特許第5953412号(P5953412)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社 ディー・エヌ・エーの特許一覧

特許5953412情報処理システム及び情報処理プログラム
<>
  • 特許5953412-情報処理システム及び情報処理プログラム 図000002
  • 特許5953412-情報処理システム及び情報処理プログラム 図000003
  • 特許5953412-情報処理システム及び情報処理プログラム 図000004
  • 特許5953412-情報処理システム及び情報処理プログラム 図000005
  • 特許5953412-情報処理システム及び情報処理プログラム 図000006
  • 特許5953412-情報処理システム及び情報処理プログラム 図000007
  • 特許5953412-情報処理システム及び情報処理プログラム 図000008
  • 特許5953412-情報処理システム及び情報処理プログラム 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5953412
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】情報処理システム及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/497 20140101AFI20160707BHJP
   A63F 13/35 20140101ALI20160707BHJP
   A63F 13/49 20140101ALI20160707BHJP
   A63F 13/847 20140101ALI20160707BHJP
【FI】
   A63F13/497
   A63F13/35
   A63F13/49
   A63F13/847
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-181609(P2015-181609)
(22)【出願日】2015年9月15日
【審査請求日】2015年9月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599115217
【氏名又は名称】株式会社 ディー・エヌ・エー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗山 万樹
【審査官】 鈴木 崇雅
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−041559(JP,A)
【文献】 「クラッシュ・オブ・クラン」リプレイを有効活用する方法,[online],2015年10月19日,掲載日:2013年7月18日,URL,http://app.famitsu.com/20130718_195491/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00−98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
参加型のマルチプレイヤーゲームを提供する情報処理システムであって、
ゲームの進行に必要なゲーム情報を記憶する記憶手段と、
複数のプレイヤの各々からゲームの進行のためのリクエストを取得するリクエスト取得手段と、
前記リクエストに応じて前記ゲーム情報を変更して記憶手段に記憶させるゲーム処理手段と、
前記ゲーム処理手段における前記ゲーム情報の変更前と変更後との関係を示すログ情報を記憶手段に記憶させるログ記憶処理手段と、
前記ログ情報を用いて第1の時点における前記ゲーム情報から前記第1の時点よりも過去の前記ゲーム情報を再現するゲーム情報再生成手段と、
前記ゲーム情報再生成手段において再現された前記ゲーム情報を用いてゲームの進行を再現してプレイヤに提示するゲーム再現手段と、
を備え、
前記ゲーム情報再生成手段は、新規のプレイヤがゲームに加わったときに前記ログ情報を用いて第1の時点の前記ゲーム情報から前記第1の時点よりも過去の前記ゲーム情報を再現し、
前記ゲーム再現手段は、前記ゲーム情報再生成手段において再現された前記ゲーム情報を用いてゲームの進行を再現して前記新規のプレイヤに提示することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記ログ記憶処理手段は、前記ゲーム処理手段における変更後の前記ゲーム情報の少なくとも一部を比較用ログ情報として記憶させ、
前記記憶手段に記憶されている最新の前記ゲーム情報と前記比較用ログ情報として記憶されている前記ゲーム情報とを比較して、最新の前記ゲーム情報と前記比較用ログ情報とが同期されているか否かを判定する同期判定手段を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
参加型のマルチプレイヤーゲームを提供する情報処理プログラムであって、
ゲームの進行に必要なゲーム情報を記憶する記憶手段にアクセス可能なコンピュータを、
複数のプレイヤの各々からゲームの進行のためのリクエストを取得するリクエスト取得手段と、
前記リクエストに応じて前記ゲーム情報を変更して記憶手段に記憶させるゲーム処理手段と、
前記ゲーム処理手段における前記ゲーム情報の変更前と変更後との関係を示すログ情報を記憶手段に記憶させるログ記憶処理手段と、
前記ログ情報を用いて第1の時点における前記ゲーム情報から前記第1の時点よりも過去の前記ゲーム情報を再現するゲーム情報再生成手段と、
前記ゲーム情報再生成手段において再現された前記ゲーム情報を用いてゲームの進行を再現してプレイヤに提示するゲーム再現手段と、
として機能させ、
前記ゲーム情報再生成手段は、新規のプレイヤがゲームに加わったときに前記ログ情報を用いて第1の時点の前記ゲーム情報から前記第1の時点よりも過去の前記ゲーム情報を再現し、
前記ゲーム再現手段は、前記ゲーム情報再生成手段において再現された前記ゲーム情報を用いてゲームの進行を再現して前記新規のプレイヤに提示することを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
オンラインゲーム等において複数のプレイヤが使用する端末をネットワークで接続し、複数のプレイヤが同時に1つのゲームに参加することができるマルチプレイヤーゲームが知られている。
【0003】
マルチプレイヤーゲームにおいて、予め定められたマッチング条件に基づいて複数のプレイヤをマッチングさせてゲームに参加させるための技術が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−176623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、既に進行しつつあるマルチプレイヤーゲームに新たなプレイヤが参入する場合、ゲームの途中から参入したプレイヤはゲームにおける現在までの進行状況を把握することが難しく、直ちにプレイに入り込むことができないという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、マルチプレイヤーゲームにおいて新たに参入したプレイヤにゲームの状況を容易に把握させることができる情報処理システム及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの態様は、参加型のマルチプレイヤーゲームを提供する情報処理システムであって、ゲームの進行に必要なゲーム情報を記憶する記憶手段と、複数のプレイヤの各々からゲームの進行のためのリクエストを取得するリクエスト取得手段と、前記リクエストに応じて前記ゲーム情報を変更して記憶手段に記憶させるゲーム処理手段と、前記ゲーム処理手段における前記ゲーム情報の変更前と変更後との関係を示すログ情報を記憶手段に記憶させるログ記憶処理手段と、前記ログ情報を用いて第1の時点における前記ゲーム情報から前記第1の時点よりも過去の前記ゲーム情報を再現するゲーム情報再生成手段と、前記ゲーム情報再生成手段において再現された前記ゲーム情報を用いてゲームの進行を再現してプレイヤに提示するゲーム再現手段と、を備えることを特徴とする情報処理システムである。
【0008】
本発明の別の態様は、参加型のマルチプレイヤーゲームを提供する情報処理プログラムであって、ゲームの進行に必要なゲーム情報を記憶する記憶手段にアクセス可能なコンピュータを、複数のプレイヤの各々からゲームの進行のためのリクエストを取得するリクエスト取得手段と、前記リクエストに応じて前記ゲーム情報を変更して記憶手段に記憶させるゲーム処理手段と、前記ゲーム処理手段における前記ゲーム情報の変更前と変更後との関係を示すログ情報を記憶手段に記憶させるログ記憶処理手段と、前記ログ情報を用いて第1の時点における前記ゲーム情報から前記第1の時点よりも過去の前記ゲーム情報を再現するゲーム情報再生成手段と、前記ゲーム情報再生成手段において再現された前記ゲーム情報を用いてゲームの進行を再現してプレイヤに提示するゲーム再現手段、として機能させることを特徴とする情報処理プログラムである。
【0009】
ここで、前記ゲーム情報再生成手段は、新規のプレイヤがゲームに加わったときに前記ログ情報を用いて第1の時点の前記ゲーム情報から前記第1の時点よりも過去の前記ゲーム情報を再現し、前記ゲーム再現手段は、前記ゲーム情報再生成手段において再現された前記ゲーム情報を用いてゲームの進行を再現して前記新規のプレイヤに提示することが好適である。
【0010】
また、前記ログ記憶処理手段は、前記ゲーム処理手段における変更後の前記ゲーム情報の少なくとも一部を前記ログ情報として記憶させ、前記記憶手段に記憶されている最新の前記ゲーム情報と前記ログ情報として記憶されている前記ゲーム情報とを比較して、最新の前記ゲーム情報と前記ログ情報とが同期されているか否かを判定する同期判定手段を備えることが好適である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、マルチプレイヤーゲームにおいて新たに参入したプレイヤにゲームの状況を容易に把握させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態における情報処理システムの構成を示す図である。
図2】本発明の実施の形態におけるサーバの構成を示す図である。
図3】本発明の実施の形態におけるクライアントの構成を示す図である。
図4】本発明の実施の形態におけるゲームの進行を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施の形態におけるリクエストに応じたゲーム処理を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施の形態におけるゲーム情報の登録例を示す図である。
図7】本発明の実施の形態におけるログ情報の登録例を示す図である。
図8】本発明の実施の形態におけるゲーム再現処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態における情報処理システム100は、図1に示すように、サーバ102及びクライアント104を含んで構成される。サーバ102とクライアント104は、インターネット等の情報通信網106を介して情報交換可能に接続される。本実施の形態では、サーバ102から複数のプレイヤが参加可能なマルチプレイヤーゲームを提供する態様について説明するので、サーバ102は複数のクライアント104(104a・・・104n)と接続される。
【0014】
サーバ102は、図2に示すように、処理部10、記憶部12、入力部14、出力部16及び通信部18を含んで構成される。処理部10は、CPU等の演算処理を行う手段を含む。処理部10は、記憶部12に記憶されているゲーム提供プログラムを実行することによって、本実施の形態における情報処理システム100において複数のクライアント104を接続したマルチプレイヤーゲームを提供するための機能を実現する。記憶部12は、半導体メモリやメモリカード等の記憶手段を含む。記憶部12は、処理部10とアクセス可能に接続され、ゲーム提供プログラム、その処理に必要な情報を記憶する。入力部14は、情報を入力する手段を含む。入力部14は、例えば、管理者からの入力を受けるキーボード、タッチパネル、ボタン等を備える。出力部16は、管理者から入力情報を受け付けるためのユーザインターフェース画面(UI)等のサーバ102での処理結果を出力する手段を含む。出力部16は、例えば、管理者に対して画像を呈示するディスプレイを備える。通信部18は、情報通信網106を介して、クライアント104との情報の通信を行うインターフェースを含んで構成される。通信部18による通信は有線及び無線を問わない。
【0015】
クライアント104は、図3に示すように、処理部20、記憶部22、入力部24、出力部26及び通信部28を含んで構成される。処理部20は、CPU等の演算処理を行う手段を含む。処理部20は、記憶部22に記憶されているクライアントプログラムを実行することによって、本実施の形態における情報処理システム100におけるマルチプレイヤーゲームの端末としての機能を実現する。例えば、クライアントプログラムは、クライアント104においてウェブブラウザの機能を利用してクライアント104から提供されるマルチプレイヤーゲームにおける入力処理や画像表示処理を実現する。記憶部22は、半導体メモリやメモリカード等の記憶手段を含む。記憶部22は、処理部20とアクセス可能に接続され、クライアントプログラム、その処理に必要な情報を記憶する。入力部24は、情報を入力する手段を含む。入力部24は、例えば、ユーザからの入力を受けるキーボード、タッチパネル、ボタン等を備える。出力部26は、ユーザから入力情報を受け付けるためのユーザインターフェース画面(UI)や投稿された情報を呈示する画面等のクライアント104での処理に必要な情報を出力する手段を含む。出力部26は、例えば、ユーザに対して画像を呈示するディスプレイを備える。通信部28は、情報通信網106を介して、サーバ102との情報の通信を行うインターフェースを含んで構成される。通信部28による通信は有線及び無線を問わない。
【0016】
クライアント104は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン端末、携帯電話等とすることができる。
【0017】
なお、本実施の形態では、サーバ102と接続されているクライアント104a,104bを使用するプレイヤA,Bとクライアント104c,104dを使用するプレイヤC,Dとが対戦型のマルチプレイヤーゲームをプレイする態様を例に説明する。当該ゲームでは、プレイヤA,Bを第1のグループとし、プレイヤC,Dを第2のグループとして、第1のグループと第2のグループとが交互に互いのターンを繰り返し行うことによってゲームが進行するものとする。
【0018】
すなわち、図4のフローチャートに示すように、第1のグループに属するプレイヤによるプレイのターンを行い(ステップS10)、当該ターンが終了するとゲームを終了させる条件に達していればゲームを終了させる(ステップS12)。ゲームを終了させない場合には、第2のグループに属するプレイヤによるプレイのターンを行い(ステップS14)、当該ターンが終了するとゲームを終了させる条件に達していればゲームを終了させる(ステップS16)。ゲームを終了させない場合には、再びステップS10に処理を戻し、第1のグループによるプレイのターンから繰り返す。
【0019】
なお、それぞれのグループのターンは、各プレイヤが一回ずつプレイ(ゲーム上の行動)を行ったときに終了する、またはターンの開始時刻から所定の時間が経過した時点で終了する等、ゲームに応じて変えてもよい。
【0020】
以下、図5のフローチャートを参照して、各グループに属するプレイヤが自分のターンにおいてプレイを行うときの処理について説明する。自分のターンにおける各プレイヤによるプレイはそれぞれ同様に処理されるので、ここではプレイヤAがクライアント104aを用いてプレイをする際の処理を例に説明する。
【0021】
ステップS20では、クライアント104aからリクエストが受け付けられる。当該ステップの処理によって、クライアント104aはリクエスト受付手段として機能する。クライアント104aは、入力部24を用いてプレイヤが入力するプレイのリクエストを受け付ける。リクエストは、例えば、プレイヤAのゲーム上のオブジェクト(キャラクタ)を移動させるリクエストや相手(第2のグループに属するプレイヤのオブジェクト(キャラクタ))に対して攻撃するリクエスト等が挙げられる。入力されたリクエストは、クライアント104aからサーバ102へ送信される。
【0022】
ステップS22では、サーバ102によってリクエストが取得される。当該ステップの処理によって、サーバ102はリクエスト取得手段として機能する。サーバ102は、情報通信網106を介してステップS20においてクライアント104aから送信されたリクエストを受信する。
【0023】
ステップS24では、サーバ102においてリクエストに応じたゲーム上の処理が行われる。当該ステップにおける処理によって、サーバ102はゲーム処理手段として機能する。サーバ102の処理部10は、ステップS22において取得したリクエストを解析し、ゲーム上の処理を実行する。
【0024】
ゲーム上の処理としては、例えば、プレイヤAのオブジェクト(キャラクタ)をゲーム画面上で移動させる処理がある。当該処理では、記憶部22にゲーム情報として記憶されているプレイヤAのオブジェクトの位置を読み出し、取得したリクエストに応じて当該位置を変更し、記憶部22のゲーム情報に含まれるプレイヤAのオブジェクトの位置を新たな位置で更新する。また、ゲーム上の処理としては、例えば、プレイヤAのオブジェクトから相手(第2のグループに属するプレイヤ)のオブジェクトを攻撃する処理がある。当該処理では、記憶部22にゲーム情報として記憶されている相手(例えば、第2のグループに属するプレイヤC)のオブジェクトのヒットポイントを読み出し、取得したリクエストに応じて読み出した値だけ当該ヒットポイントを減算し、記憶部22のゲーム情報に含まれる相手(例えば、第2のグループに属するプレイヤC)のオブジェクトのヒットポイントを新たな値で更新する。なお、リクエストに応じたゲーム上の処理はこれらに限定されるものではない。
【0025】
例えば、ゲーム情報は図6のように登録されている。図6では、プレイヤの使用するオブジェクト(キャラクタ)に関する情報がゲーム情報として登録されている例を示している。ここでは、プレイヤA〜Dのオブジェクトのヒットポイントの残数、攻撃力、防御力、位置(ゲーム画面上の座標)が登録されている例を示している。ただし、ゲーム情報は、これに限定されるものでなく、サーバ102から提供されるゲームにおいて使用される情報を含むものとする。
【0026】
ゲーム情報は、サーバ102が適宜アクセスできる状態で記録されていればよい。ゲーム情報は、必ずしも1つのデータベースにゲームで使用されるすべての情報が登録されている必要はない。また、サーバ102の記憶部12にゲーム情報のすべてを記憶させる必要もなく、サーバ102からアクセス可能な外部装置やクライアント104の記憶部22にゲーム情報の一部又は全部を記憶させてもよい。
【0027】
ステップS26では、サーバ102においてゲーム上の処理についてログ情報が記録される。当該ステップにおける処理によって、サーバ102はログ記憶処理手段として機能する。サーバ102の処理部10は、ステップS24において実行されたゲーム上の処理をログ情報として記憶部22に記憶させる。
【0028】
ログ情報は、例えば、プレイヤAのオブジェクト(キャラクタ)をゲーム画面上で移動させるゲーム処理を行った場合、プレイヤAのオブジェクトをどの方向にどれだけ動かしたかを示す情報とすることができる。すなわち、プレイヤAのオブジェクトの移動前の位置と移動後の位置との差分をログ情報として記憶部22に登録する。また、ログ情報は、例えば、プレイヤCに対して攻撃するゲーム処理を行った場合、プレイヤCのオブジェクトのヒットポイントがどれだけ減少したかを示す情報とすることができる。すなわち、プレイヤCのオブジェクトに対する攻撃前のヒットポイントと攻撃後のヒットポイントとの差分をログ情報として記憶部22に登録する。
【0029】
このとき、図7のログ情報の登録例に示すように、処理の対象となったゲーム及びオブジェクトを特定するゲームID及びオブジェクトIDに関連付けて、処理の内容、処理によって生じたゲーム情報の変化を示す情報をログ情報として記憶部22に記憶させることが好適である。ここでは、現時点までの最後のプレイがプレイヤAからの攻撃リクエストに応じたプレイであり、そのリクエストに対するゲーム処理においてプレイヤCのオブジェクト(キャラクタ)のヒットポイントが2だけ減らされた場合のログ情報等を例として示している。ログ情報は、プレイヤからのリクエストに応じたゲーム処理においてゲーム情報に変化が生じた場合に変化が生じた順に追加される。
【0030】
ステップS28では、サーバ102からクライアント104に対してリクエストに応じたゲーム情報の変更内容としてログ情報が送信される。当該ステップにおける処理によって、サーバ102は、ゲーム情報送信手段として機能する。サーバ102は、ステップS24において実行されたゲーム情報の更新内容としてログ情報をゲームに参加しているプレイヤが使用するすべてのクライアント104へ送信する。
【0031】
例えば、プレイヤAからのリクエストに応じてプレイヤCのオブジェクトに攻撃が行われた場合、攻撃元のプレイヤAのオブジェクト、攻撃先のプレイヤCのオブジェクトに併せてプレイヤCのヒットポイントの減算値がゲーム情報の更新内容として送信される。
【0032】
ステップS30では、クライアント104にてログ情報が取得される。当該ステップにおける処理によって、各クライアント104は、ゲーム情報取得手段として機能する。クライアント104の各々は、ステップS28においてサーバ102から送信されたゲーム情報の更新内容であるログ情報を受信する。
【0033】
ここで、サーバ102とクライアント104との間で通信される情報は、クライアント104においてゲームの進行に応じた表示等を行うために必要なゲーム情報のすべてでなくてもよく、ステップS24において変更されたゲーム情報に関する情報のみでよい。
【0034】
例えば、プレイヤAからのリクエストに応じてプレイヤCのオブジェクトに攻撃が行われた場合、各クライアント104では受信したゲーム情報の更新内容に応じてプレイヤCのオブジェクトのヒットポイントを減算する。これに応じて、ゲーム画面上に表示されているプレイヤCのオブジェクトのヒットポイントの現在値の表示値を変更する等の処理を行う。また、攻撃元のプレイヤAのオブジェクトから攻撃先のプレイヤCのオブジェクトに対して攻撃が行われているシーンをゲーム画面上に併せて表示させる等の処理を行ってもよい。
【0035】
ステップS32では、クライアント104においてゲームの進行内容に応じた処理が行われる。当該ステップにおける処理によって、各クライアント104は、クライアントゲーム処理手段として機能する。クライアント104の各々では、ステップS30において受信されたゲーム情報の更新内容に応じて、ゲーム画面の表示変更等のゲームの進行内容に応じた処理を行う。
【0036】
以上のように、1つのクライアント104aからサーバ102に対してリクエストが送信された場合の処理が実行される。ゲームに参加している他のプレイヤの使用するクライアント104においてリクエストを受け付けた場合も同様に処理を実行することができる。このような処理を各グループのターン毎にそのグループに属するプレイヤについて行うことによってゲームが進行する。
【0037】
次に、図8のフローチャートを参照して、新たなプレイヤがゲームに参加したときにゲームの履歴を再現する処理について説明する。ここでは、ゲームの履歴再現が行われる前に新規プレイヤとしてプレイヤEがゲームに新たに参加したものとして説明を行う。
【0038】
ステップS40では、サーバ102においてゲーム情報の再生処理が行われる。当該ステップにおける処理によって、サーバ102は、ゲーム情報再生性手段として機能する。サーバ102は、新規プレイヤEが参加したゲームについて既に記憶されているログ情報を新たに登録された順に所定時刻前又は所定ターン前まで遡って読み出す。サーバ102は、読み出されたログ情報に応じてゲーム情報を過去に遡って再現する。このとき、サーバ102は、再現に必要な場合には現在のゲーム情報を読み出し、ログ情報に応じて現在のゲーム情報から過去のゲーム情報を復元する。
【0039】
例えば、図7に示したログ情報の例では、最も新しいログ情報は「プレイの内容」が「プレイヤAからプレイヤCへの攻撃」であり、その結果として「ゲーム情報の変更内容」が「プレイヤCのヒットポイントを2減算」である。そこで、サーバ102は、現在のプレイヤCのオブジェクト(キャラクタ)のヒットポイントを読み出し、それに2を加算することによって当該ログ情報が登録される前のゲーム情報を復元する。同様に、さらに過去のログ情報からもゲーム情報を再生成する。このようにして、新たなプレイヤが新規に参加した時点(第1の時点)から所定の時刻前又は所定のターン前である再現開始時点まで過去のゲーム情報を再現する。
【0040】
ステップS42では、サーバ102から新規プレイヤの使用するクライアント104へ再生成されたゲーム情報が送信される。当該ステップにおける処理によって、サーバ102は、再生ゲーム情報送信手段として機能する。
【0041】
ステップS44では、新規プレイヤが使用するクライアント104にてゲーム情報が受信される。当該ステップにおける処理によって、クライアント104は再生ゲーム情報受信手段として機能する。新規プレイヤが使用するクライアント104はステップS42においてサーバ102から送信されたゲーム情報を受信する。
【0042】
ステップS46では、クライアント104にて過去のゲームの状況が再現される。当該ステップにおける処理によって、クライアント104はゲーム再現手段として機能する。ステップS44にてゲーム情報を受信したクライアント104は、当該受信したゲーム情報を用いて過去のゲームの進行を再現させる。すなわち、ステップS40にてログ情報から再現された過去のゲーム情報を用いて再現開始時点から新たなプレイヤが参加した時点までのゲーム情報をゲーム画面上に再現する。
【0043】
以上のように、本発明の実施の形態では、新規にゲームに参加したプレイヤに対して、これまで他のプレイヤによって進められてきたゲームの進行状況を再現して提示することができる。したがって、新規プレイヤは、ゲームの進行状況を把握したうえでスムーズにゲームに参加することができる。
【0044】
なお、本実施の形態では、新規プレイヤが参加した際に所定時刻前又は所定ターン前を再現開始時点として自動的に設定したが、新規プレイヤの要求に応じて再現開始時点を設定するようにしてもよい。
【0045】
また、過去のゲーム情報を再生成する際に最新のログ情報と最新のゲーム情報を取得した場合、基本的にはデータ間の同期がとれた状態となっているはずであるが、データの取得のタイミングによってログ情報は更新されているがゲーム情報には最新の状態が反映されていないことやその逆のような状態となっている可能性もある。そこで、過去のログ情報を数件分取得し、ログ情報とゲーム情報との同期が取れているか否かを確認する処理を行ってもよい。
【0046】
このとき、ログ情報としてゲーム情報の変化の前後の差ではなく、変化後の値自体を記憶するようにしてもよい。この場合、最新のゲーム情報とログ情報として記憶されているゲーム情報とを比較して、最新のゲーム情報の値とログ情報に登録されている値と一致しているか否かによってデータが同期されているか否かを判定することができる。
【符号の説明】
【0047】
10 処理部、12 記憶部、14 入力部、16 出力部、18 通信部、20 処理部、22 記憶部、24 入力部、26 出力部、28 通信部。
【要約】      (修正有)
【課題】マルチプレイヤーゲームにおいて新たに参入したプレイヤにゲームの状況を容易に把握させることが可能な情報処理システムを提供する。
【解決手段】ゲームの進行に必要なゲーム情報を記憶する記憶部12を備え、複数のプレイヤの各々からゲームの進行のためのリクエストを取得し、リクエストに応じてゲーム情報を変更して記憶部12に記憶させ、ゲーム情報の変更前と変更後との関係を示すログ情報を記憶部12に記憶させ、ログ情報を用いて第1の時点におけるゲーム情報から第1の時点よりも過去のゲーム情報を再現し、再現されたゲーム情報を用いてゲームの進行を再現してプレイヤに提示する情報処理システムとする。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8