特許第5953118号(P5953118)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5953118
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】編集装置及び編集方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/28 20060101AFI20160707BHJP
   G01R 31/02 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
   G01R31/28 K
   G01R31/02
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-116396(P2012-116396)
(22)【出願日】2012年5月22日
(65)【公開番号】特開2013-242252(P2013-242252A)
(43)【公開日】2013年12月5日
【審査請求日】2015年4月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088306
【弁理士】
【氏名又は名称】小宮 良雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126343
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 浩之
(72)【発明者】
【氏名】大兼 和幸
【審査官】 濱本 禎広
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−082172(JP,A)
【文献】 特開2005−241491(JP,A)
【文献】 特開平08−262114(JP,A)
【文献】 特開2006−339196(JP,A)
【文献】 特開2008−249368(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/26−31/3193
G01R 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の基板に対する検査用プローブの接触位置を編集する編集装置であって、
該基板の製造用データに基づいて、該検査用プローブの接触対象となる複数の検査用導通部、及び該検査用導通部に対する該検査用プローブの理論的な接触位置を決定する理論接触位置決定手段と、
製造用データに基づいて前記基板を複数の領域に区分して、それら領域ごとに属する該複数の検査用導通部の中から、該基板との位置合わせのために用いる位置合わせ用導通部を選別する選別手段と、
該基板の撮像画像の中から該位置合わせ用導通部に対する対応部位を検出する対応部位検出手段と、
該領域ごとに、該位置合わせ用導通部の該製造用データに基づく理論的な位置と、該対応部位の該基板における位置との位置ずれ量を、ベクトルとして検出する位置ずれ量検出手段と、
該領域ごとに、該位置ずれ量に基づいて、該検査用導通部における該検査用プローブの理論的な接触位置を、該基板に対応させて補正する補正手段とを備え、
前記選別手段では、前記位置ずれ量検出手段の検出した少なくとも2つの領域の前記位置ずれ量に基づいて、前記領域の数を増加させて再区分することを特徴とする編集装置。
【請求項2】
前記選別手段が、前記領域の中央部に近接する前記検査用導通部を、前記位置合わせ用導通部として選別することを特徴とする請求項に記載の編集装置。
【請求項3】
検査対象の基板に対する検査用プローブの接触位置を編集する編集方法であって、
該基板の製造用データに基づいて、該検査用プローブの接触対象となる複数の検査用導通部、及び該検査用導通部に対する該検査用プローブの理論的な接触位置を決定する理論接触位置決定ステップと、
該複数の検査用導通部の中から、該製造用データに基づいて前記基板を複数の領域に区分して、それら領域ごとに属する該複数の検査用導通部の中から、該基板との位置合わせのために用いる位置合わせ用導通部を選別する選別ステップと、
該基板の撮像画像の中から該位置合わせ用導通部に対する対応部位を検出する対応部位検出ステップと、
該領域ごとに、該位置合わせ用導通部の該製造用データに基づく理論的な位置と、該対応部位の該基板における位置との位置ずれ量を、ベクトルとして検出する位置ずれ量検出ステップと、
該領域ごとに、該位置ずれ量に基づいて、該検査用導通部における該検査用プローブの理論的な接触位置を、該基板に対応させて補正する補正ステップとを備え
前記位置ずれ量検出ステップの検出した少なくとも2つの領域の前記位置ずれ量に基づいて、再度前記選別ステップを行って前記領域の数を増加させて再区分することを特徴とする編集方法。
【請求項4】
前記選別ステップで、前記領域の中央部に近接する前記検査用導通部を、前記位置合わせ用導通部として選別することを特徴とする請求項に記載の編集方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象の基板に対する検査用プローブの接触位置を編集する編集装置及び編集方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パターン配線の形成された基板(プリント配線基板)を検査するために、インサーキットテスタなどの基板検査装置が用いられている。基板検査装置によって、部品実装のされていない生基板の検査や、部品実装済みの基板の検査が行われる。基板検査装置では、例えば一対の検査用プローブを基板の検査用パッドや部品実装用パッド、部品のリードなどの検査用導通部(検査ポイント)に接触させて、抵抗、静電容量、インダクタンスなどの電気的特性を測定して、パターン配線の断線、パターン配線間の短絡、実装部品の実装状態、実装部品・実装回路の電気的性能など種々の検査が実施できるようになっている。
【0003】
基板検査装置では、検査用プローブを検査用導通部に確実に接触させる必要がある。検査用導通部の基板上の位置(座標)、つまり基板に対する検査用プローブの接触位置は、基板の製造用データから理論的に算出することができる。しかしながら、基板の寸法やパターン形成位置の製造精度、温度による基板の伸縮、基板検査装置への基板の固定精度などの影響で、理論的に算出した検査用導通部の位置と、検査を行う実際の基板上の検査用導通部の位置とがずれてしまう場合がある。従って、理論的に求めた基板上の接触位置を、実際の基板に合わせて補正する必要がある。
【0004】
例えば、特許文献1の段落番号0006〜0007には、標準モデル基板の基準位置マークの基準位置座標データと、カメラで撮像してパターンマッチング法で得られた被検査基板の基準位置マークに対応する位置の実測値とから、基板位置変換パラメータを求め、プローブの移動位置修正を行う基板検査装置が記載されている。同文献の基板位置変換パラメータは公知のアフィン変換であり、X軸方向の補正量として2つの行列要素、Y軸方向の補正量として2つの行列要素、X軸方向の平行移動量として1つの行列要素、Y軸方向の平行移動量として1つの行列要素の計6つの行列要素を用いて変換を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−262114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年の基板の高密度化の影響で、基板上の検査ポイントの数は数百ポイント〜数千ポイントのように非常に数が多くなってきている。特許文献1のようにアフィン変換を用いて検査用導通部の位置ずれの補正を行うと、演算量が多く処理に時間が掛かるという課題がある。
【0007】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、製造用データから求めた検査用プローブを接触させるべき基板上の理論的な接触位置と、実際の基板上の位置との位置ずれの補正処理を短時間で精度良く行うことのできる編集装置及び編集方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するためになされた、特許請求の範囲の請求項1に記載された編集装置は、検査対象の基板に対する検査用プローブの接触位置を編集する編集装置であって、該基板の製造用データに基づいて、該検査用プローブの接触対象となる複数の検査用導通部、及び該検査用導通部に対する該検査用プローブの理論的な接触位置を決定する理論接触位置決定手段と、該製造用データに基づいて前記基板を複数の領域に区分して、それら領域ごとに属する該複数の検査用導通部の中から、該基板との位置合わせのために用いる位置合わせ用導通部を選別する選別手段と、該基板の撮像画像の中から該位置合わせ用導通部に対する対応部位を検出する対応部位検出手段と、該領域ごとに、該位置合わせ用導通部の該製造用データに基づく理論的な位置と、該対応部位の該基板における位置との位置ずれ量を、ベクトルとして検出する位置ずれ量検出手段と、該領域ごとに、該位置ずれ量に基づいて、該検査用導通部における該検査用プローブの理論的な接触位置を、該基板に対応させて補正する補正手段とを備え、前記選別手段では、前記位置ずれ量検出手段の検出した少なくとも2つの領域の前記位置ずれ量に基づいて、前記領域の数を増加させて再区分することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の編集装置は、請求項1に記載のものであり、前記選別手段が、前記領域の中央部に近接する前記検査用導通部を、前記位置合わせ用導通部として選別することを特徴とする。
【0013】
請求項に記載された編集方法は、検査対象の基板に対する検査用プローブの接触位置を編集する編集方法であって、該基板の製造用データに基づいて、該検査用プローブの接触対象となる複数の検査用導通部、及び該検査用導通部に対する該検査用プローブの理論的な接触位置を決定する理論接触位置決定ステップと、該複数の検査用導通部の中から、該製造用データに基づいて前記基板を複数の領域に区分して、それら領域ごとに属する該複数の検査用導通部の中から、該基板との位置合わせのために用いる位置合わせ用導通部を選別する選別ステップと、該基板の撮像画像の中から該位置合わせ用導通部に対する対応部位を検出する対応部位検出ステップと、該領域ごとに、該位置合わせ用導通部の該製造用データに基づく理論的な位置と、該対応部位の該基板における位置との位置ずれ量を、ベクトルとして検出する位置ずれ量検出ステップと、該領域ごとに、該位置ずれ量に基づいて、該検査用導通部における該検査用プローブの理論的な接触位置を、該基板に対応させて補正する補正ステップとを備え、前記位置ずれ量検出ステップの検出した少なくとも2つの領域の前記位置ずれ量に基づいて、再度前記選別ステップを行って前記領域の数を増加させて再区分することを特徴とする。
【0014】
請求項に記載された編集方法は、請求項に記載されたものであり、前記選別ステップで、前記領域の中央部に近接する前記検査用導通部を、前記位置合わせ用導通部として選別することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の編集装置及び編集方法によれば、製造用データから求めた検査用プローブを接触させるべき基板上の理論的な接触位置と、実際の基板上の位置との位置ずれを、検査用導通部の位置ずれから求めたベクトルを用いて補正することで、演算量を少なくすることができ、補正処理を短時間で精度良く行うことができる。
【0019】
製造用データに基づいて基板を複数の領域に区分して、それら領域ごとに位置ずれ量を検出して理論的な接触位置を補正する場合、基板の一部にパターンずれや部分的な伸縮があっても、基板全体に亘って接触位置の補正を精度よく行うことができる。
【0020】
領域の中央部に近接する検査用導通部を位置合わせ用導通部として選別する場合、領域の中央部は領域内の変位の傾向(特徴)を概ね良く表すため、接触位置をより精度よく補正することができる。
【0021】
検出した少なくとも2つの領域の位置ずれ量に基づいて、領域の数を増加させて再区分する場合、検出した位置ずれ量に対応させた最適な領域の数になるので、接触位置を一層精度よく補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明を適用する編集装置の使用状態を示す構成図である。
図2】製造用データから抽出した検査用導通部の一例のパッドを示す図である。
図3】製造用データにおける基板の例を示す平面図である。
図4】基板の撮像画像の中から検査用導通部(対応部位)であるパッドを含む範囲を切り出した画像のイメージ図である。
図5図4の中から対応部位(検査用導通部)の抽出例を示すイメージ図である。
図6】理論的な位置合わせ用導通部(パッド)を対応部位に一致させるパターンマッチングの例を示すイメージ図である。
図7】理論的な接触位置を、ベクトルにより実際の基板に対応させた接触位置に補正する例を示すイメージ図である。
図8】製造用データにおける基板を、4つの領域に区分したときの各領域のベクトルの例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態例に限定されるものではない。
【0025】
図1に、本発明を適用する編集装置10、及び編集装置10と組み合わせて使用される基板検査装置20を示す。編集装置10は、検査対象である基板70に対する検査用プローブ22a,22bの接触位置を編集(決定)して、基板検査装置20に出力する装置である。編集装置10は、基板検査装置20と別体で構成されていてもよいし、基板検査装置20と一体的に構成されていてもよい。
【0026】
編集装置10は、例えば汎用的なコンピュータであり、図示しないが、CPU(中央処理演算装置)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)やハードディスクなどの記憶部、外部インタフェース、液晶ディスプレイなどの表示部、及びキーボードやマウスなどの操作部を備えている。このコンピュータがハードディスクに記憶されたプログラムに従って動作することで、編集装置1として機能する。
【0027】
編集装置10は、製造用データ入力手段11、理論接触位置決定手段12、選別手段13、撮像画像入力手段14、対応部位検出手段15、位置ずれ量検出手段16、及び補正手段17の機能を備えている。編集装置10の各機能については後述する。
【0028】
基板検査装置20は、載置台21、検査用プローブ22a,22b、プローブ移動機構23a,23b、カメラ24、照明25、測定手段26、接触位置記憶手段27、位置制御手段28、検査手段29、及び表示手段30を備えている。
【0029】
載置台21は、その上に基板70を位置決めして保持する台である。検査用プローブ22a,22bは、基板70上の検査用導通部に先端を接触させて、検査用導通部と導通を得るためのものである。この例では、一対の検査用プローブ22a,22bを使用している例を示しているが、検査項目に応じて検査用プローブの数は適宜変更することができる。プローブ移動機構23aは、検査用プローブ22aをXYZ軸方向の任意の位置に移動させるものであり、プローブ移動機構23bは、検査用プローブ22bをXYZ軸方向の任意の位置に移動させるものである。プローブ移動機構23a,23bは、例えばサーボ機構である。ここで、XY軸方向は基板70の面に対して平行な方向であり、Z軸方向は基板70の面に対する上下方向(高さ方向)である。
【0030】
カメラ24は、基板70を撮像して、基板70の撮像画像データを得るためのものである。カメラ24は、基板70の上方に設けられていて、基板70の全体画像を撮像可能になっている。カメラ24として、一回の撮像で基板全体を撮像できるものを用いることが好ましいが、一回の撮像で基板の一部を撮像するものを用いて、図示しないXY軸移動機構でカメラ24を移動させ、複数回の撮像で基板全体を撮像するようにしてもよい。又、複数のカメラ24を用いて、基板70の全体画像データを得るようにしてもよい。
【0031】
本発明では、検査用プローブ22a,22bの接触位置を編集するために、このカメラ24の撮像画像データを使用する。カメラ24は、検査用導通部の位置ずれを判定できる程度の解像度のものであればよく、例えばモノクロCCD(Charge Coupled Device)カメラである。カメラ24として、パターン配線等の打痕、傷、欠損、しわ、ピンホールなどの微細な表面欠陥の有無を画像処理で検査するために用いられるカラーラインカメラのような高解像度のものを用いてもよいが、本発明を適用するために、そのような高精度のカメラは要しない。
【0032】
照明25は、カメラ24の撮像用に基板70を照らす照明であり、例えばリング照明である。
【0033】
測定手段26は、検査用プローブ22a,22bと電気的に接続されている。測定手段26は、例えば抵抗測定装置、静電容量測定装置、インダクタンス測定装置、インピーダンス測定装置などの検査実施項目に対応した測定機であり、検査用プローブ22a,22b間の抵抗等の電気的特性を測定する。
【0034】
接触位置記憶手段27は、例えばハードディスクなどの書き換え可能な記憶装置であり、基板70に対して検査用プローブ22a,22bを接触させるべき接触位置(XY座標)や、必要であれば接触位置の高さ(Z座標)を記憶するものである。接触位置は編集装置10から出力される。位置制御手段28は、プローブ移動機構23a,23bを制御して、接触位置記憶手段27に記憶されている接触位置に、検査用プローブ22a,22bを移動させる。
【0035】
検査手段29は、測定手段26の測定値の良否を検査するものであり、例えば予め設定されている良否判定用の閾値と測定値とを比較して良否を判定し、その結果を表示手段30に出力する。表示手段30は、一例として液晶ディスプレイであり、検査結果を表示する。
【0036】
次に、編集装置10の機能及び動作について説明しつつ、本発明の編集方法を説明する。
【0037】
先ず、編集装置10の製造用データ入力手段11は、外部から基板70の製造用データを取り込む(製造用データ入力ステップ)。基板70の製造用データは、一例として、図示しない基板設計用CAD(Computer Aided Design)の出力するガーバーデータである。基板設計用CADから編集装置10へのガーバーデータの受け渡しは、フレキシブルディスク、CD−R(コンパクト・ディスク・レコーダブル)、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)メモリ等の情報記録媒体を介して行ってもよいし、LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)、インターネットなどのネットワークを介して行ってもよい。製造用データ入力手段11は、入力された製造用データをハードディスク等に記憶する。
【0038】
次に、編集装置10の理論接触位置決定手段12は、基板70の製造用データに基づいて、検査用プローブ22a,22bの接触対象となる複数の検査用導通部、及び検査用導通部に対する検査用プローブ22a,22bの理論的な接触位置を決定する(理論接触位置決定ステップ)。ここで、検査用導通部とは、銅箔パターンで形成された例えば部品実装用のパッドや、丸型、四角型などのテスト用パッドなどの銅箔パターン上にレジストが塗布されていない部分である。検査用導通部は、実装した部品のリードや端子であってもよい。検査用導通部に対する検査用プローブ22a,22bの接触位置とは、検査用プローブ22a,22bを例えば検査用導通部の中央部に接触させるか、検査用導通部の端部に接触させるか、検査用導通部の角部に接触させるかというような、検査用プローブ22a,22bを接触させる検査用導通部内の理想な位置である。接触位置は、例えば、製造用データに基づく理論的な基板70上のXY座標で表現される。
【0039】
理論接触位置決定手段12は、製造用データ中に、パターンやレジスト、実装部品等のデータが含まれているので、部品実装用のパッドやテスト用のパッドの位置を特定できる。さらに、理論接触位置決定手段12は、製造用データから、互いに電気的に接続(パターン配線接続)されているパッド同士を特定できる。互いに電気的に接続されているパッド同士は、断線の有無を確認する断線試験の対象(検査用導通部)になり、検査用プローブ22a,22bの接触対象になる。
【0040】
又、理論接触位置決定手段12は、製造用データから、近接し合うパターンを特定できる。近接し合うパターンに接続されたパッド同士は、短絡の有無を確認する短絡試験の対象(検査用導通部)になり、検査用プローブ22a,22bの接触対象になる。
【0041】
又、理論接触位置決定手段12は、製造用データに、抵抗値、コンデンサの容量、インダクタンスなどの実装部品の電気的特性情報が含まれている場合、部品実装状態における一つ又は複数の部品に起因する特定のパッド間の電気的特性を特定(算出)できる。このパッド同士は、電気的特性を確認する電気的特性試験の対象(検査用導通部)になり、検査用プローブ22a,22bの接触対象になる。
【0042】
このように、理論接触位置決定手段12は、製造用データに基づいて、いずれのパッドの組を検査用プローブ22a,22bの接触対象として、どのような試験を実施するかを、自動的に決定することができる。なお、試験の実施項目については、予め適宜設定できるようにすることが好ましい。
【0043】
パッド(検査用導通部)に対する検査用プローブ22a,22bの接触位置として、理論接触位置決定手段12は、基板70が生基板の場合には、パッドの中央部を接触位置に決定することが好ましい。基板70が部品実装状態の場合には、理論接触位置決定手段12は、検査用プローブ22a,22bのパッドの接触位置として、実装された部品に当てないように、又はあえて部品に当てるように、部品の位置を考慮して接触位置を決定することが好ましい。
【0044】
図2に、一例として、製造用データから抽出した、表面実装抵抗器等の2端子部品用のパッドP1を示す。パッドP1に2端子部品101(図4参照)を実装した状態で検査する場合、検査用プローブ22a,22bを2端子部品101やその半田フィレット(不図示)に当てないようにするために、パッドP1の外側端部の中央の位置を、検査用プローブ22a,22bの理論的な接触位置Ta,Tbとして決定する。部品の端子に当てる場合には、図示しないが、端子の中央の位置を接触位置として決定する。
【0045】
このようにして、理論接触位置決定手段12は、製造用データに基づいて、検査用プローブ22a,22bの接触対象となる全てのパッド、及び各パッドに対する理論的な接触位置を決定する。図3に、基板70の検査用プローブの接触対象となる全てのパッドの例として、パッドP1,P2,P3,P4,P101〜P107,P201〜P206,P301〜P307,P401〜P405を示す。図3には図示しないが、各パッドP1〜P405に対する理論的な接触位置が決定される。
【0046】
次に、編集装置10の選別手段13は、理論接触位置決定手段12によって決定された検査用プローブ22a,22bの接触対象となるパッド(検査用導通部)の中から、基板70との位置合わせのために用いる位置合わせ用パッド(位置合わせ用導通部)を選別する(選別ステップ)。
【0047】
例えば、選別手段13は、図3に破線で示すように、製造用データにおける基板70を複数の領域(図では一例として4つの領域)に区分して、それら領域ごとに位置合わせ用パッドを選別することが好ましい。区分する数は任意であるが、例えば、パターンの最小幅や、パターン間の最小間隔などのパターンの形成精度や、実装部品のリードが狭いピッチであるか広いピッチであるか、実装部品がBGA(Ball Grid Array)やLGA(Land Grid Array)であるかといったパッドの形成精度や種類に対応付けて、領域の面積(所定面積)を予め設定しておき、領域の面積が所定面積以下になるように、選別手段13が区分の数を決定してもよい。
【0048】
選別手段13が、各領域の面積を全て均等に区分するようにしてもよいし、所定面積ずつ領域を区分していき、余った部分は所定面積よりも小さく区分するように、領域の面積が異なるように区分してもよい。領域の形状は、同図に示すように四角形に区分してもよく、図示しないが三角形や六角形などの任意の多角形で区分してもよい。
【0049】
このように、基板70を複数の領域に区分する場合、選別手段13は、各領域の中央部に近接する接触対象となるパッドを、位置合わせ用パッドとして選別することが好ましい。図3では、選別手段13は、領域A1の中央部C1に最も近接する二端子部品用のパッドP1を位置合わせ用パッドとして選別する。同様に、領域A2ではその中央部C2に最も近接するパッドP2を位置合わせ用パッドとして選別し、領域A3ではその中央部C3に最も近接するパッドP3を位置合わせ用パッドとして選別し、領域A4ではその中央部C4に最も近接するパッドP4を位置合わせ用パッドとして選別する。選別するパッドは、二端子部品用のパッドに限られず、例えばICなどの集積回路用のパッドを位置合わせ用パッドとして選別してもよい。
【0050】
選別するパッドは、一つの部品を実装するためのパッドであることが好ましい。試験項目によっては、検査用プローブ22a,22bの接触対象となるパッドが異なる部品のパッドになる場合もあるが、その場合、領域の中央部に近接する方の部品のパッドを位置合わせ用パッドとして選別することが好ましい。
【0051】
次に、編集装置10の撮像画像入力手段14は、基板70の撮像画像データを基板検査装置20から取り込む。編集装置10と基板検査装置20とは電気配線で接続されていて、編集装置10の撮像画像入力手段14が基板検査装置20に撮像画像データの入力要求を出力する。この入力要求により、基板検査装置20の例えば測定手段26がカメラ24に基板70の全体画像を撮像させ、その撮像画像データを撮像画像入力手段14に出力する。撮像画像入力手段14は、入力された撮像画像データを例えばハードディスクに記憶する。このとき、撮像画像入力手段14は、基板70の大きさが製造用データと撮像画像とで一致するように正規化する。又、基板70が曲がって(傾斜して)撮像されていた場合、例えば撮像された基板70の縦横の辺が製造用データの基板の辺と一致するように、又は、基板70に設けられた位置合わせ用の複数のマークから基板70の曲がり角度を検出して撮像画像を回転させて、基板70の曲がりを補正する。
【0052】
なお、基板検査装置20が基板70を予め撮像して撮像画像データを記憶しておき、編集装置10から入力要求が出されたときに、編集装置10に撮像画像データを出力するようにしてもよい。又、基板検査装置20から編集装置10に、CD−RやUSBメモリなどの外部記録媒体を介して、撮像画像データを入力するようにしてもよい。又、撮像画像データを選別ステップや理論接触位置決定ステップ等よりも先に予め編集装置10に取り込んで記憶させておいてもよい。
【0053】
次に、編集装置10の対応部位検出手段15は、基板70の撮像画像の中から、選別手段13の選別した位置合わせ用パッドに対する対応部位を検出する(対応部位検出ステップ)。
【0054】
具体的には、対応部位検出手段15は、一例として、位置合わせ用パッドP1の存在する理論的な位置に基づいて、パッドP1が位置ずれしていたとしても、パッドP1全体を少なくとも含むような多少広めの範囲で、基板70の撮像画像を切り出す。図4に、基板70の撮像画像からパッドP1を含む範囲を切り出した撮像画像75のイメージ図を示す。対応部位検出手段15は、基板70全体の撮像画像に対する撮像画像75の位置を記憶しておく。なお、カメラ24に直接、撮像画像75の範囲を撮像させて、その撮像画像データを入力するようにしてもよい。
【0055】
対応部位検出手段15は、パッドや半田は光を反射して明るく写るため、一例として、撮像画像75の中から所定値以上に明るく写っている部位を画像処理により抽出することで、位置合わせ用パッドP1に対する対応部位を抽出する。図5に、画像75の中から対応部位H1を抽出したイメージ図を示す。
【0056】
次に、編集装置10の位置ずれ量検出手段16は、製造用データに基づく位置合わせ用パッドP1の理論的な位置と、実際の基板70における対応部位H1の位置との位置ずれ量を、ベクトルで検出する(位置ずれ量検出ステップ)。なお、ベクトルは、X軸Y軸面における平面ベクトルである。
【0057】
具体的には、一例として、図6に示すように、位置ずれ量検出手段16は、理論的な位置合わせ用パッドP1が対応部位H1と一致するように、X軸Y軸方向に移動させる簡易的なパターンマッチングを行う。このパターンマッチングにより、理論的な位置合わせ用パッドP1を移動させるベクトルV1が求められる。ベクトルV1は、例えば、X軸方向のずれの大きさ(x成分)及びY軸方向のずれの大きさ(y成分)の2つの行列要素、又は、ずれの方向及び距離(大きさ)の2つの要素で表現できる。このベクトルV1が領域A1の位置ずれ量になる。
【0058】
位置ずれ量検出手段16は、区分した他の残りの領域全て(図3の領域A2〜A4)についても同様にして、位置ずれ量をベクトルとして検出する。例えば、領域A2では、位置合わせ用パッドP2の位置ずれ量をベクトルV2(図8参照)として検出し、領域A3では、位置合わせ用パッドP3の位置ずれ量をベクトルV3(図8参照)として検出し、領域A4の位置ずれ量をベクトルV4(図8参照)として検出する。なお、図8では、理解を容易にするために、ベクトルV1〜V4の大きさを実際よりも大きく誇張して描いている。
【0059】
次に、編集装置10の補正手段16は、理論接触位置決定手段12の決定した検査用プローブ22a,22bの全ての理論的な接触位置を、位置ずれ量検出手段16の検出したベクトルにより、実際の基板70に対応させて補正する(補正ステップ)。
【0060】
図7に、理論的な位置合わせ用パッドP1における接触位置Ta,Tbを、ベクトルV1により移動させて、実際の基板70に対応する接触位置TRa,TRbに補正する例を示す。図8図3)に示す領域A1内のパッドP101〜P107に対する理論的な接触位置についても、同様にしてベクトルV1により補正する。領域A2では、パッドP2、P201〜P206に対する理論的な接触位置を、ベクトルV2により補正する。領域A3では、パッドP3、P301〜P307に対する理論的な接触位置を、ベクトルV3により補正する。領域A4では、パッドP4、P401〜P405に対する理論的な接触位置を、ベクトルV4により補正する。
【0061】
ベクトルによる補正は、ずれのx成分及びy成分の2つの行列要素、又は、ずれの方向及び距離(大きさ)の2つの成分を用いて演算できるので、例えば6つの行列要素を用いるアフィン変換よりも高速に演算処理することができる。又、検査用プローブ22a,22bの接触位置は点であるので、ベクトルによる補正で十分正確な位置に補正することができる。
【0062】
編集装置10の補正手段16は、補正後の検査用プローブ22a,22bの接触位置を、基板検査装置20の接触位置記憶手段27に出力して記憶させる。このとき、補正手段16は、各接触位置に対応する試験の実施項目も合わせて接触位置記憶手段27に出力して記憶させることが好ましい。
【0063】
以上で、編集装置10による検査用プローブの接触位置の編集処理が終了する。基板検査装置20は、編集装置10が補正した接触位置を用いることで、検査用プローブ22a,22bを接触位置に確実に接触させて検査することができる。又、編集装置10から接触位置に対応する試験の実施項目が接触位置記憶手段27に記憶されている場合、各接触位置に対する試験の実施項目を基板検査装置20に手動で設定する必要がなく、自動的に設定されるので、迅速に検査を開始することができる。
【0064】
複数枚の基板を順次交換して検査する場合、上述した編集処理を基板1枚ごとに実施してもよいが、基板の製造ロットが同じであればパターン等の位置ずれは何れの基板でも同じようにずれて形成されるので、最初の1枚について編集処理を実施して接触位置の補正を行い、残りの基板については最初の1枚の編集処理結果を用いて検査するようにしてもよい。
【0065】
なお、選別手段13が、位置ずれ量検出手段16の検出した少なくとも2つの領域の位置ずれ量(ベクトル)に基づいて、区分した領域の数を増加させて再区分し、位置合わせ用パッドを再選択するようにしてもよい。例えば、図8に示す隣接し合う領域A1,A2のベクトルV1,V2を比較する。ベクトルV1を、始点から終点に向けてX軸方向の移動量であるx成分、及びY軸方向の移動量であるy成分で表すと、ベクトルV1のx成分の符号は正であり、y成分の符号は負である。ベクトルV2のx成分の符号は負であり、y成分の符号は正である。このようにベクトルV1とベクトルV2とでx成分及びy成分の符号が逆である場合、領域A1,A2の境界線Ky付近のパッドP107やパッドP201〜P204に対し、検査用プローブ22a,22bの接触位置(不図示)は、補正による位置合わせの精度が低下する。又、領域A1のベクトルV1と領域A3のベクトルV3とを比較した場合、y成分の符号が逆になる。この場合、領域A1,A3の境界線Kx付近のパッドP107、P305では、接触位置(不図示)の位置合わせの精度が低下する。又、近接する領域A1のベクトルV1と領域A4のベクトルV4とを比較した場合、x、y成分の両符号が逆になる。この場合、境界線Kx,Kyの交点付近のパッドP107,P401では、接触位置(不図示)の位置合わせの精度が低下する。従って、隣接する領域又は近接する領域で、ベクトルのx成分及び/又はy成分の符号が逆である場合、領域の数を増加させて再区分することが好ましい。例えば、領域間でベクトルのx成分の符号が逆である場合、x軸方向の領域の数を所定数(1つ又は複数)増加させることが好ましい。領域間でベクトルのy成分の符号が逆である場合、y軸方向の領域の数を所定数(1つ又は複数)増加させることが好ましい。図8の例でx軸方向に1つ、y軸方向に1つ領域の数を増加させた場合、9つの領域に再区分することになる。再区分した後に、選別手段13が位置合わせ用パッドを再選択する。再選択した位置合わせ用パッドに対して対応部位検出手段15が対応部位を検出し、位置ずれ量検出手段16が位置ずれ量を検出し、補正手段17が接触位置の補正を行う。このように領域の数を多くするように再区分することで、検査用プローブ22a,22bの接触位置を一層精度よく位置合わせすることができる。なお、2つの領域間のベクトルの角度の差や、ベクトルの大きさの差で領域の数を増加させるか否かを判別するようにしてもよい。一回再区分した後に、再度ベクトルのx成分及び/又はy成分の符号が逆である場合、さらに再区分するようにしてもよい。又、ベクトルのx成分及び/又はy成分の符号が同じ符号になるというような所定条件を満たすまで、再区分を繰り返してもよいし、再区分は例えば1〜3回の範囲で行うというように再区分を行う最大回数を決めておいてもよい。
【0066】
又、領域の中央部のパッドではなく、領域の端にあるパッドを位置合わせ用パッドと選別するようにしてもよく、領域の何れの位置のパッドを位置合わせ用パッドとして選別するかは適宜設定することができる。又、位置合わせの精度の必要性に応じて、基板70を複数の領域に区分せず、基板70の中で1つの部品のパッドだけを位置合わせ用パッドとして選別するようにしてもよい。又、基板70の四隅に近接する4つの部品のパッドを位置合わせ用パッドとして選別するようにしてもよい。又、位置合わせの精度に高い精度が要求される場合には、接触対象となる全ての部品のパッドを位置合わせ用パッドとして選別してもよい。この場合、全てのパッドについて対応部位の検出や位置ずれ量の検出を行うので演算量が多くなるが、接触位置を一層確実に位置合わせすることができる。このように、位置合わせ用として選別するパッドの数や位置等を適宜設定することができる。
【0067】
基板70は、電気部品実装用のプリント配線板に限られず、例えばユニット間の配線用に用いられるフレキシブル基板や、液晶用ガラス基板であってもよい。
【符号の説明】
【0068】
10は編集装置、11は製造用データ入力手段、12は理論接触位置決定手段、13は選別手段、14は撮像画像入力手段、15は対応部位検出手段、16は位置ずれ量検出手段、17は補正手段、20は基板検査装置、21は載置台、22a・22bは検査用プローブ、23a・23bはプローブ移動機構、24はカメラ、25は照明、26は測定手段、27は接触位置記憶手段、28は位置制御手段、29は検査手段、30は表示手段、70は基板、75は撮像画像、101は2端子部品、A1・A2・A3・A4は領域、C1・C2・C3・C4は領域の中央部、H1は対応部位、Kx・Kyは領域の境界線、P1・P2・P3・P4は検査用導通部であるパッド(位置合わせ用パッド)、P101〜P107・P201〜P206・P301〜P307・P401〜P405は検査用導通部であるパッド、Ta・Tbは理論的な接触位置、TRa・TRbは実際の基板に対応させて補正した接触位置、V1・V2・V3・V4はベクトルである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8