特許第5953316号(P5953316)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5953316インクジェット印刷装置のインク総量を確定する方法と装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5953316
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】インクジェット印刷装置のインク総量を確定する方法と装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/21 20060101AFI20160707BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
   B41J2/21
   B41J2/01 201
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-545034(P2013-545034)
(86)(22)【出願日】2011年12月23日
(65)【公表番号】特表2014-501643(P2014-501643A)
(43)【公表日】2014年1月23日
(86)【国際出願番号】CN2011084580
(87)【国際公開番号】WO2012083883
(87)【国際公開日】20120628
【審査請求日】2014年6月25日
(31)【優先権主張番号】201010620433.9
(32)【優先日】2010年12月23日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】507230289
【氏名又は名称】ペキン ユニバーシティ ファウンダー グループ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PEKING UNIVERSITY FOUNDER GROUP CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】507230304
【氏名又は名称】北京北大方正▲電▼子有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING FOUNDER ELECTRONICS CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】513155404
【氏名又は名称】ペキン・ユニバーシティ・ファウンダー・アール・アンド・ディ・センター
【氏名又は名称原語表記】PEKING UNIVERSITY FOUNDER R&D CENTER
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(72)【発明者】
【氏名】リ, ハイファン
(72)【発明者】
【氏名】マ, ヤンマン
(72)【発明者】
【氏名】バイ, ユイング
【審査官】 大熊 靖夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−201819(JP,A)
【文献】 特開2005−246655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューターにより実行される、インクジェット印刷装置のインク総量を確定する方法であって、
サンプリング図を印刷するステップと、
測定手段によって前記サンプリング図の色を測定するステップと、
前記測定手段による測定結果に基いてインク総量を確定するステップと、
を含み、
前記色にはシアンC、マゼンタM、イエローYとブラックKを含み、
前記サンプリング図を印刷するステップにおいては、
等量のCMY3色からなる一連のグレーブロックを印刷し、
等量のCMYK4色からなる一連のグレーブロックを印刷することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記サンプリング図において等量のCMY3色からなるグレーが順次に逓増する網点のパーセントの集合をTD={a1,a2,...,ai,...,am}、ai∈[0,100%]にて示し、
ただし、aiは等量のCMY3色からなるグレーの第i網点のパーセントを示し、
mは等量のCMY3色からなるグレーのカラーブロックの個数を示し、
前記サンプリング図において等量のCMYK4色からなるグレーが順次に逓増する網点のパーセントの集合をQD={b1,b2,......,bi,......,bn}、bi∈[0,100%]にて示し、
ただし、biは等量のCMYK4色からなるグレーの第i網点のパーセントを示し、
nは等量のCMYK4色からなるグレーのカラーブロックの個数を示し、
カラーブロックの網点のパーセントが、a1≧b1、am=bn=100%という関係を満たしており、
前記サンプリング図を印刷するステップにおいては、
等量のCMY3色からなり、かつ、TDにて表される一連のグレーブロックを印刷し、
等量のCMYK4色からなり、かつ、QDにて表される一連のグレーブロックを印刷することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記サンプリング図において等量のCMY3色からなるグレーブロックの色集合をTC={p1,p2,......,pi,......,pm}にて示し、
ただし、piは等量のCMY3色からなるグレーブロックにおける第i網点の色を示し、
前記サンプリング図において等量のCMYK4色からなるグレーブロックの色集合をQC={q1,q2,......,qi,......,qn}にて示し、
ただし、qiは等量のCMYK4色からなるグレーブロックにおける第i網点の色を示し、
前記測定手段によって前記サンプリング図の色を測定するステップにおいては、等量のCMY3色からなる一連のグレーブロックを測定し、前記測定結果としてTM={s1,s2,......,si,......,sm}を取得し、等量のCMYK4色からなる一連のグレーブロックを測定し、前記測定結果としてQM={t1,t2,......,ti,......,tn}を取得し、
ただし、siは集合TCにおけるカラーブロックpiの測定値を示し、
tiは集合QCにおけるカラーブロックqiの測定値を示し、
pi={Ci+Mi+Yi}にて表されるCi、Mi、Yiは、等量のCMY3色からなるグレーブロックの第i網点におけるC、M、Yの網点のパーセントをそれぞれ示し、かつ、Ci=Mi=Yi=aiという関係を満足し、
qi={Ci+Mi+Yi+Ki}にて表されるCi、Mi、Yi、Kiは、等量のCMYK4色からなるグレーブロックの第i網点におけるC、M、Y、Kの網点のパーセントをそれぞれ示し、かつ、Ci=Mi=Yi=Ki=biという関係を満たしていることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記測定結果に基いてインク総量を確定するステップにおいては、
下記の式1により等量のCYM3色からなるグレーを計算し、
【数1】
ただし、Sumx1、Sumy、Sumx0、Sumxy及びtempは、下記の式2により表され、
【数2】
上記の式1に基いてsp3を計算する場合において、上記の式2のnumはmであり、x[i]は前記サンプリング図における等量のCYM3色からなるグレーの第i網点のパーセントaiを示し、y[i]は、前記測定手段によって測定された等量のCYM3色からなるグレーの第i網点の測定値siを示しており、
等量のCYMK4色からなるグレーについて、第1網点から、毎回に連続的なt個の網点ずつを取り、t∈[3,n]、下記の式3により順次に計算し、
【数3】
上記の式3に基いてsp4を計算する場合において、上記の式2のnumはtであり、x[i]は前記サンプリング図における等量のCYMK4色からなるグレーの第i網点のパーセントbiを示し、y[i]は、前記測定手段によって測定された等量のCYMK4色からなるグレーの第i網点の測定値tiを示しており、
具体的には、
1回目:点1、2、......、1+tを取って式3に代入し、sp4[1]を計算し、
2回目:点2、3、......、2+tを取って式3に代入し、sp4[2]を計算し、
......
i回目:点i、i+1、......、i+tを取って式3に代入し、sp4[i]を計算し、
......
n−t回目:点n−t、n−t+1、......、nを取って式3に代入し、sp4[n−t]を計算し、
等量のCYMK4色からなるグレーについて、sp4[i+1]<sp4[i]*係数NLまたはsp4[i+1]<sp3*係数NLの条件を満たしている第i網点を探し出すことができた場合、探し出した第i網点のパーセントをk1とし、インク総量Out1=k1*4と確定し、
前記条件を満たしている第i網点を探し出せなかった場合、インク総量Out1=400%と確定することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記測定結果に基いてインク総量を確定するステップにおいては、
網点のパーセントを横軸とし、前記測定手段による測定値を縦軸とした場合、QDとQMによって示された曲線において、前記測定手段による測定値であるsmと同じ値を探し出すことができたとき、前記曲線において前記同じ値に対応する網点のパーセントをk2とし、インク総量Out2=k2*4と確定し、
前記同じ値を探し出せなかったとき、インク総量Out2=400%と確定することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記測定結果に基いてインク総量を確定するステップにおいては、
網点のパーセントを横軸とし、前記測定手段による測定値を縦軸とした場合、TDとTMによって示された曲線と、QDとQMによって示された曲線との交差点Cを探し出すことができたとき、探し出した交差点Cに対応する網点のパーセントをk3とし、インク総量Out3=k3*4と確定し、
前記交差点Cを探し出せなかったとき、インク総量Out3=400と確定することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記測定結果に基いてインク総量を確定するステップにおいては、
第一インク総量Out1、第二インク総量Out2、第三インク総量Out3をそれぞれ計算し、具体的には、
下記の式4により等量のCYM3色からなるグレーを計算し、
【数4】
ただし、Sumx1、Sumy、Sumx0、Sumxy及びtempは、下記の式5により表され、
【数5】
上記の式4に基いてsp3を計算する場合において、上記の式5におけるnumはmであり、x[i]は前記サンプリング図における等量のCYM3色からなるグレーの第i網点のパーセントaiを示し、y[i]は、前記測定手段によって測定された等量のCYM3色からなるグレーの第i網点の測定値siを示しており、
等量のCYMK4色からなるグレーについて、第1網点から、毎回に連続的なt個の網点ずつを取り、t∈[3,n]、下記の式6により順次に計算し、
【数6】
上記の式6に基いてsp4を計算する場合において、上記の式5のnumはtであり、x[i]は前記サンプリング図における等量のCYMK4色からなるグレーの第i網点のパーセントbiを示し、y[i]は、前記測定手段によって測定された等量のCYMK4色からなるグレーの第i網点の測定値tiを示しており、
具体的には、
1回目:点1、2、......、1+tを取って式6に代入し、sp4[1]を計算し、
2回目:点2、3、......、2+tを取って式6に代入し、sp4[2]を計算し、
......
i回目:点i、i+1、......、i+tを取って式6に代入し、sp4[i]を計算し、
......
n−t回目:点n−t、n−t+1、......、nを取って式6に代入し、sp4[n−t]を計算し、
等量のCYMK4色からなるグレーについて、sp4[i+1]<sp4[i]*係数NLまたはsp4[i+1]<sp3*係数NLの条件を満たしている第i網点を探し出すことができた場合、探し出した第i網点のパーセントをk1とし、インク総量Out1=k1*4と確定し、
前記条件を満たしている第i網点を探し出せなかった場合、インク総量Out1=400%と確定し、
網点のパーセントを横軸とし、前記測定手段による測定値を縦軸とした場合、QDとQMによって示された曲線において、前記測定手段による測定値であるsmと同じ値を探し出すことができたとき、前記曲線において前記同じ値に対応する網点のパーセントをk2とし、インク総量Out2=k2*4と確定し、
前記同じ値の測定値を探し出せなかったとき、インク総量Out2=400%と確定し、
網点のパーセントを横軸とし、前記測定手段による測定値を縦軸とした場合、TDとTMによって示された曲線と、QDとQMによって示された曲線との交差点Cを探し出すことができたとき、探し出した交差点Cに対応する網点のパーセントをk3とし、インク総量Out3=k3*4と確定し、
前記交差点Cを探し出せなかったとき、インク総量Out3=400と確定し、
インク総量out=min(Out1,Out2,Out3)を確定し、ただし、min(……)は三つのパラメータの中の最小値を求める関数であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項8】
インクジェット印刷装置のインク総量を確定する装置であって、
前記インクジェット印刷装置にサンプリング図を印刷させる印刷モジュールと、
前記サンプリング図の色を測定する測定手段と、
前記測定手段による測定結果に基いてインク総量を確定する確定モジュールと、
を備え、
前記色にはシアンC、マゼンタM、イエローYとブラックKを含み、
前記印刷モジュールは、
等量のCMY3色からなる一連のグレーブロックを印刷させる第1の印刷モジュールと、
等量のCMYK4色からなる一連のグレーブロックを印刷させる第2の印刷モジュールと、を備えていることを特徴とする装置。
【請求項9】
前記サンプリング図において等量のCMY3色からなるグレーが順次に逓増する網点のパーセントの集合をTD={a1,a2,...,ai,...,am}、ai∈[0,100%]にて示し、
ただし、aiは等量のCMY3色からなるグレーの第i網点のパーセントを示し、
mは等量のCMY3色からなるグレーのカラーブロックの個数を示し、
前記サンプリング図において等量のCMYK4色からなるグレーが順次に逓増する網点のパーセントの集合をQD={b1,b2,......,bi,......,bn}、bi∈[0,100%]にて示し、
ただし、biは等量のCMYK4色からなるグレーの第i網点のパーセントを示し、
nは等量のCMYK4色からなるグレーのカラーブロックの個数を示し、
カラーブロックの網点のパーセントが、a1≧b1、am=bn=100%という関係を満たしており、
前記第1の印刷モジュールは、等量のCMY3色からなり、かつ、TDにて表される一連のグレーブロックを印刷させ
前記第2の印刷モジュールは、等量のCMYK4色からなり、かつ、QDにて表される一連のグレーブロックを印刷させることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記サンプリング図において等量のCMY3色からなるグレーブロックの色集合をTC={p1,p2,......,pi,......,pm}にて示し、
ただし、piは等量のCMY3色からなるグレーブロックにおける第i網点の色を示し、
前記サンプリング図において等量のCMYK4色からなるグレーブロックの色集合をQC={q1,q2,......,qi,......,qn}にて示し、
ただし、qiは等量のCMYK4色からなるグレーブロックにおける第i網点の色を示し、
前記測定手段は、
等量のCMY3色からなる一連のグレーブロックを測定し、前記測定結果としてTM={s1,s2,......,si,......,sm}を取得する第1の測定モジュールと、
等量のCMYK4色からなる一連のグレーブロックを測定し、前記測定結果としてQM={t1,t2,......,ti,......,tn}を取得する第2の測定モジュールと、を備えており、
ただし、siは集合TCにおけるカラーブロックpiの測定値を示し、
tiは集合QCにおけるカラーブロックqiの測定値を示し、
pi={Ci+Mi+Yi}にて表されるCi、Mi、Yiは等量のCMY3色からなるグレーブロックの第i網点におけるC、M、Yの網点のパーセントをそれぞれ示し、かつ、Ci=Mi=Yi=aiという関係を満足し、
qi={Ci+Mi+Yi+Ki}にて表されるCi、Mi、Yi、Kiは、等量のCMYK4色からなるグレーブロックの第i網点におけるC、M、Y、Kの網点のパーセントをそれぞれ示し、かつ、Ci=Mi=Yi=Ki=biという関係を満たしていることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記確定モジュールは、第一インク総量Out1、第二インク総量Out2、第三インク総量Out3をそれぞれ以下のように計算する第1の計算モジュールを備えており、具体的には、
下記の式7により等量のCYM3色からなるグレーを計算し、
【数7】
ただし、Sumx1、Sumy、Sumx0、Sumxy及びtempは、下記の式8により表され、
【数8】
上記の式7に基いてsp3を計算する場合において、上記の式8のnumはmであり、x[i]は前記サンプリング図における等量のCYM3色からなるグレーの第i網点のパーセントaiを示し、y[i]は、前記第1の測定モジュールによって測定された等量のCYM3色からなるグレーの第i網点の測定値siを示しており、
等量のCYMK4色からなるグレーについて、第1網点から、毎回に連続的なt個の網点ずつを取り、t∈[3,n]、下記の式9により順次に計算し、
【数9】
上記の式9に基いてsp4を計算する場合において、上記の式8のnumはtであり、x[i]は前記サンプリング図における等量のCYMK4色からなるグレーの第i網点のパーセントbiを示し、y[i]は、前記第2の測定モジュールによって測定された等量のCYMK4色からなるグレーの第i網点の測定値tiを示しており、
具体的には、
1回目:点1、2、......、1+tを取って式9に代入し、sp4[1]を計算し、
2回目:点2、3、......、2+tを取って式9に代入し、sp4[2]を計算し、
......
i回目:点i、i+1、......、i+tを取って式9に代入し、sp4[i]を計算し、
......
n−t回目:点n−t、n−t+1、......、nを取って式9に代入し、sp4[n−t]を計算し、
等量のCYMK4色からなるグレーについて、sp4[i+1]<sp4[i]*係数NLまたはsp4[i+1]<sp3*係数NLの条件を満たしている第i網点を探し出すことができた場合、探し出した第i網点のパーセントをk1とし、インク総量Out1=k1*4と確定し、
前記条件を満たしている第i網点を探し出せなかった場合、インク総量Out1=400%と確定し、
網点のパーセントを横軸とし、前記測定手段による測定値を縦軸とした場合、QDとQMによって示された曲線において、前記第1の測定モジュールによる測定値であるsmと同じ値を探し出すことができたとき、前記曲線において前記同じ値に対応する網点のパーセントをk2とし、インク総量Out2=k2*4と確定し、
前記同じ値の測定値を探し出せなかったとき、インク総量Out2=400と確定し、
網点のパーセントを横軸とし、前記測定手段による測定値を縦軸とした場合、TDとTMによって示された曲線と、QDとQMによって示された曲線との交差点Cを探し出すことができたとき、探し出した交差点Cに対応する網点のパーセントをk3とし、インク総量Out3=k3*4と確定し、
前記交差点Cを探し出せなかったとき、インク総量Out3=400と確定し、
また、前記確定モジュールは、更に、インク総量out=min(Out1,Out2,Out3)を確定する第2の計算モジュールを備えており、ただし、min(……)は三つのパラメータの中の最小値を求める関数であることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷分野に関し、具体的には、インクジェット印刷装置のインク総量を確定する方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット印刷装置の動作原理は、一定の大きさのインク滴を被印刷物の表面に噴出することである。このようなプリンターは、液体インクの乾燥に一定の時間が必要なので、紙に噴出されたインク滴の量が大きすぎると、紙がインク滴を速く固定し吸収できない場合に、インク滴が紙で流動したり、拡散したり浸透したりすることを招来する恐れがある問題がある。従って、印刷された画像が汚く、ぼやけていて、コントラストが低下するように見えており、ひいて紙が曲げて変形される。現在のインクジェット印刷装置は最初の4色から、6色、7色、8色に、更に、乃至より多くなり、インク滴の大きさも大、中、小に区分される。異なる複数のインクが同一の箇所に同時に噴出された場合に、インク滴が積み重なりやすく、インクの堆積や流動などの問題になる。
【0003】
インクが堆積する課題を解決するために、様々な方法が存在している。例えば、紙がインクを積載する可能量を大きくし、インク滴が吸収と固定しやすくなるように紙の表面にコーティングを塗布する。また、インクの特性を変更し、「乾きやすい」インクを使用してもよい。しかしながら、紙とインクの性能を向上することに限界があり、インク堆積の課題を徹底的に解決できない。新規課題を招来し、画像の品質を低下させる可能性がある。特定の紙とインクを使用する条件において、インク堆積の課題を解決するのは、紙に印刷されたインク量を制御することが最も効果的な方法であり、インク堆積を起さないインク噴射量の閾値を確定すべき、つまり、インク総量を判断する。
【0004】
現在、よく用いられるインク総量を判断する方法は、テストページを印刷し、操作者より一定のルールに基づいて適当なインク総量を判断する。この方法は、判断の結果が主観的要因に影響される問題がある。色に対する感覚が人によって違うため、同じテストページに対しては、異なる人にインク総量を判断させれば、異なる結果が得られることが普通である。そのため、操作者が一定の経験を持たないとインク総量を正しく判断できない。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、従来の技術における主観的要因に大きく影響される問題を解決するために、インクジェット印刷装置のインク総量を確定する方法と装置を提供することを目的とする。
【0006】
本発明は、コンピューターにより実行される、インクジェット印刷装置のインク総量を確定する方法であって、サンプリング図を印刷するステップと、測定手段によってサンプリング図の色を測定するステップと、測定結果に基いてインク総量を確定するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【0007】
また、本発明は、インクジェット印刷装置のインク総量を確定する装置であって、サンプリング図を印刷する印刷モジュールと、サンプリング図の色を測定する測定手段と、測定結果に基いてインク総量を確定する確定モジュールと、を備えることを特徴とする装置。
【0008】
本発明のインクジェット印刷装置のインク総量を確定する方法と装置によれば、測定手段によって色を測定するため、従来の技術における主観的要因に大きく影響される問題を解決でき、インクジェット印刷の品質を向上することができる。
【0009】
以下で説明される図面は、本発明を更に理解するためのものであり、本願の一部分となる。本発明の実施例及びその説明は本発明を解釈するが、本発明に対する不当な制限を構成しない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は本発明の実施例によるインクジェット印刷装置のインク総量を測定する方法のフローチャートを示す図である。
図2図2は本発明の好ましい実施例によるインク総量測定のカラーターゲット図を示す図である。
図3図3は本発明の好ましい実施例による測定データを示す図である。
図4図4は本発明の好ましい実施例により計算されたインク総量out1を示す図である。
図5図5は本発明の好ましい実施例により計算されたインク総量out2を示す図である。
図6図6は本発明の好ましい実施例によりインク総量を制御する前後の効果を示す図である。
図7図7本発明の実施例によるインクジェット印刷装置のインク総量を測定する装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら実施例で本発明を詳細に説明する。なお、本発明は印刷分野に関し、カラー画像にて印刷装置の色処理の効果を説明することが必要であるが、出版や印刷の都合で、オリジナルのカラー画像はモノクロ画像としてレンダリングされてしまう。以下の説明で、色の状況をできるかぎり文言で説明を行う。
【0012】
図1には、本発明の実施例によるインクジェット印刷装置のインク総量を測定する方法のフローチャートを示し、この方法は以下のステップを含む。
ステップS10、サンプリング図を印刷し、
ステップS20、測定手段によってサンプリング図の色を測定し、
ステップS30、測定結果に基いてインク総量を確定する。
【0013】
従来の技術において、人の肉眼によってインク総量を判断するが、本実施例のインク総量を測定する方法は測定手段で色を測定するため、従来の技術における主観的要因に大きく影響される問題を解決でき、インク総量を自動的に正しく判断でき、インクジェット印刷の品質を向上することができる。
【0014】
好ましくは、原色にはシアンC、マゼンタM、イエローYとブラックKを含み、ステップS10においては、一連の等量のCMY3色からなるグレーブロックであるTD={a,a,......,a,......,a}、a∈[0,100%]を印刷し、一連の等量のCMYK4色からなるグレーブロックであるQD={b,b,......,b,......,b}、b∈[0,100%]を印刷し、ここで、TDが等量のCMY3色からなるグレーが順次に逓増する網点のパーセントの集合を示し、aが等量のCMY3色からなるグレーの第i網点のパーセントを示し、mが等量のCMY3色からなるグレーのカラーブロックの個数を示し、QDが等量のCMYK4色からなるグレーが順次に逓増する網点のパーセントの集合を示し、bが等量のCMYK4色からなるグレーの第i網点のパーセントを示し、nが等量のCMYK4色からなるグレーのカラーブロックの個数を示し、カラーブロックの網点のパーセントが、a≧b、a=b=100%という関係を満たしている。
【0015】
CMYKは印刷出力システムに最もよく用いられる四原色であり、本発明の好ましい実施例はCMYK原色を印刷し、ほとんどの場合に適用できる。
【0016】
図2は本発明の好ましい実施例によるインク総量測定のカラーターゲット図、即ち、サンプリング図を示す。この好ましい実施例において使用されるサンプリング図のカラーブロックは二組のデータであり、一組は等量の3色からなるグレーであり、もう一組は等量の4色からなるグレーである。
【0017】
カラーターゲット図におけるカラーブロックの網点のパーセントは以下で示され、
3色からなるグレー(21個のカラーブロック):
TD={60,62,64,66,68,70,72,74,76,78,80,82,84,86,88,90,92,94,96,98,100} 単位%
4色からなるグレー(26個のカラーブロック):
QD={50,52,54,56,58,60,62,64,66,68,70,72,74,76,78,80,82,84,86,88,90,92,94,96,98,100} 単位%
【0018】
好ましくは、ステップS20においては、一連の等量のCMY3色からなるグレーブロックであるTM={s,s,......,s,......,s}を測定し、一連の等量のCMYK4色からなるグレーブロックであるQM={t,t,......,t,......,t}を測定し、ここで、TMが等量のCMY3色からなるグレーブロックの測定データの集合を示し、sは集合TCにおけるカラーブロックpの測定値を示し、QMが等量のCMYK4色からなるグレーブロックの測定データの集合を示し、tは集合QCにおけるカラーブロックqの測定値を示し、TC={p,p,......,p,......,p}、QC={q,q,......,q,......,q}、ここで、TCは等量のCMY3色からなるグレーブロックの色集合を示し、pは等量のCMY3色からなるグレーブロックにおける第i点の色を示し、p={C+M+Y}、i∈[1,m]、C、M、Yは等量のCMY3色からなるグレーブロックの第i点におけるC、M、Yの網点のパーセントをそれぞれ示し、C=M=Y=aという関係を満足し、QCは等量のCMYK4色からなるグレーブロックの色集合を示し、qは等量のCMYK4色からなるグレーブロックにおける第i点の色を示し、q={C+M+Y+K}、i∈[1,n]、C、M、Y、Kは等量のCMYK4色からなるグレーブロックの各点におけるC、M、Y、Kの網点のパーセントをそれぞれ示し、C=M=Y=K=bという関係を満たしている。
【0019】
具体的に、図2の好ましい実施例について、サンプリング図におけるカラーブロックの色が下記の式により示され、
TC={p,p,......,p,......,p
QC={q,q,......,q,......,q
ここで、TCは等量の3色からなるグレーブロックの色集合を示し、pは等量の3色からなるグレーブロックにおけるある色を示し、p={C+M+Y}、i∈[1,m](ここで、「+」がオーバープリント関係を表示する)、C、M、Yはシアン、マゼンタ、イエローがある点における網点のパーセントをそれぞれ示し、C=M=Y=aという関係を満たしている。
また、QCは等量の4色からなるグレーブロックの色集合を示し、qは等量の4色からなるグレーブロックにおけるある色を示し、q={C+M+Y+K}、i∈[1,n](ここで、「+」がオーバープリント関係を表示する)、C、M、Y、Kはシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックがある点における網点のパーセントをそれぞれ示し、C=M=Y=K=bという関係を満たしている。
【0020】
この好ましい実施例において、測定手段によってサンプリング図のカラーブロックを測定し、測定データを取得し、測定値は、色度値L*a*bにおける明度L*または視感濃度(K濃度値)を使用できる。
【0021】
測定データは下記の式により示され、
TM={s,s,......,s,......,s
QM={t,t,......,t,......,t
ここで、TMが等量の3色からなるグレーブロックの測定データの集合を示し、sは集合TCにおけるカラーブロックpの測定値を示し、QMが等量の4色からなるグレーブロックの測定データの集合を示し、tは集合QCにおけるカラーブロックqの測定値を示す。
【0022】
測定値は、色度値L*a*bにおける明度L*または視感濃度(K濃度)を使用でき、この好ましい実施例において、Epson7880プリンター、Epson8色インク、「Epson Advanced Proofing Paper(195g)」を使用して図2のサンプリング図を印刷する。測定手段はエックスライト社(X-Rite)のEyeOne-IOであり、測定手段におけるK濃度を使用する。
【0023】
EyeOne-IOによってサンプリング図(図2)における等量の3色からなるグレーブロックと、等量の4色からなるグレーブロックの4色濃度を測定し、その中からK濃度を取得し、測定されたK濃度の結果が図3の表1で示される。
【0024】
好ましくは、ステップS30においては、下記の式1により等量のCYM3色からなるグレーを計算し、
【数1】
ただし、
【数2】
numが等量のCYM3色からなるグレーの点の個数を示し、x[i]が等量のCYM3色からなるグレーの第i網点のパーセントを示し、y[i]は等量のCYM3色からなるグレーの第i点の測定値を示す。
【0025】
等量のCYMK4色からなるグレーのn個の分散点において、第1点から、毎回に連続的なt個の点ずつを取り、t∈[3,n]、下記の式により順次に計算し、
【数3】
numがtであり、x[i]が等量のCYMK4色からなるグレーの第i網点のパーセントを示し、y[i]は等量のCYMK4色からなるグレーの第i点の測定値を示す。
【0026】
1回目:点1、2、......、1+tを取って式に代入し、sp4[1]を計算し、
2回目:点2、3、......、2+tを取って式に代入し、sp4[2]を計算し、
......
i回目:点i、i+1、......、i+tを取って式に代入し、sp4[i]を計算し、
......
n−t回目:点n−t、n−t+1、......、nを取って式に代入し、sp4[n−t]を計算する。等量のCYMK4色からなるグレーのデータに対して、その内のある点Aまで計算する場合に、sp4[i+1]<sp4[i]*NLまたはsp4[i+1]<sp3*NLを満足すれば、インク総量Out1=k1*4と確定され、ここで、NLは係数であり、k1は点Aの網点のパーセントである。上記の条件を満たしている点を探し出せなかった場合に、インク総量Out1=400と確定される。
【0027】
図4は本発明の好ましい実施例によるインク総量out1を計算することを示す。これから、この好ましい実施例の式1と式2はサンプリング図の測定されたデータに基づいて曲線を描き、曲線の勾配を求めることに相当すると分かる。具体的には、
サンプリング図の測定されたデータに基づいて曲線を描き、横軸は網点のパーセントであり、縦軸は測定値であり、即ち、等量の3色からなるグレーの曲線データが集合TDとTMによって示され、等量のCYMK4色からなるグレーの曲線データが集合QDとQMによって示される。
【0028】
曲線の傾向に基づいて、インク堆積またはグラデーション問題がある箇所、つまり、最大のインク総量の箇所を判断し、即ち、曲線の勾配に基づいて曲線の変曲点を探索し、計算ステップが以下の通りである。
等量の3色からなるグレーの分散点図を描き、これらの点に基づいて一本の直線Line3を当てはめ、これらのm個の点の横、縦座標データを式1に代入し(式1において、num=m)、この直線の勾配を計算し、sp3とする。
【0029】
等量の4色からなるグレーデータについても、同様に分散点図を描き、等量の4色からなるグレーの分散点図において、n個の点がある。これらのn個の点から、毎回に連続的なt(t∈[3,n])個の点ずつを取って直線を当てはめ、これらのt個の点の横、縦座標データを式2に代入し(式2において、num=t)、勾配を計算し、図4において、t=5である。
【0030】
式2に基づいて、第1点から、下記の方法に従って、順次に計算し、
1回目:点1、2、......、1+tを取って直線Line4を当てはめ、勾配sp4[1]を計算し、
2回目:点2、3、......、2+tを取って直線Line4を当てはめ、勾配sp4[2]を計算し、
......
i回目:点i、i+1、......、i+tを取って直線Line4を当てはめ、勾配sp4[i]を計算し、
i+1回目:点i+1、i+2、......、i+1+tを取って直線Line4i+1を当てはめ、勾配sp4[i+1]を計算し、
......
n−t回目:点n−t、n−t+1、......、nを取って直線Line4n−tを当てはめ、勾配sp4[n−t]を計算する。
【0031】
等量の4色からなるグレーのデータに対して、その内のAまで計算する場合に、sp4[i+1]<sp4[i]*NLまたはsp4[i+1]<sp3*NL(NLは係数であり、図4において、NL=0.6)を満足すれば、現在の点Aに対応する横軸の網点のパーセントk1が探し出したい第一インク総量点であり、Out1とし、Out1=k1*4、図において、探し出したインク総量がOut1=k1*4=82*4=328である。
【0032】
上記の条件を満たしている点を探し出せなかった場合に、網点のパーセントが100%の点をインク総量点とし、即ち、k1=100であり、計算されたインク総量の結果はOut1=k1*4=100*4=400である。
【0033】
好ましくは、ステップS30においては、等量のCMY3色からなるグレーがC=M=Y=100の点における濃度を最大濃度とし、等量のCMYK4色からなるグレーの曲線において同じ濃度の点Bを探し出し、インク総量Out2=k2*4と確定され、k2が点Bの網点のパーセントであり、上記の条件を満たしている点を探し出せなかった場合に、インク総量Out2=400と確定される。
【0034】
図5は本発明の好ましい実施例によるインク総量out2を計算することを示す。この好ましい実施例が3色の組合せの最大値の判断方法に基づいて、インク総量out2を計算する。
【0035】
当該図において、等量の3色からなるグレーと等量の4色からなるグレーの曲線を描き、等量の3色からなるグレーの曲線の頂点(即ち、C=M=Y=100の点)の濃度を最大濃度とし、等量のCYMK4色からなるグレーの曲線において同じ濃度の点Bを探し出し、つまり、当該頂点から横座標軸と平行の方向に沿って一本の直線を描き、点Bで等量の4色からなるグレーの曲線と交差し、この点Bに対応する横座標k2が探し出したい第二インク総量点であり、Out2とし、Out2=k2*4である。図において、探し出したいインク総量がOut2=k2*4=86*4=344である。
【0036】
上記の条件を満たしている点を探し出せなかった場合に、網点のパーセントが100%の点をインク総量点とし、即ち、k2=100であり、計算されたインク総量の結果はOut2=k2*4=100*4=400である。
【0037】
好ましくは、ステップS30においては、網点のパーセントを横軸とし、測定値を縦軸とし、測定結果によって曲線を描き、ここで、等量のCMY3色からなるグレーのデータが集合TDとTMによって示され、等量のCMYK4色からなるグレーのデータが集合QDとQMによって示される。等量のCMY3色からなるグレーの曲線と等量のCMYK4色からなるグレーの曲線との交差点Cを探し出し、インク総量Out3=k3*4と確定され、k3が点Cの網点のパーセントである。等量のCMY3色からなるグレーの曲線と等量のCMYK4色からなるグレーの曲線との交差点がない場合に、インク総量がOut3=400と確定される。
【0038】
当該好ましい実施例は、曲線が交差するかどうかの判断方法に基づいてインク総量Out3を計算する。図4図5から、等量のCMY3色からなるグレーの曲線と等量のCMYK4色からなるグレーの曲線との交差点がないので、網点のパーセントが100%の点をインク総量点とし、即ち、k3=100であり、計算されたインク総量の結果はOut3=k3*4=100*4=400であることが分かる。
【0039】
好ましくは、ステップS30においては、
(A)第一インク総量Out1、第二インク総量Out2、第三インク総量Out3をそれぞれ計算し、具体的なプロセスが既に詳しく説明されたので、ここで省略する。
(B)インク総量out=min(Out1,Out2,Out3)を確定し、ここで、min(……)は三つのパラメータの中の最小値を求める関数である。
【0040】
図4図5について、out=min(Out1,Out2,Out3)=min(328,344,400)=328である。
【0041】
図6は上記の計算結果(328)を使用して総量を制御する前後の効果を示す図である。左側は総量を制御する前の画像であり、暗部にインクが堆積したと見えて、グラデーションが悪い。右側は総量を制御した後の画像であり、インクが堆積したり、流動することが殆どなく、グラデーションも良く、急峻な変化がなく、本発明の目的を達した。
【0042】
ここで、出版の原因で、本出願書類のカラー画像はモノクロ画像として開示されているため、本発明実施例の印刷効果をはっきりと表示できないので、文言により説明を行う。
【0043】
図7は本発明の実施例によるインクジェット印刷装置のインク総量を測定する装置を示す模式図である。この装置は、サンプリング図を印刷する印刷モジュール10と、サンプリング図の色を測定する測定手段20と、測定結果に基いてインク総量を確定する確定モジュール30とを備える。
【0044】
本装置はインクジェット印刷の品質を向上することができる。
【0045】
好ましくは、印刷モジュール10は、一連の等量のCMY3色からなるグレーブロックであるTD={a,a,......,a,......,a}、a∈[0,100%]を印刷する第1の印刷モジュールと、一連の等量のCMYK4色からなるグレーブロックであるQD={b,b,......,b,......,b}、b∈[0,100%]を印刷する第2の印刷モジュールと、を備えており、
ここで、TDが等量のCMY3色からなるグレーが順次に逓増する網点のパーセントの集合を示し、aが等量のCMY3色からなるグレーの第i網点のパーセントを示し、mが等量のCMY3色からなるグレーのカラーブロックの個数を示し、QDが等量のCMYK4色からなるグレーが順次に逓増する網点のパーセントの集合を示し、bが等量のCMYK4色からなるグレーの第i網点のパーセントを示し、nが等量のCMYK4色からなるグレーのカラーブロックの個数を示し、カラーブロックの網点のパーセントが、a≧b、a=b=100%という関係を満たしている。
【0046】
好ましくは、測定手段20は、一連の等量のCMY3色からなるグレーブロックであるTM={s,s,......,s,......,s}を測定する第1の測定モジュールと、一連の等量のCMYK4色からなるグレーブロックであるQM={t,t,......,t,......,t}を測定する第2の測定モジュールと、を備えており、
ここで、TMが等量のCMY3色からなるグレーブロックの測定データの集合を示し、sは集合TCにおけるカラーブロックpの測定値を示し、QMが等量のCMYK4色からなるグレーブロックの測定データの集合を示し、tは集合QCにおけるカラーブロックqの測定値を示し、TC={p,p,......,p,......,p}、QC={q,q,......,q,......,q
ここで、TCは等量のCMY3色からなるグレーブロックの色集合を示し、pは等量のCMY3色からなるグレーブロックにおける第i点の色を示し、p={C+M+Y}、i∈[1,m]、C、M、Yは等量のCMY3色からなるグレーブロックの第i点におけるC、M、Y網点のパーセントをそれぞれ示し、C=M=Y=aを満足し、QCは等量のCMYK4色からなるグレーブロックの色集合を示し、qは等量のCMYK4色からなるグレーブロックにおける第i点の色を示し、q={C+M+Y+K}、i∈[1,n]、C、M、Y、KはC、M、Y、Kが等量のCMYK4色からなるグレーブロックにおける各点の網点のパーセントをそれぞれ示し、C=M=Y=K=bを満たしている。
【0047】
好ましくは、確定モジュール30は、第一インク総量Out1、第二インク総量Out2、第三インク総量Out3をそれぞれ計算する第1の計算モジュールを備えており、具体的には、
等量のCYM3色からなるグレーを下記の式により計算し、
【数4】
ただし、
【数5】
numが等量のCYM3色からなるグレーの点の個数を示し、x[i]が等量のCYM3色からなるグレーの第i網点のパーセントを示し、y[i]は等量のCYM3色からなるグレーの第i点の測定値を示す
【0048】
等量のCYMK4色からなるグレーのn個の分散点において、第1点から、毎回に連続的なt個の点ずつを取り、t∈[3,n]、下記の式により順次に計算し、
【数6】
numがtであり、x[i]が等量のCYMK4色からなるグレーの第i網点のパーセントを示し、y[i]は等量のCYMK4色からなるグレーの第i点の測定値を示す。
【0049】
1回目:点1、2、......、1+tを取って式に代入し、sp4[1]を計算し、
2回目:点2、3、......、2+tを取って式に代入し、sp4[2]を計算し、
......
i回目:点i、i+1、......、i+tを取って式に代入し、sp4[i]を計算し、
......
n−t回目:点n−t、n−t+1、......、nを取って式に代入し、sp4[n−t]を計算する。等量のCYMK4色からなるグレーのデータに対して、ある点Aを計算する場合に、sp4[i+1]<sp4[i]*NLまたはsp4[i+1]<sp3*nを満足すれば、インク総量Out1=k1*4と確定され、ここで、NLは係数であり、k1は点Aの網点のパーセントである。上記の条件を満たしている点を探し出せなかった場合に、インク総量Out1=400を確定する。
【0050】
3色からなるグレーの曲線のC=M=Y=100の点における濃度を最大濃度とし、等量のCYMK4色からなるグレーの曲線において同じ濃度の点Bを探し出し、インク総量Out2=k2*4を確定し、k2が点Bの網点のパーセントである。上記の条件を満たしている点を探し出せなかった場合に、インク総量Out2=400を確定する。
【0051】
網点のパーセントを横軸とし、測定値を縦軸とし、測定結果によって曲線を描き、ここで、等量のCMY3色からなるグレーのデータが集合TDとTMによって示され、等量のCMYK4色からなるグレーのデータが集合QDとQMによって示される。等量のCMY3色からなるグレーの曲線と等量のCMYK4色からなるグレーの曲線との交差点Cを探し出し、インク総量Out3=k3*4を確定し、k3が点Cの網点のパーセントである。等量のCMY3色からなるグレーの曲線と等量のCMYK4色からなるグレーの曲線との交差点がない場合に、インク総量Out3=400を確定する。
【0052】
また、確定モジュール30は、更に、インク総量out=min(Out1,Out2,Out3)を確定する第2の計算モジュールを備えており、ここで、min(……)は三つのパラメータの中の最小値を求める関数である。
【0053】
上記の説明で分かるように、本発明の上記した実施例において、異なる紙とインクと手段を組み合わせて、ほぼ正しいインク総量の値を自動的に測定でき、この値を参考にして、目視観測と組み合わせて、正確的なインク総量の値を判断でき、インクが堆積したり、流動したりする現象及びグラデーション損失を効果的に避けることができる。
【0054】
言うまでもなく、当業者であれば分かるように、上記した本発明の各モジュールや各ステップは、汎用のコンピューター装置によって実現でき、単一のコンピューター装置に集積されても良く、複数のコンピューター装置からなるネットワークに配置されても良く、任意に、各モジュールや各ステップは、コンピューター装置にて実行可能なプログラムコードで実現でき、それらを記憶装置に記憶して計算装置に実行させても良く、あるいは、それぞれ各集積回路モジュールとして作成しても良く、あるいは、それらの中の複数のモジュール又はステップを単一の集積回路モジュールとして作成して実現しても良い。このように、本発明は、いかなる確定のハードウェアとソフトウェアとの組合せに限定されるものではない。
【0055】
以上は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明に対して、様々な変更や変化が可能である。本発明の主旨と原則を離脱しない範囲で、いかなる変更、均等代替、改良なども本発明の保護範囲内に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7