(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5953404
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】多脚型鋼製煙突の解体方法
(51)【国際特許分類】
E04G 23/08 20060101AFI20160707BHJP
E04H 12/28 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
E04G23/08 Z
E04G23/08 D
E04H12/28 E
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-122030(P2015-122030)
(22)【出願日】2015年6月17日
【審査請求日】2015年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000204000
【氏名又は名称】太平電業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】金子 有吾
(72)【発明者】
【氏名】大森 茂佳
【審査官】
五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−55090(JP,A)
【文献】
特開2012−52306(JP,A)
【文献】
特開2005−226295(JP,A)
【文献】
特開2003−343094(JP,A)
【文献】
特開平10−59691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 23/08
E04H 12/28,12/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央筒身と、前記中央筒身の周囲に配された複数本の外側筒身とからなり、前記外側筒身同士は、前記外側筒身の所定高さ毎に連結部により連結され、頂部には、前記中央筒身と前記外側筒身を集合させることにより集煙部が形成されている、多脚型鋼製煙突の解体方法において、下記(a)工程から(f)工程、
(a)前記中央筒身と前記外側筒身とをストランドにより連結し、前記中央筒身を地上に設置したジャッキ装置により支持する。
(b)最下段の前記連結部を解体ステージとし、前記解体ステージの下部に昇降可能な仮設ステージを設置する。
(c)前記解体ステージ上の前記外側筒身を所定長さ切断し、撤去する。
(d)前記中央筒身の下部を所定長さ切断し、撤去する。
(e)前記ジャッキ装置により前記中央筒身を前記外側筒身と共に吊り下ろす。
(f)前記(c)工程から前記(e)工程を繰り返し行って、前記中央筒身および前記外側筒身を撤去する。
を含むことを特徴とする、多脚型鋼製煙突の解体方法。
【請求項2】
前記(a)工程から前記(f)工程に加え、さらに、下記(g)工程から(m)工程、
(g)前記解体ステージを撤去した後、前記ジャッキ装置により前記集煙部を前記仮設ステージ上に着座させる。
(h)前記中央筒身の下部を所定長さだけ切断し、撤去する。
(i)前記ジャッキ装置により前記中央筒身を吊り下ろす。
(j)前記(h)工程と前記(i)工程を繰り返し行って、前記中央筒身を撤去する。
(k)前記集煙部を前記仮設ステージと共に地上に着座させる。
(l)前記集煙部と前記仮設ステージを撤去する。
(m)最下段の前記連結部および最下段の前記外側筒身を撤去する。
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の、多脚型鋼製煙突の解体方法。
【請求項3】
前記中央筒身の周囲には、前記中央筒身および前記外側筒身の切断の進行に伴って昇降可能、且つ、長さ調整可能なマストが垂直に設置され、前記マストは、前記中央筒身にかかるモーメントを負担することを特徴とする、請求項1または2に記載の、多脚型鋼製煙突の解体方法。
【請求項4】
前記ジャッキ装置は、ワイヤジャッキング装置からなっていることを特徴とする、請求項1から3の何れか1つに記載の、多脚型鋼製煙突の解体方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多脚型鋼製煙突の解体方法、特に、多脚型鋼製煙突を低い位置で容易に安全かつ経済的に解体することが可能な多脚型鋼製煙突の解体方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、火力発電所に設置されている多脚型鋼製煙突を解体するには、
図4から
図9に示すように、多脚型鋼製煙突23(この例では、3本の煙突23A、23B、23Cからなる3脚型鋼製煙突であり、以下、単に多脚煙突という。)の外側に多脚型鋼製煙突23と近接して、クレーン本体25とクレーン本体25を支持するマスト26とから構成されるクライミングクレーン24を設置し、多脚型鋼製煙突23をその頂部から順次、ブロック単位で解体し、解体物ブロックをクライミングクレーン24により順次、地上に吊り下ろしていた。以下、この解体方法を従来煙突解体方法という。
【0003】
なお、
図4は、従来煙突解体方法により多脚型鋼製煙突の外側にクライミングクレーンを設置した状態を示す正面図、
図5は、
図4のA−A線断面図、
図6は、
図4のB−B線断面図、
図7は、
図4のC−C線断面図、
図8は、
図4のD−D線断面図、
図9は、煙突頂部の平面図である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−214025号公報
【特許文献2】特開平10−59691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来煙突解体方法によれば、確実に多脚型鋼製煙突25を解体することは可能であるが、以下のような問題があった。
【0006】
(1)火力発電所に設置されている多脚型鋼製煙突23は、通常、100mを超える高さを有しているので、それに応じてマスト26を構成するマストブロック26Aを数多く継ぎ足してクライミングクレーン24を大型化する必要がある。この結果、クライミングクレーン24の専用基礎が不可欠であり、場合によっては杭打ちをして専用基礎を構築する必要がある。このように、クライミングクレーン24を大型化する必要性と専用基礎の設置の必要性とがあることからクライミングクレーン24の設置に莫大な時間と費用がかかる。
(2)クライミングクレーン24の振れ止めのために、マスト26と多脚型鋼製煙突23とを、
図4から
図9に示すように、連結部材27により連結する必要があるが、クライミングクレーン24は、多脚型鋼製煙突23の外側に設置し、しかも、多脚型鋼製煙突23の上部に行くほどマスト26と多脚型鋼製煙突23との間の距離が離れるので、連結部材27として標準品を使用することができず、新規に製作する必要がある。従って、費用がかかると共に、連結に時間がかかる。
(3)多脚型鋼製煙突23の解体時には、多脚型鋼製煙突23に保守点検等のためにもともと構築されている既設のプラットホームに足場を設置して多脚型鋼製煙突23の切断作業を行うが、この作業は、大掛かりな工事であるので、プラットホームに設置する足場も大掛かりなものとなる。従って、足場の設置と撤去に時間がかかると共に、足場の設置と撤去作業は、高所作業となるので、風の影響を受けやすく、墜落、解体物の落下や火の粉の飛散などの危険が伴う。なお、この例では、プラットホームは、第1から第8プラットホーム28Aから28Hまで構築され、足場は、第1から第8プラットホーム28Aから28Hの間に全面的に設置されている。
(4)クライミングクレーン24は、多脚型鋼製煙突23の外側に設置するので、風等の影響を受け易い。従って、このためのマスト26の補強と安全対策が不可欠である。
(5)クライミングクレーン24により吊り下ろした解体物ブロックは、地上で運搬可能な大きさに解体し直す必要があるので、全体的にみると多脚型鋼製煙突23の解体に長時間を要する。
(6)高所での作業ほど、風の影響を受けやすく、また、風速が大きいため、上部解体時の作業効率は低下し、時間を要する。
【0007】
従って、この発明の目的は、多脚型鋼製煙突をクライミングクレーンを用いた従来煙突解体方法に比べて低い位置で容易に安全かつ経済的に解体することが可能な、多脚型鋼製煙突の解体方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記目的を達成するためになされたものであって、下記を特徴とするものである。
【0009】
請求項1に記載の発明は、中央筒身と、前記中央筒身の周囲に配された複数本の外側筒身とからなり、前記外側筒身同士は、前記外側筒身の所定高さ毎に連結部により連結され、頂部には、前記中央筒身と前記外側筒身を集合させることにより集煙部が形成されている、多脚型鋼製煙突の解体方法において、下記(a)工程から(f)工程、
(a)前記中央筒身と前記外側筒身とをストランドにより連結し、前記中央筒身を地上に設置したジャッキ装置により支持する。
(b)最下段の前記連結部を解体ステージとし、前記解体ステージの下部に昇降可能な仮設ステージを設置する。
(c)前記解体ステージ上の前記外側筒身を所定長さ切断し、撤去する。
(d)前記中央筒身の下部を所定長さ切断し、撤去する。
(e)前記ジャッキ装置により前記中央筒身を前記外側筒身と共に吊り下ろす。
(f)前記(c)工程から前記(e)工程を繰り返し行って、前記中央筒身および前記外側筒身を撤去する。
を含むことに特徴を有するものである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記(a)工程から前記(f)工程に加え、さらに、下記(g)工程から(m)工程、
(g)前記解体ステージを撤去した後、前記ジャッキ装置により前記集煙部を前記仮設ステージ上に着座させる。
(h)前記中央筒身の下部を所定長さだけ切断し、撤去する。
(i)前記ジャッキ装置により前記中央筒身を吊り下ろす。
(j)前記(h)工程と前記(i)工程を繰り返し行って、前記中央筒身を撤去する。
(k)前記集煙部を前記仮設ステージと共に地上に着座させる。
(l)前記集煙部と前記仮設ステージを撤去する。
(m)最下段の前記連結部および最下段の前記外側筒身を撤去する。
を含むことに特徴を有するものである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記中央筒身の周囲には、前記中央筒身および前記外側筒身の切断の進行に伴って昇降可能、且つ、長さ調整可能なマストが垂直に設置され、前記マストは、前記中央筒身にかかるモーメントを負担することに特徴を有するものである。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3の何れか1つに記載の発明において、前記ジャッキ装置は、ワイヤジャッキング装置からなっていることに特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、多脚型鋼製煙突をクライミングクレーンを用いることなく低い位置で容易に安全かつ経済的に解体することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】この発明により解体する前の多脚型鋼製煙突を示す正面図である。
【
図3(a)】中央筒身の下部および解体ステージ上の外側筒身を切断する状態を示す正面図である。
【
図3(b)】1段目および2段目の中央筒身と2段目および3段目の外側筒身を撤去した状態を正面図である。
【
図3(c)】浮き上がり防止用ジャッキ装置を盛り替えた状態を示す正面図である。
【
図3(d)】3段目および4段目の中央筒身と4段目および5段目の外側筒身を撤去した状態を正面図である。
【
図3(e)】中央筒身を撤去し、集煙部を仮設ステージに着座させる状態を示す正面図である。
【
図3(f)】ジャッキ装置を撤去し、集煙部を仮設ステージと共に地上に着座させる状態を示す正面図である。
【
図3(g)】集煙部と仮設ステージを撤去する状態を示す正面図である。
【
図3(h)】最下段の連結部および最下段の外側筒身を撤去する状態を示す正面図である。
【
図4】従来解体工法により集合煙突の外側にクライミングクレーンを設置した状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明の、多脚型鋼製煙突の解体方法の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、この発明により解体する前の多脚型鋼製煙突を示す正面図である。
【0017】
図1において、1は、多脚型鋼製煙突であり、1本の垂直な中央筒身2と、中央筒身2の周囲に、中央筒身2側に向かって配された、複数本(この例では、3本)の外側筒身3とからなっている。中央筒身2の上部と外側筒身3の上部とは集合され、これにより煙突1の頂部には、集煙部4が形成されている。なお、中央筒身2と外側筒身3とを総称して筒身という場合がある。
【0018】
外側筒身3同士は、筒身の所定高さ毎に、6箇所、すなわち、図中、地上側から、A−A箇所、B−B箇所、C−C箇所、D−D箇所、E−E箇所、F−F箇所において梁材を備えた連結部により連結されている。
【0019】
各連結部を地上側から順次、1段目の連結部5a、2段目の連結部5b、3段目の連結部5c、4段目の連結部5d、5段目の連結部5e、6段目の連結部5fという。1段目の連結部5aは、解体ステージ6としての機能を有している。
【0020】
各連結部間の中央筒身2を地上側から順次、1段目の中央筒身2a、2段目の中央筒身2b、3段目の中央筒身2c、4段目の中央筒身2d、5段目の中央筒身2e、6段目の中央筒身2fという。
【0021】
各連結部間の外側筒身3を地上側から順次、1段目の外側筒身3a、2段目の外側筒身3b、3段目の外側筒身3c、4段目の外側筒身3d、5段目の外側筒身3e、6段目の外側筒身3fという。
【0022】
7は、地上に中央筒身2を取り囲むように設置されたジャッキ装置である。ジャッキ装置7は、ジャッキ本体7aとPC鋼より線からなるストランド7bとからなっている。ストランド7bは、中央筒身2に固定されている。ジャッキ装置7は、中央筒身2の下部と解体ステージ6上の外側筒身3とをそれぞれ所定長さ切断した後、中央筒身2を外側筒身3と共に地上まで吊り下ろす機能を有している。ジャッキ装置7は、例えば、特許文献1に開示されたジャッキ装置からなっている。
【0023】
8は、1段目、2段目、3段目の連結部5a、5b、5cに亘って、中央筒身2を取り囲むように垂直に設置された複数本(この例では、6本)のマストである。マスト7は、筒身を吊り下ろす際に、中央筒身2にかかるモーメントを受け、中央筒身2にモーメントを負担させない機能を有している。
【0024】
マスト8は、複数本のマスト部材8aを分離可能に連結したものからなっている。マスト部材8aは、筒身の切断の進行に伴いマスト部材8aを分離することによって、長さ調整可能になっている。
【0025】
マスト8は、解体ステージ6に設置された第1ジャッキ9により筒身の切断の進行に伴って下降可能になっている。第1ジャッキ9は、解体ステージ6に固定されたジャッキ本体9aとPC鋼より線からなるストランド9bとからなっている。ストランド9bは、マスト8の下部に固定されている。
【0026】
10は、解体ステージ6の下部に設置された仮設ステージである。仮設ステージ10は、第2ジャッキ11により昇降可能になっている。第2ジャッキ11は、仮設ステージ10に固定されたジャッキ本体11aとPC鋼より線からなるストランド11bとからなっている。ストランド11bは、1段目の連結部5aに固定されている。
【0027】
12は、1段目の外側筒身3aに設置された第3ジャッキである。第3ジャッキ12は、1段目の外側筒身3aに固定されたジャッキ本体12aとPC鋼より線からなるストランド12bとからなっている。ストランド12bは、3段目の連結部5cに固定されている。第3ジャッキ12は、筒身の吊り下ろし時に、風等による外側筒身3の浮き上がりを阻止する機能を有している。第3ジャッキ12は、筒身の解体の進行に伴い盛り替えられる。
【0028】
第1ジャッキ9、第2ジャッキ11、第3ジャッキ12は、何れも、例えば、特許文献2に開示されたワイヤジャッキング装置からなり、このワイヤジャッキング装置を使用することによって、吊り荷の吊り上げ、吊り下ろしが安定して確実に行える。
【0029】
ワイヤジャッキング装置は、ストランドを把持および開放する上部および下部クランプとシリンダとを備え、例えば、上部クランプによりストランドを把持し、この後、下部クランプによるストランドの把持を開放し、この状態でシリンダを伸ばして、ストランドに固定した吊り荷をシリンダのストローク分だけ持ち上げる。次に、下部クランプによりストランドを把持し、この後、上部クランプによるストランドの把持を開放してシリンダを縮め、この後、上部クランプによりストランドを把持し、次に、下部クランプによるストランドの把持を開放し、この状態でシリンダを伸ばして、吊り荷をシリンダのストローク分だけさらに持ち上げる。この操作を繰り返し行って吊り荷を所定高さまで吊り上げるものである。吊り荷を吊り下ろすには、吊り上げの場合と逆の操作を行う。
【0030】
13aは、解体ステージ6に設置された中央筒身2のガイドであり、13bは、ジャッキ装置7に設置された中央筒身2のガイドである。ガイド13a、13bは、ガイドローラや摺動部材等により構成されている。
【0031】
14aから14eは、中央筒身2と外側筒身3とを連結するストランドである。ストランド14aから14eにより中央筒身2と外側筒身3とを連結することにより、外側筒身3の荷重が中央筒身2にかかるので、中央筒身2の吊り下ろしに伴って外側筒身3が吊り下ろされる。
【0032】
15、16は、作業用の仮設エレベータであり、17は、仮設ステージ10に設置された吊り階段である。
【0033】
以上説明した、この発明の、多脚型鋼製煙突の解体方法によれば、以下のようにして、多脚型鋼製煙突が解体される。
【0034】
先ず、
図3(a)に示すように、中央筒身2の下部と解体ステージ6上の外側筒身3を所定長さ切断し、撤去する。例えば、中央筒身2の下部を長さ(L)だけ切断し、外側筒身3を長さ(L/2)だけ切断する。解体ステージ6上の外側筒身3の切断片は、ラフタークレーン18(
図3(g))参照により撤去する。
【0035】
次いで、ジャッキ装置7によって、中央筒身2を外側筒身3と共に地上に吊り下ろす。
【0036】
以上の筒身の切断と吊り下ろし工程を繰り返し行って、
図3(b)に示すように、1段目および2段目の中央筒身2a、2bと、2段目の連結部5bと、2段目および3段目の外側筒身3b、3cとを解体し、撤去する。
【0037】
この際、中央筒身2にかかるモーメントは、マスト8が受けるので、安定して筒身を吊り下ろすことができる。マスト8は、筒身の切断の進行に伴ってマスト部材8aの分離と第1ジャッキ9による下降を繰り返し行う。
【0038】
さらに、第3ジャッキ12によって1段目の外側筒身3aと3段目の連結部5cとが連結されているので、筒身の吊り下ろし時に、風等による外側筒身3の浮き上がりを確実に阻止することができる。
【0039】
次いで、
図3(c)に示すように、第3ジャッキ12のストランド12bを5段目の連結部5eに固定して第3ジャッキ12を盛り替える。この後、マスト8を撤去する。そして、上述した工程と同様に、中央筒身2の下部と解体ステージ6上の外側筒身3の下部の切断と吊り下ろしを繰り返し行って、
図3(d)に示すように、3段目および4段目の中央筒身2c、2dと、3段目および4段目の連結部5c、5dと、4段目および5段目の外側筒身3d、3eとを解体し、撤去する。
【0040】
次いで、第3ジャッキ12を切り離し、
図3(e)に示すように、上述した工程と同様に、中央筒身2の下部と解体ステージ6上の外側筒身3の下部の切断と吊り下ろしを繰り返し行って、5段目および6段目の中央筒身2e、2fと、5段目の連結部5eと、6段目の外側筒身3fとを解体し、撤去する。
【0041】
次いで、
図3(e)に示すように、解体ステージ6を撤去した後、中央筒身2の下部を切断して、集煙部4を仮設ステージ10上に着座させる。次いで、中央筒身2の下部を所定長さだけ切断し、ジャッキ装置7により中央筒身2を吊り下ろす。上記工程を繰り返し行って中央筒身2を撤去する。そして、ジャッキ装置7を解体し、撤去する。
【0042】
次いで、
図3(f)に示すように、第2ジャッキ11によって集煙部4を仮設ステージ10と共に地上に着座させる。
【0043】
次いで、
図3(g)に示すように、ラフタークレーン18により集煙部4と仮設ステージ10を解体し、撤去する。
【0044】
そして、
図3(h)に示すように、ラフタークレーン18により残った1段目の連結部5aと1段目の外側筒身3aを解体し、撤去する。
【0045】
なお、仮設エレベータ15、16、吊り階段17は、筒身の撤去の進行に応じて、適宜、撤去する。
【0046】
このようにして、多脚型鋼製煙突の解体が終了する。
【0047】
以上説明したように、この発明によれば、多脚型鋼製煙突をクライミングクレーンを用いることなく低い位置で容易に安全かつ経済的に解体することができる。
【符号の説明】
【0048】
1:多脚型鋼製煙突
2:中央筒身
3:外側筒身
4:集煙部
5aから5f:連結部
6:解体ステージ
7:ジャッキ装置
7a:ジャッキ本体
7b:ストランド
8:マスト
8a:マスト部材
9:第1ジャッキ
9a:ジャッキ本体
9b:ストランド
10:仮設ステージ
11:第2ジャッキ
11a:ジャッキ本体
11b:ストランド
12:第3ジャッキ
12a:ジャッキ本体
12b:ストランド
13a:ガイド
13b:ガイド
14aから14e:ストランド
15:仮設エレベータ
16:仮設エレベータ
17:吊り階段
18:ラフタークレーン
23:多脚型鋼製煙突
24:クライミングクレーン
25:クレーン本体
26:マスト
27:連結部材
28Aから28H:プラットホーム
【要約】 (修正有)
【課題】クライミングクレーンを用いずに容易に安全にかつ経済的に解体することが可能な、多脚型鋼製煙突の解体方法を提供する。
【解決手段】中央筒身2と周囲に配された3本の外側筒身3とからなり、外側筒身3は所定高さ毎に連結され、頂部には集煙部4が形成されている多脚型鋼製煙突1の解体方法において、(a)中央筒身2と外側筒身3とをストランド14aから14eにより連結し、中央筒身2を地上に設置したジャッキ装置7により支持する。(b)最下段の連結部5aを解体ステージ6とし、解体ステージ6の下部に昇降可能な仮設ステージ10を設置する。(c)解体ステージ6上の外側筒身3を所定長さ切断し、撤去する。(d)中央筒身2の下部を所定長さ切断し、撤去する。(e)ジャッキ装置7により中央筒身2を外側筒身3と共に吊り下ろす。(f)(c)工程から(e)工程を繰り返し行って、中央筒身2および外側筒身3を撤去する。
【選択図】
図1