(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
トナーを排出する排出口を有する容器本体と、前記排出口を開閉するシャッターと、前記シャッターに前記排出口を開放させる第1の位置と前記シャッターに前記排出口を閉止させる第2の位置との間で移動可能な操作部と、を備えたトナー容器と、
前記トナー容器が着脱可能に装着される装置本体と、
前記装置本体に開閉可能に取り付けられるカバーと、を備え、
前記カバーは、前記第2の位置にある前記操作部と干渉する干渉位置と前記第2の位置にある前記操作部と干渉しない干渉解除位置との間で移動可能な干渉部材を備え、
前記干渉部材は、前記干渉解除位置と前記干渉位置の間の中間位置まで移動可能に設けられ、前記第2の位置にある前記操作部と前記中間位置にある前記干渉部材が接触して、前記干渉解除位置側から前記干渉位置側への前記干渉部材の移動が規制されることを特徴とする画像形成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像形成装置の出荷時には、輸送中に容器本体からトナーが漏洩するのを防止するために、シャッターが排出口を閉止する。この点、上記した構成では、シャッターが排出口を閉止している状態でトナー容器を装置本体に装着するとカバーが閉じなくなるため、トナー容器を装置本体に装着した状態で画像形成装置を出荷することは困難である。従って、トナー容器を装置本体とは別に梱包することになり、これに伴って、梱包材の容量や点数が増加し、梱包コストの上昇を招くことになる。
【0006】
そこで、本発明は上記事情を考慮し、作業者による誤操作を防止しつつ、梱包コストを削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、トナーを排出する排出口を有する容器本体と、前記排出口を開閉するシャッターと、前記シャッターに前記排出口を開放させる第1の位置と前記シャッターに前記排出口を閉止させる第2の位置との間で移動可能な操作部と、を備えたトナー容器と、前記トナー容器が着脱可能に装着される装置本体と、前記装置本体に開閉可能に取り付けられるカバーと、を備え、前記カバーは、前記第2の位置にある前記操作部と干渉する干渉位置と前記第2の位置にある前記操作部と干渉しない干渉解除位置との間で移動可能な干渉部材を備えていることを特徴とする。
【0008】
このような構成を採用することにより、画像形成装置の出荷時に干渉部材を干渉解除位置に保持すれば、操作部が第2の位置にある状態(シャッターが排出口を閉止している状態)でトナー容器を装置本体に装着し、カバーを閉じることができる。これに伴って、輸送中に容器本体からトナーが漏洩するのを確実に防止しつつ、トナー容器を装置本体と同梱して画像形成装置を出荷することが可能となる。そのため、トナー容器専用の梱包材が不要となり、梱包コストの削減を図ることができる。
【0009】
一方で、画像形成装置の使用時に干渉部材を干渉位置に保持すれば、操作部が第2の位置にある状態(シャッターが排出口を閉止している状態)でトナー容器が装置本体に装着され、カバーが閉じられようとした場合に、干渉部材が操作部と干渉する。そのため、シャッターが排出口を閉止したまま誤ってカバーが閉じられようとしていることを作業者に認知させて、以後の誤操作を防止することが可能となる。
【0010】
前記干渉部材は、前記干渉解除位置と前記干渉位置の間の中間位置まで移動可能に設けられ、前記第2の位置にある前記操作部と前記中間位置にある前記干渉部材が接触して、前記干渉解除位置側から前記干渉位置側への前記干渉部材の移動が規制されても良い。
【0011】
このような構成を採用することにより、干渉解除位置側から干渉位置側への干渉部材の移動を容易に規制することが可能となる。
【0012】
前記カバーは、前記干渉部材を回転可能に支持するカバー本体と、前記干渉部材を前記干渉位置に付勢する付勢部材と、前記付勢部材の付勢力に抗して前記干渉部材を前記干渉解除位置に保持する保持機構と、を更に備え、前記操作部が前記第2の位置にあると共に前記干渉部材が前記干渉解除位置にある状態で前記カバーを閉じると、前記保持機構による前記干渉部材に対する前記干渉解除位置への保持が解除され、前記付勢部材の付勢力によって前記中間位置まで前記干渉部材が回転し、前記操作部が前記第2の位置にあると共に前記干渉部材が前記中間位置にある状態で前記カバーを開くと、前記付勢部材の付勢力によって前記干渉位置まで前記干渉部材が回転しても良い。
【0013】
このような構成を採用することにより、前記操作部が前記第2の位置にあると共に干渉部材が干渉解除位置にある状態でカバーを閉じて開くと、干渉部材が自動的に干渉解除位置から干渉位置まで回転することになる。そのため、干渉部材を手動で回転させる場合と比較して、作業者の負担を軽減することが可能となる。
【0014】
前記保持機構は、前記カバー本体に設けられる一方係合部と、前記干渉部材に設けられ、前記一方係合部と係合可能な他方係合部と、を備え、前記干渉部材が前記干渉解除位置にある状態で前記カバーを閉じると、前記装置本体が前記干渉部材を押圧して前記一方係合部と前記他方係合部の係合が解除されても良い。
【0015】
このような構成を採用することにより、保持機構の構成を簡易なものとすることが可能となる。
【0016】
前記一方係合部及び前記他方係合部は、前記干渉部材の回転中心の周りに等角度間隔で複数個設けられていても良い。
【0017】
このような構成を採用することにより、保持機構によって干渉部材を干渉解除位置に確実に保持することが可能となる。
【0018】
前記干渉部材は、回転軸と、前記回転軸の外周に設けられ、前記付勢部材を取り付け可能な取付片と、前記回転軸の外周に前記取付片と間隔を介して設けられ、前記操作部と干渉可能な干渉片と、を備えていても良い。
【0019】
このような構成を採用することにより、干渉部材の構成を簡易なものとすることが可能となる。
【0020】
前記カバー本体の縁部には挿入溝が凹設され、前記取付片と前記干渉片の間の位置において前記回転軸が前記挿入溝に挿入されていても良い。
【0021】
このような構成を採用することにより、カバー本体に干渉部材を容易に取り付けることが可能となる。
【0022】
前記カバー本体は、外部に露出する外カバー部と、前記外カバー部の内面側に設けられる内カバー部と、を備え、前記干渉部材は、前記内カバー部に回転可能に支持されていても良い。
【0023】
このような構成を採用することにより、干渉部材が外部から視認されるのを極力抑制することが可能となり、画像形成装置の外観を向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、作業者による誤操作を防止しつつ、梱包コストを削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態に係るプリンターの概略を示す模式図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るプリンターにおいて、フロントカバーを閉じた状態を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るプリンターにおいて、フロントカバーを開いた状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るプリンターのトナーコンテナを示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るプリンターのトナーコンテナを示す分解斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るプリンターのトナーコンテナにおいて、レバーが第1の位置にある状態を示す右側面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るプリンターのトナーコンテナにおいて、レバーが第2の位置にある状態を示す右側面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るプリンターのフロントカバーを示す斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るプリンターのフロントカバーにおいて、カバー本体の内カバー部を示す斜視図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係るプリンターのフロントカバーにおいて、干渉部材を示す斜視図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係るプリンターのフロントカバーにおいて、干渉部材及びその周辺部を示す断面図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係るプリンターのフロントカバーにおいて、干渉部材が干渉位置にある状態を示す斜視図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係るプリンターのフロントカバーにおいて、干渉部材が干渉解除位置にある状態を示す斜視図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係るプリンターにおいて、干渉部材を干渉解除位置に保持してカバーを閉じている途中の状態を示す平断面図である。
【
図15】(a)は、本発明の一実施形態に係るプリンターにおいて、干渉部材を干渉解除位置に保持してカバーを閉じている途中の状態を示す側断面図である。(b)は、本発明の一実施形態に係るプリンターにおいて、干渉部材を干渉解除位置に保持してカバーを閉じた状態を示す側断面図である。
【
図16】本発明の一実施形態に係るプリンターにおいて、干渉部材が中間位置にあり、カバーが閉じた状態を示す平断面図である。
【
図17】本発明の一実施形態に係るプリンターにおいて、干渉部材を干渉位置に保持してカバーを閉じている途中の状態を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
まず、
図1を用いて、電子写真方式のプリンター1(画像形成装置)の全体の構成について説明する。
図1の矢印Frは、プリンター1の前側(正面側)を示している(
図2以降も同様である)。
【0027】
プリンター1は、箱型形状のプリンター本体2(装置本体)を備えており、プリンター本体2の下部には用紙(図示せず)を収納する給紙カセット3が収容され、プリンター本体2の上下方向中央部には排紙トレイ4が設けられている。プリンター本体2の前部にはトナーコンテナ5(トナー容器)が装着され、トナーコンテナ5の前上側には、フロントカバー6(カバー)が取り付けられている。プリンター本体2の上端部には、画像読取装置7が設けられている。
【0028】
プリンター本体2には、レーザー・スキャニング・ユニット(LSU)で構成される露光器8が排紙トレイ4の下方に配置され、露光器8の下方には、画像形成部9が設けられている。画像形成部9には、像担持体である感光体ドラム10が回転可能に設けられており、感光体ドラム10の周囲には、帯電器11と、現像器12と、転写ローラー13と、クリーニング装置14とが、感光体ドラム10の回転方向(
図1の矢印X参照)に沿って配置されている。
【0029】
プリンター本体2の内部には、用紙の搬送経路15が設けられている。搬送経路15の上流端には給紙部16が設けられ、搬送経路15の中流部には、感光体ドラム10と転写ローラー13によって構成される転写部17が設けられ、搬送経路15の下流部には定着装置18が設けられ、搬送経路15の下流端には排紙部19が設けられている。
【0030】
次に、このような構成を備えたプリンター1の画像形成動作について説明する。
【0031】
プリンター1に電源が投入されると、各種パラメーターが初期化され、定着装置18の温度設定等の初期設定が実行される。そして、プリンター1に接続されたコンピューター等から画像データが入力され、印刷開始の指示がなされると、以下のようにして画像形成動作が実行される。
【0032】
まず、帯電器11によって感光体ドラム10の表面が帯電された後、露光器8からのレーザー光(
図1の二点鎖線P参照)により感光体ドラム10に対して画像データに対応した露光が行われ、感光体ドラム10の表面に静電潜像が形成される。次に、この静電潜像を、現像器12がトナーによりトナー像に現像する。
【0033】
一方、給紙部16によって給紙カセット3から取り出された用紙は、上記した画像形成動作とタイミングを合わせて転写部17へと搬送され、転写部17において感光体ドラム10上のトナー像が用紙に転写される。トナー像を転写された用紙は、搬送経路15を下流側へと搬送されて定着装置18に進入し、この定着装置18において用紙にトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙は、排紙部19から排紙トレイ4に排出される。なお、感光体ドラム10上に残留したトナーは、クリーニング装置14によって回収される。
【0034】
次に、プリンター本体2について説明する。
【0035】
図2、
図3に示されるように、プリンター本体2には、フロントカバー6によって覆われる部分にコンテナ装着部20が設けられている。コンテナ装着部20の右端側には、ケース部材21が設けられている。ケース部材21には、モーターなどの駆動源を備えた駆動機構(図示せず)が収容されている。
【0036】
次に、トナーコンテナ5について説明する。
【0037】
図3に示されるように、トナーコンテナ5は、プリンター本体2のコンテナ装着部20に着脱可能に装着されている。
図4に示されるように、トナーコンテナ5は、上面が開口された箱型形状の容器本体22と、容器本体22の後下部に収容される搬送スクリュー23と、容器本体22の略中央に収容される攪拌パドル24と、容器本体22の上面を覆う蓋体25と、容器本体22の右端部に装着されるレバー26(操作部)と、レバー26と共に容器本体22の右端部に配置される伝達部材27と、容器本体22の右端部の後下部に装着されるシャッター28と、を備えている。
【0038】
容器本体22は、トナーを収容しており、左右方向に長い形状を成している。容器本体22の上端外周には、本体側フランジ部30が設けられている。
図5に示されるように、容器本体22の右下端部には、円筒状の排出用ダクト31が右方に向かって突設され、排出用ダクト31の底部には、トナーを排出する排出口32が穿設されている。排出用ダクト31の下部外周にはシール部材33が取り付けられ、シール部材33には排出口32と対応する位置に連通口34が穿設されている。
【0039】
容器本体22の右端壁35の中央には、連通穴36を有する円筒状のボス37が右側(外側)に向かって突設されている。容器本体22の右端壁35の右面(外面)には、ボス37の後上方に第1規制リブ38が突設されている。容器本体22の右端壁35の右面には、ボス37の前上方に第2規制リブ40が突設されている。容器本体22の右端壁35の右面には、第1規制リブ38の下方に円柱状の突起部41が設けられている。
【0040】
図4に示されるように、搬送スクリュー23は、左右方向に長い形状を成している。搬送スクリュー23は、棒状のスクリュー軸42と、このスクリュー軸42の外周に同心で設けられるスパイラルフィン43と、を備えている。スクリュー軸42の右端部には、搬送用ギア44が固定されている。
【0041】
攪拌パドル24は、搬送スクリュー23の上前方に配置されており、左右方向に長い形状を成している。攪拌パドル24は、枠板状を成す支持枠45と、支持枠45によって支持されるシート状の攪拌羽根46と、を備えている。支持枠45の左右両端部は、容器本体22の右端壁35と左端壁(図示せず)にそれぞれ軸支されている。攪拌羽根46は、例えば、ルミラー(商標名)等の合成樹脂製シートによって構成されている。
【0042】
蓋体25の外周には、容器本体22の本体側フランジ部30と対応する形状の蓋体側フランジ部47が設けられており、本体側フランジ部30と蓋体側フランジ部47が超音波溶着されることで、容器本体22と蓋体25が一体化されている。
【0043】
図5に示されるように、レバー26は、側面視で円形の輪郭を有するレバー本体50と、レバー本体50の上部から径方向外側に向かって突設される把持部51と、を備えている。レバー本体50は、容器本体22の右端壁35に設けられたボス37の外周に装着されており、これにより、レバー26が容器本体22に回転可能に支持されている。レバー本体50には、把持部51よりも前方に突片52が径方向外側に向かって突設されている。レバー本体50の後下部の外周には、レバー側ギア53が設けられている。
【0044】
伝達部材27は、円盤状の伝達部材本体54を備えている。伝達部材本体54の右面(外面)には、伝達用カップリング55が突設されている。伝達用カップリング55は、ケース部材21に収容された駆動機構(図示せず)に連結されており、駆動機構の駆動力によって伝達部材27が回転するようになっている。
【0045】
伝達部材本体54の左面(内面)には、挿入片56が突設されている。挿入片56は、容器本体22のボス37に設けられた連通穴36に挿入され、攪拌パドル24の支持枠45に連結されている。そのため、伝達部材27が回転すると、この回転が攪拌パドル24に伝達されて攪拌パドル24が回転し、容器本体22内のトナーが攪拌されながら搬送スクリュー23側へと搬送されるようになっている。
【0046】
伝達部材本体54の外周には伝達用ギア57が設けられている。伝達用ギア57は、搬送スクリュー23のスクリュー軸42に固定された搬送用ギア44と噛合している。これにより、伝達部材27が回転すると、この回転が搬送スクリュー23に伝達されて搬送スクリュー23が回転し、容器本体22内のトナーが排出口32から排出され、現像器12(
図1参照)の内部へと導入されるようになっている。なお、
図6、
図7において伝達部材27は記載が省略されている。
【0047】
図5に示されるように、シャッター28は、略円筒状を成しており、容器本体22の排出用ダクト31の外周に回転可能に装着されている。シャッター28の下面には、排出用開口部58が形成されている。シャッター28には、略扇型形状のガイド片60が突設されている。ガイド片60には円弧状のガイド穴61が設けられており、このガイド穴61に容器本体22の突起部41が係合している。シャッター28にはギア収納部62が設けられ、このギア収納部62には搬送用ギア44が収納されている。シャッター28には、右方に向かって突出するロック片64が設けられている。
【0048】
図6、
図7に示されるように、シャッター28には、シャッター側ギア65が設けられている。シャッター側ギア65は、レバー26のレバー側ギア53と噛合している。そのため、レバー26の把持部51が操作されてレバー26が回転すると、シャッター28がレバー26とは逆方向に回転し、容器本体22の排出口32を開閉するようになっている。以下、シャッター28に容器本体22の排出口32を開放させる位置(容器本体22の排出口32とシャッター28の排出用開口部58を連通させる位置)を、レバー26の第1の位置(
図6参照)と称する。これに対して、シャッター28に容器本体22の排出口32を閉止させる位置(容器本体22の排出口32とシャッター28の排出用開口部58の連通を遮断する位置)を、レバー26の第2の位置(
図7参照)と称する。
【0049】
次に、フロントカバー6について説明する。
【0050】
図2、
図3に示されるように、フロントカバー6は、プリンター本体2の前端部に開閉可能に取り付けられている。以下、フロントカバー6について上下、左右、前後等の方向を示す語は、フロントカバー6が閉じた状態(
図2参照)を基準として用いる。
【0051】
図8に示されるように、フロントカバー6は、カバー本体67と、カバー本体67の内面側に設けられる干渉部材68と、を主体として構成されている。
【0052】
カバー本体67は、外部に露出する外カバー部70と、外カバー部70の右端部(
図8の図面上は左端部)の内面側に設けられる内カバー部71と、を備えている。
【0053】
外カバー部70は、水平方向に延びる上壁部72と、上壁部72の前端部から下方に向かって延びる前壁部73と、を備えている。前壁部73には左右一対の取付板74が下方に向かって突設されている。各取付板74の下端部には支点部75が設けられており、この支点部75を中心にフロントカバー6が回転可能となっている。
【0054】
図9に示されるように、内カバー部71は、水平方向に延びる本体部76と、本体部76の外周部から上方に向かって突出する外枠部77と、を備えている。
【0055】
内カバー部71の本体部76の左端部には、上方に向かって突出する支持部78が設けられている。支持部78の上面の前端部には、バネ受部79が設けられている。支持部78の後部には、挿入溝80が上下方向に設けられている。挿入溝80は、内カバー部71の左縁部に凹設されている。挿入溝80は、左右方向に沿って延びる第1溝部81と、第1溝部81の右側(内側)に第1溝部81と連続して設けられる第2溝部82と、を備えている。第1溝部81は平面視矩形状を成し、第2溝部82は平面視円形状を成している。第1溝部81の前後幅は、第2溝部82の直径よりも小さくなっている。
【0056】
内カバー部71の外枠部77の左端部には、挿入溝80の外周に沿ってガイド枠部83が設けられている。ガイド枠部83の上面には、挿入溝80の第2溝部82と対応する位置に、係合突起84(一方係合部)が突設されている。係合突起84は、第2溝部82の中心を通過する軸線Aの周りに180度間隔で2個設けられている。
【0057】
図10に示されるように、干渉部材68は、上下方向に延びる回転軸85と、回転軸85の上端部(軸方向一端部)に設けられる取付片86と、回転軸85の上下方向中央部(軸方向中央部)に設けられる干渉片87と、を備えている。
【0058】
回転軸85の外周面には、上下方向に延びるV字状の切り欠き部89が90度間隔で4個設けられている。回転軸85の上部には、一対の凹部91が設けられている。凹部91が設けられている部分の回転軸85の直径は、カバー本体67の内カバー部71に設けられた挿入溝80の第1溝部81の幅よりも小さい。
【0059】
図11に示されるように、回転軸85は、取付片86と干渉片87の間の位置において、カバー本体67の内カバー部71に設けられた挿入溝80の第2溝部82に挿入されている。これにより、干渉位置(
図12参照)と干渉解除位置(
図13参照)との間で、上記の軸線Aを中心に干渉部材68が回転可能となっている。このように、干渉部材68は、カバー本体67の内カバー部71に回転可能に支持されている。
【0060】
図10に示されるように、取付片86は、回転軸85の外周に設けられている。取付片86は、平板状を成している。取付片86には、バネ取付穴92と係合穴93(他方係合部)が穿設されている。係合穴93は、上記の軸線Aの周りに180度間隔で2個設けられている。
図11に示されるように、各係合穴93は、カバー本体67の内カバー部71に設けられた各係合突起84と係合可能に設けられている。各係合穴93は、各係合突起84と共に保持機構94を構成している。
【0061】
図10に示されるように、干渉片87は、回転軸85の外周に取付片86と間隔を介して設けられている。干渉片87は、回転軸85と同軸上に設けられる円環状の基部95と、基部95から水平に延出する延出部96と、基部95から延出部96とは逆側に向かって水平に突出する突部97と、を備えている。
【0062】
図12、
図13に示されるように、カバー本体67の内カバー部71に設けられた支持部78の上面側には、コイルバネ100(付勢部材)が配置されている。コイルバネ100の一端部は、カバー本体67の内カバー部71に設けられたバネ受部79に取り付けられている。コイルバネ100の他端部は、干渉部材68の取付片86のバネ取付穴92に取り付けられている。つまり、コイルバネ100は、カバー本体67の内カバー部71と干渉部材68の取付片86の間に介装されている。コイルバネ100は、干渉部材68を干渉位置(
図12参照)に付勢している。
【0063】
上記のように構成されたプリンター1において、出荷時及び使用時のフロントカバー6の開閉動作について説明する。
図14、
図15(a)、
図17及び
図18の矢印Zは、フロントカバー6が閉じる方向を示している。
【0064】
プリンター1の出荷時には、レバー26を第2の位置(
図7参照)に保持した状態でトナーコンテナ5をプリンター本体2のコンテナ装着部20に装着する。そして、
図12に矢印Yで示されるように、フロントカバー6の干渉部材68をコイルバネ100の付勢力に抗して干渉位置から干渉解除位置まで回転させる。次に、干渉部材68の取付片86を下方に押圧し、
図11に示されるように、カバー本体67の内カバー部71の各係合突起84と干渉部材68の取付片86の各係合穴93を係合させる。これにより、保持機構94がコイルバネ100の付勢力に抗して干渉部材68を干渉解除位置に保持する。
【0065】
次に、フロントカバー6を閉じる。その際、上記のように干渉部材68が干渉解除位置に保持されているため、
図14に示されるように、トナーコンテナ5のレバー26の把持部51と干渉部材68の干渉片87が干渉しない。
【0066】
フロントカバー6を閉じる前の状態では、
図15(a)に示されるように、干渉部材68の取付片86がカバー本体67の内カバー部71のガイド枠部83に当接している。これに対して、フロントカバー6を閉じると、
図15(b)に示されるように、プリンター本体2のケース部材21の上面が干渉部材68の回転軸85の下端部を押圧して、干渉部材68の取付片86がカバー本体67の内カバー部71のガイド枠部83から浮き上がる。これに伴って、
図11に二点鎖線で示されるように、カバー本体67の内カバー部71の各係合突起84と干渉部材68の取付片86の各係合穴93の係合が解除される。これにより、保持機構94による干渉部材68に対する干渉解除位置への保持が解除され、コイルバネ100の付勢力によって干渉解除位置と干渉位置の間の中間位置まで干渉部材68が回転する(
図16参照)。この時、第2の位置にあるレバー26の把持部51と中間位置にある干渉部材68の干渉片87が接触して、干渉解除位置側から干渉位置側への干渉部材68の回転が規制される。
【0067】
プリンター1の使用開始時(開封時)には、上記のように干渉部材68が中間位置にある状態でフロントカバー6が開かれる。これに伴って、トナーコンテナ5のレバー26の把持部51と干渉部材68の干渉片87が離間し、コイルバネ100の付勢力によって干渉部材68が中間位置から干渉位置まで回転する。以後、プリンター1の使用時には、干渉部材68が干渉位置に保持される。
【0068】
このように干渉部材68が干渉位置にある場合には、トナーコンテナ5のレバー26が第2の位置にある状態でフロントカバー6を閉じようとすると、
図17、
図18に示されるようにトナーコンテナ5のレバー26の把持部51と干渉部材68の干渉片87が干渉し、フロントカバー6を閉じることが困難になる。一方で、トナーコンテナ5のレバー26が第1の位置にある状態では、
図17に二点鎖線で示されるように、トナーコンテナ5のレバー26の把持部51が干渉部材68の干渉片87と干渉しない。そのため、フロントカバー6を閉じることが可能となる。
【0069】
本実施形態のフロントカバー6は、第2の位置にあるレバー26と干渉する干渉位置と第2の位置にあるレバー26と干渉しない干渉解除位置との間で回転可能な干渉部材68を備えている。そのため、プリンター1の出荷時に干渉部材68を干渉解除位置に保持すれば、レバー26が第2の位置にある状態(シャッター28が排出口32を閉止している状態)でトナーコンテナ5をプリンター本体2のコンテナ装着部20に装着し、フロントカバー6を閉じることができる。これに伴って、輸送中に容器本体22からトナーが漏洩するのを確実に防止しつつ、トナーコンテナ5をプリンター本体2と同梱してプリンター1を出荷することが可能となる。そのため、トナーコンテナ5のための専用の梱包材が不要となり、梱包コストの削減を図ることができる。
【0070】
一方で、プリンター1の使用時に干渉部材68を干渉位置に保持すれば、レバー26が第2の位置にある状態(シャッター28が排出口32を閉止している状態)でトナーコンテナ5がプリンター本体2に装着され、フロントカバー6が閉じられようとした場合に、干渉部材68の干渉片87がレバー26の把持部51と干渉する。そのため、シャッター28が排出口32を閉止したまま誤ってフロントカバー6が閉じられようとしていることを作業者に認知させて、以後の誤操作を防止することが可能となる。
【0071】
また、レバー26が第2の位置にあると共に干渉部材68が干渉解除位置にある状態でフロントカバー6を閉じると、保持機構94による干渉部材68に対する干渉解除位置への保持が解除され、コイルバネ100の付勢力によって干渉解除位置と干渉位置の間の中間位置まで干渉部材68が回転し、レバー26が第2の位置にあると共に干渉部材68が中間位置にある状態でフロントカバー6を開くと、コイルバネ100の付勢力によって干渉位置まで干渉部材68が回転するように構成されている。このような構成を採用することにより、干渉部材68が干渉解除位置にある状態でフロントカバー6を閉じて開くと、干渉部材68が自動的に干渉解除位置から干渉位置まで回転することになる。そのため、干渉部材68を手動で回転させる場合と比較して、作業者の負担を軽減することが可能となる。
【0072】
また、保持機構94は、カバー本体67の内カバー部71に設けられる係合突起84と、干渉部材68の取付片86に設けられ、係合突起84と係合可能な係合穴93と、を備えている。そして、干渉部材68が干渉解除位置にある状態でフロントカバー6を閉じると、プリンター本体2のケース部材21の上面が干渉部材68の回転軸85の下端部を押圧して係合突起84と係合穴93の係合が解除されるように構成されている。このような構成を採用することにより、保持機構94の構成を簡易なものとすることが可能となる。
【0073】
また、係合突起84及び係合穴93は、干渉部材68の回転中心である上記軸線Aの周りに等角度間隔(本実施形態では180度間隔)で複数個(本実施形態では2個)設けられている。このような構成を採用することにより、保持機構94によって干渉部材68を干渉解除位置に確実に保持することが可能となる。
【0074】
また、干渉部材68は、回転軸85と、回転軸85の外周に設けられ、コイルバネ100を取り付け可能な取付片86と、回転軸85の外周に取付片86と間隔を介して設けられ、レバー26の把持部51と干渉可能な干渉片87と、を備えている。このような構成を採用することにより、干渉部材68の構成を簡易なものとすることが可能となる。
【0075】
また、カバー本体67の内カバー部71の左縁部には挿入溝80が凹設され、取付片86と干渉片87の間の位置において回転軸85が挿入溝80の第2溝部82に挿入されている。このような構成を採用することにより、カバー本体67に干渉部材68を容易に取り付けることが可能となる。
【0076】
また、カバー本体67は、外部に露出する外カバー部70と、外カバー部70の内面側に設けられる内カバー部71と、を備え、干渉部材68は、内カバー部71に回転可能に支持されている。このような構成を採用することにより、干渉部材68が外部から視認されるのを極力抑制することが可能となり、プリンター1の外観を向上させることが可能となる。
【0077】
また、干渉部材68は、干渉解除位置と干渉位置の間の中間位置まで移動可能に設けられ、第2の位置にあるレバー26と中間位置にある干渉部材68が接触して、干渉解除位置側から干渉位置側への干渉部材68の移動が規制されている。このような構成を採用することにより、干渉解除位置側から干渉位置側への干渉部材68の移動を容易に規制することが可能となる。
【0078】
本実施形態では、係合突起84を一方係合部とすると共に係合穴93を他方係合部としたが、他の異なる実施形態では、係合穴を一方係合部とすると共に係合突起を他方係合部としても良い。
【0079】
本実施形態では、コイルバネ100を付勢部材とする場合について説明したが、他の異なる実施形態では、ねじりコイルバネを付勢部材としても良い。
【0080】
本実施形態では、フロントカバー6を閉じて開くと干渉解除位置から干渉位置まで干渉部材68が自動的に回転する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、干渉解除位置から干渉位置まで干渉部材68を手動で回転させても良い。
【0081】
本実施形態では、干渉部材68が回転する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、干渉部材68が直線的にスライドしても良い。
【0082】
本実施形態では、フロントカバー6に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、後カバー、側面カバー等に本発明の構成を適用しても良い。
【0083】
本実施形態では、レバー26とシャッター28を別体に形成する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、レバー26とシャッター28を一体に形成しても良い。
【0084】
本実施形態では、プリンター1に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、複写機、ファクシミリ、複合機等のプリンター1以外の画像形成装置に本発明の構成を適用しても良い。