特許第5953175号(P5953175)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5953175
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】振動抑制吊構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/18 20060101AFI20160707BHJP
【FI】
   E04B5/58 S
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-174343(P2012-174343)
(22)【出願日】2012年8月6日
(65)【公開番号】特開2014-31695(P2014-31695A)
(43)【公開日】2014年2月20日
【審査請求日】2015年4月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 献一
(72)【発明者】
【氏名】豊田 耕造
(72)【発明者】
【氏名】杉村 義文
(72)【発明者】
【氏名】元樋 敏也
(72)【発明者】
【氏名】永島 茂人
(72)【発明者】
【氏名】西井 宏安
(72)【発明者】
【氏名】後藤 航
【審査官】 河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−261284(JP,A)
【文献】 特開平09−032345(JP,A)
【文献】 特公昭43−025114(JP,B1)
【文献】 実開昭59−040418(JP,U)
【文献】 特開2002−206597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井スラブに吊ボルトで吊り下げられた吊設備機器の振動を軽減する振動抑制吊構造において、
前記吊ボルトの前記天井スラブ側の基端部に、前記吊設備機器に固定されるボルト本体を吊り下げる連結具を備え、
前記連結具が、前記天井スラブに固定されると共に上向き係止面を形成する上ブラケットと、前記ボルト本体に固定されると共に前記上向き係止面に上方から係合する下向き係止面を形成する下ブラケットと、前記上向き係止面及び下向き係止面の間に挟み込まれて前記上下ブラケットを互いに相対移動自在とする転動体とを有し、
前記上ブラケットが、前記天井スラブに固定されたアンカーボルトに固定される上第一板部と、前記上第一板部の両側端から下方に延びる一対の上立板部と、前記一対の上立板部の下端間に渡る上第二板部とを有し、
前記下ブラケットが、前記ボルト本体の上端部をナットにより係止する下第一板部と、前記下第一板部の両側端から上方に延びる一対の下立板部と、前記一対の下立板部の上端間に渡る下第二板部とを有し、
前記上第二板部が形成する前記上向き係止面及び前記下第二板部が形成する前記下向き係止面の間に前記転動体が挟み込まれることを特徴とする振動抑制吊構造。
【請求項2】
前記連結具が、前記上下ブラケットの一方に取り付けられて前記相対移動時に前記上下ブラケットの他方を突き当てるエネルギー吸収体を有することを特徴とする請求項1に記載の振動抑制吊構造。
【請求項3】
前記上向き係止面及び下向き係止面の少なくとも一方に、前記転動体よりも大径の円弧状断面を有して前記転動体を部分的に入り込ませる凹部が形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の振動抑制吊構造。
【請求項4】
前記転動体が、少なくとも平面視で三角形状に並ぶ三箇所に配置されることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の振動抑制吊構造。
【請求項5】
前記下ブラケットにおける前記ボルト本体を貫通させるボルト貫通部と前記ボルト本体に螺着されたナットとの間に、ボルト動エネルギー吸収体が介装されることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の振動抑制吊構造。
【請求項6】
前記上下ブラケットが、互いに上下反転した構成を有することを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の振動抑制吊構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井スラブに吊ボルトで吊り下げられた吊設備機器の振動を軽減する振動抑制吊構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、天井スラブに吊ボルトで吊り下げられた吊設備機器が、大地震等により落下することがあった。原因を検討すると、吊ボルトの根元(基端部、天井スラブに固定される上端部)に応力が集中し、該根元の降伏後に塑性変形が累積して吊ボルトの根元が破断に至ることがわかった。このような吊ボルトの破断を防止するために、一対の吊ボルトの一方の根元と他方の先端部(吊設備機器に固定される下端部)との間に筋交いを設け、各吊ボルトの変形を抑えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−208687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように筋交い等の振れ止め材を設けると、吊ボルトの変形を飛躍的に抑えることができるが、例えば梁跨ぎで吊設備機器を配置するような場合、筋交いを設けることが困難な場合がある。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、天井スラブに吊ボルトで吊り下げられた吊設備機器の振動を軽減する振動抑制吊構造において、吊ボルト間の筋交いを無くして設置自由度を高めた上で吊ボルトの変形を抑えることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、天井スラブに吊ボルトで吊り下げられた吊設備機器の振動を軽減する振動抑制吊構造において、前記吊ボルトの前記天井スラブ側の基端部に、前記吊設備機器に固定されるボルト本体を吊り下げる連結具を備え、前記連結具が、前記天井スラブに固定されると共に上向き係止面を形成する上ブラケットと、前記ボルト本体に固定されると共に前記上向き係止面に上方から係合する下向き係止面を形成する下ブラケットと、前記上向き係止面及び下向き係止面の間に挟み込まれて前記上下ブラケットを互いに相対移動自在とする転動体とを有し、前記上ブラケットが、前記天井スラブに固定されたアンカーボルトに固定される上第一板部と、前記上第一板部の両側端から下方に延びる一対の上立板部と、前記一対の上立板部の下端間に渡る上第二板部とを有し、前記下ブラケットが、前記ボルト本体の上端部をナットにより係止する下第一板部と、前記下第一板部の両側端から上方に延びる一対の下立板部と、前記一対の下立板部の上端間に渡る下第二板部とを有し、前記上第二板部が形成する前記上向き係止面及び前記下第二板部が形成する前記下向き係止面の間に前記転動体が挟み込まれることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、地震等により吊設備機器が振動しても、吊ボルトの基端部では上下ブラケット間の相対移動によって前記振動の伝達を抑制でき、吊ボルトの基端部に作用する曲げモーメントを低減して吊ボルトの基端部の変形を低減できる。
また、複数の吊ボルト間に筋交いを設ける場合と比べて、梁跨ぎで吊設備機器を配置するような場合でも設置自由度が高く、振動対策を容易に実施できる。
【0008】
本発明において、前記連結具が、前記上下ブラケットの一方に取り付けられて前記相対移動時に前記上下ブラケットの他方を突き当てるエネルギー吸収体を有する構成であれば、上下ブラケットが互いに突き当たるまでこれらの相対移動量を確保でき、かつエネルギー吸収体への突き当てにより吊設備機器の振動エネルギーを吸収できる。エネルギー吸収体は、合成ゴム等の弾性体や摩擦ダンパー等の減衰材が考えられる。
【0009】
本発明において、前記上向き係止面及び下向き係止面の少なくとも一方に、前記転動体よりも大径の円弧状断面を有して前記転動体を部分的に入り込ませる凹部が形成される構成であれば、転動体の転がり抵抗を低減しつつ転動体を両係止面間の所定位置に保持できる。
本発明において、前記転動体が、少なくとも平面視で三角形状に並ぶ三箇所に配置される構成であれば、複数の転動体による三点以上の支持によって上ブラケットに下ブラケットを安定して支持できる。
【0010】
本発明において、前記下ブラケットにおける前記ボルト本体を貫通させるボルト貫通部と前記ボルト本体に螺着されたナットとの間に、ボルト動エネルギー吸収体が介装される構成であれば、下ブラケットに対するボルト本体の移動を、ボルト動エネルギー吸収体の撓み等により許容しつつ、吊設備機器の振動エネルギーを吸収できる。
本発明において、前記上下ブラケットが、互いに上下反転した構成を有するものであれば、部品の共用化によるコストダウンを図ることができる。

【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、天井スラブに吊ボルトで吊り下げられた吊設備機器の振動を軽減する振動抑制吊構造において、吊ボルト間の筋交いを無くして設置自由度を高めた上で吊ボルトの変形を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態における振動抑制吊構造の正面図である。
図2図1のII−II断面図である。
図3】上記振動抑制吊構造の吊ボルトの連結具の斜視図である。
図4】上記連結具の一部断面を含む正面図である。
図5図4のV−V断面図である。
図6】上記連結具の水平方向の動きに対する作用を示す図4に相当する正面図である。
図7】上記連結具の鉛直方向の動きに対する作用を示す図4に相当する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1,2に示すように、本実施形態の振動抑制吊構造1は、建造物の天井スラブ2に複数(四本)の吊ボルト5で空調設備等の吊設備機器7を吊り下げた構成を有する。吊設備機器7は例えば直方体状をなし、その上面8を略水平にして配置される。上面8の外周方には、略水平なフランジ9が例えば全周に渡って設けられる。吊設備機器7の平面視(上面視)の四隅には、それぞれ鉛直方向に延びる吊ボルト5の下端部(先端部)がフランジ9を貫通した状態で該フランジ9に締結固定される。図中符号11,12は吊ボルト5の下端部に螺着されてフランジ9を挟んで締め込まれる上下ナットを示す。吊設備機器7は天井スラブ2の下面3から下方に離間して配置され、天井スラブ2の下面3よりも下方に張り出す梁4があってもその下方に配置可能である。
【0014】
振動抑制吊構造1において、吊設備機器7の平面視長方形状の四隅に位置する計四本の吊ボルト5は、それぞれの基端部に、上下ブラケット16,17を組み合わせた連結具15を備える。各吊ボルト5は、天井スラブ2に固定されたアンカーボルト13と、アンカーボルト13に取り付けられる連結具15と、連結具15に吊り下げられるボルト本体14とを備えている。
【0015】
図3,4に示すように、連結具15は、アンカーボルト13に固定される上ブラケット16と、ボルト本体14の上端部に固定される下ブラケット17と、上ブラケット16が形成する上向き係止面16a及び下ブラケット17が形成する下向き係止面17aの間に挟み込まれる複数の鋼球18とを有する。連結具15は、上ブラケット16に複数の鋼球(転動体)18を介して下ブラケット17を係止し、互いに平行かつ水平な両係止面16a,17aに沿って上下ブラケット16,17を互いに相対移動自在とする。
【0016】
上ブラケット16は、複数の鋼材を溶接や締結具等により一体に結合してなる。上ブラケット16は、略水平に配置されてアンカーボルト13を貫通させると共に該アンカーボルト13にナット27により固定される長方形状の第一板部21と、第一板部21の両側端から下方に延びる一対の立板部23と、一対の立板部23の下端間に渡り略水平に延びる長方形状の第二板部24とを有する。
【0017】
下ブラケット17は、上ブラケット16と同様、複数の鋼材を溶接や締結具等により一体に結合してなる。下ブラケット17は、上ブラケット16と同様の構成を上下反転した構成を有する。
すなわち、下ブラケット17は、略水平に配置されてボルト本体14の上端部を貫通させると共に該上端部をナット27及びボルト動エネルギー吸収体28により係止する長方形状の第一板部21と、第一板部21の両側端から上方に延びる一対の立板部23と、一対の立板部23の上端間に渡り略水平に延びる長方形状の第二板部24とを有する。
【0018】
下ブラケット17は、ボルト本体14を上下動自在に挿通する補強パイプ14aを有する。補強パイプ14aは鋼管からなり、下ブラケット17の第一板部21からボルト本体14の下端部近傍まで延びる。この補強パイプ14aにより、長尺のボルト本体14の曲げに対する補強がなされる。補強パイプ14aの上端部は、下ブラケット17の第一板部21を貫通してその上方に突出し、この補強パイプ14aの上端にナット27及びボルト動エネルギー吸収体28が係止される。
【0019】
図5を併せて参照し、下ブラケット17は、上ブラケット16に対して、平面視(吊ボルト5の軸方向視に相当)で略直角をなすように配置される。下ブラケット17の第二板部24は、上ブラケット16の第二板部24に上方から重なるように配置される。上下ブラケット16,17は、それぞれ側面視でループ状をなし、互いに鎖状に繋ぎ合わされる。
【0020】
上ブラケット16の第二板部24における水平な上面(上向き係止面16a)と、下ブラケット17の第二板部24における水平な下面(下向き係止面17a)との間には、平面視でボルト本体14の周囲を等間隔で囲むように配置された例えば六つの鋼球18が挟み込まれる。
【0021】
本実施形態において、上ブラケット16の第二板部24の上面(上向き係止面16a)には、鋼球18の外径よりも大径の円弧状断面を有する凹部19が、各鋼球18に対応して複数凹設される。各鋼球18は、対応する凹部19内に下部を入り込ませた状態で、上端を下ブラケット17の第二板部24の下面(下向き係止面17a)に当接させる。この状態で、両係止面16a,17aは互いに離間する。各鋼球18は、地震等により吊設備機器7が振動した際には、自身の転動により上下ブラケット16,17間の両係止面16a,17aに沿う全方向の相対移動を許容し、吊ボルト5の基端部への前記振動の伝達を抑える。各鋼球18は、前記凹部19内に保持されることで、少ない摩擦抵抗で転動可能である。
【0022】
ボルト本体14の上端部は、下ブラケット17の第一板部21の上方で螺着されたナット27と、該ナット27と補強パイプ14aの上端との間に挟まれたボルト動エネルギー吸収体28とにより、下ブラケット17の第一板部21に係止される。ボルト動エネルギー吸収体28は、例えばエラストマー等の弾性体からなり、ナット27の座金相当の外径を有してボルト本体14を挿通する円筒状とされる。図7に示すように、ボルト本体14の上端部は、下ブラケット17に対して上方へ移動自在であり、かつボルト動エネルギー吸収体28の撓み分だけ下方及び傾き方向への移動が可能である。
【0023】
これにより、地震等により吊設備機器7が振動しても、この振動はボルト本体14には直接伝達されるが、下ブラケット17への前記振動の伝達は抑えられる。ボルト動エネルギー吸収体28は、吊設備機器7の荷重を受けるが、ボルト本体14及び下ブラケット17間で引っ張って用いるのではなく圧縮して用いるため、切断の虞がなく信頼性が高い。
【0024】
図5に示すように、上下ブラケット16,17の各第二板部24の長辺方向の両側には、相手方の第二板部24を両係止面16a,17aに沿って相対移動させるためのスペースSを空けて、板状のエネルギー吸収体29が配置される。エネルギー吸収体29は、例えばエラストマー等の弾性体からなり、立板部23の内側に接着等により固定される。
【0025】
エネルギー吸収体29は、吊設備機器7の振動により上下ブラケット16,17が互いに相対移動し、相手方の第二板部24がスペースSを越えるほど大きく移動した際に、図6に示すように、移動した第二板部24の長辺部分を突き当てることで、前記振動のエネルギーの一部を吸収し、吊設備機器7の振動を軽減する。このように、相手方の第二板部24がエネルギー吸収体29に突き当たり振動エネルギー吸収がなされることによっても、吊ボルト5の基端部への前記振動の伝達が抑えられ、吊ボルト5の基端部の応力集中が緩和される。
【0026】
各鋼球18は、各係止面16a,17a(凹部19の内面含む)に対して滑らなければ、対応する凹部19の最深位置に戻る。この場合、上下ブラケット16,17が相対移動前の初期位置に自動的に戻される。
鋼球18は、平面視でボルト本体14の周囲に等間隔で配置され、上ブラケット16に下ブラケット17を安定して係止する。鋼球18は、少なくとも平面視で三角形状に並ぶ三箇所にあればよい。
【0027】
なお、下ブラケット17の第二板部24の下面(下向き係合面)に各鋼球18に対応する複数の凹部19を形成し、各鋼球18の上部を対応する凹部19内に入り込ませた状態で、各鋼球18の下端を上ブラケット16の第二板部24の上面(上向き係止面16a)に当接させる構成でもよい。また、上ブラケット16の第二板部24の上面及び下ブラケット17の第二板部24の下面の両方に各鋼球18に対応する複数の凹部19を形成し、各鋼球18の上下を対応する凹部19内に入り込ませた構成でもよく、この場合、上下ブラケット16,17を相対移動前の初期位置に戻す効果が高まる。
【0028】
以上説明したように、上記実施形態における振動抑制吊構造1は、吊ボルト5の天井スラブ2側の基端部に、上下ブラケット16,17を組み合わせた連結具15を設け、連結具15の上下ブラケット16,17間に、これらの係止面16a,17a間に挟み込まれて吊設備機器7の荷重を受けると共に上下ブラケット16,17を水平方向で相対移動自在とする鋼球18を介装することで、地震等により吊設備機器7が振動しても、吊ボルト5の基端部では上下ブラケット16,17間の相対移動によって前記振動の伝達を抑制でき、吊ボルト5の基端部に作用する曲げモーメントを低減して吊ボルト5の基端部の変形を低減できる。
また、複数の吊ボルト5間に筋交いを設ける場合と比べて、梁跨ぎで吊設備機器7を配置するような場合でも設置自由度が高く、振動対策を容易に実施できる。
【0029】
また、連結具15が、上下ブラケット16,17の一方に取り付けられて前記相対移動時に上下ブラケット16,17の他方を突き当てるエネルギー吸収体29を有することで、上下ブラケット16,17が互いに突き当たるまでこれらの相対移動量を確保でき、かつエネルギー吸収体29への突き当てにより吊設備機器7の振動エネルギーを吸収できる。
【0030】
また、下ブラケット17におけるボルト本体14の上端部が貫通する部位とボルト本体14の上端部に螺着したナット27との間に、ボルト動エネルギー吸収体28が介装されることで、下ブラケット17に対するボルト本体14の相対移動を、ボルト動エネルギー吸収体28により許容しつつ、吊設備機器7の振動エネルギーを吸収できる。
【0031】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、上下ブラケット16,17の係止面16a,17a間に挟み込まれる転動体は、鋼球18に限らずローラやニードルでもよい。補強パイプ14aを無くした場合、下ブラケット17の第一板部21の上面とその上方のナット27との間にボルト動エネルギー吸収体28が設けられる。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、当該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 振動抑制吊構造
2 天井スラブ
5 吊ボルト
7 吊設備機器
14 ボルト本体
14a 補強パイプ(ボルト貫通部)
15 連結具
16 上ブラケット
16a 上向き係止面
17 下ブラケット
17a 下向き係止面
18 鋼球(転動体)
19 凹部
28 ボルト動エネルギー吸収体
29 エネルギー吸収体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7