特許第5953149号(P5953149)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5953149
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】高齢者安否確認方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20160707BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20160707BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
   G08B25/04 K
   G08B21/02
   H04M11/00 301
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-151683(P2012-151683)
(22)【出願日】2012年7月5日
(65)【公開番号】特開2014-16662(P2014-16662A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2015年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】592161372
【氏名又は名称】日本システムウエア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105946
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 富彦
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 孝行
(72)【発明者】
【氏名】石田 和美
【審査官】 望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開平2−265395(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/050154(WO,A1)
【文献】 特開2006−217392(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3064704(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B25/04
G08B21/02
H04M11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の高齢者宅に設置される室内端末と、高齢者の安否確認を依頼した複数の依頼者用の端末と、高齢者の安否確認を行うセンターに設置されるセンター端末とがインターネット回線を介して動画と音声による双方向通信可能に接続され、高齢者との通話記録のデータを保存する通話記録データベースと、高齢者の情報が記録されたカルテを保存する個人情報データベースとを備える高齢者の安否確認システムにおける高齢者の安否確認方法であって、
前記センター端末が前記室内端末を呼出すと、前記室内端末のタッチパネル式操作画面に受信用メニュー画面を表示する呼出しステップと、
前記呼出しステップが行われ、前記受信用メニュー画面に表示されるメニューのうち応答に対応するメニューに触れると、前記センター端末と前記室内端末の双方向通信が開始され、前記双方向通信の内容が録画録音され、前記通話記録データベースに保存され、前記センター端末の画面には、通信中の高齢者のカルテと、カルテの入力画面と、前記室内端末からの画像が表示され、前記室内端末の前記タッチパネル式操作画面に前記センター端末からの画像が表示される通常通信ステップと、
前記呼出しステップが行われ、前記室内端末が応答しないとき、前記センター端末からの呼出しが取り消され、前記センター端末の画面には再呼出しを行うスケジュールが設定されて、再呼出しを行う再呼出し通信ステップと、
前記呼出しステップが行われ、前記受信用メニュー画面に表示されるメニューのうち保留に対応するメニューに触れたとき、前記センター端末からの呼出しが取り消され、前記センター端末の画面と前記室内端末の画面には保留中であることを示す表示がされる呼出し保留ステップと、
前記再呼出し通信ステップを所定回数実行し、再呼出しが行われても前記室内端末が応答しないとき、前記センター端末の制御により前記室内端末を作動させて双方向通信を開始する制御通信ステップと、
前記室内端末のタッチパネル式操作画面に触れると、発信用メニュー画面が表示され、前記発信用メニュー画面に表示されるメニューのうち発信に対応するメニューに触れると、前記センター端末を呼出し、前記センター端末が呼び出されると応答して、双方向通信機能を開始するセンター端末呼出しステップと、
前記依頼者用の端末が前記通話記録データベースと前記個人情報データベースにアクセスしてアクセス権限のある情報を閲覧する閲覧ステップと、を備えることを特徴とする高齢者安否確認方法。
【請求項2】
前記センター端末呼出しステップにおいて、前記センター端末が前記室内端末と通信中に他の室内端末から前記センター端末に呼出しがある場合、前記センター端末の画面には前記他の室内端末からの呼出しを感知する表示がされることを特徴とする請求項記載の高齢者安否確認方法。
【請求項3】
前記センター端末は前記室内端末を制御可能であり、前記室内端末のタッチ式パネル画面に前記センター端末からの情報を表示するステップを備えることを特徴とする請求項記載の高齢者安否確認方法。
【請求項4】
前記室内端末の前記タッチパネル式操作画面には、操作が行われないとき、待機用画面が表示され、前記タッチパネル式操作画面に触れると前記発信用メニューが表示され、前記センター端末からの呼出しがある場合、前記受信用メニューが表示され、前記待機用画面は任意の画面に設定できることを特徴とする請求項記載の高齢者安否確認方法。
【請求項5】
前記室内端末を呼出すとき、前記センター端末の前記画面には、前記個人情報データベースに保存され閲覧のみ可能な過去カルテとカルテ入力画面とが表示され、前記室内端末の呼出し時から前記カルテ入力画面への入力が行え、前記双方向通信終了時に前記カルテ入力画面を閉じることを特徴とする請求項記載の高齢者安否確認方法。
【請求項6】
前記センター端末には担当する複数の高齢者一覧が表示され、前記高齢者一覧から一人を選択すると前記個人情報データベースに保存されるカルテ情報が表示され、該当する前記室内端末に発信するメニューが表示され、発信が行われると、カルテ入力画面が表示されることを特徴とする請求項記載の高齢者安否確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高齢者宅に設置される室内端末と高齢者の安否確認を行うセンターに設置されるセンター端末と高齢者の安否確認を依頼した依頼者用の端末が通信回線を介して双方通信可能に接続して、高齢者の安否確認を行う高齢者安否確認システムにおける高齢者の安否確認方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高齢化が進むにつれ、高齢者世帯を見守る多様なシステムが提供されている。高齢者宅を訪問して安否確認を行うシステム、高齢者宅にセンサー機器を設置して、センサーの内容により安否確認を行うシステムや夕食等の宅配サービス時の安否確認によるシステムなどが提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録3064704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
訪問型は担当者一人が訪問できる数に限りがあり毎日訪問して確認を行うことは困難であり、センサー機器による安否確認は高齢者の健康状態の把握まではできない、また、宅配サービスはコストがかかるというようにそれぞれ課題があった。また、安否確認を依頼した依頼者は、高齢者の状態を知りたいときは、自ら問い合わせをしたり、担当者からの連絡を待つしかないという状態であった。
【0005】
そこで、本発明の高齢者安否確認方法は、通信回線を利用して高齢者の状態を高齢者の負担にならないように把握し、訪問が必要な人を見極めて、介護者等の訪問を効率よく行うことを目的とする。また、安否確認を依頼した依頼者がいつでも安否確認対象者の状況を把握できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の高齢者の安否確認システムにおける高齢者の安否確認方法は、複数の高齢者宅に設置される室内端末と、高齢者の安否確認を依頼した複数の依頼者用の端末と、高齢者の安否確認を行うセンターに設置されるセンター端末とがインターネット回線を介して動画と音声による双方向通信可能に接続され、高齢者との通話記録のデータを保存する通話記録データベースと、高齢者の情報が記録されたカルテを保存する個人情報データベースとを備える高齢者の安否確認システムにおける高齢者の安否確認方法であって、(1)センター端末が室内端末を呼出すと、室内端末のタッチパネル式操作画面に受信用メニュー画面を表示する呼出しステップと、(2)呼出しステップが行われ、受信用メニュー画面に表示されるメニューのうち応答に対応するメニューに触れると、センター端末と室内端末の双方向通信が開始され、双方向通信の内容が録画録音され、通話記録データベースに保存され、センター端末の画面には、通信中の高齢者のカルテと、カルテの入力画面と、室内端末からの画像が表示され、室内端末のタッチパネル式操作画面にセンター端末からの画像が表示される通常通信ステップと、(3)呼出しステップが行われ、室内端末が応答しないとき、センター端末の呼出しが取り消され、センター端末の画面には再呼出しを行うスケジュールが設定されて、再呼出しを行う再呼出し通信ステップと、(4)呼出しステップが行われ、受信用メニュー画面に表示されるメニューのうち保留に対応するメニューに触れたとき、センター端末からの呼出しが取り消され、センター端末の画面と室内端末の画面には保留中であることを示す表示がされる呼出し保留ステップと、(5)再呼出し通信ステップを所定回数実行し、再呼出しが行われても室内端末が応答しないとき、センター端末の制御により室内端末を作動させて双方向通信を開始する制御通信ステップと、(6)室内端末のタッチパネル式操作画面に触れると、発信用メニュー画面が表示され、発信用メニュー画面に表示されるメニューのうち発信に対応するメニューに触れると、センター端末を呼出し、センター端末が呼び出されると応答して、双方向通信機能を開始するセンター端末呼出しステップと、(7)依頼者用の端末が通話記録データベースと個人情報データベースにアクセスしてアクセス権限のある情報を閲覧する閲覧ステップと、を備える。
【0007】
ここで、センター端末呼出しステップにおいて、センター端末が室内端末と通信中に他の室内端末からセンター端末に呼出しがある場合、センター端末の画面には他の室内端末からの呼出しを感知する表示がされる。また、センター端末は室内端末を制御可能であり、室内端末のタッチ式パネル画面にセンター端末からの情報を表示するステップを備える。
【0008】
室内端末のタッチパネル式操作画面には、操作が行われないとき、待機用画面が表示され、タッチパネル式操作画面に触れると発信用メニューが表示され、センター端末からの呼出しがある場合、受信用メニューが表示され、待機用画面は任意の画面に設定できる。
【0009】
室内端末を呼出すとき、センター端末の画面には、個人情報データベースに保存され閲覧のみ可能な過去カルテとカルテ入力画面とが表示され、室内端末の呼出し時からカルテ入力画面への入力が行え、双方向通信終了時にカルテ入力画面を閉じる。
【0010】
センター端末には担当する複数の高齢者一覧が表示され、高齢者一覧から一人を選択すると個人情報データベースに保存されるカルテ情報が表示され、該当する室内端末に発信するメニューが表示され、発信が行われると、カルテ入力画面が表示される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の高齢者安否確認方法によれば、安否確認対象者と安否確認を行う担当者がお互いの顔を見ながら通話ができるので、安心しながら対話ができ、顔色、表情、言葉などから安否確認対象者の状態を把握することができる。これにより、介護者等訪問担当者が訪問を必要とする人を決めることができるので、訪問を効率よく行うことができる。また、依頼者用端末から依頼した高齢者の通話記録が保存されているデータベースにアクセスできるので、いつでも高齢者の状況を確認することできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は本願発明の実施形態に係る高齢者安否確認システムの全体的な構成を示す図である。
図2図2図1の高齢者宅に設置する室内端末の構成を示すブロック図である。
図3図3(a)、(b)、(c)は図2の室内端末のタッチ式パネル表示器の表示画面の一例を示す図である。
図4図4図1のセンター端末の構成を示すブロック図である。
図5図5図1の高齢者安否確認システムのセンター端末の表示画面の一例である。
図6図6図1の高齢者安否確認システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の高齢者安否確認方法を実施する一形態を図面を参照しながら説明する。実施の形態では、高齢者の安否確認を行うもの(団体、事業所等)を見守りセンターと称し、安否確認を行う対象者として高齢者一人を例にとり説明する。高齢者の安否確認の依頼を見守りセンターに依頼した者を依頼者と称する。実施の形態では、安否確認対象者を高齢者としているが、高齢者に限らず、様々な年代の人を対象とすることができる。
【0014】
図1は本願発明の実施形態の高齢者安否確認システムの全体的な構成図である。図1に示すように、第1実施形態の高齢者安否確認システム1は、高齢者の安否確認を行う見守りセンターに設置されるセンター端末2と、安否確認対象者の高齢者宅に設置される室内端末3と、高齢者の安否確認を依頼した依頼者が使用する依頼者用端末4とが通信回線を介して双方向通信可能に接続され、それぞれの端末から安否確認対象者に関するデータが保存されるデータストレージ5に接続可能である。見守りセンターには、複数のセンター端末2が設置され、見守り対象者は複数人いて、それぞれの室内に室内端末3が設置されている。データストレージ5には、安否確認対象者の個人情報が記されたカルテが保存される個人情報データベースと、安否確認時の通話を録画・録音したデータが保存される通話記録データベースとが保存されている。データストレージ5は、見守りセンター内部又は外部に設置することができる。
【0015】
図2は高齢者宅に設置される室内端末3の構成を示すブロック図であり、図3に室内端末のタッチパネル式表示器に表示される画面の一例を示す。
図2に示すように、高齢者宅の室内端末3は、室内端末3の制御を行う室内端末制御部30と、タッチパネル式表示器31と、カメラ32と、マイク33と、スピーカー34と、通信インターフェイス35とを備えている。
【0016】
安全確認の対象者である高齢者の室内に設置される室内端末3のタッチパネル式表示器31は、タッチパネル式であり、画面に表示されるメニューに従って画面に触れて操作を行う。高齢者が行う操作は画面に触れるという動作だけで済むので、高齢者でも容易に操作が可能である。
【0017】
また、室内端末3は電源をオンにするだけで、使用することができるように設計されていて、煩わしい設定を行う必要がない。そして、室内端末3は通信回線を通して電源のオン、オフや、呼出し時に強制的に応答させることができるように制御可能であるので、電源のオフ時に呼出しがあった場合、自動的に電源がオンになるように設定可能である。
【0018】
また、室内端末3の画面の明るさにより睡眠等の妨げにならないように、室内端末3は端末の画面をオフにする時刻を設定することができる。例えば、就寝する時間を予め設定し、設定した就寝時刻になるとタッチパネル式表示器の画面が消える。再び点灯したい場合は、タッチパネル式表示器の画面にいずれかに触れることで点灯する。
【0019】
室内端末3により、通信を行う際には、室内端末制御部30の制御により通信インターフェイス35を介して通信網に接続し、マイク33で高齢者の音声を入力し、相手の音声をスピーカー34から出力し、カメラ32により高齢者を映して通信相手にその画像を送信し、通信相手の画像がタッチパネル式表示器31の表示画面に映し出されて、互いに相手の顔を見ながら会話を行う。
【0020】
図3にタッチパネル式表示器31に表示される画面の一例を示す。図3(a)は、待機メニューであり、通信が行われないときに表示される画面である。この待機メニューでは、日付と時刻と画面の変更案内である「画面にタッチすると、メニュー画面になります」とが表示されている。
【0021】
そして、例えば、待機メニュー表示時に画面に触れると、図3(c)に示すように、発信用メニューが表示される。発信用メニューは、高齢者から見守りセンターや連絡先として登録している病院を呼出す時に表示され、図3(c)に示すように、見守りセンターを呼出す「見守りセンター呼出し」と病院を呼出す「病院」のメニュー項目と、その他のメニュー項目、例えば、「健康管理」、写真が表示される「写真」、待機メニューに戻る「時計」が表示される。その他のメニュー項目は、任意に設定することが可能である。例えば、誤って発信用メニューを表示してしまったときや、発信用メニューを表示したが見守りセンター又は病院の呼出しをやめたいときに発信用メニューから待機画面など他のメニュー画面に戻る場合に設定されるメニュー項目や、待機画面を変更するメニュー項目など、任意に設定が可能である。
【0022】
図3(c)に示すように、発信用メニューでは、「見守りセンター呼出し」のメニュー項目を他のメニュー項目より大きく表示し、認識しやいようにしている。高齢者が表示画面を見てメニューが見やすく、必要なメニュー項目をすぐに認識できるのであれば、表示画面におけるメニュー項目の大きさや表示場所、メニュー項目の種類など、適宜任意に設定可能である。
【0023】
図3(b)は見守りセンターから室内端末3を呼出しときに室内端末3のタッチパネル式表示器31の画面に表示される受信用メニューである。図3(b)に示すように、受話器のイラストと着信中の文字が画面の上半分に表示され、画面の下半分には、見守りセンターからの呼出しへの対応を選択するメニュー項目「話す」と「後で」が表示される。「話す」のメニュー項目にタッチした場合、見守りセンターとの通信が開始され、「後で」にタッチした場合、見守りセンターからの呼出しが切断される。また、受信用メニューが表示されると、スピーカー34から着信音がなる。
【0024】
次に、見守りセンターに設置されるセンター端末2について説明する。見守りセンターには、複数のセンター端末2が設置され、センター端末2を使用して見守りを行う複数の担当者が在籍し、一人の担当者が見守りを行う対象者は複数人いて、予め決定されている。図4に示すように、センター端末2は、センター端末の制御を行うセンター端末制御部20と、表示器21と、カメラ22と、マイク23と、スピーカー24と、通信インターフェイス25と、マウスやキーボード等の入力装置26とを備えている。
【0025】
センター端末2から高齢者の室内端末3を呼出して通信を行う際には、センター端末制御部20の制御により、通信インターフェイス25を介して通信網に接続し、マイク23で担当者の音声を入力し、高齢者の音声をスピーカー24から出力し、カメラ22により担当者の顔を映して高齢者の室内端末3にその画像を送信し、高齢者の画像が表示器21の画面に映し出されて、互いに相手の顔を見ながら通話を行う。
【0026】
図5にセンター端末の表示器21の画面に表示される画面の一例を示す。図5に示すように、表示画面210の左側の高齢者の一覧表示部211には担当者が担当している高齢者の名前が表示される。そして、マウス等のポインティングデバイスにより高齢者を一人選択すると、高齢者の情報を記したカルテがカルテ表示部212に表示される。ここでカルテとは、高齢者の名前と住所、緊急連絡先の名前と電話番号、既往症、通信時の会話において気付いたことなどが通信日時毎に記されているものである。カルテ表示部212には過去に登録された過去カルテと新たに入力する入力画面が表示される。カルテは通信当日に入力されるデータのみが登録及び変更可能であり、過去に入力されたものは変更ができない。カルテはその画面を閉じるとデータストレージ5の個人情報データベースに保存される。
【0027】
高齢者の一覧から安否確認を行う高齢者を選択して室内端末3を呼出し、呼出された室内端末3の「話す」のメニュー項目がタッチされると、双方向通信が開始され、通信内容の録音・録画が自動で開始される。通信内容は、高齢者の室内端末3からの映像(動画)と音声とセンター端末2側の映像(動画)と音声が一緒に録音・録画され、通話が終了すると、自動的に録画データとして、通話記録データベースに通話記録毎に保存される。
【0028】
センター端末2と室内端末3との双方向通信中に、センター端末2を使用している担当者が担当する他の高齢者の室内端末から呼出しがあった場合、センター端末2の表示画面には着信があることを知らせる表示、例えば、「緊急着信」等の文字が表示され、通信中であっても、着信に応答することができる1対n通信が可能なように設計されている。室内端末からの呼出しは、緊急の可能性が高いので、担当者が必ず応答できるように画面表示の他に音を鳴らす、ランプが点灯するなど他の手段を併用してもよい。
【0029】
図5に示す表示画面210の画像表示部213には、安否確認対象の室内端末3から送られてくる映像が表示される。図5では、高齢者の一覧表示部211やカルテ表示部212に対して、画像表示部213を大きくして、高齢者の顔が表示されるとき、表情をよく見えるようにして、少しの変化にも気付くようにしてある。これにより、通話をしながら、表情、顔色、仕草、言葉等から健康状態を把握することができる。
【0030】
通話中にカルテ表示部212を大きく表示したり、それぞれの表示部の位置を変更したり、表示部の切り換えや変更は任意に設定変更が可能である。
【0031】
次に、センター端末2から室内端末3を呼出した場合のシステムの動作を図6のフローチャートを用いて説明する。
最初に、センター端末2の表示画面210の高齢者の一覧表示部211に表示される安否確認対象者の一覧から呼出す人を選択すると、通信インターフェイス25を介して室内端末3を呼出し(S100)、データストレージ5の個人情報データベースから該当のカルテが呼び出され、カルテ表示部212に表示される。
【0032】
室内端末3が呼び出されると、室内端末3のタッチパネル式表示器31の画面には、図3(b)に示すような受信用メニューが表示され(S101)、受信用メニューの「話す」又は「後で」に触れたかどうかを判断する(S102、S103)。高齢者が受信用メニューの「話す」に触れると、双方向通信が開始され、録画・録音が自動的に開始される(S108)。通話が完了して双方向通信が切断されると、録画・録音が自動的に終了し(S109)、録画・録音が通話データとしてデータストレージ5の通話記録データベースに保存される。
【0033】
また、センター端末制御部20は、室内端末3を呼出している時間を計り、所定時間が経過しても、室内端末3の受信用メニューの「話す」又は「後で」のどちらにも触れていないと判断した場合、センター端末2からの呼出しを解除し(S104)、再呼出しの時間を設定する(S105)。再出し回数は予め設定されていて、「話す」又は「後で」のどちらにも触れないとき、再呼出しを所定回数行う(S106)。再呼出しを所定回数行ったが、何も応答がない場合、センター端末制御20は、室内端末3を強制的に作動させて(S107)、双方向通信を開始し、録画・録音が自動的に開始される(S108)。強制的に室内端末3を作動させて、スピーカー34から音声による呼びかけや音を発生させても応答がない場合、双方向通信を終了させる(S109)。その後は見守りセンターの規定に従い最適な対応がとられる。
【0034】
室内端末3の呼出し時に、受信用メニューの「後で」に触れたとき、センター端末2からの呼出しが解除され、センター端末2では再呼出しを行う時間が設定され、室内端末3では保留中であることを示す表示が行われる(S110)。設定時間になるとセンター端末2から室内端末3の再呼出しが行われる(S111)。再呼出しを行っても受信用メニューの「話す」に触れないとき、センター端末2からの呼出しを解除し、見守りセンターの規定に従い対応する(S113)。この場合、呼出し時に「後で」のメニュー項目に触れているため、安否確認対象からの反応がありと判断され、何もメニュー項目に触れない場合と比べて、訪問が必要と判断される可能性が低くなる。
【0035】
上記の動作の例では、「後で」のメニュー項目に触れると、再呼出しを行い、通話が開始されないと、呼出しを解除していたが、何も応答がないときと同様に、所定回数呼出し後に、強制的に双方向通信を開始してもよい。
【0036】
次に、依頼者用端末4からデータストレージ5へのアクセスについて説明する。依頼者用端末4はデータストレージ5の通話記録データベースに保存される通話記録を閲覧でき、見守りセンターへの連絡事項を入力することができる。依頼者用端末4では、データ表示と入力が行えればよく、汎用の通信端末、例えば、コンピュータやタブレット端末等を使用することができる。
【0037】
安否確認システムに接続するときは、インターネット網を介して接続し、ウェブブラウザ上にて、データストレージ5に保存されている通信記録を閲覧する。安否確認システム1に接続するとき、セキュリティ対策として、ログイン情報を入力して、システムへのアクセス権限があるかどうかを判断する。システムにログインすると、「通話記録の閲覧」や「見守りセンターへの連絡」などのメニュー画面が表示される。そして、通話記録の閲覧を選択すると、録画日付の一覧が表示され、所望の日付を選択して録画データを閲覧することができる。録画を見て、気付いたことや見守りセンターへの連絡事項があるときは、メニュー画面の「センターへ連絡」を選択すると、入力画面が表示され、入力が終わると送信ボタンを押して終了する。
【0038】
依頼者は、見守りセンターからの連絡を待ったり、自ら見守りセンターに問い合わせたりせずに、依頼者用端末4により、いつでもシステム1に接続して依頼した高齢者の通話記録データベースにアクセスして高齢者の状況を確認できるので、利便性が高まると同時に安心感を得ることができる。
【0039】
また、センター端末2から室内端末3を作動させることができるので、緊急の連絡事項がある場合に作動させて表示することができる。
【0040】
上記の実施の形態の説明では、高齢者の安否確認を行うように依頼した依頼者がいたが、高齢者が自分の安否確認を見守りセンターに依頼することができる。この場合、安否確認対象者と依頼者が同一となるので、室内端末3が依頼者用端末4を兼ねることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 高齢者安否確認システム
2 センター端末
3 室内端末
4 依頼者用端末
5 データストレージ
20 センター端末制御部
21 表示器
22,32 カメラ
23,33 マイク
24,34 スピーカー
25,35 通信インターフェイス
26 入力装置
30 室内端末制御部
31 タッチパネル式表示器
図2
図4
図6
図1
図3
図5