(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ガイドベースと、このガイドベースのサイドルーパーによって2次ループとなる被圧延材が進入する入側に設けてあるトラフ部及び上記被圧延材が圧延ロールのカリバーに向けて進行する出側に設けてあるダブルローラ部とを備えており、
上記トラフ部にはトラフ、対のトラフローラ及びトラフの振り角度調整機構を設けてあり、
上記ダブルローラ部には対の主ガイドローラ、主ガイドローラの上記入側に隣接している対の副ガイドローラ及び副ガイドローラの芯間調整機構を設けてあり、
上記トラフは、上記振り角度調整機構を通じて旋回軸を中心として旋回可能である支持体に取り付けられており、
上記対のトラフローラは、上記支持体にエキセンローラピンを中心として回転可能に取り付けられており、
上記対の主ガイドローラは主ガイドローラピンを回転中心として、上記対の副ガイドローラは副ガイドローラピンを回転中心として、それぞれガイドボックスに取り付けてあるローラホルダーに保持されており、
上記対の副ガイドローラは上記芯間調整機構を通じて芯間が調整可能である
ことを特徴とする2次ループ抑制ローラガイド。
トラフの振り角度調整機構は、固定ボルト、位置調整長溝、対のエキセンローラピン、対のトラフ用ギアホイール、トラフ用振り角度調整軸及び対のピニオンを備えており、ガイドベースに設けてある受け部と上記トラフに設けてある保持部とは上記固定ボルトによって結合されており、上記固定ボルトは上記保持部に形成してある上記位置調整長溝内を上記位置調整長溝との関係で相対的に移動可能であり、上記固定ボルトを支持体の旋回軸としており、上記対のエキセンローラピンは上記支持体に回転可能に軸受けされていると共に、上部に上記支持体内に配置されている偏心部を設けてあり、上記対のトラフ用ギアホイールは上記対のエキセンローラピンに上記偏心部を介して設けられていると共に上記対のエキセンローラピンとは互いに偏心した位置関係にあり、上記対のピニオンは上記トラフ用振り角度調整軸に取り付けられ、上記対のトラフ用ギアホイールと噛み合っており、上記対のトラフ用ギアホイールは上記トラフ用振り角度調整軸の回転に伴って互いに同一方向に回転可能であることを特徴とする請求項1記載の2次ループ抑制ローラガイド。
対のローラホルダーは支点軸を支点としてガイドボックスに開閉可能に取り付けられており、上記ローラホルダーの間隔を調整するための間隔調整機構を設けてあることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の2次ループ抑制ローラガイド。
【背景技術】
【0002】
被圧延材のローラガイドは、圧延ロールの入側又は出側に配置し、対のガイドローラを利用して被圧延材を入側に向けて誘導したり、又は出側から進行する被圧延材を誘導するものである。
また、上記圧延ロールには被圧延材を圧延するためのカリバー(孔型)が加工されており、上記被圧延材がそのカリバーを通材することによって圧延され、所定の寸法になるまで複数の圧延ロールのカリバーにて圧延される。
上記被圧延材は複数の圧延スタンドにより圧延されるが、各圧延スタンドの圧延ロールの回転数によって圧延方向に張力や圧縮力が掛かる。そして、圧延スタンド間の被圧延材に張力が掛かると、被圧延材の断面は圧延ロールの圧下方向に直交する方向の径が目標寸法よりも小さくなる。また、圧延ロール間に形成されているカリバーへの被圧延材の充満度の低下により、その表面に割れ疵やしわ疵が発生する場合がある。反対に被圧延材の圧縮力が掛かると、被圧延材の断面は圧延ロールの圧下方向に直交する方向の径が目標寸法よりも大きくなる。
このために、圧延スタンド間に張力調整装置、いわゆるサイドルーパーを設け、このサイドルーパーを通じて被圧延材にループ形状を形成することによって被圧延材に張力や圧縮力が掛からないようにしている。
上記圧延スタンド間において被圧延材を湾曲させてループ形状を形成し、ループ形状の高さが設定された基準高さになるように、ループ形状の高さに基づいて上記圧延スタンド間における上流側圧延スタンドが有する上流側圧延ロールの回転数又は下流側圧延スタンドが有する下流側圧延ロールの回転数を制御し、被圧延材に掛かる張力を調整することが行われる。
ループ制御用のループ高さ目標値は、被圧延材の種類(鋼種,断面形状寸法等)によって異なり、また同一被圧延材であっても圧延開始時からの圧延状態の変化によって異なる。
中間にサイドルーパーがある場合、被圧延材のサイドルーパー内で円弧状にループして「へ」の字状になり、その後円弧の向きとは反対向きの逆「へ」の字状、いわゆる2次ループが生じる。このループ形状のために、ローラガイドの入側のガイドローラに接触してスリ疵が発生したり、対のガイドローラの片側のみに強く当たり焼付が発生したり、上記圧延ロールのカリバーに斜めに被圧延材が誘導されるため片寄りが発生し製品不良が発生する場合がある。特に、被圧延材の先端側はこれらの影響により寸法不良も発生し易い。
このような問題が起きないよう中間のサイドルーパーの高さを一定にするよう調整しているが、上述のような問題は起きやすい状況にあるのが実態である。
この対策として、特開昭62−57707号公報で開示された熱間圧延材の誘導装置(以下「従来例1」という。)がある。この従来例1は、サイドルーパーの入口にローラーガイドを設けて被圧延材を拘束して正しく進行させるようにしたものである。
そして、特開平9−38703号公報で開示された仕上圧延機のルーパー制御方法(以下「従来例2」という。)がある。この従来例2は、スタンド間に配置しかつルーパー駆動モータにより立ち上がりするルーパーによって、ルーパー角度を制御し、この制御をすることで通板材先端及び尻抜け手前でのルーパー角度の制御を行うものである。
さらに、特開平10−5839号公報で開示された棒鋼・線材圧延機におけるループ制御方法(以下「従来例3」という。)がある。この従来例3は、圧延スタンド間の被圧延材にループを形成させるためのルーパーを設置すると共に、上記被圧延材を通材させるためのループ支点ローラ及びループ蹴り出しローラを設けて、上記ループの高さを検出するためのループ高さ検出器を設け、上記ループ高さ検出器からのループ検出値により求められるループ長及び予め設定されたループ長の目標値に基づいて、圧延スタンドの速度補正値を出力し、その出力値により目標のループ高さになるよう制御するものである。この中のループ支点ローラ、ループ蹴出しローラは、通常用いられるものであるが、被圧延材を拘束するガイドローラの説明や2次ループ制御の事の記載はない。
また、ループ調整装置を備えた連続式圧延機において、ダブルローラガイドを備えているものがある。例えば特開昭59−50909号公報で開示された圧延機用のダブルローラガイド(以下「従来例4」という。)及び特開2002−178022号公報で開示された圧延機用ダブルローラガイド(以下「従来例5」という。)等である。
一般的に、ダブルローラガイドは、圧延機に近い側に1対の主ローラ、遠い側に1対の副ローラをタンデムに配置し、それらローラを1つのガイドボックスで支持している。このガイドボックスは、通常、圧延機のハウジングに固定されている。ダブルローラガイドでは、被圧延材を確実に保持して円滑に誘導案内するために、主ローラ隙および副ローラ隙は、被圧延材の断面寸法に応じて調整している。通常、主ローラ、副ローラは同じローラホルダーに取り付けられており、同じ支点軸で面間を調整することになっている。主ローラの面間調整は、ローラホルダーの間にあるウォームギアの回転調整により行う。副ローラの面間調整は、主ローラの面間調整後、副ローラの面間調整用に取り付けてある偏芯軸の回転調整によるのが通常行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来例1は、被圧延材をフリクションガイドとガイドローラで拘束しているので上記被圧延材の詰まり防止とはなるが、サイドルーパー内で被圧延材が「へ」の字状になるため、フリクションガイドに接触しスリ疵が発生する可能性が高いのと、ローラーガイド内で逆「へ」の字、いわゆる2次ループが発生し、対のガイドローラーの片側のみに強く当たり焼付が発生したり、圧延ロールのカリバー(孔型)に斜めに被圧延材を誘導するための片寄りが発生する可能性が高い。
従来例2は、下流側のスタンドにサイドガイドを設けて被圧延材であるストリップ(通板材)を通過するものであるが、このサイドガイドにストリップを拘束するガイドローラがないため、ルーパー角度によっては上記ストリップがサイドガイドに接触しスリ疵が発生する可能性があり、このような接触があると、2次ループの影響により下流側のスタンドの圧延ロールであるワークロールに斜めに上記ストリップが誘導される可能性があるので、ストリップ先端形状が不良になる可能性がある。
従来例3は、被圧延材を拘束するガイドローラを備えていないため、2次ループ制御が不十分である。
従来のダブルローラガイドは、主ローラ、副ローラが同じローラホルダーに取り付けられているので、支点軸と主ローラとの距離が長くなり、剛性が弱くなることから、被圧延材の保持力も弱くなるのと、圧延ロールと主ローラ、副ローラの距離も長くなるので、噛み込み性が悪くなり被圧延材の倒れの原因にもなる。
そこで、支点軸と主ローラとの距離を短くすることにより、ローラホルダーの剛性が高くなり、被圧延材の保持力も強くなり、結果的に圧延ロールと主ローラ、副ローラの距離も短くなり、噛み込み性の悪化や被圧延材の倒れの問題も解消するダブルローラガイドが望まれる。そして、前述したように、中間にサイドルーパーがある場合、被圧延材のサイドルーパー内で円弧状にループして「へ」の字状になり、その後円弧の向きとは反対向きの逆「へ」の字状のループ、いわゆる2次ループが生じるので、上記サイドルーパーでの2次ループの影響を打ち消すことができるダブルローラガイドも望まれる。換言すれば、上記被圧延材がループ形状になるため、ローラガイドの入側のガイドローラに接触してスリ疵が発生したり、対のガイドローラの片側のみに強く当たり焼付が発生したり、圧延ロールのカリバーに斜めに被圧延材が誘導される片寄りが発生し製品不良が発生する場合がある。特に、被圧延材の先端側はこれらの影響により寸法不良も発生し易い。
本発明の目的は、ループ形状の被圧延材をガイドローラ又は圧延ロールのカリバーに片寄りなく誘導可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る2次ループ抑制ローラガイドの第1の特徴は、ガイドベースと、このガイドベースのサイドルーパーによって2次ループとなる被圧延材が進入する入側に設けてあるトラフ部及び上記被圧延材が圧延ロールのカリバーに向けて進行する出側に設けてあるダブルローラ部とを備えていることにある。上記トラフ部にはトラフ、対のトラフローラ及びトラフの振り角度調整機構を設けてあり、上記ダブルローラ部には対の主ガイドローラ、主ガイドローラの上記入側に隣接している対の副ガイドローラ及び副ガイドローラの芯間調整機構を設けてある。上記トラフは、上記振り角度調整機構を通じて旋回軸を中心として旋回可能である支持体に取り付けられており、上記対のトラフローラは、上記支持体にエキセンローラピンを中心として回転可能に取り付けられている。上記対の主ガイドローラは主ガイドローラピンを回転中心として、上記対の副ガイドローラは副ローラピンを回転中心として、それぞれガイドボックスに取り付けてあるローラホルダーに保持されており、上記対の副ガイドローラは上記芯間調整機構を通じて芯間が調整可能である。
本発明に係る2次ループ抑制ローラガイドの第2の特徴は上記第1の特徴を備えており、上記トラフの振り角度調整機構が固定ボルト、位置調整長溝、対のエキセンローラピン、対のトラフ用ギアホイール、トラフ用振り角度調整軸及び対のピニオンを有していることにある。
ガイドベースに設けてある受け部と上記トラフに設けてある保持部とは上記固定ボルトによって結合されており、上記固定ボルトは上記保持部に形成してある上記位置調整長溝内を
上記位置調整長溝との関係で相対的に移動可能であり、上記固定ボルトを
支持体の旋回軸としており、上記
対のエキセンローラピンは上記支持体に回転可能に軸受けされていると共に、上部に上記支持体内に配置されている偏心部を設けてあり、上記
対のトラフ用ギアホイールは上記
対のエキセンローラピンに上記偏心部を介して設けられていると共に上記
対のエキセンローラピンとは互いに偏心した位置関係にあり、上記対のピニオンは上記トラフ用振り角度調整軸に取り付けられ、上記
対のトラフ用ギアホイールと噛み合っており、上記
対のトラフ用ギアホイールは上記トラフ用振り角度調整軸の回転に伴って互いに同一方向に回転可能である。
本発明に係る2次ループ抑制ローラガイドの第3の特徴は上記第1又は第2の特徴を備えており、副ガイドローラの芯間調整機構が対の副ガイドローラピン、対のギアホイール、副ガイドローラ調整軸及び対のピニオンを有していることにある。上記各副ガイドローラピンには上記各ギアホイールをそれぞれ偏心的に設けてあり、上記副ガイドローラ調整軸には逆ねじ関係にある上記両ピニオンを取り付けてあり、上記各ギアホイールには上記各ピニオンが噛み合っており、上記副ガイドローラ調整軸の回転により、上記各ピニオンの回転力が上記ギアホイールを介して各副ガイドローラピンに伝えられ、副ガイドローラの芯間が調整可能なものとなる。
本発明に係る2次ループ抑制ローラガイドの第4の特徴は上記第1乃至第3のいずれかの特徴を備えており、対のローラホルダーは支点軸を支点としてガイドボックスに開閉可能に取り付けられており、上記ローラホルダーの間隔を調整するための間隔調整機構を設けてあることにある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、入側に角度調整可能であるトラフ及びトラフローラを有するトラフ部を設け、出側に対の主ガイドローラ及び副ガイドローラを有するダブルローラ部を設けているので、2次ループを形成している被圧延材をガイドローラ又は圧延ロールのカリバーに片寄りなく誘導することができ、接触によるスリ疵防止、被圧延材の片寄りによる製品不良の問題を解決することができ、歩留向上に寄与すると共に寸法不良発生を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係る2次ループ抑制ローラガイドについて図面を参照して説明する。
図1〜
図4において、2次ループ抑制ローラガイド1の本体はサドル2上のガイドベース3に搭載されており、上記ガイドベースとサドルとは後端部(
図2右端部)がガイドクランプ(図示せず。)によって互いに固定的に結合されている。
2次ループ抑制ローラガイド1は、ガイドベース3のサイドルーパーによって2次ループとなる被圧延材Sが進入する入側(
図1右側)に設けてあるトラフ部1a及び上記被圧延材が圧延ロールRのカリバーに向けて進行する出側に設けてあるダブルローラ部1bとを備えている。
【0009】
ガイドベース3は、
図4に示す横位置調整機構4によって圧延ラインと交差する方向である幅方向(図左右方向)に移動可能(横移動可能)であり、横の位置が調整される。横位置調整機構4は、
図4に示す例では、スライドスクリュー5及びスライドブロック6を備えている。スライドスクリュー5はサドル2をその幅方向に貫通されており、このスライドスクリューにはスライドブロック6がねじ結合されている。スライドブロック6はサドル2内の収納空間2a内に移動可能に収納されていると共に、ガイドベース3内に固定されている。このため、スライドブロック6はスライドスクリュー5の回転に伴って幅方向に所定距離移動するので、ガイドベースも同一方向に同一距離だけサドル2上を横移動することができる。スライドスクリュー5の先端にロックナットを取り付けてある。
【0010】
さて、
図1〜
図3に示す2次ループ抑制ローラガイド1のトラフ部1aは、トラフ8、対のトラフローラ9及び上記トラフの振り角度調整機構10と、上記ダブルローラ部1bは対の主ガイドローラ11、対の副ガイドローラ12及びこれらの副ガイドローラの芯間調整機構13を備えている。
トラフ部1aは、2次ループを形成している被圧延材Sが2次ループ抑制ローラガイド1の入側で接触しないようにするために、トラフ8及びこのトラフの振り角度を調整するトラフの振り角度調整機構10を設け、上記被圧延材をトラフローラ9で受けるようにしている。
【0011】
図1及び
図2に示すトラフ8は、ガイドベース3の後端側(
図2右側)に起立状態に固定してある支持体14に固定されている。トラフ8は後端側(
図2右側)から先端側に向けて次第に狭くなる角筒状に形成されている。
図1〜
図3及び
図6に示す支持体14は下部両側に保持部14aを水平状態に突出してある。各保持部14aは、ガイドベース3の上部の両側面から外方に張出してある受け部3a上に載置され、かつ旋回軸兼用固定軸となる固定ボルト15,16によって固定されている。固定ボルト15,16は、それぞれ保持部14aの位置調整長溝14a1,14a2からガイドベース3の受け部3aのねじ孔3a1,3a2にねじ込まれている。
図1〜
図3に示す押えボルト7は、保持部14aの下方に突出してある取付け部14bを貫通し、先端部が受け部3aに当接可能である。支持体14は押えボルト7によってガイドベース3に固定される。
【0012】
対のトラフローラ9は、
図1、
図2及び
図6に示すように支持体14にエキセンローラピン17を中心として回転可能に設けられている。対のトラフローラ9の対向側外周端部は、
図3及び
図5に示すようにトラフ8の内部に露出されている。
【0013】
トラフ8の振り角度調整機構10について
図1、
図2及び
図5〜
図7を参照して説明する。
図5〜
図7において、トラフ8の振り角度調整機構10は、前記固定ボルト15,16及び前記位置調整長溝14a1,14a2、エキセンローラピン17、トラフ用ギアホイール18、トラフ用振り角度調整軸19、対のピニオン20を備えている。
固定ボルト15,16は、
図5及び
図6に示すように両保持部14aに端面から入側(
図5右側)に向って切り込んである位置調整長溝14a1,14a2内に移動可能に差し込まれている。支持体14は、固定ボルト15,16のいずれか一方を旋回軸として旋回可能である。支持体14の旋回を通じてトラフ8の振り角度が調整される。
また、エキセンローラピン17は、
図6及び
図7に示すように下部のエキセンピース21及び上部に偏心的に設けてある偏心部22を介して支持体14に回転可能に軸受けされている。トラフ用ギアホイール18はエキセンローラピン17の上端部に偏心部22を介して設けられ、支持体14上に位置している。トラフ用ギアホイール18とエキセンローラピン17とは互いに偏心した位置関係にある。
図1及び
図2に示すように、トラフ用振り角度調整軸19は支持体14上に設置してあるぺデスタル23に回転可能に軸受けされており、着脱可能であるラチェットレンチ24によって回転力が付与される。対の伝達歯車であるピニオン20は、
図1に示すように、トラフ用振り角度調整軸19に取り付けられ、ぺデスタル23を挟んで被圧延材Sの案内方向と交差する方向(
図1上下)に沿って対向的に配置されている。両ピニオン20は、それぞれトラフ用ギアホイール18と噛み合っている。両トラフ用ギアホイール18はトラフ用振り角度調整軸19の回転に伴って互いに同一方向に回転可能である。両トラフ用ギアホイール18の回転力がエキセンローラピン17に対して偏心している偏心部22に伝えられ、その回転によって支持体14が旋回可能となる。
図2及び
図7において、25はトラフ用ギアカバーである。
【0014】
図1、
図2及び
図4において、2次ループ抑制ローラガイド1のダブルローラ部1bにおいて、ガイドベース3上にガイドボックス26を固定してある。ガイドボックス26には、左右両側(
図1上下両側)の位置に対のローラホルダー27を支点軸となるホルダーボルト28を支点として開閉可能に配置してある。ガイドボックス26の後端(
図1右端)にはエントリーガイド29を取り付けてある。
図2において、30はエントリーガイド29の押しボルトである。
図1及び
図2に示すように、ローラホルダー27の先端部には、対の主ガイドローラ11が主ガイドローラピン31にこれを回転中心として回転自在に軸支されている。そして、ローラホルダー27には、主ガイドローラ11に入側(
図1右側)で隣接している対の副ガイドローラ12が副ガイドローラピン32にこれを回転中心として回転自在に軸支されている。主ガイドローラ11及び副ガイドローラ12は、被圧延材Sを圧延ロールRに誘導する。
【0015】
副ガイドローラ12の芯間調整機構13について
図1、
図2及び
図8を参照して説明する。
図1及び
図8に示すように、各副ガイドローラピン32にはギアホイール33を設けてあり、双方のギアホイールには伝達歯車であるピニオン34が噛み合っている。対のピニオン34は互いに逆ねじ関係にあって副ガイドローラ調整軸35に取り付けられていると共に、この副ガイドローラ調整軸を軸受けしているぺデスタル36を挟んで対向的位置にある。ぺデスタル36は、
図2及び
図8に示すようにガイドボックス26上に設置されている。副ガイドローラ調整軸35にはラチェットレンチ37が着脱可能であり、このラチェットレンチを回転操作することにより、副ガイドローラ調整軸を介して対のピニオン34に回転力が付与される。
副ガイドローラ調整軸35を回転させることにより、ピニオン34の回転力がギアホイール33を介して各副ガイドローラピン32に伝えられ、副ガイドローラ12の芯間がパスラインに対して中心振り分けで調整可能なものとなる。
【0016】
また、
図1、
図2、
図4及び
図9において、2次ループ抑制ローラガイド1のダブルローラ部1bにはローラホルダー27の間隔調整機構38を設けてあるので、以下この間隔調整機構について説明する。
図1及び
図9において、各ローラホルダー27の後端部27aにはプレッシャーピン39を設けてある。被当接部となるプレッシャーピン39の先端部は、ガイドボックス26の後端部にそれぞれ設けてある当接部となるスクリュースピンドル40に当接している。各スクリュースピンドル40の雄ねじ部40aは、ガイドボックス26に設けてあるラチェット41に互いに逆ねじの雌ねじ部に噛合されている。ラチェット41にはラチェットハンドル42が接続されており、ラチェットハンドルはガイドボックス26上に起立されている。ラチェットハンドル42の操作によってラチェット41を回転させることができる。43はキースクリューである。
図1、
図2及び
図9において、ローラホルダー27の後端部間にはテンションばね44を渡してある。テンションばね44は、ローラホルダー27の後端側の各プレッシャーピン39をスクリュースピンドル40に当接させるためのものである。テンションばね44は、主ガイドローラ11及び副ガイドローラ12の間隔を開くようにして、各ローラホルダー27のプレッシャーピン39に押圧している。
したがって、ラチェットハンドル42によってラチェット41を回転させると、ターンバックルを構成しているスクリュースピンドル40を通じてローラホルダー27の後端部がテンションばね44のばね力に抗して開き、反対にばね力に付勢されて閉じ、このような開閉によってローラホルダー27の先端部側の間隔が調整され、この結果主ガイドローラ11及び副ガイドローラ12の間隔も調整される。
【0017】
次に、本発明に係る2次ループ抑制ローラガイドの使用方法及び被圧延材の誘導方法について、主に
図1、
図2、
図5及び
図10を参照して説明する。
なお、
図10では、2次ループ抑制ローラガイド1内を通材する被圧延材Sは本来点線で示すべきであるが、進行状態を明確にするために点線ではなく実線で示している。
図10において、一方(図右方)の図示していない圧延機の出側に対のガイドローラ45を有するローラガイド(図示せず。)を、他方(図左方)の図示していない圧延機の入側に2次ループ抑制ローラガイド1をそれぞれ配置してある。また、上記ローラガイドと2次ループ抑制ローラガイド1との間の
図10の右側に蹴出しローラ46及び支持ローラ48を、左側に蹴出しローラ47を設けてある。
なお、図示していないが、上記圧延機間にサイドルーパーを配置してある。
圧延機間で被圧延材Sを誘導する過程では、被圧延材Sは
図10に示すように蹴出しローラ46,47間で緩やかな凸状に湾曲する被圧延材のループSaが形成され、蹴出しローラ47側ではこの蹴出しローラによって被圧延材の2次ループSbが形成されて2次ループ抑制ローラガイド1のトラフ8内に進入する。
このような被圧延材の2次ループSbが2次ループ抑制ローラガイド1によって真っすぐ圧延ロールR(
図2鎖線)のカリバーに誘導されるようにする必要がある。
【0018】
そこで、誘導前に2次ループを形成している被圧延材Sに対して最適な誘導を図るために、トラフ8の振り角度調整、ローラホルダー27の間隔調整及び副ガイドローラ12の芯間調整をしておく。すなわち、
トラフ8の振り角度調整を行う場合にはトラフの振り角度調整機構10を用いる。
図1及び
図3において、支持体14を旋回軸である固定ボルト15又は固定ボルト16を中心して旋回できるようにする。
図5に示す例では、一方の固定ボルト15を旋回軸としている。この場合、一方の固定ボルト15の締め付けを少し緩め、他方の固定ボルト16に関してはこれを緩め、ねじ孔3a2(
図6)からねじ部を上方の位置調整長溝14a2まで後退(上昇)させる。この状態で、
図1に示すラチェットレンチ24をトラフ用振り角度調整軸19の端部に装着して回すと、その回転力がピニオン20を介してトラフ用ギアホイール18から偏心部22に伝達され、この結果
図5鎖線に示すように支持体14がトラフ8及びトラフローラ9と共に、固定ボルト15を中心として反時計方向に旋回する。トラフ用振り角度調整軸19の回転量を調整しながら、トラフ8の振り角度を調整して被圧延材Sのループ形状に合わせる。
調整後、固定ボルト15,16を締め付けて支持体14の保持部14aをガイドベース3の受け部3aに固定する。
トラフ8を
図5実線の位置から時計方向に旋回させてその振り角度を調整する場合には、一方の固定ボルト15を緩めてねじ孔3a1から位置調整長溝14a1まで後退させ、他方の固定ボルト16の締め付けを少し緩めてから、この他方の固定ボルトを旋回軸とすれば良い。
【0019】
ローラホルダー27の間隔調整を行う場合には間隔調整機構38を用いる。
図1、
図4及び
図9に示すように、ラチェットハンドル42によってラチェット41を回転させると、スクリュースピンドル40を通じてローラホルダー27の後端部がテンションばね44のばね力に抗して開き、又は反対にばね力に付勢されて閉じ、このような開閉によってローラホルダー27の先端部側の間隔が調整される。この結果、主ガイドローラ11及び副ガイドローラ12の間隔も調整される。
ラチェット41の回転量を調整しながら、対のローラホルダー27の最適な間隔調整を行う。
【0020】
副ガイドローラ12の芯間調整を行う場合には芯間調整機構13を用いる。
図1、
図2及び
図8に示すように、ラチェットレンチ37を用いて副ガイドローラ調整軸35を回転させて、その回転力を各ピニオン34に伝えると、各ピニオンに噛み合っている各ギアホイール33が回転し、各ギアホイールと偏心的な位置関係にある副ガイドローラピン32が偏心回転し、芯間が調整される。副ガイドローラ調整軸35の回転量を調整しながら、副ガイドローラ12の最適な芯間調整を行う。
【0021】
それぞれ上記のような調整を終えた後、上流側(
図10右側)の圧延機から出た被圧延材Sは2次ループ抑制ローラガイド1を通じて下流側の圧延ロールR(
図2鎖線)のカリバーに誘導されてそこで圧延される。圧延の過程では、サイドルーパー内で形成された被圧延材Sの2次ループSbは、振り角度が調整されたトラフ8から対のトラフローラ9に進行し、トラフローラによって副ガイドローラ12に案内され、さらに主ガイドローラ11によって圧延ロールRのカリバーに向けて誘導される。
【0022】
図1に示す2次ループ抑制ローラガイド1によれば、サイドルーパー内で2次ループSbを形成した被圧延材Sは、ローラガイド入側にトラフ部1aを形成し、このトラフ部のトラフ8の振り角度を調整可能にしているので、入側での2次ループ抑制ローラガイドとの接触を防止することができる。そして、上記被圧延材Sは、2次ループ抑制ローラガイド1の入側に設けてある対のトラフローラ9と出側に設けてあるダブルローラ部1bの対の副ガイドローラ12により2次ループの影響を打ち消されながら、ダブルローラ部の対の主ガイドローラ11により圧延ロールRのカリバーに真っすぐ誘導される。
このことにより、2次ループ抑制ローラガイド1への被圧延材Sの接触によるスリ疵防止、対の主ガイドローラ11の片側のみに強く当たって焼付が発生する問題の解決、被圧延材が圧延ロールRのカリバーに斜めに誘導されるため片寄りが発生し製品不良が発生する問題がなくなり、上記被圧延材の片寄りによる製品不良の歩留向上に寄与すると共に寸法不良発生を抑制することが可能となる。
そして、
図1に示す2次ループ抑制ローラガイド1によれば、主ガイドローラ11と支点軸28との距離を短くしているので、ローラホルダー27の剛性が高くなり、被圧延材Sの保持力も強くなり、結果的に圧延ロールRと主ガイドローラ11、副ガイドローラ12の距離も短くなり、噛み込み性や被圧延材の倒れの問題も解消することが可能となる。
このように、
図1に示す2次ループ抑制ローラガイド1によれば、サイドルーパーでの2次ループSbの影響を一体化したトラフ8とトラフローラ9を備えたトラフ部1aとダブルガイドローラ11,12を備えたダブルローラ部1bにより確実に打ち消すことができる。