特許第5953276号(P5953276)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5953276映像信号評価装置及び障害切り分けシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5953276
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】映像信号評価装置及び障害切り分けシステム
(51)【国際特許分類】
   H04N 17/00 20060101AFI20160707BHJP
   H04N 21/24 20110101ALI20160707BHJP
   H04N 21/442 20110101ALI20160707BHJP
【FI】
   H04N17/00 A
   H04N21/24
   H04N21/442
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-181097(P2013-181097)
(22)【出願日】2013年9月2日
(65)【公開番号】特開2015-50627(P2015-50627A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2015年6月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】399041158
【氏名又は名称】西日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】土屋 英雄
【審査官】 秦野 孝一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−86751(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/092848(WO,A1)
【文献】 特開2002−232919(JP,A)
【文献】 特開2008−193145(JP,A)
【文献】 特開2002−247607(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/025027(WO,A1)
【文献】 特開2003−125378(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0142451(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 17/00
H04N 21/24
H04N 21/442
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信した映像信号で検出されるエラーの頻度が所定の基準を超えた場合にその旨を解析装置へ通知する映像信号評価装置であって、
複数の異なる方式で伝送される映像信号をそれぞれ受信する複数の映像信号受信手段と、
前記複数の映像信号受信手段それぞれが受信した映像信号からエラーを検出する複数のエラー検出手段と、
前記複数のエラー検出手段のいずれかのエラーを検出した頻度が所定の基準を超えた場合に、エラーを検知した方式及び当該映像信号評価装置が収容された設備情報を記載した通知を前記解析装置へ送信する送信手段と、
を有することを特徴とする映像信号評価装置。
【請求項2】
前記複数の異なる方式は、前記映像信号をIPパケットで運ぶIP方式、前記映像信号を光信号に変換してネットワークを介して伝送するRF方式、前記映像信号を電波で伝送する方式であることを特徴とする請求項1記載の映像信号評価装置。
【請求項3】
複数の映像信号評価装置と解析装置を有する障害切り分けシステムであって、
前記映像信号評価装置は、
複数の異なる方式で伝送される映像信号をそれぞれ受信する複数の映像信号受信手段と、
前記複数の映像信号受信手段それぞれが受信した映像信号からエラーを検出する複数のエラー検出手段と、
前記複数のエラー検出手段のいずれかのエラーを検出した頻度が所定の基準を超えた場合に、エラーを検知した方式及び当該映像信号評価装置が収容された設備情報を記載した通知を前記解析装置へ送信する送信手段と、を有し、
前記解析装置は、
前記映像信号評価装置から前記通知を受信する受信手段と、
前記通知を受信した頻度が所定の基準を超えた場合に、受信した通知を集計して障害が発生した方式及び障害発生箇所を特定する解析手段と、を有すること
を特徴とする障害切り分けシステム。
【請求項4】
前記複数の異なる方式は、前記映像信号をIPパケットで運ぶIP方式、前記映像信号を光信号に変換してネットワークを介して伝送するRF方式、前記映像信号を電波で伝送する方式であることを特徴とする請求項3記載の障害切り分けシステム。
【請求項5】
前記解析手段は、映像信号を伝送するネットワークの装置から受信した故障情報を用いて障害発生箇所を特定することを特徴とする請求項3又は4記載の障害切り分けシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像信号を伝送するネットワークの故障区間を特定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地上波などのデジタル放送をネットワークを介して再送信するサービスが広まっている。デジタル放送を再送信するサービスには、デジタル放送のRF信号をそのまま送信するRF方式と、IPパケットを利用して配信するIP方式がある。デジタル放送の再送信が適切に行われているか否か監視する技術も開発されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−284184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザ宅がRF方式、IP方式のいずれの再送信サービスにも対応している場合、ユーザからテレビが映らないといった苦情があると、そのユーザに対してどちらの方式で再送信サービスを提供しているのか判断する必要がある。方式を確認後、該当の方式のネットワーク状況を確認する作業となる。複数の方式の再送信サービスを提供する場合、どちらの方式で故障が発生したのか、故障の切り分けに時間がかかるという問題があった。また、放送局の不具合である可能性も考慮する必要がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、再送信サービスの故障が発生した場合の切り分け稼働の削減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の本発明に係る映像信号評価装置は、受信した映像信号で検出されるエラーの頻度が所定の基準を超えた場合にその旨を解析装置へ通知する映像信号評価装置であって、複数の異なる方式で伝送される映像信号をそれぞれ受信する複数の映像信号受信手段と、前記複数の映像信号受信手段それぞれが受信した映像信号からエラーを検出する複数のエラー検出手段と、前記複数のエラー検出手段のいずれかのエラーを検出した頻度が所定の基準を超えた場合に、エラーを検知した方式及び当該映像信号評価装置が収容された設備情報を記載した通知を前記解析装置へ送信する送信手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
上記映像信号評価装置において、前記複数の異なる方式は、前記映像信号をIPパケットで運ぶIP方式、前記映像信号を光信号に変換してネットワークを介して伝送するRF方式、前記映像信号を電波で伝送する方式であることを特徴とする。
【0008】
第2の本発明に係る障害切り分けシステムは、複数の映像信号評価装置と解析装置を有する障害切り分けシステムであって、前記映像信号評価装置は、複数の異なる方式で伝送される映像信号をそれぞれ受信する複数の映像信号受信手段と、前記複数の映像信号受信手段それぞれが受信した映像信号からエラーを検出する複数のエラー検出手段と、前記複数のエラー検出手段のいずれかのエラーを検出した頻度が所定の基準を超えた場合に、エラーを検知した方式及び当該映像信号評価装置が収容された設備情報を記載した通知を前記解析装置へ送信する送信手段と、を有し、前記解析装置は、前記映像信号評価装置から前記通知を受信する受信手段と、前記通知を受信した頻度が所定の基準を超えた場合に、受信した通知を集計して障害が発生した方式及び障害発生箇所を特定する解析手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
上記障害切り分けシステムにおいて、前記複数の異なる方式は、前記映像信号をIPパケットで運ぶIP方式、前記映像信号を光信号に変換してネットワークを介して伝送するRF方式、前記映像信号を電波で伝送する方式であることを特徴とする。
【0010】
上記障害切り分けシステムにおいて、前記解析手段は、映像信号を伝送するネットワークの装置から受信した故障情報を用いて障害発生箇所を特定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、映像信号評価装置が、複数の異なる方式で伝送される映像信号を受信してのエラーを検出し、エラーを検出した方式と映像信号評価装置の収容された設備情報を記載した評価通知を解析装置へ送信し、解析装置が受信した評価通知に基いて障害が発生した方式及び障害発生箇所を特定することにより、再送信サービスの故障が発生した場合の切り分け稼働の削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施の形態におけるデジタル放送障害切り分けシステムを含む全体構成図である。
図2】本実施の形態における映像信号評価装置の構成を示す機能ブロック図である。
図3】上記映像信号評価装置の評価結果格納部に格納されるデータの例を示す図である。
図4】上記映像信号評価装置が解析サーバへ送信する評価通知の例を示す図である。
図5】本実施の形態における解析サーバの構成を示す機能ブロック図である。
図6】上記解析サーバの評価通知格納部に格納されるデータの例を示す図である。
図7】上記解析サーバのNW情報格納部に格納されるエリア情報の例を示す図である。
図8】上記解析サーバのNW情報格納部に格納されるNW情報の例を示す図である。
図9】上記解析サーバのNW情報格納部に格納される故障情報の例を示す図である。
図10】映像信号評価装置が映像信号のエラーを検出して評価通知を解析サーバへ送信する処理の流れを示すフローチャートである。
図11】映像信号評価装置に入力される映像信号の模式図である。
図12】TSパケットの欠落を検出する様子を示す図である。
図13】事業者側の障害発生箇所を示す図である。
図14】解析サーバが放送局の障害を切り分ける処理の流れを示すフローチャートである。
図15】解析サーバがRF方式の設備の障害を切り分ける処理の流れを示すフローチャートである。
図16】解析サーバがIP方式の設備の障害を切り分ける処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態におけるデジタル放送障害切り分けシステムを含む全体構成図である。
【0015】
本実施の形態におけるデジタル放送障害切り分けシステムは、ユーザ宅100内に配置された映像信号評価装置1と解析サーバ2で構成される。図1では、1軒のユーザ宅100のみ図示しているが、複数のユーザ宅100に映像信号評価装置1は設置される。もしくは映像信号評価装置1をユーザが収容される設備ビルに配置してもよい。映像信号評価装置1には、異なる3つの伝送方式で受信されたデジタル放送の映像信号がそれぞれ入力される。1つ目の伝送方式は、HE(ヘッドエンド)210が放送局から受信した映像信号をそのままの形で光のRF信号に変換してRF網200を介してユーザ宅100へ配信し、映像用回線終端装置110で映像信号に変換するRF方式である。2つ目の伝送方式は、HE310が放送局から受信した映像信号をIPパケット化してIP網300を介してユーザ宅100へ配信し、回線終端装置120がIPパケットを受信してSTB130がIPパケットを映像信号に変換するIP方式である。3つ目の伝送方式は、ユーザ宅100にアンテナ140を設置し、アンテナ140で映像信号を受信する方式である。
【0016】
映像信号評価装置1は、それぞれの伝送方式で受信した映像信号の欠落を検出し、検出した欠落が映像評価基準を超過したときに、映像評価情報をNW400を介して解析サーバ2へ送信する。
【0017】
解析サーバ2は、各ユーザから受信した映像評価情報を集計し、障害が発生した伝送方式、障害発生箇所を特定してオペレータに通知する。解析サーバ2は、障害発生箇所を特定する際に、RF網200、IP網300から送信される故障情報も用いる。
【0018】
図2は、本実施の形態における映像信号評価装置の構成を示す機能ブロック図である。同図に示す映像信号評価装置1は、映像信号受信部11A,11B,11C、映像信号抽出部12A,12B,12C、映像信号評価部13、評価結果格納部14、評価基準格納部15、および評価情報送受信部16を備える。
【0019】
映像信号受信部11A,11B,11Cは、各伝送方式で伝送された映像信号を受信する。具体的には、映像信号受信部11Aは、IP方式で伝送された映像信号を受信し、映像信号受信部11Bは、RF方式で伝送された映像信号を受信し、映像信号受信部11Cは、電波で伝送された映像信号を受信する。
【0020】
映像信号抽出部12A,12B,12Cは、映像信号受信部11A,11B,11Cそれぞれが受信した映像信号からTSパケットを抽出して映像信号評価部13へ送信する。
【0021】
映像信号評価部13は、各伝送方式、各チャンネルについて、TSパケットのエラー(欠落)を検出して評価結果格納部14にエラーの発生回数を記録する。
【0022】
評価結果格納部14は、各チャンネル、各伝送方式毎に、エラーの発生回数、エラーの発生時刻、最初のエラーの発生時刻を記憶する。図3に、評価結果格納部14に格納されるデータの例を示す。エラーが検出されると、エラーを検出した伝送方式のエラーの発生回数を1増加するとともに、エラーの発生時刻を更新する。エラーの発生回数が0であった場合は、最初のエラー発生時刻も更新する。なお、評価結果格納部14に格納されたデータは、所定の時間の間エラーが検出されていないときにリセットされる。
【0023】
評価基準格納部15は、映像信号の評価基準を格納する。評価基準は、例えば「A秒間にB個以上のエラーが発生」というものである。解析サーバ2から評価基準を受信して評価基準格納部15に格納する。
【0024】
評価情報送受信部16は、評価結果が評価基準を超えたときに、評価通知を解析サーバ2へ送信する。評価通知には、ユーザ宅100が収容されているRF網200、IP網300の設備ビルID、評価基準を超過した伝送方式、チャンネル、および時刻の情報が記載される。図4に、解析サーバ2へ送信される評価通知の例を示す。設備ビルIDの代わりにユーザの契約者番号などを通知し、解析サーバ2が契約者番号からユーザが収容されている設備ビルIDを取得してもよい。
【0025】
なお、本実施の形態では、IP方式、RF方式、および電波で伝送される映像信号を受信したが、放送局の障害について障害切り分けしない場合などは電波で伝送される映像信号を処理対象としなくてもよい。
【0026】
図5は、本実施の形態における解析サーバの構成を示す機能ブロック図である。同図に示す解析サーバ2は、送受信部21、信号振り分け部22、評価通知処理部23、評価通知格納部24、NW故障情報処理部25、NW情報格納部26、障害解析部27、解析結果出力部28、および評価基準格納部29を備える。
【0027】
送受信部21は、各ユーザ宅100の映像信号評価装置1が送信する評価通知、RF網200の装置群、IP網300の装置群が送信する故障情報を受信する。RF網200、IP網300の装置群がSNMP等を利用して故障情報を解析サーバ2へ通知する。また、送受信部21は、評価基準格納部29に格納された評価基準を各ユーザ宅100の映像信号評価装置1へ送信する。
【0028】
信号振り分け部22は、送受信部21が受信した評価通知、故障情報をそれぞれ評価通知処理部23、NW故障情報処理部25に振り分ける。
【0029】
評価通知処理部23は、受信した評価通知を評価通知格納部24に格納する。
【0030】
評価通知格納部24は、評価通知を格納する。図6に、評価通知格納部24に格納されるデータの例を示す。同図に示す例では、伝送方式毎に、チャンネル、評価通知を送信した映像信号評価装置1のユーザが収容される設備ビルID、時刻を格納している。
【0031】
NW故障情報処理部25は、受信した故障情報をNW情報格納部26に格納する。
【0032】
NW情報格納部26は、設備ビルが配置されているエリア情報、RF網200の装置群およびIP網300の装置群から収集したNW情報と故障情報などを格納する。図7に設備ビルが配置されているエリア情報の例、図8にRF網200、IP網300のNW情報の例、図9にRF網200、IP網300から受信した故障情報の例を示す。
【0033】
障害解析部27は、評価通知の受信頻度が所定の基準を超えたときに、評価通知格納部24に格納された評価通知およびNW情報格納部26に格納された故障情報を参照して障害の発生箇所を特定する。障害の発生箇所の切り分け方法の詳細については後述する。
【0034】
解析結果出力部28は、障害解析部27が特定した障害の発生箇所をオペレータに通知する。
【0035】
評価基準格納部29は、映像信号評価装置1へ送信する映像信号の評価基準を格納する。送受信部21が評価基準格納部29から映像信号の評価基準を読みだして各ユーザ宅100の映像信号評価装置1へ送信する。
【0036】
次に、映像信号評価装置1が映像信号のエラーを検出して評価通知を解析サーバ2へ送信する処理について説明する。
【0037】
図10は、本実施の形態における映像信号評価装置1が映像信号のエラーを検出して評価通知を解析サーバ2へ送信する処理の流れを示すフローチャートである。
【0038】
映像信号抽出部12A,12B,12Cのそれぞれは、映像信号受信部11A,11B,11Cが受信した映像信号からTSパケットを抽出し、映像信号評価部13へ送信する(ステップS11)。
【0039】
映像信号評価部13は、伝送方式毎、チャンネル毎にTSパケットのエラーを検出する(ステップS12)。図11に、映像信号(MPEG−2 TS)の模式図を示す。デジタル放送の映像信号は、映像、音声、データを188バイト単位のTSパケットに分割して多重化して伝送される。TSパケットには、4バイトのTSヘッダが付与される。TSヘッダのPIDでTSパケットが運んでいるデータの情報が分かる。映像信号評価部13は、TSヘッダのPIDでチャンネルを判断し、TSパケットのヘッダのcontinuity counterの不連続を検出することでTSパケットのエラー(欠落)を検出する。なお、処理対象のTSパケットは映像に関するものだけではなく音声やデータのTSパケットを処理対象としてもよい。
【0040】
図12に、TSパケットの欠落を検出する様子を示す。同図では、TSパケットのうちTSヘッダのPIDとcontinuity counterを図示した。映像信号評価部13は、IP方式、RF方式、地上波それぞれについて、同一のPID毎に、TSパケットのcontinuity counterが連続しているか否か調べ、連続していない場合は、TSパケットが欠落したと判定する。図12の例では、RF方式のPID=1CH、PID=7CH、PID=12CHのcontinuity counterの欠落が検出された。
【0041】
各伝送方式、各チャンネルでエラーが検出されたか否か判定し(ステップS13)、エラーが検出されていない場合は、次のTSパケットの処理に移る(ステップS13のNO)。
【0042】
エラーが検出された場合は(ステップS13のYES)、映像信号評価部13は評価結果格納部14にアクセスし、エラーが検出された伝送方式、チャンネルのエラー発生回数、発生時刻を更新する(ステップS14)。図3で示したように、評価結果格納部14には、伝送方式毎、チャンネル毎にエラーの発生回数、エラーの発生時刻、最初のエラーの発生時刻が格納されているので、映像信号評価部13は、検出したエラーに基いて評価結果格納部14のデータを更新する。
【0043】
そして、更新したデータについて、評価基準格納部15に格納された評価基準を超過しているか否か判定する(ステップS15)。評価結果格納部14には、エラーの発生回数、発生時刻、最初のエラーの発生時刻が格納されているので、これらのデータから時間あたりのエラーの発生回数を求めて評価基準と比較する。
【0044】
評価基準を超過している場合は(ステップS15のYES)、評価通知を解析サーバ2へ送信する(ステップS16)。図4で示したように、評価通知には、収容されている設備ビルID、評価基準を超過した伝送方式、チャンネル、発生時刻などが記載される。
【0045】
次に、解析サーバが障害発生箇所を特定する処理について説明する。
【0046】
図13に、事業者側の障害発生箇所を示す。同図に示すように、事業者側の障害発生箇所としてはA〜Fの6パターンが考えられる。
【0047】
Aパターンは、全国放送事業者設備500に障害が発生するパターンである。この場合、ユーザの住むエリアに関係なく、地上波を含む全ての伝送方式においてエラーが検出される。
【0048】
Bパターンは、地域放送事業者設備600に障害が発生するパターンである。地域放送事業者設備600は、例えば県域などのエリア毎に設置された放送用設備である。地域放送事業者設備600に障害が発生した場合、障害が発生した地域放送事業者設備600の配下のエリアの全てのユーザ宅において、地上波を含む全ての伝送方式においてエラーが検出される。
【0049】
C,Dパターンは、地域放送事業者設備600から受信した映像信号をRF網200あるいはIP網300へ送出するHE210,310に障害が発生するパターンである。HE210,310は、県域などのエリア毎に配置されるため、障害が発生したHE210,310配下のエリアの全てのユーザ宅において、障害が発生したHE210,310に対応するRF方式あるいはIP方式の伝送方式においてエラーが検出される。C,Dパターンの場合、RF網200、IP網300の故障情報は無い。
【0050】
E,Fパターンは、HE210,310から受信した映像をユーザ宅へ配信するRF網200あるいはIP網300に障害が発生するパターンである。この場合、障害が発生した通信設備の配下のユーザ宅で、RF方式あるいはIP方式の伝送方式においてエラーが検出される。RF網200の装置群あるいはIP網300の装置群から送信される故障情報に基いて障害発生箇所をより詳細に特定できる。故障情報が無い場合でも、エラーが検出されたユーザ宅に共通する通信設備を特定することで障害発生箇所を特定できる。
【0051】
A〜Fのパターン以外の場合、つまりエラーが検出されたユーザ宅に共通点が無い場合は、そのユーザ宅の設備が故障したと判断する。
【0052】
図14は、解析サーバ2が放送局の障害を切り分ける処理の流れを示すフローチャートである。
【0053】
解析サーバ2は、映像信号評価装置1から評価通知を受信すると(ステップS21)、評価通知を評価通知格納部24に格納し、評価通知の受信頻度が評価基準を超過したか否か判定する(ステップS22)。解析サーバ2の評価基準は、例えば「X秒間にY個の評価通知を受信」というものである。
【0054】
評価基準を超過した場合(ステップS22のYES)、受信した評価通知を集計して、複数の映像信号評価装置1において地上波を含む全ての伝送方式でエラーが発生したか否かを判定する(ステップS23)。障害解析部27は、評価通知格納部24から地上波を含む全ての伝送方式でエラーが発生した内容の評価通知を取得し、取得した評価通知が複数の映像信号評価装置1から送信されているか否か調べる。
【0055】
地上波を含む全ての伝送方式でエラーが発生していない場合は(ステップS23のNO)、エラーが発生した伝送方式(RF方式、IP方式)について障害発生箇所を特定する処理を行う。RF方式、IP方式の障害発生箇所を特定する処理は後述する。
【0056】
地上波を含む全ての伝送方式でエラーが発生している場合(ステップS23のYES)、エラーが検出された映像信号評価装置1が設置されているエリアに共通性があるか否か判定する(ステップS24)。映像信号評価装置1が設置されているエリアは、映像信号評価装置1が収容される設備ビルを特定し、その設備ビルが属するエリアを図7で示したエリア情報から取得する。
【0057】
地上波を含む全ての伝送方式でエラーが発生している映像信号評価装置1があるエリアのみで発生している場合は(ステップS24のYES)、そのエリアの地域放送事業者設備の障害であると判断する(ステップS25)。
【0058】
全てのエリアでエラーが発生している場合は(ステップS24のNO)、全国放送事業者設備の障害であると判断する(ステップS26)。
【0059】
以上の処理により、地域放送事業者あるいは全国放送事業者の設備の障害であるか否かを切り分けることができる。
【0060】
地上波でエラーが検出されていない場合は、RF方式、IP方式の設備の障害と考えられる。RF方式、IP方式の設備の障害としては、地域放送事業者設備から受信した映像信号をRF網200やIP網300へ配信するHE210,310の障害、あるいはRF網200、IP網300の設備の障害が考えられる。本実施の形態における解析サーバ2は、HE210,310の障害か、RF網200、IP網300の障害かを切り分け、RF網200、IP網300の障害の場合は、障害が発生した網内の装置を特定する。
【0061】
まず、RF方式の障害発生箇所を特定する処理について説明する。
【0062】
図15は、解析サーバ2がRF方式の設備の障害を切り分ける処理の流れを示すフローチャートである。
【0063】
障害解析部27は、評価通知格納部24を参照し、RF方式のエラーを検知した映像信号評価装置1が収容されている設備ビルについて、共通するものが複数箇所存在するか否か判定する(ステップS31)。
【0064】
複数箇所存在する場合は(ステップS31のYES)、RF放送事業者の設備であるHE210の障害と判断する(ステップS32)。
【0065】
続いて、RF方式のエラーを検知した映像信号評価装置1が収容されている設備ビルについて、共通するものが存在するか否か判定する(ステップS33)。
【0066】
RF方式のエラーを検知した映像信号評価装置1が収容されている設備ビルに共通するものがある場合(ステップS34)、RF網200の該当設備ビル内の装置の障害と判断し(ステップS35)、NW情報格納部26を参照して該当設備ビルの故障情報があるか否か確認する(ステップS36)。
【0067】
故障情報がある場合は(ステップS36のYES)、RF網200の該当設備ビルの装置の故障と判断し(ステップS37)、故障情報がない場合は(ステップS36のNO)、RF網200のサイレント故障と判断する(ステップS38)。
【0068】
また、RF方式のエラーを検知した映像信号評価装置1が収容されている設備ビルに共通するものが無い場合(ステップS33のNO)、映像信号評価装置1が設置されたユーザ宅の機器の故障と判断する(ステップS39)。
【0069】
続いて、IP方式の障害発生箇所を特定する処理について説明する。
【0070】
図16は、解析サーバ2がIP方式の設備の障害を切り分ける処理の流れを示すフローチャートである。
【0071】
障害解析部27は、評価通知格納部24を参照し、IP方式のエラーを検知した映像信号評価装置1が収容されている設備ビルについて、共通するものが複数箇所存在するか否か判定する(ステップS41)。
【0072】
複数箇所存在する場合は(ステップS41のYES)、IP放送事業者の設備であるHE310の障害と判断する(ステップS42)。
【0073】
続いて、IP方式のエラーを検知した映像信号評価装置1が収容されている設備ビルについて、共通するものが存在するか否か判定する(ステップS43)。
【0074】
IP方式のエラーを検知した映像信号評価装置1が収容されている設備ビルに共通するものがある場合(ステップS44)、IP網300の該当設備ビル内の装置の障害と判断し(ステップS45)、NW情報格納部26を参照して該当設備ビルの故障情報があるか否か確認する(ステップS46)。
【0075】
故障情報がある場合は(ステップS46のYES)、IP網300の該当設備ビルの装置の故障と判断し(ステップS47)、故障情報がない場合は(ステップS46のNO)、IP網300のサイレント故障と判断する(ステップS48)。
【0076】
また、IP方式のエラーを検知した映像信号評価装置1が収容されている設備ビルに共通するものが無い場合(ステップS43のNO)、映像信号評価装置1が設置されたユーザ宅の機器の故障と判断する(ステップS49)。
【0077】
以上の処理により特定された障害発生箇所はオペレータに通知される。
【0078】
また、解析サーバ2は、上記の障害発生箇所を特定したことだけではなく、評価通知格納部24を参照して、例えば「○日間に同一設備ビルの同一方式で□個の評価通知を受信」の評価基準を超過したか否か判定し、この評価基準を超過した場合は、統計情報としてオペレータに通知してもよい。
【0079】
以上説明したように、本実施の形態によれば、映像信号評価装置1がIP方式、RF方式、地上波などの異なる方式で伝送される映像信号それぞれからエラーを検出し、エラーを検出した頻度が所定の基準を超えた場合に、映像信号評価装置1が収容されている設備ビル情報とエラーが検出された伝送方式を記載した評価通知を解析サーバ2へ送信することにより、どの伝送方式に問題が発生したのかを確認することができる。
【0080】
本実施の形態によれば、解析サーバ2が各映像信号評価装置1から受信した評価通知を集計し、エラーの検出された伝送方式、共通する設備ビルの情報から障害発生箇所を特定することが可能となり、再送信サービスの故障が発生した場合の切り分け稼働を削減できる。
【符号の説明】
【0081】
1…映像信号評価装置
11A,11B,11C…映像信号受信部
12A,12B,12C…映像信号抽出部
13…映像信号評価部
14…評価結果格納部
15…評価基準格納部
16…評価情報送受信部
2…解析サーバ
21…送受信部
22…信号振り分け部
23…評価通知処理部
24…評価通知格納部
25…NW故障情報処理部
26…NW情報格納部
27…障害解析部
28…解析結果出力部
29…評価基準格納部
100…ユーザ宅
110…映像用回線終端装置
120…回線終端装置
130…STB
140…アンテナ
200…RF網
210…HE
300…IP網
310…HE
400…NW
500…全国放送事業者設備
600…地域放送事業者設備
図1
図2
図3
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図16