特許第5953274号(P5953274)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5953274
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/02 20060101AFI20160707BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20160707BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20160707BHJP
   B41J 29/13 20060101ALI20160707BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
   B41J29/02
   G03G15/00 550
   B41J29/00 S
   B41J29/12 A
   H05K9/00 E
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-175400(P2013-175400)
(22)【出願日】2013年8月27日
(65)【公開番号】特開2015-44298(P2015-44298A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2015年6月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】小▲柳▼ 剛
(72)【発明者】
【氏名】山根 直樹
【審査官】 牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−227862(JP,A)
【文献】 特開2002−353639(JP,A)
【文献】 実開平01−135796(JP,U)
【文献】 特開2007−158138(JP,A)
【文献】 特開平09−116288(JP,A)
【文献】 実開昭57−159470(JP,U)
【文献】 特開平08−293687(JP,A)
【文献】 実開昭64−013195(JP,U)
【文献】 特開2005−073860(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/02
B41J 29/00
B41J 29/13
G03G 15/00
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子回路を搭載した基板が収容されたシールドケースを備える画像形成装置であって、
前記シールドケースは、一つの面の一部に開口が形成された導電性のケース本体と、一端が前記ケース本体に回動可能に支持され、他端が前記開口の閉時に前記ケース本体にビスで締結される導電性の蓋部材と、を有し、
前記ケース本体と前記蓋部材とは前記開口の閉時に互いに係合する被係合部と係合部とをそれぞれ有し、該係合部は前記被係合部を挟持するように形成され、
前記係合部は、前記蓋部材の他端から前記被係合部側に延出する突片により構成され、該突片には、該突片の延出方向の中央部から先端までスリットが形成され、該スリットを挟んで一方側の片は前記突片の延出方向に沿って真っ直ぐに延出し、前記スリットを挟んで他方側の片は前記一方側の片に対して前記被係合部の板厚より小さい隙間を成すように該一方側の片に対して平行に延出し、
前記開口の閉時に前記ビスを締結方向へ回転させると、前記係合部と前記被係合部との接触力が増大する方向に向かうように形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記被係合部には板片が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記板片は、前記ケース本体に前記基板を支持する支持部材であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記一方側の片の先端部と前記他方側の片の先端部は互いに離間する方向に広がるように形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの請求項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記被係合部及び前記係合部は前記シールドケース内に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの請求項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気回路が実装された基板が収容されるシールドケースを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、画像形成に関する各種のパラメーターを制御する電気回路が実装された制御基板はシールドケースに収容されている。シールドケースは一般的には画像形成装置の裏側で本体フレームにビス止めにより電気的に接続されて、本体フレームを介して接地されている。
【0003】
シールドケースの本体には、制御基板の点検やメモリを増設する場合等に制御基板を操作するための開口が開けられている。開口は蓋部材で開閉できるようになっている。蓋部材がシールドケースの本体に対して電気的に接続されていないと、シールドケースから電磁波が漏えいする虞がある。
【0004】
このため、特許文献1には、蓋部材をシールドケースの本体の開口の周囲に複数のネジで固定するとともに、蓋部材の裏面のネジ固定部の間に突起を形成したシールドケースが開示されている。このシールドケースでは、蓋部材をシールドケースの本体にネジで固定する際に、蓋部材で突起がシールドケースの本体に対して押圧され、蓋部材とシールドケースの本体とが確実に接触して導通するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−130091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記特許文献1に記載されているシールドケースは、蓋部材を開口の周囲に複数のビスで固定する必要があるため、蓋部材の開閉作業に手間が掛かるという問題がある。また、蓋部材に複数の突起を形成しているので、蓋部材の製造コストが高くなるという問題もある。
【0007】
そこで、本発明は上記事情を考慮し、蓋部材を容易に開閉でき、本体ケースと蓋部材とを確実に導通できるシールドケースを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、電子回路を搭載した基板が収容されたシールドケースを備える画像形成装置であって、前記シールドケースは、一つの面の一部に開口が形成された導電性のケース本体と、一端が前記ケース本体に回動可能に支持され、他端が前記開口の閉時に前記ケース本体にビスで締結される導電性の蓋部材と、を有し、前記ケース本体と前記蓋部材とは前記開口の閉時に互いに係合する被係合部と係合部とをそれぞれ有し、該係合部は前記被係合部を挟持するように形成され、前記開口の閉時に前記ビスを締結方向へ回転させると、前記係合部と前記被係合部との接触力が増大する方向に向かうように形成されていることを特徴とする。
【0009】
このような構成を採用することにより、ケース本体と蓋部材とが確実に導通するので、ケース本体からの電磁波の漏えいを防ぐことができる。また、ビス止めする箇所が少なくてすむので、蓋部材の開閉作業に手間がかからない。
【0010】
本発明の画像形成装置において、前記被係合部及び前記係合部のいずれか一方には板片が形成され、前記被係合部及び前記係合部の他方には前記板片を挟持する挟持片が形成されていることを特徴としてもよい。
【0011】
このような構成を採用することにより、挟持片が板片を挟持すると、挟持片が板片の両面に接触するので、挟持片と板片との電気的な接続を得やすくなる。
【0012】
本発明の画像形成装置において、前記ケース本体の前記開口が形成された面に隣接する面には、前記開口と角部を介して連通する切り欠き状開口が形成されており、前記板片は、前記ケース本体内に前記切り欠き状開口と所定の間隔を開けて対向するように配置されているとともに、前記切り欠き状開口よりも開口面積の狭い第2開口が形成されており、前記基板は、前記板片の内側に配置されているとともに、前記板片の前記第2開口の内側に配置されたコネクタを有し、前記開口の閉時に、前記コネクタは前記切り欠き状開口及び前記第2開口を通して接続可能な状態であることを特徴としてもよい。
【0013】
このような構成を採用することにより、ケース本体の開口を閉じたままでオプション機器などのコネクタを基板のコネクタに容易に接続することができる。さらに、第2開口の開口面積が狭いので、ケース本体からの電磁波の漏れを防ぐことができる。
【0014】
本発明の画像形成装置において、前記板片は、前記ケース本体に前記基板を支持する支持部材であることを特徴としてもよい。
【0015】
このような構成を採用することにより、新たな部材を付加することなく、ケース本体からの電磁波の漏れを防ぐことができる。
【0016】
本発明の画像形成装置において、前記挟持片は前記蓋部材の端縁に形成されており、該挟持片の各々の片は、前記端縁に沿って交互に配置されていることを特徴としてもよい。
【0017】
このような構成を採用することにより、蓋部材を単一の材料で形成することができ、挟持片を簡単な加工で形成することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、開口を閉じる際には、蓋部材の係合部をケース本体の被係合部に係合させるとともに、蓋部材をケース本体の2箇所にビスで締結するだけでよいので、蓋部材の開閉を容易に行うことができる。また、ビス締結することにより係合部と被係合部との接触力が増大するので、蓋部材とケース本体とを確実に電気的に接続でき、電磁波の漏れを確実に遮蔽できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係るカラープリンターの構成の概略を示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係るカラープリンターのシールドボックスの斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係るカラープリンターのシールドボックスの分解斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係るカラープリンターのシールドボックスに収容される基板の斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、基板をシールドボックスに収容した状態を示す斜視図である。
図6】本発明の一実施形態に係るカラープリンターのシールドボックスの蓋部材を示す斜視図である。
図7】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、蓋部材を基板開口がほぼ閉じられる位置まで回動させた状態を示す斜視図である。
図8】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、蓋部材の突片をケース本体のカバー片に係合させた状態を示す図であり、図8(A)は正面図、図8(B)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について説明する。
【0021】
まず、図1を用いて、画像形成装置としてのカラープリンター1の全体の構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るカラープリンターの構成の概略を示す模式図である。なお、図1に関する説明では、図1における左側をプリンター1の正面側(前側)とし、正面から見て、前後方向に直交する方向を左右方向とする。
【0022】
カラープリンター1は、箱型形状のプリンター本体2を備えている。プリンター本体2は、プリンター本体2の外郭をなす板金部材である本体フレーム2aと、本体フレーム2aの表面を覆うカバー部材2bとを有する。
【0023】
プリンター本体2の下部には用紙(記録媒体)を収納した給紙カセット3が設けられ、プリンター本体2の上部には排紙トレイ4が設けられている。複写機本体2の上端には、排紙トレイ4の上方に画像読取装置5が設けられている。
【0024】
プリンター本体2の中央部には中間転写ベルト6が設けられ、中間転写ベルト6の下方には、レーザー・スキャニング・ユニット(LSU)で構成される露光装置7が配置されている。中間転写ベルト6の下側には、4個の画像形成部8がトナーの色(例えば、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4色)ごとに設けられている。各画像形成部8には、感光体ドラム9が回転可能に設けられており、感光体ドラム9の周囲には、帯電器10と、現像器11と、一次転写部12と、クリーニング装置13と、除電器14とが、一次転写のプロセス順に配置されている。現像器11の上方には、各画像形成部8と対応するトナーコンテナ15が、トナーの色(例えば、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4色)ごとに設けられている。
【0025】
プリンター本体2の一側(図面上右側)には、用紙の搬送経路16が上下方向に設けられている。搬送経路16の上流端には給紙部17が設けられ、搬送経路16の中流部には中間転写ベルト6の一端(図面上右端)に二次転写部18が設けられ、搬送経路16の下流部には定着装置20が設けられ、搬送経路16の下流端には排紙口21が設けられている。
【0026】
プリンター本体2の本体フレーム2aの裏面には、シールドケース30が取り付けられている。シールドケース30には、画像形成に関する各種パラメーターを制御する電気回路、電源回路、メモリ等を搭載した基板や、コネクタ、ファン等が収容されている。シールドケース30については後述する。
【0027】
次に、このような構成を備えたカラープリンター1の画像形成動作について説明する。カラープリンター1に電源が投入されると、制御回路において各種パラメーターが初期化され、定着装置20の温度設定等の初期設定が実行される。そして、画像読取装置5によって原稿画像が読み取られると、以下のようにして画像形成動作が実行される。
【0028】
まず、帯電器10によって感光体ドラム9の表面が帯電された後、露光装置7からのレーザー光(矢印P参照)により感光体ドラム9の表面に静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像器11でトナーコンテナ15から供給されるトナーによって対応する色のトナー像に現像される。このトナー像は、一次転写部12において中間転写ベルト6の表面に一次転写される。以上の動作を各画像形成部8が順次繰り返すことによって、中間転写ベルト6上にフルカラーのトナー像が形成される。なお、感光体ドラム9上に残留したトナー及び電荷は、クリーニング装置13及び除電器14によって除去される。
【0029】
一方、給紙部17によって給紙カセット3又は手指しトレイ(図示せず)から取り出された用紙は、上記した画像形成動作とタイミングを合わせて二次転写部18へと搬送され、二次転写部18において、中間転写ベルト6上のフルカラーのトナー像が用紙に二次転写される。トナー像を二次転写された用紙は、搬送経路16を下流側へと搬送されて定着装置20に進入し、この定着装置20において用紙にトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙は、排紙口21から排紙トレイ4上に排出される。
【0030】
次に、図2図6を参照してシールドケース30について説明する。図2は、シールドケースを示す斜視図であり、図3は、シールドケースの構成要素を簡略化して示した分解斜視図である。図4は、基板を示す斜視図であり、図5は、基板をケース本体に取り付けた状態を示す斜視図である。図6は、蓋部材を示す斜視図である。上記したようにシールドケースはカラープリンターの裏面に取り付けられているので、以降の説明では、シールドケースをカラープリンターの裏側から見て説明し、文中の左右方向と前後方向は、プリンターの裏側から見た方向を示す。
【0031】
シールドケース30は、図2に示されるように、基板、ファン、コネクタ等が収容されて、前面の一部に基板操作用の開口53が形成されたケース本体40と、ケース本体40の開口53を開閉する蓋部材70と、を有する。
【0032】
ケース本体40は、正面形状が長方形状で、前後方向に扁平な直方体状の箱状部材である。ケース本体40は、前面が開口した箱体41と、箱体41の前面の開口を覆う天板50と、を有し、導電性を有する板金部材で形成される。ケース本体40は、ビス止め等によりカラープリンター1の本体フレーム2aに取り付けられて、本体フレーム2aを介して接地される。
【0033】
箱体41は、図3に示されるように、やや横長の長方形状の底板42と、底板42の上下及び左右の辺から立設される上下の側板43、44及び左右の側板45、46を有する。底板42の前側の面には、基板、基板冷却用のファン、複数のコネクタ等が配置されている。基板は、底板42の上部のやや左寄りの位置に配置され、ファンは基板の下方に配置されている。各種のコネクタや、信号ケーブルや電源ラインを束ねるホルダ等は、基板の両側に配置されている。
【0034】
上側板43の、基板に対応する位置には、切り欠き43aが形成されている。切り欠き43aは方形形状であり、上側板43の前縁から後縁寄りまで延びている。なお、上側板43と下側板44には、他にも切り欠きが形成されているが、それらについては図示及び説明を省略する。
【0035】
上下の側板43、44及び左右の側板45、46の周縁に沿って、複数の舌状片43b、44b、45b、46bが内方向又は外方向にほぼ直角に延出するように形成されている。舌状片43b、44b、45b、46bには、ネジ孔が開けられている。
【0036】
天板50は、箱体41の底板42と同様のやや横長の長方形状の前板51と、前板51の上縁のほぼ左半分の位置から後方に直角に延出する上板52と、を有する。前板51の上縁には、上板52の両側から連続して後方にほぼ直角に延出する外縁部51aが形成されている。前板51の左右の側縁にも、後方にほぼ直角に延出する外縁部51aが複数形成されている。また、前板51の周囲に沿って、複数の貫通孔51bが開けられている。上板52の後縁には、上方にほぼ直角に延出する後縁部52aが形成されている。
【0037】
前板51には、箱体41の底板42上に配置された基板に対応する位置に開口53が形成されている。基板に対応する開口53(以降、基板開口という)は、縦長の略長方形状の形状であり、幅の狭い上部長方形部53aと、上部長方形部53aから下方に向かって幅広となる台形部53bと、台形部53bから下方に延びる幅の広い下部長方形部53cと、を有し、基板のほぼ全面が露出する。なお、前板51には、他にもファンやオプション用等の開口が形成されているが、それらについては図示及び説明を省略する。
【0038】
前板51の基板開口53の周囲には、開口57とネジ孔58とが形成されている。開口57は、基板開口53の左下隅の左下方向の外側と、右下隅の右下方向の外側とに形成されている。ネジ孔58は、基板開口53の左上隅の左方向の外側と、右上隅の右方向の外側とに形成されている。
【0039】
前板51と上板52との角には切り欠き状開口55が形成されている。切り欠き状開口55の下端は、基板開口53の上部長方形部53aに連通している。
【0040】
次に、基板Sについて図4を参照して説明する。基板Sは、縦長の長方形状であり、CPU、抵抗器やコンデンサ等の電子部品、コネクタ、ケーブルを束ねて固定するホルダ等が実装されている。
【0041】
基板Sは、基板支持部材60に支持されている。基板支持部材60は、支持板61とカバー板62とを有し、板金部材で形成されている。支持板61は、横長の長方形状であり、下縁の中央付近に、下方に延出する幅広の延長部61aが形成されている。支持板61の左端部61bは前方にほぼ直角に折れ曲がっている。支持板61の前側の面には、プリンター本体内の各部から延びる信号ケーブルや電源ラインを束ねる複数のホルダ部材やコネクタ等が取り付けられている。
【0042】
カバー板62は、側面形状がL字状の部材であり、固定片63と、固定片63の上端からほぼ直角に前方に延出するカバー片64と、を有する。カバー片64の中央には、横長の方形の開口64a(第2開口)が開けられている。カバー板62の固定片63は支持板61の延長部61aの下部に固定されており、カバー片64は支持板61の延長部61aから直角に前方に突き出している。
【0043】
基板Sは、上端部が、カバー板62の固定片63に固定されている。基板Sは、基板Sに実装されたオプション機器用コネクタOCが、カバー板62のカバー片64の開口64aの下方近傍に位置するように配置される。オプション機器とは、例えば、原稿自動読み取り装置などのカラープリンター1にオプションとして付加される装置である。オプション機器から延びる信号ケーブルや電源ラインの末端に接続されたコネクタは、カバー片64の開口64aを通ってオプション機器用コネクタOCへ接続できるようになっている。
【0044】
また、オプション機器は、オプションとして追加する機能のプログラムやデータなどを保存した記憶媒体の場合もある。記憶媒体は、一体に形成されたコネクタがオプション機器用コネクタOCに接続されて基板Sに装着される。カバー片64の開口64aは、箱体41の切り欠き状開口55の開口面積よりも狭く、オプション機器用コネクタOCに接続するコネクタが通過できる程度の開口面積を有する。
【0045】
次に、上記した基板Sを支持した基板支持部材60をケース本体40に取り付けた状態を図3及び図5を参照して説明する。基板支持部材60は、支持板61の延長部61aが箱体41の上側板43の切り欠き43aに配置されて、延長部61aの背面は、切り欠き43aの奥側の端面に当接している。延長部61aの両側の支持板61は、上側板43に乗り、延長部61aに支持された基板Sは、箱体41の底板42から浮いた姿勢で上側板43に支持される。基板支持部材60のカバー板62のカバー片64は、上側板43の切り欠き43aの下方に位置する。
【0046】
天板50は、上板52と、前板51の上縁と左右の側縁に形成された外縁部51aとが、箱体41の外周を囲むように被せられる。これにより、箱体41の前面の開口が前板51で覆われる。そして、前板51の周囲に形成された貫通孔51bからビスを通し、箱体41の上下及び左右の側板43、44、45、46に形成された舌状片43b、44b、45b、46bのビス孔に螺合させることにより、天板50が箱体41に固定される。
【0047】
この際、基板支持部材60の支持板61は、箱体41の上側板43の切り欠き43aと天板50の上板52の後縁部52aとの間に挟まれる。そして、支持板61と後縁部52aとをビス止めすることにより、基板支持部材60がケース本体40に支持される。
【0048】
このような構成により、図5に示されるように、前板51の基板開口53から基板Sが露出し、切り欠き状開口55から基板支持部材60のカバー板62のカバー片64が露出するようになっている。また、基板Sに実装されたオプション機器用コネクタOCは、天板50の上板52の切り欠き状開口55と、箱体41の上側板43の切り欠き43aと、基板支持部材60のカバー板62の開口64aとを通って接続可能となっている。つまり、本実施形態においては、オプション機器用コネクタOCは、基板開口53の開閉に関わらず常に接続可能な状態にある。オプション機器用コネクタOCの外側の空間は、カバー板62のカバー片64で覆われる。
【0049】
また、切り欠き43a及び切り欠き状開口55は、カバー片64の開口64aよりも開口面積が広いため、基板開口53が閉状態においても、オプション機器のコネクタの接続作業を容易に行うことができる。開口64aは、コネクタが通過できる程度の狭い開口面積であるため、記憶媒体等を誤ってケース本体40内に落下させることがない。また、オプション機器のコネクタや記憶媒体は切り欠き状開口55の内側に配置されて、上板52から突出しないため、他の作業の際に干渉することがない。
【0050】
次に、蓋部材70について図6を参照して説明する。蓋部材70は、ケース本体40の天板50の基板開口53よりも大きい長方形状の平板であり、導電性を有する板金部材で形成される。
【0051】
蓋部材70の上縁の中央には、後方向にほぼ直角に延出する突片71が形成されている。突片71の幅方向の中央には、長さ方向に延びるスリット71aが形成されている。スリット71aは、突片71の長さ方向のほぼ中央まで延びている。スリット71aの右側の右片72は、後方に直角に真っ直ぐに延出している。スリット71aの左側の左片73は、下方に折れ曲がった後で右片72と平行に後方に延出している。このように右片72と左片73との間には、上下方向においてある程度の隙間が空いている。隙間の間隔は、基板支持部材60のカバー片64の板厚よりもやや小さい程度である。
【0052】
右片72の先端部72aは、斜め上方に折れ曲がっている。左片73の先端部73aは、斜め下方に折れ曲がっている。このように形成することにより、右片72と左片73との間の隙間は、突片71の先端に向かって間隔が広くなっている。
【0053】
蓋部材70の上左隅と上右隅には、それぞれビスが挿通される貫通孔75が開けられている。蓋部材70の下縁の左右端部には、下方に延びるフック部76が形成されている。フック部76は横長の長方形形状で、蓋部材70の下縁から後方に折れ曲がった段部76aと、段部76aから蓋部材70と平行に延びる平板部76bとを有する。
【0054】
蓋部材70は、天板50に回動可能に支持される。蓋部材70の各フック部76を、天板50の前板51に形成された方形の開口57(図3参照)に挿入すると、各フック部76の段部76aが開口57の下側側面に乗り、蓋部材70は各フック部76の段部76aを中心にして回動する。
【0055】
上記の構成を有するシールドケース30において、蓋部材70でケース本体40の基板開口53を閉じる方法を、図7及び図8を参照して説明する。図7は、蓋部材をほぼ閉位置にまで回動させた際の、蓋部材の突片とケース本体とを示す斜視図である。図8は、蓋部材の突片をケース本体のカバー板に係合させた状態を示す図であり、図8(A)は正面図、図8(B)は側面図である。
【0056】
図7に示されるように、蓋部材70を基板開口53の全閉位置の手前まで回動させると、蓋部材70の突片71は、天板50に形成された切り欠き状開口55を通って、基板支持部材60のカバー板62のカバー片64に対向する。蓋部材70をさらに回動させると、突片71の右片72の先端72aと左片73の先端73aとの間にカバー片64の先端が入り込む。
【0057】
さらに蓋部材70を回動させると、図8に示されるように、カバー板62のカバー片64の開口64aより前側の部分は、突片71の右片72と左片73とで挟持されて、カバー片64の上面が右片72の下面に接触し、カバー片64の下面が左片73の上面に接触する。この際、右片72と左片73とは、弾性によりそれぞれカバー片64の上面と下面とに押圧される。
【0058】
また、蓋部材70を基板開口53の全閉位置まで回動させると、蓋部材70の裏面の周囲の部分は、天板50の基板開口53の周囲の部分に接触する。さらに、フック部76の平板部76bの表側の面は、天板50の裏側の面に接触する。
【0059】
その後、図7に示されるように、蓋部材70の左右の貫通孔75にビスBL、BRを通し、天板50のビス孔58に螺合させ、蓋部材70を天板50にビスBL、BRで締結する。ビスBL、BRを螺合させる際は、ビスBL、BRを図8(A)の矢印Xで示すように時計方向に回転させる。
【0060】
ビスBL、BRを図8(A)の矢印Xで示す時計方向に回転させると、蓋部材70には回転方向の下流側に向く力がかかる。そして、蓋部材70の左右のビス締結部の中間に形成されている突片71にも、左右のビスBL、BRの回転方向の下流側に向く力がかかる。左側のビスBLの回転により、突片71には図8(A)の矢印Yで示す下向きの力がかかり、右片72がカバー片64の方向に押圧される。右側のビスBRの回転により、突片71には図8(A)の矢印Zで示す上向きの力がかかり、左片73がカバー片64の方向に押圧される。したがって、右片72及び左片73とカバー片64との接触力が増大する。
【0061】
上記したように本発明の一実施形態に係るカラープリンター1によれば、シールドケース50に形成された基板開口53を閉じる際には、蓋部材70を閉位置に回動させて、蓋部材70の突片71をケース本体40のカバー片64に挟持させるとともに、蓋部材70をケース本体40の2箇所にビス止めするだけでよい。ビス止めすることにより、蓋部材70の突片71とケース本体40のカバー片64との接触力が増大するので、蓋部材70とケース本体40とを確実に電気的に接続できる。この際、突片71とカバー片64との接触だけでなく、天板50の基板開口53の周囲と蓋部材70との接触力も増す。したがって、先行技術で示したような、開口の周囲で蓋部材をビス止めするような手間をかけなくとも、ケース本体40の基板開口53を容易に開閉でき、ケース本体40と蓋部材70との確実な電気的接続が得られ、基板開口53からの電磁波の漏れを確実に遮蔽できる。また、カバー片64の開口64aは、基板Sのオプション機器用コネクタOCに接続するコネクタが通過できる程度の狭い開口面積であるため、電磁波が漏れる虞はない。
【0062】
さらに、ケース本体40側の被係合部であるカバー片64は、基板支持部材60に一体に形成されているものである。このため、被係合部として新たな部位を形成したり、別部品を取り付ける必要がない。
【0063】
さらには、蓋部材70側の係合部である突片71は、蓋部材70に一体に形成することができ、折り曲げ加工のような簡単な加工で形成できる。
【0064】
本発明の実施形態では、ケース本体40の上側板43に切り欠き43aが形成され、切り欠き43aに基板Sが支持された基板支持部材60が支持される場合について説明したが、他の異なる実施形態では、切り欠き43a以外の方法で基板支持部材60がケース本体40に支持される場合にも適用できる。この場合、例えば蓋部材70の突片71で上側板43を挟持するように構成してもよい。
【0065】
本発明の実施形態では、ケース本体40の側に被係合部として板片状のカバー片64を形成し、蓋部材70の側に被係合部に係合する係合部として挟持片状の突片71を形成したが、板片状の被係合部を蓋部材70の側に形成し、挟持片状の係合部をケース本体40の側に形成してもよい。
【0066】
さらに、本発明の実施形態では、プリンター1に本発明の構成を適用した場合について説明したが、他の異なる実施形態では、複写機、ファクシミリ、複合機等のプリンター1以外の画像形成装置に本発明の構成を適用しても良い。
【0067】
さらに、上記した本発明の実施形態の説明は、本発明に係る画像形成装置における好適な実施の形態を説明しているため、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。すなわち、上記した本発明の実施の形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、かつ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能であり、上記した本発明の実施の形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【符号の説明】
【0068】
1 カラープリンター
30 シールドケース
40 ケース本体
55 切り欠き状開口
60 基板支持部材(支持部材)
62 カバー板
64 カバー片(被係合部、板片)
64a 開口(第2開口)
70 蓋部材
71 突片(係合部、挟持片)
72 右片
73 左片
S 基板
OC オプション機器用コネクタ(コネクタ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8