特許第5953298号(P5953298)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5953298容器間で生体液を移送させるためのワークステーション及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5953298
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】容器間で生体液を移送させるためのワークステーション及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/20 20060101AFI20160707BHJP
   A61J 1/05 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
   A61J1/20 314Z
   A61J1/05 313N
   A61J1/05 313J
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-515855(P2013-515855)
(86)(22)【出願日】2011年6月21日
(65)【公表番号】特表2013-532032(P2013-532032A)
(43)【公表日】2013年8月15日
(86)【国際出願番号】EP2011060310
(87)【国際公開番号】WO2011161090
(87)【国際公開日】20111229
【審査請求日】2014年4月7日
(31)【優先権主張番号】102010030371.2
(32)【優先日】2010年6月22日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507114521
【氏名又は名称】テルモ ビーシーティー、インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(72)【発明者】
【氏名】ビセット、ローランド
(72)【発明者】
【氏名】ビデット、フランコイス
(72)【発明者】
【氏名】マーテンス、ウィルフリード
【審査官】 増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−283207(JP,A)
【文献】 特開2009−201582(JP,A)
【文献】 特開平09−225008(JP,A)
【文献】 特表2004−537352(JP,A)
【文献】 特開平06−197940(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/061863(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/014330(WO,A2)
【文献】 特開平08−240589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/20
A61J 1/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の容器から他方の容器への液体の移送を可能にするように少なくとも2つの容器を接続する方法であって、該方法は、
a)少なくとも第1の容器(55)を有する第1のカセット(51)を第1のトレイ(1)上に置く工程であって、前記第1のカセット(51)又は前記第1の容器(55)は第1のデータ保存手段(53)を有し、前記第1の容器(55)は外部の容器と連結し、前記第1の容器(55)は複数の接続手段(57)を有する工程と、
b)液体が詰められた第2の容器(65)を有する第2のカセット(61)を第2のトレイ(3)上に置く工程であって、前記第2のカセット(61)又は前記第2の容器(65)は第2のデータ保存手段(63)を有する工程と、
c)前記第1及び第2のトレイ(1、3)にそれぞれ設けられた第1及び第2のデータ読出手段(5、7)により、前記第1及び第2のデータ保存手段(53、63)からデータを読み出す工程と、
d)コントローラにより前記第1及び第2のデータ保存手段(53、63)からの前記データを処理し、前記第1及び第2のデータ保存手段(53、63)からの前記データが互いに合致するかどうかを照合する工程と、
e1)照合結果が否定の場合、ユーザに通知し、そして、前記第2の容器(65)を有する前記第2のカセット(61)を取り除き、前記工程b)からの工程を繰り返す工程と、
e2)照合結果が肯定の場合、前記第1の容器(55)と前記第2の容器(65)を接続する工程と、
f)前記第2の容器(65)を有する前記第2のカセット(61)を前記第2のトレイ(3)から取り除く工程と、
g)複数の第2の容器(65)が前記第1の容器(55)に接続されるように、前記b)からf)の工程を複数回繰り返す工程と、
h)前記液体を前記複数の第2の容器(65)から前記第1の容器(55)に移送する工程と、
i)前記複数の第2の容器(65)を前記第1の容器(55)から切り離す工程と、
を有する、少なくとも2つの容器を接続する方法。
【請求項2】
請求項1記載の少なくとも2つの容器を接続する方法において、前記第1及び第2のデータ保存手段は、第1及び第2のRFIDタグ(53、63)の形態で設けられ、及び前記第1及び第2のデータ読出手段は、それぞれ第1及び第2のRFIDリーダ(5、7)であり、及び/又は前記第1のデータ保存手段は、第1のラベルの形態で設けられ、及び/又は前記第2のデータ保存手段は、第2のラベルの形態で設けられ、前記第1のデータ保存手段の前記データは、第1のバーコード及び/又は第1のテキストの形態で印刷され、及び/又は、前記第2のデータ保存手段の前記データは、第2バーコード、及び又は第2のテキストの形態で印刷され、及び/又は、前記第1のデータ読出手段は、第1のバーコードリーダ及び/又は第1のテキストリーダの形態で設けられ、及び/又は、前記第2のデータ読手段は、第2のバーコードリーダ及び/又は第2のテキストリーダの形態で設けられることを特徴とする少なくとも2つの容器を接続する方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の少なくとも2つの容器を接続する方法において、前記移送される液体は、血液細胞採取プロセスから残っているバフィーコートであることを特徴とする少なくとも2つの容器を接続する方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の少なくとも2つの容器を接続する方法において、中央サーバ(15)へのデータ通信線(13)が確立され、前記中央サーバは前記コントローラに設けられることを特徴とする少なくとも2つの容器を接続する方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の少なくとも2つの容器を接続する方法において、前記接続手段は、前記第1及び第2の容器(55、65)におけるチューブ(57、67)の形態で設けられ、前記工程e2)は、前記第1の容器(55)の前記チューブ(57)及び前記第2の容器(65)の前記チューブ(67)を切断して、そして、前記チューブ(57)と前記チューブ(67)を一体にホットメルトすることにより実行されることを特徴とする少なくとも2つの容器を接続する方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の少なくとも2つの容器を接続する方法において、前記液体が重力により移送されるよう、前記複数の第2の容器(65)は、前記第1の容器(55)の上方に配置されることを特徴とする少なくとも2つの容器を接続する方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の少なくとも2つの容器を接続する方法において、前記方法に関するデータは、それぞれのRFIDライタ(5、7)により前記第1及び/又は前記第2のデータ保存手段(53、63)に書き込まれ、及び/又はプリンタによりそれぞれのラベルに印刷されることを特徴とする少なくとも2つの容器を接続する方法。
【請求項8】
一方の容器から他方の容器へ液体の移送を可能にするように少なくとも2つの容器を接続するためのワークステーションであって、
第1のデータ保存手段(53)と少なくとも第1の容器(55)とを有する第1のカセット(51)が置かれる第1のトレイ(1)と、
第2のデータ保存手段(63)と第2の容器(65)とを有する第2のカセット(61)が置かれる第2のトレイ(3)と、
前記第1及び第2のデータ保存手段(53、63)のデータをそれぞれ読み出す第1及び第2のデータ読出手段(5、7)と、
前記第2の容器(65)から前記第1の容器へと液体を移送可能な方式で前記第1の容器(55)に設けられた複数の接続手段(57)及び複数の前記第2の容器(65)にそれぞれ設けられた接続手段(67)を接続するための接続装置(10)と、
前記第1のデータ保存手段(53)からのデータと前記第2のデータ保存手段(63)からのデータとが合致しているかどうかを照合する照合手段とを備え、
前記接続装置(10)は、前記照合手段による照合結果が肯定の場合、前記第1の容器(55)の前記接続手段(57)の1つと前記第2の容器(65)の前記接続手段(67)とを接続する工程を実施し、
前記工程を複数回繰り返すことにより、前記第1の容器(55)と前記複数の第2の容器(65)とを接続する、ワークステーション。
【請求項9】
請求項8記載のワークステーションは、中央サーバ(15)と通信するコントローラ及び/又は通信手段(13)をさらに備えることを特徴とするワークステーション。
【請求項10】
請求項8又は請求項9記載のワークステーションは、前記第1及び第2のトレイ(1、3)にそれぞれ割り当てられた、第1及び第2のデータ書込手段(5、7)をさらに備えることを特徴とするワークステーション。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれか1項に記載のワークステーションにおいて、前記接続装置(10)は、前記接続手段を構成するチューブ(57、67)を切断する切断手段と該チューブ(57、67)をホットメルトするホットメルト手段とを備えることを特徴とするワークステーション。
【請求項12】
請求項10記載のワークステーションにおいて、前記第1及び第2のデータ読出手段は、それぞれRFIDリーダ(5、7)の形態で、及び/又はそれぞれバーコードリーダ及び/又はテキストリーダの形態で設けられ、及び/又は、前記第1及び第2のデータ書込手段は、RFIDライタ及び/又はプリンタの形態で設けられることを特徴とするワークステーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続方法、及び該接続方法を実行することに適したワークステーションに関する。特に、接続方法は、少なくとも一方の容器が液体を収容する2つの容器の接続に関する。
【背景技術】
【0002】
輸血医学において、1990年代の初めから、いわゆる血液成分療法が成功を収めてきた。これは、保存血液全体の代わりに、患者が個々に必要な血液成分のみを投与されることを意味する。個々の血液成分のこの別々の投与により、1単位の保存血液で平均1.8人の患者を最適に処置可能となる。
【0003】
重要な血液成分には、血液の多量の損失後に酸素供給の保持のため輸液されるいわゆる赤血球濃厚液(erythrocyte concentrate)の赤血球、凝血障害(血友病)の場合に投与される血小板濃厚液(thrombocyte concentrate)の血小板、及び凝血障害及び容量不足の場合に投与される血漿が含まれる。これとは別に、血漿は、多数の医薬品の製造のための、基本的な成分である。
【0004】
細胞回収(cell harvesting)と呼ばれる個々の血液成分の分離は、血液を遠心分離機において処理することによって行われることが知られている。遠心分離により、個々の血液成分は互いに分離され、ついで好適な容器に別々に満たされ、別々に使用されることが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これに関連して、年齢、血液型、性別等の供血者のデータを最終製剤に割り当てることは、本質的な問題を起こす。これらのデータが繰り返し伝達されることにより、間違った伝達がされる大きな危険性があり、これにより、最終製剤の誤ったマーキングを引き起こす可能性がある。正しいデータ伝達をチェックすることは、高い費用で唯一可能なことであるか、或いは不可能でさえある。
【0006】
従って、複数の処理ステップにわたる確実なデータ伝達を保証する装置及び方法を作製する必要性が存在する。
【0007】
出願人は、複数の方法ステップにわたり確実なデータ伝達を保証する現在知られる技術を国内において開発してきた。それには、献血、血液の輸送、例えば遠心分離プロセスにより血液を赤血球濃厚液、血漿及びバフィーコートのような成分に分離し、これら成分(例えば、血液製剤)を別々の容器に移すこと、血液製剤の入った容器のマーキングがある。
【0008】
しかしながら、血液製剤の分離処理が完了するとき、献血された血液の収集及び移送に使用される容器内に、少量のバフィーコートが残る。よって、バフィーコートからの血小板又は栓球の採取のようなさらなる処理を経済的に可能にするため、異なる供血者及び/又は献血から通常生じる少量のバフィーコートを一緒にまとめる。通常、この目的で、異なる供血者/献血のバフィーコートは新しい容器に収集される。一般に、そのような処理は、”バフィーコートプーリング(buffy coat pooling)”として知られている。従って、新しい容器を、バフィーコートを収容する他の容器に繰り返し接続しなければならない。
【0009】
この処理において、それぞれの供血者のデータ及び献血データの正確な割り当て及び照合は、互いに合致しないバフィーコートの混合を避けるためには、非常に重要である。例えば、重要な項目としては、異なる供血者の血液型が互いに合致し、同時に、バフィーコートの経時も互いに合致しなければならないことがある。従って、献血日の違いはある範囲内になければならない。
【0010】
よって、2つの容器を接続する際、確実なデータ割り当て及び照合を可能にする方法及び装置の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、一方の容器から他方の容器に液体の移送を可能にするように少なくとも2つの容器を接続する方法は、a)少なくとも第1の容器を有するカセットを第1のトレイ上に置く工程であって、第1のカセット又は第1の容器は第1のデータ保存手段を有し、第1の容器は外部の容器と連結している工程と、b)液体が詰められた第2の容器を有する第2のカセットを第2のトレイ上に置く工程であって、該カセット又は該容器は第2のデータ保存手段を有する工程と、c)第1及び第2のトレイにそれぞれ設けられた第1及び第2のデータ読出手段により、第1及び第2のデータ保存手段からデータを読み出す工程と、d)コントローラにより第1及び第2のデータ保存手段からの前記データを処理し、前記第1及び第2のデータ保存手段からの前記データが互いに合致するかどうか照合する工程と、e1)照合結果が否定の場合、ユーザに通知し、そして、前記第2の容器を有する前記第2のカセットを取り除き、前記工程b)からの工程を繰り返す工程と、e2)照合結果が肯定の場合、前記第1の容器と前記第2の容器を接続する工程と、f)前記第2の容器を有する前記第2のカセットを前記第2のトレイから取り除く工程と、g)複数の第2の容器が前記第1の容器に接続されるように、前記b)からf)の工程を複数回繰り返す工程と、h)前記液体を前記複数の第2の容器から前記第1の容器に移送する工程と、i)前記複数の第2の容器を前記第1の容器から切り離す工程とを有する。
【0012】
カセット又はカセットに取り付けられた容器はデータ保存装置を有するので、それぞれのデータ保存装置のデータが、容器の内容に対応することが確実に保証される。第2のカセットの場合、これは、第2の容器内の液体が第1の容器内の液体に合致するかどうか、また第2の容器内の液体が第1の容器に以前に接続された第2の容器内の液体に合致するかどうかが照合されることを意味する。例えばバフィーコートプーリングの場合、血液型が互いに合致するかどうか、又はバフィーコートの経時が互いに合致するかどうかを照合してもよい。
【0013】
接続方法の終了後、この方法の繰り返し実行した数に対応する数のバフィーコートが、第1の容器に収集される。しかし、互いに合致する十分な数のバフィーコートがない場合、単にいくつかの第2の容器に接続された第1のカセット及び容器を、工程f)の後に取り除き、バフィーコートの供給が再開されるまでのある期間、保管してもよい。
【0014】
この場合、第1の容器の新しい内容に関するデータを、カセットの除去前に第1のデータ保存手段に書き込むことが可能である。又は、新しいデータを第1のデータ保存手段に書き込む代わりに、第1のカセットのID番号並びにその内容を、コントローラによって、この方法を実行するのに使用されるワークステーションに設けられた或いは外部サーバに設けられたメモリに保存することが可能である。よって、後日この方法を再開するとき、そのときの新しい第2のデータ保存手段のデータを該保存したデータと照合することが可能である。
【0015】
第1の及び第2のデータ保存手段は、第1及び第2のRFIDタグの形態であり、データ読出手段は、それぞれ第1及び第2のRFIDリーダであることが好ましい。加えて又は或いは、データ保存手段は第1及び/又は第2のラベルの形態で設けられ、データは第1及び/又は第2のバーコード又は実際のテキストの形態で印刷される。そのような場合、データ読出手段は、第1及び/又は第2のバーコードリーダ及び/又はテキストリーダの形態で、単独で又は付加的に設けられる。
【0016】
好適には、移送される液体は、血液細胞採取プロセスから残っているバフィーコートであってもよい。
【0017】
好適には、中央サーバへのデータ通信線が確立され、前記中央サーバはコントローラに設けられてもよい。
【0018】
好適には、接続手段は、チューブの形態で第1及び第2の容器において設けられ、工程e2)は、2つのチューブ(すなわち各容器の各チューブ)を切断し、そして、一体的にホットメルトすることにより実行される。このような切断・ホットメルトにより、汚染にさらすことなく、2つの容器を無菌状態で接続することが可能となる。
【0019】
複数の第2の容器全部が第1の容器に接続された後に、液体の移送は行われることが好ましい。好適には、液体を重力により移送できるよう、第2の容器は第1の容器の上方に配置されるのがよい。
【0020】
好適には、方法ステップに関するデータ及び/又は容器の内容に関するデータは、第1及び/又は第2のデータ保存手段に書き込まれることがよい。例えば、方法の繰り返し回数、供血者の血液型、献血日及び他のデータを、第1のデータ保存手段に書き込んでよい。また、第1のデータ保存手段のID番号を第2のデータ保存手段に書き込んでもよい。データ書き込み手段は、RFIDライタの形態で設けられることが好ましい。しかしながら、データを、例えばバーコード及び/又はテキストの形態でプリンタによってラベルに印刷してもよい。
【0021】
さらに、本発明によれば、一方の容器から他方の容器への液体の移送を可能にするように少なくとも2つの容器を接続するワークステーションは、第1のデータ保存手段と少なくとも第1の容器とを有する第1のカセットが置かれる第1のトレイと、第2のデータ保存手段と第2の容器とを有する第2のカセットが置かれる第2のトレイと、前記第1及び第2のデータ保存手段のデータをそれぞれ読み出す第1及び第2のデータ読出手段と、前記第1の容器と前記第2の容器とを接続する接続装置を備える。
【0022】
そのようなワークステーションは、本発明に係る方法の実行に好適である。
【0023】
ワークステーションは、さらに中央サーバと通信するコントローラ及び/又は通信手段を有してもよい。
【0024】
これにより、例えば、どの種類の製剤が必要とされているかを知るために、血液バンクの中央サーバとデータ交換をすることができる。
【0025】
さらに、ワークステーションは、第1及び/又は第2のデータ保存手段にデータを書き込む書込手段を有してもよい。それによって、例えば処理を中断して後で続けようとする場合、保存された情報のアップデートが、いつでも可能になる。
【0026】
好適には、接続装置は、チューブを切断しホットメルトする切断手段及びホットメルト手段を有してもよい。さらに、第1及び第2のデータ読出手段は、それぞれRFIDリーダの形態及び/又はバーコードリーダの形態で設けてもよく、及び/又はデータ書込手段は、1以上のRFIDライタ及び/又は1以上のバーコードプリンタ及び/又は1以上のテキストプリンタの形態で設けてもよく、該プリンタは、第1又は第2の容器に付けられるラベルに印刷可能である。
【0027】
本発明のさらなる効果は、添付の図と共に、好ましい実施形態の記載から理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、好ましい実施形態のワークステーションの概略図である。
図2図2は、本発明の効果を理解するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
好ましい実施形態に係る、少なくとも2つの容器を接続する方法並びにワークステーションが、図1に基づいて説明される。
【0030】
ワークステーションは、第1トレイ1及び第2トレイ3を有する。それぞれのRFIDリーダ/RFIDライタ5及び7が、各トレイに割り当てられる。収容チャンバ9は、2つのトレイ1、3の間に設けられる。さらに、収容チャンバ9内に、蓋11を有する複合された切断・ホットメルト装置10が提供される。
【0031】
データ通信線13を介して、RFIDリーダ/RFIDライタ5、7からのデータは、サーバ15に転送可能である。サーバ内には、データ処理の制御ユニットがある。
【0032】
本発明の方法を実行するため、ユーザは、本発明にしたがって、第1データ保存手段として機能するRFIDタグ53を有する第1のカセット51を、トレイ1上に置く。本発明にしたがって、保存液で満たされた第1容器として機能するプーリングバッグ55は、カセット1に固定して取り付けられる。複数のチューブ57のうち、図1に示される1本のみが、プーリングバッグ55に接続される。プーリングバッグ55は、トレイ1から下側に垂れ下がるように置かれる。プーリングバッグ55に割り当てられたチューブ57のうちの1本は、切断・ホットメルト装置10の受容溝内に挿入される。さらに、図1に図示しない製品バッグが、これも図示しない他のチューブを介してプーリングバッグ55に接続される。プーリングバッグ55と製品バッグとの間の接続は、クランプによって遮断される。
【0033】
それから、同様の方法で、本発明にしたがって、第2のデータ保存手段として機能するRFIDタグ63を有するカセット61が、トレイ3上に置かれる。血液細胞採取プロセスから残っているバフィーコートを含む献血バッグ65が、カセット61に固定して取り付けられる。
【0034】
バフィーコートは、血液成分の赤血球濃厚液、血漿及びバフィーコートの分離が遠心分離機で行われる血液細胞採取プロセスの残りである。最初の2つの成分は、献血バッグ65に接続された製品バッグに移送され、一方、バフィーコートは献血バッグ内に残る。移送後、血漿及び赤血球濃厚液をそれぞれ有する製品バッグは献血バッグから切り離され、個別にさらに処理される。
【0035】
バフィーコートを含む献血バッグ65は、トレイ3上に置かれる。よって、プーリングバッグ55と献血バッグ65との間には高さに違いがある。
【0036】
しかしながら、献血バッグ65に接続されたチューブ67も、切断・ホットメルト装置10の対応の受容溝に挿入される。
【0037】
その後、切断・ホットメルト装置10の蓋11は閉じられ、チューブが固定される。適切に閉められるようにするため、チューブ67の形状並びにチューブ57の形状に適合するように、蓋11内に対応する凹部が設けられる。
【0038】
前述の準備の実行後、ユーザはワークステーションに設けられた開始ボタンを押す。
【0039】
その後、RFIDリーダ5及びRFIDリーダ7が、RFIDタグ53及び63に保存されたデータをそれぞれ読み出す。通信線13経由で、データはサーバ15に送信され、そこで制御ユニットが、データが互いに合致するかどうか照合する。照合に使用されるデータは、供血者の血液型及びその他の個人データ、献血日、カセット51及び61のID番号等を含むことが可能である。
【0040】
データ照合が肯定であれば、制御ユニットはそれに応じて切断・ホットメルト装置10に通知する。そして、切断・ホットメルト装置10は、2つのチューブ57と67の接続処理を開始する。その処理において、例えば、切断することによって、2つのチューブ57及び67の端部を開放し、そして、該端部を一体にホットメルトする。
【0041】
そして、RFIDリーダ/RFIDライタ5及び7は、それに応じてRFIDタグ53及び63内に保存されたデータを変更し、現在の状況を反映させる。すなわち、RFIDタグ53のメモリは、接続された容器65に関する付加された情報、並びに供血者、献血等に関するデータを有する。その後、カセット61は取り外され、新しいカセット61に交換され、プーリングバッグ55の複数のチューブ57のそれぞれが、それぞれのカセット61に取り付けられたそれぞれの献血バッグ65の1本のチューブ67に接続されるまで、上記プロセスが2回から8回繰り返される。
【0042】
バフィーコートを含む献血バッグの十分な供給がない場合、カセット51を、それぞれの献血バッグ65を含むそのとき取り付けられた第2のカセット61と共に取り外すことにより、接続処理を中断できる。この場合、必要とされるバフィーコートの不足が解消された後、再度使用されるためにカセット51及びカセット61を保管しておくことができる。
【0043】
カセット51でプーリング処理を再開する際、データがRFIDタグ53に保存されているので、そのときの新しいバフィーコートがプーリングバッグにすでに存在しているバフィーコートに合致するかどうかの確実な判断及び照合を行うことが可能である。
【0044】
接続処理に続いて、すなわち、全てのチューブ57が献血バッグ65のそれぞれのチューブ67に接続されたとき、全ての献血バッグ65は、プーリングバッグ55の上方の位置に置かれる。その後、複数の献血バッグ65内に存在するバフィーコートの移送が、例えばチューブ67及び57に設けられたそれぞれのクランプを開けることにより開始される。
【0045】
その後、プーリングバッグ55と献血バッグ65の高さの差により、献血バッグ65内のバフィーコートは、チューブ67及び57を介してプーリングバッグ55に流れ込む。そして、複数のチューブ57と各チューブ67との間の接続は再び切断され、その際に開放されたチューブ57の端部は流体密及び気密に密閉される。
【0046】
完全に満たされた後、カセット51はプーリングバッグ55と共に他の遠心分離プロセスに移され、バフィーコートに含まれる血小板/栓球が採取される。RFIDタグ53を有するカセット51がデータ伝送装置として機能するので、製品へのデータの確実な割り当てが、引き続いて行われる処理ステップにおいても可能である。
【0047】
図2は、本発明の効果を理解するための概略図を示す。すなわち、処理全体を通して、献血された血液にはRFIDタグを有するカセットが随伴する。つまり、献血センターで、供血者のデータがRFIDタグに書き込まれる。そして、供血者は、RFIDタグが付けられた献血バッグが取り付けられたカセットを受け取る。チューブを介して、製品バッグも献血バッグと接続しているが、接続はクランプにより遮断される(ステップS1)。
【0048】
献血後、セット全体がさらに処理されるため血液センターに搬送される(S2)。そこで、献血バッグ及び製品バッグを有するカセットは、遠心分離機のインサートに置かれる。その後、赤血球濃厚液、血漿及びバフィーコートの分離のための遠心分離プロセスが行われる(S3)。
【0049】
遠心分離プロセスの後、インサートがバッグと共に、マーキングプロセスのためのワークステーションのスロット内に挿入される(S4)。マーキング用ワークステーションで製品バッグが切り離され密閉されて、カセットは、バフィーコートを含む献血バッグと共にバフィーコートプーリングプロセスへ移され(S5)、本明細書に記載されたように、異なる供血者のバフィーコートが、さらに処理されるために一緒にまとめられる。それぞれのカセットに取り付けられたRFIDタグにより、処理で使用される複数のバフィーコートが互いに合致するかどうかを、この処理で照合することが可能である。バフィーコートプーリングの後、得られたバフィーコート液は血小板採取プロセスへ移され(S6)、血小板がバフィーコート液から抽出される。
【0050】
上述の実施形態の代わりに、以下の変形例が可能である。
【0051】
変更されたデータをそれぞれのカセットに設けられたRFIDタグに書き込むことを説明したが、或いは、データを、サーバのメモリに保存してもよい。そのような場合、それぞれのカセットのID番号だけがRFIDリーダから読み出され、それぞれのカセットに関するデータは該メモリから取り出される。
【0052】
RFIDタグをカセットに設ける代わりに、献血バッグ又はプーリングバッグにそれぞれ設けてもよい。重要な点は、前処理及び後処理を含む処理全てを通して正確なデータの割り当てを確実にするため、RFIDタグとバッグの内容とを切り離すことができないということである。
【0053】
データ接続線は、有線、WLAN、UMTS、ブルートゥース等を介して確立が可能である。
【0054】
バフィーコートの移送に重力を用いる代わりに、献血バッグを圧搾装置内に挿入して圧搾することにより、バフィーコートを移送してもよい。
【0055】
バッグを使用する代わりに、ボトルのような他の適切な容器を使用してもよい。しかしながら、特にバッグは真空状態に設けることができるので、バッグの使用は好適である。よって、液体の扱いが容易になる。
【0056】
プーリングバッグにおいて複数のチューブを使用する代わりに、1本のチューブをプーリングバッグに設けて、後で複数のチューブに分岐してもよい。そのような構成の場合、プーリング処理が完了した後のチューブの切り離しが容易になり、好適である。
【0057】
本発明の保護の範囲は、添付の請求項によってのみ定義される。
図1
図2