特許第5953206号(P5953206)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5953206
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】液冷式冷却装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20160707BHJP
   H01L 23/473 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
   H05K7/20 N
   H01L23/46 Z
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-236538(P2012-236538)
(22)【出願日】2012年10月26日
(65)【公開番号】特開2013-123038(P2013-123038A)
(43)【公開日】2013年6月20日
【審査請求日】2015年7月16日
(31)【優先権主張番号】特願2011-247599(P2011-247599)
(32)【優先日】2011年11月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002004
【氏名又は名称】昭和電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(72)【発明者】
【氏名】松島 誠二
(72)【発明者】
【氏名】富田 晃司
【審査官】 久松 和之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−251371(JP,A)
【文献】 特開2011−122815(JP,A)
【文献】 特開昭63−86279(JP,A)
【文献】 実開昭61−83079(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
H01L 23/34 − 23/473
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頂壁および底壁を有しかつ内部に冷却液通路が設けられたケーシングと、ケーシング内の冷却液通路に配置された放熱器とを備えており、放熱器が、基板、および長手方向を上下方向に向けるとともに長手方向の中間部が基板にろう付されたピン状フィンからなり、基板に複数のフィン挿通穴が形成され、ピン状フィンが基板のフィン挿通穴に通されるとともに、ピン状フィンまたは基板におけるフィン挿通穴の周囲の部分のうち少なくともいずれか一方が塑性変形することにより両者が仮止めされた状態で相互にろう付され、ピン状フィンの上下両端部がケーシングの頂壁および底壁にろう付されている液冷式冷却装置。
【請求項2】
ピン状フィンの長手方向の中間部に、外周面から外側に突出した凸部が一体に設けられており、基板がピン状フィンよりも硬質であり、凸部および基板におけるフィン挿通穴の周囲の部分のうち少なくとも凸部が潰れるように塑性変形している請求項1記載の液冷式冷却装置。
【請求項3】
ピン状フィンの長手方向の中間部に、外周面から外側に突出した凸部が一体に設けられており、ピン状フィンが基板よりも硬質であり、凸部および基板におけるフィン挿通穴の周囲の部分のうち少なくとも基板のフィン挿通穴の周囲の部分が塑性変形している請求項1記載の液冷式冷却装置。
【請求項4】
ピン状フィンの凸部が設けられていない部分の横断面形状が円形であり、ピン状フィンの長手方向の中間部に、外周面から径方向外方に突出した凸部と、外周面から径方向内方に凹んだ凹部とが、周方向に交互に連続して設けられている請求項2または3記載の液冷式冷却装置。
【請求項5】
基板のフィン挿通穴が円形であるとともに、フィン挿通穴の内径が0.5〜6mmであり、ピン状フィンの凸部および凹部が設けられていない部分の直径が0.3〜5.99mmであり、凹部の深さが0.05〜0.6mmである請求項4記載の液冷式冷却装置。
【請求項6】
基板におけるフィン挿通穴の周囲の部分が、基板の両面側から押圧されることによって塑性変形している請求項1記載の液冷式冷却装置。
【請求項7】
請求項2記載の液冷式冷却装置を製造する方法であって、
頂壁および底壁を有しかつ内部に冷却液通路が設けられるケーシングを構成する部材と、複数のフィン挿通穴が形成された放熱器用基板と、外周面の長手方向の中間部に、外周面から外方に突出した複数の凸部が一体に設けられたピン状フィンとを用意し、ピン状フィンにおける複数の凸部の突出端を結んで描かれる仮想形状の大きさを、基板のフィン挿通穴よりも大きくしておくこと、
基板をピン状フィンよりも硬質としておくこと、
ピン状フィンを基板のフィン挿通穴に圧入し、これによりピン状フィンの凸部および基板のフィン挿通穴の周囲の部分のうち少なくとも凸部を塑性変形させて、ピン状フィンを基板に仮止めすること、
基板および基板に仮止めされたピン状フィンを、ケーシングを構成する部材と組み合わせ、基板とピン状フィンとをろう付すると同時に、ピン状フィンの両端部を、ケーシングを構成する部材における頂壁および底壁となる部分にろう付することを含む液冷式冷却装置の製造方法。
【請求項8】
請求項3記載の液冷式冷却装置を製造する方法であって、
頂壁および底壁を有しかつ内部に冷却液通路が設けられるケーシングを構成する部材と、複数のフィン挿通穴が形成された放熱器用基板と、外周面の長手方向の中間部に、外周面から外方に突出した複数の凸部が一体に設けられたピン状フィンとを用意し、ピン状フィンにおける複数の凸部の突出端を結んで描かれる仮想形状の大きさを、基板のフィン挿通穴よりも大きくしておくこと、
ピン状フィンを基板よりも硬質としておくこと、
ピン状フィンを基板のフィン挿通穴に圧入し、これによりピン状フィンの凸部および基板のフィン挿通穴の周囲の部分のうち少なくとも基板のフィン挿通穴の周囲の部分を塑性変形させて、ピン状フィンを基板に仮止めすること、
基板および基板に仮止めされたピン状フィンを、ケーシングを構成する部材と組み合わせ、基板とピン状フィンとをろう付すると同時に、ピン状フィンの両端部を、ケーシングを構成する部材における頂壁および底壁となる部分にろう付することを含む液冷式冷却装置の製造方法。
【請求項9】
基板のフィン挿通穴が、内径0.5〜6mmの円形であり、ピン状フィンの凸部が設けられていない部分の横断面形状が、直径0.3〜5.99mmの円形であり、複数の凸部の突出端を結んで描かれる仮想形状が、基板のフィン挿通穴の内径よりも大きな直径を有する円形であり、凸部のピン状フィンの長手方向の長さが0.5〜5mmであり、フィン挿通穴の内径をAmm、ピン状フィンの凸部が設けられていない部分の直径をBmm、すべての凸部の突出端を結んで描かれる仮想形状の円の直径をCmmとした場合、A−0.2≦B≦A−0.01、A+0.01≦C≦A+0.2という関係を満たしている請求項7または8記載の液冷式冷却装置の製造方法。
【請求項10】
円柱状フィン素材の外周面の長手方向中間部における周方向に間隔をおいた複数箇所を径方向外方から押圧することによって、外周面から凹んだ複数の凹部を周方向に間隔をおいて形成するとともに、隣り合う凹部どうしの間に前記凸部を設け、これによりピン状フィンをつくる請求項7〜9のうちのいずれかに記載の液冷式冷却装置の製造方法。
【請求項11】
ピン状フィンの前記凹部の深さが0.05〜0.6mmである請求項10記載の液冷式冷却装置の製造方法。
【請求項12】
請求項6記載の液冷式冷却装置を製造する方法であって、
頂壁および底壁を有しかつ内部に冷却液通路が設けられるケーシングを構成する部材と、複数のフィン挿通穴が形成された放熱器用の基板と、ピン状フィンとを用意すること、
ピン状フィンを基板のフィン挿通穴に挿入した後、基板の両面におけるフィン挿通穴の周囲の部分を押し込むことにより基板におけるフィン挿通穴の周囲の部分を塑性変形させ、ピン状フィンを基板に仮止めすること、
基板および基板に仮止めされたピン状フィンを、ケーシングを構成する部材と組み合わせ、基板とピン状フィンとをろう付すると同時に、ピン状フィンの両端部を、ケーシングを構成する部材における頂壁および底壁となる部分にろう付することを含む液冷式冷却装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば半導体素子などの電子部品からなる発熱体を冷却する液冷式冷却装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、電気自動車、ハイブリッド自動車、電車などに搭載される電力変換装置に用いられるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などのパワーデバイス(半導体素子)を冷却する液冷式冷却装置として、本出願人は、先に、内部に、水を含む冷却液、たとえばロングライフクーラントなどが流れる冷却液通路を有するケーシングと、ケーシングの頂壁に形成された開口内に嵌められた放熱器とを備えており、放熱器が、第1面が冷却液通路に臨まされるとともに、第2面が発熱体取付面となされる基板と、基板の第1面に鍛造により千鳥配置状に一体に形成された複数のピン状フィンとよりなり、ピン状フィンの先端とケーシングの底壁との間に隙間が設けられている液冷式冷却装置を提案した(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、特許文献1記載の液冷式冷却装置の放熱器のピン状フィンは、鍛造により基板に一体に形成されているので、高さ方向の寸法精度が不十分であり、ピン状フィンの高さを均一化することができない。また、ピン状フィンの高さは、ピン状フィンを形成する前の基板の厚みに影響されるので、必要な放熱性能を得るためのピン状フィンの高さを確保するには、ピン状フィンを形成する前の基板の厚みを大きくしなければならず、その結果形成後の基板の厚みも比較的大きくなって第2面に取り付けられた発熱体からピン状フィンへの伝熱性能が低下し、放熱性能が不足する。特許文献1記載の液冷式冷却装置の上述した問題点は、基板の第1面にピン状フィンを鍛造により形成した後、後加工を施してピン状フィンの高さを均一化するとともに、基板を切削して薄肉化を図ることにより解消されるが、製造時の工数が増えるという問題がある。しかも、ピン状フィンの先端が底壁に接合されていないので、基板の肉厚を薄くした場合、液冷式冷却装置の耐圧性が不足するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−277768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の目的は、上記問題を解決し、放熱性能を向上しうるとともに、製造時の工数の増加を抑制しうる液冷式冷却装置およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0007】
1)頂壁および底壁を有しかつ内部に冷却液通路が設けられたケーシングと、ケーシング内の冷却液通路に配置された放熱器とを備えており、放熱器が、基板、および長手方向を上下方向に向けるとともに長手方向の中間部が基板にろう付されたピン状フィンからなり、基板に複数のフィン挿通穴が形成され、ピン状フィンが基板のフィン挿通穴に通されるとともに、ピン状フィンまたは基板におけるフィン挿通穴の周囲の部分のうち少なくともいずれか一方が塑性変形することにより両者が仮止めされた状態で相互にろう付され、ピン状フィンの上下両端部がケーシングの頂壁および底壁にろう付されている液冷式冷却装置。
【0008】
2)ピン状フィンの長手方向の中間部に、外周面から外側に突出した凸部が一体に設けられており、基板がピン状フィンよりも硬質であり、凸部および基板におけるフィン挿通穴の周囲の部分のうち少なくとも凸部が潰れるように塑性変形している上記1)記載の液冷式冷却装置。
【0009】
3)ピン状フィンの長手方向の中間部に、外周面から外側に突出した凸部が一体に設けられており、ピン状フィンが基板よりも硬質であり、凸部および基板におけるフィン挿通穴の周囲の部分のうち少なくとも基板のフィン挿通穴の周囲の部分が塑性変形している上記1)記載の液冷式冷却装置。
【0010】
4)ピン状フィンの凸部が設けられていない部分の横断面形状が円形であり、ピン状フィンの長手方向の中間部に、外周面から径方向外方に突出した凸部と、外周面から径方向内方に凹んだ凹部とが、周方向に交互に連続して設けられている上記2)または3)記載の液冷式冷却装置。
【0011】
5)基板のフィン挿通穴が円形であるとともに、フィン挿通穴の内径が0.5〜6mmであり、ピン状フィンの凸部および凹部が設けられていない部分の直径が0.3〜5.99mmであり、凹部の深さが0.05〜0.6mmである上記4)記載の液冷式冷却装置。
【0012】
6)基板におけるフィン挿通穴の周囲の部分が、基板の両面側から押圧されることによって塑性変形している上記1)記載の液冷式冷却装置。
【0013】
7)上記2)記載の液冷式冷却装置を製造する方法であって、
頂壁および底壁を有しかつ内部に冷却液通路が設けられるケーシングを構成する部材と、複数のフィン挿通穴が形成された放熱器用基板と、外周面の長手方向の中間部に、外周面から外方に突出した複数の凸部が一体に設けられたピン状フィンとを用意し、ピン状フィンにおける複数の凸部の突出端を結んで描かれる仮想形状の大きさを、基板のフィン挿通穴よりも大きくしておくこと、
ピン状フィンを基板のフィン挿通穴に圧入し、これによりピン状フィンの凸部および基板のフィン挿通穴の周囲の部分のうち少なくとも凸部を塑性変形させて、ピン状フィンを基板に仮止めすること、
基板および基板に仮止めされたピン状フィンを、ケーシングを構成する部材と組み合わせ、基板とピン状フィンとをろう付すると同時に、ピン状フィンの両端部を、ケーシングを構成する部材における頂壁および底壁となる部分にろう付することを含む液冷式冷却装置の製造方法。
【0014】
8)上記3)記載の液冷式冷却装置を製造する方法であって、
頂壁および底壁を有しかつ内部に冷却液通路が設けられるケーシングを構成する部材と、複数のフィン挿通穴が形成された放熱器用基板と、外周面の長手方向の中間部に、外周面から外方に突出した複数の凸部が一体に設けられたピン状フィンとを用意し、ピン状フィンにおける複数の凸部の突出端を結んで描かれる仮想形状の大きさを、基板のフィン挿通穴よりも大きくしておくこと、
ピン状フィンを基板のフィン挿通穴に圧入し、これによりピン状フィンの凸部および基板のフィン挿通穴の周囲の部分のうち少なくとも基板のフィン挿通穴の周囲の部分を塑性変形させて、ピン状フィンを基板に仮止めすること、
基板および基板に仮止めされたピン状フィンを、ケーシングを構成する部材と組み合わせ、基板とピン状フィンとをろう付すると同時に、ピン状フィンの両端部を、ケーシングを構成する部材における頂壁および底壁となる部分にろう付することを含む液冷式冷却装置の製造方法。
【0015】
9)基板のフィン挿通穴が、内径0.5〜6mmの円形であり、ピン状フィンの凸部が設けられていない部分の横断面形状が、直径0.3〜5.99mmの円形であり、複数の凸部の突出端を結んで描かれる仮想形状が、基板のフィン挿通穴の内径よりも大きな直径を有する円形であり、凸部のピン状フィンの長手方向の長さが0.5〜5mmであり、フィン挿通穴の内径をAmm、ピン状フィンの凸部が設けられていない部分の直径をBmm、すべての凸部の突出端を結んで描かれる仮想形状の円の直径をCmmとした場合、A−0.2≦B≦A−0.01、A+0.01≦C≦A+0.2という関係を満たしている上記7)または8)記載の液冷式冷却装置の製造方法。
【0016】
10)円柱状フィン素材の外周面の長手方向中間部における周方向に間隔をおいた複数箇所を径方向外方から押圧することによって、外周面から凹んだ複数の凹部を周方向に間隔をおいて形成するとともに、隣り合う凹部どうしの間に前記凸部を設け、これによりピン状フィンをつくる上記7)〜9)のうちのいずれかに記載の液冷式冷却装置の製造方法。
【0017】
11)ピン状フィンの前記凹部の深さが0.05〜0.6mmである上記10)記載の液冷式冷却装置の製造方法。
【0018】
12)上記6)記載の液冷式冷却装置を製造する方法であって、
頂壁および底壁を有しかつ内部に冷却液通路が設けられるケーシングを構成する部材と、複数のフィン挿通穴が形成された放熱器用の基板と、ピン状フィンとを用意すること、
ピン状フィンを基板のフィン挿通穴に挿入した後、基板の両面におけるフィン挿通穴の周囲の部分を押し込むことにより基板におけるフィン挿通穴の周囲の部分を塑性変形させ、ピン状フィンを基板に仮止めすること、
基板および基板に仮止めされたピン状フィンを、ケーシングを構成する部材と組み合わせ、基板とピン状フィンとをろう付すると同時に、ピン状フィンの両端部を、ケーシングを構成する部材における頂壁および底壁となる部分にろう付することを含む液冷式冷却装置の製造方法。
【発明の効果】
【0019】
上記1)〜6)の液冷式冷却装置によれば、頂壁および底壁を有しかつ内部に冷却液通路が設けられたケーシングと、ケーシング内の冷却液通路に配置された放熱器とを備えており、放熱器が、基板、および長手方向を上下方向に向けるとともに長手方向の中間部が基板にろう付されたピン状フィンからなり、基板に複数のフィン挿通穴が形成され、ピン状フィンが基板のフィン挿通穴に通されるとともに、ピン状フィンまたは基板におけるフィン挿通穴の周囲の部分のうち少なくともいずれか一方が塑性変形することにより両者が仮止めされた状態で相互にろう付され、ピン状フィンの上下両端部がケーシングの頂壁および底壁にろう付されているので、ピン状フィンを基板とは別個に形成することができ、ピン状フィンの寸法精度が向上して高さの均一化が可能になる。また、ピン状フィンの上下両端部がケーシングの頂壁および底壁にろう付されているので、ケーシングの頂壁および底壁のうち少なくともいずれか一方の外面に発熱体が取り付けられるようになされている場合、頂壁および底壁のうち発熱体が取り付けられる壁の肉厚を、特許文献1記載の液冷式冷却装置のヒートシンクの基板に比較して薄くすることが可能になり、発熱体とピン状フィンとの間の伝熱性能が向上する。したがって、液冷式冷却装置の放熱性能が向上する。しかも、ピン状フィンの上下両端部がケーシングの頂壁および底壁にろう付されているので、頂壁および底壁のうち発熱体が取り付けられる壁の肉厚を、特許文献1記載の液冷式冷却装置のヒートシンクの基板に比較して薄くした場合であっても、液冷式冷却装置の耐圧性が向上する。
【0020】
上記7)〜12)の液冷式冷却装置の製造方法によれば、ピン状フィンを基板とは別個に形成することができてピン状フィンの寸法精度が向上するので、製造される液冷式冷却装置におけるピン状フィンの高さを均一化することが可能になる。また、ピン状フィンを基板に仮止めした状態で、ピン状フィンの上下両端部をケーシングの頂壁および底壁にろう付するので、ろう付時のピン状フィンの位置ずれを防止することができる。さらに、ピン状フィンの上下両端部をケーシングの頂壁および底壁にろう付するので、製造される液冷式冷却装置におけるケーシングの頂壁および底壁のうち少なくともいずれか一方の外面に発熱体が取り付けられるようになされている場合、頂壁および底壁のうち発熱体が取り付けられる壁の肉厚を、特許文献1記載の液冷式冷却装置のヒートシンクの基板に比較して薄くすることが可能になり、発熱体とピン状フィンとの間の伝熱性能を向上させることができる。したがって、液冷式冷却装置の放熱性能が向上する。しかも、ピン状フィンの上下両端部をケーシングの頂壁および底壁にろう付するので、頂壁および底壁のうち発熱体が取り付けられる壁の肉厚を、特許文献1記載の液冷式冷却装置のヒートシンクの基板に比較して薄くした場合であっても、製造される液冷式冷却装置の耐圧性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】この発明による液冷式冷却装置の全体構成を示す分解斜視図である。
図2図1の液冷式冷却装置における要部を拡大して示す垂直断面図である。
図3図1の液冷式冷却装置を製造するのに用いられるピン状フィンを示す斜視図である。
図4図1の液冷式冷却装置を製造する方法におけるピン状フィンを基板のフィン挿通穴に圧入する前の状態を拡大して示す垂直断面図である。
図5図1の液冷式冷却装置を製造する方法におけるピン状フィンを基板をフィン挿通穴に圧入した後の状態を示す部分斜視図である。
図6図1の液冷式冷却装置を製造するのに用いられるピン状フィンの第1の変形例を示す斜視図である。
図7図6のA−A線拡大断面図である。
図8図7のB−B線断面図である。
図9図7のC−C線断面図である。
図10図1の液冷式冷却装置を製造するのに用いられるピン状フィンの第2の変形例を示す斜視図である。
図11図1の液冷式冷却装置に用いられる放熱器の変形例を示す図2相当の図である。
図12図11の放熱器を備えた液冷式冷却装置を製造する方法におけるピン状フィンを基板のフィン挿通穴に圧入する前の状態を拡大して示す垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0023】
この明細書および特許請求の範囲において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
【0024】
図1はこの発明による液冷式冷却装置の全体構成を示し、図2はその要部の構成を示す。
【0025】
図1において、液冷式冷却装置(1)は、頂壁(2a)、底壁(2b)および周壁(2c)を有しかつ内部に冷却液通路(3)が設けられた中空状のケーシング(2)と、ケーシング(2)内の冷却液通路(3)に配置された放熱器(4)とを備えている。
【0026】
ケーシング(2)は、頂壁(2a)および周壁(2c)の上半部を構成するアルミニウム製上構成部材(5)と、底壁(2b)および周壁(2c)の下半部を構成するアルミニウム製下構成部材(6)とが相互にろう付されることにより形成されている。ケーシング(2)の頂壁(2a)には、ケーシング(2)内の冷却液通路(3)に冷却液を供給するアルミニウム製入口パイプ(7)と、ケーシング(2)内の冷却液通路(3)から冷却液を排出させるアルミニウム製出口パイプ(8)とが接続されている。また、ケーシング(2)の頂壁(2a)外面および底壁(2b)外面のうち少なくともいずれか一方、ここでは頂壁(2a)の外面に、IGBTなどのパワーデバイスや、IGBTが制御回路と一体化されて同一パッケージに収納されたIGBTモジュールや、IGBTモジュールにさらに保護回路が一体化されて同一パッケージに収納されたインテリジェントパワーモジュールなどからなる発熱体(P)が取り付けられるようになっている。
【0027】
図2に示すように、放熱器(4)は、複数の円形フィン挿通穴(12)が貫通状に形成されたアルミニウム製基板(11)と、長手方向を上下方向に向けるとともに、フィン挿通穴(12)に通されて長手方向の中間部が基板(11)にろう付されたアルミニウム製ピン状フィン(13)とからなる。ピン状フィン(13)は横断面円形の円柱状であって、長手方向の中間部に、外周面から外側に突出した複数の凸部(14)が周方向に間隔をおいて一体に設けられており、凸部(14)が潰れるように塑性変形することにより基板(11)およびピン状フィン(13)が仮止めされた状態で相互にろう付されている。また、ピン状フィン(13)の上下両端部はケーシング(2)の頂壁(2a)および底壁(2b)にろう付されている。
【0028】
次に、図3図5を参照して液冷式冷却装置(1)の製造方法について説明する。
【0029】
まず、ケーシング(2)の上構成部材(5)および下構成部材(6)と、放熱器(4)の基板(11)および複数のピン状フィン(13)を用意する。基板(11)には、複数の円形のフィン挿通穴(12)を貫通状に形成しておく。図3に示すように、ピン状フィン(13)は横断面円形の円柱状であり、ピン状フィン(13)の外周面における長手方向の中間部には、外周面から外方に突出した複数の凸部(14)が、周方向に間隔をおいて一体に設けられている。
【0030】
ここで、上構成部材(5)、下構成部材(6)、基板(11)およびピン状フィン(13)を形成するアルミニウムのビッカース硬さは10〜250であるが、基板(11)をピン状フィン(13)よりも硬質にしておくことが好ましい。たとえば、基板(11)のビッカース硬さを、ピン状フィン(13)のビッカース硬さよりも20程度大きくしておくことが好ましい。
【0031】
すべての凸部(14)の突出端を結んで描かれる仮想形状は、基板(11)のフィン挿通穴(12)の内径よりも大きな円形であることが好ましい。ここで、フィン挿通穴(12)の内径が0.5〜6mmであり、ピン状フィン(13)の凸部(14)が設けられていない部分の直径が0.3〜5.99mmであることが好ましく、この範囲内において、フィン挿通穴(12)の内径をAmm、ピン状フィン(13)の凸部(14)が設けられていない部分の直径をBmm、すべての凸部(14)の突出端を結んで描かれる仮想形状の円の直径をCmmとした場合、A−0.2≦B≦A−0.01、A+0.01≦C≦A+0.2という関係を満たしていることが好ましい。また、凸部(14)のピン状フィン(13)の長手方向の長さは0.5〜5mmであることが好ましい。
【0032】
ついで、すべてのピン状フィン(13)における一端から凸部(14)までの部分を、基板(11)のフィン挿通穴(12)に一端側から挿入した後(図4参照)、ピン状フィン(13)の一端を図示しない金型により支持するとともに、ピン状フィン(13)を他端からパンチで金型側に加圧し、ピン状フィン(13)をフィン挿通穴(12)内に圧入する。これにより、ピン状フィン(13)の凸部(14)および基板(11)のフィン挿通穴(12)の周囲の部分のうち少なくとも凸部(14)を塑性変形させてピン状フィン(13)を基板(11)に仮止めする(図5参照)。
【0033】
なお、上記とは逆に、ピン状フィン(13)を基板(11)よりも硬質にし、たとえばピン状フィン(13)のビッカース硬さを、基板(11)のビッカース硬さよりも20程度大きくしておいてもよい。この場合、上述したピン状フィン(13)をフィン挿通穴(12)内に圧入した際に、ピン状フィン(13)の凸部(14)および基板(11)のフィン挿通穴(12)の周囲の部分のうち少なくとも基板(11)のフィン挿通穴(12)の周囲の部分が塑性変形し、これによりピン状フィン(13)が基板(11)に仮止めされる。
【0034】
その後、基板(11)および基板(11)に仮止めされたピン状フィン(13)を、ケーシング(2)を構成する部材と組み合わせ、基板(11)とピン状フィン(13)とをろう付すると同時に、ピン状フィン(13)の両端部を、ケーシング(2)を構成する部材における頂壁(2a)および底壁(2b)となる部分にろう付する。こうして、液冷式冷却装置(1)が製造される。
【0035】
なお、基板(11)とピン状フィン(13)とのろう付は、基板(11)を、少なくとも一面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにより形成しておくことによって行うことが好ましい。ピン状フィン(13)の両端部とケーシング(2)の上構成部材(5)および下構成部材(6)とのろう付は、上構成部材(5)および下構成部材(6)を、少なくとも一面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートを使用してろう材層が内面側に位置するように形成するおくことによって行うことが好ましい。また、ピン状フィン(13)の両端部とケーシング(2)の上構成部材(5)および下構成部材(6)とのろう付は、ピン状フィン(13)と上構成部材(5)および下構成部材(6)との間にろう材箔を配置しておくことによって行ってもよい。
【0036】
なお、入口パイプ(7)および出口パイプ(8)は、基板(11)とピン状フィン(13)、ならびにピン状フィン(13)と上構成部材(5)および下構成部材(6)とのろう付と同時に上構成部材(5)および下構成部材(6)にろう付してもよいし、あるいは基板(11)とピン状フィン(13)、ならびにピン状フィン(13)と上構成部材(5)および下構成部材(6)とのろう付の後に、適当な方法によって上構成部材(5)および下構成部材(6)に接合してもよい。
【0037】
上記実施形態においては、上下両構成部材(5)(6)、基板(11)およびピン状フィン(13)はアルミニウム製であるが、これらは銅(銅合金を含む)製であってもよい。上下両構成部材(5)(6)、基板(11)およびピン状フィン(13)を形成する銅(銅合金を含む)のビッカース硬さは50〜300であるが、上記実施形態と同様に、基板(11)をピン状フィン(13)よりも硬質にし、たとえば基板(11)のビッカース硬さをピン状フィン(13)のビッカース硬さよりも20程度大きくしておく場合と、これとは逆に、ピン状フィン(13)を基板(11)よりも硬質にし、たとえばピン状フィン(13)のビッカース硬さを基板(11)のビッカース硬さよりも20程度大きくしておく場合がある。
【0038】
図6図9は、図1に示す液冷式冷却装置(1)の放熱器に用いられるピン状フィンの第1の変形例を示す。
【0039】
図6図9に示すピン状フィン(40)の外周面における長手方向の中間部を除いた部分の横断面形状は円形であり、ピン状フィン(40)の外周面における長手方向の中間部に、外周面から径方向外方に突出した凸部(41)と、外周面から径方向内方に凹んだ凹部(42)とが、周方向に交互に連続して設けられている。
【0040】
ピン状フィン(40)の凸部(41)および凹部(42)が設けられていない部分の横断面形状が、直径0.3〜5.99mmの円形であり、複数の凸部(41)の突出端を結んで描かれる仮想形状が、基板(11)のフィン挿通穴(12)の内径よりも大きな直径を有する円形であることが好ましく、この範囲内において、フィン挿通穴の内径をAmm、ピン状フィンの凸部が設けられていない部分の直径をBmm、すべての凸部の突出端を結んで描かれる仮想形状の円の直径をCmmとした場合、A−0.2≦B≦A−0.01、A+0.01≦C≦A+0.2という関係を満たしていることが好ましい。また、凸部(41)のピン状フィン(40)の長手方向の長さが0.5〜5mmであり、凹部(42)の深さが0.05〜0.6mmであることが好ましい。
【0041】
図示は省略したが、ピン状フィン(40)は、円柱状フィン素材の外周面の長手方向中間部における周方向に間隔をおいた複数箇所を、1つの金型により径方向外方から押圧することによって、外周面から凹んだ複数の凹部(42)を周方向に間隔をおいて形成し、凹部(42)を形成することにより材料を流動させて隣り合う凹部(42)どうしの間に凸部(41)を設けることにより作られる。
【0042】
上下両構成部材(5)(6)、基板(11)およびピン状フィン(40)は、上述した実施形態と同様に、アルミニウムまたは銅(銅合金を含む)によって形成される。ピン状フィン(40)のビッカース硬さと、基板(11)のビッカース硬さとの関係も、上述した実施形態と同様である。すなわち、上下両構成部材(5)(6)、基板(11)およびピン状フィン(40)を形成するアルミニウムのビッカース硬さは10〜250であり、上下両構成部材(5)(6)、基板(11)およびピン状フィン(40)を形成する銅(銅合金を含む)のビッカース硬さは50〜300である。基板(11)がピン状フィン(40)よりも硬質の場合と、ピン状フィン(40)が基板(11)よりも硬質の場合とがあるが、いずれの場合にも、硬いもののビッカース硬さを、他のもののビッカース硬さよりも20程度大きくしておくことが好ましい。
【0043】
図6図9に示すピン状フィン(13)を用いた液冷式冷却装置(1)の製造方法は、図4および図5に示す方法と同様である。
【0044】
図10は、図1に示す液冷式冷却装置(1)の放熱器に用いられるピン状フィンの第2の変形例を示す。
【0045】
図10に示すピン状フィン(20)は横断面円形の円柱状であり、ピン状フィン(20)の外周面における長手方向の中間部に、ピン状フィン(20)の長手方向に所要の幅を有する円環状凸条(21)が一体に形成され、円環状凸条(21)の外周面に、外周面から外方に突出しかつピン状フィン(20)の長手方向にのびる複数の凸部(22)が周方向に連続的に並んで一体に設けられている。すべての凸部(22)の突出端を結んで描かれる仮想形状は、基板(11)のフィン挿通穴(12)の内径よりも大きな円形であることが好ましい。ここで、フィン挿通穴(12)の内径が0.5〜6mmであり、ピン状フィン(20)の凸部(22)が設けられていない部分の直径が0.3〜5.99mmであることが好ましく、この範囲内において、フィン挿通穴(12)の内径をAmm、ピン状フィン(13)の凸部(22)が設けられていない部分の直径をBmm、すべての凸部(22)の突出端を結んで描かれる仮想形状の円の直径をCmmとした場合、A−0.2≦B≦A−0.01、A+0.01≦C≦A+0.2という関係を満たしていることが好ましい。また、凸部(22)のピン状フィン(20)の長手方向の長さは0.5〜5mmであることが好ましい。
【0046】
上下両構成部材(5)(6)、基板(11)およびピン状フィン(20)は、上述した実施形態と同様に、アルミニウムまたは銅(銅合金を含む)によって形成される。ピン状フィン(20)のビッカース硬さと、基板(11)のビッカース硬さとの関係も、上述した実施形態と同様である。
【0047】
図10に示すピン状フィン(13)を用いた液冷式冷却装置(1)の製造方法は、図4および図5に示す方法と同様である。
【0048】
図11図1に示す液冷式冷却装置(1)に用いられる放熱器の変形例を示す。
【0049】
図11において、放熱器(30)のアルミニウム製ピン状フィン(31)は横断面円形の円柱状であり、その直径は全長にわたって等しくなっている。そして、ピン状フィン(31)が基板(32)のフィン挿通穴(33)内に通され、基板(32)におけるフィン挿通穴(33)の周囲の部分が、基板(32)の両面側から押圧されることによって全周にわたって塑性変形することにより、基板(32)およびピン状フィン(31)が仮止めされた状態で相互にろう付されている。また、ピン状フィン(31)の上下両端部はケーシング(2)の頂壁(2a)および底壁(2b)にろう付されている。
【0050】
その他の構成は、図1および図2に示す液冷式冷却装置(1)の放熱器(4)と同様である。
【0051】
次に、図11に示す放熱器(30)を備えた液冷式冷却装置(1)の製造方法について図12を参照して説明する。
【0052】
まず、ケーシング(2)の上構成部材(5)および下構成部材(6)と、放熱器(4)の基板(32)および複数のピン状フィン(31)を用意する。ここで、フィン挿通穴(33)の内径をDmm、ピン状フィン(31)の直径をEmmとした場合、D−0.2≦E≦D−0.01という関係を満たしていることが好ましい。
【0053】
ついで、すべてのピン状フィン(31)を基板(32)のフィン挿通穴(33)に一端側から挿入した後、基板(32)の一面側をピン状フィン(31)の一部を挿入する穴を有する図示しない金型により支持する。金型における基板(32)のフィン挿通穴(33)と対応する部分には、上方に突出した環状凸部(22)を設けておく。ついで、基板(32)の他面側におけるフィン挿通穴(33)の周囲の部分を環状凸部(22)を有するパンチで金型側に加圧し、基板(32)の両面におけるフィン挿通穴(33)を押し込むことにより基板(32)におけるフィン挿通穴(33)の周囲の部分を塑性変形させ、ピン状フィン(31)を基板(32)に仮止めする。
【0054】
その後、基板(32)および基板(32)に仮止めされたピン状フィン(31)を、ケーシング(2)を構成する部材と組み合わせ、基板(32)とピン状フィン(31)とをろう付すると同時に、ピン状フィン(31)の両端部を、ケーシング(2)を構成する部材における頂壁(2a)および底壁(2b)となる部分にろう付する。こうして、液冷式冷却装置(1)が製造される。
【0055】
なお、基板(32)とピン状フィン(31)とのろう付、ならびにピン状フィン(31)の両端部とケーシング(2)の上構成部材(5)および下構成部材(6)とのろう付は、図3図5に示す方法の場合と同様にして行われる。さらに、入口パイプ(7)および出口パイプ(8)の上構成部材の接合も、図3図5に示す方法の場合と同様にして行われる。
【0056】
上述したピン状フィン(13)(40)(20)(31)は横断面円形の円柱状であるが、これに限定されるものではなく、ピン状フィンの横断面形状は、三角形、四角形などの多角形や、だ円形などであってもよい。また、上述した放熱器(4)(30)の基板(11)(32)に、ケーシング(2)内の基板(11)(32)の上下の冷却液が混合されて冷却性能が向上するように、ピン状フィン(13)(20)(31)が通されるフィン挿通穴(12)(33)に加えて、冷却液流通部が貫通状に形成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
この発明による液冷式冷却装置は、電気自動車、ハイブリッド自動車、電車などに搭載される電力変換装置に用いられるIGBTなどのパワーデバイスを冷却するのに好適に用いられる。
【符号の説明】
【0058】
(1):液冷式冷却装置
(2):ケーシング
(2a):頂壁
(2b):底壁
(3):冷却液通路
(4)(30):放熱器
(5):上構成部材
(6):下構成部材
(11)(32):基板
(12)(33):フィン挿通穴
(13)(20)(31)(40):ピン状フィン
(14)(22)(41):凸部
(42):凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12