(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ヒトが排泄した1回の尿中におけるナトリウム又はカリウムである特定成分の濃度と、上記ヒトが1日に排泄した全ての尿を1つに収集したときの上記1日の全尿中における上記特定成分の濃度との間の相関関係を表すデータを記憶している相関関係記憶部と、
被測定者が排泄する1日の全尿量を、上記被測定者のサンプリング期間における尿量からの換算、又は、ヒトの1日当たりの全尿量を収録したデータベースに基づいて取得する全尿量取得部と、
上記被測定者が排泄した1回の尿中における取得された上記特定成分の濃度を表すデータを受け取って入力するデータ入力部と、
上記データ入力部を介して得られた上記被測定者の上記1回の尿中における上記特定成分の濃度に基づいて、上記相関関係記憶部に記憶された上記相関関係を用いて、上記被測定者が1日に排泄した全ての尿を1つに収集するものとしたときの上記1日の全尿中における上記特定成分の濃度を換算して求める第1演算部と、
上記第1演算部によって求められた上記1日の全尿中における上記特定成分の濃度に対して、上記全尿量取得部によって取得された上記1日の全尿量を乗算して、上記被測定者の上記1日の全尿中における上記特定成分の排泄量を算出する第2演算部と
を備えたことを特徴とする尿成分分析装置。
ヒトが排泄した1回の尿中におけるナトリウム又はカリウムである特定成分の濃度と、上記ヒトが1日に排泄した全ての尿を1つに収集したときの上記1日の全尿中における上記特定成分の濃度との間の相関関係を表すデータを、所定の記憶部に記憶させておき、
被測定者が排泄する1日の全尿量を、上記被測定者のサンプリング期間における尿量からの換算、又は、ヒトの1日当たりの全尿量を収録したデータベースに基づいて取得するとともに、上記被測定者が排泄した1回の尿中における取得された上記特定成分の濃度を表すデータを受け取って入力し、
入力された上記被測定者の上記1回の尿中における上記特定成分の濃度に基づいて、上記記憶部に記憶された上記相関関係を用いて、上記被測定者が1日に排泄した全ての尿を1つに収集するものとしたときの上記1日の全尿中における上記特定成分の濃度を換算して求め、
この求められた上記1日の全尿中における上記特定成分の濃度に対して、上記換算又はデータベースに基づいて取得された上記1日の全尿量を乗算して、上記被測定者の上記1日の全尿中における上記特定成分の排泄量を算出することを特徴とする尿成分分析方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、高血圧症患者の食事療法として、減塩やカリウム摂取が一般的に指導されている。信頼できる文献(ウォルター・ウィレット(Walter Willett)著、田中平三訳、「食事調査の全て 栄養疫学」、第2版、第一出版、2003年5月)によると、ヒトが食事により摂取したナトリウムとカリウムが尿中に排泄される量の割合は、それぞれ86%、77%とされている。したがって、毎日の尿中のナトリウム排泄量(Na排泄量)とカリウム排泄量(K排泄量)、特にナトリウム排泄量とカリウム排泄量との間の比(Na/K比)を調べることで、高血圧症患者のための食事療法に反映できる。
【0007】
しかしながら、特許文献1(特許第3823039号公報)の方法では、長期間にわたって日ごとに測定を行う場合、被測定者が排尿のたびに尿の一部を採取する必要があり、被測定者にとって煩わしいという問題がある。例えば、被測定者が外出先に容器を持参して採尿するのは、非常に煩わしく、日常的に実践するのに困難が伴う。
【0008】
また、特許文献2(特許第4329123号公報)の方法では、起床後1番尿のみとはいえ、その尿を全て収集して尿量を計測する必要があるため、被測定者にとって煩わしいという問題がある。つまり、被測定者の1回分の尿量が比較的多い場合を考慮すると、被測定者は1リットル程度の比較的大容量の容器を準備する必要がある。さらに被測定者がその容器を繰り返し使用する場合、比較的大容量の容器を洗浄するための手間がかかる。なお、便器に1回分の尿量を計測する機能を追加する場合は、非常に大掛かりな装置の設置が必要となる。
【0009】
一方、特許文献3(特開平10−213584号公報)の方法では、ヒトが一日に排泄する尿の総量として、例えば上述の日本人の一日の平均尿量等の既知の値を用いる場合、尿量測定の手間がかからない。しかしながら、ヒトが排泄する尿中の塩分濃度は排尿の度に変動する。このため、同文献の方法では、算出の精度が良くないという問題がある。
【0010】
そこで、この発明の課題は、被測定者の1日の全尿中における特定成分の排泄量を簡便にかつ精度良く求めることができる尿成分分析装置および尿成分分析方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、この発明の尿成分分析装置は、
ヒトが排泄した1回の尿中におけるナトリウム又はカリウムである特定成分の濃度と、上記ヒトが1日に排泄した全ての尿を1つに収集したときの上記1日の全尿中における上記特定成分の濃度との間の相関関係を表すデータを記憶している相関関係記憶部と、
被測定者が排泄する1日の全尿量を、
上記被測定者のサンプリング期間における尿量からの換算
、又は
、ヒトの1日当たりの全尿量を収録したデータベースに基づいて取得する全尿量取得部と、
上記被測定者が排泄した1回の尿中における
取得された上記特定成分の濃度を表すデータを
受け取って入力するデータ入力部と、
上記データ入力部を介して得られた上記被測定者の上記1回の尿中における上記特定成分の濃度に基づいて、上記相関関係記憶部に記憶された上記相関関係を用いて、上記被測定者が1日に排泄した全ての尿を1つに収集するものとしたときの上記1日の全尿中における上記特定成分の濃度を換算して求める第1演算部と、
上記第1演算部によって求められた上記1日の全尿中における上記特定成分の濃度に対して、上記全尿量取得部によって取得された上記1日の全尿量を乗算して、上記被測定者の上記1日の全尿中における上記特定成分の排泄量を算出する第2演算部と
を備えたことを特徴とする。
【0012】
本明細書で、「ヒト」は、「被測定者」と同一人であっても良い。「ヒト」は、複数人であっても良く、その場合は「被測定者」を含んでいても良い。
【0013】
この発明の尿成分分析装置では、相関関係記憶部は、ヒトが排泄した1回の尿中におけるナトリウム又はカリウムである特定成分の濃度と、上記ヒトが1日に排泄した全ての尿を1つに収集したときの上記1日の全尿中における上記特定成分の濃度との間の相関関係を表すデータを記憶している。全尿量取得部は、被測定者が排泄する1日の全尿量を、
上記被測定者のサンプリング期間における尿量からの換算
、又は
、ヒトの1日当たりの全尿量を収録したデータベースに基づいて取得する。データ入力部は、上記被測定者が排泄した1回の尿中における
取得された上記特定成分の濃度を表すデータを
受け取って入力する。第1演算部は、上記データ入力部を介して得られた上記被測定者の上記1回の尿中における上記特定成分の濃度に基づいて、上記相関関係記憶部に記憶された上記相関関係を用いて、上記被測定者が1日に排泄した全ての尿を1つに収集するものとしたときの上記1日の全尿中における上記特定成分の濃度を換算して求める。さらに、第2演算部は、上記第1演算部によって求められた上記1日の全尿中における上記特定成分の濃度に対して、上記全尿量取得部によって取得された上記1日の全尿量を乗算して、上記被測定者の上記1日の全尿中における上記特定成分の排泄量を算出する。
【0014】
ここで、この尿成分分析装置では、上記全尿量取得部が、被測定者が排泄する1日の全尿量を、
上記被測定者のサンプリング期間における尿量からの換算
、又は
、ヒトの1日当たりの全尿量を収録したデータベースに基づいて取得するので、上記被測定者が尿量測定する手間を軽減または省略できる。したがって、被測定者の1日の全尿中における特定成分の排泄量を簡便に求めることができる。しかも、この尿成分分析装置では、上記第1演算部が、上記データ入力部を介して得られた上記被測定者の上記1回の尿中における上記特定成分の濃度に基づいて、上記相関関係記憶部に記憶された上記相関関係を用いて、上記被測定者が1日に排泄した全ての尿を1つに収集するものとしたときの上記1日の全尿中における上記特定成分の濃度を換算して求める。この結果、上記第2演算部による上記被測定者の上記1日の全尿中における上記特定成分の排泄量の算出の精度を高めることができる。
【0015】
一実施形態の尿成分分析装置では、
上記相関関係記憶部は、上記ヒトが1日または複数日にわたって排泄した複数回の尿中における上記特定成分の濃度を平均して得られた平均濃度と、上記ヒトが1日または複数日にわたって排泄した全ての尿を1つに収集したときの上記1日または複数日の全尿中における濃度との間の相関関係を表すデータを記憶しており、
上記全尿量取得部は、上記被測定者が排泄する1日または複数日の全尿量を、
上記被測定者のサンプリング期間における尿量からの換算
、又は
、ヒトの1日当たりの全尿量を収録したデータベースに基づいて取得し、
上記データ入力部は、上記被測定者が1日または複数日にわたって排泄した複数回の尿中における
取得された上記特定成分の濃度を表すデータをそれぞれ
受け取って入力し、
上記第1演算部は、上記被測定者が1日または複数日にわたって排泄した上記複数回の尿中における上記特定成分の濃度を平均して平均濃度を得、この平均濃度を上記換算の対象にし、
上記第2演算部は、上記第1演算部によって求められた上記1日の全尿中における上記特定成分の濃度に対して、上記全尿量取得部によって取得された上記1日または複数日の全尿量を乗算して、上記被測定者の上記1日または複数日にわたる上記特定成分の排泄量を算出することを特徴とする。
【0016】
この一実施形態の尿成分分析装置では、上記相関関係記憶部は、上記ヒトが1日または複数日にわたって排泄した複数回の尿中における上記特定成分の濃度を平均して得られた平均濃度と、上記ヒトが1日または複数日にわたって排泄した全ての尿を1つに収集したときの上記1日または複数日の全尿中における濃度との間の相関関係を表すデータを記憶している。上記全尿量取得部は、上記被測定者が排泄する1日または複数日の全尿量を、
上記被測定者のサンプリング期間における尿量からの換算
、又は
、ヒトの1日当たりの全尿量を収録したデータベースに基づいて取得する。上記データ入力部は、上記被測定者が1日または複数日にわたって排泄した複数回の尿中における
取得された上記特定成分の濃度を表すデータをそれぞれ
受け取って入力する。上記第1演算部は、上記被測定者が1日または複数日にわたって排泄した上記複数回の尿中における上記特定成分の濃度を平均して平均濃度を得、この平均濃度を上記換算の対象にする。さらに、上記第2演算部は、上記第1演算部によって求められた上記1日の全尿中における上記特定成分の濃度に対して、上記全尿量取得部によって取得された上記1日または複数日の全尿量を乗算して、上記被測定者の上記1日または複数日にわたる上記特定成分の排泄量を算出する。このようにした場合、算出された上記特定成分の排泄量の精度が高まる。
【0017】
一実施形態の尿成分分析装置では、上記第2演算部は、日ごとに得られた上記特定成分の排泄量に基づいて、上記特定成分の排泄量の1日当たりの平均値を算出することを特徴とする。
【0018】
この一実施形態の尿成分分析装置では、上記第2演算部が、日ごとに得られた上記特定成分の排泄量に基づいて、上記特定成分の排泄量の1日当たりの平均値を算出する。したがって、上記被測定者の1日当たりの尿中の上記特定成分の排泄量が精度良く算出される。
【0019】
一実施形態の尿成分分析装置では、
上記1回の尿または上記複数回の尿は、起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿のうちのいずれかであり、
上記第1演算部は、上記1回の尿または上記複数回の尿が起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿のうちのいずれであるかに応じた上記相関関係を用いることを特徴とする。
【0020】
本明細書で、「就寝直前の尿」とは、上記被測定者が排泄した就寝前の最後の1回の尿を指す。
【0021】
この一実施形態の尿成分分析装置では、上記1回の尿または上記複数回の尿は、起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿のうちのいずれかである。上記第1演算部は、上記1回の尿または上記複数回の尿が起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿のうちのいずれであるかに応じた上記相関関係を用いる。このようにした場合、算出された上記特定成分の排泄量の精度がさらに高まる。
【0022】
一実施形態の尿成分分析装置では、上記被測定者が排泄した上記1回の尿または上記複数回の尿が起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿のうちのいずれであるかを表す情報を入力する尿指定部を備えたことを特徴とする。
【0023】
この一実施形態の尿成分分析装置では、ユーザ(被測定者自身であっても良いし、被測定者のために本装置を操作する者であっても良い。以下同様。)が、尿指定部を介して、上記被測定者が排泄した上記1回の尿または上記複数回の尿が起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿のうちのいずれであるかを表す情報を入力することができる。この入力により、上記被測定者が排泄した上記1回の尿または上記複数回の尿が起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿のうちのいずれであるかが指定される。この結果、上記第1演算部は、上記相関関係記憶部に記憶された相関関係のうち、上記1回の尿または上記複数回の尿が起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿のうちのいずれであるかに応じた相関関係を選択して用いることができる。
【0024】
一実施形態の尿成分分析装置では、
上記データ入力部は、上記特定成分の濃度に関するデータをリアルタイムで入力し、
上記特定成分の濃度に関するデータが入力された時刻に応じて、上記被測定者が排泄した上記1回の尿または上記複数回の尿が起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿のうちのいずれであるかを判断する尿判断部を備えたことを特徴とする。
【0025】
本明細書で、「上記特定成分の濃度に関するデータ」とは、上記特定成分の濃度を表すデータ含み、さらに、その濃度を補正するためのデータを含んでいても良い。
【0026】
この一実施形態の尿成分分析装置では、上記データ入力部は、上記特定成分の濃度に関するデータをリアルタイムで入力する。尿判断部は、上記特定成分の濃度に関するデータが入力された時刻に応じて、上記被測定者が排泄した上記1回の尿または上記複数回の尿が起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿のうちのいずれであるかを判断する。この判断結果により、上記被測定者が排泄した上記1回の尿または上記複数回の尿が起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿のうちのいずれであるかが指定される。この結果、上記第1演算部は、上記相関関係記憶部に記憶された相関関係のうち、上記1回の尿または上記複数回の尿が起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿のうちのいずれであるかに応じた相関関係を選択して用いることができる。
【0027】
一実施形態の尿成分分析装置では、上記全尿量取得部が取得する上記1日または複数日の全尿量は、上記被測定者が1日以上のサンプリング期間にわたって排泄した全尿量を測定し、そのサンプリング期間の全尿量を日数で換算して得られた量であることを特徴とする。
【0028】
ここで、「日数で換算」とは、サンプリング期間の全尿量に対して、(上記1日または複数日の日数)/(サンプリング期間の日数)という比を乗算することを意味する。
【0029】
この一実施形態の尿成分分析装置では、上記全尿量取得部が取得する上記1日または複数日の全尿量は、上記被測定者が1日以上のサンプリング期間にわたって排泄した全尿量を測定し、そのサンプリング期間の全尿量を日数で換算して得られた量である。したがって、上記被測定者はサンプリング期間の間だけ尿量を測定すれば済む。よって、上記被測定者が尿量測定する手間を軽減できる。
【0030】
一実施形態の尿成分分析装置では、
上記被測定者の性別、年齢、身長および体重、並びに上記被測定者が上記1回または複数回の尿を排泄したときの季節、月日、気温および湿度のうち少なくとも一つの条件を入力する条件入力部を備え、
上記全尿量取得部は、上記条件入力部を介して入力された条件に基づいて、ヒトの1日当たりの全尿量を収録した所定のデータベースを参照して、上記被測定者が排泄する1日の全尿量を取得することを特徴とする。
【0031】
この一実施形態の尿成分分析装置では、上記条件入力部は、上記被測定者の性別、年齢、身長および体重、並びに上記被測定者が上記1回または複数回の尿を排泄したときの季節、月日、気温および湿度のうち少なくとも一つの条件を入力する。上記全尿量取得部は、上記条件入力部を介して入力された条件に基づいて、ヒトの1日当たりの全尿量を収録した所定のデータベースを参照して、上記被測定者が排泄する1日の全尿量を取得する。したがって、上記被測定者が排泄する1日の全尿量を取得するために、ユーザ(または被測定者)は幾つかの条件を入力するだけで済む。よって、上記被測定者が尿量測定する手間を省略できる。
【0032】
一実施形態の尿成分分析装置では、
日付をカウントするカレンダ部を備え、
上記被測定者が上記1回または複数回の尿を排泄したときの季節と月日は、上記カレンダ部の出力によって設定されることを特徴とする。
【0033】
この一実施形態の尿成分分析装置では、日付をカウントするカレンダ部を備える。したがって、上記被測定者が上記1回または複数回の尿を排泄したときの季節と月日は、上記カレンダ部の出力によって自動的に設定され得る。これにより、ユーザが上記条件入力部を介して入力すべき条件の数が低減されて、ユーザの手間が省略される。
【0034】
一実施形態の尿成分分析装置では、上記被測定者が排泄した尿に接触して、上記特定成分の濃度に関するデータを取得するセンサ部を備えたことを特徴とする。
【0035】
この一実施形態の尿成分分析装置では、センサ部が、上記被測定者が排泄した尿に接触して、上記特定成分の濃度に関するデータを取得する。このセンサ部が取得した上記特定成分の濃度は、上記データ入力部によって入力されて、上記第1演算部による換算の対象になる。
【0036】
一実施形態の尿成分分析装置では、上記第2演算部が算出した上記特定成分の排泄量を記憶する演算結果記憶部を備えたことを特徴とする。
【0037】
この一実施形態の尿成分分析装置では、上記第2演算部が算出した上記特定成分の排泄量が、演算結果記憶部に記憶される。したがって、ユーザは、この演算結果記憶部の内容を読み出すことによって、上記被測定者の上記1日の全尿中における上記特定成分の排泄量を、容易に知ることができる。特に、上記被測定者の1日の全尿中における上記特定成分の排泄量を、日ごとに演算結果記憶部に記憶させておけば、ユーザは、上記特定成分の排泄量の、日ごとの変化の傾向を、容易に知ることができる。
【0038】
一実施形態の尿成分分析装置では、上記第2演算部が算出した上記特定成分の排泄量を報知する報知部を備えたことを特徴とする。
【0039】
この一実施形態の尿成分分析装置では、報知部は、上記第2演算部が算出した上記特定成分の排泄量を報知する。したがって、ユーザは、この報知部による報知を受けて、上記被測定者の1日の全尿中における上記特定成分の排泄量を、容易に知ることができる。
【0040】
一実施形態の尿成分分析装置では、
上記相関関係記憶部、全尿量取得部、データ入力部、第1演算部および第2演算部を、少なくとも搭載した筐体を備え、
上記センサ部は、上記筐体から外部へ突出した態様で上記筐体に取り付けられていることを特徴とする。
【0041】
この一実施形態の尿成分分析装置では、上記相関関係記憶部、全尿量取得部、データ入力部、第1演算部および第2演算部を、少なくとも搭載した筐体を備えている。また、上記センサ部は、上記筐体から外部へ突出した態様で上記筐体に取り付けられている。したがって、ユーザが上記筐体を手に持って使用する手持ちタイプの尿成分分析装置が構成され得る。
【0042】
例えば、この手持ちタイプの尿成分分析装置を使用する場合、ユーザとしての被測定者が排尿する時、上記筐体を手に持って上記センサ部に尿が降りかかる状態にする。これにより、上記センサ部が、上記被測定者が排泄した尿に接触して、上記特定成分の濃度に関するデータを取得する。
【0043】
または、ユーザとしての被測定者が排尿する時、1回の尿の一部を使い捨ての紙コップに採取し、上記筐体を手に持って上記センサ部を上記紙コップ内の尿に浸漬しても良い。
【0044】
または、ユーザとしての被測定者が排尿する時、1回の尿の一部をトイレットペーパにしみ込ませ、上記筐体を手に持って上記センサ部をそのトイレットペーパにしみ込んだ尿に接触させても良い。
【0045】
いずれにしても、この手持ちタイプの尿成分分析装置によれば、簡単な操作で演算結果が得られる。
【0046】
一実施形態の尿成分分析装置では、
上記相関関係記憶部、全尿量取得部、データ入力部、第1演算部および第2演算部を、少なくとも搭載した筐体を備え、
上記データ入力部は、無線または有線の通信回線を介して、上記筐体の外部から上記特定成分の濃度に関するデータを入力し、
上記第2演算部が算出した上記特定成分の排泄量を、無線または有線の通信回線を介して、上記筐体の外部へ出力する演算結果送信部が、上記筐体にさらに搭載されていることを特徴とする。
【0047】
この一実施形態の尿成分分析装置では、上記相関関係記憶部、全尿量取得部、データ入力部、第1演算部および第2演算部を、少なくとも搭載した筐体を備えている。上記データ入力部は、無線または有線の通信回線を介して、上記筐体の外部から上記特定成分の濃度に関するデータを入力する。上記第2演算部が算出した上記特定成分の排泄量を、無線または有線の通信回線を介して、上記筐体の外部へ出力する演算結果送信部が、上記筐体にさらに搭載されている。したがって、データの入力、演算結果の出力を無線または有線の通信回線を介して行うサーバタイプの尿成分分析装置が構成され得る。
【0048】
例えば、このサーバタイプの尿成分分析装置を使用する場合、上記筐体から離れた遠隔地に居るユーザとしての被測定者がセンサ等の手段によって上記特定成分の濃度に関するデータを取得する。このデータが上記データ入力部によって無線または有線の通信回線を介して入力される。この結果、上記第2演算部によって、上記被測定者の1日の全尿中における上記特定成分の排泄量が算出される。上記第2演算部が算出した上記特定成分の排泄量は、上記演算結果送信部によって無線または有線の通信回線を介して、上記筐体から離れた遠隔地に居る被測定者へ向けて出力される。この結果、上記被測定者は、自身が居る場所で、例えばパーソナルコンピュータまたは携帯電話の表示画面を通して、上記第2演算部が算出した上記特定成分の排泄量を知ることができる。
【0049】
このように、このサーバタイプの尿成分分析装置によれば、上記筐体から離れた遠隔地に居るユーザによる利用が容易になる。
【0050】
【0051】
【0052】
一実施形態の尿成分分析装置では、
上記特定成分としての塩分の排泄量と、上記塩分の排泄量に応じた上記被測定者に対するアドバイスとを対応づけて記憶するアドバイステーブルと、
上記アドバイステーブルを参照して、上記第2演算部が算出した上記特定成分としての塩分の排泄量に応じたアドバイスを選択するアドバイス部を備えたことを特徴とする。
【0053】
ここで、上記「アドバイス」は、例えば上記被測定者の高血圧に関するアドバイスとすることができる。
【0054】
この一実施形態の尿成分分析装置では、上記特定成分としての塩分の排泄量と、上記塩分の排泄量に応じた上記被測定者に対するアドバイスとを対応づけて記憶するアドバイステーブルを備える。アドバイス部は、上記アドバイステーブルを参照して、上記第2演算部が算出した上記特定成分としての塩分の排泄量に応じたアドバイスを選択する。したがって、上記第2演算部が算出した上記特定成分としての塩分の排泄量に応じて、例えば上記被測定者の高血圧に関するアドバイスが提供され得る。
【0055】
この発明の尿成分分析方法は、
ヒトが排泄した1回の尿中におけるナトリウム又はカリウムである特定成分の濃度と、上記ヒトが1日に排泄した全ての尿を1つに収集したときの上記1日の全尿中における上記特定成分の濃度との間の相関関係を表すデータを、所定の記憶部に記憶させておき、
被測定者が排泄する1日の全尿量を、
上記被測定者のサンプリング期間における尿量からの換算
、又は
、ヒトの1日当たりの全尿量を収録したデータベースに基づいて取得するとともに、上記被測定者が排泄した1回の尿中における
取得された上記特定成分の濃度を表すデータを
受け取って入力し、
入力された上記被測定者の上記1回の尿中における上記特定成分の濃度に基づいて、上記記憶部に記憶された上記相関関係を用いて、上記被測定者が1日に排泄した全ての尿を1つに収集するものとしたときの上記1日の全尿中における上記特定成分の濃度を換算して求め、
この求められた上記1日の全尿中における上記特定成分の濃度に対して、上記換算又はデータベースに基づいて取得された上記1日の全尿量を乗算して、上記被測定者の上記1日の全尿中における上記特定成分の排泄量を算出することを特徴とする。
【0056】
この発明の尿成分分析方法では、被測定者が排泄する1日の全尿量を、
上記被測定者のサンプリング期間における尿量からの換算
、又は
、ヒトの1日当たりの全尿量を収録したデータベースに基づいて取得するので、上記被測定者が尿量測定する手間を軽減または省略できる。したがって、被測定者の1日の全尿中における特定成分の排泄量を簡便に求めることができる。しかも、この尿成分分析方法では、入力された上記被測定者の上記1回の尿中における上記特定成分の濃度に基づいて、上記相関関係記憶部に記憶された上記相関関係を用いて、上記被測定者が1日に排泄した全ての尿を1つに収集するものとしたときの上記1日の全尿中における上記特定成分の濃度を換算して求める。この結果、上記特定成分の排泄量の算出の精度を高めることができる。
【発明の効果】
【0057】
以上より明らかなように、この発明の尿成分分析装置および尿成分分析方法によれば、被測定者の1日の全尿中における特定成分の排泄量を簡便にかつ精度良く求めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0060】
(第1実施形態)
図1は、この発明の一実施形態の尿成分分析装置(全体を符号90で示す。)のブロック構成を示している。
【0061】
この尿成分分析装置90は、筐体10と、この筐体10に搭載されて収容された制御部11、データ入力部12、操作部13、記憶部14、および報知部としての表示部18を備えている。また、この尿成分分析装置90は、筐体10から外部へ突出した態様で筐体10に取り付けられたセンサ部30を備えている。
【0062】
筐体10は、この例では
図2(A)中に示すように、ユーザの手で把持されるべき細長い角柱状の外形を有している。センサ部30は、筐体10の一端に取り付けられた細長い棒状の外形を有している。この結果、この尿成分分析装置90は、ユーザが筐体10を手に持って使用する手持ちタイプの尿成分分析装置として構成されている。
【0063】
センサ部30は、公知のものであり、被測定者が排泄した尿99に接触して、尿中の特定成分の濃度に関するデータを取得する。この例では、特定成分は、食塩(NaCl。適宜「塩分」という。)であるものとする。この例では、センサ部30は、1回の尿99中のNaCl濃度(またはNa濃度)を表すデータを取得することができる。
【0064】
例えば、この手持ちタイプの尿成分分析装置90を使用する場合、ユーザとしての被測定者が排尿する時、筐体10を手に持って、
図2(A)に示すように、センサ部30に尿が降りかかる状態にする。これにより、センサ部30が、被測定者が排泄した尿に接触して、NaCl濃度に関するデータを取得することができる。
【0065】
または、ユーザとしての被測定者が排尿する時、
図2(B)に示すように、1回の尿99の一部を使い捨ての紙コップ97に採取し、筐体10を手に持ってセンサ部30を紙コップ97内の尿99に浸漬しても良い。
【0066】
または、ユーザとしての被測定者が排尿する時、1回の尿の一部をトイレットペーパ(図示せず)にしみ込ませ、筐体10を手に持ってセンサ部30をそのトイレットペーパにしみ込んだ尿に接触させても良い。
【0067】
いずれにしても、この手持ちタイプの尿成分分析装置によれば、簡単な操作で後述の演算結果が得られる。
【0068】
図1中に示した制御部11は、ソフトウェアによって動作するCPU(中央演算処理ユニット)を含み、第1演算部や第2演算部等として働いて後述の各種処理を実行する。
【0069】
データ入力部12は、センサ部30が取得した尿中の特定成分の濃度に関するデータを、この例ではリアルタイムで入力する。
【0070】
操作部13は、
図2(A)中に示すスクロールボタン13Aを含み、ユーザからの各種情報を入力するために働く。入力される情報としては、測定される尿が、起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿などのうちのいずれの尿であるかを表す尿指定情報や、被測定者の性別、年齢、血圧・BMI(ボディマス指数)を表す情報などが含まれる。尿指定情報を入力するとき、操作部13は尿指定部として働く。
【0071】
記憶部14は、この例ではEEPROM(電気的に書き換え可能な不揮発性メモリ)からなり、相関関係記憶部15A、尿量データベース15B、演算結果記憶部16、およびアドバイステーブル17を含んでいる。
【0072】
相関関係記憶部15Aは、例えば
図5(A),(B)に示すように、実測された1回の尿中のNaCl濃度と、実測された1日の全尿中のNaCl濃度との間の相関関係を表すデータを記憶している(図中の点がそれぞれ実測データを示す。)。具体的には、
図5(A)は、実測された起床後1回目の尿中のNaCl濃度(横軸x、単位[g/L]とする。)と、実測された1日の全尿中のNaCl濃度(縦軸y、単位[g/L]とする。)との間の関係を直線(
図5(A)中に実線で示す。)で近似し、相関関係を表すデータとしてその直線の式を記憶する場合を示している。この場合、相関係数がr=0.78であり、高い相関関係があることを示している。
図5(B)は、実測された起床後2回目の尿中のNaCl濃度(横軸x、単位[g/L]とする。)と、実測された1日の全尿中のNaCl濃度(縦軸y、単位[g/L]とする。)との間の関係も同様に直線(
図5(B)中に実線で示す。)で近似し、相関関係を表すデータとしてその直線の式を記憶する場合を示している。この場合、相関係数がr=0.81であることを示している。
【0073】
なお、相関関係を表すデータとして直線近似の式を記憶する場合を一例として説明したが、これに限られるものではない。相関関係記憶部15Aは、その他の関数や、換算データベースなどを記憶しておいても良い。
【0074】
また、実測された被測定者の全尿中のNaCl濃度(またはNa濃度)および後述のNaCl排泄量(またはNa排泄量)は、その被測定者が排泄した全ての尿を1つに収集して測定されている(蓄尿法。以下同様。)。
【0075】
尿量データベース15Bは、例えば
図6に示すように、性別、年齢に応じたヒトの1日当たりの全尿量を表すデータを収録している。この
図6では、横軸xが年齢[歳]、縦軸yが1日当たりの全尿量(年齢別平均尿量)[L]をそれぞれ表し、図中の点がそれぞれ実測データを示している。男性では、年齢と1日当たりの全尿量との関係を直線(
図6中に実線Mで示す。)で近似し、相関関係を表すデータとしてその直線の式を記憶する場合を示している。この場合、分散がR
2=0.2243になっている。女性では、年齢と1日当たりの全尿量との関係を直線(
図6中に実線Fで示す。)で近似し、相関関係を表すデータとしてその直線の式を記憶する場合を示している。この場合、分散がR
2=0.1882になっている。分かるように、性別と年齢の条件が指定(入力)されれば、この尿量データベース15Bを参照することで、ヒトの1日当たりの全尿量を取得することができる。なお、
図6中のデータは、本発明者が実測したものである。
【0076】
アドバイステーブル17は、例えば
図19に示すように、塩分量(NaCl量)と、塩分量に応じた被測定者に対するアドバイスとを対応づけて記憶している。例えば塩分量が0−3gの範囲内であれば、「理想的な塩分摂取量です」というアドバイスが対応している。塩分量が3−6gの範囲内であれば、「減塩ができています」というアドバイスが対応している。塩分量が6−7.5gの範囲内であれば、「あと少しで減塩目標達成です」というアドバイスが対応している。塩分量が7.5−9gの範囲内であれば、「塩分摂取が多いので減らしましょう。」というアドバイスが対応している。塩分量が9g以上であれば、「塩分の取り過ぎです。食生活に注意しましょう。」というアドバイスが対応している。なお、アドバイステーブル17内の塩分量の数値範囲の区分は一例であり、数値範囲の区分を変更した設定も可能である。
【0077】
図1中に示す演算結果記憶部16は、制御部11による演算結果(後述の被測定者の1日の全尿中におけるNaCl濃度(またはNa濃度))を、それぞれ測定日時と対応づけて、順次記憶する。例えば、ユーザは、この演算結果記憶部の内容を読み出すことによって、ユーザは、被測定者の1日の全尿中におけるNaCl濃度(またはNa濃度)の、日ごとの変化の傾向を、容易に知ることができる。
【0078】
表示部18は、この例ではLCD(液晶表示素子)(
図2(A)参照)からなり、制御部11による演算結果などの各種情報を表示する。
【0079】
この尿成分分析装置90は、制御部11による制御によって、全体として例えば
図3に示すフローに従って動作する。
【0080】
i) まず、
図3中のステップS101に示すように、例えばユーザが図示しない電源スイッチをオンすると、まず尿指定モードに入る。
【0081】
この例では、尿指定モードでは、制御部11が尿指定部として働いて、表示部18に「起床後1回目の尿」、「起床後2回目の尿」、「就寝直前の尿」などの選択肢を表示させる。これらの選択肢が表示されているとき、ユーザがスクロールボタン13Aを回転させると、「起床後1回目の尿」、「起床後2回目の尿」、「就寝直前の尿」などの選択肢が順次選択候補として強調表示される。例えば「起床後1回目の尿」が強調表示されている状態で、ユーザがスクロールボタン13Aを押すと、測定される尿が「起床後1回目の尿」であることが入力される。このようにして、ユーザは、操作部13を介して、測定される尿が、起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿などのうちのいずれの尿であるかを表す尿指定情報を入力する。尿指定情報の入力が完了すると、尿測定モードに入る。
【0082】
なお、測定される尿が例えば常に「起床後1回目の尿」に限られている場合は、この尿指定モード(ステップS101)をスキップすることが可能である。
【0083】
ii) 次に、尿測定モードでは、例えば
図2(A)中に示すように、ユーザがセンサ部30に尿99を降りかけて、スクロールボタン13Aを押す。すると、
図3中のステップS102に示すように、この例ではセンサ部30がその1回の尿99中のNaCl濃度を表すデータを取得し、データ入力部12がそのNaCl濃度を表すデータをリアルタイムで入力する。
【0084】
このデータ入力が完了すると、第1の演算モードに入る。
【0085】
iii) 次に、第1の演算モードでは、
図3中のステップS103に示すように、制御部11が第1の演算部として働いて、データ入力部12を介して得られた被測定者の1回の尿99中におけるNaCl濃度に基づいて、相関関係記憶部15
Aに記憶された相関関係(この例では、
図5(A)に示したもの)を用いて、被測定者が1日に排泄した全ての尿を1つに収集するものとしたときの1日の全尿中におけるNaCl濃度を換算して求める。
【0086】
なお、換算の対象が「起床後2回目の尿」のものであれば、それに応じて、
図5(B)に示した相関関係を用いることになる。
【0087】
この換算が完了すると、全尿量取得モードに入る。
【0088】
iv) 次に、全尿量取得モードでは、
図3中のステップS104に示すように、被測定者が排泄する1日の全尿量を、換算又はデータベースに基づいて取得する。
【0089】
第1の全尿量取得方法では、被測定者が排泄する1日の全尿量を、尿量データベース15Bに基づいて取得するものとする。
【0090】
この場合、まず、
図4(A)中のステップS111に示すように、ユーザが操作部13を介して、被測定者の性別・年齢の条件を入力する。
【0091】
詳しくは、制御部11が条件入力部として働いて、表示部18に、性別として「男性」、「女性」の選択肢を表示させる。これらの選択肢が表示されているとき、ユーザがスクロールボタン13Aを回転させると、「男性」、「女性」の選択肢が順次選択候補として強調表示される。例えば「男性」が強調表示されている状態で、ユーザがスクロールボタン13Aを押すと、被測定者の性別が「男性」であることが入力される。性別の入力が完了すると、「年齢」を入力するモードに入る。
【0092】
「年齢」を入力するモードでは、ユーザがスクロールボタン13Aを回転させると、年齢の入力候補を示す値が上昇または下降して表示部18に表示される。ユーザがスクロールボタン13Aを押すと、その時に表示されている値が被測定者の年齢として入力される。
【0093】
年齢の入力が完了すると、
図4(A)中のステップS112に進んで、制御部11が全尿量取得部として働いて、入力された性別・年齢に基づいて、尿量データベース15Bを参照して、被測定者が排泄する1日の全尿量を取得する。
【0094】
このようにした場合、上記被測定者が排泄する1日の全尿量を取得するために、ユーザ(または被測定者)は幾つかの条件を入力するだけで済む。よって、上記被測定者が尿量測定する手間を省略できる。
【0095】
上記第1の全尿量取得方法に代えて、第2の全尿量取得方法では、被測定者が排泄する1日の全尿量を、換算に基づいて取得するものとする。
【0096】
この場合、予め、被測定者が1日以上のサンプリング期間(例えば3日間)にわたって排泄した全尿量(例えば3.9[L]とする。)を測定しておくものとする。
【0097】
まず、
図4(B)中のステップS121、S122に示すように、ユーザが操作部13を介して、上記サンプリング期間の日数(上の例では3日間)、上記サンプリング期間の全尿量(上の例では3.9[L])を入力する。なお、操作部13を介した具体的な入力手順は、既述の「年齢」の入力手順と同様である。
【0098】
次に、
図4(B)中のステップS123に示すように、制御部11が全尿量取得部として働いて、上記被測定者が排泄する1日の全尿量を、(サンプリング期間の全尿量)/(サンプリング期間の日数)という割り算により求める。上の例では、上記被測定者が排泄する1日の全尿量は、3.9[L]/3日間=1.3[L/日]として求められる。
【0099】
このようにした場合、被測定者はサンプリング期間の間だけ尿量を測定すれば済む。よって、長期間にわたって測定を継続する場合に、被測定者が尿量測定する手間を軽減できる。
【0100】
全尿量の取得が完了すると、第2の演算モードに入る。
【0101】
なお、
図3中のステップS101〜S103とステップS104とは、互いに順序を入れ換えても良い。
【0102】
v) 次に、第2の演算モードでは、
図3中のステップS105に示すように、制御部11が第2演算部として働いて、ステップS103で求められた1日の全尿中におけるNaCl濃度に対して、ステップS104で取得された1日の全尿量を乗算して、被測定者の1日の全尿中におけるNaCl排泄量を算出する。
【0103】
vi) そして、ステップS106に示すように、この換算により得られたNaCl排泄量を、測定日時と対応づけて、演算結果記憶部16に記憶させる。これとともに、この換算により得られたNaCl排泄量を、表示部18に表示させる。
【0104】
vii) また、ステップS107に示すように、制御部11がアドバイス部として働いてアドバイステーブル17(
図19)を参照して、上記換算により得られたNaCl排泄量(塩分量)とともに、この換算により得られたNaCl排泄量(塩分量)に応じたアドバイスを選択して、表示部18に表示させる。
【0105】
例えばNaCl排泄量(塩分量)が2gであれば、その数値と「理想的な値です」というアドバイスとを表示させる。
【0106】
このように、この尿成分分析装置90では、被測定者が排泄する1日の全尿量を、換算又はデータベースに基づいて取得するので、被測定者が尿量測定する手間を軽減または省略できる。しかも、入力された被測定者の1回の尿中におけるNaCl濃度に基づいて、相関関係記憶部15Aに記憶された相関関係を用いて、被測定者が1日に排泄した全ての尿を1つに収集するものとしたときの1日の全尿中におけるNaCl濃度を換算して求めている。この結果、NaCl排泄量の算出の精度を高めることができる。
【0107】
図7(A),(B)は、それぞれ、被測定者が排泄する1日の全尿量を第1の全尿量取得方法(尿量データベース15Bを参照)で取得するという条件下で、上述のように1回の尿を用いて換算により得られた1日の全尿中のNaCl排泄量を、実測された1日の全尿中のNaCl排泄量を用いて検証した結果を示している。具体的には、
図7(A)は、3人以上の被測定者について、それぞれ起床後1回目の尿を用いて換算により得られた1日の全尿中のNaCl排泄量(横軸、単位[g/日]とする。)と、実測された1日の全尿中のNaCl排泄量(縦軸、単位[g/日]とする。)とを対応させて、相関の様子を調べたときの結果を示している。この結果では、3人以上の被測定者のデータが互いに区別されていないので、あまり明確な相関が現れていない。
図7(B)は、被測定者No.2、No.6について、それぞれ起床後1回目の尿を用いて換算により得られた1日の全尿中のNaCl排泄量(横軸x、単位[g/日]とする。)と、実測された1日の全尿中のNaCl排泄量(縦軸y、単位[g/日]とする。)とを対応させて、相関係数を求めたときの結果を示している。被測定者No.2のデータを直線L2で近似したとき、分散R
2は0.2204であった。また、被測定者No.6のデータを直線L6で近似したとき、分散R
2は0.6423であった。これにより、被測定者のデータを互いに区別すれば、被測定者が排泄した尿中におけるNaCl排泄量を精度良く求めることができることが分かった。
【0108】
また、
図8(A)は、被測定者No.2について、1日の全尿量は第1の全尿量取得方法(尿量データベース15Bを参照)で取得するという条件下で、1回(起床後1回目)の尿を用いて換算により得られた日ごとの全尿中のNaCl排泄量(図中の破線で結んだデータ)を、実測された日ごとの全尿中のNaCl排泄量(図中の実線で結んだデータ)を用いて検証した結果を示している。
図8(B)は、被測定者No.6について、1日の全尿量は第1の全尿量取得方法(尿量データベース15Bを参照)で取得するという条件下で、1回(起床後1回目)の尿を用いて換算により得られた日ごとの全尿中のNaCl排泄量(図中の破線で結んだデータ)を、実測された日ごとの全尿中のNaCl排泄量(図中の実線で結んだデータ)を用いて検証した結果を示している。
【0109】
図8(B)の被測定者No.6についての検証結果では、換算値と実測値との間で、日ごとのNaCl排泄量およびその増減傾向が略一致している。一方、
図8(A)の被測定者No.2についての検証結果では、全体として、日ごとのNaCl排泄量の換算値のレベルが実測値のレベルよりも高い。この理由は、被測定者No.2が排泄した実際の1日の全尿量が、被測定者No.2について尿量データベース15Bを参照して取得された1日の全尿量に対してずれていることに起因すると考えられる。しかし、換算値と実測値との間で、日ごとのNaCl排泄量の増減傾向は略一致している。したがって、換算により得られたNaCl排泄量は、食生活などの生活習慣の改善のための目安として使用できる。
【0110】
図9から
図11までは、上述の被測定者No.2について、その被測定者が排泄する1日の全尿量を取得する方法を様々に変えた場合の検証結果を示している。
【0111】
具体的には、
図9(A)は、
図8(A)と同様に、1日の全尿量は第1の全尿量取得方法(尿量データベース15Bを参照)で取得するという条件下で1回の尿を用いて換算により得られた日ごとの全尿中のNaCl排泄量を、実測された日ごとの全尿中のNaCl排泄量を用いて検証した結果を示している。
図10(A)は、1日の全尿量は第2の全尿量取得方法(サンプリング期間の全尿量を日数で換算)で1回の尿を用いて換算により得られた日ごとの全尿中のNaCl排泄量を、実測された日ごとの全尿中のNaCl排泄量を用いて検証した結果を示している。
図11(A)は、1日(毎日)の全尿量は実測して取得するという条件下で1回の尿を用いて換算により得られた日ごとの全尿中のNaCl排泄量を、実測された日ごとの全尿中のNaCl排泄量を用いて検証した結果を示している。また、
図9(B)、
図10(B)、
図11(B)は、それぞれ、
図9(A)、
図10(A)、
図11(A)中の換算値、実測値をそれぞれ週ごとに平均して得られた平均値を示している。
【0112】
図9(A)、
図9(B)では、
図8(A)に関して述べたのと同様に、全体として、NaCl排泄量の換算値のレベルが実測値のレベルよりも高い。
図10(A)、
図10(B)では、全体として、NaCl排泄量の換算値のレベルが実測値のレベルと略一致している。この理由は、被測定者No.2について、第1の全尿量取得方法(尿量データベース15Bを参照)で取得された1日の全尿量は1.3[L]であったのに対して、第2の全尿量取得方法(サンプリング期間の全尿量を日数で換算)で取得された1日の全尿量は0.9[L]であったことによると考えられる。つまり、第2の全尿量取得方法によって取得した1日の全尿量の精度が高まったことにより、換算により得られたNaCl排泄量の精度が高まったと考えられる。また、
図10(A)、
図10(B)と
図11(A)、
図11(B)とを比較すれば、1日の全尿量を第2の全尿量取得方法(サンプリング期間の全尿量を日数で換算)で取得するという条件下で換算により得られたNaCl排泄量は、1日(毎日)の全尿量を実測して取得するという条件下で換算により得られたNaCl排泄量と略同様の結果になっている。これにより、1日の全尿量を第2の全尿量取得方法(サンプリング期間の全尿量を日数で換算)で取得するという条件下で、被測定者の1日の全尿中における特定成分の排泄量を精度良く求められることを確認できた。
【0113】
なお、上記電源スイッチのオンに続いて、例えばユーザがスクロールボタン13Aを3秒間以上押し続けると、制御部11が表示部18に「尿指定」、「性別」、「年齢」、「血圧」、「BMI」、「身長」、「体重」、「季節」、「月日」、「気温」、「湿度」などの、いずれの情報を入力するかの選択肢を表示させるようにしても良い。これらの選択肢が表示されているとき、ユーザがスクロールボタン13Aを回転させると、「尿指定」、「性別」、「年齢」、「血圧」、「BMI」、…などの選択肢が順次選択候補として強調表示されるものとする。例えば「血圧」が強調表示されている状態で、ユーザがスクロールボタン13Aを押すと、「血圧」を入力するモードに入る。「血圧」を入力するモードでは、ユーザがスクロールボタン13Aを回転させると、血圧(最高血圧または最低血圧)の入力候補を示す値が上昇または下降して表示部18に表示される。ユーザがスクロールボタン13Aを押すと、その時に表示されている値が被測定者の血圧(最高血圧または最低血圧)として入力される。残りのBMIなども、血圧と同様の仕方で、入力することが可能である。
【0114】
その場合、
図20に示すように、アドバイステーブル17に、塩分量だけでなく、血圧、BMIにも応じたアドバイスを記憶させておけば、被測定者に対してより適切なアドバイスを提供できる。
図20の例では、塩分量の範囲「0.0−3.0g」、「3.0−6.0g」、「6−7.5g」、「7.5−9.0g」、「9.0g以上」のそれぞれに対して、最高血圧/最低血圧が「135/85mmHg未満」かつBMIが「25未満」の場合と、最高血圧/最低血圧が「135/85mmHg以上」かつBMIが「25以上」の場合と、最高血圧/最低血圧が「135/85mmHg以上」かつBMIが「25未満」の場合とに分けて、アドバイスが記憶されている。
【0115】
例えば、塩分量の範囲が「3.0−6.0g」で、最高血圧/最低血圧が「135/85mmHg以上」かつBMIが「25以上」の場合については、「減塩は目標達成です。減量/運動・服薬も行って下さい。」というアドバイスが記憶されている。
【0116】
また、塩分量の範囲が「9.0g以上」で、最高血圧/最低血圧が「135/85mmHg以上」かつBMIが「25以上」の場合については、「塩分量が高過ぎです。食生活に十分注意しましょう。減量/運動・服薬も行って下さい。」というアドバイスが記憶されている。
【0117】
このようなアドバイステーブルを備えた場合、被測定者に対してきめ細かい、より適切なアドバイスを提供することが可能となる。
【0118】
また、ユーザがスクロールボタン13Aを操作して、被測定者の「性別」、「年齢」に加えて、「身長」、「体重」、「季節」、「月日」、「気温」、「湿度」などを入力できる場合、尿量データベース15Bとしては、「性別」、「年齢」に加えて、「身長」、「体重」、「季節」、「月日」、「気温」、「湿度」のような条件毎に、ヒトの1日当たりの全尿量を表すデータを収録していても良い。これにより、被測定者の1日の全尿量を第1の全尿量取得方法(尿量データベース15Bを参照)で取得する場合に、その1日の全尿量の精度を高めることができる。その結果、換算により得られたNaCl排泄量の精度を高めることができる。
【0119】
なお、文献(柴田克己著、「日本人の食事摂取基準を改定するためのエビデンスの構築に関する研究−微量栄養素と多量栄養素摂取量のバランスの解明−8.年齢によるヒト尿量の違い」、平成19年度 総括・分担研究報告書、[平成23年5月25日検索]、インターネット<URL:http://www.shc.usp.ac.jp/shibata/H19-II-08.pdf>)によれば、『健康なヒトの1日尿量は,小学生で671±223ml/day,大学生で823±341ml/day,高齢者で1731±610ml/dayであった』とされている。また、『体重当たりで求めた場合,その概数は,小学生で18.8ml/kg,大学生で14.9ml/kg,高齢者で,29.0ml/kgとなり』とされている。したがって、ヒトの1日当たりの全尿量は、「年齢」や「体重」に応じて知ることができる。
【0120】
また、尿量データベース15Bに「季節」、「月日」に応じたヒトの1日当たりの全尿量を表すデータを含む場合、
図1中に示すように、さらに日付をカウントするカレンダ部40を備えて、被測定者が1回または複数回の尿を排泄したときの季節と月日を、上記カレンダ部の出力によって自動的に設定しても良い。これにより、ユーザが入力すべき条件の数が低減されて、ユーザの手間が省略される。
【0121】
(第2実施形態)
上述の第1実施形態では、被測定者が排泄した1回の尿中におけるNaCl濃度に基づいて、1日の全尿中におけるNaCl濃度を換算して求めたが、それに限られるものではない。被測定者が1日または複数日にわたって排泄した複数回(この例では2回)の尿中におけるNa濃度(またはNaCl濃度)に基づいて、1日の全尿中におけるNa濃度(またはNaCl濃度)を換算して求めても良い。
【0122】
この場合、相関関係記憶部15
Aに、例えば
図13(A)に示すように、2回(起床後1回目、2回目)の尿を用いて得られた平均Na濃度と、実測された1日の全尿中のNa濃度との間の相関関係を表すデータを記憶させておく。具体的には、
図13(A)は、実測された起床後1回目の尿中のNa濃度と実測された起床後2回目の尿中のNa濃度とを平均して得られた平均Na濃度(横軸x、単位[mmol/L]とする。)と、実測された1日の全尿中のNa濃度(縦軸y、単位[mmol/L]とする。)との間の関係を直線(
図13(A)中に実線で示す。)で近似し、相関関係を表すデータとしてその直線の式を記憶する場合を示している。この場合、相関係数がr=0.82であることを示している。
【0123】
または、
図13(A)の相関関係に代えて、もしくは
図13(A)の相関関係に加えて、例えば
図13(B)に示すように、2回(就寝直前、起床後1回目)の尿を用いて得られた平均Na濃度と、実測された1日の全尿中のNa濃度との間の相関関係を記憶させておく。具体的には、
図13(B)は、実測された就寝直前の尿中のNa濃度と実測された起床後1回目の尿中のNa濃度とを平均して得られた平均Na濃度(横軸x、単位[mmol/L]とする。)と、実測された1日の全尿中のNa濃度(縦軸y、単位[mmol/L]とする。)との間の関係を直線(
図13(B)中に実線で示す。)で近似し、相関関係を表すデータとしてその直線の式を記憶する場合を示している。この場合、相関係数がr=0.83であることを示している。
【0124】
この場合、この尿成分分析装置90は、制御部11による制御によって、全体として
図12に示すフローに従って動作する。
【0125】
i) まず、
図12中のステップS201に示すように、例えばユーザが図示しない電源スイッチをオンすると、まず1回目の尿指定モードに入る。
【0126】
この例では、1回目の尿指定モードでは、ユーザは、操作部13を介して、測定される尿が、就寝直前の尿であることを表す尿指定情報を入力するものとする。尿指定情報の入力が完了すると、1回目の尿測定モードに入る。
【0127】
ii) 1回目の尿測定モードでは、例えば
図2(A)中に示すように、ユーザがセンサ部30に尿99を降りかけて、スクロールボタン13Aを押す。すると、
図12中のステップS202に示すように、この例ではセンサ部30がその1回の尿99中のNa濃度を表すデータを取得し、データ入力部12がそのNa濃度を表すデータをリアルタイムで入力する。
【0128】
この例では、ここで演算モードには入らず、ユーザが図示しない電源スイッチをオフするものとする。
【0129】
iii) 次に、
図12中のステップS203に示すように、ユーザが図示しない電源スイッチをオンすると、2回目の尿指定モードに入る。
【0130】
この例では、2回目の尿指定モードでは、ユーザは、操作部13を介して、測定される尿が、起床後1回目の尿であることを表す尿指定情報を入力するものとする。尿指定情報の入力が完了すると、2回目の尿測定モードに入る。
【0131】
iv) 2回目の尿測定モードでは、再び
図2(A)中に示すように、ユーザがセンサ部30に尿99を降りかけて、スクロールボタン13Aを押す。すると、
図12中のステップS204に示すように、この例ではセンサ部30がその1回の尿99中のNa濃度を表すデータを取得し、データ入力部12がそのNa濃度を表すデータをリアルタイムで入力する。
【0132】
この2回目のデータ入力が完了すると、第1の演算モードに入る。
【0133】
v) 第1の演算モードでは、
図12中のステップS205に示すように、制御部11が第1の演算部として働いて、被測定者が排泄した2回(この例では、就寝直前と起床後1回目)の尿中におけるNa濃度を平均して平均Na濃度を求める。つまり、実測された就寝直前の尿中のNa濃度と実測された起床後1回目の尿中のNa濃度とを平均して、平均Na濃度を得る。この平均Na濃度が換算の対象となる。
【0134】
vi) 次に、
図12中のステップS206に示すように、制御部11が、得られた平均Na濃度に基づいて、相関関係記憶部15
Aに記憶された相関関係(この例では、
図13(B)に示したもの)を用いて、被測定者が1日に排泄した全ての尿を1つに収集するものとしたときの1日の全尿中におけるNa濃度を換算して求める。
【0135】
なお、換算の対象が「起床後1回目の尿」と「起床後2回目の尿」のものであれば、それに応じて、
図13(A)に示した相関関係を用いることになる。
【0136】
この換算が完了すると、全尿量取得モードに入る。
【0137】
vii) 全尿量取得モードでは、
図12中のステップS207に示すように、被測定者が排泄する1日の全尿量を、換算又はデータベースに基づいて取得する。
【0138】
この例では、
図4(B)に示した第2の全尿量取得方法、すなわち、被測定者が排泄する1日の全尿量を、換算に基づいて取得するものとする。
【0139】
この場合、予め、被測定者がサンプリング期間として7日間にわたって排泄した全尿量(例えば9.1[L])を測定しておくものとする。
【0140】
まず、
図4(B)中のステップS121、S122に示すように、ユーザが操作部13を介して、上記サンプリング期間の日数(上の例では7日間)、上記サンプリング期間の全尿量(上の例では9.1[L])を入力する。
【0141】
次に、
図4(A)中のステップS123に示すように、制御部11が全尿量取得部として働いて、上記被測定者が排泄する1日の全尿量を、(サンプリング期間の全尿量)/(サンプリング期間の日数)という割り算により求める。上の例では、上記被測定者が排泄する1日の全尿量は、9.1[L]/7日間=1.3[L/日]として求められる。
【0142】
このようにした場合、被測定者はサンプリング期間の間だけ尿量を測定すれば済む。よって、長期間にわたって測定を継続する場合に、被測定者が尿量測定する手間を軽減できる。
【0143】
全尿量の取得が完了すると、第2の演算モードに入る。
【0144】
なお、
図12中のステップS201〜S206とステップS207とは、互いに順序を入れ換えても良い。
【0145】
viii) 第2の演算モードでは、
図12中のステップS208に示すように、制御部11が第2演算部として働いて、ステップS206で求められた1日の全尿中におけるNa濃度に対して、ステップS207で取得された1日の全尿量を乗算して、被測定者の1日の全尿中におけるNa排泄量を算出する。
【0146】
ix) そして、ステップS209に示すように、この換算により得られたNa排泄量を、測定日時と対応づけて、演算結果記憶部16に記憶させる。これとともに、この換算により得られたNa排泄量を、表示部18に表示させる。
【0147】
x) また、ステップS210に示すように、制御部11がアドバイス部として働いてアドバイステーブル17(例えば
図19)を参照して、上記換算により得られたNa排泄量(塩分量)とともに、この換算により得られたNa排泄量(塩分量)に応じたアドバイスを選択して、表示部18に表示させる。
【0148】
図14(B)は、2回(この例では、就寝直前と起床後1回目)の尿を用いて換算により得られた1日の全尿中のNa排泄量(横軸)を、実測された1日当たり全尿中のNa排泄量(縦軸)を用いて検証した結果を示している。これに対する比較のために、
図14(A)は、1回(この例では、起床後1回目)の尿を用いて換算により得られた1日の全尿中のNa排泄量(横軸)を、実測された1日当たり全尿中のNa排泄量(縦軸)を用いて検証した結果を示している。ここで、
図14(A)では相関係数がr=0.69であるのに対して、
図14(B)では相関係数がr=0.76になっている。
【0149】
このように、2回の尿中におけるNa濃度(またはNaCl濃度)に基づいて、1日の全尿中におけるNa濃度(またはNaCl濃度)を換算して求めた場合、換算値と実測値との間に高い相関(相関係数)が得られて、その結果、被測定者の1日の全尿中におけるNa排泄量を精度良く求めることができることが分かった。
【0150】
なお、1回または2回の尿中におけるNa濃度または平均Na濃度を換算の対象とする場合、いずれを用いるかについては、換算の精度と、被測定者による尿計測実施の容易さとを考慮して決定するのが望ましい。換算の精度の順は、概ね、第1位が「起床後1回目の尿」と「起床後2回目の尿」との組み合わせ、第2位が「就寝直前の尿」と「起床後1回目の尿」との組み合わせ、第3位が「起床後2回目の尿」、第4位が「起床後1回の尿」という順になる(第1位と第2位とは、ほぼ同じ精度である。)。被測定者が起床後1回目の尿のNa濃度を自宅で計測した後、直ちに出勤する場合、出勤先で「起床後2回目の尿」のNa濃度を計測するのは、実際問題として難しい。したがって、その場合は、第2位の「就寝直前の尿」と「起床後1回目の尿」との組み合わせを用いるのが望ましい。
【0151】
(第3実施形態)
上述の各実施形態では、換算により1日の全尿中のNa(またはNaCl)の排泄量を求めたが、さらに、日ごとに得られたNa(またはNaCl)の排泄量に基づいて、Na(またはNaCl)の排泄量の1日当たりの平均値を求めても良い。
【0152】
具体的には、制御部11が第2演算部として働いて、演算結果記憶部16に記憶された日ごとのNa(またはNaCl)の排泄量を読み出し、1日当たりの平均値を算出する。
【0153】
図15(A),(B)、
図16(A),(B)は、平均値を算出すべき期間(日数)dを様々に変えて、日ごとに得られたNa排泄量の1日当たりの平均値を、実測された全尿中のNa排泄量の1日当たりの平均値を用いて検証した結果を示している。
【0154】
詳しくは、
図15(A)は、1回(起床後1回目)の尿を用いて換算により得られた1日(d=1)の全尿中のNa排泄量を、実測された1日の全尿中のNa排泄量を用いて検証した結果を示している。
図15(B)は、1回(起床後1回目)の尿を用いて換算により得られた1日の全尿中のNa排泄量の3日間(d=3)にわたる平均値を、実測された3日間にわたる全尿中のNa排泄量の1日当たりの平均値を用いて検証した結果を示している。
図16(A)は、1回(起床後1回目)の尿を用いて換算により得られた1日の全尿中のNa排泄量の5日間(d=5)にわたる平均値を、実測された5日間にわたる全尿中のNa排泄量の1日当たりの平均値を用いて検証した結果を示している。
図16(B)は、1回(起床後1回目)の尿を用いて換算により得られた1日の全尿中のNa排泄量の7日間(d=7)にわたる平均値を、実測された7日間にわたる全尿中のNa排泄量の1日当たりの平均値を用いて検証した結果を示している。ここで、
図15(A)では相関係数がr=0.69であるのに対して、
図15(B)では相関係数がr=0.79、
図16(A)では相関係数がr=0.81、
図16(B)では相関係数がr=0.83になっている。
【0155】
このように、平均値を算出すべき期間(日数)dを増やしてゆくと、換算値と実測値との間に高い相関(相関係数)が得られて、その結果、被測定者の1日の全尿中におけるNa排泄量を精度良く求めることができることが分かった。
【0156】
同様に、
図17(A),(B)、
図18(A),(B)は、平均値を算出すべき期間(日数)dを様々に変えて、日ごとに得られたNa排泄量の1日当たりの平均値を、実測された全尿中のNa排泄量の1日当たりの平均値を用いて検証した結果を示している。
【0157】
詳しくは、
図17(A)は、2回(就寝直前、起床後1回目)の尿を用いて換算により得られた1日(d=1)の全尿中のNa排泄量を、実測された1日の全尿中のNa排泄量を用いて検証した結果を示している。
図17(B)は、2回(就寝直前、起床後1回目)の尿を用いて換算により得られた1日の全尿中のNa排泄量の3日間(d=3)にわたる平均値を、実測された3日間にわたる全尿中のNa排泄量の1日当たりの平均値を用いて検証した結果を示している。
図18(A)は、2回(就寝直前、起床後1回目)の尿を用いて換算により得られた1日の全尿中のNa排泄量の5日間(d=5)にわたる平均値を、実測された5日間にわたる全尿中のNa排泄量の1日当たりの平均値を用いて検証した結果を示している。
図18(B)は、2回(就寝直前、起床後1回目)の尿を用いて換算により得られた1日の全尿中のNa排泄量の7日間にわたる平均値を、実測された7日間(d=7)にわたる全尿中のNa排泄量の1日当たりの平均値を用いて検証した結果を示している。ここで、
図17(A)では相関係数がr=0.76であるのに対して、
図17(B)では相関係数がr=0.86、
図18(A)では相関係数がr=0.90、
図18(B)では相関係数がr=0.91になっている。
【0158】
この場合も、平均値を算出すべき期間(日数)dを増やしてゆくと、換算値と実測値との間に高い相関(相関係数)が得られて、その結果、被測定者の1日の全尿中におけるNa排泄量を精度良く求めることができることが分かった。
【0159】
総合すると、被測定者が排泄した尿中における特定成分の濃度に関するデータを計測する回数、期間(日数)については、1日1回または複数回の尿を1日または複数日にわたって計測しても良いと言える。計測回数、日数を増やすと、換算により得られたNa排泄量(またはNaCl排泄量)の精度を高めることができる。なお、被測定者は計測期間中に毎日計測する必要はない。例えば、7日間の計測期間中に6回だけ計測するようにしても良い。
【0160】
なお、上述の各実施形態では、ユーザが操作部13を介して、測定される尿が起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿などのうちのいずれの尿であるかを表す尿指定情報を入力するものとしたが、これに限られるものではない。制御部11が尿判断部として働いて、Na濃度(またはNaCl濃度)に関するデータが入力された時刻に応じて、被測定者が排泄した1回の尿または複数回の尿が起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿のうちのいずれであるかを判断しても良い。これにより、ユーザが尿指定情報を入力する手間を省くことができる。
【0161】
また、上述の各実施形態では、報知部として表示部18を備えたが、これに限られるものではない。例えば、報知部は、表示部18に加えて、または表示部18に代えて、スピーカを備えても良い。この場合、制御部11が算出したNa排泄量(またはNaCl排泄量)およびNa排泄量(またはNaCl排泄量)に応じたアドバイスを、上記スピーカによって音声でユーザに報知することができる。
【0162】
(第4実施形態)
図21は、この発明の別の実施形態の尿成分分析装置(全体を符号90Aで示す。)のブロック構成を示している。なお、理解の容易のために、
図1中の構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付して、重複した説明を省略する。
【0163】
この尿成分分析装置90Aは、筐体10Aと、この筐体10Aに搭載されて収容された制御部11、記憶部14および通信部20を少なくとも備えている。
【0164】
この例では、筐体10Aは、机上または床上に置かれるべきタワー型の筐体として構成されている。
【0165】
通信部20は、データ入力部12と、演算結果送信部19とを含んでいる。この通信部20は、無線または有線の通信回線300を介して、筐体10Aの外部に存在する携帯電話またはパーソナルコンピュータ(PC)200と接続されている。この例では、携帯電話またはPC200は、ユーザとしての被測定者が操作部(キーボード、テンキー、マウスなど)201を操作して使用するものとする。
【0166】
データ入力部12は、携帯電話またはPC200から通信回線300を介して、被測定者が排泄した尿中の特定成分の濃度(この例では、Na濃度またはNaCl濃度)に関するデータを受信して入力する。
【0167】
演算結果送信部19は、制御部11が算出した演算結果(この例では、Na排泄量またはNaCl排泄量)を、通信回線300を介して、携帯電話またはPC200へ出力する。
【0168】
この結果、この尿成分分析装置90Aは、データの入力、演算結果の出力を無線または有線の通信回線300を介して行うサーバタイプの尿成分分析装置として構成されている。
【0169】
例えば、このサーバタイプの尿成分分析装置90Aを使用する場合、筐体10Aから離れた遠隔地に居るユーザとしての被測定者が市販のセンサ等によってNa濃度(またはNaCl濃度)に関するデータを取得する。このデータが、被測定者が操作する携帯電話またはPC200から無線または有線の通信回線300を介して、データ入力部12によって入力される。これとともに、被測定者は、携帯電話またはPC200の操作部201を介して、測定の対象となる尿が、起床後1回目の尿、起床後2回目の尿、就寝直前の尿のうちのいずれであるかを表す尿指定情報を入力する。この尿指定情報は、携帯電話またはPC200から無線または有線の通信回線300を介して、さらに通信部20を介して、制御部11に入力される。この結果、制御部11によって、被測定者が1日に排泄した全ての尿を1つに収集するものとしたときの上記1日の全尿中におけるNa排泄量(またはNaCl排泄量)が算出される。制御部11が算出したNa排泄量(またはNaCl排泄量)は、このNa排泄量(またはNaCl排泄量)に応じたアドバイスとともに、演算結果送信部19によって無線または有線の通信回線300を介して、筐体10Aから離れた遠隔地に居る被測定者の携帯電話またはPC200へ向けて出力される。この結果、被測定者は、自身が居る場所で、携帯電話またはPC200の表示部(LCDなど)202を通して、制御部11が算出したNa排泄量(またはNaCl排泄量)およびこのNa排泄量(またはNaCl排泄量)に応じたアドバイスを知ることができる。
【0170】
このように、このサーバタイプの尿成分分析装置90Aによれば、筐体10Aから離れた遠隔地に居るユーザによる利用が容易になる。
【0171】
なお、上述の各実施形態では、換算により求めるべき尿中の特定成分は、ナトリウム(Na)または塩化ナトリウム(NaCl)であるものとしたが、これに限られるものではない。特定成分は、ナトリウムに代えて、カリウムであっても良い。これらの成分が得られれば、例えば被測定者の食生活などの生活習慣の改善に有益なアドバイスが提供され得る。特に、上記特定成分がナトリウムであれば、換算により得られた上記特定成分の排泄量は、被測定者が1日に摂取した塩分(塩化ナトリウム)の量に対応する。したがって、被測定者の高血圧を改善するための情報として用いることができる。