(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5953186
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】ボイラとボイラ建屋の同時解体方法
(51)【国際特許分類】
E04G 23/08 20060101AFI20160707BHJP
【FI】
E04G23/08 J
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-193525(P2012-193525)
(22)【出願日】2012年9月3日
(65)【公開番号】特開2014-47587(P2014-47587A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2015年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000204000
【氏名又は名称】太平電業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100083839
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 泰男
(72)【発明者】
【氏名】宮本 博章
(72)【発明者】
【氏名】濱田 智也
【審査官】
星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−107461(JP,A)
【文献】
特開2012−132145(JP,A)
【文献】
特開平07−026727(JP,A)
【文献】
特開平08−270232(JP,A)
【文献】
特開2009−287372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の主柱により構築されたボイラ建屋と、前記ボイラ建屋内に収容された吊り下げ式ボイラとを同時に解体する方法であって、前記主柱が構築されている前記ボイラ建屋の基礎上に、固定部と、前記固定部に対して垂直に伸縮可能な可動部と、前記可動部のヘッドに取り付けられた、前記ヘッドを前記主柱に固定するための可動部側固定ジャッキとからなる昇降用ジャッキを設置し、前記可動部を上昇させた後、前記可動部側固定ジャッキにより前記ヘッドを前記主柱に固定し、次いで、前記主柱の基部を残して、前記固定部と前記ヘッドとの間の前記主柱を切断し、撤去すると共に、前記ボイラの下部を切断し、撤去し、次いで、前記可動部を下降させた後、前記可動部側固定ジャッキによる前記主柱の固定を解除し、次いで、再度、前記可動部を上昇させた後、前記可動部側固定ジャッキにより前記ヘッドを前記主柱に固定し、次いで、前記固定部と前記ヘッドとの間の前記主柱を切断し、撤去すると共に、前記ボイラの下部を切断し、撤去する作業を繰り返し行い、そして、最後に前記主柱の前記基部を撤去し、かくして、前記ボイラと前記ボイラ建屋とを同時に前記ボイラ建屋の基礎上で解体することを特徴とする、ボイラとボイラ建屋の同時解体方法。
【請求項2】
前記昇降用ジャッキは、複数台の油圧ジャッキからなり、前記複数台の油圧ジャッキは、前記主柱の前記基部を取り囲むように設置され、前記複数台の油圧ジャッキの前記ヘッドは、一体化され、一体化された前記ヘッドには、前記主柱の貫通孔が形成され、前記貫通孔に前記可動部側固定ジャッキが取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の、ボイラとボイラ建屋の同時解体方法。
【請求項3】
前記ボイラ建屋の解体中に、前記主柱に作用する水平力を支持する水平力支持フレームを設置することを特徴とする、請求項1または2に記載の、ボイラとボイラ建屋の同時解体方法。
【請求項4】
前記ボイラ建屋のコーナー部間にジャッキを介して補強用ストランドを交差して張り渡すことを特徴とする、請求項1から3の何れか1つに記載の、ボイラとボイラ建屋の同時解体方法。
【請求項5】
前記昇降用ジャッキを、前記固定部に取り付けた固定部側固定ジャッキにより前記主柱の前記基部に固定することを特徴とする、請求項1から4の何れか1つに記載の、ボイラとボイラ建屋の同時解体方法。
【請求項6】
前記主柱は、H形鋼からなっていることを特徴とする、請求項1から5の何れか1つに記載の、ボイラとボイラ建屋の同時解体方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ボイラとボイラ建屋の同時解体方法、特に、ボイラとボイラ建屋を同時に容易に安全かつ確実に解体することが可能な、ボイラとボイラ建屋の同時解体方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、火力発電所に設置されているボイラは、吊り下げ式ボイラである。吊り下げ式ボイラとは、ボイラ建屋に設置された天井梁からボイラを吊り下げたものである。
【0003】
このような吊り下げ式ボイラの解体方法の一例が特許文献1(特開2009−287371号公報)に開示されている。以下、このボイラ解体方法を従来解体方法といい、図面を参照しながら説明する。
【0004】
図8は、従来解体方法により仮設梁、吊り下げ用ジャッキおよび補強用ストランドが設置されたボイラ解体前のボイラ建屋を示す正面図、
図9は、従来解体方法により仮設梁、吊り下げ用ジャッキおよび補強用ストランドが設置されたボイラ解体前のボイラ建屋を示す側面図、
図10は、従来解体方法により仮設梁、吊り下げ用ジャッキおよび補強用ストランドが設置されたボイラ解体前のボイラ建屋を示す平面図、
図11は、
図8の部分拡大図、
図12は、
図8のA−A線拡大断面図、
図13は、従来解体方法によりボイラの下部を解体した状態を示す正面図、
図14は、従来解体方法によりボイラの下部を解体した状態を示す側面図である。
【0005】
図8から
図12において、21は、鉄骨により構築されたボイラ建屋である。ボイラ建屋21は、間隔をあけて垂直に構築された一対の本設柱21Aを備えている。22は、後述する仮設梁より下方の一対の本設柱21Aの上部間に水平に張り渡された天井梁、23は、一対の本設柱21A間において、天井梁22から吊り下げられたボイラ、24は、一対の本設柱21Aの頂部間に張り渡された仮設梁である。仮設梁24は、天井梁22の上方に天井梁22と平行に設置されている。
【0006】
25は、仮設梁24に設置された吊り下げ用ジャッキである。吊り下げ用ジャッキ25は、例えば、特許文献2(特許第2828430号公報)に開示された油圧ジャッキであり、吊り下げ用ストランド26を間欠的に引き上げ、または、引き下げることによって重量物を昇降させる機能を有している。吊り下げ用ストランド26は、仮設梁24を通過して天井梁22に固定されている。
【0007】
27は、補強用ストランドである。補強用ストランド27は、
図10に示すように、ボイラ建屋21の前面および背面にそれぞれ一対、張り渡され、一対の補強用ストランド27は、互いに交差して張り渡されている。補強用ストランド27の上端は、天井梁22の一端に固定され、補強用ストランド27の下端は、本設柱21Aの下部コーナー部の地面に、耐震ジャッキ28を介して固定されている。吊り下げ用ストランド26および補強用ストランド27は、何れも、PC鋼より線からなっている。補強用ストランド27は、ボイラ解体中に発生する地震等による、吊り荷、すなわち、天井梁22およびボイラ23の揺れを抑制して、ボイラ建屋21の揺れを抑制する機能、すなわち、ボイラ建屋21の耐震性を向上させる機能を有している。
【0008】
次に、従来解体方法によるボイラの解体方法について説明する。
【0009】
先ず、ボイラ建屋21の前面および背面に、耐震ジャッキ28を介して補強用ストランド27を交差して張り渡すと共に、一対の本設柱21Aの頂部間に仮設梁24を張り渡し、仮設梁24に吊り下げ用ジャッキ25を設置する。
【0010】
このようにして、補強用ストランド27、仮設梁24および吊り下げ用ジャッキ25を設置したら、天井梁22の両端部を切断して、天井梁22をボイラ建屋21から切り離す。これにより、天井梁22およびボイラ23は、仮設梁24に設置された吊り下げ用ジャッキ25の吊り下げ用ストランド26により吊り下げられることになる。
【0011】
天井梁22をボイラ建屋21から切り離したら、
図13および
図14に示すように、吊り下げ用ジャッキ25を操作して、ボイラ23の下面が地面に着地するまで、ボイラ23を天井梁22と共に吊り下ろす。ボイラ23を地面まで吊り下ろしたら、ボイラ23の下部を解体し、解体物をボイラ建屋21外に撤去ずる。そして、撤去後、再度、ボイラ23を地面まで吊り下ろし、ボイラ23の次の下部の解体と撤去を行う。この際、ボイラ23の解体の進行に伴って天井梁22が下降するので、これに合わせて補強用ストランド27を張り直す。
【0012】
以上の作業を繰り返し行えば、ボイラ3を全て解体することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2009−287371号公報
【特許文献2】特許第2828430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述した従来解体方法によれば、一対の本設柱21Aの頂部間に、吊り下げ用ジャッキ25を設置した仮設梁24を張り渡すことによって、ボイラ23の解体が容易に行える。しかも、補強用ストランド27によりボイラ建屋21を補強することによって、ボイラ建屋21の耐震性を向上させることはできるが、以下のような問題があった。
【0015】
(1)従来解体方法は、ボイラ23を解体するのみであるので、ボイラ23の解体後、ボイラ建屋21を解体する必要があるので、ボイラ23とボイラ建屋21を解体するのに長期間を要する。
【0016】
(2)仮設梁24および吊り下げ用ジャッキの設置作業、および、天井梁22をボイラ建屋21から切り離す作業は、何れも、高所作業となるので、危険が伴い、しかも、足場を組む必要があった。
【0017】
従って、この発明の目的は、ボイラとボイラ建屋を同時に容易に安全かつ確実に解体することが可能な、ボイラとボイラ建屋の同時解体方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、下記を特徴とするものである。
【0019】
請求項1に記載の発明は、複数本の主柱により構築されたボイラ建屋と、前記ボイラ建屋内に収容された吊り下げ式ボイラとを同時に解体する方法であって、前記主柱が構築されている前記ボイラ建屋の基礎上に、固定部と、前記固定部に対して垂直に伸縮可能な可動部と、前記可動部のヘッドに取り付けられた、前記ヘッドを前記主柱に固定するための可動部側固定ジャッキとからなる昇降用ジャッキを設置し、前記可動部を上昇させた後、前記可動部側固定ジャッキにより前記ヘッドを前記主柱に固定し、次いで、前記主柱の基部を残して、前記固定部と前記ヘッドとの間の前記主柱を切断し、撤去すると共に、前記ボイラの下部を切断し、撤去し、次いで、前記可動部を下降させた後、前記可動部側固定ジャッキによる前記主柱の固定を解除し、次いで、再度、前記可動部を上昇させた後、前記可動部側固定ジャッキにより前記ヘッドを前記主柱に固定し、次いで、前記固定部と前記ヘッドとの間の前記主柱を切断し、撤去すると共に、前記ボイラの下部を切断し、撤去する作業を繰り返し行い、そして、最後に前記主柱の前記基部を撤去し、かくして、前記ボイラと前記ボイラ建屋とを同時に前記ボイラ建屋の基礎上で解体することに特徴を有するものである。
【0020】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記昇降用ジャッキは、複数台の油圧ジャッキからなり、前記複数台の油圧ジャッキは、前記主柱の前記基部を取り囲むように設置され、前記複数台の油圧ジャッキの前記ヘッドは、一体化され、一体化された前記ヘッドには、前記主柱の貫通孔が形成され、前記貫通孔に前記可動部側固定ジャッキが取り付けられていることに特徴を有するものである。
【0021】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記ボイラ建屋の解体中に、前記主柱に作用する水平力を支持する水平力支持フレームを設置することに特徴を有するものである。
【0022】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3の何れか1つに記載の発明において、前記ボイラ建屋のコーナー部間にジャッキを介して補強用ストランドを交差して張り渡すことに特徴を有するものである。
【0023】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4の何れか1つに記載の発明において、前記昇降用ジャッキを、前記固定部に取り付けた固定部側固定ジャッキにより前記主柱の前記基部に固定することに特徴を有するものである。
【0024】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5の何れか1つに記載の発明において、前記主柱は、H形鋼からなっていることに特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、以下のような効果がもたらされる。
【0026】
(a)ボイラとボイラ建屋を同時に解体することができる。
【0027】
(b)ボイラとボイラ建屋の解体作業は、全てボイラ建屋の基礎上で行えるので、容易に安全かつ確実に解体作業が行える。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】この発明の解体方法により水平力支持フレームを設置した、ボイラが収容されたボイラ建屋を示す概略平面図である。
【
図4】主柱の基部の周囲に昇降用ジャッキを設置した状態を示す部分正面図である。
【
図7(a)】この発明によるボイラ建屋の解体工程の、可動部を上昇させた後、可動部側固定ジャッキによりヘッドを主柱に固定した状態を示す部分側面図である。
【
図7(b)】この発明によるボイラ建屋の解体工程の、固定部とヘッドとの間の主柱を切断し、撤去した状態を示す部分側面図である。
【
図7(c)】この発明によるボイラ建屋の解体工程の、可動部を下降させた状態を示す部分側面図である。
【
図7(d)】この発明によるボイラ建屋の解体工程の、可動部側固定ジャッキによる主柱の固定を解除した状態を示す部分側面図である。
【
図7(e)】この発明によるボイラ建屋の解体工程の、再度、可動部を上昇させた状態を示す部分側面図である。
【
図8】従来解体方法により仮設梁、吊り下げ用ジャッキおよび補強用ストランドが設置されたボイラ解体前のボイラ建屋を示す正面図である。
【
図9】従来解体方法により仮設梁、吊り下げ用ジャッキおよび補強用ストランドが設置されたボイラ解体前のボイラ建屋を示す側面図である。
【
図10】従来解体方法により仮設梁、吊り下げ用ジャッキおよび補強用ストランドが設置されたボイラ解体前のボイラ建屋を示す平面図である。
【
図13】従来解体方法によりボイラの下部を解体した状態を示す正面図である。
【
図14】従来解体方法によりボイラの下部を解体した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
この発明の、ボイラとボイラ建屋の同時解体方法の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。
【0030】
図1は、この発明の解体方法により水平力支持フレームを設置した、ボイラ収容されたボイラ建屋を示す概略平面図、
図2は、
図1のA−A線断面図、
図3は、
図1のB−B線断面図である。
【0031】
図1から
図3において、1は、複数本の主柱2により構築されたボイラ建屋であり、主柱2は、H形鋼からなっている。なお、主柱2は、H形鋼以外に角柱等であっても良い。3は、ボイラ建屋1内に収容された吊り下げ式ボイラであり、ボイラ建屋1の天井梁4から吊り下げられている。
【0032】
5は、昇降用ジャッキである。昇降用ジャッキ5は、複数台(この例では4台)の油圧ジャッキ6からなり、油圧ジャッキ6は、主柱2の基部2aを取り囲むように、主柱2が構築されているボイラ建屋1の基礎上に設置されている。油圧ジャッキ6は、固定部7(シリンダ)と、固定部7に対して垂直に伸縮可能な可動部8(ピストン)とからなっている。複数台の油圧ジャッキ6の可動部8のヘッド9は、一体化され、同時に昇降可能になっている。主柱2は、一体化されたヘッド9に形成された貫通孔9a(
図5参照)を貫通し、ヘッド9は、後述する可動部側固定ジャッキ10により主柱2に固定される。
【0033】
10は、ヘッド9の貫通孔9aに取り付けられた可動部側固定ジャッキである。ヘッド9は、可動部側固定ジャッキ10を伸ばすことによって、ヘッド9の貫通孔9aを貫通する主柱2に固定される。
【0034】
11は、油圧ジャッキ6の固定部7に取り付けられた固定部側固定ジャッキである。固定部側固定ジャッキ11を伸ばすことによって、昇降用ジャッキ5は、主柱2の基部2aに固定される。
【0035】
12は、
図1に示すように、主柱2間の基礎上に設置された水平力支持フレームである。水平力支持フレーム12は、主柱2をガイドするチルタンク(図示せず)を有し、地震や風などにより主柱2に作用する水平力を支持して、解体中のボイラ建屋1の倒壊等を防ぐ作用を有している。
【0036】
13は、
図3に示すように、ボイラ建屋1のコーナー部間にジャッキ14を介して交差して張り渡された補強用ストランドである。補強用ストランド13は、ボイラ建屋1を補強して、解体中のボイラ建屋1の倒壊等を防ぐ作用を有している。ジャッキ14は、例えば、センターホールジャッキからなり、ボイラ建屋1の解体の進行に合わせて補強用ストランド13を引っ張り、解体中は、常時、補強用ストランド13に張力をかけておく機能を有している。なお、ボイラ建屋1に水平力支持フレーム12および補強用ストランド13の両方を設置しても良いし、どちらか一方でも良い。
【0037】
次に、この発明による、ボイラとボイラ建屋の同時解体方法について説明する。
【0038】
先ず、
図4から
図6に示すように、主柱2が構築されているボイラ建屋1の基礎上に、主柱2の基部2aを取り囲むように昇降用ジャッキ5の油圧ジャッキ6を設置し、固定部側固定ジャッキ11を伸ばして、油圧ジャッキ6を主柱2の基部2aに固定する。昇降用ジャッキ5は、全ての主柱2に対して設置する。さらに、主柱2間の基礎上に水平力支持フレーム12を設置する。さらに、ボイラ建屋1のコーナー部間にジャッキ14を介して補強用ストランド13を交差して張り渡す。
【0039】
次いで、
図7(a)に示すように、油圧ジャッキ6の可動部8を上昇させた後、可動部側固定ジャッキ10を伸ばしてヘッド9を主柱2に固定する。
【0040】
次いで、
図7(b)に示すように、主柱2の基部2aを残して、油圧ジャッキ6の固定部7とヘッド9との間の主柱2を切断し、撤去する。なお、主柱2の切断線を
図7(a)中、(X)で示す。これと同時に、ボイラ3の下部を切断し、撤去する。主柱2とボイラ3の切断、撤去作業は、何れも、ボイラ建屋1の基礎上に行えるので、足場を組む必要がなく、しかも、高所作業ではないので、安全かつ確実に行える。なお、主柱2とボイラ3の撤去作業は、
図2に示すように、ボイラ建屋1内に搬入した重機16により行う。
【0041】
このようにして、全ての主柱2の切断作業とボイラ3の下部の切断作業が終了したら、
図7(c)に示すように、油圧ジャッキ6の可動部8を下降させる。これによって、ボイラ建屋1とボイラ3が切断長さ分、下降する。この際、ジャッキ14を操作して、弛んだ補強用ストランド13に張力をかける。
【0042】
次いで、
図7(d)に示すように、可動部側固定ジャッキ10による主柱2の固定を解除する。
【0043】
次いで、
図7(e)に示すように、再度、可動部8を上昇させた後、可動部側固定ジャッキ10によりヘッド9を主柱2に固定する。この後、
図7(a)におけると同様に、固定部7とヘッド9との間の主柱2を切断線(X)に沿って切断し、撤去すると共に、ボイラ3の下部を切断し、撤去する。
【0044】
上述した作業を繰り返し行い、そして、最後に主柱2の基部2aを撤去すれば、ボイラ3とボイラ建屋1とを同時に解体することができる。
【0045】
ボイラ建屋1の解体中に、主柱2は、水平力支持フレーム12により支持されるので、地震や風等によって、主柱2に水平力が作用しても、ボイラ建屋1が倒壊するおそれはない。
【0046】
この発明によれば、各主柱2の基部2aを取り囲むように、昇降用ジャッキ5の油圧ジャッキ6を設置し、上昇させた油圧ジャッキ6の可動部8に可動部側固定ジャッキ10により主柱2を固定し、次いで、固定部7とヘッド9との間の主柱2を切断し、撤去すると共に、ボイラ3の下部を切断し、撤去し、次いで、可動部8を下降させた後、可動部側固定ジャッキ10による主柱2の固定を解除し、次いで、再度、可動部8を上昇させた後、可動部側固定ジャッキ10によりヘッド9を主柱2に固定し、次いで、固定部7とヘッド9との間の主柱2を切断し、撤去すると共に、ボイラ3の下部を切断し、撤去する作業を繰り返し行い、そして、最後に主柱2の基部2aを撤去することによって、ボイラ3とボイラ建屋1を同時に解体することができ、しかも、ボイラ3とボイラ建屋1の解体作業は、全てボイラ建屋1の基礎上で行えるので、容易に安全かつ確実に解体作業が行える。
【0047】
しかも、ボイラ建屋1に水平力支持フレーム12および補強用ストランド13を設置することによって、解体中のボイラ建屋1の倒壊等を確実に防ぐことができる。
【符号の説明】
【0048】
1:ボイラ建屋
2:主柱
2a:基部
3:ボイラ
4:天井梁
5:昇降用ジャッキ
6:油圧ジャッキ
7:固定部
8:可動部
9:ヘッド
9a:貫通孔
10:可動部側固定ジャッキ
11:固定部側固定ジャッキ
12:水平力支持フレーム
13:補強用ストランド
14:ジャッキ
15:重機
21:ボイラ建屋
21A:本設柱
22:天井梁
23:ボイラ
24:仮設梁
25:吊り下げ用ジャッキ
26:吊り下げ用ストランド
27:補強用ストランド
28:耐震ジャッキ