特許第5953405号(P5953405)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5953405
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】パイプ抱持バンド
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/08 20060101AFI20160707BHJP
   F16L 3/08 20060101ALI20160707BHJP
   F16B 2/08 20060101ALI20160707BHJP
   F16B 2/10 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
   E04D13/08 311D
   F16L3/08 C
   F16B2/08 F
   F16B2/10 B
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-129731(P2015-129731)
(22)【出願日】2015年6月29日
【審査請求日】2015年6月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】593178409
【氏名又は名称】株式会社オーティス
(74)【代理人】
【識別番号】100087664
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 宏行
(72)【発明者】
【氏名】岩田 充智
【審査官】 油原 博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−46762(JP,A)
【文献】 特開平11−122773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/08
F16B 2/08
F16B 2/10
F16L 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略半円状のパイプ抱持部と、該パイプ抱持部の基端より平板状に延びた取付部とを備えた抱持部材を一組有し、前記パイプ抱持部の先端部どうしを回動自在に連結可能としたパイプ抱持バンドであって、
前記パイプ抱持部の先端部には、前記抱持部材の幅方向の側端縁から幅方向に延びた切り溝が形成されており、
前記先端部どうしは、前記切り溝どうしの相互差し込みにて交差重合する連結構造となっており、
前記切り溝よりも先端側の差込片は、前記切り溝の開口が形成された側端縁を前記切り溝から先端にかけて折り曲げてなる折曲片を有し、該折曲片が相手の前記パイプ抱持部の幅方向の側端縁にあてがわれるようになっていることを特徴とするパイプ抱持バンド。
【請求項2】
請求項1において、
前記抱持部材の先端部の各重合面の一方に凸部が形成され、他方に該凸部と係合する凹部が形成されていることを特徴とするパイプ抱持バンド。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の壁面等に沿って配されるパイプを抱持するパイプ抱持バンドに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のパイプ抱持バンドとして、略半円状のパイプ抱持部と、パイプ抱持部の基端より平板状に延びた取付部とを備えた抱持部材を一組有し、パイプ抱持部の先端部(開放側の端部)どうしを回動自在に連結可能としたものがある(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1のパイプ抱持バンドは、一方の抱持部材の先端部に係合凸部が設けてある一方、他方の抱持部材の先端部に係合凸部が係合する開口が形成してあり、係合凸部を開口に係合して両抱持部材が連結する構造とされ、その連結部分を支点として、取付部が開閉自在となるように相互に回動可能となっている。
【0004】
また、パイプ抱持バンドの回動支点とされる支点部としては、両先端部を軸体で回動自在にヒンジ結合した構造のものも一般に採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−64045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示した連結構造では、両抱持部材の先端部の形状が異なるため、2種類の形状の抱持部材が必要とされる。2部材で一組であるから、両抱持部材の一組をセット物として一括して運搬や保管などの取り扱いをしなければ、現場での作業効率が悪くなるおそれがある。また、在庫管理も一括して行ったほうが便利であるが、あくまでも別部材であるため、そのような在庫管理ができない場合もある。
【0007】
一方、ヒンジ結合した構造のものは、結合した状態であれば1部材として取り扱うことができる。ところが、部材間のヒンジ結合の工程が必要となるため全体コストが高くなるおそれがある。また、両抱持部材のパイプ抱持部が湾曲した状態で連結されているから、複数の挟持部材を板面が重なり合うように束ねることができず、多数のものを保管、運搬するうえでは収容スペースの効率が悪くなる。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮して提案されたもので、その目的は、一組の抱持部材を1種類の部材で構成できるようにしたパイプ抱持バンドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のパイプ抱持バンドは、略半円状のパイプ抱持部と、パイプ抱持部の基端より平板状に延びた取付部とを備えた抱持部材を一組有し、パイプ抱持部の先端部どうしを回動自在に連結可能としたパイプ抱持バンドであって、パイプ抱持部の先端部には、抱持部材の幅方向の側端縁から幅方向に延びた切り溝が形成されており、先端部どうしは、切り溝どうしの相互差し込みにて交差重合する連結構造となっており、切り溝よりも先端側の差込片は、切り溝の開口が形成された側端縁を切り溝から先端にかけて折り曲げてなる折曲片を有し、折曲片が相手のパイプ抱持部の幅方向の側端縁にあてがわれるようになっていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載のパイプ抱持バンドは、抱持部材の先端部の各重合面の一方に凸部が形成され、他方に該凸部と係合する凹部が形成されている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載のパイプ抱持バンドによれば、上述の構成となっているため、両抱持部材を同一の形状とすることができ、一組の抱持部材を1種類の部材で構成することができる。そのため、パイプ抱持バンド(抱持部材)の保管、運搬などの取り扱いにおいて利便性を高められる。
【0012】
請求項2に記載のパイプ抱持バンドによれば、凸部と凹部とが係合するようになっているため、位置合わせを容易にでき、また、いったん係合すればその後に連結ずれが起こることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るパイプ抱持バンドを示す斜視図である。
図2】(a)は両抱持部材の分解斜視図、(b)は(a)におけるX部の拡大平面図、(c)は(a)におけるY部の拡大平面図である。
図3】(a)は両抱持部材の各先端部の拡大斜視図であり、連結手順を示した図であり、(b)は連結された際の両抱持部材の平面図である。
図4】パイプ抱持バンドの取付態様を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態に係るパイプ抱持バンドについて、添付図面をもとに説明する。まず、パイプ抱持バンドの基本構成について説明する。
【0015】
パイプ抱持バンド1は、略半円状のパイプ抱持部11と、パイプ抱持部11の基端より平板状に延びた取付部15とを備えた抱持部材10、10を一組有し、パイプ抱持部11、11の先端部どうしを回動自在に連結可能とした抱持具である。
【0016】
パイプ抱持部11、11の先端部には、抱持部材10、10の幅方向の側端縁から幅方向に延びた切り溝12a、12aが形成されており、先端部どうしは、切り溝12a、12aどうしの相互差し込みにて交差重合する連結部12を有した連結構造となっている。
【0017】
切り溝12aよりも先端側の差込片12bは、切り溝12aの開口が形成された側端縁を切り溝12aから先端にかけて折り曲げてなる折曲片12dを有し、折曲片12dが相手のパイプ抱持部11の幅方向の側端縁にあてがわれるようになっている。
【0018】
ついで、パイプ抱持バンド1およびそれを構成する抱持部材10、10の詳細な構成および作用、効果等について説明する。
【0019】
本パイプ抱持バンド1は、図1に示すように、帯板状の一組の抱持部材10、10を有し、それらを連結することでパイプ25(図4参照)を抱持できるようになっている。これらの抱持部材10、10は1種類(同一形状)の部材であり、他方は一方を180度回転させ、パイプ抱持部11、11どうしで円を形成するように両部材を結合して利用できる構成となっている。
【0020】
パイプ抱持部11は、上述したように、先端部には他方の抱持部材10と連結するための連結部12が形成され、パイプ抱持部11の基端からは平板状の取付部15が延びている。取付部15には2つのボルト挿通孔15a、15aが開設されており、両取付部15、15は、それらの間に建築物の壁面などに取り付けた、長孔21を有するバンド取付具20を挟んだ状態でボルト3、ナット4で固定されてパイプ25を抱持する(図4参照)。
【0021】
連結部12、12は抱持部材10、10どうしが相互に係合する形状となっており、両部材が連結した状態では、図1の矢印で示したように、開閉するために、相互に回動ができるようになっている。
【0022】
この連結部12は、上述した切り溝12aを挟んで、差込片12bと、収容部12cとを備えた構成となっている。すなわち、連結部12は、図2(a)の各部材におけるパイプ抱持部11の先端部(2点鎖線で囲んだ部位)に形成され、長手方向における略中央の幅方向の一方の側端縁に切り溝12aを有している。この切り溝12aは、幅方向の略中央まで幅方向に略平行に延び、その切り溝12aよりも先端側が差込片12bとされ、基端側が相手の差込片12bを収容する収容部12cとされる。なお、つぎに説明するように、連結部12は帯板の長手方向に沿って凹凸となるよう曲がっているが、図1および図2(a)においては、その凹凸形状の図示は省略してある。
【0023】
また、図2(b)(c)の各拡大平面図に示すように、収容部12cは内側に収容凹所が形成されるように外方に突出している。差込片12bの切り溝12a側の側端縁には外方に折れた折曲片12dが形成されている。また、収容部12cの内側の板面には突起上の凸部13aが形成され、差込片12bの外側の板面には凸部13aと係合可能な凹部13bが形成されている。
【0024】
このような各帯板の連結部12、12どうしを、図3(a)に示すように、切り溝12a、12aどうしを両差込片12b、12bが内側に配されるように相互に差し込んで重ねることで、図1に示すように、両抱持部材10、10は連結される。両切り溝12a、12aを差し込んだときには、両部材は平面視で図3(b)のように交差状になり、それぞれの差込片12b、12bを収容部12c、12cに近づけるように抱持部材10、10を回動させることで、折曲片12d、12dの内面が相手の収容部12c、12cの側端縁に接触または近接した状態となる(図2(b)参照)。このとき、凸部13aと凹部13bとが係合して位置合わせができ、その後のずれを防止できる。
【0025】
ようするに、取付部15、15どうしを近づけパイプ抱持バンド1を閉じた状態にすると、図2(b)に示すように、連結部12、12の板面どうしがほぼ密着した状態となり、折曲片12d、12dが相手の連結部12、12の側端縁にあてがわれて、両部材は上下方向に外れないようになる。つまり、図4に示すように、両抱持部材10、10でパイプ25を抱持し、取付部15、15どうしをバンド取付具20に固定すれば折曲片12d、12dが相手の抱持部材10、10の外れ方向への移動を禁止できるため、両抱持部材10、10が分離するおそれはない。
【0026】
また、抱持部材10、10どうしの連結の際には、凸部13a、13a、凹部13b、13b間が係合するので位置合わせができる。抱持部材10、10は、それぞれに凸部13aと凹部13bの両方を対称位置に備えているため、両部材を同一形状とすることができる。本実施形態では、凸部13aが突起状に形成されているが、この形状には限らず、凸部13aと凹部13bとが嵌合してずれない形状であればどのような形状であってもよい。たとえば、いずれの板面にも相互に嵌合する連続凹凸条が形成されたものでもよい。
【0027】
以上のように、本実施形態のパイプ抱持バンド1によれば、両抱持部材10、10を同一の連結部12、12の形状で連結が可能とされる。しかも両抱持部材10、10の全体を同一の形状とすることができ、一組の抱持部材10、10を1種類の部材で構成することができる。
【0028】
以上に示した実施形態のものは、抱持部材10、10どうしが連結したときに差込片12b、12が相手の抱持部材10、10の内側(パイプ25を抱持する側)に配されるようになっているが、差込片12b、12bが外側に配される連結構造のものであってもよい。差込片12b、12bを相手の抱持部材10、10の外側に配する連結構造の場合、外側に収容凹所が形成されるように内方に突出させることが望ましいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0029】
1 パイプ抱持バンド
10 抱持部材
11 パイプ抱持部
12 連結部
12a 切り溝
12b 差込片
12c 収容部
12d 折曲片
13a 凸部
13b 凹部
15 取付部
20 バンド取付具
25 パイプ

【要約】
【課題】一組の抱持部材を1種類の部材で構成できるようにしたパイプ抱持バンドを提供する
【解決手段】パイプ抱持バンド1は、略半円状のパイプ抱持部11と、その基端より平板状に延びた取付部15とを備えた抱持部材10を一組有し、パイプ抱持部11の先端部どうしを回動自在に連結可能とされ、パイプ抱持部11の先端部には、抱持部材10の幅方向の側端縁から幅方向に延びた切り溝12aが形成されており、先端部どうしは、切り溝12aどうしの相互差し込みにて交差重合する連結構造となっており、切り溝12aよりも先端側の差込片12bは、切り溝12aの開口が形成された側端縁を切り溝12aから先端にかけて折り曲げてなる折曲片12dを有し、折曲片12dが相手のパイプ抱持部11の幅方向の側端縁にあてがわれるようになっている。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4