特許第5953071号(P5953071)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5953071
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】偏光フィルム貼り合わせ装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20160630BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20160630BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20160630BHJP
【FI】
   G02B5/30
   G02F1/1335 510
   G02F1/13 101
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-46381(P2012-46381)
(22)【出願日】2012年3月2日
(65)【公開番号】特開2013-182152(P2013-182152A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2015年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】500171707
【氏名又は名称】株式会社ブイ・テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100090158
【弁理士】
【氏名又は名称】藤巻 正憲
(72)【発明者】
【氏名】新井 敏成
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 敬行
【審査官】 大隈 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−15082(JP,A)
【文献】 特開2010−208103(JP,A)
【文献】 特開2010−117546(JP,A)
【文献】 特開2011−137853(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
G02F 1/13
G02F 1/1335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の偏光部がライン状に形成された偏光フィルムと、複数個の画素ラインが一方向に配置された液晶表示パネルが交互に載置され、その載置面に平行の前記一方向の位置を調整可能のステージと、
前記偏光フィルムを取着するフィルム取着面を有し、前記一方向と平行の回転軸の周りに回転するドラムと、
前記ステージと前記ドラムとを前記ステージの表面に沿って前記一方向に垂直の方向に相対的に移動させる駆動部材と、
前記ステージ上から繰り出された偏光フィルムの下面を支持して前記ドラムの前記フィルム取着面に向けて押圧する支持ローラと、
前記ドラムの回転、前記ドラムと前記ステージとの相対的移動及び前記支持ローラの上下動を制御し、前記ステージ上の前記偏光フィルムを前記ドラムの前記フィルム取着面に取着させると共に、前記取着面上の前記偏光フィルムを前記ステージ上の液晶表示パネルの表面に貼り合わせる第1制御部と、
前記ステージ上から前記ドラムの前記取着面に転写されつつある前記偏光フィルムの前記一方向の位置を経時的に検出するカメラと、
前記カメラの検出結果に基づいて、前記偏光フィルムの前記偏光部が、前記液晶表示パネル上でその画素ラインと整合するように、前記ステージの前記一方向の位置を制御する第2制御部と、
を有することを特徴とする偏光フィルムの貼り合わせ装置。
【請求項2】
複数個の偏光部がライン状に形成された偏光フィルムと、複数個の画素ラインが一方向に配置された液晶表示パネルが交互に載置され、その載置面に平行の前記一方向の位置を調整可能のステージと、
前記偏光フィルムを取着するフィルム取着面を有し、前記一方向と平行の回転軸の周りに回転するドラムと、
前記ステージと前記ドラムとを前記ステージの表面に沿って前記一方向に垂直の方向に相対的に移動させる駆動部材と、
前記ステージ上から繰り出された偏光フィルムの下面を支持して前記ドラムの前記フィルム取着面に向けて押圧する支持ローラと、
前記ドラムの回転、前記ドラムと前記ステージとの相対的移動及び前記支持ローラの上下動を制御し、前記ステージ上の前記偏光フィルムを前記ドラムの前記フィルム取着面に取着させると共に、前記取着面上の前記偏光フィルムを前記ステージ上の液晶表示パネルの表面に貼り合わせる第1制御部と、
前記ドラムの前記取着面に取着されている前記偏光フィルムの前記一方向の位置を経時的に検出するカメラと、
前記カメラの検出結果に基づいて、前記偏光フィルムの前記偏光部が、前記液晶表示パネル上でその画素ラインと整合するように、前記ステージの前記一方向の位置を制御する第2制御部と、
を有することを特徴とする偏光フィルムの貼り合わせ装置。
【請求項3】
複数個の偏光部がライン状に形成された偏光フィルムと、複数個の画素ラインが一方向に配置された液晶表示パネルが交互に載置され、その載置面に平行の前記一方向の位置を調整可能のステージと、
前記偏光フィルムを取着するフィルム取着面を有し、前記一方向と平行の回転軸の周りに回転するドラムと、
前記ステージと前記ドラムとを前記ステージの表面に沿って前記一方向に垂直の方向に相対的に移動させる駆動部材と、
前記ステージ上から繰り出された偏光フィルムの下面を支持して前記ドラムの前記フィルム取着面に向けて押圧する支持ローラと、
前記ドラムの回転、前記ドラムと前記ステージとの相対的移動及び前記支持ローラの上下動を制御し、前記ステージ上の前記偏光フィルムを前記ドラムの前記フィルム取着面に取着させると共に、前記取着面上の前記偏光フィルムを前記ステージ上の液晶表示パネルの表面に貼り合わせる第1制御部と、
前記ドラムの前記取着面から前記ステージ上の前記液晶表示パネルの表面に移動しつつある前記偏光フィルムの前記一方向の位置を経時的に検出するカメラと、
前記カメラの検出結果に基づいて、前記偏光フィルムの前記偏光部が、前記液晶表示パネル上でその画素ラインと整合するように、前記ステージの前記一方向の位置を制御する第2制御部と、
を有することを特徴とする偏光フィルムの貼り合わせ装置。
【請求項4】
前記カメラは、前記偏光フィルムの前記一方向の位置を、前記偏光フィルムの前記一方向についての中心位置を基に検出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の偏光フィルムの貼り合わせ装置。
【請求項5】
前記偏光フィルムは、前記一方向の両端部に、夫々、ダミーラインが形成されており、前記カメラはこの2個のダミーラインを検出して、その中間の位置として、前記中心位置を検出することを特徴とする請求項4に記載の偏光フィルムの貼り合わせ装置。
【請求項6】
前記偏光フィルムの製造装置は、前記偏光部に対応する開口部と前記ダミーライン用の開口部を備えたフォトマスクと、配向膜が形成された基材を前記フォトマスクに対して相対的に移動させつつ、前記フォトマスクを介して、偏光光を露光することにより、前記基材上の前記配向膜に対し、帯状に前記画素ラインに対応する偏光部を形成すると共に前記ダミーラインを形成する露光装置とを有することを特徴とする請求項5に記載の偏光フィルムの貼り合わせ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示パネル上に、FPR(Film Patterned Retarder:フィルム偏光)型フィルムを貼り合わせる場合に使用するのに好適の偏光フィルム貼り合わせ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
偏光メガネ方式の3次元液晶表示装置においては、図7に示すように、液晶表示パネル47の前面に位相差板50が設けられている(特許文献1及び2)。そして、この液晶表示パネル47は、バックライト41の前方に、アレイ基板43とカラーフィルタ基板45との間に封入された液晶材44が配置されており、アレイ基板43のバックライト41側の面には、例えば水平の直線偏光の偏光板42が張り合わされ、カラーフィルタ基板45の前面には、例えば垂直の直線偏光の偏光板46が張り合わされている。
【0003】
バックライト41からは無偏光の光が出射され、例えば水平直線偏光の光のみが偏光板42を透過し、アレイ基板43、液晶材44及びカラーフィルタ基板45からなる液晶層により偏光方向を制御された後、例えば垂直直線偏光の光のみが偏光板46を透過し、直線偏光の光61となって、液晶表示パネル47から出射する。
【0004】
位相差板50は、その製造に際し、図8に示すように、先ず基材上に配向膜を塗布し、乾燥させた後、露光装置によって露光して、配向膜に直線偏光又は円偏光を形成する。その後、配向膜上に液晶を塗布し、乾燥させ、UV硬化させることによって、位相差板50が作製される。そして、この位相差板50は、位相差が光の波長の1/4波長となるように設計されており、位相差板50の光軸が偏光板46の偏光軸に対して45度の角度となるように液晶表示パネル47の前面に配置される。これにより、液晶表示パネル47から出射した直線偏光の光61は、位相差板50を通過すると複屈折効果によって円偏光となる。
【0005】
液晶表示パネル47の画素は、走査線1ライン毎に右目用画素ラインと左目用画素ラインが交互に配列されており、右目用画素には右目用画像、左目用画素には左目用画像となるように視差画像を表示させる。位相差板50は、図7に示すように右目用偏光部48と左目用偏光部49の2つの領域を有しており、例えば右目用偏光部48の光軸が偏光板46の偏光軸に対して+45度、左目用偏光部49の光軸が偏光板46の偏光軸に対して−45度となるように設計される。そして、液晶表示パネル47の右目用画素ラインが位相差板50の右目用偏光部48に、液晶表示パネル47の左目用画素ラインが位相差板50の左目用偏光部49に重なるように、液晶表示パネル47上に位相差板50が貼り合わされる。これにより、図7(b)及び(c)に示すように位相差板50を通過した光は、例えば右目用偏光部48においては右円偏光62となり、左目用偏光部49においては左円偏光63となる。つまり、右目用画素から出射した光の円偏光62と左目用画素から出射した光の円偏光63とは向きが異なる。
【0006】
これらの偏光した光は、図7(a)に示すように、偏光特性を有するメガネ53を装着して、観察する。メガネ53には偏光板及び位相差板(1/4波長板)が配設されており、右目部51には、例えば、右円偏光を直線偏光に変更する偏光板と1/4波長板が配置されており、左目部52には、例えば、左円偏光を直線偏光に変更する偏光板と1/4波長板が配置されている。このメガネ53を装着した観察者が、位相差板50を介して液晶表示パネル47の画像を視認した場合、右目用画素から出射した右円偏光62は、メガネ53の右目部51において直線偏光に変更され観察者の右目に入射するが、左目用画素から出射した左円偏光63はメガネ53の右目部51を通過しない。また、左目用画素から出射した左円偏光63は、メガネ53の左目部52において直線偏光に変更され観察者の左目に入射するが、右目用画素から出射した右円偏光62はメガネ53の左目部52を通過しない。従って、右目には右目用画素の集合である右目用画像が見え、左目には左目用画素の集合である左目用画像が見えることになり、前述したように液晶表示パネル47に視差画像が表示されているので、観察者は立体画像を視認することができる。
【0007】
この偏光フィルム型3Dディスプレイに使用される位相差板として、FPR(Film Patterned Retarder:フィルム偏光)型フィルムが使用され、液晶表示パネルの表面に、この位相差フィルムが張り合わされる。図9は従来のフィルム貼り合わせ装置を示す模式図である。ステージ10上に偏光フィルム1が載置されており、このステージ10の一方の端部の近傍には、支持ロール12がその軸方向を水平にして設置されている。この支持ロール12の直上域には、ドラム11が水平軸の周りに回転可能に設置されており、このドラム11は、その水平回転軸がステージ10の表面に平行に移動できるようになっている。支持ロール12は、上下動可能であり、上方に移動して、ドラム11に転動し、ドラム11との間で偏光フィルム1を挟持するようになっている。このドラム11に転動する支持ロール12の近傍には、アライメントカメラ14が設置されている。そして、ドラム11の周面上には、粘着テープが貼着されており、ステージ10上の偏光フィルム1は支持ロール12に押圧されてドラム11の周面に付着し、ドラム11が矢印方向に回転することにより、偏光フィルム1は、ステージ10上から、ドラム11の周面上に転写される。このとき、アライメントカメラ14により、偏光フィルム1の幅方向の中心位置が検出される。
【0008】
図10はドラム11の周面11a上に貼着された偏光フィルム1を示す展開図であり、この偏光フィルム1には、液晶表示パネルの画素ラインに対応して、右目用の第1偏光部1aと左目用の第2偏光部1bとが交互に形成されている。この偏光フィルム1がドラム11の周面上に貼着された後、ステージ10上に液晶表示パネル(図9に図示せず)が載置され、偏光フィルム1の幅方向の中心位置と液晶表示パネルの中心位置とを位置合わせするために、液晶表示パネルを載置するステージ10の位置が調整された後、ドラム11が更に図示の反時計方向に1回転以上回転し、かつ液晶表示パネルが載置されたステージ10を図示の右方に移動させることにより、液晶表示パネルの表面上に、ドラム11の周面上の偏光フィルム1を転写していく。これにより、偏光フィルム1が液晶表示パネル上に貼り付けられる。図11に示すように、この偏光フィルム1が、液晶表示パネル20上に正常に貼り付けられると、液晶表示パネル20における赤青緑の3個の絵素により構成される1画素が矢印方向に並ぶ右目用の画素ライン20aに整合して第1偏光部1aが重なり、この右目用画素ライン20aに隣り合う位置に、同様に赤青緑の3個の絵素により構成される1画素が矢印方向に並ぶ左目用の画素ライン20bに整合して第2偏光部1bが重なることになる。その後、偏光フィルム1上に保護膜等を形成して、液晶表示装置が完成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−161108号公報
【特許文献2】特開2006−30461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、偏光フィルム1は、フィルム自体に剛性がないと共に、ドラム11に歪み等が存在すると、図12(a)に示すように、偏光フィルム1が、ドラム11の周面11a上に歪んで転写されることがある。そうすると、図12(b)に示すように、偏光フィルム1が液晶表示パネル上に貼り付けられたときに、第1偏光部1a及び第2偏光部1bがうねりを生じているため、極端な場合には、図12(b)に破線にて示すように、第1及び第2偏光部1a、1bが隣の画素ライン上に進入してしまい、クロストークが発生することがある。
【0011】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、液晶表示パネルに対する偏光フィルムの貼り合わせ精度を高めることができ、高画質の3D画像を表示することができる液晶表示装置を製造できる偏光フィルムの貼り合わせ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願第1発明に係る偏光フィルムの貼り合わせ装置は、
複数個の偏光部がライン状に形成された偏光フィルムと、複数個の画素ラインが一方向に配置された液晶表示パネルが交互に載置され、その載置面に平行の前記一方向の位置を調整可能のステージと、
前記偏光フィルムを取着するフィルム取着面を有し、前記一方向と平行の回転軸の周りに回転するドラムと、
前記ステージと前記ドラムとを前記ステージの表面に沿って前記一方向に垂直の方向に相対的に移動させる駆動部材と、
前記ステージ上から繰り出された偏光フィルムの下面を支持して前記ドラムの前記フィルム取着面に向けて押圧する支持ローラと、
前記ドラムの回転、前記ドラムと前記ステージとの相対的移動及び前記支持ローラの上下動を制御し、前記ステージ上の前記偏光フィルムを前記ドラムの前記フィルム取着面に取着させると共に、前記取着面上の前記偏光フィルムを前記ステージ上の液晶表示パネルの表面に貼り合わせる第1制御部と、
前記ステージ上から前記ドラムの前記取着面に転写されつつある前記偏光フィルムの前記一方向の位置を経時的に検出するカメラと、
前記カメラの検出結果に基づいて、前記偏光フィルムの前記偏光部が、前記液晶表示パネル上でその画素ラインと整合するように、前記ステージの前記一方向の位置を制御する第2制御部と、
を有することを特徴とする。
【0013】
本願第2発明に係る偏光フィルムの貼り合わせ装置は、上記第1発明とは、カメラが検出する偏光フィルムの状態が異なる。即ち、本願第2発明のカメラは、
前記ドラムの前記取着面に取着されている前記偏光フィルムの前記一方向の位置を経時的に検出するものであり、その他の構成は第1発明と同一である。
【0014】
本願第3発明に係る偏光フィルムの貼り合わせ装置は、上記第1発明及び第2発明とは、カメラの検出する偏光フィルムの状態が異なり、本願第3発明のカメラは、
前記ドラムの前記取着面から前記ステージ上の前記液晶表示パネルの表面に移動しつつある前記偏光フィルムの前記一方向の位置を経時的に検出するものであり、その他の構成は第1発明及び第2発明と同一である。
【0015】
これらの第1発明乃至第3発明において、例えば、前記カメラは、前記偏光フィルムの前記一方向の位置を、前記偏光フィルムの前記一方向についての中心位置を基に検出するものである。
【0016】
この場合に、例えば、前記偏光フィルムは、前記一方向の両端部に、夫々、ダミーラインが形成されており、前記カメラはこの2個のダミーラインを検出して、その中間の位置として、前記中心位置を検出する。そして、例えば、前記偏光フィルムは、以下の製造装置により製造することができる。即ち、前記偏光フィルムの製造装置は、前記偏光部に対応する開口部と前記ダミーライン用の開口部を備えたフォトマスクと、配向膜が形成された基材を前記フォトマスクに対して相対的に移動させつつ、前記フォトマスクを介して、偏光光を露光することにより、前記基材上の前記配向膜に対し、帯状に前記画素ラインに対応する偏光部を形成すると共に前記ダミーラインを形成する露光装置とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ドラムに取着される際の偏光フィルムの一方向の位置、ドラムに取着された偏光フィルムの一方向の位置、又はドラムから液晶表示パネルの表面に移動しつつある偏光フィルムの一方向の位置を、カメラにより検出し、その検出結果に基づいて、液晶表示パネルが載置されたステージの一方向の位置を調整する。これにより、ドラムに取着された際の偏光フィルムの状態が歪みを有するものであっても、液晶表示パネル上において、画素ラインに対応して偏光部が重なるようにすることができ、クロストークの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態の偏光フィルムの貼り合わせ装置を示す模式図である。
図2】(a)はドラム11上の偏光フィルム1を示す展開図、(b)はステージ10上の液晶表示パネル20を示す図である。
図3】(a)乃至(e)は、貼り合わせ工程を示す模式図である。
図4】従来のフィルムの貼り合わせ方法を示す図である。
図5】偏光フィルム1の第1偏光部1a及び第2偏光部1bの形成方法を示す図である。
図6】本発明の実施形態のフィルムの貼り合わせ方法を示す図である。
図7】従来の3次元液晶表示装置及びその3次元液晶表示装置を観察するためのメガネを示す模式図である。
図8】位相差板の作製フローを示す図である。
図9】従来のフィルム貼り合わせ装置を示す模式図である。
図10】ドラム上の偏光フィルム1を示す展開図である。
図11】偏光フィルム1が液晶表示パネル20上に正確に張り合わされた状態を示す平面図である。
図12】(a)はドラム上に歪みをもった状態で張り合わされた偏光フィルム1を示す展開図、(b)は歪みをもつ偏光フィルム1を液晶表示パネル上に貼り合わせた状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は本発明の実施形態に係る偏光フィルムの貼り合わせ装置を示す模式図、図2(a)はドラム11のフィルム取着面に取着された偏光フィルムを示す展開図、(b)は液晶表示パネル上に貼り合わされた偏光フィルムを示す平面図、図3(a)乃至(e)は偏光フィルムの貼り合わせ工程を示す模式図である。ステージ10上に偏光フィルム1がその前端部をステージ10から若干前方に延出させて載置され、この偏光フィルム1の前端部が支持ローラ12により支持されている。ステージ10は、図3(a)に示すように、その上面に空気の吸引孔10aが多数形成されており、ステージ10上に載置された偏光フィルム1を吸引吸着して、固定するようになっている。支持ローラ12の直上には、ドラム11が配置されており、このドラム11の周面11aに粘着テープ11bが設けられている。そして、支持ローラ12によりドラム11に向けて押圧された偏光フィルム1が粘着テープ11bに貼着される。支持ローラ12は上下動可能であり、上端に移動したときに偏光フィルム1をドラム11との間で挟持する。図3(a)に示すように、偏光フィルム1がドラム11と支持ローラ12との間に噛み込まれた直後の偏光フィルム1の幅方向の両端部を検出する2個のカメラ15が設置されている。また、カメラ16は偏光フィルム1又は液晶表示パネル20の前端及び後端を検出するアライメントカメラである。
【0020】
ステージ10はその載置面を水平にして設置されており、ドラム11はステージ10の載置面に平行であって一方向に平行の回転軸の周りに回転可能に設置されている。また、ステージ10は、ドラム11の回転軸方向の位置、即ち、前記一方向の位置を調整可能になっている。更に、ステージ10とドラム11とは、適宜の駆動部材により、ステージ10の載置面に沿って前記一方向に垂直の方向に相対的に移動する。具体的には、例えば、図2(b)に示すように、液晶表示パネル20を載置したステージ10は、前記一方向をY方向として、このY方向に直交するX方向(一方向に直交する方向)に移動する。このとき、ドラム11は、その回転軸が移動せず、回転のみ行う。そして、このステージ10は前述のごとく一方向(Y方向)の位置を調整可能であるので、偏光フィルム1の貼り合わせのために、X方向に移動する過程で、前記一方向(Y方向)の位置を調整すると、矢印にて示すように、若干蛇行して移動することになる。
【0021】
次に、偏光フィルム1の前記一方向の位置を経時的に検出する方法について説明する。図4は従来のフィルム貼り合わせ装置における位置合わせ方法を示す図である。偏光フィルム1には、右目用の第1偏光部1aと左目用の第2偏光部1bとが液晶表示パネルの画素ラインに対応して交互に形成されており、この第1偏光部1a及び第2偏光部1bが形成されたアクティブ領域の両外側に、夫々ダミーマーク30a、30bが形成されている。そして、カメラ15により、このダミーマーク30a、30bを検出し、その中間の位置を、偏光フィルム1の中心点としていた。この偏光フィルム1の中心点が、液晶表示パネル20の中心点と一致するように、偏光フィルム1を液晶表示パネル20に重ねて貼り合わせていた。この場合、偏光フィルム1にダミーマークを形成するための工程が、別途必要であった。
【0022】
そこで、本実施形態においては、偏光フィルム1の第1偏光部1a及び第2偏光部1bを形成するための露光時に、ダミーラインを形成する。このように、第1偏光部1a及び第2偏光部1bの形成時に、位置合わせ用のダミーラインも形成することにより、ダミーマーク30a、30bの形成工程を削減することができる。図5は偏光フィルム(FPR)1の製造工程を示す平面図である。偏光フィルム1の基材35が白抜矢印方向に搬送され、この基材35の搬送域に、フォトマスク31が配置されている。このフォトマスク31には、基材35の幅方向に複数個の矩形の開口32が設けられており、この開口32の幅及び位置は、液晶表示パネルの例えば右目用の画素ラインの幅及び位置に対応している。そして、この開口32を介して基材35上の配向膜が露光されることにより、右目用の円偏光をもつ第1偏光部1aが形成される。同様に、このフォトマスク31の下流側に左目用の第2偏光部1bを形成するためのフォトマスク36が配置されており、配向膜がこのフォトマスク36の開口37を介して露光されることにより、左目用の円偏光をもつ第2偏光部1bが形成される。
【0023】
而して、本実施形態においては、偏光フィルム1のアクティブ領域の両外側の位置に対応して、フォトマスク31に開口33a、33bが形成されている。これにより、配向部形成用の露光時に、偏光フィルム1のアクティブ領域の両外側の位置の配向膜に、ダミーライン34a,34bが形成される。このように、偏光フィルム1のアクティブ領域の両外側にダミーライン34a、34bを形成することにより、ダミーライン34a、34bの中間の位置として、偏光フィルム1の中心点を経時的に検出することができる。
【0024】
次に、上述のごとく構成された本実施形態の偏光フィルムの貼り合わせ装置の動作について説明する。先ず、図1及び図3(a)乃至(c)に示すように、ステージ10上に偏光フィルム1がその前端部がステージ10から延出するように載置され、支持ローラ12が上昇して、この偏光フィルム1の延出部の下面をドラム11に向けて押圧する。これにより、偏光フィルム1の前端部がドラム11の粘着テープ11bに接触して偏光フィルム1の前端部がドラム11に貼着される。そして、ドラム11が図示の反時計方向に回転することにより、ステージ10上の偏光フィルム1がドラム11の取着面11aに取着され、ステージ10からドラム11に転写される。このとき、カメラ15が、転写されつつある偏光フィルム1の両側部のダミーライン34a、34bを検出し、ダミーライン34a、34の中間位置として、偏光フィルム1の中心点CLを経時的に検出する。このため、ドラム11に取着された偏光フィルム1の状態を検出することができる。即ち、図2(a)に示すように、偏光フィルム1が歪んでドラム11に取着され、その第1偏光部1a及び第2偏光部1bがうねりをもっている場合は、その中心点CLも同様にうねりをもつことが把握され、カメラ15の検出データとして、偏光フィルム1の中心点CLの軌跡を検出することができる。なお、偏光フィルム1にはその表面に保護フィルムが貼着されているので、この保護フィルムを剥離する。
【0025】
次いで、図3(d)に示すように、ステージ10上に液晶表示パネル20を載置して吸引吸着する。その後、液晶表示パネル20の前端の中心点と、偏光フィルム1の前端の中心点CLとが一致するように、ステージ10の一方向の位置を調整する。また、アライメントカメラ16により液晶表示パネル20の前記一方向に垂直の方向の位置を調整する。そして、図3(e)に示すように、偏光フィルム1が取着されたドラム11を反時計方向に回転させ、同時に、ステージ10を一方向に垂直の方向に移動させる。即ち、図2(b)に示すように、液晶表示パネル20が吸着固定されたステージ10をX方向(一方向に垂直の方向)に移動させつつ、回転軸が所定位置に不動のドラム11を反時計方向に回転させて、ドラム11上の偏光フィルム1を液晶表示パネル20上に貼り合わせる。このとき、ドラム11は回転のみを行い、その位置は移動しないので、図2(a)に直線矢印にて示すように、偏光フィルム1は、ドラム11上に取着された状態のままで、そのうねりを有したまま、液晶表示パネル20上に重ねられる。一方、ステージ10上の液晶表示パネル1は、カメラ15により検出された偏光フィルム1の中心点CLの軌跡に合わせて、Y方向の位置が調整される。これにより、液晶表示パネル20は、図2(b)にうねりをもつ矢印にて示すように、X方向に移動する際に、Y方向にうねりをもつように移動する。従って、偏光フィルム1がドラム11上に巻き取られた際の歪みによるうねりを、偏光フィルム1を液晶表示パネル20に貼り合わせる際の液晶表示パネル20のY方向の位置調整により解消し、図6に示すように、液晶表示パネル20の右目用の画素ライン20a上に高精度で偏光フィルム1の第1偏光部1aを重ね、左目用の画素ライン20b上に高精度で偏光フィルム1の第2偏光部1bを重ねることができる。これにより、クロストークがなく高画質の3D画像を表示する3D液晶表示装置を得ることができる。
【0026】
なお、上記実施形態においては、ステージ10をX方向(一方向に垂直の方向)に移動させて、ドラム11上の偏光フィルム1をステージ10上の液晶表示パネル20上に貼り合わせているが、本発明はこれに限らず、ドラム11を回転させると共に、このドラム11の回転軸をX方向に移動させて、偏光フィルム1を液晶表示パネル20上に貼り合わせることとしてもよい。偏光フィルム1をドラム11に取着させる工程も同様である。また、上記実施形態においては、カメラ15は、ドラム11に取着される際の偏光フィルム1の一方向の位置を検出するものであるが、本発明はこれに限らず、カメラ15は、ドラム11に取着された偏光フィルム1の一方向の位置を検出しても良いし、又は、カメラ15は、ドラム11から液晶表示パネル20の表面に移動しつつある偏光フィルム1の一方向の位置を検出することとしても良い。このカメラ15の検出結果に基づいて、液晶表示パネル20が載置されたステージ10の一方向の位置を調整する。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明により、液晶表示パネル上に高精度で偏光フィルムを貼り合わせることができ、3D液晶表示装置の高画質化に多大の貢献をなす。
【符号の説明】
【0028】
1:偏光フィルム
1a:第1偏光部
1b:第2偏光部
10:ステージ
11:ドラム
20:液晶表示パネル
20a:右目用画素ライン
20b:左目用画素ライン
34a、34b:ダミーライン
CL:中心点
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