂組成物の貯蔵安定性を良好にする。
【0019】
また、本発明のアルカリ現像型感光性樹脂組成物に含有される有機溶剤には、さらに溶解性および揮発速度等を調整するために、(D)二塩基酸エステルに加えて地球環境に安全な、(ジ)プロピレングリコール骨格を有する溶剤や、プロピオン酸エステル等の溶剤、またはグリコールエーテル系、グリコールエステル系の溶剤を適宜加えることもできる。(ジ)プロピレングリコール骨格を有する溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等を挙げることが出来る。また、プロピオン酸エステルとしては、例えば、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、メトキシプロピオン酸メチル、メトキシプロピオン酸エチル等を挙げることが出来る。更に、グリコールエーテル系、グリコールエステル系骨格を有する溶剤としては、例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等を挙げることが出来る。
【0020】
尚、本発明において(D)二塩基酸エステルまたは上記(D)二塩基酸エステル以外の有機溶剤は、(A)カルボキシル基含有樹脂を製造する時に用いることができ、反応終了後これを分離することなくそのまま本発明のアルカリ現像型感光性樹脂組成物に含有することも出来る。
【0021】
(A)カルボキシル基含有樹脂
本発明のアルカリ現像型感光性樹脂組成物に好適に用いることができる(A)カルボキシル基含有樹脂の具体例としては、以下に列挙するような化合物(オリゴマーおよびポリマーのいずれかでよい)が好ましい。
(1)(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸と、それ以外の不飽和二重結合を有する化合物の1種類以上とを共重合することにより得られるカルボキシル基含有感光性樹脂、
(2)(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸と、それ以外の不飽和二重結合を有する化合物の1種類以上との共重合体に、グリシジル(メタ)アクリレートや3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物や(メタ)アクリル酸クロライドなどによって、エチレン性不飽和基をペンダントとして付加させることによって得られるカルボキシル基含有感光性樹脂、
(3)グリシジル(メタ)アクリレートや3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等のエポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物と、それ以外の不飽和二重結合を有する化合物との共重合体に、(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸を反応させ、生成した二級の水酸基に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂、
(4)無水マレイン酸などの不飽和二重結合を有する酸無水物と、それ以外の不飽和二重結合を有する化合物との共重合体に、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基と不飽和二重結合を有する化合物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂、
(5)多官能エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸を反応させ、生成した水酸基に飽和または不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂、
(6)ポリビニルアルコール誘導体などの水酸基含有ポリマーに、飽和または不飽和多塩基酸無水物を反応させた後、生成したカルボン酸に一分子中にエポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物を反応させて得られる水酸基およびカルボキシル基を含有する感光性樹脂、
(7)多官能エポキシ化合物と、不飽和モノカルボン酸と、一分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と、エポキシ基と反応するアルコール性水酸基以外の1個の反応性基を有する化合物との反応生成物に、飽和または不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂、
(8)一分子中に少なくとも2個のオキセタン環を有する多官能オキセタン化合物に不飽和モノカルボン酸を反応させ、得られた変性オキセタン樹脂中の第一級水酸基に対して飽和または不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂、および、
(9)多官能エポキシ樹脂に不飽和モノカルボン酸を反応させた後、多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂に、さらに、分子中に1個のオキシラン環と1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂、
(10)2官能エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸を反応させ、生成した水酸基に飽和または不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂、
などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの例示の中でも好ましいものとしては、上記(2)、(5)、(7)、(9)のカルボキシル基含有樹脂である。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレートおよびそれらの混合物を総称する用語であり、他の類似の表現についても同様である。
【0022】
上記のような(A)カルボキシル基含有樹脂は、バックボーン・ポリマーの側鎖に多数の遊離のカルボキシル基を有するため、希アルカリ水溶液による現像が可能になる。
また、上記(A)カルボキシル基含有樹脂の酸価は、40〜200mgKOH/gの範囲が望ましく、より好ましくは45〜120mgKOH/gの範囲である。カルボキシル基含有樹脂の酸価が40mgKOH/g未満であるとアルカリ現像が困難となり、一方、200mgKOH/gを超えると現像液による露光部の溶解が進むために、必要以上にラインが痩せたり、場合によっては、露光部と未露光部の区別なく現像液で溶解剥離してしまい、正常なレジストパターンの描画が困難となるので好ましくない。
【0023】
また、上記(A)カルボキシル基含有樹脂の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、一般的に2,000〜150,000、さらには5,000〜100,000の範囲にあるものが好ましい。重量平均分子量が2,000未満であると、基板への塗布、乾燥後のタックフリー性能が劣ることがあり、また、露光後の塗膜の耐湿性が悪く、現像時に膜減りが生じ、解像度が大きく劣ることがある。一方、重量平均分子量が150,000を超えると、現像性が著しく悪くなることがあり、貯蔵安定性が劣ることがある。
【0024】
(B)光重合開始剤
本発明のアルカリ現像型感光性樹脂組成物に好適に用いることができる(B)光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとベンゾインアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルファニル)プロパン−1−オン等のアセトフェノン類;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1等のアミノアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類またはキサントン類;ビス(2,6‐ジメトキシベンゾイル)(2,4,4‐トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネイト等のアシルホスフィンオキサイド類;各種パーオキサイド類などが挙げられ、これら公知慣用の光重合開始剤を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
(B)光重合開始剤の好ましい形態としては、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1、市販品としては、BASFジャパン社製のイルガキュアー907と2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、市販品としては、BASFジャパン社製のイルガキュアー369などが挙げられる。
【0025】
これらの(B)光重合開始剤の配合割合は、前記(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、0.01〜30質量部が適当であり、好ましくは5〜25質量部である。光重合開始剤の使用量が上記範囲より少ない場合、組成物の光硬化性が悪くなり、一方、多過ぎる場合は、ソルダーレジストとしての特性、例えば線太りと言われる所謂ハレーションが容易に生じ、その結果、薬液耐性、はんだ耐熱性等が低下するので好ましくない。
【0026】
(C)1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物
本発明のアルカリ現像型感光性樹脂組成物に用いられる(C)1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物は、活性エネルギー線照射により光硬化して、前記(A)カルボキシル基含有樹脂をアルカリ水溶液に不溶化しまたは不溶化を助けるものである。このような化合物の具体例としては、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等のヒドロキシアルキルアクリレート類;エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコールのモノまたはジアクリレート類;N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアクリルアミド類;N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート等のアミノアルキルアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレート等の多価アルコールまたはこれらのエチレンオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物などの多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、およびこれらのフェノール類のエチレンオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物などのアクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート等のグリシジルエーテルのアクリレート類;およびメラミンアクリレート、および上記アクリレートに対応する各メタクリレート類の少なくとも何れか1種などが挙げられる。
さらに、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂に、アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート樹脂や、さらにそのエポキシアクリレート樹脂の水酸基に、ペンタエリスリトールトリアクリレート等のヒドロキシアクリレートとイソホロンジイソシアネート等のジイソシアネートのハーフウレタン化合物を反応させたエポキシウレタンアクリレート化合物などが挙げられる。
【0027】
このような(C)1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物の配合量は、前記(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、5〜100質量部の割合が望ましく、より好ましくは1〜70質量部の割合である。前記配合量が、前記(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対し5質量部未満の場合、得られるアルカリ現像型感光性樹脂組成物の光硬化性が低下し、活性エネルギー線照射後のアルカリ現像により、パターン形成が困難となるので、好ましくない。一方、100質量部を超えた場合、アルカリ水溶液に対する溶解性が低下したり、塗膜が脆くなるので、好ましくない。
【0028】
(E)熱硬化性成分
本発明に用いるアルカリ現像型感光性樹脂組成物は、耐熱性を付与するために、(E)分子中に2個以上の反応基(環状エーテル基および環状チオエーテル基(以下、環状(チオ)エーテル基の少なくとも何れか一方と略す))を有する熱硬化性成分を配合することが好ましい。
【0029】
(E)熱硬化性成分は、分子中に3、4または5員環の環状エーテル基、または環状チオエーテル基のいずれか一方または2種類の基を2個以上有する化合物であり、例えば、(E−1)分子内に少なくとも2つ以上のエポキシ基を有する化合物、すなわち多官能エポキシ化合物、(E−2)分子内に少なくとも2つ以上のオキセタニル基を有する化合物、すなわち多官能オキセタン化合物、(E−3)分子内に2個以上の環状チオエーテル基を有する化合物、すなわちエピスルフィド樹脂などが挙げられる。
【0030】
前記(E−1)多官能エポキシ化合物としては、例えば、三菱化学社製のjER828、jER834、jER1001、jER1004、DIC社製のエピクロン840、エピクロン850、エピクロン1050、エピクロン2055、東都化成社製のエポトートYD−011、YD−013、YD−127、YD−128、ダウケミカル社製のD.E.R.317、D.E.R.331、D.E.R.661、D.E.R.664、住友化学工業社製のスミ−エポキシESA−011、ESA−014、ELA−115、ELA−128、旭化成工業社製のA.E.R.330、A.E.R.331、A.E.R.661、A.E.R.664等(何れも商品名)のビスフェノールA型エポキシ樹脂;DIC社製のjER152、jER165、東都化成社製のエポトートYDB−400、YDB−500、ダウケミカル社製のD.E.R.542、住友化学工業社製のスミ−エポキシESB−400、ESB−700、旭化成工業社製のA.E.R.711、A.E.R.714等(何れも商品名)のブロム化エポキシ樹脂;三菱化学社製のjER152、jER154、ダウケミカル社製のD.E.N.431、D.E.N.438、DIC社製のエピクロンN−730、エピクロンN−770、エピクロンN−865、東都化成社製のエポトートYDCN−701、YDCN−704、日本化薬社製のEPPN−201、EOCN−1025、EOCN−1020、EOCN−104S、RE−306、住友化学工業社製のスミ−エポキシESCN−195X、ESCN−220、旭化成工業社製のA.E.R.ECN−235、ECN−299等(何れも商品名)のノボラック型エポキシ樹脂;DIC社製のエピクロン830、三菱化学社製jER807、東都化成社製のエポトートYDF−170、YDF−175、YDF−2004等のビスフェノールF型エポキシ樹脂;東都化成社製のエポトートST−2004、ST−2007、ST−3000(商品名)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱化学社製のエピコート604、東都化成社製のエポトートYH−434、住友化学工業社製のスミ−エポキシELM−120等(何れも商品名)のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ヒダントイン型エポキシ樹脂;ダイセル化学工業社製のセロキサイド2021等(何れも商品名)の脂環式エポキシ樹脂;三菱化学社製のYL−933、ダウケミカル社製のT.E.N.、EPPN−501、EPPN−502等(何れも商品名)のトリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;三菱化学社製のYL−6056、YX−4000、YL−6121(何れも商品名)等のビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂またはそれらの混合物;日本化薬社製EBPS−200、ADEKA社製EPX−30、DIC社製のEXA−1514(商品名)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;三菱化学社製のjER157S(商品名)等のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;三菱化学社製のエピコートYL−931等(何れも商品名)のテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;日産化学工業社製のTEPIC等(何れも商品名)の複素環式エポキシ樹脂;日本油脂社製ブレンマーDGT等のジグリシジルフタレート樹脂;東都化成社製ZX−1063等のテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂;新日鉄化学社製ESN−190、ESN−360、DIC社製HP−4032、EXA−4750、EXA−4700等のナフタレン基含有エポキシ樹脂;DIC社製HP−7200、HP−7200H等のジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;日本油脂社製CP−50S、CP−50M等のグリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂;さらにシクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂;エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体(例えばダイセル化学工業製PB−3600等)、CTBN変性エポキシ樹脂(例えば東都化成社製のYR−102、YR−450等)等が挙げられるが、これらに限られるものではない。これらのエポキシ樹脂は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも特にビスフェノールA型エポキシ樹脂またはそれらの混合物が好ましい。
【0031】
前記(E−2)多官能オキセタン化合物としては、ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレートやそれらのオリゴマーまたは共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタンアルコールとノボラック樹脂、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、またはシルセスキオキサンなどの水酸基を有する樹脂とのエーテル化物などが挙げられる。その他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体なども挙げられる。
【0032】
前記(E−3)分子中に2個以上の環状チオエーテル基を有する化合物としては、例えば、三菱化学社製のビスフェノールA型エピスルフィド樹脂 YL7000などが挙げられる。また、同様の合成方法を用いて、ノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の酸素原子を硫黄原子に置き換えたエピスルフィド樹脂なども用いることができる。
【0033】
前記(E)分子中に2つ以上の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分の配合量は、前記カルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基1当量に対して、環状(チオ)エーテル基が好ましくは0.6〜2.0当量、より好ましくは、0.8〜1.5当量となる範囲にある。(E)分子中に2つ以上の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分の配合量が0.6未満である場合、ソルダーレジスト膜にカルボキシル基が残り、耐熱性、耐アルカリ性、電気絶縁性などが低下するので、好ましくない。一方、2.0当量を超える場合、低分子量の環状(チオ)エーテル基が乾燥塗膜に残存することにより、塗膜の強度などが低下するので、好ましくない。
【0034】
上記(E)分子中に2つ以上の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分を使用する場合、熱硬化触媒を含有することが好ましい。そのような熱硬化触媒としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルホスフィン等のリン化合物など、また市販されているものとしては、例えば四国化成工業社製の2MZ−A、2MZ−OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(いずれもイミダゾール系化合物の商品名)、サンアプロ社製のU−CAT3503N、U−CAT3502T(いずれもジメチルアミンのブロックイソシアネート化合物の商品名)、DBU、DBN、U−CATSA102、U−CAT5002(いずれも二環式アミジン化合物およびその塩)などが挙げられる。特に、これらに限られるものではなく、エポキシ樹脂やオキセタン化合物の熱硬化触媒、もしくはエポキシ基およびオキセタニル基の少なくとも何れか一方とカルボキシル基の反応を促進するものであればよく、単独でまたは2種以上を混合して使用してもかまわない。また、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS−トリアジン誘導体を用いることもでき、好ましくはこれら密着性付与剤としても機能する化合物を前記熱硬化触媒と併用する。
【0035】
その他の成分
本発明のアルカリ現像型感光性樹脂組成物は、さらに必要に応じて、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ガラス繊維、炭素繊維、雲母粉などの公知慣用の無機または有機フィラー、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラックなどの公知慣用の着色剤、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルカテコール、ピロガロール、フェノチアジンなどの公知慣用の熱重合禁止剤、微粉シリカ、有機ベントナイト、モンモリロナイトなどの公知慣用の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系などの消泡剤およびレベリング剤の少なくとも何れか1種、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系等の密着性付与剤やシランカップリング剤、フェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤等などのような公知慣用の添加剤類を配合することができる。
【0036】
本発明のドライフィルムは、本発明のアルカリ現像型感光性樹脂組成物をフィルム(キャリアフィルム)に塗布乾燥してなるものであり、キャリアフィルムと、該キャリアフィルム上に形成されたアルカリ現像型感光性樹脂組成物からなる層とを備える。
ドライフィルム化に際しては、本発明のアルカリ現像型感光性樹脂組成物を適切な粘度に上記有機溶剤で希釈し、コンマコーター、ブレードコーター、リップコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、リバースコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター等で支持体上に均一な厚さに塗布し、通常、50〜130℃の温度で1〜30分間乾燥して膜を得ることができる。塗布膜厚については特に制限はないが、一般に、乾燥後の膜厚で、10〜150μm、好ましくは20〜60μmの範囲で適宜選択される。
【0037】
キャリアフィルムとしては、プラスチックフィルムが用いられ、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等のプラスチックフィルムを用いることが好ましい。キャリアフィルムの厚さについては特に制限はないが、一般に、10〜150μmの範囲で適宜選択される。
【0038】
キャリアフィルム上に成膜した後、さらに、膜の表面に塵が付着するのを防ぐなどの目的で、膜の表面に剥離可能なカバーフィルムを積層することが望ましい。剥離可能なカバーフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、表面処理した紙等を用いることができ、カバーフィルムを剥離するときに膜と支持体との接着力よりも膜とカバーフィルムとの接着力がより小さいものであればよい。
【0039】
本発明のアルカリ現像型感光性樹脂組成物をプリント配線板のソルダーレジスト形成に用いる場合には、必要に応じて塗布方法に適した粘度に調整した後、これを例えば予め回路形成されたプリント配線板にスクリーン印刷法、カーテンコート法、スプレーコート法、ロールコート法等の方法により塗布し、必要に応じて例えば約60〜100℃の温度で乾燥処理することにより、タックフリーの塗膜を形成できる。
【0040】
また、上記ドライフィルムの形態の場合、基材上にホットロールラミネーター等を用いて貼り合わせる(上記感光性樹脂組成物層と基材とが接触するように貼り合わせる)。上記フィルムの感光性樹脂組成物層上に、さらに剥離可能なカバーフィルムを備えたドライフィルムの場合、カバーフィルムを剥がした後、上記感光性樹脂組成物層と基材とが接触するようにホットロールラミネーター等を用いて貼り合わせる。
【0041】
その後、所定の露光パターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性光線により露光し、未露光部をアルカリ水溶液により現像してレジストパターンを形成でき、さらに、例えば300〜500mJ/cmUV照射して光硬化させることや、約140〜180℃の温度に加熱して熱硬化させることにより、前記熱硬化性成分の硬化反応に加えて感光性樹脂成分の重合が促進され、得られるレジスト被膜の耐熱性、耐溶剤性、耐酸性、耐吸湿性、PCT耐性、密着性、電気特性などの諸特性を向上せしめることができる。
上記現像に使用されるアルカリ水溶液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類などのアルカリ水溶液が使用できる。また、光硬化させるための照射光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、半導体レーザー、固体レーザー、キセノンランプまたはメタルハライドランプなどが適当である。
【0042】
本発明の光重合性樹脂組成物、および、ドライフィルムにより形成された硬化性被膜はプリント配線板の永久被膜として好適であり、中でもソルダーレジストや層間絶縁材料として好適である。
【0043】
本発明を実施例および比較例に基づき、更に詳しく説明するが本発明の技術範囲およびその実施態様はこれらに限定されるものではない。実施例および比較例中の「部」または「%」は特記しない限り重量基準である。以下に述べる手法により、本実施例の組成物の性状値試験を行った。
【0044】
合成例1
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂のEPICLON N−695(DIC社製、エポキシ当量=214)214部を撹拌機および還流冷却器の付いた四つ口フラスコに入れ、カルビトールアセテート103部、二塩基酸エステル溶剤(デュポン製 商品名:DBE[アジピン酸ジメチル;10−25%、グルタル酸ジメチル;55−65%、コハク酸ジメチル;15−25%])103部を加えて加熱溶解した。次に、重合禁止剤としてハイドロキノン0.1部と、反応触媒としてトリフェニルホスフィン2.0部を加えた。この混合物を95〜105℃に加熱し、アクリル酸72部を徐々に滴下し、16時間反応させた。得られた反応生成物を80〜90℃まで冷却し、テトラヒドロフタル酸無水物91.2部を加えて8時間反応させ、冷却後、取り出した。このようにして得られたカルボキシル基含有光重合性不飽和化合物は、不揮発分65%、固形物の酸価87.5mgKOH/gであった。以下、この反応生成物の溶液をAワニスと称す。
【0045】
合成例2
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂のEPICLON N−695(DIC社製、エポキシ当量=214)214部を撹拌機および還流冷却器の付いた四つ口フラスコに入れ、カルビトールアセテート103部、石油系芳香族溶剤(出光興産製、商品名:イプゾール150)103部を加えて加熱溶解した。次に、重合禁止剤としてハイドロキノン0.1部と、反応触媒としてトリフェニルホスフィン2.0部を加えた。この混合物を95〜105℃に加熱し、アクリル酸72部を徐々に滴下し、16時間反応させた。得られた反応生成物を80〜90℃まで冷却し、テトラヒドロフタル酸無水物91.2部を加えて8時間反応させ、冷却後、取り出した。このようにして得られたカルボキシル基含有光重合性不飽和化合物は、不揮発分65%、固形物の酸価87.5mgKOH/gであった。以下、この反応生成物の溶液をBワニスと称す。
【0046】
合成例3
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂のEPICLON N−695(DIC社製、エポキシ当量=214)214部を撹拌機および還流冷却器の付いた四つ口フラスコに入れ、カルビトールアセテート103部、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(東邦化学工業製、商品名:ハイソルブ DPM)103部を加えて加熱溶解した。次に、重合禁止剤としてハイドロキノン0.1部と、反応触媒としてトリフェニルホスフィン2.0部を加えた。この混合物を95〜105℃に加熱し、アクリル酸72部を徐々に滴下し、16時間反応させた。得られた反応生成物を80〜90℃まで冷却し、テトラヒドロフタル酸無水物91.2部を加えて8時間反応させ、冷却後、取り出した。このようにして得られたカルボキシル基含有光重合性不飽和化合物は、不揮発分65%、固形物の酸価87.5mgKOH/gであった。以下、この反応生成物の溶液をCワニスと称す。
【0047】
上記合成例1−3のカルボキシル基含有樹脂溶液(Aワニス、Bワニス、Cワニス)を用い、表1に示す種々の成分と割合(重量部)にて配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルで混練し、アルカリ現像型ソルダーレジストインキを調製した。
【0048】
【表1】
【0049】
性能評価:
(1)仮乾燥後の指触乾燥性
上記の実施例1〜5および比較例1〜2の各アルカリ現像型感光性樹脂組成物を、バフロール研磨された銅張り積層板にスクリーン印刷にて全面塗布し、80℃で30分間、乾燥させた基板を作製し、その塗膜表面の指触乾燥性を評価した。
○:まったくベタつきがないもの
△:僅かにベタつきのあるもの
×:ベタつきのあるもの
(2)再凝集試験
上記の実施例1〜5および比較例1〜2の各アルカリ現像型感光性樹脂組成物を、50g秤取り、50℃下に1日放置した後、4℃下1日更に放置した後の組成物中に結晶物が存在するかを評価した。
○:まったく結晶物が存在しない
×:結晶物が存在する
(3)粘度評価
上記の実施例1〜5および比較例1〜2の各アルカリ現像型感光性樹脂組成物を50g秤取り、50℃下に5日放置した後、E型粘度計を用いて粘度を測定し、50℃放置前との粘度差(増粘率)を評価した。
○:増粘率25%以下
△:増粘率26%以上、40%以下
×:増粘率41%以上
(4)外観評価
上記の実施例1〜5および比較例1〜2の各アルカリ現像型感光性樹脂組成物を、バフロール研磨された銅張り積層板(塗布面積:105cm)にスクリーン印刷にて全面塗布し、80℃で30分間、乾燥させた基板を作製し、その塗膜表面上の粒の有無を目視にて評価した。乾燥後膜厚は15μm±2μm。
○:粒個数が、0個
△:粒個数が、5個以下
×:粒個数が、6個以上
(5)はんだ耐熱性
上記の実施例1〜5および比較例1〜2の各アルカリ現像型感光性樹脂組成物を光硬化と熱硬化させた塗膜をJIS C6481の試験方法に従いロジン系および水溶性フラックスを用いて260℃のはんだ浴に10秒2回浸漬し、塗膜の状態を確認した。評価基準は以下の通りである。
○:塗膜に剥がれ等異常のないこと
△:塗膜に軽微の剥がれのあるもの
×:塗膜に膨れ、剥がれのあるもの
【0050】
上記各試験の結果を表2に示す。
【表2】
【0051】
上記表2に示す結果から、溶剤として二塩基酸エステルを使用する実施例1〜5のアルカリ現像型感光性樹脂組成物は比較例に比して、指触乾燥性、再凝集試験、粘度評価、外観評価何れの特性においても良好であることが分かる。また、ワニスへの使用溶剤や希釈溶剤、何れも二塩基酸エステルを含有する実施例1、実施例2、実施例3は特に良好であることがわかる。
一方、ワニスへの使用溶剤としてカルビトールアセテートおよび石油系芳香族溶剤、希釈溶剤としてジプロピレングリコールモノメチルエーテルを用いる比較例1は石油系芳香族溶剤の中に人体への有害性が懸念されるナフタレンを含有し、また粘度評価結果が悪く、貯蔵安定性に劣ることが分かった。
また、ワニスへの使用溶剤としてカルビトールアセテートおよびジプロピレングリコールモノメチルエーテル、希釈溶剤としてカルビトールアセテートを用いる比較例2は粘度評価および再凝集試験結果が悪く、貯蔵安定性に劣り、また塗膜表面上の粒も多く、外観評価結果も悪いことが分かった。