【実施例】
【0117】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによってなんら限定されるものではない。
【0118】
実施例1
反応容器Aに、イソプロパノール221.8g、パーフルオロヘキシルエチレンメタクリレート(ダイキン工業株式会社製、製品名:M−1620)7.5g、メトキシ−ポリエチレングリコール(9mol)アクリレート(新中村化学工業株式会社製、製品名:NKエステルAM−90G)15.0g、ポリプロピレングリコール(PO=9mol)モノメタクリレート(日油株式会社製、製品名:ブレンマーPP−500)15.0g、n−ドデシルメルカプタン0.188gを加え、攪拌しながら、30分間窒素を通気した。
【0119】
容器Bにイソプロパノール112.5g、パーフルオロヘキシルエチレンメタクリレート22.5g、ポリプロピレングリコール(9mol)モノメタクリレート45.0g、メトキシ−ポリエチレングリコール(9mol)アクリレート45.0g、n−ドデシルメルカプタン0.564gを加え、攪拌しながら、30分間窒素を通気し、単量体組成物とした。
【0120】
容器Cにアゾビスイソブチロニトリル0.48g(10時間半減期温度60℃)、イソプロピルアルコール14.5gを仕込み混合溶解し、開始剤組成物とした。
【0121】
反応工程1
反応容器Aを80℃まで昇温した後、容器Cの開始剤組成物3.0gを反応容器Aに加え、イソプロパノール還流下(約80〜84℃)で2時間反応した。なお、反応工程開始時と終了時にサンプリングを行い、単量体化合物の合計濃度(以下、単に単量体濃度という場合がある)を確認した。
反応工程2
容器Bの単量体組成物75.2g及び容器Cの開始剤組成物3.0gを追加重合前組成物として反応容器Aに追加供給し、イソプロパノール還流下(約80〜84℃)で2時間反応した。なお、反応工程開始時と終了時にサンプリングを行い、単量体濃度を確認した。
反応工程3
反応工程2と同様の操作を繰り返した。
反応工程4
開始剤組成物を新たに作製し、新たな開始剤組成物を用いたこと以外は反応工程2と同様の操作を繰り返した。
反応工程5
新たに作製した開始剤組成物3.0gのみを用いたこと以外は反応工程2と同様の操作を繰り返した。
合計5段階(追加重合前組成物の追加供給回数は3回)で10時間反応を行った。
反応終了後、減圧蒸留にてイソプロピルアルコールを留去し、粘液状の含フッ素高分子化合物を得た。重量平均分子量は13800であった。各反応工程での単量体濃度は表1の通りであった。
【0122】
【表1】
【0123】
得られた含フッ素高分子化合物について、水溶解性試験、トルエン溶解性試験、表面張力、レベリング性、リコート性、剥離性、皮革層最表面のレベリング性の評価を行った。その結果を表7に示す。
【0124】
重量平均分子量の測定(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)は以下の条件にて行った。
HLC−8220GPC(東ソー株式会社製)
移動層:テトラヒドロフラン
カラム:Tsk−gel Super HZ 2000 2本
& Tsk−gel Super HZ 4000 1本
サンプルインジェクター及びカラムの温度:40℃
RI 検出器の温度(℃):35℃
流速:0.25ml/min、測定時間:40分、サンプル注入量:5μL、
サンプル濃度:0.2%THF溶液、
標準物質:ポリスチレン
【0125】
実施例2〜24
一般式(1)〜(3)で表される単量体化合物、溶媒、重合開始剤、反応温度を表7〜表12のものに換えたこと以外は実施例1と同様に操作を行って実施例2〜24の含フッ素高分子化合物を得た。得られた含フッ素高分子化合物について、水溶解性試験、トルエン溶解性試験、表面張力、レベリング性、リコート性、剥離性、皮革層最表面のレベリング性の評価を行った。その結果を表7〜12に示す。
【0126】
実施例25
反応容器Aに、イソプロパノール192.25g、パーフルオロヘキシルエチレンメタクリレート(ダイキン工業株式会社製、製品名:M−1620)4.5g、メトキシ−ポリエチレングリコール(9mol)アクリレート(新中村化学工業株式会社製、製品名:NKエステルAM−90G)5.25g、ポリプロピレングリコール(PO=9mol)モノメタクリレート(日油株式会社製、製品名:ブレンマーPP−500)5.25g、n−ドデシルメルカプタン0.075gを加え、攪拌しながら、30分間窒素を通気した。
【0127】
容器Bにイソプロパノール135.0g、パーフルオロヘキシルエチレンメタクリレート40.5g、ポリプロピレングリコール(9mol)モノメタクリレート47.25g、メトキシ−ポリエチレングリコール(9mol)アクリレート47.25g、n−ドデシルメルカプタン0.675gを加え、攪拌しながら、30分間窒素を通気し、単量体組成物とした。
【0128】
容器Cにアゾビスイソブチロニトリル0.48g(10時間半減期温度60℃)、イソプロピルアルコール21.5gを仕込み混合溶解し、開始剤組成物とした。
【0129】
反応工程1
反応容器Aを80℃まで昇温した後、容器Cの開始剤組成物2.0gを反応容器Aに加え、イソプロパノール還流下(約80〜84℃)で1時間反応した。なお、反応工程開始時と終了時にサンプリングを行い、単量体濃度を確認した。
反応工程2
容器Bの単量体組成物30.08g及び容器Cの開始剤組成物2.0gを追加重合前組成物として反応容器Aに追加供給し、イソプロパノール還流下(約80〜84℃)で1時間反応した。なお、反応工程開始時と終了時にサンプリングを行い、単量体濃度を確認した。
反応工程3〜5
反応工程2と同様の操作を繰り返した。
反応工程6〜10
開始剤組成物を新たに作製し、新たな開始剤組成物を用いたこと以外は反応工程2と同様の操作を繰り返した。
反応工程11
新たに作製した開始剤組成物2.0gのみを用いたこと以外は反応工程2と同様の操作を繰り返した。
合計11段階(追加重合前組成物の追加供給回数は9回)で11時間反応を行った。
反応終了後、減圧蒸留にてイソプロピルアルコールを留去し、粘液状の含フッ素高分子化合物を得た。重量平均分子量は12000であった。各反応工程での単量体濃度は表2の通りであった。
【0130】
【表2】
【0131】
実施例26
反応容器Aに、イソプロパノール210.3g、パーフルオロヘキシルエチレンメタクリレート(ダイキン工業株式会社製、製品名:M−1620)7.5g、メトキシ−ポリエチレングリコール(9mol)アクリレート(新中村化学工業株式会社製、製品名:NKエステルAM−90G)8.75g、ポリプロピレングリコール(PO=9mol)モノメタクリレート(日油株式会社製、製品名:ブレンマーPP−500)8.75g、n−ドデシルメルカプタン0.125gを加え、攪拌しながら、30分間窒素を通気した。
【0132】
容器Bにイソプロパノール125.0g、パーフルオロヘキシルエチレンメタクリレート37.5g、ポリプロピレングリコール(9mol)モノメタクリレート43.75g、メトキシ−ポリエチレングリコール(9mol)アクリレート43.75g、n−ドデシルメルカプタン0.675gを加え、攪拌しながら、30分間窒素を通気し、単量体組成物とした。
【0133】
容器Cにアゾビスイソブチロニトリル0.48g(10時間半減期温度60℃)、イソプロピルアルコール13.5gを仕込み混合溶解し、開始剤組成物とした。
【0134】
反応工程1
反応容器Aを80℃まで昇温した後、容器Cの開始剤組成物2.0gを反応容器Aに加え、イソプロパノール還流下(約80〜84℃)で1.5時間反応した。なお、反応工程開始時と終了時にサンプリングを行い、単量体濃度を確認した。
反応工程2
容器Bの単量体組成物50.13g及び容器Cの開始剤組成物2.0gを追加重合前組成物として反応容器Aに追加供給し、イソプロパノール還流下(約80〜84℃)で1.5時間反応した。なお、反応工程開始時と終了時にサンプリングを行い、単量体濃度を確認した。
反応工程3、4
反応工程2と同様の操作を繰り返した。
反応工程5、6
開始剤組成物を新たに作製し、新たな開始剤組成物を用いたこと以外は反応工程2と同様の操作を繰り返した。
反応工程7
新たに作製した開始剤組成物2.0gのみを用いたこと以外は反応工程2と同様の操作を繰り返した。
合計7段階(追加重合前組成物の追加供給回数は5回)で10.5時間反応を行った。
反応終了後、減圧蒸留にてイソプロピルアルコールを留去し、粘液状の含フッ素高分子化合物を得た。重量平均分子量は15100であった。各反応工程での単量体濃度は表3の通りであった。
【0135】
【表3】
【0136】
実施例27
反応容器Aに、イソプロパノール237.25g、パーフルオロヘキシルエチレンメタクリレート(ダイキン工業株式会社製、製品名:M−1620)15.0g、メトキシ−ポリエチレングリコール(9mol)アクリレート(新中村化学工業株式会社製、製品名:NKエステルAM−90G)17.5g、ポリプロピレングリコール(PO=9mol)モノメタクリレート(日油株式会社製、製品名:ブレンマーPP−500)17.5g、n−ドデシルメルカプタン0.25gを加え、攪拌しながら、30分間窒素を通気した。
【0137】
容器Bにイソプロパノール100g、パーフルオロヘキシルエチレンメタクリレート30.0g、ポリプロピレングリコール(9mol)モノメタクリレート35.0g、メトキシ−ポリエチレングリコール(9mol)アクリレート35.0g、n−ドデシルメルカプタン0.50gを加え、攪拌しながら、30分間窒素を通気し、単量体組成物とした。
【0138】
容器Cにアゾビスイソブチロニトリル0.48g(10時間半減期温度60℃)、イソプロピルアルコール11.5gを仕込み混合溶解し、開始剤組成物とした。
【0139】
反応工程1
反応容器Aを80℃まで昇温した後、容器Cの開始剤組成物3.0gを反応容器Aに加え、イソプロパノール還流下(約80〜84℃)で2時間反応した。なお、反応工程開始時と終了時にサンプリングを行い、単量体濃度を確認した。
反応工程2
容器Bの単量体組成物100.25g及び容器Cの開始剤組成物3.0gを追加重合前組成物として反応容器Aに追加供給し、イソプロパノール還流下(約80〜84℃)で2時間反応した。なお、反応工程開始時と終了時にサンプリングを行い、単量体濃度を確認した。
反応工程3
反応工程2と同様の操作を繰り返した。
反応工程4
新たに作製した開始剤組成物3.0gのみを用いたこと以外は反応工程2と同様の操作を繰り返した。
合計4段階(追加重合前組成物の追加供給回数は2回)で8時間反応を行った。
反応終了後、減圧蒸留にてイソプロピルアルコールを留去し、粘液状の含フッ素高分子化合物を得た。重量平均分子量は14800であった。各反応工程での単量体濃度は表4の通りであった。
【0140】
【表4】
【0141】
実施例28
反応容器Aに、イソプロパノール237.25g、パーフルオロヘキシルエチレンメタクリレート(ダイキン工業株式会社製、製品名:M−1620)15.0g、メトキシ−ポリエチレングリコール(9mol)アクリレート(新中村化学工業株式会社製、製品名:NKエステルAM−90G)17.5g、ポリプロピレングリコール(PO=9mol)モノメタクリレート(日油株式会社製、製品名:ブレンマーPP−500)17.5g、n−ドデシルメルカプタン0.25gを加え、攪拌しながら、30分間窒素を通気した。
【0142】
容器Bにイソプロパノール100g、パーフルオロヘキシルエチレンメタクリレート30.0g、ポリプロピレングリコール(9mol)モノメタクリレート35.0g、メトキシ−ポリエチレングリコール(9mol)アクリレート35.0g、n−ドデシルメルカプタン0.50gを加え、攪拌しながら、30分間窒素を通気し、単量体組成物とした。
【0143】
容器Cにアゾビスイソブチロニトリル0.48g(10時間半減期温度60℃)、イソプロピルアルコール11.5gを仕込み混合溶解し、開始剤組成物とした。
【0144】
反応工程1
反応容器Aを80℃まで昇温した後、容器Cの開始剤組成物3.0gを反応容器Aに加え、イソプロパノール還流下(約80〜84℃)で0.5時間反応した。なお、反応工程開始時と終了時にサンプリングを行い、単量体濃度を確認した。
反応工程2
容器Bの単量体組成物150.25g及び容器Cの開始剤組成物4.5gを追加重合前組成物として反応容器Aに追加供給し、イソプロパノール還流下(約80〜84℃)で3時間反応した。なお、反応工程開始時と終了時にサンプリングを行い、単量体濃度を確認した。
反応工程3
容器Bの単量体組成物50.25g、容器Cの開始剤組成物1.5gを反応容器Aに加え、イソプロパノール還流下(約80〜84℃)で3時間反応した。なお、反応工程開始時と終了時にサンプリングを行い、単量体濃度を確認した。
反応工程4
新たに作製した開始剤組成物3.0gのみを用いたこと以外は反応工程2と同様の操作を繰り返した。
合計4段階(追加重合前組成物の追加供給回数は2回)で9.5時間反応を行った。
反応終了後、減圧蒸留にてイソプロピルアルコールを留去し、粘液状の含フッ素高分子化合物を得た。重量平均分子量は18800であった。各反応工程での単量体濃度は表5の通りであった。
【0145】
【表5】
【0146】
実施例25〜28で得られた含フッ素高分子化合物について、水溶解性試験、トルエン溶解性試験、表面張力、レベリング性、リコート性、剥離性、皮革層最表面のレベリング性の評価を行った。その結果を表12に示す。
【0147】
実施例29
実施例1で得られた含フッ素高分子化合物と比較例2で得られた含フッ素高分子化合物とを質量比で実施例1:比較例1=7:3の割合で使用し水溶解性試験、トルエン溶解性試験、表面張力、レベリング性、リコート性、剥離性、皮革層最表面のレベリング性の評価を行った。その結果を表13に示す。
【0148】
実施例30
実施例2で得られた含フッ素高分子化合物と比較例4で得られた含フッ素高分子化合物とを質量比で実施例2:比較例4=6:4の割合で使用し水溶解性試験、トルエン溶解性試験、表面張力、レベリング性、リコート性、剥離性、皮革層最表面のレベリング性の評価を行った。その結果を表13に示す。
【0149】
比較例1〜15
一般式(1)〜(3)で表される単量体化合物、溶媒、重合開始剤、反応温度を表13〜表16のものに換えたこと以外は実施例1と同様の操作を行って比較例1〜15の含フッ素高分子化合物を得た。得られた含フッ素高分子化合物について、水溶解性試験、トルエン溶解性試験、表面張力、レベリング性、リコート性、剥離性、皮革層最表面のレベリング性の評価を行った。その結果を表14〜17に示す。
【0150】
比較例16
反応容器Aに、イソプロパノール81.3g、パーフルオロヘキシルエチレンメタクリレート(ダイキン工業株式会社製、製品名:M−1620)11.25g、メトキシ−ポリエチレングリコール(9mol)アクリレート(新中村化学工業株式会社製、製品名:NKエステルAM−90G)13.125g、ポリプロピレングリコール(PO=9mol)モノメタクリレート(日油株式会社製、製品名:ブレンマーPP−500)13.125g、n−ドデシルメルカプタン0.188gを加え、攪拌しながら、30分間窒素を通気した。
【0151】
容器Bにイソプロパノール252.94g、パーフルオロヘキシルエチレンメタクリレート33.75g、ポリプロピレングリコール(9mol)モノメタクリレート39.375g、メトキシ−ポリエチレングリコール(9mol)アクリレート39.375g、n−ドデシルメルカプタン0.56gを加え、攪拌しながら、30分間窒素を通気し、単量体組成物とした。
【0152】
容器Cにアゾビスイソブチロニトリル0.48g(10時間半減期温度60℃)、イソプロピルアルコール14.5gを仕込み混合溶解し、開始剤組成物とした。
【0153】
反応工程1
反応容器Aを80℃まで昇温した後、容器Cの開始剤組成物3.0gを反応容器Aに加え、イソプロパノール還流下(約80〜84℃)で2時間反応した。なお、反応工程開始時と終了時にサンプリングを行い、単量体濃度を確認した。
反応工程2
容器Bの単量体組成物122.0g及び容器Cの開始剤組成物3.0gを追加重合前組成物として反応容器Aに追加供給し、イソプロパノール還流下(約80〜84℃)で2時間反応した。なお、反応工程開始時と終了時にサンプリングを行い、単量体濃度を確認した。
反応工程3、4
反応工程2と同様の操作を繰り返した。
反応工程5
新たに作製した開始剤組成物3.0gのみを用いたこと以外は反応工程2と同様の操作を繰り返した。
合計5段階(追加重合前組成物の追加供給回数は3回)で10時間反応を行った。
反応工程2終了時点で、反応系中の増粘、泡抜けの悪化が目視で確認され、反応工程5終了時には、高粘液状となった。
反応終了後、減圧蒸留にてイソプロピルアルコールを留去し、ゲル状の含フッ素高分子化合物を得た。重量平均分子量は86800であった。各反応工程での単量体濃度は表6の通りであった。
【0154】
【表6】
【0155】
比較例16で得られた含フッ素高分子化合物について、水溶解性試験、トルエン溶解性試験、表面張力、レベリング性、リコート性、剥離性、皮革層最表面のレベリング性の評価を行った。その結果を表17に示す。
【0156】
比較例17
反応容器Aに、イソプロパノール475g、パーフルオロヘキシルエチレンメタクリレート(ダイキン工業株式会社製、製品名:M−1620)7.5g、メトキシ−ポリエチレングリコール(9mol)アクリレート(新中村化学工業株式会社製、製品名:NKエステルAM−90G)8.75g、ポリプロピレングリコール(PO=9mol)モノメタクリレート(日油株式会社製、製品名:ブレンマーPP−500)8.75g、n−ドデシルメルカプタン0.125gを加え、攪拌しながら、30分間窒素を通気した。
【0157】
容器Bにアゾビスイソブチロニトリル0.08g(10時間半減期温度60℃)、イソプロピルアルコール10gを仕込み混合溶解し、開始剤組成物とした。
【0158】
反応工程
反応容器Aを80℃まで昇温した後、容器Bの開始剤組成物全量を反応容器Aに加え、イソプロパノール還流下(約80〜84℃)で4時間反応した。
反応開始時の単量体濃度は5質量%(計算値)であった。
反応終了後、減圧蒸留にてイソプロピルアルコールを留去し、粘液状の含フッ素高分子化合物を得た。重量平均分子量は4800であった。
【0159】
得られた含フッ素高分子化合物について、水溶解性試験、トルエン溶解性試験、表面張力、レベリング性、リコート性、剥離性、皮革層最表面のレベリング性の評価を行った。その結果を表18に示す。
【0160】
比較例18〜20
反応開始時の単量体濃度(%)を表18のものに換えたこと以外は比較例17と同様の操作を行って比較例18〜20の含フッ素高分子化合物を得た。得られた含フッ素高分子化合物について、水溶解性試験、トルエン溶解性試験、表面張力、レベリング性、リコート性、剥離性、皮革層最表面のレベリング性の評価を行った。その結果を表18に示す。
【0161】
比較例21
含フッ素高分子化合物を使用せずに、水溶解性試験、トルエン溶解性試験、表面張力、レベリング性、リコート性、剥離性、皮革層最表面のレベリング性の評価を行った。その結果を表18に示す。
【0162】
比較例22
比較例2において、反応終了後にイソプロパノールを留去しないことで、含フッ素高分子化合物のイソプロパノール溶液(濃度29.8%)を得た。得られた含フッ素高分子化合物のイソプロパノール溶液を使用して、水溶解性試験、トルエン溶解性試験、表面張力、レベリング性、リコート性、剥離性、皮革層最表面のレベリング性の評価を行った。含フッ素高分子化合物は固形分換算で同量使用した。その結果を表19に示す。
【0163】
比較例23
比較例4において、反応終了後にイソプロパノールを留去しないことで、含フッ素高分子化合物のイソプロパノール溶液(濃度29.8%)を得た。得られた含フッ素高分子化合物のイソプロパノール溶液を使用して、水溶解性試験、トルエン溶解性試験、表面張力、レベリング性、リコート性、剥離性、皮革層最表面のレベリング性の評価を行った。含フッ素高分子化合物は固形分換算で同量使用した。その結果を表19に示す。
【0164】
比較例24
反応容器Aにソルフィット150gを入れ、110℃にした。窒素雰囲気下で、2−(パーフルオロブチル)エチルメタクリレート55g、メチルメタクリレート2g、メトキシポリエチレングリコール(9モル)メタクリレート43g、パーオクタO(日本油脂株式会社製)1gの混合溶液を約1時間でソルフィットに滴下した。その後110℃で2時間反応させ、含フッ素高分子化合物のソルフィット溶液を得た。重量平均分子量は16100であった。得られた含フッ素高分子化合物のソルフィット溶液を使用して、水溶解性試験、トルエン溶解性試験、表面張力、レベリング性、リコート性、剥離性、皮革層最表面のレベリング性の評価を行った。含フッ素高分子化合物は固形分換算で同量使用した。その結果を表20に示す。
【0165】
比較例25
反応容器Aにソルフィット150gを入れ、110℃にした。窒素雰囲気下で、2−(パーフルオロブチル)エチルメタクリレート40g、イソブチルアクリレート2.5g、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート57.5g、パーオクタO(日本油脂株式会社製)1gの混合溶液を約1時間でソルフィットに滴下した。その後110℃で2時間反応させ、含フッ素高分子化合物のソルフィット溶液を得た。重量平均分子量は18000であった。得られた含フッ素高分子化合物のソルフィット溶液を使用して、水溶解性試験、トルエン溶解性試験、表面張力、レベリング性、リコート性、剥離性、皮革層最表面のレベリング性の評価を行った。含フッ素高分子化合物は固形分換算で同量使用した。その結果を表20に示す。
【0166】
比較例26
反応溶媒をイソプロパノールに代え、反応温度を80〜84℃(イソプロパノール還流下)にしたこと以外は比較例24と同様に反応を行った。反応終了後、減圧蒸留にてイソプロパノールを留去し、粘液状の含フッ素高分子化合物を得た。重量平均分子量は、17700であった。得られた含フッ素高分子化合物について、水溶解性試験、トルエン溶解性試験、表面張力、レベリング性、リコート性、剥離性、皮革層最表面のレベリング性の評価を行った。含フッ素高分子化合物は固形分換算で同量使用した。その結果を表20に示す。
【0167】
比較例27
反応溶媒をイソプロパノールに代え、反応温度を80〜84℃(イソプロパノール還流下)にしたこと以外は比較例25と同様に反応を行った。反応終了後、減圧蒸留にてイソプロパノールを留去し、粘液状の含フッ素高分子化合物を得た。重量平均分子量は、18500であった。得られた含フッ素高分子化合物について、水溶解性試験、トルエン溶解性試験、表面張力、レベリング性、リコート性、剥離性、皮革層最表面のレベリング性の評価を行った。含フッ素高分子化合物は固形分換算で同量使用した。その結果を表20に示す。
【0168】
実施例1〜30と比較例1〜27において、水溶解性試験、トルエン溶解性試験、表面張力、レベリング性、リコート性、剥離性、皮革層最表面のレベリング性の評価は下記の方法に従って試験し評価した。
【0169】
水溶解性
含フッ素高分子化合物0.15gを蒸留水150gに添加し、ホモディスパーを使用して回転数500rpm×25℃で攪拌した。未溶解物を目視で確認できない状態までの時間を測定し、以下の基準に従って水溶解性を判定した。
6:3分未満で溶解又は乳化分散し、20℃×12時間静置後に分離や沈降等がない
5:3分以上8分未満で溶解又は乳化分散し、20℃×12時間静置後に分離や沈降等がない
4:8分以上15分未満で溶解又は乳化分散し、20℃×12時間静置後に分離や沈降等がない
3:15分以上20分未満で溶解又は乳化分散し、20℃×12時間静置後に分離や沈降等がない
2:20分以上30分未満で溶解又は乳化分散し、20℃×12時間静置後に分離や沈降等がない
1:30分で溶解若しくは乳化分散しない、又は、30分未満で溶解若しくは乳化分散するものの、20℃で静置した場合12時間以内で分離や沈降等が起こる
【0170】
トルエン溶解性
含フッ素高分子化合物0.15gをトルエン150gに添加し、ホモディスパーを使用して回転数500rpm×25℃で攪拌しながら溶解した。未溶解物を目視で確認できない状態までの時間を測定し、以下の基準に従ってトルエン溶解性を判定した。
6:1分未満で溶解又は乳化分散し、20℃×12時間静置後に分離や沈降等がない
5:1分以上3分未満で溶解又は乳化分散し、20℃×12時間静置後に分離や沈降等がない
4:3分以上5分未満で溶解又は乳化分散し、20℃×12時間静置後に分離や沈降等がない
3:5分以上10分未満で溶解又は乳化分散し、20℃×12時間静置後に分離や沈降等がない
2:10分以上15分未満で溶解又は乳化分散し、20℃×12時間静置後に分離や沈降等がない
1:15分で溶解若しくは乳化分散しない、又は、15分未満で溶解若しくは乳化分散するものの、20℃で静置した場合12時間以内で分離や沈降等が起こる
【0171】
表面張力
表面張力計CBVP−A3(協和界面化学株式会社製)を用いてウィルヘルミー法(白金プレート法、測定温度20℃)にて含フッ素高分子化合物の0.1質量%溶液の表面張力を測定した。溶媒として蒸留水、トルエン、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネートを使用した。0.1質量%水溶液のウイルヘルミー法による表面張力が16〜32mN/m、0.1質量%トルエン溶液のウイルヘルミー法による表面張力が16〜27mN/mであるものを性能良好と判断した。
【0172】
各溶媒単独での表面張力は以下の通りであった。
蒸留水 72.1mN/m
トルエン 28.7mN/m
プロピレンカーボネート 41.9mN/m
ジメチルカーボネート 28.3mN/m
【0173】
レベリング性
下記組成の表皮層形成用水系ポリウレタン樹脂組成物を離型紙(商品名:アサヒリリースAR−148、旭ロール株式会社製、30cm×40cm)上に乾燥後の膜厚が30μmとなるようにナイフコーターにて塗布し、80℃×2分間乾燥し、更に120℃×1分間加熱処理して、離型紙上に表皮層を形成させた。
【0174】
レベリング性を濡れ性1、耐ピンホール性1、耐ベナードセル性1、フロー性1の総合点で以下のように評価を行った。総合点が高いほどレベリング性が良好と判断した。
5:総合点が15〜16
4:総合点が12〜14
3:総合点が9〜11
2:総合点が7〜8
1:総合点が4〜6
【0175】
表皮層形成用水系ポリウレタン樹脂組成
ネオステッカー 700(日華化学株式会社製、水系ポリウレタン樹脂)100g
ネオステッカー N(日華化学株式会社製、水系コーティング剤用増粘剤) 3g
NXH−6022(日華化学株式会社製、消泡剤) 0.1g
含フッ素高分子化合物 0.15g
【0176】
濡れ性1
上記表皮層形成用水系ポリウレタン樹脂組成物を上記離型紙に塗布した場合の離型紙上での広がりやすさを下記の基準に基づいて評価を行った。離型紙表面に対してはじきがなく薄く広がり、液たれしない(離型紙表面に定着して流れ落ちない)ものを濡れ性が高いと判断した。
4:離型紙表面ではじくことなく広がり、液たれもない
3:離型紙表面ではじくことなく広がるが、液たれが少しある
2:離型紙表面ではじきが少しある
1:離型紙表面ではじいて定着しない
【0177】
耐ピンホール性1
離型紙上に形成された表皮層表面のピンホール(貫通穴)や魚の目(貫通していないリング状陥没欠損)等の欠損の発生度合いを下記の基準に基づいて評価を行った。欠損が少ないほど耐ピンホール性が良いと判断した。
4:表皮層表面に欠陥が無く、平坦である
3:表皮層表面に1〜3個の欠損(穴、魚の目)がある
2:表皮層表面に4〜10個の欠損(穴、魚の目)がある
1:表皮層表面に11個以上の欠損(穴、魚の目)がある
【0178】
耐ベナードセル性1
離型紙上に形成された表皮層表面のベナードセル(油浮きや模様の発生)の度合いを下記の基準に基づいて評価を行った。成分(例えば顔料や油成分、ワックス成分など)の分離がなく、ベナードセル(油浮きや模様の発生)が少ないほど耐ベナードセル性が高いと判断した。
4:表皮層表面にベナードセルがない
3:表皮層表面に1〜2個のベナードセルがある
2:表皮層表面に3〜4個のベナードセルがある
1:表皮層表面に5個以上のベナードセルがある
【0179】
フロー性1
離型紙上に形成された表皮層表面のフロー性を下記の基準に基づいて評価を行った。すじ、ムラ及び凹凸の発生が少ないほどフロー性が高いと判断した。
4:表皮層表面にすじ、ムラ及び凹凸が無く、平坦である
3:表皮層表面に1〜2ヶ所のすじ、ムラ及び凹凸がある
2:表皮層表面に3〜4個のすじ、ムラ及び凹凸がある
1:表皮層表面に5個以上のすじ、ムラ及び凹凸がある
【0180】
リコート性
下記組成の接着層用ポリウレタン樹脂組成物を上記作製した表皮層上に、表皮層を含む乾燥後の膜厚が50μmとなるようにナイフコーターにて塗布し、80℃×1分間乾燥し、更に110℃×1分間加熱処理して、離型紙上の表皮層上に接着層の皮膜を形成させた。
【0181】
リコート性を濡れ性2、耐ピンホール性2、フロー性2の総合点で以下のように判定した。総合点が高いほどリコート性が良好と判断した。
5:総合点が11〜12
4:総合点が9〜10
3:総合点が7〜8
2:総合点が5〜6
1:総合点が4以下
【0182】
接着層用ポリウレタン樹脂組成
エバファノールHO−10(日華化学株式会社製、二液型水系ポリウレタン樹脂)100g
バイヒジュール3100(住友バイエルウレタン株式会社製、水系ポリイソシアネート化合物)10g
ネオステッカー N(日華化学株式会社製、水系コーティング剤用増粘剤) 3g
【0183】
濡れ性2
上記接着層用ポリウレタン樹脂組成物を上記表皮層上に塗布した場合の表皮層上での広がりやすさを下記の基準に基づいて評価を行った。表皮層表面に対してはじきがなく薄く広がり、液たれしない(表皮層表面に定着して流れ落ちない)ものを濡れ性が高いと判断した。
4:表皮層表面ではじくことなく、薄く広がる、液たれ無し
3:表皮層表面ではじくことなく広がる、液たれが少しあり
2:表皮層表面ではじきが少しあり
1:表皮層表面ではじいて定着しない
【0184】
耐ピンホール性2
上記表皮層上に塗布した接着層用ポリウレタン樹脂組成物のピンホール(貫通穴)や魚の目(貫通していないリング状陥没欠損)等の欠損の発生度合いを下記の基準に基づいて評価を行った。欠損が少ないほど耐ピンホール性が良いと判断した。
4:塗布した接着層用ポリウレタン樹脂組成物表面に欠陥が無く、平坦である
3:塗布した接着層用ポリウレタン樹脂組成物表面に1〜3個の欠損(穴、魚の目)がある
2:塗布した接着層用ポリウレタン樹脂組成物表面に4〜10個の欠損(穴、魚の目)がある
1:塗布した接着層用ポリウレタン樹脂組成物表面に11個以上の欠損(穴、魚の目)がある
【0185】
フロー性2
上記表皮層上に塗布した接着層用ポリウレタン樹脂組成物のフロー性を下記の基準に基づいて評価を行った。すじ、ムラ及び凹凸の発生が少ないほどフロー性が高いと判断した。
4:塗布した接着層用ポリウレタン樹脂組成物表面にすじ、ムラ及び凹凸が無く、平坦である
3:塗布した接着層用ポリウレタン樹脂組成物表面に1〜2ヶ所のすじ、ムラ及び凹凸がある
2:塗布した接着層用ポリウレタン樹脂組成物表面に3〜4個のすじ、ムラ及び凹凸がある
1:塗布した接着層用ポリウレタン樹脂組成物表面に5個以上のすじ、ムラ及び凹凸がある
【0186】
耐剥離性
上記表皮層上に形成された接着層の剥離状態を下記基準に従い目視にて判定した。浮き(接着層中に内部気泡が入ったように浮いている状態)、剥離(接着層の端部分が未接着で離れている状態)が少ないほど耐剥離性が高いと判断した。
4:浮きや剥離がなく、均一に接着している
3:浮きや剥離が1〜2カ所ある
2:浮きや剥離が3〜4カ所ある
1:浮きや剥離が5カ所以上、又は大きな剥離がある
【0187】
皮革層最表面のレベリング性
目付100g/m
2のポリエステル不織布をエバファノールAP−12(日華化学株式会社製、水分散型ポリウレタン樹脂組成物、商品名)30g、塩化カルシウム1g、水96gを配合した配合液に含浸しスリットマングルロールにてピックアップ130%となるように絞り、その後90℃に調整したハイテンパルチャースチーマー(H.T.S.)にて凝集固着させた。ついで80℃温水にて20分間湯洗し、脱水した後、130℃×5分間乾燥し、基材を得た。
【0188】
前述の接着層作製後ただちに上記基材と張り合わせ、カレンダーを用いて95℃×30kgでラミネート処理を行った。その後、45℃×40%RHの条件に調湿した恒温恒湿器の中で2日間保管し熟成を行った。取り出して室温に戻した後に離型紙を剥がして皮革状積層体を得た。
【0189】
得られた皮革状積層体の皮革層側最表面(離型紙を剥がした面)のレベリング性を耐ピンホール性3、耐ベナードセル性3、フロー性3の総合点で以下のように判定した。総合点が高いほど皮革層側最表面のレベリング性が良好と判断した。
5:総合点が11〜12
4:総合点が9〜10
3:総合点が7〜8
2:総合点が5〜6
1:総合点が4以下
【0190】
耐ピンホール性3
上記皮革状積層体の皮革層側最表面のピンホール(貫通穴)や魚の目(貫通していないリング状陥没欠損)等の欠損の発生度合いを下記の基準に基づいて評価を行った。欠損が少ないほど耐ピンホール性が良いと判断した。
4:皮革層最表面に欠陥が無く、平坦である
3:皮革層最表面に1〜3個の欠損(穴、魚の目)がある
2:皮革層最表面に4〜10個の欠損(穴、魚の目)がある
1:皮革層最表面に11個以上の欠損(穴、魚の目)がある
【0191】
耐ベナードセル性3
上記皮革状積層体の皮革層側最表面のベナードセル(油浮きや模様の発生)の度合いを下記の基準に基づいて評価を行った。成分(例えば顔料や油成分、ワックス成分など)の分離がなく、ベナードセル(油浮きや模様の発生)が少ないほど耐ベナードセル性が高いと判断した。
4:皮革層最表面にベナードセルがない
3:皮革層最表面に1〜2個のベナードセルがある
2:皮革層最表面に3〜4個のベナードセルがある
1:皮革層最表面に5個以上のベナードセルがある
【0192】
フロー性3
上記皮革状積層体の皮革層側最表面のフロー性を下記の基準に基づいて評価を行った。すじ、ムラ及び凹凸の発生が少ないほどフロー性が高いと判断した。
4:皮革層最表面にすじ、ムラ及び凹凸が無く、平坦である
3:皮革層最表面に1〜2ヶ所のすじ、ムラ及び凹凸がある
2:皮革層最表面に3〜4個のすじ、ムラ及び凹凸がある
1:皮革層最表面に5個以上のすじ、ムラ及び凹凸がある
【0193】
【表7】
【0194】
【表8】
【0195】
【表9】
【0196】
【表10】
【0197】
【表11】
【0198】
【表12】
【0199】
【表13】
【0200】
【表14】
【0201】
【表15】
【0202】
【表16】
【0203】
【表17】
【0204】
【表18】
【0205】
【表19】
【0206】
【表20】
【0207】
以上の結果から、本発明の方法により得られる含フッ素高分子化合物は水、有機溶剤のいずれにも溶解し、良好な表面張力調整効果を示し、好適に0.1質量%水溶液のウイルヘルミー法による表面張力が16〜32mN/mであり、0.1質量%トルエン溶液のウイルヘルミー法による表面張力が16〜27mN/mであるように調整することができるため、多様な用途に対応可能であることが分かった。またレベリング剤としてコーティング剤に併用した場合、レベリング性とリコート性を高いレベルで両立させることができる。