(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る電子棚札システム1について説明する。
【0021】
なお、本実施形態に係る電子棚札システム1は、本発明の実施形態の例示に過ぎず、本発明に係る電子棚札システムは、以下に記載する内容に限定されるものではない。発明の趣旨と矛盾しない範囲で、その他の態様も採用可能である。
【0022】
(1)全体構成
電子棚札システム1は、スーパーマーケットやコンビニエンスストアのような店舗において使用される。
【0023】
電子棚札システム1は、
図1に示すように、主として、複数の電子棚札40,40,・・・と、電子棚札サーバ10と、複数のアクセスポイント30,30,・・・と、リモコン50と、ハンディターミナル80と、から構成されている。電子棚札システム1に含まれる電子棚札40、アクセスポイント30、リモコン50、および、ハンディターミナル80の台数は、
図1に示される数に限定されるものではない。
【0024】
電子棚札40は、可搬性の装置であり、店舗で取り扱われる複数の商品Pのそれぞれに対応して配置される表示装置である。電子棚札40は、店舗の売り場に陳列される複数の種類の商品Pのうち、対応する商品Pの近傍に配置され、対応する商品Pに関する商品情報を表示する(
図2参照)。商品情報は、商品Pに関する種々の情報であり、例えば、商品Pの通常販売価格、特別販売価格、割引率、売上数量、在庫数量等を含む。
【0025】
電子棚札サーバ10は、電子棚札システム1を統括的に制御するコンピュータである。電子棚札サーバ10の機能には、電子棚札40に表示される商品情報の管理を含む。商品情報は、後述するように、電子棚札サーバ10のサーバ記憶部14に記憶されている。電子棚札サーバ10は、アクセスポイント30を介して、電子棚札40に、商品情報を含む配信データを送信する。なお、ここでは、電子棚札サーバ10は、電子棚札40に対して、商品情報を画像データ(後述する電子棚札40の表示部41に表示される画像のデータ)として送信するが、これに限定されるものではない。例えば、電子棚札サーバ10は、電子棚札40に対し、通常販売価格等の商品情報を数値データとして送信してもよい。
【0026】
アクセスポイント30は、電波の送受信機である。アクセスポイント30は、電子棚札40との間で、電波を用いて各種信号の授受を行う。アクセスポイント30は、例えば店舗内の天井に、一定の間隔を空けて取り付けられる。アクセスポイント30の設置場所や設置間隔等は、店舗内に設置された電子棚札40が、いずれかのアクセスポイント30と通信可能となるように決定される。アクセスポイント30は、LAN(Local Area Network)等のネットワーク2を介して、電子棚札サーバ10と接続されている。
【0027】
アクセスポイント30は、ネットワーク2を介して電子棚札サーバ10からアクセスポイント30に送信される配信データ(商品情報を含む配信データ)を、複数の電子棚札40に向けて電波により送信する。つまり、アクセスポイント30は、電波送信機の一例である。また、アクセスポイント30は、電子棚札40から送信される信号を受信し、受信した信号を、ネットワーク2を介して電子棚札サーバ10に送信する。
【0028】
リモコン50は、携帯型の送受信機である。リモコン50は、各電子棚札40との間で、近距離無線通信(NFC: Near Field Communication)を用いて各種信号の授受を行う。なお、ここでの、近距離無線通信は、数cm〜数十cm程の距離での通信を意味する。リモコン50は、個別の電子棚札40に対する個別指令を、電磁界を用いた近距離無線通信により送信する。つまり、リモコン50は、携帯型送信機の一例である。
【0029】
ハンディターミナル80は、後述するように、電子棚札40や商品Pに付されたバーコードなどの識別情報を読み取り可能に構成され、主に情報収集のために用いられる携帯型の情報端末である。ハンディターミナル80は、主に、電子棚札40の装置IDと、商品Pの商品IDとのリンク作業に用いられる。リンク作業については後述する。
【0030】
(2)詳細構成
電子棚札システム1の電子棚札40、電子棚札サーバ10、およびリモコン50について以下に詳細に説明する。
【0031】
(2−1)電子棚札
電子棚札40は、上述のように、店舗で取り扱われる複数の商品Pのそれぞれに対応して配置され、対応する商品Pに関する商品情報を表示する(
図2参照)。例えば、電子棚札40には、商品Pの商品名、重量あたりの単価、および販売価格が、商品情報として表示される(
図3参照)。
【0032】
電子棚札40は、
図4のように、主に表示部41、制御部42、記憶部43、電池44、第1通信ユニット60、および第2通信ユニット70を有する。
【0033】
(2−1−1)表示部
表示部41は、後述する記憶部43に記憶されている商品情報を表示させるための画面である(
図3参照)。表示部41には、電子ペーパが用いられる。すなわち、表示部41は、マトリクス状に配列された複数の画素で構成される、ドットマトリクス方式の不揮発性表示部である。表示部41は、電力を供給されなくても表示内容を保持することが可能である。なお、表示部41は電子ペーパに限定されるものではなく、例えば、液晶ディスプレイが用いられてもよい。
【0034】
表示部41に表示される画面には、通常画面と、管理画面と、がある。通常画面は、顧客向けの画面であり、表示部41には、例えば、商品Pの商品名、重量あたりの単価、および販売価格が、商品情報として表示される(
図3参照)。管理画面は、店舗の店員等の作業者が商品管理に用いる画面であり、表示部41には、例えば、商品Pの売上数、発注数、在庫数が、商品情報として表示される。
【0035】
作業者は、電子棚札40が設置されている現場で、リモコン50により電子棚札40を操作することで(リモコン50から第2通信ユニット70に対して個別指令を送信することで)、表示部41の表示を、通常画面から管理画面に切り換えることができる。
【0036】
(2−1−2)制御部
制御部42は、処理部の一例である。制御部42は、主にCPUによって構成される。制御部42は、表示部41、記憶部43、第1通信ユニット60、および第2通信ユニット70と電気的に接続されている(
図4の実線参照)。制御部42は、電池44から駆動電力の供給を受ける(
図4の破線参照)。
【0037】
制御部42は、後述する記憶部43に記憶されたプログラムを実行することで、電子棚札40の各部を制御する。例えば、制御部42は、表示部41に、後述する第1通信ユニット60が電子棚札サーバ10から受信した商品情報(画像データ)が表示されるように、表示部41の制御を行う。また、例えば、制御部42は、後述する第2通信ユニット70が受信した個別指令に応じた処理を実行するために、表示部41、記憶部43、第1通信ユニット60の動作を制御する。
【0038】
なお、個別指令は、後述するリモコン50から、個別の電子棚札40に対して送信される指令である。個別指令には、例えば、表示部41の表示を通常画面から管理画面へと切り換える指令を含む。また、例えば、個別指令には、第1通信ユニット60を、アクセスポイント30から送信される配信データを受信可能になるように制御する指令を含む。
【0039】
制御部42は、動作モードとして、スリープモード(待機モード)およびウェイクアップモード(起動モード)を有する。
【0040】
スリープモードは、電子棚札40の消費電力を最小限に抑制する(電池44の消耗を最低限に抑制する)モードである。スリープモードでは、制御部42は、表示部41、記憶部43、第1通信ユニット60および第2通信ユニット70のメモリ73に対して、電池44から電力が供給されないように制御する。そのため、スリープモードでは、表示部41の表示の更新や、表示部41の表示の通常画面から管理画面への切り換えや、第1通信ユニット60による電波の受信が実行できない。
【0041】
ウェイクアップモードは、電子棚札40の種々の機能、例えば、表示部41の表示の更新や、表示部41の表示の通常画面から管理画面への切り換えや、第1通信ユニット60による電波の受信を実行可能な動作モードである。制御部42は、ウェイクアップモードでは、電池44から、表示部41、記憶部43、第1通信ユニット60およびメモリ73に対して、必要に応じて電力が供給されるよう制御する。そのため、ウェイクアップモード時の電子棚札40の消費電力は、スリープモード時の電子棚札40の消費電力より大きい。
【0042】
制御部42の動作モードは、電池44の消耗を抑制するため、スリープモードである時間が長い(動作モードがスリープモードである時間の比率が高い)。そして、以下の2つの条件のうち、いずれかの条件が成立する場合に、制御部42の動作モードは、スリープモードからウェイクアップモードへと切り換えられる。
【0043】
1つ目の条件(第1条件)は、動作モードがスリープモードに切り換えられた後、所定の待機時間が経過することである。言い換えれば、第1条件は、タイマ機能を有する制御部42が、動作モードがスリープモードに切り換えられてから所定の待機時間が経過したと判定することである。
【0044】
待機時間は、例えば1分であるが、これに限定されるものではない。ただし、制御部42が頻繁にウェイクアップモードに移行すると、電池44が消耗しやすいため、電子棚札サーバ10からの商品情報の送信に対する反応時間が、電子棚札システム1のユーザにとって許容可能な範囲で、待機時間はできるだけ長い時間とされることが望ましい。なお、電子棚札サーバ10からの商品情報の送信に対する反応時間とは、電子棚札サーバ10が商品情報を送信してから、表示部41の表示にその内容が反映されるまでの時間を意味する。
【0045】
本実施形態のリモコン50に代えて電波式のリモコンが使用される場合、電子棚札がリモコンの電波を受信するためには、電子棚札の電波受信ユニットは予め(リモコンからの電波の送信前に)起動している必要がある。言い換えれば、電波式のリモコンが使用される場合、電子棚札がリモコンの電波を受信するためには、電子棚札の制御部の動作モードが、予めウェイクアップモードに切り換えられている必要がある。リモコンから送信される個別指令に対する電子棚札の反応性が悪い場合、作業者の待ち時間が長くなり、作業効率が悪いことから、待機時間は、短い時間(例えば1秒)に設定される必要がある。
【0046】
しかし、本実施形態では、後述するように、リモコン50からの個別指令の送信に備えて、制御部42の動作モードをスリープモードからウェイクアップモードへと予め切り換える必要が無いため、待機時間を長く取ることが可能である。
【0047】
第1条件が成立すると、制御部42の動作モードが、スリープモードから、ウェイクアップモードへと切り換えられる。そして、制御部42は、第1通信ユニット60に電池44から駆動電力が供給されるよう制御し、第1通信ユニット60がアクセスポイント30から送信される配信データを受信可能な状態になるよう制御する。
【0048】
そして、制御部42は、第1通信ユニット60が配信データを受信すると、受信した配信データが、自己に対して送信された(その電子棚札40に対して送信された)配信データであるか否かを判定する。
【0049】
受信した配信データが、自己に対して送信された配信データであると判定された場合には、制御部42は、引き続き必要な処理を実行する。具体的には、例えば、制御部42は、自己に対して送信された配信データを受信した旨を示す信号(ACK信号)をアクセスポイント30に対して送信させるように、第1通信ユニット60を制御する。また、例えば、制御部42は、自己に対して送信された配信データに含まれる商品情報(画像データ)を、記憶部43に書き込む(記憶部43に記憶される商品情報の更新処理を行う)。また、例えば、制御部42は、表示部41の表示内容が、記憶部43に書き込まれた商品情報に変更されるように、表示部41を制御する。必要な処理が終了すると、制御部42の動作モードは、スリープモードへと切り換えられる。
【0050】
一方、受信した配信データが、自己に対して送信された配信データではないと判定された場合、あるいは、第1通信ユニット60が所定時間内に配信データを受信しない場合には、制御部42の動作モードは、スリープモードへと切り換えられる。
【0051】
なお、制御部42は、第1通信ユニット60が受信した配信データが、自己に対して送信されたものであるか否かを、以下のようにして判定する。
【0052】
後述するように、電子棚札サーバ10がアクセスポイント30を介して送信する配信データには、商品情報と識別子とが含まれる。識別子は、商品情報の送信対象の電子棚札40の装置ID(各電子棚札40に割り当てられる固有のID)である。制御部42は、第1通信ユニット60が受信した信号に含まれる識別子と、後述する記憶部43に記憶されている自己の装置IDとを比較し、両者が一致すると、その信号が自己に対して送信された配信データであると判定する。
【0053】
制御部42の動作モードが、スリープモードからウェイクアップモードへと切り換えられる2つ目の条件(第2条件)は、後述する第2通信ユニット70のユニット制御部72が送信する割り込み信号を、制御部42が受信することである。第2条件が成立すると、制御部42の動作モードが、スリープモードから、ウェイクアップモードへと切り換えられる。第2条件が成立すると、制御部42は、後述する第2通信ユニット70のメモリ73に記憶された個別指令を読み出し、その個別指令に応じた処理を実行する。
【0054】
(2−1−3)記憶部
記憶部43は、EEPROM等の不揮発性メモリによって構成される記憶部である。ただし、これに限定されるものではなく、記憶部43にRAM等の揮発性メモリが使用されてもよい。ただし、記憶部43に揮発性メモリを利用した場合には、制御部42がスリープモードにある場合にも、記憶された情報を保持するために電力を供給する必要があるため、電池44の消耗を抑制する上で、記憶部43は不揮発性メモリであることが望ましい。
【0055】
記憶部43には、制御部42が電子棚札40の各部の制御を行うためのプログラムの他、電子棚札40の固有の識別子である装置IDや、電子棚札サーバ10から送信された商品情報(画像データ)が記憶される。商品情報には、通常画面用の商品情報と、管理画面用の商品情報とが含まれる。
【0056】
(2−1−4)電池
電池44は、電子棚札40の表示部41、制御部42、記憶部43、第1通信ユニット60、および後述する第2通信ユニット70のメモリ73に駆動電力を供給する(
図4の破線参照)。なお、後述するように、第2通信ユニット70は、リモコン50から供給される電力を利用するため、メモリ73を除き、電池44からの電力の供給は受けない。言い換えれば、後述する第2通信ユニット70のユニット制御部72およびアンテナ71は、電池44からの電力の供給を受けない。後述する第2通信ユニット70のメモリ73は、電池44とリモコン50との双方から電力供給を受けることができる。
【0057】
表示部41、記憶部43、第1通信ユニット60および第2通信ユニット70のメモリ73には、FET等のスイッチ(図示せず)がそれぞれ設けられている。制御部42は、これらのスイッチを制御することで、表示部41、記憶部43、第1通信ユニット60およびメモリ73への電力の供給を制御する。
【0058】
上記のように、電子棚札40の動作モードが、ウェイクアップモードからスリープモードへと切り換えられる場合には、制御部42は、上記のスイッチをオフにすることで、表示部41、記憶部43、第1通信ユニット60およびメモリ73に電池44から電力が供給されないように制御を行う。
【0059】
(2−1−5)第1通信ユニット
第1通信ユニット60は、第1受信ユニットの一例である。第1通信ユニット60は、アクセスポイント30から、電波により送信される配信データ(他の電子棚札40を送信対象とする配信データを含む)を受信する。また、第1通信ユニット60は、自己に対して送信された配信データを受信した場合に(第1通信ユニット60が受信した配信データが、自己に対して送信された配信データであると、制御部42が判定する場合に)、制御部42の指示に従い、自己に対して送信された配信データを受信した旨の信号(ACK信号)を、アクセスポイント30に対して、電波により送信する。
【0060】
(2−1−6)第2通信ユニット
第2通信ユニット70は、リモコン50から送信される個別指令を受信する。第2通信ユニット70は、第2受信ユニットの一例である。
【0061】
第2通信ユニット70は、パッシブ型のRFタグである。つまり、第2通信ユニット70は、リモコン50から非接触電力伝送により電力の供給を受けるRFタグである。第2通信ユニット70は、後述するメモリ73を除き、電池44からの電力供給は受けない。なお、第2通信ユニット70は、電磁誘導方式のRFタグであるが、これに限定されるものではなく、例えば、電波方式のRFタグが用いられてもよい。第2通信ユニット70は、
図4のように、主にアンテナ71と、ユニット制御部72と、メモリ73と、を有する。
【0062】
(2−1−6−1)アンテナ
アンテナ71は、電磁波の送受信に用いられるループアンテナ(コイルアンテナ)である。なお、第2通信ユニット70とリモコン50との通信可能距離は、ここでは10cm以下である。通信可能距離は、これに限定されるものではないが、電子棚札40同士が近接して配置される場合(例えば、
図2中で右上に描写されている2台の電子棚札40のように、隣接して配置される場合)に、リモコン50が通信対象ではない電子棚札40を誤って操作することがないように、通信可能距離は10cm以下であることが望ましい。
【0063】
(2−1−6−2)ユニット制御部
ユニット制御部72は、リモコン50からの個別指令に応じて、第2通信ユニット70を制御するRF通信チップである。
【0064】
ユニット制御部72は、前述のように、リモコン50から第2通信ユニット70に対して非接触電力伝送により供給される電力を用いて、各種処理を実行する。
【0065】
例えば、ユニット制御部72は、アンテナ71を介してリモコン50から個別指令を受信すると、リモコン50から第2通信ユニット70に対して非接触電力伝送により供給される電力を用いて、受け付けた個別指令の内容をメモリ73に書き込む。
【0066】
また、例えば、ユニット制御部72は、アンテナ71を介してリモコン50から個別指令を受信すると、リモコン50から第2通信ユニット70に対して非接触電力伝送により供給される電力を用いて、制御部42に対して割り込み信号を送信する。つまり、ユニット制御部72は、信号送信部の一例である。割り込み信号は、制御部42に、第2通信ユニット70がリモコン50からの個別指令を受信したことを知らせるための信号である。制御部42は、割り込み信号を受信すると、メモリ73に記憶された個別指令(リモコン50から送信された個別指令)を読み出す。その後、制御部42は、メモリ73から読み出した個別指令に応じた処理を実行する。なお、制御部42の動作モードがスリープモードにある場合に、制御部42がユニット制御部72からの割り込み信号を受信すると、まず制御部42の動作モードがウェイクアップモードに切り換えられ、その後、制御部42は、個別指令を読み出し、読み出した個別指令を実行する。
【0067】
また、ユニット制御部72は、個別指令がメモリ73に記憶されている情報の送信を要求するものである場合には、メモリ73に記憶されている情報を読み出して、読み出した情報をリモコン50に対して送信する。
【0068】
(2−1−6−3)メモリ
メモリ73は、EEPROM等の不揮発性メモリにより構成される。メモリ73は、電池44およびリモコン50の双方から、電力供給を受けることができる。
【0069】
メモリ73には、ユニット制御部72が、アンテナ71を介してリモコン50から受信した個別指令が書き込まれる。また、メモリ73には、例えば、電子棚札の装置IDが記憶されている。なお、メモリ73に記憶されている装置IDは、記憶部43に記憶される装置IDと同一の情報である。
【0070】
(2−2)電子棚札サーバ
電子棚札サーバ10は、電子棚札システム1を統括的に管理するコンピュータである。電子棚札サーバ10は、アクセスポイント30を介して、電子棚札40に各種指令や各種情報を送信する。電子棚札サーバ10から電子棚札40に送信する情報には、商品情報を含む。電子棚札サーバ10は、店舗のバックヤード等に配置される。
【0071】
電子棚札サーバ10は、主な機能部として、サーバ通信部11と、サーバ表示部12と、サーバ入力部13と、サーバ記憶部14と、サーバ制御部15とを有する(
図5参照)。
【0072】
(2−2−1)サーバ通信部
サーバ通信部11は、電子棚札サーバ10と、アクセスポイント30や、ハンディターミナル80等との通信を可能にするための通信インターフェースである。また、サーバ通信部11は、電子棚札システム1外の機器(例えば、店舗に電子棚札システム1と共に設置されるPOSシステムのサーバおよびストアコントローラ)とも通信可能に構成されている。サーバ通信部11からアクセスポイント30に送られた配信データは、さらにアクセスポイント30により電子棚札40へと電波により送信される。
【0073】
(2−2−2)サーバ表示部
サーバ表示部12は、液晶ディスプレイである。サーバ表示部12には、電子棚札システム1に関する各種情報を表示可能である。
【0074】
(2−2−3)サーバ入力部
サーバ入力部13は、マウスおよびキーボードである。電子棚札システム1のユーザは、電子棚札サーバ10に対する各種指令や各種情報を、サーバ入力部13を介して入力可能である。
【0075】
(2−2−4)サーバ記憶部
サーバ記憶部14は、ROM、RAM、およびハードディスク等により構成される。サーバ記憶部14には、後述するサーバ制御部15により実行される各種プログラムが記憶される。また、サーバ記憶部14には、各種情報が記憶される。サーバ記憶部14に記憶される情報には、商品マスタテーブル14aと、電子棚札マスタテーブル14bとが含まれる(
図5参照)。
【0076】
(2−2−4−1)商品マスタテーブル
商品マスタテーブル14aは、電子棚札システム1で取り扱う商品に関する情報(商品情報)を記憶する。商品情報は、商品Pに関する種々の情報であり、例えば、商品Pの商品名、価格(通常販売価格、特別販売価格)、単価(通常販売単価・特別販売単価)、割引率、売上数量、在庫数量等を含む。商品マスタテーブル14aには、商品ID(商品Pのバーコード情報)別に、商品情報が記憶される。
【0077】
商品マスタテーブル14aの内容は、サーバ通信部11が外部機器(例えば、店舗内に設置される図示しないPOSシステム)から情報を受信することで、あるいは、サーバ入力部13が情報の入力を受け付けることで更新される。
【0078】
(2−2−4−2)電子棚札マスタテーブル
電子棚札マスタテーブル14bには、電子棚札40を識別するための装置IDと、商品Pの商品IDとが、関連付けて(リンク付けて)記憶されている。電子棚札40の装置IDと、商品Pの商品IDとは、作業者が、ハンディターミナル80を用いてリンク作業を行うことで関連付けされる。なお、ハンディターミナル80は、電子棚札40や商品Pに付されたバーコードなどの識別情報を読み取り可能に構成され、主に情報収集のために用いられる携帯型の情報端末である。
【0079】
なお、リンク作業は、以下のように実施される。作業者は、1の電子棚札40に付された、その電子棚札40の装置ID(電子棚札40の記憶部43およびメモリ73に記憶されている装置IDと同じもの)を表示するバーコード40a(
図3参照)を、ハンディターミナル80のリーダでスキャンする。続いて、作業者は、その電子棚札40が商品情報を表示する商品Pに付されたバーコードを、ハンディターミナル80のリーダでスキャンする。スキャンされた装置IDおよび商品IDは、図示しない通信回線(例えば無線LAN)を介して電子棚札サーバ10に送信される。後述するサーバ制御部15は、送信された電子棚札40の装置IDと、商品Pの商品IDとをリンクさせて、電子棚札マスタテーブル14bに記憶させる。
【0080】
(2−2−5)サーバ制御部
サーバ制御部15は、サーバ記憶部14に記憶されているプログラムや各種情報に基づいて各種制御を行う。
【0081】
例えば、サーバ制御部15は、サーバ通信部11が、ハンディターミナル80から送信される、リンク付けするべき電子棚札の装置IDと商品Pの商品IDとを受け付けると、その情報を電子棚札マスタテーブル14bにリンク付けして記憶する。
【0082】
また、サーバ制御部15は、電子棚札システム1の起動時や、電子棚札40の表示変更が必要な時に、アクセスポイント30を介して、電子棚札40に商品情報を送信する。電子棚札40の表示変更が必要な時とは、例えば、商品マスタテーブル14aの内容が更新された時や、商品Pの特売期間に価格を通常販売価格から特別販売価格へと変更する時や、商品Pの特売期間終了時に価格を特別販売価格から通常販売価格へと変更する時である。
【0083】
サーバ制御部15は、電子棚札40に対して商品情報を送信する際に、具体的には、以下の処理を行う。
【0084】
まず、サーバ制御部15は、商品マスタテーブル14aを参照して、電子棚札40の表示変更が必要な商品Pについて、電子棚札40に送信するための商品情報(画像データ)を生成する。また、サーバ制御部15は、電子棚札マスタテーブル14bを参照して、電子棚札40の表示変更が必要な商品Pとリンク付けされている電子棚札40の装置IDを、識別子として取得する。
【0085】
次に、サーバ制御部15は、生成した画面情報と、取得した識別子(送信対象の電子棚札40の装置ID)とを含めて配信データを生成する。例えば、配信データは、識別子を含んだヘッダと、商品情報とを組み合わせたデータである。
【0086】
さらに、サーバ制御部15は、生成された配信データを、アクセスポイント30に送信する。配信データを受信したアクセスポイント30は、その配信データを、電波により電子棚札40に対して送信する。
【0087】
なお、前述のように、電子棚札40の第1通信ユニット60は、制御部42の動作モードがスリープモードに切り換えられると、第2通信ユニット70がリモコン50からの個別指令を受信しない限り、待機時間(ここでは1分)の間、信号を受信できることができない。そこで、アクセスポイント30は、電子棚札40と通信できないという事態を避けるため、電子棚札40の第1通信ユニット60がウェイクアップモードになる時間まで待機した後、配信データを送信する。
【0088】
前述のように、電子棚札40は、自己に対する配信データを受信すると、アクセスポイント30に対してACK信号を電波により送信する。電子棚札40からACK信号を受信したアクセスポイント30は、電子棚札サーバ10のサーバ通信部11に対して、ネットワーク2を介してACK信号を送信する。サーバ制御部15は、サーバ通信部11がACK信号を受信すると、電子棚札40との通信が成功したと判断して、電子棚札40に対する商品情報の送信処理を終了する。
【0089】
一方、何らかの原因で、アクセスポイント30がACK信号を受信しない場合(例えば、電子棚札40が何らかの原因で配信データを受信できなかった場合)には、サーバ制御部15は、配信データを再送信する。
【0090】
(2−3)リモコン
リモコン50は、電子棚札40の第2通信ユニット70の情報の読み出しおよび書き込みを行う、RFタグのリーダライタである。前述のように、リモコン50は、各第2通信ユニット70との間で、近距離無線通信(NFC: Near Field Communication)を用いて各種信号の授受を行う。リモコン50と、第2通信ユニット70とは、電磁界を用いて通信を行う。
【0091】
作業者等は、リモコン50を用いて、第2通信ユニット70に個別指令を送信することで、電子棚札40に各種処理を実行させる。
【0092】
例えば、個別指令には、電子棚札40の表示部41の表示を、通常画面から管理画面に、あるいは、管理画面から通常画面に切り換えるための指令を含む。また、例えば、個別指令には、電子棚札40に、商品情報の更新を要求する信号を、(アクセスポイント30を介して)電子棚札サーバ10に対して送信させ、電子棚札サーバ10から最新の商品情報を受信させるための指令を含む。
【0093】
(3)電子棚札の制御部の動作
次に、
図6を参照して、電子棚札40の制御部42の基本的な動作について説明する。
図6は、電子棚札40の制御部42の動作について説明するためのフローチャートである。ここでは、電子棚札40の制御部42の動作モードが、スリープモードにある場合(
図6中のステップS0の状態にある場合)に、どのように制御部42が動作するかについて説明する。
【0094】
ステップS1では、制御部42は、第2通信ユニット70のユニット制御部72から割り込み信号を受信したか否かを判定する。割り込み信号を受信した場合には、ステップS11へ進む。割り込み信号を受信しない場合には、ステップS2へ進む。
【0095】
ステップS2では、制御部42は、動作モードがスリープモードに切り換えられた後、所定の待機時間が経過したか否かを判定する。待機時間が経過していると判定される場合には、ステップS3へと進む。待機時間が経過していないと判定される場合には、ステップS1へと戻る。
【0096】
ステップS3では、制御部42の動作モードがウェイクアップモードへと切り換えられる。その後ステップS4へと進む。
【0097】
ステップS4では、制御部42は、第1通信ユニット60に電池44から駆動電力が供給されるよう制御し、第1通信ユニット60がアクセスポイント30からの電波を受信可能な状態になるよう制御する。
【0098】
ステップS5では、制御部42は、第1通信ユニット60が、アクセスポイント30が送信する配信データを受信したか否かを判定する。配信データを受信したと判定される場合にはステップS6へ、配信データを受信していないと判定される場合にはステップS10へと進む。
【0099】
ステップS6では、制御部42は、第1通信ユニット60が受信した配信データの識別子と、記憶部43に記憶された自己の装置IDと、を比較することで、第1通信ユニット60が受信した配信データが、自己宛の配信データであるか否かを判定する。具体的には、制御部42は、第1通信ユニット60が受信した配信データの識別子と記憶部43に記憶された自己の装置IDとが一致すれば、自己宛の配信データであると判定し、一致しなければ、自己宛の配信データでないと判定する。
【0100】
第1通信ユニット60が受信した配信データが自己宛であると判定される場合には、ステップS7へと進む。第1通信ユニット60が受信した配信データが自己宛でないと判定される場合には、制御部42は、動作モードをスリープモードへと切り換える(ステップS0へ戻る)。
【0101】
ステップS7では、制御部42は、第1通信ユニット60が、アクセスポイント30に対してACK信号を送信するよう制御する。その後ステップS8へと進む。
【0102】
ステップS8では、制御部42は、第1通信ユニット60が受信した配信データに含まれる商品情報を記憶部43に記憶する(記憶部43に記憶されている商品情報を更新する)。
【0103】
ステップS9では、制御部42は、更新された商品情報(画像データ)を表示部41に表示させる。なお、表示部41には、通常は(第2通信ユニット70が、表示部41の表示を通常画面から管理画面に切り換える個別指令を受信していない場合には)、通常画面が表示されている。そのため、ステップS8で、管理画面に関する商品情報(画像データ)だけが更新された場合には、ステップS9は実施されなくてもよい。ステップS9終了後、制御部42は、動作モードをスリープモードへと切り換える(ステップS0へ戻る)。
【0104】
ステップS10では(ステップS5で、配信データを受信していないと判定される場合には)、制御部42は、第1通信ユニット60を、配信データを受信可能な状態になるよう制御してから(つまり、ステップS4を実施してから)、所定時間が経過したか否かを判定する。ステップS10で、所定時間が経過していないと判定される場合には、ステップS5へと戻る。一方、ステップS10で、所定時間が経過したと判定される場合には、制御部42は、動作モードをスリープモードへと切り換える(ステップS0へ戻る)。
【0105】
次に、ステップS1で、制御部42が割り込み信号を受信したと判定する場合には、ステップS11で、制御部42の動作モードがウェイクアップモードへと切り換えられる。その後、ステップS12へと進む。
【0106】
ステップS12では、制御部42は、第2通信ユニット70のメモリ73から、個別指令を読み出す。その後、ステップS13へと進む。
【0107】
ステップS13では、制御部42は、ステップS12で読み出した個別指令に応じた処理を行う。例えば、個別指令が、表示部41の表示を通常画面から管理画面へと切り換える指令である場合には、制御部42は、管理画面用の商品情報(画像データ)を記憶部43から読み出し、表示部41が読み出した商品情報を表示するよう制御する。その後、制御部42は、動作モードをスリープモードへと切り換える(ステップS0へ戻る)。
【0108】
ステップS13における処理は、上記の内容に限定されるものではない。例えば、制御部42は、通常画面を管理画面へと切り換えてから所定時間が経過すると、管理画面を通常画面へと切り換える処理を更に実行した後に、動作モードをスリープモードへと切り換えてもよい。また、ステップS13では、制御部42は、個別指令に従って、第1通信ユニット60に、商品情報の更新を要求する信号を電子棚札サーバ10に対して送信させ、さらに、第1通信ユニット60に、電子棚札サーバ10から最新の商品情報を受信させてもよい。
【0109】
(4)リンク作業
電子棚札システム1における、リンク作業について、
図7のフローチャートを用いて説明する。リンク作業は、電子棚札40と、それぞれの電子棚札40が商品情報を表示する商品Pとを関連付ける(リンクする)作業である。具体的には、電子棚札40の装置IDと、それぞれの電子棚札40が商品情報を表示する商品Pの商品IDとを関連付ける作業である。リンク作業は、例えば、新商品を売り場に陳列する際に必要になる作業である。
【0110】
ステップS101で、作業者は、ハンディターミナル80に、電子棚札40に付された、電子棚札40の装置IDを示すバーコード40aを読み取らせる。その後ステップS102に進む。
【0111】
ステップS102では、作業者は、ステップS101で装置IDを読み取った電子棚札40と関連付けしたい商品Pに付されたバーコード(商品ID)を、ハンディターミナル80に読み取らせる。その後ステップS103へ進む。
【0112】
ステップS103では、ハンディターミナル80は、図示しない通信回線(例えば、無線LAN)を介して、電子棚札サーバ10のサーバ通信部11に、電子棚札40の装置IDと、電子棚札40と関連させたい商品Pの商品IDとを送信する。その後、ステップS104へと進む。
【0113】
なお、上記のステップS101からステップS103は例示であり、これに限定されるものではない。例えば、ステップS101とステップS102とは実施する順序が逆になるように電子棚札システム1が設計されてもよい。また、例えば、ステップS103で装置IDと商品IDとを同時に送信する代わりに、それぞれの読み取りが行われた時点で、装置IDと商品IDとの送信が実行されてもよい。
【0114】
ステップS104では、電子棚札サーバ10のサーバ制御部15は、サーバ通信部11が受信した電子棚札40の装置IDと、商品Pの商品IDとをリンクさせて、サーバ記憶部14の電子棚札マスタテーブル14bに記憶させる。その後ステップS105に進む。
【0115】
ステップS105では、サーバ制御部15は、サーバ記憶部14の商品マスタテーブル14aを参照して、ステップS104で受信した商品IDの商品Pについて、電子棚札40に送信するための商品情報(画像データ)を生成する。その後ステップS106に進む。
【0116】
ステップS106では、サーバ制御部15は、サーバ記憶部14の電子棚札マスタテーブル14bを参照して、電子棚札40の表示変更が必要な商品Pとリンク付けされている電子棚札40の装置ID(つまり、ステップS104で受信した装置ID)を、識別子として取得する。その後、ステップS107へ進む。
【0117】
なお、ステップS105およびステップS106は、この順序で実施される必要はなく、実施順序は逆であってもよい。また、ステップS105とステップS106とは、同時に実施されてもよい。
【0118】
ステップS107では、サーバ制御部15は、ステップS105で生成した商品情報と、ステップS106で取得した識別子とを含めて配信データを生成する。その後ステップS108へと進む。
【0119】
ステップS108では、サーバ制御部15は、サーバ通信部11を制御して、生成された配信データをアクセスポイント30に送信する。
【0120】
次に、ステップS109では、配信データを受信したアクセスポイント30は、その配信データを、電波により電子棚札40に対して送信する。
【0121】
次に、ステップ110では、アクセスポイント30が送信した配信データを、電子棚札40の第1通信ユニット60が受信する。その後ステップS111に進む。
【0122】
なお、配信データの送信対象である電子棚札40(ステップS101で取得された装置IDを付された電子棚札40)の制御部42の動作モードは、前述のように、常にウェイクアップモードにあるわけではない。そこで、アクセスポイント30は、電子棚札40と通信できないという事態を避けるため、電子棚札40の第1通信ユニット60がウェイクアップモードになる時間まで待機した後、配信データを送信する。
【0123】
ステップS111では、制御部42は、第1通信ユニット60を制御して、アクセスポイント30に対してACK信号を送信する。その後ステップS112へと進む。
【0124】
ステップS112では、制御部42は、第1通信ユニット60が受信した配信データに含まれる商品情報を記憶部43に書き込む(記憶部43に記憶されている商品情報を更新する)。その後ステップS113へ進む。
【0125】
ステップS113では、制御部42は、更新された商品情報(画像データ)を表示部41に表示させる。このようにして、電子棚札40の表示部41には、その電子棚札40が表示すべき商品情報が表示されることとなる。
【0126】
(5)特徴
(5−1)
本実施形態に係る電子棚札システム1は、複数の電子棚札40と、電子棚札サーバ10と、電波送信機としてのアクセスポイント30と、携帯型送信機としてのリモコン50と、を備える。電子棚札40は、複数の商品Pのそれぞれに対応して配置され、対応する商品Pに関する商品情報を表示する。電子棚札サーバ10は、商品情報を記憶する。アクセスポイント30は、複数の電子棚札40に向けて、電子棚札サーバ10に記憶された商品情報を電波により送信する。リモコン50は、個別の電子棚札40に対する個別指令を、近距離無線通信により送信する。電子棚札40は、第1受信ユニット60と、第2通信ユニット70と、制御部42と、を有する。第1受信ユニット60は、アクセスポイント30から送信される商品情報を受信する。第2通信ユニット70は、リモコン50から送信される個別指令を受信する。制御部42は、個別指令に応じた処理を実行する。
【0127】
ここでは、電子棚札40が、リモコン50から近距離無線通信により送信される個別指令を受信できる。そのため、電子棚札40の設置された売り場等で、作業者が、操作対象以外の電子棚札40を誤操作することなく、操作対象の電子棚札40だけを操作することが容易である。
【0128】
(5−2)
本実施形態に係る電子棚札システム1では、第2通信ユニット70は、個別指令を記憶するメモリ73を有する。第2通信ユニット70は、リモコン50から第2通信ユニット70に対して非接触電力伝送により供給される電力を用いて、メモリ73に個別指令を書き込む。
【0129】
ここでは、電子棚札40の第2通信ユニット70のメモリ73に対する個別指令の書き込みが、リモコン50により供給された電力により実行されるため、電子棚札40の電力消費を抑制することができる。
【0130】
(5−3)
本実施形態に係る電子棚札システム1では、電子棚札40は、制御部42に電力を供給する電池44を有する。第2通信ユニット70は、第2通信ユニット70の動作を制御するユニット制御部72を有する。ユニット制御部72は、電池44から電力の供給を受けない。
【0131】
ここでは、電池44で駆動される電子棚札40において、第2通信ユニット70のユニット制御部72が電池の電力を使用しない。さらに、第2通信ユニット70は、メモリ73を除き、電池44から電力供給を受けない。そのため、第2通信ユニット70が、リモコン50からの信号送信の有無の確認を、電池44の電力を用いて実行する場合に比べ、電子棚札40の電池44の交換頻度を抑制できる。その結果、電池交換のコスト(電池44自体のコストや、電池交換のための人件費)を抑制できる。
【0132】
さらに、本実施形態に係る電子棚札システム1では、ユニット制御部72は、制御部42に信号を送信する信号送信部の一例である。制御部42は、消費電力を最小限に抑制するスリープモード(待機モード)と、スリープモードよりも消費電力の大きなウェイクアップモード(起動モード)と、を動作モードとして有する。ユニット制御部72は、第2通信ユニット70が個別指令を受信すると、スリープモードにある制御部42に対し、動作モードをウェイクアップモードに切り換えるための割り込み信号を送信する。
【0133】
ここでは、電池44で駆動される電子棚札40において、第2通信ユニット70が個別指令を受け付けてから、制御部42の動作モードがウェイクアップモードに切り換えられる。そのため、制御部42は、いつ送信されてくるかわからないリモコン50からの個別指令の入力待ちのために、電池44の電力を消耗することがない。その結果、電子棚札40の電池44の交換頻度を抑制でき、電池交換のコストを抑制できる。
【0134】
さらに、本実施形態に係る電子棚札システム1では、第2通信ユニット70は、リモコン50から非接触電力伝送により電力の供給を受ける。ユニット制御部72は、リモコン50から供給された電力を用いて制御部42に信号を送信する。
【0135】
ここでは、第2通信ユニット70のユニット制御部72が、制御部42に対する信号送信のために電池44の電力を消耗することがないので、電子棚札40の電池44の交換頻度を抑制でき、電池交換のコストを抑制できる。
【0136】
(5−4)
本実施形態に係る電子棚札システム1では、第2通信ユニット70とリモコン50との通信可能距離は10cm以下である。
【0137】
これにより、店舗の売り場等で電子棚札40が密接して設置されているような場合にも、操作対象以外の電子棚札40を誤操作することなく、操作対象の電子棚札40だけを操作することができる。
【0138】
(6)変形例
以下に本実施形態の変形例について説明する。なお、矛盾しない範囲で、複数の変形例が組み合わされてもよい。
【0139】
(6−1)変形例A
上記実施形態に係る電子棚札システム1では、電子棚札40と商品Pとのリンク作業は、ハンディターミナル80で、電子棚札40の装置IDを示すバーコード40aと、商品Pの商品IDを示すバーコードとを読み取ることで行われるが、これに限定されるものではない。例えば、以下に示す電子棚札システム201のような構成であってもよい。
【0140】
図8に示す電子棚札システム201のハンディターミナル280は、RFタグのリーダライタ機能を有する。ハンディターミナル280は、電子棚札40の第2通信ユニット70と通信を行うことで、電子棚札40の装置IDを取得する。電子棚札システム201では、
図7に示すフローチャートに代えて、
図9に示すようなフローチャートに従いリンク作業が実施される。
【0141】
ステップS201で、作業者は、ハンディターミナル280に、電子棚札40に対して(電子棚札40の第2通信ユニット70に対して)、装置IDの送信指令と、第1通信ユニット60の起動指令とを、個別指令として送信させる。つまり、ハンディターミナル280は、携帯型送信機の一例である。
【0142】
次に、ステップS202では、個別指令を受信した第2通信ユニット70のユニット制御部72が、ハンディターミナル280から供給される電力を用いて、第1通信ユニット60の起動指令をメモリ73に書き込む。また、ユニット制御部72は、ハンディターミナル280から供給される電力を用いて、制御部42に割り込み信号を送信する。また、ユニット制御部72は、装置IDの送信指令に応じて、メモリ73に記憶されている装置IDを、ハンディターミナル280に向かって送信する。ハンディターミナル280は、第2通信ユニット70から送信された装置IDを受信する。
【0143】
次に、ステップS203では、ステップS202で割り込み信号を受け付けた制御部42が、動作モードをウェイクアップモードに変更し、メモリ73に記憶された個別指令(第1通信ユニット60の起動指令)を読み出す。さらに、制御部42は、読み出した個別指令(第1通信ユニット60の起動指令)を実行する。なお、第1通信ユニット60の起動指令は、制御部42の動作モードがスリープモードからウェイクアップモードになる周期(待機時間)を短縮する指令である。例えば、通常は、スリープモードでの待機時間を1分としているが、第1通信ユニット60の起動指令を実行する場合には、待機時間が1秒となる。その結果、第1通信ユニット60は、アクセスポイント30からの商品情報の送信に備えることができる。
【0144】
次に、ステップS204では、作業者が、ハンディターミナル280に、ステップS201で個別指令を送信した電子棚札40と関連付けしたい商品Pに付されたバーコード等の商品IDを読み取らせる。
【0145】
ステップS205では、ハンディターミナル280が、電子棚札サーバ10のサーバ通信部11に、図示しない通信回線(例えば、無線LAN)を介して、ステップS202で取得した電子棚札40の装置IDと、電子棚札40と関連させたい商品Pの商品ID(ステップS204で取得した商品ID)と、を送信する。その後、ステップS206へと進む。
【0146】
なお、上記のステップS201からステップS205は例示であり、これに限定されるものではない。例えば、ステップS205が最初に実施されるように電子棚札システム201が設計されてもよい。また、例えば、ステップS205で装置IDと商品IDとを同時に送信する代わりに、それぞれが取得された時点で、装置IDと商品IDとが送信されてもよい。
【0147】
次に、ステップS206では、電子棚札サーバ10のサーバ制御部15は、サーバ通信部11が受信した電子棚札40の装置IDと、商品Pの商品IDとをリンクさせて、サーバ記憶部14の電子棚札マスタテーブル14bに記憶させる。その後ステップS207に進む。
【0148】
ステップS207では、サーバ制御部15は、サーバ記憶部14の商品マスタテーブル14aを参照して、ステップS206で受信した商品IDの商品Pについて、電子棚札40に送信するための商品情報(画像データ)を生成する。その後ステップS208に進む。
【0149】
ステップS208では、サーバ制御部15は、サーバ記憶部14の電子棚札マスタテーブル14bを参照して、電子棚札40の表示変更が必要な商品Pとリンク付けされている電子棚札40の装置ID(つまり、ステップS206で受信した装置ID)を、識別子として取得する。その後、ステップS209へ進む。
【0150】
なお、ステップS207およびステップS208は、この順序で実施される必要はなく、実施順序は逆であってもよい。また、ステップS207とステップS208とは、同時に実施されてもよい。
【0151】
ステップS209からステップS215については、
図7のステップS107〜ステップS113と同様であるため説明は省略する。
【0152】
図7のフローチャートに従ってリンク作業が実行される場合には、アクセスポイント30から商品情報が送信されても、その時に制御部42の動作モードがウェイクアップモードであるとは限らない。これに対し、本変形例では、ステップS203で、制御部42の動作モードがウェイクアップモードになる周期(待機時間)が短縮される。その結果、制御部42は、アクセスポイント30からの商品情報の送信に備えることができ、短時間で電子棚札サーバ10からの配信データを受信することができる。
【0153】
(6−2)変形例B
また、電子棚札システム201では、例えば、リンク作業は、
図7および
図9に示すフローチャートに代えて、
図10に示すようなフローチャートに従い実施されてもよい。
【0154】
まず、ステップS301では、作業者は、ハンディターミナル280に、商品Pに付されたバーコード等の商品IDを読み取らせる。その後ステップS302へ進む。
【0155】
ステップS302では、作業者が、ハンディターミナル280に、電子棚札40の第2通信ユニット70に対して、第1通信ユニット60の起動指令と、リンク要求の送信指令とを個別指令として送信させる。また、ハンディターミナル280は、個別指令と共に、第2通信ユニット70に対して、ステップS301で読み取った商品IDを送信する。
【0156】
なお、リンク要求は、電子棚札40から電子棚札サーバ10に対して送信される要求であり、電子棚札サーバ10に、リンク要求を送信する電子棚札40の装置IDと、ある商品Pの商品ID(ステップS302で第2通信ユニット70に対して送信される商品ID)とをリンク付けし、さらに、商品Pの商品情報を送信することを要求するものである。
【0157】
ステップS303では、個別指令を受信した第2通信ユニット70のユニット制御部72が、ハンディターミナル280から供給される電力を用いて、個別指令(第1通信ユニット60の起動指令およびリンク要求の送信指令)と、個別指令と共に受信した商品IDと、をメモリ73に書き込む。また、ユニット制御部72は、ハンディターミナル280から供給される電力を用いて、制御部42に割り込み信号を送信する。
【0158】
ステップS304では、ステップS303で割り込み信号を受け付けた制御部42が、動作モードをウェイクアップモードに変更し、メモリ73に記憶された個別指令を読み出し、その内容を実行する。つまり、制御部42は、制御部42の動作モードがスリープモードからウェイクアップモードになる周期(待機時間)を短縮する。また、制御部42は、第1通信ユニット60を制御して、電子棚札サーバ10に対して、記憶部43に記憶されている装置IDおよびメモリ73に記憶されている商品IDと共に、リンク要求を送信する。
【0159】
次に、ステップS305では、電子棚札サーバ10のサーバ制御部15は、アクセスポイント30を介して受信した電子棚札40の装置IDと、商品Pの商品IDとをリンクさせて、サーバ記憶部14の電子棚札マスタテーブル14bに記憶させる。その後ステップS306に進む。
【0160】
ステップS306からステップS314については、
図9のステップS207からステップS215と同様であるため説明は省略する。
【0161】
図10のフローチャートに従ってリンク作業が実行される場合にも、ステップS304で、制御部42の動作モードがスリープモードからウェイクアップモードになる周期(待機時間)が短縮されている。そのため、ステップS310で、アクセスポイント30から配信データが送信されると、第1通信ユニット60は、短時間で配信データを受信することが可能である。よって、電子棚札システム201では、電子棚札システム1に比べ、リンク作業時の電子棚札40の応答性を向上させることが可能である。ステップS310において、アクセスポイント30が配信データを送信する時間も、短時間(例えば1秒)でよい。
【0162】
また、
図10のフローチャートに従って、リンク作業が実施される場合には、ハンディターミナル280は、リンク作業の際、電子棚札サーバ10と通信する必要がない。したがって、ハンディターミナル280と電子棚札サーバ10とを通信可能とするための通信回線は不要となる。
【0163】
(6−3)変形例C
上記実施形態においては、電子棚札40は、アクセスポイント30から送信される電波を受信すると共に、リモコン50と近距離無線通信により通信を行うものであるが、これに限定されるものではない。
【0164】
例えば、電子棚札は、アクセスポイントから送信される電波を受信すると共に、赤外線リモコンとの通信が可能な赤外線の送受信機を備えたものであってもよい。赤外線は、電波に比べ指向性に優れているため、電波によりアクセスポイントとの通信を行う電子棚札システムにおいて、電子棚札の設置場所で、作業者が、操作対象以外の電子棚札を誤操作することなく、操作対象の電子棚札だけを操作することが可能である。
【0165】
また、リモコンと電子棚札とが赤外線で通信を行う場合には、リモコンと電子棚札とが電波により通信を行う場合に比べ、電子棚札の消費電力を低減できる。