(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記発熱層と前記表面保護層との間に、分岐構造を有する多官能シロキサン単位を3mol%以上30mol%以下含有するポリオルガノシロキサン組成物を含む中間層を更に備える、請求項2に記載の電子レンジ調理用発熱シート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0016】
<電子レンジ調理用発熱シート>
本実施形態の電子レンジ調理用発熱シート(以下「発熱シート」ともいう。)は、照射されたマイクロ波を吸収して発熱する発熱シートであり、発熱層と、表面保護層とを備えている。この発熱シートによれば、電子レンジ加熱において、マイクロ波による内部加熱と発熱シートによる外部加熱とにより、表面に焦げ目をつける調理を短時間で行うことが可能である。また、この発熱シートはマイクロ波の照射による加熱前後で不可逆な構造変化が起こらないため、繰り返し使用することができる。
【0017】
[発熱層]
発熱層は、特定のキュリー点を有する磁性材料と、その基材(担持体)であるシリコーンゴムからなる混合物を含む。
【0018】
発熱層に含まれる磁性材料としては、Mg系フェライト、Cu系フェライト、Zn系フェライト、Ni系フェライト、Li系フェライト、Ba系フェライト、Sr系フェライト、Ni−Zn系フェライト、Mn−Zn系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Mn−Zn−Cu系フェライト、Mn−Zn−Al系フェライト、Mg−Cu−Zn系フェライト、Ni−Cu−Zn系フェライト、Ni−Cu−Co系フェライト、Ba−Mg−Sr系フェライト、Ba−Ni−Sr系フェライト、Ba−Co−Sr系フェライト、Ba−Cu−Sr系フェライト、Ba−Zn−Sr系フェライト等の強磁性体が挙げられる。これらの中でも、発熱性能と経済性の面からMn−ZnフェライトやBa−Mg系フェライトを用いることが好ましい。
【0019】
磁性材料は主に磁性損失によって発熱するため、磁性が失われる温度、すなわちキュリー点を有しており、マイクロ波を照射した場合には、キュリー点を最高発熱温度とする発熱制御が可能である。したがって、所定の目標温度域に応じたキュリー点を有する磁性材料を選択することで、マイクロ波を照射し続けた場合にも発熱温度を所定の目標温度域に制御することができる発熱層を得ることができる。
【0020】
磁性材料のキュリー点は、電子レンジでの調理目的に従って適宜選択することができる。食品に焦げ目をつけるような調理、例えばピザや焼魚等には、キュリー点は150℃以上300℃以下の範囲が好ましく、170℃以上250℃以下がより好ましい。キュリー点が150℃以上であると食品の表面に焦げ目をつける効果が十分であり、300℃以下あると、取り扱う時の安全性の観点及び耐熱皿が割れにくいという観点から好ましい。
【0021】
また、冷凍食品の解凍には、キュリー点は10℃以上50℃以下が好ましく、20℃以上40℃以下がより好ましい。キュリー点が10℃以上であると解凍する時間を短縮でき、50℃以下であると、加熱されずに解凍することが可能なために好ましい。
【0022】
さらに、蒸し物や煮物には、キュリー点は70℃以上120℃以下が好ましく、80℃以上110℃以下がより好ましい。キュリー点が70℃以上であると十分に食品に火を通すことができ、120℃以下であると、調味液等がメイラード反応により褐発しにくくなるため、食品が焦げにくく、仕上がりの面で好ましい。
【0023】
磁性材料の中には、導電性を有し、誘導特性によって発熱するものがあり、キュリー点で誘磁発熱を制御しても、誘導発熱のため発熱温度制御が困難なものがある。このため、磁性材料を発熱層に含ませるときは、磁性材料を粉体の形状とし、これを絶縁材料である基材に分散させた混合物とする。このような発熱層であれば、磁性材料の誘導発熱を抑制し、誘磁発熱による温度制御をより確かなものとすることができる。
【0024】
粉体の磁性材料を分散させる基材としては、用いる磁性材料のキュリー点にあわせて、適宜、耐熱性を指標として選択可能である。基材は熱分解によって炭化しにくいシリコーンゴムを用いることが必要である。仮に、基材が炭化すると、電子レンジでの加熱中に、炭化によるさらなる誘導発熱が促進され、発熱温度の制御が困難になることや、スパークが発生しやすくなるためである。シリコーンゴムとしては、特に限定されず、例えば、ミラブル型シリコーンゴムや液状型シリコーンゴム等の公知の物を用いることができる。なお、シリコーンゴムは、例えば、シリコーンゴム原料であるシロキサンプレポリマーに架橋剤を加えて架橋したものを用いることができる。
【0025】
発熱層に含ませる混合物における磁性材料の配合率は、30wt%以上90wt%以下である。つまり、シリコーンゴムの配合率は、10wt%以上70wt%以下である。磁性材料の配合率が30wt%未満であると発熱性能が不十分であり、90wt%を超えるとシートを屈曲させた際に折れが発生しやすい。発熱性能と取扱い性のバランスの観点から、磁性材料の配合率は50〜85wt%が好ましい。
【0026】
磁性材料の粉末とシリコーンゴム原料との混合方法は、特に限定されず、ニーダー、加圧ニーダー、ミキサー、二本ロール等、公知のいずれの方法も採用可能で、これらの混合機を用いて分散混合させ混練物とする。また、このように分散させた混合物を、プレス成形、カレンダー成形、押し出し成形、射出成形等の公知の加工方法で、所望のシート形状等に成形することができる。
【0027】
シート状にした発熱層の厚さは、発熱特性と取扱い性の観点から0.5mm以上が好ましい。0.5mm以上の厚さとすることで、発熱層のこしがでるため、発熱シートをスポンジ等で洗浄する際のハンドリング性が向上する。厚さの上限は、特に限定されるものではないが、経済性、生産性を考慮して、5mm以下が好ましい。より好ましくは、発熱層の厚さは0.8mm以上3mm以下である。
【0028】
発熱層には、磁性材料に加えて、鉄粉やカーボン、CNT、CF等のマイクロ波吸収発熱材を、発熱温度が制御可能な範囲で加えることができる。また、発熱層には、シリコーンゴム加硫剤を添加することもできる。
【0029】
[表面保護層]
本実施形態の電子レンジ調理用発熱シートは、発熱層の少なくとも一方の側に、磁性材料の粉落ちを防止する目的で表面保護層が設けられる。
【0030】
表面保護層は、分岐構造を有する多官能シロキサン単位を特定量含有するポリオルガノシロキサン組成物を含む。シロキサン単位としては、下記(式1)で表される単官能シロキサン単位、下記(式2)で表される二官能シロキサン単位、下記(式3)で表される三官能シロキサン単位、下記式(式4)で表される四官能シロキサン単位があり、本実施形態でいう「分岐構造を有する多官能シロキサン単位」とは、三官能シロキサン単位と四官能シロキサン単位をいう。
【0031】
(式1) R
3SiO
1/2
(式2) R
2SiO
2/2
(式3) RSiO
3/2
(式4) SiO
4/2
【0032】
(式1)〜(式4)中の置換基Rは、非置換又は置換の一価の炭化水素基を示し、通常、炭素原子数1〜10のもの、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基等のアルケニル基、;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニリル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;メチルベンジル基等のアルカリール基及びこれらの炭化水素基の1個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、又はシアノ基等で置換された基、例えば、クロロメチル基、2−ブロモエチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。この中でも、メチル基やフェニル基、ビニル基であることが好ましい。
【0033】
上記シロキサン単位で構成されたプレポリマーを公知の架橋剤や付加反応触媒を用いて架橋させて、ポリオルガノシロキサン組成物を合成することができる。架橋剤としては、公知の有機過酸化物が挙げられ、付加反応触媒としては、白金、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体や錯体が挙げられる。付加反応触媒としては、これらのなかでも白金系のものが特に好ましい。
【0034】
表面保護層は、柔軟性、耐熱性の観点から、分岐構造を有する多官能シロキサン単位(三官能シロキサン単位と四官能シロキサン単位の合計)を3mol%以上30mol%含有することが必須である。この含有量が3mol%未満であると、スポンジ等で摩耗した際、表面保護層が削られ、磁性材料の粉落ちやスポンジへの付着が発生し、30mol%より大きいと、表面保護層そのものが硬質となるため、発熱シートを折り曲げた際、容易にクラックが入り、磁性材料の粉落ちが発生しやすくなる。
【0035】
表面保護層の厚さは、3μm以上30μm以下であることが好ましい。3μm以上の厚さであることで、表面保護層として発熱シート全体をばらつきなく均一に保護することが可能であり、30μm以下であることで、外観上のムラを解消することができる。より好ましい厚さは、5μm以上20μm以下である。
【0036】
ポリオルガノシロキサン組成物を含む表面保護層は、若干のタック性を有する。そこで、保管時に表面に埃等が付着するのを防止するため、すなわち表面保護層のタック性を抑制するため、表面保護層に有機系又は無機系の微粒子を添加することができる。有機系又は無機系の微粒子を添加することで、タック性を抑制することができることに加え、表面の光沢を抑制し、艶消しの効果をも発現することができる。
【0037】
有機系の微粒子としては、フッ素樹脂微粒子、シリコーン樹脂微粒子、ポリエチレン微粒子等が挙げられ、無機系の微粒子としては、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、シリカ、珪藻土、ゼオライト、ベントナイト、窒化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。これらのなかでも、分散性、生産性の観点からシリカが好ましい。
【0038】
有機系又は無機系の微粒子としては、粒径が0.05μm以上50μm以下であることが好ましい。粒径が0.05μm以上であることで、タック性抑制が発現しやすく、50μm以下であることで、微粒子の脱落を抑制しやすくなる。より好ましい粒径は0.5μm以上30μm以下であり、更に好ましい粒径は、1μm以上20μm以下である。
【0039】
有機系又は無機系の微粒子は、表面保護層に含まれるポリオルガノシロキサン組成物100質量部に対して、3質量部以上15質量部以下含有させることが好ましい。3質量部以上では低タック性が発現しやすく、15質量部以下ではスポンジで洗浄した際の耐磨耗性を満たすことができる。更に好ましい配合量は、5質量部以上11質量部以下である。
【0040】
[発熱シートの目的に応じた発熱層と表面保護層と組み合わせ]
発熱層と表面保護層とは、発熱シートの目的に応じて特性の異なるものを適宜組み合わせることができる。
【0041】
発熱シートとして、食品への焦げ目つけやクリスピー感の付与が主な目的の場合は、発熱層にはキュリー点が150℃以上300℃以下の磁性材料を用いることが好ましい。この場合、表面保護層には、繰り返しの加熱が加えられても熱劣化が抑制可能である点から、分岐構造を有する多官能シロキサン単位の含有量は、15mol%以上30mol%以下であることが好ましく、より好ましくは、18mol%以上25mol%以下である。
【0042】
発熱シートとして、電子レンジでの解凍が主な目的の場合は、発熱層にはキュリー点が10℃以上50℃以下の磁性材料を用いることが好ましい。この場合、表面保護層は、発熱シートを食品の形状へ追従させてもクラックの等が入りにくい耐屈曲性(柔軟性)に優れる点から、分岐構造を有する多官能シロキサン単位の含有量は、3mol%以上15mol%以下であることが好ましく、より好ましくは5mol%以上10mol%以下である。
【0043】
発熱シートとして、電子レンジで煮物や蒸し物への適温調理が主な目的の場合は、発熱層にはキュリー点が70℃以上120℃以下の磁性材料を用いることが好ましい。この場合、表面保護膜は、柔軟性と耐摩耗性のバランスがとれる点から、分岐構造を有する多官能シロキサン単位の含有量は、3mol%以上25mol%以下であることが好ましく、より好ましくは7mol%以上21mol%以下である。
【0044】
[中間層]
本実施形態の発熱シートは、発熱層と表面保護層との間に、更に中間層を設けることができる。より過酷な使用状況、例えば、有機系又は無機系の微粒子を添加した表面保護層を備える発熱シートが、スポンジ等により過剰な力で擦られると、使用状況によっては、微粒子の脱落や脱落した箇所を起点とした表面保護層へのクラック発生等の可能性がある。このため、表面保護層には微粒子を混合し、中間層には微粒子を添加しない、多層構造を形成することができる。
【0045】
具体的には、表面保護層が、分岐構造を有する多官能シロキサン単位を3mol%以上30mol%以下含有するポリオルガノシロキサン組成物を含み、かつポリオルガノシロキサン組成物100質量部に対して有機系又は無機系の微粒子3wt%以上15wt%以下を含むときに、中間層は、分岐構造を有する多官能シロキサン単位を3mol%以上30mol%以下含有するポリオルガノシロキサン組成物を用いることができる。このような構造とすることで、非粘着性と耐摩耗性を容易に両立させることができる。
【0046】
また、キュリー点が150℃以上300℃以下の磁性材料を用いた発熱シートに用いられる表面保護層と同様に、中間層についても、繰り返しの加熱が加えられても、熱劣化が抑制可能である点から、分岐構造を有する多官能シロキサン単位の含有量は15mol%以上30mol%以下であることが好ましく、18mol%以上25mol%以下であることがより好ましい。
【0047】
また、電子レンジでの解凍を主な目的とする発熱シート、つまり、キュリー点10℃以上50℃以下の磁性材料を用いた発熱シートの中間層は、発熱シートを食品の形状へ追従させても、クラックの等が入りにくい耐屈曲性(柔軟性)に優れる点から、分岐構造を有する多官能シロキサン単位の含有量は3mol%以上15mol%以下であることが好ましく、5mol%以上10mol%以下であることがより好ましい。
【0048】
さらに、電子レンジで煮物や蒸し物への適温調理を目的とする発熱シート、つまりキュリー点70℃以上120℃以下の磁性材料を用いた発熱シートの中間層は、柔軟性と耐摩耗性のバランスがとれる点から、分岐構造を有する多官能シロキサン単位の含有量は3mol%以上25mol%以下であることが好ましく、7mol%以上21mol%以下であることがより好ましい。
【0049】
中間層として好ましい態様の一例として、次のものが挙げられる。有機系又は無機系の微粒子を含有する表面保護層の基材が柔軟性に優れたポリオルガノシロキサン組成物、具体的には分岐構造を有する多官能シロキサン単位を3mol%以上15mol%未満含有する場合、中間層には耐熱劣化性に優れたポリオルガノシロキサン組成物、具体的には分岐構造を有する多官能シロキサン単位を15mol%以上30mol%以下含有する基材を用いることができる。このような構造とすることで、非粘着性と耐摩耗性に加えて、表面保護層は柔軟で、中間層で耐劣化性を両立するため、特に耐屈曲性(柔軟性)に優れた構成とすることができる。より好ましくは、有機系又は無機系の微粒子を含有した表面保護層の基材を、分岐構造を有する多官能シロキサン単位を5mol%以上10mol%以下含有するポリオルガノシロキサン組成物とし、かつ、中間層を、分岐構造を有する多官能シロキサン単位を18mol%以上25mol%以下含有するポリオルガノシロキサン組成物とすることができる。
【0050】
また、有機系又は無機系の微粒子を含有する表面保護層の基材が耐熱劣化性及び耐摩耗性に優れたポリオルガノシロキサン組成物、具体的には分岐構造を有する多官能シロキサン単位を15mol%以上30mol%以下含有する場合、中間層には柔軟性に優れたポリオルガノシロキサン組成物、具体的には分岐構造を有する多官能シロキサン単位を3mol%以上15mol%未満含有する基材を用いることができる。このような構造とすることで、非粘着性と耐摩耗性に加えて、表面保護層が耐熱劣化及び耐摩耗性に特に優れ、中間層で柔軟性が両立するため、特に耐熱劣化時の耐摩耗性に優れた構成とすることができる。より好ましくは、有機系又は無機系の微粒子を含有した表面保護層の基材を、分岐構造を有する多官能シロキサン単位を18mol%以上25mol%以下含有するポリオルガノシロキサン組成物とし、かつ、中間層を、分岐構造を有する多官能シロキサン単位を5mol%以上10mol%以下含有するポリオルガノシロキサン組成物とすることができる。
【0051】
表面保護層及び中間層は、ディッピング、スピンコート、スプレーコート、ハケ塗り、ロールコート、シルクスクリーン印刷等公知の塗布方法によって、発熱層の少なくとも一表面に作製することができる。これらの中でも、均一な層を形成しやすいシルクスクリーン印刷や、発熱シート側面にも表面保護層が形成可能なスプレーコート法が好ましく、中間層をシルクスクリーン印刷で実施し、表層をスプレーコート法で実施してもよいし、逆に、中間層をスプレーコート法で塗布し、最後に表層をシルクスクリーン印刷する製造プロセスを採用することもできる。
【0052】
<電子レンジ調理用補助材>
本実施形態の電子レンジ調理用発熱シートは、電子レンジ調理用補助材として好適に用いることができる。電子レンジ調理用補助材とは、発熱体を備え、電子レンジでの加熱調理において食品と接触させ、発熱体から発生する熱により外部からその食品の加熱を行うことで、魚や肉等への焦げ目つけや均一解凍、適温調理を電子レンジで可能とするものである。電子レンジ調理用発熱シートは、容器、プレート、シート、バッグ等の形状として使用することができる。
【0053】
電子レンジ調理用補助材としては、例えば、発熱シートそのものを、容器やバッグ、皿の上等に置いて使用することができるし、容器やバッグ、皿等へ一体ものとして成形して使用することもできる。また、発熱シートそのものを容器形状や皿形状に成形して使用することもできる。さらに、発熱シートを短冊状や格子状として食品へ部分的に適用することにより、例えば網目模様で焦げ目つけを行うことも可能となる。
【0054】
本実施形態の電子レンジ調理用発熱シートを適用する調理補助材としては、調理目的に応じて、樹脂、金属、紙、ガラス、陶器等公知のものから選択することができる。例えば、焦げ目付け等の高温での調理には、シリコーンゴムやシンジオタクチックポリスチレン(SPS)やポリメチルペンテン、ポリカーボネート、PTFE等のフッ素系樹脂、ポルスルホン、ポリエーテルイミド等の耐熱樹脂並びに耐熱ガラスや陶器等が好適に用いられる。また、冷凍食品の解凍等低温での料理には、マイクロ波による食品自身の内部加熱を防ぐために、電磁波不透過膜としてアルミニウムやステンレス等の金属膜を絶縁体の樹脂等に包埋した状態で併用することもできる。
【0055】
このように本発明の電子レンジ用発熱シートを調理補助材の一部として用いることで、温め、蒸す、似る、炒める、揚げる、炊く等の調理を、見た目、食感等の仕上がりよく調理することができ、さらにこれまで電子レンジ調理で難しいとされていた、焦げ目をつけて焼く料理や、均一な解凍作業もできるようになる。また、一般家庭だけでなく、直火が使いにくい店舗等での電子レンジ調理や、宅配の弁当用等での活用が可能である。
【0056】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0057】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例で用いた評価方法は、以下の通りである。
【0058】
1.柔軟性
発熱シートを折り曲げた際に、表面保護層(中間層を設けた場合には中間層を含む)にクラックが発生したかどうかを目視で評価した。
◎:発熱シートを180度折り曲げた際に、表面保護層にクラックが発生しない。
○:発熱シートを120度折り曲げた際に、表面保護層にクラックが発生しない。
△:発熱シートを90度折り曲げた際に、表面保護層にクラックが発生しない。
×:発熱シートを90度折り曲げた際に、表面保護層にクラックが発生した。
【0059】
2.非粘着性
発熱シートの全面に、小麦粉を付着させたのち、減圧弁を用いて0.1MPaの強さに調整したエアーを3秒間吹き付けて、付着した小麦粉を落とした。その後、キムワイプ(商品名;日本製紙クレシア社製)で表面を5往復こすり、シート表面に残存した小麦粉の面積で、表面保護層のタック性を評価した。
◎:残存した小麦粉がシート面積の10%以下である。
○:残存した小麦粉がシート面積の10%より大きく25%以下である。
△:残存した小麦粉がシート面積の25%より大きく50%以下である。
×:残存した小麦粉がシート面積の50%より大きい。
【0060】
3.耐熱性
発熱シートを250℃のオーブンで100時間加熱を行った後、堅牢度試験機(東洋精機製)の台にセットした。スポンジ(3M株式会社製スコッチブライト(TM))を幅2cm、長さ6cmにカットし、1ccの1%中性洗剤(P&G株式会社製ジョイ(TM))を含ませた後、堅牢度試験機の摩擦子にセットし、荷重300gで、水平方向に2000回摩耗させた。その後、表面保護層の状態を評価した。
◎:表面保護層に剥がれ、こすれ跡なし。
○:表面保護層にこすれた跡が認められた。
△:表面保護層に剥がれが認められたが、発熱層の露出は認められなかった。
×:表面保護層に剥がれがあり、発熱層の露出が認められた。
【0061】
4.耐磨耗性
上記「3.耐熱性」の耐熱性評価で用いた堅牢度試験方法において、その荷重を1kgとして同様の摩耗処理を行い、評価した。
◎:表面保護層に剥がれ、こすれ跡なし。
○:表面保護層にこすれた跡が認められた。
△:表面保護層に剥がれが認められた。
×:表面保護層に剥がれがあり、発熱層の露出が認められた。
【0062】
5.キュリー点の測定方法
磁性材料の粉体を、試料振動型磁力計で40kA/mの磁界をかけながら500℃まで昇温し、磁化がなくなる温度をキュリー点とした。
【0063】
[実施例1]
Mn−Znフェライト(LD−M:JFEケミカル社製(キュリー点230℃))及びシリコーンゴム原料を加圧型ニーダーミキサーで混練し、ゴムコンパウンドを得た。このとき、Mn−Znフェライトの含有量を80wt%、シリコーンゴム原料の含有量を20wt%とした。次に、得られたゴムコンパウンドに対してシリコーンゴム架橋剤をシリコーンゴム原料100質量部に対して2質量部で加え、ロールで均一に混合させ、170℃で5分間のプレスで成型したのち、200℃で2時間、二次架橋を行い、厚さ約1mmのシートを得た。シートを10cm×15cmの寸法に打ち抜いた後、分岐構造を有する多官能シロキサン単位が20mol%であるポリオルガノシロキサン組成物に、当該ポリオルガノシロキサン組成物100質量部に対して架橋剤8質量部、付加反応触媒0.3質量部を加え、酢酸エチルで希釈しスプレー塗布を実施した。200℃で30分間乾燥及び硬化させ、厚み15μmの発熱シートを作製した。得られた発熱シートの柔軟性、非粘着性、耐熱性及び耐磨耗性を評価した結果を表1に示す。
【0064】
[実施例2]
分岐構造を有する多官能シロキサン単位が7mol%であるポリオルガノシロキサン組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、発熱シートを作製し、評価した。得られた評価結果を表1に示す。
【0065】
[実施例3]
分岐構造を有する多官能シロキサン単位が7mol%であるポリオルガノシロキサン組成物に当該ポリオルガノシロキサン組成物100質量部に対して架橋剤8質量部、付加反応触媒0.3質量部を加え、トルエンで希釈したものを、実施例1で得られたシートにシルクスクリーン印刷で塗工し、厚さ5μmの中間層を作製した。次に、分岐構造を有する多官能シロキサン単位が20mol%であるポリオルガノシロキサン組成物に当該ポリオルガノシロキサン組成物100質量部に対して架橋剤8質量部、付加反応触媒0.3質量部、及びシリカ(ACEMATT OK607:エボニック・デグサ・ジャパン株式会社製)を6質量部加えたものを、酢酸エチルで希釈し、スプレー塗布を実施して表面保護層を作製し、計20μm厚みの発熱シートを作製した。これを実施例1と同様に評価し、得られた評価結果を表1に示す。
【0066】
[実施例4]
分岐構造を有する多官能シロキサン単位が20mol%であるポリオルガノシロキサン組成物を中間層として、分岐構造を有する多官能シロキサン単位が7mol%であるポリオルガノシロキサン組成物を表面保護層としてそれぞれ用いたこと以外は実施例3と同様にして発熱シートを作製し、評価した。得られた評価結果を表1に示す。
【0067】
[実施例5]
シリカ添加量を10wt%としたこと以外は実施例4と同様にして発熱シートを作製し、評価した。得られた評価結果を表1に示す。
【0068】
[比較例1]
分岐構造を有する多官能シロキサン単位が2mol%であるポリオルガノシロキサン組成物を用たこと以外は実施例1と同様にして発熱シートを作製し、評価した。得られた評価結果を表1に示す。
【0069】
[比較例2]
分岐構造を有する多官能シロキサン単位が38mol%であるポリオルガノシロキサン組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして発熱シートを作製し、評価した。得られた評価結果を表1に示す。
【0070】
【表1】