(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
  太陽電池と受光装置とを有する太陽電池システムであって、
  前記受光装置は、太陽電池の受光面に対向して設置される外光反射部を有し、
  前記外光反射部は、外界に向かって開口する外光入射口を有し、
  前記外光反射部において、入射面と反射面とが隣接してなる組が、前記外光入射口側から前記外光入射口とは反対側の奥側に向かって、N組(ただし、Nは正の整数)並んで配置されており、
  前記入射面と前記反射面とが形成するそれぞれの前記組において、前記入射面が、前記外光入射口側に配置され、前記反射面が、前記奥側に配置されており、
  前記外光入射口側から前記奥側を前記受光面と平行に見ると、前記入射面は、前記外光入射口側を向いて、少なくとも、前記入射面の前記受光面側部分を直接視認可能な状態で配置されており、前記反射面は、前記奥側を向いて、直接視認不可能な状態で配置されており、
  前記外光入射口側から第M番目(ただし、Mは正の整数であり、M≦N)に位置する前記入射面と前記反射面とが形成する前記組において、
  前記入射面の法線ベクトルと、前記受光面の法線ベクトルと、が、なす角度α
Mと、
  前記反射面の法線ベクトルと、前記受光面の法線ベクトルと、が、なす角度β
Mと、
  前記外光入射口側から前記外光反射部の奥側を前記受光面と平行に見たときに、前記入射面の直接視認可能な部分のうちの最も前記受光面から離れた位置と、前記受光面と、の間の、前記受光面の法線ベクトル方向の距離h
Mと、
  前記入射面と前記反射面との境界線と、前記受光面と、の間の、前記受光面の法線ベクトル方向の距離H
Mと、
  前記外光入射口側の端部から前記奥側の端部までの前記反射面に沿った方向の前記反射面の長さL
Mと、
  前記外光入射口から前記受光面と平行に前記入射面へ直接入射した外光が、前記受光面に入射する最小限の入射回数R
M(ただし、R
Mは2以上の正の整数)と、の間に、
【数1】
の関係が成立していることを特徴とする太陽電池システム。
 
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
  しかしながら、太陽電池の受光面に導かれて入射した太陽光は、その一部が、太陽電池内に吸収されて、電力生成に利用されるにすぎない。受光面に入射した太陽光であっても、そのうちの一部は、受光面で反射してしまい、太陽電池の半導体層には吸収されない。そして、受光面で反射した太陽光は、太陽電池における電力生成のエネルギー源として利用されずに終わってしまう。
【0006】
  前述の光エネルギー集光器を使うことによって、太陽電池の受光面に入射する太陽光の量を増やすことはできる。しかし、太陽電池の受光面に入射する太陽光のうち、太陽電池における電力生成のエネルギー源として利用されずに終わる太陽光の割合は、光エネルギー集光器を使わない場合と同じである。
  かかる問題に対応するために、太陽電池の受光面に表面処理を施すことによって、受光面において反射する太陽光の量を減らす試みがなされている。しかし、太陽電池の受光面に表面処理を施したとしても、受光面に入射する太陽光の一部が反射してしまうことに変わりはない。
【0007】
  本発明は、上記問題を解決するものであり、その目的とするところは、太陽電池の受光面に入射する外光のうち、電力生成のエネルギー源として利用されない外光の割合を減らして、太陽電池において効率よく電力生成を行うことを可能とする太陽電池システムを提供することである。
 
【課題を解決するための手段】
【0008】
  本発明は、その課題を解決するために以下のような構成をとる。請求項1の発明に係る太陽電池システムは、太陽電池と受光装置とを有する太陽電池システムであって、前記受光装置は、太陽電池の受光面に対向して設置される外光反射部を有し、前記外光反射部は、外界に向かって開口する外光入射口を有し、前記外光反射部において、入射面と反射面とが隣接してなる組が、前記外光入射口側から前記外光入射口とは反対側の奥側に向かって、N組(ただし、Nは正の整数)並んで配置されており、前記入射面と前記反射面とが形成するそれぞれの前記組において、前記入射面が、前記外光入射口側に配置され、前記反射面が、前記奥側に配置されており、前記外光入射口側から前記奥側を前記受光面と平行に見ると、前記入射面は、前記外光入射口側を向いて、少なくとも、前記入射面の前記受光面側部分を直接視認可能な状態で配置されており、前記反射面は、前記奥側を向いて、直接視認不可能な状態で配置されており、前記外光入射口側から第M番目(ただし、Mは正の整数であり、M≦N)に位置する前記入射面と前記反射面とが形成する前記組において、前記入射面の法線ベクトルと、前記受光面の法線ベクトルと、が、なす角度α
Mと、前記反射面の法線ベクトルと、前記受光面の法線ベクトルと、が、なす角度β
Mと、前記外光入射口側から前記外光反射部の奥側を前記受光面と平行に見たときに、前記入射面の直接視認可能な部分のうちの最も前記受光面から離れた位置と、前記受光面と、の間の、前記受光面の法線ベクトル方向の距離h
Mと、前記入射面と前記反射面との境界線と、前記受光面と、の間の、前記受光面の法線ベクトル方向の距離H
Mと、前記外光入射口側の端部から前記奥側の端部までの前記反射面に沿った方向の前記反射面の長さL
Mと、前記外光入射口から前記受光面と平行に前記入射面へ直接入射した外光が、前記受光面に入射する最小限の入射回数R
M(ただし、R
Mは2以上の正の整数)と、の間に、
【0009】
【数1】
【0010】
の関係が成立している。
  以下の説明で、「外光入射口側から第M番目に位置する入射面と反射面とが形成する組」のことを、特に断らない限り、単に「第M番目の組」ということとし、「第M番目の組の入射面」のことを、特に断らない限り、単に「第M番目の入射面」ということとし、「第M番目の組の反射面」のことを、特に断らない限り、単に「第M番目の反射面」ということとする。また、「外光入射口から奥側に向かって受光面と平行に入射した外光」のことを、特に断らない限り、単に「外光」ということとする。
【0011】
  本願発明者は、試行錯誤の末、受光装置の外光反射部において、前述の式(1)〜式(5)の関係を成立させることによって、外光を、少なくともR
M回連続して太陽電池の受光面に入射させることを実現した。
  第M番目の組において、前述の式(1)〜式(5)の関係が成立している。第M番目の入射面に直接入射した外光は、先ず、この入射面から受光面に向かってまっすぐに反射し、受光面にそのまま入射する。入射面から受光面に入射したこの外光の一部は、受光面から太陽電池の半導体層に吸収される。次いで、半導体層に吸収されなかった残りの外光は、受光面から第M番目の反射面に向かってまっすぐに反射し、第M番目の反射面に入射する。さらに、第M番目の反射面に入射した外光は、この反射面から受光面に向かってまっすぐに反射し、受光面に再び入射する。
【0012】
  このようにして、第M番目の入射面に直接入射した外光は、第M番目の入射面に入射した後、受光面と第M番目の反射面との間で、入射と反射とを繰り返すこととなり、外光は、受光面に少なくともR
M回繰り返し入射することとなる。
  外光は、受光面に入射するたびに、その一部が受光面から半導体層に吸収され、太陽電池における電力生成のエネルギー源として利用される。したがって、外光は、受光面に入射する回数が増えることによって、受光面に入射する外光のうちで、太陽電池における電力生成のエネルギー源として利用される外光の割合が、累積的に増加することとなる。
【0013】
  なお、外光反射部において式(1)〜式(5)の関係が成立していれば、第M番目の入射面に直接入射した外光が、その後、少なくともR
M回繰り返し受光面に入射することを、本願発明者は、本願発明に想到した後、幾何学的にも確認している。
  式(1)は以下の式(1a)を含んでいる。
【0014】
【数2】
【0015】
  角度α
Mが、式(1a)の関係を満足することによって、第M番目の入射面に直接入射した外光は、この入射面から外光入射口側に向かって反射してしまうことがない。すなわち、外光入射口から第M番目の入射面に直接入射した外光は、奥側に向かって反射することとなる。
  また、式(1)は以下の式(1b)を含んでいる。
【0016】
【数3】
【0017】
  角度α
Mと角度β
Mとが、式(1b)の関係を満足することによって、第M番目の入射面に直接入射して反射した外光は、先ず、受光面への1回目の入射を行い、その後、受光面から第M番目の反射面にまっすぐに入射することとなる。
  さらに、式(1)は以下の式(1c)を含んでいる。
【0018】
【数4】
【0019】
  角度β
Mが、式(1c)の関係を満足することによって、外光が、第M番目の反射面に直接入射することが防止されている。
  距離h
Mと距離H
Mと角度α
Mとが、式(2)の関係を満足することによって、第M番目の入射面に直接入射した外光は、この入射面で反射して受光面への1回目の入射を行った後、受光面で反射してまっすぐに第M番目の反射面に入射することになる。すなわち、第M番目の入射面に直接入射した外光が、受光面への1回目の入射を行った後、そのまま第M番目の入射面に再び入射してしまうことが防止されている。
【0020】
  長さL
Mと距離H
Mと角度α
Mと角度β
Mとが、式(3)及び式(4)の関係を満足することによって、第M番目の入射面に直接入射した外光は、その後、少なくともR
M―1回、受光面から第M番目の反射面へのまっすぐな入射を繰り返すこととなる。
  角度α
Mと角度β
Mと入射回数R
Mとが、式(5)の関係を満足することによって、第M番目の入射面に直接入射した外光が、その後、第M番目の反射面から受光面への反射をR
M−1回繰り返すに際して、この外光が反射する向きは、毎回、受光面が存在する向きとなる。
【0021】
  受光面から第M番目の反射面にR
M―1回目の入射を行った外光が、その後、受光面に向かって反射する場合を考える。この場合、第M番目の反射面から反射する外光が、外光入射口側から第M+1番目に位置する入射面にそのまま入射してしまう可能性が存在する。本願発明者が実験を重ねて確認したところによれば、かかる事態が生じたとしても、外光入射口側から第M+1番目に位置する入射面にそのまま入射した外光は、この入射面で反射した後、受光面に入射する。
【0022】
  入射回数R
Mの値は、第M番目の入射面及び第M番目の反射面の各反射率と、太陽電池の受光面を形成する物質の反射率と、に応じて適宜定めればよい。入射回数R
Mの値が大きくなるにつれて、太陽電池における電力生成のエネルギー源として用いられる外光の割合が累積的に増大する。
  角度α
Mは、式(1)及び式(5)の関係を満足する範囲内において、0.75πに近ければ近いほど好ましい。なぜならば、第M番目の入射面で反射して受光面にまっすぐに入射する外光の入射角が、零に近づくからである。第M番目の入射面から受光面に入射する外光の入射角が零に近づくことにより、この外光のうち、受光面から半導体層に吸収される外光の割合が増加する。ここで、入射角とは、入射する外光の入射方向と、外光が入射する面の法線と、がなす角度のことを言う。
【0023】
  また、角度β
Mは、式(1)及び式(5)の関係を満足する範囲内において、πに近ければ近いほど好ましい。なぜならば、第M番目の反射面で反射して受光面にまっすぐに入射する外光の入射角が零に近づくからである。第M番目の反射面から受光面に入射する外光の入射角が零に近づくことにより、この外光のうち、受光面から半導体層に吸収される外光の割合が増加する。
【0024】
  太陽電池システムにおいて、複数面の受光面を外光入射口から奥側に向かって連続して並べることが可能である。
  太陽電池システムを使用するに当たっては、外光入射口から入射面に直接入射する外光の入射方向が、太陽電池の受光面と平行であることが好ましい。かかる場合に、外光入射口から入射する外光は、太陽電池における電力生成のエネルギー源として最も効率よく用いられる。
【0025】
  外光の光源が移動する場合、太陽電池システムの位置や向きを、この光源の位置に応じて変化させることによって、太陽電池の受光面が、外光入射口から入射面に直接入射する外光の入射方向と平行になるようにすることができる。例えば、太陽の位置に応じて、太陽電池システムの位置や向きを自動制御によって変化させることが可能である。
  複数セットの太陽電池システムを積み重ねて使用することが可能である。具体的には、各セットの外光入射口を同じ向きに向け、各セットの太陽電池の受光面を互いに平行にして積み重ねれば良い。複数セットの太陽電池システムを積み重ねて使用することによって、太陽電池の受光面の総面積を広くすることができ、発電量を増加させることが可能になる。
【0026】
  請求項2の発明に係る太陽電池システムは、請求項1に記載の太陽電池システムであって、前記入射面と前記反射面とが、平滑で凹凸を有しない面によって形成されており、前記受光面において、太陽電池の半導体層が露出しており、前記受光面が、平滑で凹凸を有しない面によって形成されている。
【0027】
  受光装置の入射面と反射面は、光の反射率が大きな面であり、平滑で凹凸等を有さず、光が乱反射せずに正反射する平面であることが好ましい。また、太陽電池の受光面は、平滑で凹凸等を有さず、光が乱反射せずに正反射する平面であることが好ましい。入射面、反射面及び受光面において、入射する光が拡散反射すると、目的とする回数だけ外光を受光面に繰り返し入射させることが困難になる。
【0028】
  例えば、入射面と反射面とを、銀、アルミニウム、銅等の金属の鏡面によって形成することが好ましい。また、入射面と反射面を、光が乱反射せずに正反射するようにエッチング処理した表面を有する樹脂によって形成することも可能である。
  太陽電池の受光面において半導体層が露出している場合と、受光面がガラス等によって覆われている場合と、を比較すると、受光面に入射する光の反射率は、前者の場合の方が後者の場合よりも大きい。このため、従来ある太陽電池の受光面はガラス等によって覆われている。
【0029】
  しかしながら、本願の太陽電池システムにあっては、太陽電池の受光面をガラス等によって覆わなくても良い。なぜならば、太陽電池の受光面に外光が複数回繰り返し入射するので、最終的に受光面から半導体層に吸収されない外光の割合が、累積的に小さくなるからである。この結果、受光面をガラス等によって覆う必要が無くなり、太陽電池の軽量化や薄型化が可能となる。このことは、太陽電池の製造コスト低減にもつながる。
【0030】
  請求項3の発明に係る太陽電池システムは、請求項1又は請求項2に記載の太陽電池システムであって、前記半導体層において、前記受光面とは反対側の面が、光を反射可能な部材によって覆われている。
【0031】
  太陽電池の半導体層を薄型化した場合、受光面に入射した外光の一部が、この半導体層を透過する可能性がある。このような場合、半導体層の受光面とは反対側の面を、光を反射可能な部材によって覆うことによって、透過した外光を半導体層に反射させて戻すことができる。
  半導体層と対向する光を反射可能な部材の面は、光が正反射する平面であっても良いし、光が乱反射する平面であっても良い。ただし、半導体層を透過した外光を反射させる際に、その反射方向をコントロールするという観点からは、半導体層と対向する光を反射可能な部材の面は、平滑で凹凸等を有さず、光が乱反射せずに正反射する平面であることが好ましい。
【0032】
  半導体層と対向する光を反射可能な部材の面は、銀、アルミニウム、銅等の金属の鏡面によって形成することが可能である。また、この面は、光が乱反射せずに正反射するようにエッチング処理した表面を有する樹脂によって形成することも可能である。
  半導体層の受光面とは反対側の面を覆う光を反射可能な部材が、金属によって形成されている場合、この部材が太陽電池の電極を兼ねていても良い。
【0033】
  したがって、太陽電池を薄型化することによって外光が半導体層を透過することがあったとしても、半導体層を透過した外光を太陽電池における電力生成のエネルギー源として利用することが可能となる。
  また、太陽電池を薄型化することによって、太陽電池の軽量化が可能となり、ひいては太陽電池の製造コスト低減にもつながる。さらに、太陽電池を薄型化することによって、同一容積の空間内に配置可能な太陽電池の数が増え、単位容積あたりの発電量を増やすことが可能となる。
 
【発明の効果】
【0034】
  上記のような太陽電池システムであるので、太陽電池の受光面に入射する外光のうち、電力生成のエネルギー源として利用されない外光の割合を減らすことが可能となり、太陽電池において効率よく電力生成を行うことが可能となる。
 
 
【発明を実施するための形態】
【0036】
  本発明の実施の形態を
図1〜
図6を参照しつつ以下に説明する。なお、
図1〜
図6において、縦横の縮尺は、同一ではなく、また、各構成要素の縦横の長さは、それぞれ、図の理解容易化のため誇張して示されている。
  
図1及び
図2に示すように、1セットの太陽電池システム1は、1個の太陽電池10と1個の受光装置20とを有している。
 
【0037】
  太陽電池10は、従来ある太陽電池であり、特にその種類は限定されない。太陽電池10は、略四角形の板状をなしている。太陽電池10の一方の面は、受光面12をなしている。受光面12では、太陽電池10の半導体層11が露出している。
  受光面12は、平滑に仕上げられた平面であり、凹凸を有していない。太陽電池10において、受光面12に入射した外光のうち、受光面12から半導体層11に吸収されなかった外光は、受光面12において、乱反射せずに正反射する構成となっている。
 
【0038】
  また、太陽電池10は、受光面12に入射した外光(例えば、太陽光)を半導体層11が吸収し、半導体層11が吸収した外光をエネルギー源とし電力を生成可能に構成されている。
  以下の説明において、「受光面12の法線方向」のことを、特に断らない限り、単に「上下方向」と言うこととする。そして、「受光面12の法線方向において、受光装置20が存在する側」のことを、特に断らない限り、単に「上側」と言うこととし、「受光面12の法線方向において、太陽電池10が存在する側」のことを、特に断らない限り、単に「下側」と言うこととする。すなわち、
図1〜
図6において、各図の上方側が、上側であり、各図の下方側が、下側である。
 
【0039】
  受光装置20が、受光面12を上側から覆っている。受光装置20を上側から見ると、太陽電池10の形に対応した略四角形をなしており、受光装置20は、長手方向に連続する「コ」の字形断面を有する。受光装置20において、この「コ」の字形断面の両脚部分の先端が、受光面12の短手方向両側の縁の上にのっている(
図2を参照)。
  なお、受光装置20の長手方向とは、
図1及び
図3〜
図6においては、図の左右方向であり、
図2においては、図の表側から裏側に向かう方向である。また、受光面12の短手方向とは、
図2において、図の左右方向である。
 
【0040】
  受光装置20の内側面と受光面12との間に囲まれて、空洞21が形成されている。電池用受光装置20の内側面のうち、前記「コ」の字形断面における両脚部分の連結部分に対応する部分が、外光反射部30をなしている。
  外光反射部30は受光面12と対向している。また、受光装置20の長手方向の一方の端部22は、外界に向かって開口しており、この開口部分が外光入射口31をなしている。受光装置20の長手方向の他方の端部23は、閉塞している。
 
【0041】
  以下の説明において、端部23側のことを、特に断らない限り、単に「奥側」と言うこととする。
図1及び
図3〜
図6において、各図の右側が、奥側である。
  外光反射部30において、入射面32と反射面33とが、外光入射口31側から奥側に向かって交互に並んで配置されている。入射面32と反射面33とは、ともに、平滑で凹凸を有しない銀の鏡面によって形成されており、入射面32と反射面33に入射する外光が乱反射せずに正反射する構成となっている。
 
【0042】
  入射面32は全部でN+1面存在し、反射面33は全部でN面存在する。ただし、Nは正の整数である。1面の入射面32と、この入射面32の奥側に隣接する反射面33と、が1つの組34を形成しており、外光反射部30は、組34を全部でN組有している。なお、最も奥側に存在する入射面32は、反射面33との組を形成していない。
  入射面32の法線ベクトルと受光面12の法線ベクトルとは、互いに交差している。すなわち、1面の入射面32において、受光面12から外光入射口31側端部までの上下方向の距離と、受光面12から奥側端部までの上下方向の距離と、を比較すると、前者の方が後者よりも長い。
 
【0043】
  反射面33の法線ベクトルと受光面12の法線ベクトルとは、互いに交差しているか、あるいは、互いに平行である。すなわち、1面の反射面33において、受光面12から外光入射口31側端部までの上下方向の距離と、受光面12から奥側端部までの上下方向の距離と、を比較すると、前者の方が後者よりも短いか、あるいは、前者と後者とは、同じ距離である。
 
【0044】
  外光入射口31側から奥側を受光面12と平行に見ると、各入射面32は、少なくとも、その下側部分を直接視認可能な状態で配置されている。また、外光入射口31側から奥側を受光面12と平行に見ると、各反射面33は、直接視認不可能な状態で配置されている。
  第M番目の組34
Mを形成する入射面32
Mと反射面33
Mに着目する(
図3を参照)。ただし、Mは、M≦Nの関係を満足する正の整数である。2≦Mの場合、入射面32
Mは、外光入射口31側において、第M−1番目の組34
M−1の反射面33
M−1に隣接している。また、反射面33
Mは、奥側において、外光入射口31側から第M+1番目にある入射面32
M+1に隣接している。
 
【0045】
  入射面32
Mの法線ベクトルと受光面12の法線ベクトルとがなす角度が、角度α
Mである。また、反射面33
Mの法線ベクトルと受光面12の法線ベクトルとがなす角度が、角度β
Mである。そして、入射面32
Mと反射面33
Mとの境目の稜線が、境界線35
Mをなしている。
  外光入射口31側から奥側を受光面12と平行に見たときに、入射面32
Mの直接視認可能な部分のうち、最も受光面12から離れた位置が、位置P
A1である。位置P
A1と、境界線35
Mと、の間の、受光面12の法線ベクトル方向の距離が、距離h
Mとである。そして、境界線35
Mと、受光面12と、の間の、受光面12の法線ベクトル方向の距離が、距離H
Mである。
 
【0046】
  反射面33
Mにおいて、外光入射口31側端部から奥側端部までの反射面33
Mに沿った方向の長さが、長さL
Mである。
  角度α
M、角度β
M、距離h
M、距離H
M及び長さL
Mの間には、前述の式(1)〜式(5)の関係が成立している。ここで、R
Mは、2以上の正の整数であり、外光入射口31から第M番目の入射面32
Mに受光面12と平行に直接入射した外光が、その後、繰り返し受光面12に入射する回数である。同様の関係が、入射面32と反射面33とによって形成されるすべての組において成立している。
 
【0047】
  念のために書き添えれば、第m番目の組34
mの入射面32
mと反射面33
mにおいても、第M番目の組34
Mの場合と同様の関係が成立している。ただし、mは、m≦Nとm≠Mの関係を満足する正の整数である。入射面32
mと反射面33
mとが有する形状と、入射面32
Mと反射面33
Mとが有する形状と、は、互いに同じであっても良いし、互いに異なっていても良い。
 
【0048】
  以上が、太陽電池システム1の構成である。次に、太陽電池システム1の作用効果について説明する。
  太陽電池システム1は、屋外に設置されている。外光入射口31は太陽の方向を向いている。外光としての太陽光が、外光入射口31から空洞21の中に射し込む。外光入射口31から空洞21の中への太陽光の入射方向は、受光面12と、平行になっている。
 
【0049】
  外光入射口31から受光装置20の中に射し込んだ太陽光は、入射面32に直接入射する。太陽光が直接入射するのは、外光入射口31側から奥側を受光面12と平行に見たときに、外光入射口31側から直接視認可能な入射面32の部分である。外光入射口31側から奥側を受光面12と平行に見たときに、反射面33は見えないので、太陽光は、反射面33に直接入射しない。
 
【0050】
  以下、外光入射口31から第M番目の組34
Mの入射面32
Mに直接入射する太陽光に着目して説明する。
  入射面32
Mに直接入射する太陽光は、入射面32
Mに当たって反射する。角度α
Mが前述の式(1a)の関係を満足しているので、入射面32
Mで反射する太陽光は、奥側へ向かって進み、外光入射口31側へ戻ることはない。
 
【0051】
  先ず、
図4を参照しつつ、入射面32
Mの位置P
A1に直接入射する太陽光(
図4の一点鎖線)について述べる。
  入射面32
Mの位置P
A1に直接入射した太陽光は、位置P
A1で反射し、位置P
A1から受光面12の位置P
B1にまっすぐに入射する。角度α
Mが、前述の式(1a)の関係を満足しているので、位置P
B1は、位置P
A1よりも奥側となる。
 
【0052】
  そして、受光面12の位置P
B1に入射した太陽光は、位置P
B1で反射し、位置P
B1から反射面33
Mの位置P
C1にまっすぐに入射する。角度α
M、角度β
M、距離h
M及び距離H
Mが、前述の式(1b)及び式(2)の関係を満足しているので、位置P
B1で反射した太陽光が、再び入射面32
Mにまっすぐに入射することはない。
  さらに、長さL
Mは前述の式(3)及び式(4)の関係を満足しているので、位置P
B1で反射した太陽光は、反射面33
Mにまっすぐに入射し、反射面33
Mの奥側に隣接する入射面32
M+1に位置P
B1からまっすぐに入射することもない。
 
【0053】
  そして、反射面33
Mの位置P
C1に入射した太陽光は、位置P
C1で反射し、位置P
C1から受光面12の位置P
B2にまっすぐに入射し、位置P
B2で反射する。
  このようにして、入射面32
Mの位置P
A1に直接入射した太陽光は、受光面12と反射面33
Mとの間で、入射と反射を繰り返すこととなり、入射面32
Mから受光面12に1回まっすぐに入射して反射した後、受光面12から反射面33
Mに、少なくともR
M−1回まっすぐに入射して反射するとともに、反射面33
Mから受光面12に、少なくともR
M−1回まっすぐに入射して反射する。したがって、入射面32
Mの位置P
A1に直接入射した太陽光は、少なくともR
M回、受光面12に繰り返し入射する。なお、
図4には、R
M=4の場合が図示されている。
 
【0054】
  また、長さL
Mは前述の式(3)及び式(4)の関係を満足している。このため、位置P
A1から位置P
B1に入射して反射した太陽光は、その後、受光面12から反射面33
Mに少なくともR
M−1回繰り返しまっすぐに入射することができる。R
M−1回、受光面12から反射面33
Mにまっすぐに太陽光が入射するに際して、この太陽光が、受光面12から反射面33
Mの奥側に隣接する入射面32
M+1にまっすぐに入射することはない。
 
【0055】
  角度α
M、角度β
M及び入射回数R
Mは前述の式(5)の関係を満足している。このため、位置P
A1に直接入射した太陽光は、その後、受光面12から反射面33
Mに少なくともR
M−1回繰り返しまっすぐに入射するとともに、反射面33
MにR
M−1回繰り返し入射した太陽光は、毎回、受光面12が存在する向きにまっすぐに反射する。そして、位置P
A1に直接入射した後、R
M−1回目に反射面33
Mで反射した太陽光は、受光面12へのR
M回目の入射をそのまままっすぐに行う。
 
【0056】
  次に、
図5を参照しつつ、入射面32
Mにおいて、上下方向に最も受光面12に近い位置P
A2に直接入射する太陽光(
図5の二点鎖線)について述べる。位置P
A2は、入射面32
M上の境界線35
M側縁部分にある。
  入射面32
Mの位置P
A2に直接入射した太陽光は、位置P
A2で反射し、位置P
A2から受光面12の位置P
D1にまっすぐに入射する。角度α
Mが、前述の式(1a)の関係を満足しているので、位置P
D1は、位置P
A2よりも奥側にある。また、位置P
D1は、位置P
B1よりも奥側にある。
 
【0057】
  そして、受光面12の位置P
D1に入射した太陽光は、位置P
D1で反射し、位置P
D1から反射面33
Mの位置P
E1にまっすぐに入射する。角度α
M、角度β
M、距離h
M及び距離H
Mが、前述の式(1b)及び式(2)の関係を満足しているので、位置P
D1で反射した太陽光が、再び入射面32
Mにまっすぐに入射することはない。位置P
E1は、位置P
C1よりも奥側にある。
 
【0058】
  さらに、長さL
Mは前述の式(3)及び式(4)の関係を満足しているので、位置P
D1で反射した太陽光は、反射面33
Mにまっすぐに入射し、反射面33
Mの奥側に隣接する入射面32
M+1に位置P
D1からまっすぐに入射することもない。
  そして、反射面33
Mの位置P
E1に入射した太陽光は、位置P
E1で反射し、位置P
E1から受光面12の位置P
D2にまっすぐに入射し、位置P
D2で反射する。位置P
D2は、位置P
B2よりも奥側にある。
 
【0059】
  このようにして、入射面32
Mの位置P
A2に直接入射した太陽光は、受光面12と反射面33
Mとの間で、入射と反射を繰り返すこととなり、入射面32
Mから受光面12に1回まっすぐに入射して反射した後、受光面12から反射面33
Mに、少なくともR
M−1回まっすぐに入射して反射するとともに、反射面33
Mから受光面12に、少なくともR
M−1回まっすぐに入射して反射する。したがって、入射面32
Mの位置P
A2に直接入射した太陽光は、少なくともR
M回、受光面12に繰り返し入射する。なお、
図5には、R
M=4の場合が図示されている。
 
【0060】
  また、長さL
Mは前述の式(3)及び式(4)の関係を満足している。このため、位置P
A2から位置P
D1に入射して反射した太陽光は、その後、受光面12から反射面33
Mに少なくともR
M−1回繰り返しまっすぐに入射することができる。R
M−1回、受光面12から反射面33
Mにまっすぐに太陽光が入射するに際して、この太陽光が、受光面12から反射面33
Mの奥側に隣接する入射面32
M+1にまっすぐに入射することはない。
 
【0061】
  角度α
M、角度β
M及び入射回数R
Mは前述の式(5)の関係を満足している。このため、位置P
A2に直接入射した太陽光は、その後、受光面12から反射面33
Mに少なくともR
M−1回繰り返しまっすぐに入射するとともに、反射面33
MにR
M−1回繰り返し入射した太陽光は、毎回、受光面12が存在する向きにまっすぐに反射する。そして、位置P
A2に直接入射した後、R
M−1回目に反射面33
Mで反射した太陽光は、受光面12へのR
M回目の入射をそのまままっすぐに行う。
 
【0062】
  次に、
図6を参照しつつ、入射面32
Mにおいて、位置P
A1よりも下側にあり、且つ位置P
A2よりも上側にある位置P
A3に直接入射する太陽光(
図6の三点鎖線)について述べる。
  入射面32
Mの位置P
A3に直接入射した太陽光は、位置P
A3で反射し、位置P
A3から受光面12の位置P
F1にまっすぐに入射する。角度α
Mが、前述の式(1a)の関係を満足しているので、位置P
F1は、位置P
A3よりも奥側にある。また、位置P
F1は、位置P
B1よりも奥側にあり、位置P
D1よりも外光入射口31側にある。
 
【0063】
  そして、受光面12の位置P
F1に入射した太陽光は、位置P
F1で反射し、位置P
F1から反射面33
Mの位置P
G1にまっすぐに入射する。角度α
M、角度β
M、距離h
M及び距離H
Mが、前述の式(1b)及び式(2)の関係を満足しているので、位置P
F1で反射した太陽光が、再び入射面32
Mにそのまままっすぐに入射することはない。なお、位置P
G1は、位置P
C1よりも奥側にあり、位置P
E1よりも外光入射口31側にある。
 
【0064】
  さらに、長さL
Mは前述の式(3)及び式(4)の関係を満足しているので、位置P
F1で反射した太陽光は、反射面33
Mにまっすぐに入射し、反射面33
Mの奥側に隣接する入射面32
M+1に位置P
F1からまっすぐに入射することもない。
  そして、反射面33
Mの位置P
G1に入射した太陽光は、位置P
G1で反射し、位置P
G1から受光面12の位置P
F2にまっすぐに入射し、位置P
F2で反射する。位置P
F2は、位置P
B2よりも奥側にあり、位置P
D2よりも外光入射口31側にある。
 
【0065】
  このようにして、入射面32
Mの位置P
A3に直接入射した太陽光は、受光面12と反射面33
Mとの間で、入射と反射を繰り返すこととなり、入射面32
Mから受光面12に1回まっすぐに入射して反射した後、受光面12から反射面33
Mに、少なくともR
M−1回まっすぐに入射して反射するとともに、反射面33
Mから受光面12に、少なくともR
M−1回まっすぐに入射して反射する。したがって、入射面32
Mの位置P
A3に直接入射した太陽光は、少なくともR
M回、受光面12に繰り返し入射する。なお、
図6には、R
M=4の場合が図示されている。
 
【0066】
  また、長さL
Mは前述の式(3)及び式(4)の関係を満足している。このため、位置P
A3から位置P
F1に入射して反射した太陽光は、その後、受光面12から反射面33
Mに少なくともR
M−1回繰り返しまっすぐに入射することができる。R
M−1回、受光面12から反射面33
Mにまっすぐに太陽光が入射するに際して、この太陽光が、受光面12から反射面33
Mの奥側に隣接する入射面32
M+1にまっすぐに入射することはない。
 
【0067】
  角度α
M、角度β
M及び入射回数R
Mは前述の式(5)の関係を満足している。このため、位置P
A3に直接入射した太陽光は、その後、受光面12から反射面33
Mに少なくともR
M−1回繰り返しまっすぐに入射するとともに、反射面33
MにR
M−1回繰り返し入射した太陽光は、毎回、受光面12が存在する向きにまっすぐに反射する。そして、位置P
A3に入射した後、R
M−1回目に反射面33
Mで反射した太陽光は、受光面12へのR
M回目の入射をそのまままっすぐに行う。
 
【0068】
  したがって、入射面32
Mに直接入射したすべての太陽光は、その後、受光面12と反射面33
Mとの間で、入射と反射を繰り返すことによって、受光面12に少なくともR
M回の入射を行う。
  太陽光が受光面12に少なくともR
M回繰り返し入射することによって、外光入射口31から受光装置20の中に射し込んだ太陽光のうち、太陽電池10で電力生成に用いられない外光の割合が、累積的に減少し、受光面12に入射する太陽光をエネルギー源として効率よく電力生成に利用することができる。
 
【0069】
  図7に示すように、複数セットの太陽電池システム1を、積み重ねて使用することも可能である。この場合、各セットの外光入射口31を同じ方向に向けるとともに、各セットの受光面12が互いに平行になるように太陽電池システム1を積み重ねる。
  太陽電池10の半導体層11において、受光面12と反対側の面を、銀によって形成された光を反射する部材によって覆っても良い。受光面12に入射して半導体層11を透過した太陽光は、この部材によって反射して半導体層11に戻る。したがって、半導体層11をいったん透過した太陽光をも、エネルギー源として電力生成に利用することができる。また、この部材によって反射して半導体層11に戻った外光の一部は、半導体層11を再び透過し、受光面12から入射面32
M又は反射面33
Mに入射し、その後、さらに受光面12に入射し、エネルギー源として電力生成に利用されることとなる。
 
【0070】
  次に、第M番目の組34
Mの入射面32
Mと反射面33
Mとについての角度α
M、角度β
M、距離h
M、距離H
M、長さL
M及び入射回数R
Mの数値の具体例を、設計例1〜設計例24として次の表1に示す。
 
【0072】
  次に、比較例1として、太陽電池10のみが、単体で存在し、太陽光が、0〜0.25πの入射角でこの太陽電池10の受光面12に直接入射する場合を考える。比較例1の場合、本願発明者の知見によれば、受光面12に入射する太陽光の約38%が反射し、この反射した太陽光は、太陽電池10における電力生成には使用されない。結局、受光面12に入射する太陽光のうち、約62%が半導体層11に吸収され、太陽電池10における電力生成のエネルギー源として使用される。
 
【0073】
  次に、比較例2として、太陽電池10のみが、単体で存在し、この太陽電池10の受光面12がガラスによって覆われており、太陽光が、ほぼ零の入射角で受光面12に直接入射する場合を考える。比較例2の場合、本願発明者の知見によれば、受光面12に入射する太陽光の約26%が反射し、この反射した太陽光は、太陽電池10における電力生成には使用されない。結局、受光面12に入射する太陽光のうち、約74%が半導体層11に吸収され、太陽電池10における電力生成のエネルギー源として使用される。
 
【0075】
  次に、太陽電池システム1の第M番目の組34
Mにおいて、角度α
Mが、0.75πにほぼ近い角度であり、角度β
Mが、π又はπにほぼ近い角度である場合を考える。
  この場合、入射面32
M及び反射面33
Mから受光面12に入射する太陽光の入射角は、ほぼ零である。この場合における入射回数R
Mと、入射面32
Mに直接入射した太陽光のうち、R
M回受光面12に入射して半導体層11に吸収される太陽光の割合と、の関係を、次の表3に示す。
 
【0076】
  なお、表3における数値の算出に当たっては、入射面32
Mと反射面33
Mにおいて、入射した太陽光のうち、90%の太陽光が受光面12へ反射されるものと仮定している。また、表3に示す割合Aと割合Bは、小数点以下を四捨五入した概略値である。
 
【0078】
  表3の確認例1は、入射回数R
Mが2回の場合である。確認例1では、入射面32
Mに直接入射した太陽光のうち、約75%の太陽光が受光面12に2回繰り返し入射することで半導体層11に吸収されている。すべての組34において、第M番目の組34
Mと同様に、入射面32に直接入射した太陽光が受光面12に2回繰り返し入射するとすれば、入射面32に直接入射した太陽光のうち、約75%の太陽光が、太陽電池10における電力生成に使用されることがわかる。
 
【0079】
  表3の確認例2は、入射回数R
Mが3回の場合である。確認例2では、入射面32
Mに直接入射した太陽光のうち、約81%の太陽光が受光面12に3回繰り返し入射することで半導体層11に吸収されている。すべての組34において、第M番目の組34
Mと同様に、入射面32に直接入射した太陽光が受光面12に3回繰り返し入射するとすれば、入射面32に直接入射した太陽光のうち、約81%の太陽光が、太陽電池10における電力生成に使用されることがわかる。
 
【0080】
  表3の確認例3は、入射回数R
Mが4回の場合である。確認例3では、入射面32
Mに直接入射した太陽光のうち、約84%の太陽光が受光面12に4回繰り返し入射することで半導体層11に吸収されている。すべての組34において、第M番目の組34
Mと同様に、入射面32に直接入射した太陽光が受光面12に4回繰り返し入射するとすれば、入射面32に直接入射した太陽光のうち、約84%の太陽光が、太陽電池10における電力生成に使用されることがわかる。
 
【0081】
  なお、表3に示された確認例3と確認例4では、半導体層11に吸収される太陽光の割合Aがともに同じ約84%となっているが、正確には、確認例4の割合Aの数値が、確認例3の割合Aの数値よりも大きい。また、入射回数R
Mが5回以上の場合を表3に示してはいないが、入射回数R
Mが増加するにつれて、半導体層11に吸収される太陽光の割合Aが増加することを、本願発明者は、確認している。
 
【0082】
  次に、太陽電池システム1の第M番目の組34
Mにおいて、角度α
Mが、0.75πにほぼ近い角度であり、角度β
Mが、π又はπにほぼ近い角度であるとともに、受光面12がガラスによって覆われている場合を考える。
  この場合も、入射面32
M及び反射面33
Mから受光面12に入射する太陽光の入射角は、ほぼ零である。この場合における入射回数R
Mと、入射面32
Mに直接入射した太陽光のうち、R
M回受光面12に入射して半導体層11に吸収される太陽光の割合と、の関係を、次の表4に示す。
 
【0083】
  なお、表4における数値の算出に当たっては、入射面32
Mと反射面33
Mにおいて、入射した太陽光のうち、90%の太陽光が受光面12へ反射されるものと仮定している。また、表4に示す割合Aと割合Bは、小数点以下を四捨五入した概略値である。
 
【0085】
  表4の確認例5は、入射回数R
Mが2回の場合である。確認例5では、入射面32
Mに直接入射した太陽光のうち、約82%の太陽光が受光面12に2回繰り返し入射することで半導体層11に吸収されている。すべての組34において、第M番目の組34
Mと同様に、入射面32に直接入射した太陽光が受光面12に2回繰り返し入射するとすれば、入射面32に直接入射した太陽光のうち、約82%の太陽光が、太陽電池10における電力生成に使用されることがわかる。
 
【0086】
  表4の確認例6は、入射回数R
Mが3回の場合である。確認例6では、入射面32
Mに直接入射した太陽光のうち、約86%の太陽光が受光面12に3回繰り返し入射することで半導体層11に吸収されている。すべての組34において、第M番目の組34
Mと同様に、入射面32に直接入射した太陽光が受光面12に3回繰り返し入射するとすれば、入射面32に直接入射した太陽光のうち、約86%の太陽光が、太陽電池10における電力生成に使用されることがわかる。
 
【0087】
  表4の確認例7は、入射回数R
Mが4回の場合である。確認例7では、入射面32
Mに直接入射した太陽光のうち、約87%の太陽光が受光面12に4回繰り返し入射することで半導体層11に吸収されている。すべての組34において、第M番目の組34
Mと同様に、入射面32に直接入射した太陽光が受光面12に4回繰り返し入射するとすれば、入射面32に直接入射した太陽光のうち、約87%の太陽光が、太陽電池10における電力生成に使用されることがわかる。
 
【0088】
  なお、表4に示された確認例7と確認例8では、半導体層11に吸収される太陽光の割合Aがともに同じ約87%となっているが、正確には、確認例8の割合Aの数値が、確認例7の割合Aの数値よりも大きい。また、入射回数R
Mが5回以上の場合を表4に示してはいないが、入射回数R
Mが増加するにつれて、半導体層11に吸収される太陽光の割合Aが増加することを、本願発明者は、確認している。
 
【0089】
  表3及び表4に示した確認例1〜確認例8と、表2に示した比較例1及び比較例2と、を比較すれば、太陽電池システム1を使うことによって、太陽電池10の受光面12に入射する太陽光を効率よく電力生成に利用可能であることは明らかである。